JP3069135B2 - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
光磁気記録媒体の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体に関
し、特に400nm程度の短波長光源により記録再生が
可能な高密度光磁気記録媒体の製造方法に関するもので
ある。
し、特に400nm程度の短波長光源により記録再生が
可能な高密度光磁気記録媒体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体は、記録、消去が何度で
も行える、書き換え可能な磁性層をそなえた高密度光磁
気記録媒体として研究開発が活発に行われている。
も行える、書き換え可能な磁性層をそなえた高密度光磁
気記録媒体として研究開発が活発に行われている。
【0003】このような光磁気記録媒体の磁性層を構成
する光磁気記録材料のなかでも、希土類と遷移金属との
非晶質合金からなる膜(以下、単にRE−TM膜と称す
る)は、磁化方向が膜面に対して垂直に配向した垂直磁
化膜となること、保磁力が数kOeと大きいこと、スパ
ッタリング、真空蒸着またはその他の被膜技術で比較的
容易に成膜が可能であること等の点で、最も研究が進み
実用化が進んでいる。
する光磁気記録材料のなかでも、希土類と遷移金属との
非晶質合金からなる膜(以下、単にRE−TM膜と称す
る)は、磁化方向が膜面に対して垂直に配向した垂直磁
化膜となること、保磁力が数kOeと大きいこと、スパ
ッタリング、真空蒸着またはその他の被膜技術で比較的
容易に成膜が可能であること等の点で、最も研究が進み
実用化が進んでいる。
【0004】このようなRE−TM膜を用いた光磁気記
録媒体では、磁性層が垂直磁化膜であることから108
ビット/cm2 という極めて高密度な記録が可能であ
る。このRE−TM膜を用いた光磁気記録媒体の光源と
しては、一般に、波長が780nmの半導体レーザーが
使用されている。このRE−TM膜を用いた光磁気記録
媒体よりもさらに高い記録密度を達成するためには40
0nm程度の短波長光源が有力なものとして注目されて
いる。しかしながら、上記のRE−TM膜では短波長に
おける光磁気特性は良好なものでない。
録媒体では、磁性層が垂直磁化膜であることから108
ビット/cm2 という極めて高密度な記録が可能であ
る。このRE−TM膜を用いた光磁気記録媒体の光源と
しては、一般に、波長が780nmの半導体レーザーが
使用されている。このRE−TM膜を用いた光磁気記録
媒体よりもさらに高い記録密度を達成するためには40
0nm程度の短波長光源が有力なものとして注目されて
いる。しかしながら、上記のRE−TM膜では短波長に
おける光磁気特性は良好なものでない。
【0005】そこで、400nm程度の短波長において
優れた光磁気特性を有する新しい光磁気記録媒体とし
て、最近、Co/PtまたはCo/Pd多層膜を用いた
光磁気記録材料が報告されている。このような文献とし
て例えば、電気学会全国大会,1990年4月,S.1
7−13〜S.17−16「Co/Pt,Co/Pd多
層膜光磁気記録媒体」橋本俊一他、があった。該文献に
は、Co/PtまたはCo/Pd多層膜の光磁気的性質
について、報告されており、その極薄膜において優れた
光磁気記録材料になる可能性があることが示唆されてい
る。
優れた光磁気特性を有する新しい光磁気記録媒体とし
て、最近、Co/PtまたはCo/Pd多層膜を用いた
光磁気記録材料が報告されている。このような文献とし
て例えば、電気学会全国大会,1990年4月,S.1
7−13〜S.17−16「Co/Pt,Co/Pd多
層膜光磁気記録媒体」橋本俊一他、があった。該文献に
は、Co/PtまたはCo/Pd多層膜の光磁気的性質
について、報告されており、その極薄膜において優れた
光磁気記録材料になる可能性があることが示唆されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Co/
PtまたはCo/Pd多層膜を光磁気記録媒体として使
用する場合には、保磁力(Hc)が数百Oeと小さいた
めに、記録情報の安定性が悪く、またC/N等が小さく
実用的ではなかった。このようなCo/PtまたはCo
/Pd多層膜の保磁力を改善するための方法として、成
膜条件(例えば、スパッタ時のガス圧、基板処理、下地
膜、成膜方法)によって保磁力を改善する余地があるこ
とが前記文献によって示唆されていた。
PtまたはCo/Pd多層膜を光磁気記録媒体として使
用する場合には、保磁力(Hc)が数百Oeと小さいた
めに、記録情報の安定性が悪く、またC/N等が小さく
実用的ではなかった。このようなCo/PtまたはCo
/Pd多層膜の保磁力を改善するための方法として、成
膜条件(例えば、スパッタ時のガス圧、基板処理、下地
膜、成膜方法)によって保磁力を改善する余地があるこ
とが前記文献によって示唆されていた。
【0007】ところで、下地膜による方法は、膜を厚く
した場合には保磁力は3.0kOe程度となるが、光磁
