JP3068013B2 - 分散補償ファイバ - Google Patents

分散補償ファイバ

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JP3068013B2
JP3068013B2 JP8227053A JP22705396A JP3068013B2 JP 3068013 B2 JP3068013 B2 JP 3068013B2 JP 8227053 A JP8227053 A JP 8227053A JP 22705396 A JP22705396 A JP 22705396A JP 3068013 B2 JP3068013 B2 JP 3068013B2
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正志 大西
智恵 福田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、1.3μm帯零
分散ファイバを含む伝送系に適用され、波長1.55μ
m帯の光に対して、該伝送系の波長分散と波長依存性を
補償するための分散補償ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、1.3μm帯零分散ファイバを含
む伝送系において、波長1.55μm帯の光に対する該
伝送系の波長分散と波長依存性を補償するための分散補
償ファイバとしては、例えば図19に示されたような屈
折率プロファイルを有する分散補償ファイバが知られて
いる(特開平7−261048号公報)。この分散補償
ファイバは、石英ガラス(以下、SiO2 ガラスとい
う)を主成分とし、GeO2 が高濃度に添加されたコア
100と、該コア100の外周に密着して形成され、か
つ、フッ素が添加された第1クラッド200と、該第1
クラッド200の外周に密着して形成された純粋石英ガ
ラス領域である第2クラッド300により構成されてい
る。
【0003】なお、この図19に示された分散補償ファ
イバの光強度分布及び屈折率プロファイルの各横軸は、
スケールは異なるが、それぞれ図中の線L2に沿ったコ
ア100の中心軸に垂直な断面上の各位置に相当してい
る。したがって、図中の屈折率プロファイルにおいて、
領域101はコア100の線L2上の領域、領域201
は第1クラッド200の線L2上の領域、領域301は
第2クラッド300の線L2上の領域にそれぞれ対応し
ている。
【0004】従来の分散補償ファイバは、コア100、
第1クラッド200及び第2クラッド300それぞれの
屈折率を、図19に示された特定の範囲に規定すること
で、波長1.55μmの近傍の光に対し、負の波長分散
値を得るとともに波長分散スロープを負に設定してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の分散補償ファイ
バは、以上のようにコア100にGeO2 を高濃度に添
加してその屈折率を上げるとともに、第1クラッド20
0にフッ素を添加してその屈折率を下げ、該コア100
と第1クラッド200の間の相対的な屈折率差が大きく
なるよう各領域の屈折率を設定することで、より大きな
波長分散値を得ている。換言すれば、分散補償ファイバ
の所定波長に対する分散値は、図19に示された屈折率
プロファイルの凹み領域Aの深さに大きく依存してい
る。
【0006】一方、上記コア100にGeO2 が10〜
30mol%程度という高濃度に添加された場合、ファ
イバを製造する際の線引工程では、ファイバ母材を通常
の伝送用光ファイバ(GeO2が5mol%程度以下添
加されている)の場合よりも低温で線引することが望ま
しい。これは、高温で線引を実施した場合、得られたフ
ァイバの光伝送損失が該GeO2 濃度の増加とともに増
大するからである。
【0007】ここで、上述した従来の分散補償ファイバ
の第2クラッド(最外層)は、純粋石英ガラスであるた
め、通常は1950℃〜2000℃という高温度で線引
