JP3071610B2 - エピガロカテキンガレート誘導体 - Google Patents

エピガロカテキンガレート誘導体

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JP3071610B2
JP3071610B2 JP5178479A JP17847993A JP3071610B2 JP 3071610 B2 JP3071610 B2 JP 3071610B2 JP 5178479 A JP5178479 A JP 5178479A JP 17847993 A JP17847993 A JP 17847993A JP 3071610 B2 JP3071610 B2 JP 3071610B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エピガロカテキンガレ
ートの本来有する優れた生理活性をそのまま保持し、か
つ易溶解性と色沢安定性を有し、さらに肝斑や雀斑等の
原因となるメラニン色素の生成に関与するチロシナーゼ
の酵素作用を阻害して優れた美白効果を発揮する新規な
エピガロカテキンガレート誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リューム リゾーマ(Rheum
rhizoma)の根からカテキン5−O−β−D−
グルコピラノシドを取得する方法、ラフィオレプシス
ウンベラータ(Rhaphiolepsis umbe
llata)の樹皮からカテキン 7−O−β−D−グ
ルコピラノシドを取得する方法[G.Nonaka等
著、Phytochemistry,vol.22.1
659(1983)]、シナモマム カシア(Cinn
amomum cassia)の樹皮からエピカテキン
3−O−β−D−グルコピラノシドを取得する方法
[S.Morimoto 等著、Chem.Phar
m.Bull.,vol.34.633(1986)]
等の天然物から抽出分離して得る方法が知られている。
また、カテキンに澱粉もしくはシクロデキストリンを加
えて、シクロマルトデキストリン−グルカノトランスフ
ェラーゼを反応させ、カテキン誘導体を合成させて、得
る方法が知られている(日本農芸化学会会誌、65巻、
3号、第5頁、2Ap14、平成3年3月15日発行お
よび特開平4−273890参照)。
【0003】
【発明が解決する課題】このようにカテキン類誘導体の
製造法はいくつか知られているが、エピガロカテキンガ
レート誘導体の製造法は知られていない。
【0004】一方、このエピガロカテキンガレートは、
他のカテキン類と同様に食用油脂類に対する抗酸化作
用、食中毒菌等に対する抗菌作用、血中コレステロ
ール濃度上昇抑制作用、アンジオテンシン変換酵素阻
害作用及び血圧上昇抑制作用、α−アミラーゼ阻害作
用及び血糖上昇抑制作用、微生物に於ける抗突然変異
及びマウスあるいはラットに於ける抗腫瘍作用、血小
板凝集抑制作用、抗ウイルス作用そして虫歯抑制作
用など、食品及び医薬産業上重要な物質である。
【0005】しかしながら、エピガロカテキンガレート
は水に対する溶解度が低く、また光に対する色沢安定性
も非常に悪い欠点を有し、上記食品や、医薬産業におい
て利用の範囲が制約を受ける問題点を有している。また
それ自身、美白作用を有することは知られていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等はこの
ような問題点を解消するため、種々検討を重ねた結果、
シュークロースホスホリラーゼの存在下で、エピガロカ
テキンガレートとグルコース−1−リン酸またはシュー
クロースとを反応させることによって、エピガロカテキ
ンガレートの有する優れた生理活性は殆ど損うことな
く、水に対する溶解度が高く、また光に対する色沢安定
性も非常に高いエピガロカテキンガレート誘導体が得ら
れ、また驚くべきことに、肝斑や雀斑等の原因となるメ
ラニン色素の生成に関与するチロシナーゼの酵素作用を
阻害して優れた美白効果を発揮することも合せて知り、
この知見に基いて本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、一般式(1):
【化2】 (式中、R1〜R8の少なくとも1つはD−グルコピラノ
ース残基または重合度2〜8のマルトオリゴ糖残基を示
し、他は各々独立にH、Cl、CH3、C25、C
37、C1531COまたはC1735COを示す)で表さ
れるエピガロカテキンガレート誘導体である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明を実施するためにはエピガロカテキンガレートとグ