気記録媒体においてはディスクを高速で回転する必要が
あることや、記録時のレーザーの出力を抑える必要があ
ること、さらには、これらの多層膜が1000Å程度以
上の膜厚においては角形比が低下し磁気特性が悪化する
といったことから、光磁気記録媒体として使用する場合
には膜厚を厚くすることができない。
した場合には保磁力は3.0kOe程度となるが、光磁
気記録媒体においてはディスクを高速で回転する必要が
あることや、記録時のレーザーの出力を抑える必要があ
ること、さらには、これらの多層膜が1000Å程度以
上の膜厚においては角形比が低下し磁気特性が悪化する
といったことから、光磁気記録媒体として使用する場合
には膜厚を厚くすることができない。
【0008】そして、前記の成膜条件では、優れた光磁
気特性および光磁気ディスクに使用可能な条件である透
明な下地膜といった点を考慮した場合には、保磁力は通
常数百Oeと小さく、大きくてもせいぜい1.0kOe
程度が実現可能な値であった。このように、光磁気記録
媒体としてCo/PtまたはCo/Pd多層膜を使用す
るにはまだ保磁力は不十分であり、さらに増大させる必
要があった。
気特性および光磁気ディスクに使用可能な条件である透
明な下地膜といった点を考慮した場合には、保磁力は通
常数百Oeと小さく、大きくてもせいぜい1.0kOe
程度が実現可能な値であった。このように、光磁気記録
媒体としてCo/PtまたはCo/Pd多層膜を使用す
るにはまだ保磁力は不十分であり、さらに増大させる必
要があった。
【0009】本発明は、以上述べたような従来技術の課
題を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは保磁力が大きく、しかも、高い記録密度を達成可
能な400nm程度の短波長領域において優れた光磁気
特性を持つ、高密度光磁気記録媒体の製造方法を提供す
ることにある。
題を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは保磁力が大きく、しかも、高い記録密度を達成可
能な400nm程度の短波長領域において優れた光磁気
特性を持つ、高密度光磁気記録媒体の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は、〔1〕 基板に、垂直磁化膜としての、Co/Pt多層膜
またはCo/Pd多層膜を設け、さらにこの上に酸化制
御層を設け、これを熱処理の温度Tが150℃≦T≦3
00℃である熱処理を施すようにしたものである。
めに本発明は、〔1〕 基板に、垂直磁化膜としての、Co/Pt多層膜
またはCo/Pd多層膜を設け、さらにこの上に酸化制
御層を設け、これを熱処理の温度Tが150℃≦T≦3
00℃である熱処理を施すようにしたものである。
【0011】〔2〕上記〔1〕の光磁気記録媒体の製造
方法において、前記Co/Pt多層膜およびCo/Pd
多層膜の膜厚:Dが、30Å≦D≦1000Åであり、
また、Co層厚(dco),Pt層厚(dpt),Pd層厚
(dpd)が、それぞれ、1Å≦dco≦15Å,2Å≦d
pt≦30Å,2Å≦dpd≦30Åとなるようにしたもの
である。
方法において、前記Co/Pt多層膜およびCo/Pd
多層膜の膜厚:Dが、30Å≦D≦1000Åであり、
また、Co層厚(dco),Pt層厚(dpt),Pd層厚
(dpd)が、それぞれ、1Å≦dco≦15Å,2Å≦d
pt≦30Å,2Å≦dpd≦30Åとなるようにしたもの
である。
【0012】〔3〕上記〔1〕の光磁気記録媒体の製造
方法において、前記酸化制御層としてPtまたはPdか
らなる薄膜を用いるようにしたものである。
方法において、前記酸化制御層としてPtまたはPdか
らなる薄膜を用いるようにしたものである。
【0013】
【作用】本発明において、基板に、垂直磁化膜として
の、Co/Pt多層膜またはCo/Pd多層膜を熱処理
することにより、さらに保磁力を増大させることができ
る。
の、Co/Pt多層膜またはCo/Pd多層膜を熱処理
することにより、さらに保磁力を増大させることができ
る。
【0014】本発明において、酸化制御層は、Co/P
t多層膜またはCo/Pd多層膜の酸化量を制御できる
ものであり、この層が無いと加熱処理したときに、記録
層であるCo/Pt多層膜またはCo/Pd多層膜が過
度に酸化され、記録層が非磁性になってしまう。
t多層膜またはCo/Pd多層膜の酸化量を制御できる
ものであり、この層が無いと加熱処理したときに、記録
層であるCo/Pt多層膜またはCo/Pd多層膜が過
度に酸化され、記録層が非磁性になってしまう。
【0015】
【実施例1】図1に、本発明の実施例1の光磁気記録媒
体の断面図を概略的に示している。ガラス基板上に、コ
バルトCoの薄膜と白金Ptの薄膜が交互に積層され
た、膜厚250ÅのCo/Pt多層膜が記録層として被
着されている。この記録層上に、膜厚500ÅのPtの
薄膜が酸化制御層として被着されている。Co/Pt多
層膜においてはCo層厚:4.7Å、Pt層厚:12.