する必要がある。このことは、コア100における光伝
送損失の増大をある程度犠牲にしても、高い温度で線引
しなければならないことを意味し、該光伝送損失をより
一層低減させる上で大きな制約となる。なお、上述の線
引温度はあくまでも相対的な値であって測定場所や測定
方法により異なる値を取るのは周知であるため、ここで
は参考程度の意味で具体的な数値が示されている。
【0008】この発明は、上述のような課題を解決する
ためになされたものであり、従来よりも低温での線引き
を可能にし光伝送損失を低減させ得る分散補償ファイバ
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る分散補償
ファイバは、例えば図1に示されたように、石英ガラス
を主成分とする光導波路であって、GeO2 が10mo
l%以上添加されたコア部1と、該コア部1の外周に形
成され、かつ、その屈折率が該コア部1よりも低く設定
されたクラッド部とを備えている。そして、このクラッ
ド部は、上記コア部1の外周に密着して形成された第1
クラッド2と、該第1クラッド2の外周に密着して形成
された第2クラッド3と、そして、該第2クラッド3の
外周に密着して形成された第3クラッド4を備えてい
る。特に、この第3クラッド4は、所定温度(例えば、
線引時の温度)におけるガラス粘性を制御するための不
純物が添加されたガラス領域である。具体的なガラス粘
性制御用の不純物としては、フッ素(F)、塩素(C
l)、ゲルマニウム(Ge)、リン(P)、ホウ素
(B)等があり、図2は、代表的な不純物について、そ
の添加量と1500℃におけるガラス粘性の関係を示
す。
【0010】なお、当該分散補償ファイバにおいて、少
なくとも、上記第1クラッド2には、例えばフッ素、ホ
ウ素等の屈折率を低下させるための不純物が所定量添加
されており、コア部1と第1クラッド2との間の相対的
な屈折率差が大きくなるよう各領域の屈折率が設定され
ている。このように、該不純物の添加量を制御して(図
3参照)、コア部1と第1クラッド2との間に十分な屈
折率差を設定することにより、当該分散補償ファイバの
波長分散値を負にするとともに、分散スロープを負に設
定することができる。また、当該分散補償ファイバは、
上記コア部の外径が2〜4μm、上記第1クラッド2の
外径が4〜20μmに設定されており、所定のシングル
モード条件を満たした光導波路である。
【0011】このようなシングルモードの分散補償ファ
イバにおいて、伝搬される光は、コア部1の近傍ガラス
領域(上記クラッド部の一部)にも広がって伝搬され
る。このような光のファイバ径方向(光の伝搬方向に対
して垂直な方向)への広がりは、指数関数的に減少する
ため、該クラッド部の外周部には光がほとんど伝搬され
ない領域が存在する。このような領域に位置するクラッ
ドは、主に物理的強度を確保するガラス領域であるため
物理的クラッド又はジャケット層とも呼ばれ、上記第3
クラッド4がこの物理的クラッドに相当する。また、該
物理的クラッドの内側にあって光が伝搬されるガラス領
域は光学的クラッドとも呼ばれ、上記第1及び第2クラ
ッド2、3がこの光学的クラッドに相当する。
【0012】この発明に係る分散補償ファイバは、この
ように光信号の伝搬に実質的に寄与しない物理的クラッ
ドに相当する第3クラッド4に、たとえばフッ素、塩素
等のガラス粘性制御用の不純物を添加しておくことによ
り、該第3クラッド4の、線引時の所定温度におけるガ
ラス粘性を制御している。このように所定温度における
ガラス粘性が制御された第3クラッド4を物理的クラッ
ドとして形成することで、該所定温度におけるガラス粘
性の高い光学的クラッドが占める、全断面積(光の伝搬
方向に対して垂直な面の面積)に対する割合が減少す
る。このため、線引を実施した場合には、より低温で線
引を実施することができる。
【0013】具体的に、請求項1に係る分散補償ファイ
バは、GeO2 が10〜30mol%程度添加され、そ
の外径が2〜4μmのコア部1を備える。そして、該コ
