JPH056589A - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の製造方法

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JPH056589A
JPH056589A JP27861791A JP27861791A JPH056589A JP H056589 A JPH056589 A JP H056589A JP 27861791 A JP27861791 A JP 27861791A JP 27861791 A JP27861791 A JP 27861791A JP H056589 A JPH056589 A JP H056589A
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magneto
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JP27861791A
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Shunichi Hashimoto
俊一 橋本
Yoshitaka Ochiai
祥隆 落合
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基板上にCo層とPt層及び/又はPd層と
が交互に積層された人工格子膜が形成されてなる光磁気
記録媒体の製造方法において、上記人工格子膜を所定の
ガス圧を有するKr雰囲気中又はXe雰囲気中でスパッ
タにより成膜する。 【目的】 基板上に直接成膜しても膜質に優れ、良好な
磁気光学特性を有する光磁気記録媒体の製造を可能にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学効果を利用し
てレーザー光等により情報の記録・再生を行う光磁気記
録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、書換え可能な高密度記録方式とし
て、半導体レーザー光等の熱エネルギーを用いて磁性薄
膜に磁区を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を用
いてこの情報を読み出す光磁気記録方式が注目されてい
る。この光磁気記録方式に使用される記録材料として
は、従来よりGd,Tb,Dy等の希土類元素とFe,
Co等の遷移元素とを組み合わせた非晶質合金膜が代表
的なものとされている。この非晶質合金膜において、特
に希土類元素としてTbを含むTbFeCo膜やGdT
bFe膜等は大きな垂直磁気異方性を示し、既に実用化
されている。
【0003】しかし、上記非晶質合金膜の構成成分であ
る希土類元素やFeは非常に酸化され易く、空気中の酸
素とも容易に結合して酸化物を形成する性質がある。こ
のため、このような酸化の進行により腐食や孔食が発生
し、記録信号の脱落を誘起する虞れがある。また、特に
希土類元素が選択的に酸化を受けると、保磁力や残留磁
気カー回転角の低下に伴ってC/N比が劣化するという
問題が生ずる。このような問題は、希土類元素を使用す
る限り免れることはできない。
【0004】これに対して、希土類元素の代わりにPt
やPd等の貴金属を使用したCo−Pt系材料、或いは
Co−Pd系材料が知られている。これらCo−Pt系
材料やCo−Pd系材料は、良好な耐食性を有してお
り、光磁気記録の分野で期待されている。近年、所定の
層厚のCo層とPt層及び/又はPd層を超格子的に積
層させた、所謂人工格子膜が提案され、400Å程度以
下の極めて薄膜とされる領域で良好な磁気光学特性を示
すことが見出されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の光磁
気記録媒体においては、耐蝕性の向上や多重反射による
カー回転角の増大を目的として、基板上に膜厚100〜
2000Å程度のSiN膜等からなる誘電層が形成され
る。しかし、製造コストの点から見ると基板上に直接記
録層を成膜する方が好ましい上、このように基板上に直
接記録層が形成されたディスク構造は、実用上重要なデ
ィスク形態であるとも言える。
【0006】このように基板上に直接記録層を成膜しよ
うとする場合、耐食性の問題から記録材料として上述の
TbFeCo膜やGdTbFe膜を使用することは不可
能である。これに対し、耐食性に優れた上記Co−Pt
系材料やCo−Pd系材料を使用すれば、実現可能と考
えられる。