0Åとなっている。
体の断面図を概略的に示している。ガラス基板上に、コ
バルトCoの薄膜と白金Ptの薄膜が交互に積層され
た、膜厚250ÅのCo/Pt多層膜が記録層として被
着されている。この記録層上に、膜厚500ÅのPtの
薄膜が酸化制御層として被着されている。Co/Pt多
層膜においてはCo層厚:4.7Å、Pt層厚:12.
0Åとなっている。
【0016】次に、本実施例1の光磁気記録媒体の製造
方法を説明する。基板としてガラスを用意し、この基板
上に、CoとPtをターゲットとしてスパッタリング装
置によりCoとPtとの薄膜を交互に積層し、Co/P
t多層膜の膜厚250Åとなるように形成した。次に、
Ptをスパッタリングにより膜厚500Åとなるように
被着させた。このようにして得られた基板被着体を、大
気中において250℃,30分間熱処理して、光磁気記
録媒体を得た。
方法を説明する。基板としてガラスを用意し、この基板
上に、CoとPtをターゲットとしてスパッタリング装
置によりCoとPtとの薄膜を交互に積層し、Co/P
t多層膜の膜厚250Åとなるように形成した。次に、
Ptをスパッタリングにより膜厚500Åとなるように
被着させた。このようにして得られた基板被着体を、大
気中において250℃,30分間熱処理して、光磁気記
録媒体を得た。
【0017】図3は、上記製造方法によって得られた、
光磁気記録媒体の膜の熱処理前後における、磁気特性の
変化を表した磁化曲線を示す。図3(a)は熱処理前の
磁化曲線であり、図3(b)は前記のとおりの250
℃,30分間熱処理を行った後の磁化曲線である。この
図3からは、基板−Co/Pt多層膜−Pt薄膜からな
る基板被着体を上記のように熱処理を施すことにより、
熱処理前の保磁力が0.2kOe程度であったものが、
熱処理後には2kOeと増大しているのが分かる。
光磁気記録媒体の膜の熱処理前後における、磁気特性の
変化を表した磁化曲線を示す。図3(a)は熱処理前の
磁化曲線であり、図3(b)は前記のとおりの250
℃,30分間熱処理を行った後の磁化曲線である。この
図3からは、基板−Co/Pt多層膜−Pt薄膜からな
る基板被着体を上記のように熱処理を施すことにより、
熱処理前の保磁力が0.2kOe程度であったものが、
熱処理後には2kOeと増大しているのが分かる。
【0018】図5に、この光磁気記録媒体について光磁
気性能数〔(√R)・θK〕の測定を行なった結果を示
す。比較のために従来の光磁気記録媒体(RE−TM
膜)であるTb22Fe67Co11についても同じ測定を行
った。図5から分かるように、Co/Pt多層膜は短波
長領域(400nm程度)において、従来のRE−TM
膜を用いた光磁気記録媒体よりも高い性能指数を示して
いることが分かる。
気性能数〔(√R)・θK〕の測定を行なった結果を示
す。比較のために従来の光磁気記録媒体(RE−TM
膜)であるTb22Fe67Co11についても同じ測定を行
った。図5から分かるように、Co/Pt多層膜は短波
長領域(400nm程度)において、従来のRE−TM
膜を用いた光磁気記録媒体よりも高い性能指数を示して
いることが分かる。
【0019】図7に、記録層として膜厚250ÅのCo
/Pt多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pt薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理温度に対する
保磁力を測定し、その関係を示す。ここで、熱処理時間
をすべて30分とした。図7から分かるように、熱処理
温度を250℃とした場合に、保磁力は最大となってい
る。
/Pt多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pt薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理温度に対する
保磁力を測定し、その関係を示す。ここで、熱処理時間
をすべて30分とした。図7から分かるように、熱処理
温度を250℃とした場合に、保磁力は最大となってい
る。
【0020】図9に、記録層として膜厚250ÅのCo
/Pt多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pt薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理時間に対する
保磁力を測定し、その関係をグラフとして示す。熱処理
温度を200℃、250℃、300℃の場合について行
なった。図9から分かるように、熱処理時間を30分以
上とした場合に最大の保磁力が得られることが分かる。
/Pt多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pt薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理時間に対する
保磁力を測定し、その関係をグラフとして示す。熱処理