ア部1の外周に形成されたクラッド部は、フッ素等が添
加され、屈折率制御されたガラス領域であって、その外
径が4〜20μmの第1クラッド2(光学的クラッドの
一部を構成)と、該第1クラッド2の外周に密着して形
成された第2クラッド3(第1クラッド2とともに光学
的クラッドを構成)と、そして、該第2クラッド3の外
周に密着して形成され、かつ、線引時におけるガラス粘
性が該第2クラッドよりも低いガラス領域であって、そ
の外径が80〜150μmの第3クラッド4(物理的ク
ラッドを構成)を備えている。特に、この請求項1に係
る分散補償ファイバにおいて、第1クラッド2と第2ク
ラッド3との屈折率差の制御は、該第1クラッド2に添
加されるフッ素等の添加量を制御することにより行われ
ており、第2クラッド3の屈折率制御は行われていな
い。また、この請求項1に係る分散補償ファイバのガラ
ス粘性の制御は、第3クラッド4に対して行われてお
り、所定温度における第3クラッド4のガラス粘性が第
2クラッド3よりも低くなるよう制御されている。
【0014】発明者らは、第3クラッド4に0.1〜2
wt%のフッ素、あるいは0.25〜1wt%の塩素を
添加することにより、所望の光導波路製品が得られるこ
とを確認した。
【0015】さらに、請求項2に係る分散補償ファイバ
も、GeO2 が10〜30mol%程度添加され、その
外径が2〜4μmのコア部1と、該コア部1の外周に形
成されたクラッド部を備えている。ただし、このクラッ
ド部は、フッ素等が添加され、屈折率制御されたガラス
領域であって、その外径が4〜20μmの第1クラッド
2(光学的クラッドの一部を構成)と、該第1クラッド
2の外周に密着して形成され、かつ、所定温度における
ガラス粘性が純粋石英ガラスよりも低い第2クラッド3
(第1クラッド2とともに光学的クラッドを構成)と、
そして、該第2クラッド3の外周に密着して形成され、
かつ、所定温度におけるガラス粘性が該純粋石英ガラス
よりも低いガラス領域であって、その外径が80〜15
0μmの第3クラッド4(物理的クラッドを構成)を備
えている。
【0016】特に、この請求項2に係る分散補償ファイ
バは、第2クラッド3にも、所定温度(例えば線引時の
温度)における該第2クラッドのガラス粘性を低下させ
るための不純物が添加されたことを特徴としている。第
2クラッド3が純粋石英ガラスである場合(請求項1に
係る分散補償ファイバ)、線引時において、上記第3ク
ラッド4よりもガラス粘性の高い該第2クラッド3に線
引張力が集中し過ぎると、このガラス領域の屈折率変化
(残留応力に起因する屈折率の低下)を招くからであ
る。
【0017】この場合、第2クラッド3に添加される不
純物は、塩素等の屈折率を増加させる材料であることが
好ましい。第1クラッド2の屈折率を低下させるととも
に第2クラッド3の屈折率を増加させて該第1及び第2
クラッド間2、3の屈折率差を制御することにより、図
1の屈折率プロファイル中の凹み領域A(コア部1に相
当する領域10、第1クラッド2に相当する領域20、
及び第2クラッド3に相当する領域30の各屈折率プロ
ファイルにより定義される領域)をより深くすることが
できる。また、このように屈折率プロファイルを制御す
ることにより、当該分散補償ファイバの分散特性をさら
に改善することができる(十分な負の波長分散値が得ら
れるとともに波長分散スロープの絶対値を大きくするこ
とができる)。
【0018】具体的に、この請求項2に係る分散補償フ
ァイバにおいて、第1クラッド2と第2クラッド3との
間の屈折率差の制御(図1の屈折率プロファイル中の凹
み領域Aの深さ制御)は、該第1クラッド2に添加され
るフッ素等の添加量と第2クラッド3に添加される塩素
等の添加量を制御することにより行われている。一般
に、フッ素等の不純物の添加量が増加するにしたがって
技術的な困難性が増加するが、塩素等を添加して第2ク
ラッド3の屈折率を増加させることにより、第1及び第
2クラッド2、3間の十分な屈折率差(大きな波長分散