ルコース−1−リン酸またはシュークロースとの混合液
に、シュークロースホスホリラーゼを作用させ、反応を
行わせる。
【0009】このエピガロカテキンガレートは、一般に
水に対する溶解度が非常に低い(高くても20mg/m
l)ので、予めメタノール、エタノール等の極性溶媒に
溶解(100〜500mg/ml)して、できるだけエ
ピガロカテキンガレートの濃度を高くして使用すること
が、効率よくエピガロカテキンガレート誘導体を取得す
る上で好ましい。
【0010】次に、シュクロースホスホリラーゼは、無
機リンの存在下でシュークロースに作用してグルコース
−1−リン酸とフラクトースを生成する、またはこの逆
反応を触媒する酵素である。
【0011】そして、その起源としては例えばロイコノ
ストック・メセンテロイデス(Leuconostoc
mesenteroides)、シュードモナス・サ
ッカロフィラ(Pseudomonas saccha
rophila)、シュードモナス・パトリファシエン
ス(Pseudomonas putrefacien
s)、クロストリジウム・パステイリアナム(Clos
tridium pasteurianum)、アセト
バクター・キシリナム(Acetobacter xy
linum)、プルラリア・プルランス(Pullul
aria pullulans)等のものが知られてい
る〔E.J.Vandamme等著,Biotechn
ol.Bioeng.,Vol.29,8−15,19
87参照〕が、これらに限定されるものではない。
【0012】次に、本発明を実施するにあたり先ず、グ
ルコース−1−リン酸又はシュークロースと、エピガロ
カテキンガレートとを水に溶解して、混合液を調製す
る。水に対する上記2つの成分の添加量は、全体として
重量%濃度で5〜100%、更に望ましくは20〜60
%である。
【0013】また、上記混合液に対するシュークロース
ホスホリラーゼの添加量は、グルコース−1−リン酸又
はシュークロースと、エピガロカテキンガレートとの総
重量1グラム当たり1単位以上、望ましくは50〜25
0単位である。
【0014】なお、1単位とは特開平3−4785「シ
ュークロースホスホリラーゼの製造法」に記載の方法に
従って求めたものである。
【0015】また、酵素反応のpHは5.0〜8.5、
望ましくは7.0〜8.0であり、また温度は20〜5
0℃、望ましくは35〜45℃であり、また時間は1〜
30時間、望ましくは8〜24時間である。
【0016】このようにして得られた反応液から、目的
とするエピガロカテキンガレート誘導体の分離は、通常
のカテキン類化合物の単離方法を採用すれば良い。即
ち、セファデックスLH−20等のデキストラン誘導体
を担体とするクロマトグラフィー法[R.S.Tomp
son 等著、J.Chem.Soc.Perkin
I,No.11,1387(1972)]、ポリアミド
を担体とするカラムクロマトグラフィー法[J.P.V
an Buren 等著、J.Food Sci.,v
ol.31.964(1966)]、シリカゲルを用い
る液体クロマトグラフィ−法[C.William G
lennie 等著、J.Agric.Food Ch
em.,vol.29.965〜968(198
1)]、水と酢酸エチル間の向流分配による方法[An
drew G.H.Lea 著、J.Sci.Fd A
gric.,vol.29.471〜477(197
8)]、ポリスチレン系樹脂、例えばダイヤイオン、H
P20、HP21、SP206、SP207、SP85
0、CHP3C、CHP5C、CHP20P(以上何れ
も三菱化成工業社製)、アンバーライトXAD−1、X
AD−2、XAD−4(以上何れもオルガノ社製)を用
いたクロマトグラフィ−法[特開昭63−16268
5]、あるいは限外濾過膜や逆浸透膜を用いて分画する
方法[特開昭63−267774]が挙げられる。これ
らは単独、または組合わせることにより目的とするエピ
ガロカテキンガレート誘導体を分離することができる。
例えば、濾過樹脂(例えばファルマシア社製、セファデ
ックスLH−20)を充填したカラムに通液し、次いで
水を通液して未反応の糖、酵素(蛋白質)等を除去し、
次いでエタノールの濃度勾配溶液を通液することによっ
て、未反応のエピガロカテキンガレート及びエピガロカ
テキンガレート誘導体を溶出し、これをシリカゲルを用
いる液体クロマトグラフィー(例えば、資生堂社製、C
APCELL PAK C18)に掛け、メタノール溶液
を通液することによって目的とするエピガロカテキンガ
レート誘導体画分を取得する。
【0017】
【本発明の効果】本発明によれば、グルコース−1−リ