温度を200℃、250℃、300℃の場合について行
なった。図9から分かるように、熱処理時間を30分以
上とした場合に最大の保磁力が得られることが分かる。
【0021】さらに、酸化制御層であるPt薄膜の膜厚
と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を図11に示
す。Pt膜厚が3000Å以上においては熱処理温度を
500℃以上とする必要があり、この場合には多層膜の
積層構造が乱れたものとなってしまい磁気特性は悪化し
てしまう。また、熱処理温度が150℃未満ではPt薄
膜の膜厚を0Åとしても保磁力の増大は見られない。
と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を図11に示
す。Pt膜厚が3000Å以上においては熱処理温度を
500℃以上とする必要があり、この場合には多層膜の
積層構造が乱れたものとなってしまい磁気特性は悪化し
てしまう。また、熱処理温度が150℃未満ではPt薄
膜の膜厚を0Åとしても保磁力の増大は見られない。
【0022】
【実施例2】図2に、本発明の実施例2の光磁気記録媒
体の断面図を概略的に示している。ガラス基板上にコバ
ルトCoの薄膜と白金Ptの薄膜が交互に積層された膜
厚250ÅのCo/Pd多層膜が記録層として被着され
ている。この記録層上に、膜厚500ÅのPdの薄膜が
酸化制御層として被着されている。Co/Pd多層膜に
おいてはCo層厚:4.7Å、Pd層厚:12.0Åと
なっている。
体の断面図を概略的に示している。ガラス基板上にコバ
ルトCoの薄膜と白金Ptの薄膜が交互に積層された膜
厚250ÅのCo/Pd多層膜が記録層として被着され
ている。この記録層上に、膜厚500ÅのPdの薄膜が
酸化制御層として被着されている。Co/Pd多層膜に
おいてはCo層厚:4.7Å、Pd層厚:12.0Åと
なっている。
【0023】次に、本実施例2の光磁気記録媒体の製造
方法を説明する。実施例1と同じように、基板としてガ
ラスを用意し、この基板上にCoとPdをターゲットと
してスパッタリング装置によりCoとPdとの薄膜を交
互に積層し、Co/Pd多層膜の膜厚250Åとなるよ
うに形成した。次に、この上にPdをスパッタリングに
より膜厚500Åとなるように被着させた。このように
して得られた、基板被着体を大気中において、250
℃,30分間熱処理を施して光磁気記録媒体を得た。
方法を説明する。実施例1と同じように、基板としてガ
ラスを用意し、この基板上にCoとPdをターゲットと
してスパッタリング装置によりCoとPdとの薄膜を交
互に積層し、Co/Pd多層膜の膜厚250Åとなるよ
うに形成した。次に、この上にPdをスパッタリングに
より膜厚500Åとなるように被着させた。このように
して得られた、基板被着体を大気中において、250
℃,30分間熱処理を施して光磁気記録媒体を得た。
【0024】図4は、上記製造方法によって得られた、
光磁気記録媒体の膜の熱処理前後における、磁気特性の
変化を表した磁化曲線を示す。図4(a)は熱処理前の
磁化曲線であり、図4(b)は前記のとおりの250
℃,30分間熱処理を行った後の磁化曲線である。この
図4(a),(b)からは、基板−Co/Pd多層膜−
Pd薄膜からなる基板被着体を上記のように熱処理を施
すことにより、加熱処理前の保磁力が0.5kOe程度
であったものが、加熱処理後には3kOeと増大してい
るのが分かる。
光磁気記録媒体の膜の熱処理前後における、磁気特性の
変化を表した磁化曲線を示す。図4(a)は熱処理前の
磁化曲線であり、図4(b)は前記のとおりの250
℃,30分間熱処理を行った後の磁化曲線である。この
図4(a),(b)からは、基板−Co/Pd多層膜−
Pd薄膜からなる基板被着体を上記のように熱処理を施
すことにより、加熱処理前の保磁力が0.5kOe程度
であったものが、加熱処理後には3kOeと増大してい
るのが分かる。
【0025】図6に、この光磁気記録媒体について光磁
気性能数〔(√R)・θK〕の測定を行なった結果を示
す。比較のために従来の光磁気記録媒体(RE−TM
膜)であるTb22Fe67Co11についても同じ測定を行
った。図6から分かるように、Co/Pd多層膜は短波
長領域(400nm程度)において、従来のRE−TM
膜を用いた光磁気記録媒体よりも高い性能指数を示して
いることが分かる。
気性能数〔(√R)・θK〕の測定を行なった結果を示
す。比較のために従来の光磁気記録媒体(RE−TM
膜)であるTb22Fe67Co11についても同じ測定を行
った。図6から分かるように、Co/Pd多層膜は短波
長領域(400nm程度)において、従来のRE−TM
膜を用いた光磁気記録媒体よりも高い性能指数を示して
いることが分かる。
【0026】図8に、記録層として膜厚250ÅのCo
/Pd多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pd薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理温度に対する