【0007】ところが、Co−Pt系材料やCo−Pd
系材料により人工格子膜を成膜する際に、スパッタガス
として汎用のArガスを使用した場合、これにより得ら
れた記録層の膜質や磁気光学特性は十分なものではな
く、良好な光磁気記録媒体を得ることはできないことが
判明した。また、上記人工格子膜は、薄膜とされるため
に基板や基板上に形成された下地膜の影響を受け易い。
このため、特にポリカーボネート基板やガラス2p基板
(基板表面に凹凸を有する光硬化樹脂層が形成されたガ
ラス基板)のような高分子基板上に直接成膜する場合に
は、通常のガラス基板上に成膜する場合に比べると、膜
質や磁気光学特性が著しく劣化してしまう。
【0008】そこで本発明は、上述の従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、基板上に直接成膜しても膜質
や磁気光学特性の向上を図ることが可能な光磁気記録媒
体の製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の目的
を達成するために検討を重ねた結果、Co層とPt層及
び/又はPd層を超格子的に積層した人工格子膜をKr
雰囲気中又はXe雰囲気中で成膜すれば、良好な膜質や
磁気光学特性を有する光磁気記録媒体を形成することが
できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0010】即ち、本発明の光磁気記録媒体の製造方法
は、基板上にCo層とPt層及び/又はPd層とが交互
に積層された人工格子膜が形成されてなる光磁気記録媒
体の製造方法において、上記人工格子膜を2×10-3〜3
×10-2Torrなるガス分圧を有するKrガス及び/又はX
eガス雰囲気中でスパッタにより成膜することを特徴と
するものである。
【0011】本発明にかかる光磁気記録媒体において、
記録層は人工格子膜より構成される。この人工格子膜と
しては、Co層とPt層とを積層したCo−Pt系人工
格子膜、Co層とPd層とを積層したCo−Pd系人工
格子膜、及びCo層とPt層とPd層の三者を積層した
Co−Pt−Pd系人工格子膜が挙げられる。これら人
工格子膜の全厚は、50〜800Åの範囲とすることが
好ましい。上記人工格子膜の全厚が上記範囲から外れる
と、磁気カー回転角や保磁力が劣化する等、磁気光学特
性の低下が見られる。
【0012】特にCo−Pt系人工格子膜の場合には、
Co層2〜8Å、Pt層3〜40Å、全厚50〜400
Åであることが好ましく、かかる範囲で良好な磁気光学
特性を発揮する。勿論、これ以外の範囲、例えば層厚8
00Å以下の領域でも磁気光学特性を発揮するが、40
0Åを越えた領域では角形比が若干低下する。
【0013】同様に、Co−Pd系人工格子膜の場合に
は、Co層1〜9Å、Pd層2〜40Å、全厚50〜8
00Åで良好な磁気光学特性を発揮する。以上の層厚の
範囲は磁気光学特性を最適化する観点から設定されたも
のであり、いずれの場合も上記範囲外では面内磁化成分
が発生して磁気光学特性が劣化する。
【0014】また、Co−Pt−Pd系人工格子膜の場
合、積層構造としては、Co層とPt−Pd合金層とを
交互に積層したものであっても良いし、Co層−Pt層
−Co層−Pd層−、或いはCo層−Pt層−Pd層−
Co層−の順に積層したものであっても良い。
【0015】また、上記人工格子膜には、熱安定性を高
めたりキュリー点を下げる等の目的で各種元素を添加元
素として適宜添加しても良い。この場合、人工格子膜の
種類や添加する金属層の種類によって最適な添加元素や
添加量が異なる。
【0016】例えば、Co層とPt層が積層された人工
格子膜において、前記Co層に添加元素を加える場合、
当該Co層はCo100-x x(但し、xは置換量を原子
%で表し、Mは添加元素を表す。)で表され、添加元素
MとしてはB、C、Al、Si、P、Ti、V、Fe、
Ni、Cu、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、In、S
n、Sb、Gd、Tb、Dy、Taの少なくとも一種で
あることが好ましい。最適な置換量は、元素毎に若干異
なり、M=Alの場合0.1≦x≦7、M=Zrの場合
0.1≦x≦14、M=Si、Mo、Taの場合0.1
≦x≦20、M=Feの場合0.1≦x≦25、M=
B、C、Ti、V、Cu、Ga、Ge、Nb、In、S
nの場合0.1≦x≦30、M=Pの場合0.1≦x≦
35、M=Gd、Tb、Dyの場合0.1≦x≦40、
M=Sbの場合0.1≦x≦45、M=Niの場合0.