ン酸又はシュークロースと、エピガロカテキンガレート
とを含有する溶液に加リン酸分解酵素シュークロースホ
スホリラーゼを添加作用させるという極めて簡単な操作
によって、エピガロカテキンガレートの本来有する優れ
た生理活性をそのまま保持し、かつ易溶解性と色沢安定
性を有し、さらに肝斑や雀斑等の原因となるメラニン色
素の生成に関与するチロシナーゼの酵素作用を阻害して
優れた美白効果を発揮する新規なエピガロカテキンガレ
ート誘導体を提供することができる。
【0018】以下、実施例を示して本発明をより具体的
に説明する。
【実施例1】(−)−エピガロカテキンガレート(栗田
工業社販売)200mgを1mlのメタノールに溶解
し、これを100mM HEPES(pH7.5)緩衝
液に400mg/mlの濃度に溶解したシュークロース
溶液100mlに混合し、これにシュークロースホスホ
リラーゼ(キッコーマン社製)4500単位を添加し、
42℃24時間反応させ、糖化合物生成反応を行い、次
いで、100℃、5分間加熱処理して酵素反応を停止し
酵素反応終了液を得た。この反応終了液の高速液体クロ
マトグラフィ−(HPLC)分析の結果を図1に示す。
【0019】図1の結果から、反応終了液には、(−)
−エピガロカテキンガレートと2種類の(−)−エピガ
ロカテキンガレート誘導体1および同誘導体2が含まれ
ていることが確認できる。図1に示したように、先に溶
出される2つのピークの画分は(−)−エピガロカテキ
ンガレート誘導体であり、後に溶出されるピークの画分
は(−)−エピガロカテキンガレートである。
【0020】図2にHPLC分析による酵素反応におけ
る(−)−エピガロカテキンガレート誘導体1(G−
I)及び同誘導体2(G−2)転移率の経時的変化の様
子を示す。図2の縦軸に示される転移率は、反応に用い
た(−)−エピガロカテキンガレートのモル数に対する
生成した(−)−エピガロカテキンガレート誘導体のモ
ル数(HPLCのピーク面積より算出した)の%で表し
た。
【0021】(高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)分析の条件) カラム;CAPCELL PAK C18 SG120、
内径 4.6mm、長さ 250mm 流速;1ml/分 移動相;アセトニトリル:酢酸エチル:0.05%リン
酸=12:2:86 検出波長;280nm
【0022】次に、得られた反応液をセファデックスL
H−20カラム(内径3センチ、長さ30センチ)に流
速2ml/minで通液し、水を通液して未反応の糖及び蛋白
質(酵素)を洗い流した後、エタノール40〜70%溶
液(各500ml)を濃度勾配法にて通流させて、2種類
の目的とするエピガロカテキンガレート誘導体を含有す
る溶液を得た。
【0023】このようにして、2種類の目的とするエピ
ガロカテキンガレート誘導体を含有する溶液は、次いで
逆相系の分配吸着クロマトグラフィ−であるCAPCE
LLPAK C18 SG120カラム(内径2センチ、
長さ25センチ)に供し、メタノ−ル20%溶液を通流
させて、目的とする2種類の(−)−エピガロカテキン
ガレート誘導体1及び同誘導体2の溶液を得、これをロ
ータリーエバポレーターにより減圧濃縮を行い、次いで
凍結乾燥を行い、25mgの(−)−エピガロカテキン
ガレート誘導体1粉末、及び54mgの(−)−エピガ
ロカテキンガレート誘導体2粉末を得た。
【0024】上記粉末を高速液体クロマトグラフィー
(CAPCELL PAK C18)による分析を行い、
各々の誘導体の純度を測定したところ、いずれも95%
以上であった。
【0025】また、その構造を以下の核磁気共鳴分析、
マススペクトル分析、UVスペクトル分析及びIRスペ
クトル分析の各分析方法によって測定したところ、
(−)−エピガロカテキンガレート誘導体1(以下、E
GCgG−1と略記する)は(−)−エピガロカテキン
ガレート 4′−O−α−D−グルコピラノシドシドで
あり、(−)−エピガロカテキンガレート誘導体2(以
下、EGCgG−2と略記する)は(−)−エピガロカ
テキンガレート 4′,4”−O−α−D−ジ−グルコ
ピラノシドシドであることが確認された。即ち、上記E
GCgG−1粉末をアセトンに溶解し、核磁気共鳴分析
により構造の解析をしたところ、構成成分はグルコース
1分子と(−)−エピガロカテキンガレート1分子であ
ることを確認した。そして、グルコースの1位と(−)
−エピガロカテキンガレートの4′位がα結合している
ことが判明した。また、EGCgG−2粉末をアセトン
に溶解し、核磁気共鳴分析により構造の解析をしたとこ
ろ、構成成分はグルコース2分子と(−)−エピガロカ