保磁力を測定し、その関係を示す。ここで、熱処理時間
はすべて30分とした。図8から分かるように、熱処理
温度を250℃とした場合に、保磁力は最大となってい
る。
/Pd多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Åの
Pd薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理温度に対する
保磁力を測定し、その関係を示す。ここで、熱処理時間
はすべて30分とした。図8から分かるように、熱処理
温度を250℃とした場合に、保磁力は最大となってい
る。
【0027】図10に、記録層として膜厚250ÅのC
o/Pd多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Å
のPd薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理時間に対す
る保磁力を測定し、その関係を示す。熱処理温度を20
0℃、250℃、300℃の場合について行なった。図
10から分かるように、熱処理時間を30分以上とした
場合に、最大の保磁力が得られることが分かる。
o/Pd多層膜を用い、酸化制御層として膜厚500Å
のPd薄膜を用いた光磁気記録媒体の熱処理時間に対す
る保磁力を測定し、その関係を示す。熱処理温度を20
0℃、250℃、300℃の場合について行なった。図
10から分かるように、熱処理時間を30分以上とした
場合に、最大の保磁力が得られることが分かる。
【0028】さらに、酸化制御層であるPd薄膜の膜厚
と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を図12に示
す。Pd膜厚が3000Å以上においては熱処理温度を
500℃以上とする必要があり、この場合には多層膜の
積層構造が乱れたものとなってしまい磁気特性は悪化し
てしまう。また、熱処理温度が150℃未満ではPd薄
膜の膜厚を0Åとしても保磁力の増大は見られない。
と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を図12に示
す。Pd膜厚が3000Å以上においては熱処理温度を
500℃以上とする必要があり、この場合には多層膜の
積層構造が乱れたものとなってしまい磁気特性は悪化し
てしまう。また、熱処理温度が150℃未満ではPd薄
膜の膜厚を0Åとしても保磁力の増大は見られない。
【0029】以上、本発明の実施例を詳細に説明した
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、前記実施例においては酸化制御層としてPt薄
膜またはPd薄膜を使用したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、Co/Pt多層膜およびCo/Pd
多層膜の熱処理(150℃≦T≦300℃)における酸
化量を制御できるものであればすべての膜が使用可能で
ある。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、前記実施例においては酸化制御層としてPt薄
膜またはPd薄膜を使用したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、Co/Pt多層膜およびCo/Pd
多層膜の熱処理(150℃≦T≦300℃)における酸
化量を制御できるものであればすべての膜が使用可能で
ある。
【0030】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明
は、基板に、垂直磁化膜としての、Co/Pt多層膜ま
たはCo/Pd多層膜を設け、さらにこの上に酸化制御
層を設け、これを熱処理して光磁気記録媒体を製造した
ので、この方法よって得られた光磁気記録媒体は、保磁
力が大きく、かつ高密度記録が可能な短波長領域(40
0nm程度)において優れた光磁気特性を有する垂直磁
化膜を有する。従って、本発明の光磁気記録媒体は、高
密度の情報を安定に記録再生することが可能である。
は、基板に、垂直磁化膜としての、Co/Pt多層膜ま
たはCo/Pd多層膜を設け、さらにこの上に酸化制御
層を設け、これを熱処理して光磁気記録媒体を製造した
ので、この方法よって得られた光磁気記録媒体は、保磁
力が大きく、かつ高密度記録が可能な短波長領域(40
0nm程度)において優れた光磁気特性を有する垂直磁
化膜を有する。従って、本発明の光磁気記録媒体は、高
密度の情報を安定に記録再生することが可能である。
【図1】本発明の実施例1の光磁気記録媒体の断面図を
概略的に示す。
概略的に示す。
【図2】本発明の実施例2の光磁気記録媒体の断面図を
概略的に示す。
概略的に示す。
【図3】実施例1における光磁気記録媒体の熱処理前お
よび熱処理後の磁化曲線を示す。
よび熱処理後の磁化曲線を示す。