1≦x≦70である。
【0017】上記各元素の置換量xの下限は、0.1原
子%とされているが、これより低い場合にはキュリー点
の低減効果が現れない。また、上記各元素の置換量xの
上限は添加する元素によって7〜40原子%と異なって
いるが、これらの値より高い場合には磁気光学特性をか
えって劣化させる虞れがある。
【0018】また、上述の第3の元素をPt層に添加
し、当該Pt層の組成をPt100-x x (但し、xは置
換量を原子%で表し、0≦x≦15であり、Mは添加元
素を表す。)とすることも考えられるが、この場合は磁
気光学特性や熱安定性を改善することを目的とするので
はなく、むしろキュリー点の調節を主目的とするべきで
ある。それは、第3の元素をPt層に添加すると、一部
の例外を除いてキュリー点が上昇するとともに磁気カー
回転角が低下するからである。但し、キュリー点は記録
情報に保護の観点から無制限に低ければ良いという性質
のものではないので、もともと記録層のキュリー点が著
しく低い場合等はこのような手段により実用的な範囲ま
でこれを高めることが可能である。Pt層に添加し得る
元素としては、Co層と同様の元素の他、Cr、Mn、
Co、Zn、Y、Rh、Ag、La、Nd、Sm、E
u、Ho、Hf、W、Ir、Au、Pb、Bi等が挙げ
られる。更には、上述のPt層は任意の割合でPdに置
きかわっていても良い。
【0019】一方、Co層とPd層が積層された人工格
子膜において前記Co層に添加元素を加える場合には、
当該Co層はやはりCo100-x x (但し、xは置換量
を原子%で表し、Mは添加元素を表す。)で表され、添
加元素MとしてはP、Ti、V、Ni、Ga、Ge、
B、C、Al、Si、Fe、Cu、Zr、Nb、Mo、
In、Sn、Sb、Ta、Wの少なくとも一種であるこ
とが好ましい。この場合にも最適添加量は添加元素の種
類によって異なり、M=Zrの場合0.1≦x≦10、
M=M=P、Alの場合0.1≦x≦12、M=Sn、
Sb、Wの場合0.1≦x≦20、M=Ti、V、N
i、Ga、Ge、Nbの場合0.1≦x≦25、M=
B、C、Si、Fe、Cu、Mo、Inの場合0.1≦
x≦30、M=Taの場合0.1≦x≦40である。限
定の理由は先のCo−Pt系人工格子膜の場合と同様で
ある。
【0020】また、Pd層に添加元素を添加してもよ
く、この場合の添加元素の種類、添加量等はPt層の場
合と同様である。なお、上述の各人工格子膜を構成する
金属層の界面は、異種金属原子が互いに入り乱れずに平
坦に形成され、所謂超格子構造とされていることが理想
的であるが、界面にやや乱れを生じながらも全体として
は、一定の周期を保って組成が変動する、所謂変調構造
(組成変調構造)を有するものであっても良い。
【0021】本発明においては、上記人工格子膜をKr
ガス及び/又はXeガスが導入されたスパッタ雰囲気中
で成膜することを最大の特徴とする。上記スパッタ雰囲
気中には、Krガス又はXeガスがそれぞれ単独で導入
されていても良く、これらガスが混合されていても良
い。また、これらガスとともに、他のガスを使用しても
ある程度の効果を期待することができるが、例えばAr
ガスを混在させた場合、膜質や磁気光学特性の向上に対
する効果はArガスの導入量に比例して減少する傾向が
ある。従って、スパッタ雰囲気中には、KrガスやXe
ガスのみが導入されることが好ましい。特に、Xeガス
を使用する方がKrガスを使用する場合よりもより効果
的である。
【0022】Krガス及び/又はXeガスのスパッタ雰
囲気中におけるガス分圧は、2×10-3〜3×10-2Torrと
する。これらガスのガス分圧が上記範囲を外れると、良
好な膜質や優れた磁気光学特性を確保することが困難と
なる。
【0023】このようなスパッタにおける蒸着源として
は、Co−Pt系或いはCo−Pd系のような2成分系
の場合には各成分金属について独立に用意する必要があ