テキンガレート1分子であることを確認した。そして、
(−)−エピガロカテキンガレートの4’及び4”位が
それぞれグルコースの1位と結合していることが判明し
た。EGCgG−1の化学構造式を(化4)として以下
に示す。
【化4】 EGCgG−2の化学構造式を(化5)として以下に示
す。
【化5】 EGCgG−1の1H−NMR(200MHz)のスペ
クトルを図3に、また、13C−NMR(50MHz)の
結果を図4に示す。EGCgG−2の1H−NMR(2
00MHz)のスペクトルを図5に、また、13C−NM
R(50MHz)の結果を図6に示す。
【0026】さらにまた、マススペクトルにより分子量
がEGCgG−1は620(図7)、EGCgG−2は
782(図8)であることを確認した。
【0027】次に本発明の方法で得られた誘導体を常法
に従ってUV及びIRスペクトルを調べた結果、EGC
gG−1はそれぞれ図9、図10が、EGCgG−2は
それぞれ図11、図12が得られた。UVスペクトルは
検体を蒸留水に溶解して測定し、IRスペクトルはKB
r法により測定した。これらの結果からも、EGCgG
−1は(−)−エピガロカテキンガレート4′−O−α
−D−グルコピラノシドシド、EGCgG−2は(−)
−エピガロカテキンガレート 4′,4”−O−α−D
−ジ−グルコピラノシドシドであることが確認された。
【0028】
【実施例2】(−)−エピガロカテキンガレート200
mgを1mlのメタノールに溶解し、これを100mM
HEPES(pH7.5)緩衝液に200mg/ml
の濃度に溶解したグルコース−1−リン酸溶液100m
lに混合し、これにシュークロースホスホリラーゼ(盛
進製薬社製)4500単位を添加し、42℃15時間反
応させ、糖化合物生成反応を行い、次いで、100℃、
5分間加熱処理して酵素反応を停止し酵素反応処理液を
得た。以下、上記実施例1と全く同様にして、(−)−
エピガロカテキンガレート4′−O−α−D−グルコピ
ラノシドシド粉末を22mg、(−)−エピガロカテキ
ンガレート 4′,4”−O−α−D−ジ−グルコピラ
ノシドシド粉末を51mg得た。
【0029】
【応用例1】 (EGCgG−1,EGCgG−2の抗光酸化性試験)
純水にリボフラビンを20ppmとなるように溶解し、
これを1mlづつ4区分用意し、第1区分に(−)−エ
ピガロカテキンガレート(以下、EGCgと略記する)
を、第2区分にEGCgG−1を、第3区分にはEGC
gG−2を、各々2500ppmの濃度になるように溶
解し、また、第4区分には何も添加せずに、それぞれ蛍
光灯(27W)5cm直下により可視光線19500ル
クス、紫外線強度(310〜400nm)0.20mW
/cm2の条件で照射し、経時的にサンプルの一部を採
取しこれをHPLCにより非分解のリボフラビンを定量
した。その結果を図13に示す。
【0030】(HPLC分析の条件) カラム;CAPCELL PAK C18 SG120、
内径 4.6mm、長さ 250mm 流速;1ml/分 移動相;メタノール:10mMNaH2PO4(pH5.
5)=35:65 検出波長;266nm
【0031】図13の結果から、なにも添加しない区分
4(無添加区)では、リボフラビンが急激に分解消失す
るが、EGCgを添加した区分と共にEGCgG−1を
添加した区分及びEGCgG−2を添加した区分3、リ
ボフラビンが殆ど分解されずに安定であることが判る。
即ち、EGCgG−1及びEGCgG−2は、EGCg
と比べ、抗光酸化性において全く遜色ないことが判る。
【0032】
【応用例2】 (EGCgG−1、EGCgG−2の色沢安定性試験)
純水を3mlづつ3区分用意し、第1区分にEGCg
を、第2区分にEGCgG−1を、第3区分にEGCg
G−2をそれぞれ1000ppmの濃度になるように溶
解し、上記応用例1と同様な条件で蛍光灯照射を行な
い、経時的にサンプルの一部を採取しこれを420nm
の吸光度の増加により着色の程度を測定した。その結果
を図14に示す。
【0033】図14の結果から、EGCgを溶解した区
分は時間の経過と共に茶褐色化し、色の安定性が非常に
悪いが、これに対しEGCgG−1及びEGCgG−2
を溶解した区分では色沢が安定であることが判る。
【0034】
【応用例3】 (EGCgG−1,EGCgG−2の水溶解性試験)E
GCg、EGCgG−1、及びEGCgG−2をそれぞ
れ図15、16の各濃度となるように純水に溶解し、こ
れを0.45μmのフィルターを通過した液の量をHP
LCにて定量した。その結果を図15、16に示す。
【0035】図15、16の結果から、EGCgは20