値)を容易に得ることができる。また、この請求項2に
係る分散補償ファイバのガラス粘性の制御は、第2及び
第3クラッド2、3において行われており、所定温度に
おける第2及び第3クラッド3、4の各ガラス粘性が純
粋石英ガラスよりも低くなるよう制御されている。すな
わち、第2クラッド3には、0.25〜1wt%の塩素
が添加され、屈折率の制御とともにガラス粘性の制御を
実現している。併せて、第3クラッド4には、0.1〜
2wt%のフッ素、あるいは0.25〜1wt%の塩素
を添加することにより、所望の光導波路製品が得られる
ことを発明者らは確認した。
【0019】なお、第3クラッド4に添加されるガラス
粘性制御用の不純物として、第2クラッド3に添加され
た不純物、例えば屈折率を増加させるとともに所定温度
におけるガラス粘性を低下させるための塩素等と同一の
不純物を選択し、かつ、この選択された同一不純物を該
第2クラッド3への添加量と同程度だけ、該第3クラッ
ド4に添加することにより、製造工程を簡略化すること
ができる。
【0020】また、この発明に係る分散補償ファイバ
は、予め用意されたファイバ母材を5〜16kg/mm
2 の張力で線引することが望ましい。これにより、上述
した課題を克服した、光伝送損失の低い分散補償ファイ
バが得られる。
【0021】また、この発明に係る分散補償ファイバ
は、波長1.55μm帯の光に対し、その光伝送損失が
1dB/km以下の低損失であることが、実用上望まし
い。
【0022】さらに、この発明に係る分散補償ファイバ
は、波長1.55μm帯の光に対して、その波長分散値
が−50ps/km/nm以下に設定され、かつ、その
波長分散スロープを負に設定することにより、1.3μ
m帯零分散ファイバを含む伝送系の波長分散と波長依存
性を効果的に補償することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る分散補償フ
ァイバの各実施例を図1〜図18を用いて説明する。
【0024】図1は、この発明に係る分散補償ファイバ
の断面構造、ファイバ径方向(線L1で示された方向)
の光強度分布、及び、ファイバ径方向の屈折率プロファ
イルを示す図である。なお、この図1に示された分散補
償ファイバの光強度分布及び屈折率プロファイルの各横
軸は、スケールは異なるが、それぞれ図中の線L1に沿
ったコア部1の中心軸に垂直な断面上の各位置に相当し
ている。したがって、図中の屈折率プロファイルにおい
て、領域10はコア部(以下、コアという)1の線L1
上の領域、領域20は第1クラッド2の線L1上の領
域、領域30は第2クラッド3の線L1上の領域、領域
40は第3クラッド4の線L1上の領域にそれぞれ対応
している。また、図中の屈折率プロファイルの縦軸は純
粋石英ガラスを基準とした比屈折率差を表す。
【0025】この発明に係る分散補償ファイバは、石英
ガラス(以下、SiO2 ガラスという)を主成分とする
光導波路である。その中心に位置するコア1には高濃度
に(10〜30mol%程度、より好ましくは20〜2
5mol%程度)GeO2 を添加されており、その屈折
率が高くなるよう屈折率制御されている。コア1の外側
に設けられた第1クラッド2にはフッ素を添加して屈折
率を下げ、この間の相対的な屈折率差を大きくとってい
る。また、第1クラッド2の外側には、第2クラッド3
(純粋石英ガラスで構成するか、あるいはガラス粘性を
低下させるための不純物を含む構成がある)が形成され
ており、図示したように、このファイバ内を伝送される
光は、コア1を中心として第2クラッド3まで広がって
いる。したがって、第2クラッド3の外側の領域は、実
質的に信号光の伝搬に寄与しないガラス領域となってお
り、この発明に係る分散補償ファイバでは、このガラス
領域(第3クラッド4)にフッ素等が所定量添加されて
おり、純粋石英ガラスと比較して所定温度におけるガラ
ス粘性を低下させている。
【0026】ここで、図1の屈折率プロファイル中の参
照符合について説明する。この屈折率プロファイル中の
