JP3072966U - カイロ収納袋 - Google Patents

カイロ収納袋

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JP3072966U
JP3072966U JP2000002958U JP2000002958U JP3072966U JP 3072966 U JP3072966 U JP 3072966U JP 2000002958 U JP2000002958 U JP 2000002958U JP 2000002958 U JP2000002958 U JP 2000002958U JP 3072966 U JP3072966 U JP 3072966U
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heating element
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pressure
thickness
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JP2000002958U
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稔 谷藤
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株式会社ニッテツ・ファイン・プロダクツ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肌着等に貼る人体保温用のカイロにおいて、
発熱体の下方移動による偏りを生じ難くし、かつ肌触り
感触性を滑らかで柔らかなものソフト感のあるものにす
る。 【解決手段】 収納袋を形成する多孔質膜包材の膜厚と
剛性率を調整することにより、発熱体の発熱時における
収納袋の内圧を大気圧に対して0〜−666Paの範囲に
する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、人体保温用のカイロの使用時に、収納袋の中の発熱体が下方に垂下 移動しないように収納袋を形成する包材の剛性を柔らかく厚みを調整し、内部を 負圧にしたカイロ収納袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人体用使い捨てカイロは、鉄粉等の酸化反応による反応熱を有効に利用したも のである。発熱体は、鉄粉等の金属粉と反応助剤などの粉体混合物からなり、散 逸しないように収納袋に入れている。収納袋は通気性の包材で形成し、収納袋を 通して大気中の酸素を補給することで酸化反応を持続させている。 人体保温用カイロには、肌着などに貼って使用する場合と、貼らずにポケット に入れたり、寝具の中に静置したりする場合とがあるが、本考案は前者の貼って 使用するカイロを対象とする。
【0003】 肌着などに貼って使う場合の多くは、鉛直方向に立った身体に添って、カイロ も図1のような天地方向に立てた状態になる。図1の左側が肌着などに貼られる 側で表面に粘接着層4が形成され、右側が大気に接する側で不織布1などの通気 性包材で形成され、周囲をシールして発熱体5を収納している。
【0004】 カイロを天地方向に立てると同時に中身の発熱体は、重力の作用により下方に 移動する。そして人の生活活動による移動の際に起こる振動で、発熱体の下方移 動はさらに加速される。発熱体が下方に移動するとカイロ収納袋の肉厚に多寡が 生じ、衣服を通して見える美的外観が損なわれる。 その対策として、実公平5−30432号公報の技術がある。これは、発熱状 態で収納袋内部の圧力が外気圧に対し−5〜−60mmHgを維持するように通気 面を設けることで、発熱体の下方移動を抑制するものである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記公報の技術によると、収納袋を形成する包材が発熱体に密着し、その密着 圧力が大きくて、カイロ全体が固い板状になりやすい。発熱体が包材に食い込ん でカイロ全体が硬く表面が露骨な状態となり、発熱体の凹凸による肌触り感触性 に課題が残されていた。 そこで本考案が解決しようとする課題は、肌着等に貼る人体保温用のカイロに おいて、発熱体の下方移動による偏りを生じ難くし、かつ肌触り感触性を滑らか で柔らかなソフト感のあるものにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本考案は、酸化熱を利用した発熱体を収納したカイ ロにおいて、収納袋を形成する多孔質膜包材の膜厚と剛性率を調整することによ り、発熱体の発熱時における収納袋の内圧を大気圧に対して0〜−666Paの範 囲にし、発熱体が移動することなく、感触性を良くしたカイロ収納袋である。