る。また、Co−Pt−Pd系のような3成分系の場合
には、各成分金属について独立に蒸着源を用意する方法
の他、特にPt及びPdに関してはこれらを組み合わせ
て合金蒸着源とする方法、或いは少ない成分金属の蒸着
源を他の金属の蒸着源の上に置く等の方法も可能であ
る。例えば上述のような3成分系の光磁気記録媒体をス
パッタリングにより作成する場合、Ptチップを載置し
たPdターゲットとCoターゲットとを使用した同時二
元スパッタリング、Coターゲット、Pdターゲット及
びPtターゲットを使用した同時三元スパッタリング、
或いはCoターゲット、Ptターゲット及び2個のPd
ターゲットを使用してCo−Pd−Pt−Pd−・・・
の順番で各金属層を積層する同時四元スパッタリング等
の方法が可能である。
【0024】なお、本発明の光磁気記録媒体において
は、記録層を上記人工格子膜と上記人工格子膜と交換結
合する希土類−遷移金属膜とにより構成するようにして
もよい。この場合、上記希土類−遷移金属膜は、希土類
元素と遷移金属との合金膜であってもよく、あるいは希
土類元素層と遷移金属層が積層された人工格子膜であっ
てもよい。また、希土類−遷移金属膜を人工格子膜とす
る場合には、Co層とPt層及び/又はPd層が積層さ
れた人工格子膜と希土類−遷移金属膜はCo層と遷移金
属層が互いに接するように積層されていることが望まし
い。
【0025】また、基板の材料としては、ガラス、ポリ
カーボネート、PMMA(ポリメチルメタクリレー
ト)、セラミクス、シリコンウェハ、或いはガラス2p
(ガラス基板上に光重合法によりグループやビット等の
凹凸を有する光硬化樹脂層が形成された基板)等が使用
可能であり、更に、上述のような人工格子膜を記録層と
して形成するの先立って、予め基板上にスパッタリン
グ、真空蒸着、MBE等により下地膜を形成しても良
い。但し、本発明においては、下地膜を形成せずに、基
板上に直接記録層を形成しても十分な耐食性や保磁力を
確保することができる。
【0026】上記下地膜を構成する元素としては、面心
立方構造(fcc構造)を有するCu、Rh、Pd、A
g、Ir、PT、Au、及び体心立方構造(bcc構
造)を有するWの少なくとも1種を使用することが好ま
しい。特に顕著な効果を現す元素の種類は下地膜上に形
成される規則層の種類によって若干異なり、例えばCo
−Pt系記録層の場合はPd、Ag、W、Pt、Auの
下地膜を、Co−Pd系記録層の場合はPd、Ag、P
t、Auの下地膜を使用することが効果的である。な
お、これらの元素は単独で使用しても、或いは2種以上
組合せて使用しても良い。
【0027】このような光磁気記録媒体に対する書き込
み方法としては、光ビームの他、針型磁気ヘッド、熱ペ
ン、電子ビーム等、反転磁区を生じさせるのに必要なエ
ネルギーを供給できるものであれば、いかなるものでも
良いことは言うまでもない。
【0028】
【作用】Co層とPt層及び/又はPd層とを交互に積
層した人工格子膜を記録層とする光磁気記録媒体におい
ては、希土類元素が添加されていないので、耐蝕性の向
上を図ることができる。また、所定のガス分圧を有する
Krガス雰囲気中又はXeガス雰囲気中でスパッタを行
って上記人工格子膜を成膜することにより、膜質が改善
されるとともに、優れた角形比や保磁力を確保すること
ができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について実験結
果にもとづき説明する。
【0030】実験例1 本実験例は、人工格子膜を成膜する際のXeガス濃度
と、作製された光磁気ディスクの保磁力の関係について
検討した例である。
【0031】先ず、以下のようにして、成膜雰囲気中の
Xeガス濃度を変化させてCo/Pt人工格子膜を成膜
し、各種光磁気ディスクを作製した。
【0032】直径100mmのCo及びPtの各円板状
ターゲットをチャンバー内に設置し、これらのターゲッ
トと対向する位置にスライドガラス基板を載置した。そ