2aはコア1の外径(コア径)、2bは第1クラッド2
の外径、2cは第2クラッド3の外径を示す。また、Δ
は純粋石英ガラスを基準とした比屈折率差を示す。 Δ+ =(n1−n0)/n0 Δ- =(n2−n0)/n0 ΔP=(n3−n0)/n0 ΔJ=(n4−n0)/n0 なお、n0は純石英ガラスの屈折率、n1はコア1の屈折
率、n2は第1クラッド2の屈折率、n3は第2クラッド
3の屈折率、n4は第3クラッド4の屈折率である。ま
た、各式の屈折率パラメータは順不同である。したがっ
て、所定ガラス領域の比屈折率差が負の値の場合、該ガ
ラス領域は純石英ガラスの屈折率よりも低い屈折率を有
することを意味する。
【0027】次に、第2クラッド3の外径の決定方法に
ついて説明する。上述したように、シングルモードの光
ファイバでは、伝搬される光の強度分布は、コア1だけ
でなく近傍のクラッド部にも広がっている(図1参
照)。おおよその目安として、コア1を中心として、モ
ードフィールド径(MFD)の約5〜6倍の範囲に広が
って伝搬するため、この光が伝搬するガラス領域(光学
的クラッド)の外側に位置するガラス領域(物理的クラ
ッド)にフッ素等が添加され、その屈折率が変化した場
合であっても、当該光ファイバの光学的特性には何等影
響はない。
【0028】当該ファイバ内を伝搬する光の強度分布を
考慮し、より厳密に第2クラッド3の外径を決定する。
図4に示されたように、コア1の中心を原点“o”、コ
ア1の中心”o”から第2クラッド3の外径までの距離
を“a”、光ファイバ断面のo−a間の光強度をPo-a
とし、光強度全体を“1”とすると、 Po-a =1−exp(−2a2 /ω2 ) と表される。ただし、ωはファイバのモードフィールド
径である。そこで、この式を基に、1−Po-a =exp
(−2a2 /ω2 )が無視できるほど小さくなる“a”
の値を求めると、求めた距離aの位置での光強度は実質
的にゼロとみなすことができる。
【0029】なお、ここでは、1−Po-a の値を、10
-30 、10-40 、10-50 の3種類を想定して計算を行
った。この計算結果を、図5及び図6の表に示す。
【0030】特に、図5ではΔ+=2.5%に設定され
た場合の、サンプルNo.1〜No.6について、図6
ではΔ+=2.1%に設定された場合の、サンプルN
o.1〜No.7について、各計算結果が示されてい
る。この計算では、コア1の外径(図1に示された屈折
率プロイファイル中の2a)及び第1クラッド2の外径
(図1に示された屈折率プロイファイル中の2b)に対
し、対応する各種第2クラッド3の外径(図1に示され
た屈折率プロイファイル中の2c)を求めた。なお、こ
れらの表には、有限要素法で計算された分散特性(波長
分散値及び分散スロープの値)も示されている。
【0031】図5及び図6で示されたコア1の外径は、
各図とも分散補償ファイバとして好適なコア径の範囲内
(2〜4μm)にある。なお、この範囲の下限よりもコ
ア径が小さいと、曲げ損失が大きくなり好ましくない。
一方、この範囲の上限よりもコア径が大きいと、分散ス
ロープの絶対値が小さくなり、分散補償ファイバとして
は有効に機能しない。
【0032】このようにして規定される第2クラッド3
の外径よりも外側のガラス領域には、フッ素、塩素、ゲ
ルマニウム、リン、ホウ素など、主成分であるSiO2
ガラスの所定温度におけるガラス粘性を低下させるため
の不純物が添加された第3クラッド4(ジャケット層と
もいう)が設けられている。図2は、代表的な不純物の
添加量(wt%)と、これら不純物を含むSiO2ガラ
スの1500℃におけるガラス粘性との関係を示す図で
ある。特に、縦軸はガラス粘性の単位としてポアズ(po
ise、記号:P、10P=1N・s/m2)で表されてい
る。
【0033】なお、上述の計算では伝送特性に影響を与
えないクラッド領域を求めるべく、1−Po-a の値とし
て、10-30 、10-40 、10-50 の3種類を想定して