【0007】
【考案の実施の形態】
カイロの発熱機構は金属鉄粉と酸素量と電解質液量の3要素で決まる。従って 発熱特性を変えるには、酸素供給量と電解質液量の配合値を変えればよく、酸素 供給量は不織布隔膜の通気度で左右され、収納袋内部は酸化反応が進めば内部の 20.6%を占める空気中の酸素が消費される。最初は気圧の20.6%が負圧 になるが、隔膜としての収納袋の弾性率により反発力が異なり、膜の透気度等で 影響される。
【0008】 本考案は、負圧を微妙にしながら発熱体の密着度を微力にし、肌触り感触性を 向上させ発熱体の下方移動を抑えたカイロ収納袋である。発熱体は空気の存在下 で酸素と反応して発熱し得るもので、発熱体の収納袋は少なくとも一部が通気性 微細孔を有する多孔質膜包材で形成される。この包材は柔軟で容易に撓む構造と なっており、発熱体が酸素を吸収したときに、収納袋の内圧が減少しフィルム自 体に大気圧の外圧を受ける。膜厚は包材の強度が落ちない範囲で薄くし、外圧の 伝達を助けることにより発熱体の動きが阻止され、密着性もよくなる。
【0009】 多孔質材においては孔径が100A以上の場合の通気量qは q=r4 ・S・(P1 2 −P2 2 )/8η・t・RT r:孔径、 S:多孔質度、 t:膜厚、 R:気体定数、 T:絶対温度、 η:粘性、 P1 :大気圧側圧、 P2 :袋内側圧 で表される。
【0010】 ここで環境条件を一定であるとみなすと、 q=α・r4 ・S・(P1 2 −P2 2 )/t・T …… α:定数 となり、さらにFeの酸化に要する必要空気量を一定とすれば、 P1 2 −P2 2 =β・q・t/r4 ・S ……………… β:定数 と考えることができる。すなわち狭い範囲での差圧は膜厚に比例し、孔径と多孔 質度に反比例する。
【0011】 一方、外圧による膜形状変化はカイロ収納袋の表面が小さな円筒状空隙ができ ていると仮定すると、
【数1】 Pc :外圧、 E:剛性率、 t:膜厚、 d:空隙径 で表され、外圧は剛性率と膜厚に比例し、空隙径に反比例する。
【0012】 以上のことから、
【数2】
【数3】 である。s=一定とすると、差圧は包材の膜厚と剛性率で支配される。差圧が大 きくなると収納袋と内容物は密着することになる。
【0013】 微圧で密着性を維持しながら発熱体が収納袋に食い込まない肌触り感触性のよ いカイロを得るために、包材を構成する繊維の材質、密度、厚み、と包材弾性率 を勘案しながら実験を行い、その結果から多孔質膜包材とその弾性率に対する差 圧の関係図を得(図2)、手触り感触良好領域を見出した。多孔質膜包材の膜厚 と剛性率を調整することで、発熱体の発熱時に大気圧に対して0〜−666Paの 範囲でのカイロが可能となった。 包材の膜厚はピーコック厚み計で3回測定した平均値とし、剛性率(引張り弾 性率)の測定はJIS K7129に準拠した。
【0014】 従来の不織布膜厚の通気度の因子に対し、本考案は膜厚、剛性を制御すること により、発熱体下がりだけでなく発熱特性の高、低温、長時間型、短時間型で手 触りがよくしなやかな表面性状、内容物の隠蔽性を維持しながらのカイロをでき るに到った。 本考案の実施にあたっては、発熱体の発熱時に大気圧に対して0〜−666Pa を維持するため、多孔質膜包材の膜厚を0.28〜0.38mmにし、包材剛性率 (引張り弾性率)を9〜13kgとするのが好ましい。
【0015】 本考案におけるカイロは、図1の例のように発熱体5を収納袋に収納したもの である。発熱体5は、空気の存在下で酸化により発熱するものであればよく、例 えば鉄粉等の金属粉末、水、塩化ナトリウム等の酸化助剤、および木粉、ヒル石 、活性炭、珪藻土、ポリマー等の保水材を主成分とする組成物である。