して、ガス圧4×10-3Torrの雰囲気中で、基板を
所定速度(6〜60rpm)で回転させながら2元同時
スパッタリングを行い、Co層の厚さが4Å,Pt層の
厚さが11Å,全膜厚が150ÅのCo/Pt人工格子
膜を成膜し、光磁気ディスクを作製した。
【0033】なお、スパッタリングはCoおよびPtの
いずれに対しても直流(DC)モードで行い、投入パワ
ーは、Coについては0.3〜0.5A,300V、P
tについては0.3〜0.4A,300Vにそれぞれ設
定した。
【0034】このようにして作製された各種光磁気ディ
スクについて、保磁力を測定した。Co/Pt人工格子
膜を成膜する際のXe濃度と光磁気ディスクの保磁力の
関係を図1に示す。
【0035】図1からわかるように、光磁気ディスクの
保磁力は、人工格子膜成膜雰囲気中のXeガス濃度の増
加に伴って向上し、Xeガスのみで人工格子膜を成膜し
た光磁気ディスクでは、Arガスのみで人工格子膜を成
膜した光磁気ディスクの約3倍(1kOe)の保磁力を
示した。また、Co/Pd人工格子膜を成膜する際のX
eガス濃度と光磁気ディスクの保磁力の関係についても
同様にして検討したところ、光磁気ディスクの保磁力
は、Co/Pd人工格子膜を成膜する際のXe濃度の増
加に伴って、Co/Pt人工格子膜の場合と同程度に増
加した。
【0036】したがって、これらの結果から、Co/P
t人工格子膜,Co/Pd人工格子膜を成膜するに際
し、成膜雰囲気中にXeガスを混合することは、良好な
磁気光学特性を有する光磁気ディスクを製造する上で有
効であることがわかった。
【0037】実験例2 本実験例は、人工格子膜を成膜する際のKrガス濃度
と、作製された光磁気ディスクの保磁力の関係について
検討した例である。
【0038】Xeガスの代わりにKrガスを使用する以
外は、実験例1と同様にして各種Krガス濃度でCo/
Pt人工格子膜を成膜し、光磁気ディスクを作製した。
そして、作製された各光磁気ディスクについて、保磁力
を測定した。
【0039】その結果、光磁気ディスクの保磁力は、成
膜雰囲気中のKrガス濃度の増加に伴って向上し、Kr
ガスのみで人工格子膜を成膜した光磁気ディスクは、7
00Oeの保磁力を示した。また、Co/Pd人工格子
膜を成膜する際のKrガス濃度と光磁気ディスクの保磁
力の関係についても同様にして検討したところ、光磁気
ディスクの保磁力は、Co/Pd人工格子膜を成膜する
際のKr濃度の増加に伴って、Co/Pt人工格子膜の
場合と同程度に増加した。
【0040】したがって、これらの結果から、Co/P
t人工格子膜,Co/Pd人工格子膜を成膜するに際
し、成膜雰囲気中にKrガスを混合することは、良好な
磁気光学特性を有する光磁気ディスクを製造する上で有
効であることがわかった。
【0041】実験例3 光磁気ディスクにおいては、カーループの角形比が1付
近である場合に実用的な特性を発揮する。また、人工格
子膜では、角形比はその膜厚に大きく依存する。そこ
で、本実験例では、Xeガス雰囲気中で人工格子膜を各
種膜厚で成膜して光磁気ディスクを作製し、人工格子膜
の膜厚と作製された光磁気ディスクの磁気光学特性の関
係について検討した。
【0042】成膜雰囲気中のガスとしてXeガス(Xe
単独ガス)を使用し、Co層4Å、Pt層9ÅのCo/
Pt人工格子膜を各種膜厚でスライドガラス上に成膜し
た以外は実験例1と同様にして光磁気ディスクを作製し
た。そして、作製した光磁気ディスクについて、ポーラ
ーカー測定装置を使用してカーループを調べて角形比を
測定し、人工格子膜の膜厚と角形比の関係について検討
した。その結果を図2に示す。
【0043】また、比較として、成膜雰囲気中のガスと
してArガスを使用して作製した光磁気ディスクについ
ても、同様にして人工格子膜の膜厚と角形比の関係を調
べた。その結果も併せて図2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】なお、上記角形比は、残留磁気カー回転角