【図4】実施例2における光磁気記録媒体の熱処理前お
よび熱処理後の磁化曲線を示す。
よび熱処理後の磁化曲線を示す。
【図5】本発明の実施例1と従来の光磁気記録媒体の各
波長に対する、光磁気性能数〔(√R)・θK〕を示
す。
波長に対する、光磁気性能数〔(√R)・θK〕を示
す。
【図6】本発明の実施例2と従来の光磁気記録媒体の各
波長に対する、光磁気性能数〔(√R)・θK〕を示
す。
波長に対する、光磁気性能数〔(√R)・θK〕を示
す。
【図7】本発明の実施例1の光磁気記録媒体の各熱処理
温度に対する保磁力の関係を示す。
温度に対する保磁力の関係を示す。
【図8】本発明の実施例2の光磁気記録媒体の各熱処理
温度に対する保磁力の関係を示す。
温度に対する保磁力の関係を示す。
【図9】本発明の実施例1の光磁気記録媒体の各熱処理
時間に対する保磁力の関係を示す。
時間に対する保磁力の関係を示す。
【図10】本発明の実施例2の光磁気記録媒体の各熱処
理時間に対する保磁力の関係を示す。
理時間に対する保磁力の関係を示す。
【図11】本発明の実施例1の光磁気記録媒体の酸化制
御層の膜厚と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を
示す。
御層の膜厚と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を
示す。
【図12】本発明の実施例1の光磁気記録媒体の酸化制
御層の膜厚と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を
示す。
御層の膜厚と保磁力が最大となる熱処理温度との関係を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 佳代子 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−56752(JP,A) 特開 平2−263344(JP,A) 特開 昭61−80637(JP,A) 特開 平2−3131(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105
Claims (3)
- 【請求項1】 基板に、垂直磁化膜としての、Co/P
t多層膜またはCo/Pd多層膜を設け、さらにこの上
に酸化制御層を設け、これを熱処理の温度Tが150℃
≦T≦300℃である熱処理を施すことを特徴とする光
磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項2】 前記Co/Pt多層膜およびCo/Pd
多層膜の膜厚:Dが、30Å≦D≦1000Åであり、
また、Co層厚(dco),Pt層厚(dpt),Pd層厚
(dpd)が、それぞれ、1Å≦dco≦15Å,2Å≦d
pt≦30Å,2Å≦dpd≦30Åであることを特徴とす
る請求項1記載の光磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項3】 前記酸化制御層としてPtまたはPdか
らなる薄膜を用いたことを特徴とする請求項1記載の光
磁気記録媒体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3034174A JP3069135B2 (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 光磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3034174A JP3069135B2 (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 光磁気記録媒体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH04274039A JPH04274039A (ja) | 1992-09-30 |
JP3069135B2 true JP3069135B2 (ja) | 2000-07-24 |
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US6163509A (en) * | 1996-07-11 | 2000-12-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Magneto-optical recording medium and magneto-optical recorder using the medium |
-
1991
- 1991-02-28 JP JP3034174A patent/JP3069135B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH04274039A (ja) | 1992-09-30 |
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