【0016】 図1の例で本考案収納袋は、肌着などに貼られる図示左側の表層が粘接着層4 で形成され、大気に接する右側が多孔質膜包材6で形成され、周囲がシールされ ている。本例では、不織布1と有孔ポリエチレンフィルム2の複合フィルムを多 孔質膜包材6とし、ポリエチレンフィルム3に粘接着層4を設け、有孔ポリエチ レンフィルム2とポリエチレンフィルム3をヒートシールしている。
【0017】 本考案収納袋は、このような多孔質膜包材6の膜厚と剛性率を上記のように調 整することにより、発熱体の発熱時における袋内の圧を大気圧に対し0〜−66 6Paの範囲にしたことで、発熱体が偏らず、しかも肌触り感触性の良い、良好な 密着性と適度なソフト感が得られる。
【0018】
【実施例】
図1のカイロにおいて、ナイロン製の不織布1と有孔ポリエチレンフィルム2 を積層したシートを多孔質膜包材6とし、該包材6の膜厚および引張り弾性率を 変化させた。カイロの大きさは135mm×100mm、密封外袋から取出して通常 の使用法により発熱させた。
【0019】 各条件毎に10個のサンプルを製作し、発熱性能をJIS S4100に定め る基準の装置で測定したところ、密封外袋から取出し後の立上がり時間10〜1 2分、最高温度58〜61℃、持続時間13〜14時間であった。通気度は15 ,000sec/100cc(ガーレ法測定値)であった。
【0020】 上記各10個のサンプルについて、収納袋内部の圧力をマノメーターで測定し 、また肌着に貼り付けて着用し、天地方向に立てた状態での発熱体5の下方移動 による偏りと、肌触り感触性を評価した。なお密封外袋は延伸ポリプロピレンフ ィルムにポリ塩化ビニリデンをコートしたバリア性のフィルムにより作製した。
【0021】 (本考案例1) 多孔質膜包材6の膜厚を0.28mm、引張り弾性率を9kgとした。 収納袋内部の圧力は外気圧に対し−26Paであり、発熱体5の下方移動による 偏りはなく、肌触り感触性は良好であった。
【0022】 (本考案例2) 多孔質膜包材6の膜厚を0.38mm、引張り弾性率を10kgとした。 収納袋内部の圧力は外気圧に対し−267Paであり、本考案例1と同様、発熱 体5の下方移動による偏りはなく、肌触り感触性は良好であった。
【0023】 (本考案例3) 多孔質膜包材6の膜厚を0.28mm、引張り弾性率を11kgとした。 収納袋内部の圧力は外気圧に対し−141Paであり、本考案例1と同様、発熱 体5の下方移動による偏りはなく、肌触り感触性は良好であった。
【0024】 (比較例) 多孔質膜包材6の膜厚を0.38mm、引張り弾性率を15kgとした。 収納袋内部の圧力は外気圧に対し−933Paであり、発熱体5の下方移動によ る偏りはなかったが、多孔質膜包材6の表面に発熱体による凹凸がシャープに現 れゴロゴロした感じで肌触り感触性は不良であった。
【0025】
【考案の効果】
本考案のカイロ収納袋は、通気性をもたせるための多孔質膜包材の膜厚を薄く 、かつ剛性を低めることにより、発熱時の内圧を大気圧に対し0〜−666kg の範囲としたことで、発熱体の下方移動による偏りが生じ難く、肌触り感触性は 柔らかで滑らかなソフト感が得られる。 また、包材の厚みおよび剛性と通気度の組合わせにより酸素吸収速度を変える ことができ、カイロの持続時間を調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案収納袋の例を示す断面図である。
【図2】収納袋の多孔質膜包材の厚みと剛性の適正範囲
を示すグラフである。
【符号の説明】
1…不織布 2…有孔ポリエチレンフ
ィルム 3…ポリエチレンフィルム 4…粘接着層 5…発熱体 6…多孔質膜包材

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化熱を利用した発熱体を収納したカイ
    ロにおいて、収納袋を形成する多孔質膜包材の膜厚と剛
    性率を調整することにより、発熱体の発熱時における収
    納袋の内圧を大気圧に対して0〜−666Paの範囲に
    し、発熱体が移動することなく、感触性を良くしたカイ
    ロ収納袋。
JP2000002958U 2000-05-02 2000-05-02 カイロ収納袋 Expired - Lifetime JP3072966U (ja)

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