θK r と飽和磁気カー回転角θK s の比(=θK r
θK s )であり、この値が1に近いほど再生時のC/N
比が良好となることを示すものである。
【0046】図2を見ると、成膜雰囲気中のガスとして
Arガスを使用した光磁気ディスクでは、角形比は膜厚
150Åを越えたところで急激に劣化し、角形比が1と
なる膜厚は150Å以下と極めて薄い範囲のみであるの
に対し、成膜雰囲気中のガスとしてXeガスを使用した
光磁気ディスクにおいては、膜厚が450Åに至るまで
角形比が1に維持され、良好な膜厚特性を示すことがわ
かる。
【0047】また、Co/Pd人工格子膜を成膜してな
る光磁気ディスクについても、同様にしてCo/Pd人
工格子膜の膜厚と光磁気ディスクの角形比の関係を検討
したところ、成膜ガスとしてXeガスを使用すると、や
はりCo/Pt人工格子膜の場合と同様に良好な膜厚特
性を示す。
【0048】したがって、これらの結果から、Co/P
t人工格子膜、Co/Pd人工格子膜を成膜する際にX
eガスを使用することにより、膜厚特性においても優れ
た光磁気ディスクが得られることがわかった。
【0049】実験例4 成膜ガスとしてArガスを使用して人工格子膜を成膜す
る従来の製造方法においては、ガラス2P基板(ガラス
基板上にエポキシ樹脂を用いてグルーブやピット等の凹
凸を有する光硬化樹脂層が形成された基板)やポリカー
ボネート基板等の高分子基板に対して人工格子膜を成膜
した場合に、特に光磁気ディスクの磁気光学特性が低く
なる。そこで、本実験例では、成膜雰囲気中のガスとし
てXeガスを使用して、ガラス2P基板やポリカーボネ
ート基板に人工格子膜を成膜し、光磁気ディスクの特性
についてArガスを使用した場合と比較した。
【0050】成膜雰囲気中のガスの種類、基板の種類、
人工格子膜の構成を表1に示すように変えた以外は、実
験例1と同様して光磁気ディスクを作製した。
【0051】但し、ディスク2〜ディスク4及び比較デ
ィスク2〜比較ディスク6を作製するに際しては、Co
のスパッタリングは直流モードで投入パワーを0.2〜
1A,300Vに設定して行い、Pt,Pdのスパッタ
リングは、直流モードで投入パワーを0.2〜1A、3
00Vに設定して行うか或いは高周波モードで投入パワ
ーを200〜500Wに設定して行った。また、上記2
p基板としては、成膜工程の前処理として真空中で温度
を80℃に保持して24時間熱処理を行い、基板表面に
吸着した水分を完全に除去したものを用いた。
【0052】
【表2】
【0053】このようにして作製された光磁気ディスク
について、ポーラーカー測定装置を使用して磁気カー曲
線を調べた。その結果を図3〜図12に示す。図中、横
軸は保磁力Hc(Oe)を表し、縦軸は磁気カー回転角
(°)をそれぞれ表す。先ず、成膜雰囲気中のガスとし
てArガスを使用して作製された光磁気ディスクにおい
ては、図7〜図12を見て明らかなように、十分満足の
いく角形比を示さず、特にガラス2P基板あるいはポリ
カーボネート基板に対して成膜を行って作製された光磁
気ディスクは、角形比が低く、磁気光学特性が劣化して
いることがわかる。
【0054】一方、成膜雰囲気中のガスとしてXeガス
を使用すると、図3〜図6を見てわかるように、ガラス
2P基板あるいはポリカーボネート基板に対して成膜を
行った場合でも、光磁気ディスクは優れた保磁力,角形
比を示し、良好な磁気光学特性を示す。
【0055】したがって、以上の結果から成膜雰囲気中
のガスとしてXeガスを使用すれば、ガラス2P基板や
ポリカーボネート基板等の高分子基板に対して人工格子
膜を成膜した場合でも良好な特性を発揮する光磁気ディ
スクが得られることがわかった。
【0056】また、ディスク2及びディスク4につい
て、線速度を10m/秒、ビット長を5μm、読み出し
パワー1mW、記録パワー7mWの条件にて記録再生特