mg/ml程度しか水に溶解しないのに対し、EGCg
G−1は500mg/ml、EGCgG−2は1000
mg/mlも溶解し、実用に際して著しく便利となるこ
とが判る。
【0036】
【応用例4】 (EGCgG−1及びEGCgG−2のチロシナーゼ活
性阻害効果)上記実施例1で得られたEGCgG−1及
びEGCgG−2の試験管内(インビトロ)でのチロシ
ナーゼ活性阻害効果を調べた。試験方法として、基本的
には特開平4ー45791号公報に準じて行ない、チロ
シナーゼ(シグマ社製、マッシュルーム起源)によるL
−チロシン(0.1%(w/v))から生成されるドー
パクロム(最大吸収波長475nm)を5mM各種EG
Cg誘導体存在下で測定した。その結果を図17に示
す。
【0037】図17の結果から、EGCg誘導体を含ま
ないコントロールの区分はチロシナーゼの作用によりL
−チロシンが減少して反対にドーパクロム量が増加し時
間の経過と共に吸光度が増大している。一方、本発明の
EGCgG−1及びEGCgG−2を含む区分は該物質
の存在によって、チロシナーゼの作用が阻害されるの
で、反応生成物であるドーパクロムに由来する吸光度の
増加は低く抑えられ、EGCgG−1及びEGCgG−
2はチロシナーゼ活性阻害効果を有することが判明し
た。チロシナーゼ溶液添加時より10分後の吸光度をか
ら、活性阻害率は、EGCgG−1では91.8%、E
GCgG−2では62.0%と非常に高い値であった。
本発明によって得られるEGCgG−1及びEGCgG
−2はチロシナーゼ活性阻害作用を有し、美白化粧料の
有効な成分として利用できることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたEGCg、EGCgG−1
及びEGCgG−2を含む酵素反応終了液のHPLC分
析の結果を示す。
【図2】HPLC分析により求めた、実施例1の酵素反
応における(−)−エピガロカテキンガレ−ト誘導体1
(G−1)及び同誘導体2(G−2)の転移率の経時的
変化の結果を示す。
【図3】EGCgG−1の1H−核磁気共鳴スペクトル
(200MHz)(Acetone−d6)を示す。
【図4】EGCgG−1の13C−核磁気共鳴スペクトル
(50MHz)(Acetone−d6)を示す。
【図5】EGCgG−2の1H−核磁気共鳴スペクトル
(200MHz)(Acetone−d6)を示す。
【図6】EGCgG−2の13C−核磁気共鳴スペクトル
(50MHz)(Acetone−d6)を示す。
【図7】EGCgG−1のマススペクトルを示す。
【図8】EGCgG−2のマススペクトルを示す。
【図9】EGCgG−1を蒸留水に溶解した時のUVス
ペクトルを示す。
【図10】EGCgG−1のKBr法によるIRスペク
トルを示す。
【図11】EGCgG−2を蒸留水に溶解した時のUV
スペクトルを示す。
【図12】EGCgG−2のKBr法によるIRスペク
トルを示す。
【図13】EGCg、EGCgG−1、及びEGCgG
−2の抗光酸化性試験の結果を示す。
【図14】EGCg、EGCgG−1、及びEGCgG
−2の水溶液中での経時的色沢安定性を示す。
【図15】EGCg、EGCgG−1、及びEGCgG
−2の蒸留水に対する溶解性(0〜30mg/ml)の
結果を示す。
【図16】EGCg、EGCgG−1、及びEGCgG
−2の蒸留水に対する溶解性(0〜1600mg/m
l)の結果を示す。
【図17】EGCgG−1、及びEGCgG−2のチロ
シナーゼ活性阻害に関する経時的変化を示す。
【化3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 19/00 C12P 19/00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/00 - 23/00 A61K 7/00 - 48/00 C12P 19/00 - 19/64 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、R1〜R8の少なくとも1つはD−グルコピラノ
    ース残基または重合度2〜8のマルトオリゴ糖残基を示
    し、他は各々独立にH、Cl、CH3、C25、C
    37、C1531COまたはC1735COを示す)で表さ
    れるエピガロカテキンガレート誘導体。
JP5178479A 1993-06-28 1993-06-28 エピガロカテキンガレート誘導体 Expired - Lifetime JP3071610B2 (ja)

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