性を検討したところ、それぞれ50dB、53dB(バ
ンド巾分解能30kHz)の高いC/N比が得られた。
【0057】実験例5 本実験例では、成膜雰囲気中のガスとしてXeガスを使
用して、窒化シリコン誘電体膜上に人工格子膜を成膜
し、その光磁気ディスクの特性についてArガスを使用
した場合と比較した。
【0058】先ず、表2に示す基板上にSiN膜を70
0Å成膜した。SiN膜の成膜は、ターゲットとしてS
iを、スパッタガスとしてAr:N2 =1:1のAr/
2 ガスを使用し、2×10-3Torrの雰囲気下で行
った。
【0059】次いで、上述のようにして成膜されたSi
N膜上に、ガスの種類、人工格子膜の構成を表2に示す
ように変えて実験例1と同様にして人工格子膜を成膜
し、光磁気ディスクを作製した。但し、ディスク6及び
比較ディスク8を作製に際しては、Coのスパッタリン
グは直流モードで投入パワーを0.2〜1A,300V
に設定して行い、Pt,Pdのスパッタリングは、直流
モードで投入パワーを0.2〜1A、300Vに設定し
て行うか或いは高周波モードで投入パワーを200〜5
00Wに設定して行った。
【0060】このようにして作製された各光磁気ディス
クについて、ポーラーカー測定装置により基板側より磁
気光学特性を測定した。その結果を図13〜図16に示
す。
【0061】図13,図14と図15,図16を比較し
てわかるように、成膜雰囲気中のガスとしてXeガスを
使用して作製された光磁気ディスクは、Arガスを使用
して作製された光磁気ディスクに比べて、良好な角形
比,保磁力が得られ、優れた磁気光学特性が達成され
る。
【0062】したがって、SiN膜上に人工格子膜を成
膜するに際しても、成膜雰囲気中のガスとしてXeガス
を使用すれば、良好な磁気光学特性を発揮する光磁気デ
ィスクが得られることがわかった。
【0063】次に、成膜雰囲気中のガスとしてXeガス
を使用した光磁気ディスクに対して、実際に記録再生を
行い、記録再生特性について調べた。
【0064】先ず、光磁気ディスク用ガラス2P基板上
に、上述と同様な条件にて、SiN膜を850Å成膜し
た。次いで、成膜雰囲気中のガスとしてXeガスを使用
してCo4Å/Pt13Åの人工格子膜を実験例1と同
様なスパッタ条件にて200Å厚成膜して光磁気ディス
クを作製した。
【0065】そして、このようにして作製された光磁気
ディスクに対して、回転数2000rpm,記録磁界1
00Oe,記録周波数1MHz、再生パワー1mWで記
録再生を行い、キャリアレベル、ノイズレベルを測定し
た。図17に記録パワーとキャリアレベル、ノイズレベ
ルの関係および記録パワーとCN比の関係を示す。ま
た、比較として、成膜雰囲気中のガスとしてArガスを
使用して作製された光磁気ディスクについても同様にし
て記録再生を行い、キャリアレベル、ノイズレベルを測
定した。その結果も図17に併せて示す。
【0066】図17を見てわかるように、人工格子膜を
Arガスを使用して成膜したディスクに比べて、Xeガ
スを使用して人工格子膜を成膜したディスクはノイズレ
ベルが低く、C/N比が3〜4dB向上している。ま
た、このような傾向はCo/Pd人工格子膜においても
同様に認められた。
【0067】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の光磁気記録媒体は、基板上にCo層とPt層及び/
又はPd層の多層膜からなる人工格子膜が直接形成され
ただけの非常に簡単な構造とすることができ、且つ優れ
た磁気光学特性を有している。また、Co−Pt系材
料、Co−Pd系材料は高い耐蝕性を有しているので、
保護膜等を形成しなくても十分な実用性を確保すること
ができる。従って、本発明によれば、安価なCo層/P
t層光磁気ディスク、或いはCo層/Pd層光磁気ディ
スクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成膜雰囲気中のXe濃度と保磁力の関係を示す
特性図である。
【図2】人工格子膜の膜厚と角形比の関係を示す特性図
である。
【図3】Xeガス雰囲気中にてポリカーボネート基板上
に成膜したCo4Å/Pt11Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図4】Xeガス雰囲気中にてポリカーボネート基板上
に成膜したCo4Å/Pt16Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図5】Xeガス雰囲気中にてガラス2p基板上に成膜
したCo4Å/Pt16Å人工格子膜の磁気カー曲線を
示す特性図である。
【図6】Xeガス雰囲気中にてガラス2p基板上に成膜
したCo4Å/Pd16Å人工格子膜の磁気カー曲線を
示す特性図である。
【図7】Arガス雰囲気中にてポリカーボネート基板上
に成膜したCo4Å/Pt11Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図8】Arガス雰囲気中にてポリカーボネート基板上
に成膜したCo4Å/Pt16Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図9】Arガス雰囲気中にてポリカーボネート基板上
に成膜したCo4Å/Pd12Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図10】Arガス雰囲気中にてガラス2P基板上に成
膜したCo4Å/Pt16Å人工格子膜の磁気カー曲線
を示す特性図である。
【図11】Arガス雰囲気中にてガラス2P基板上に成
膜したCo4Å/Pd12Å人工格子膜の磁気カー曲線
を示す特性図である。
【図12】Arガス雰囲気中にてスライドガラス基板上
に成膜したCo4Å/Pt16Å人工格子膜の磁気カー
曲線を示す特性図である。
【図13】誘電層が形成されたポリカーボネート基板上
にXeガス雰囲気中にて成膜したCo−Pt人工格子膜
の磁気カー曲線を示す特性図である。
【図14】誘電層が形成されたガラス2p基板上にXe
ガス雰囲気中にて成膜したCo−Pt人工格子膜の磁気
カー曲線を示す特性図である。
【図15】誘電層が形成されたポリカーボネート基板上
にArガス雰囲気中にて成膜したCo−Pt人工格子膜
の磁気カー曲線を示す特性図である。
【図16】誘電層が形成されたガラス2p基板上にAr
ガス雰囲気中にて成膜したCo−Pt人工格子膜の磁気
カー曲線を示す特性図である。
【図17】光磁気記録ディスクの記録再生特性を示す特
性図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板上にCo層とPt層及び/又はPd
    層とが交互に積層された人工格子膜が形成されてなる光
    磁気記録媒体の製造方法において、上記人工格子膜を2
    ×10-3〜3×10-2Torrなるガス分圧を有するKrガス及
    び/又はXeガス雰囲気中でスパッタにより成膜するこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
JP27861791A 1990-12-14 1991-09-30 光磁気記録媒体の製造方法 Withdrawn JPH056589A (ja)

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JP2-410653 1990-12-14
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010087628A (ja) * 2008-09-29 2010-04-15 Brother Ind Ltd 画像読取装置、及び画像読取方法

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