試算したが、これらの値をどの程度の値に設定するか
は、設計事項の範囲であり、ファイバの特性等に応じて
適宜選定すればよい。なお、以下に示す実施例では、伝
送特性に全く影響を与えない値として、1−Po-a =1
-50 として分散補償ファイバを設計している。
【0034】また、図5及び図6に示された条件を満た
す光ファイバは、いずれも波長分散スロープが負であ
り、かつ、その波長分散値もおおよそ−50ps/km
/nm以下であり、分散補償ファイバとして有効に機能
し得る。
【0035】次に、この発明に係る分散補償ファイバの
製造工程を、図7を用いて説明する。なお、以下に説明
する製造工程では、SiO2 ガラスの所定温度における
ガラス粘性を低下させるための不純物としてフッ素等の
屈折率制御用の不純物を用い、その添加量の割合を変化
させて分散補償ファイバを作製した。この作製はVAD
法によって行った。
【0036】まず、図7に示されたように、中心から周
辺に向かって屈折率が2〜5乗又はステップ状に減少す
るように、SiO2 ガラスに対してGeO2 の添加量を
調整し、屈折率n1 の円柱状のコア部材11を作製す
る。続いて、SiO2 ガラスに対して均一にフッ素を添
加して屈折率をn2 に低下させた第1クラッド部材21
を作製し、得られた第1クラッド部材21の中心に孔2
10をあける。そして、この第1クラッド部材21に設
けられた孔210に、先に得られたコア部材11を挿入
する。さらに、屈折率n3 のSiO2 ガラスを主成分と
する円柱状の第2クラッド部材31を作製し、その中心
に孔310をあける。なお、この第2クラッド部材31
が純粋石英ガラスである場合、n3=n0であるが(後述
する第1及び第2実施例)、この第2クラッド部材31
にも屈折率制御用の不純物を添加してもよい(後述する
第3及び第4実施例)。そして、この第2クラッド部材
31に設けられた孔310に、先に円柱状に一体化させ
たコア部材11及び第1クラッド部材21を挿入する。
さらに、SiO2 ガラスに対して均一にフッ素を添加さ
れ、所定温度におけるそのガラス粘性を低下させられ
た、屈折率n4 の円柱状の第3クラッド部材41を作製
し、その中心に孔410をあける。そして、上述した孔
410に、先に一体化されたコア部材11、第1クラッ
ド部材21及び第2クラッド部材31を挿入し、これら
を加熱して光ファイバ母材を作製した(図8参照)。そ
して、このファイバ母材を線引し、外径125μmのシ
ングルモード分散補償ファイバを得た。なお、得られた
ファイバ母材の線引工程は、例えば特公昭54−338
59号公報に開示されている。
【0037】第1実施例 次に、この発明に係る分散補償ファイバの第1実施例
を、図9を用いて説明する。なお、図9は当該第1実施
例の屈折率プロファイルを示す図であり、各領域10
a、20a、30a、40aは図1の領域10、20、
30、40にそれぞれ対応している。したがって、図9
に示された屈折率プロファイルの横軸は、図1のファイ
バ断面における線L1上の各位置に対応している。ま
た、該屈折率プロファイルの縦軸は、純粋石英ガラスを
基準とした比屈折率差を表す。
【0038】この第1実施例におけるコア1、及び第1
〜第3クラッド2〜4は、以下のように構成されてい
る。
【0039】 コア1 :GeO2が所定量添加(屈折率は増加)されたSiO2ガラス 第1クラッド2:フッ素が所定量添加(屈折率は低下)されたSiO2ガラス 第2クラッド3:純粋石英ガラス 第3クラッド4:フッ素が所定量添加され(屈折率は低下)、線引時における ガラス粘性が該第2クラッド3よりも低くなるよう制御され たSiO2ガラス実験1 発明者らは、上記第1実施例(図9)の構造を備えた分
散補償ファイバを以下の条件で試作した。具体的には、
Δ+ =2.9%、Δ- =−0.36%、ΔP=0%と
し、ΔJの値を、0%、−0.1%、−0.3%、−
0.4%、−0.6%、−0.7%と変えた複数種のフ
ァイバ母材を作製した。そして、線引時の張力を9.8
kg/mm2 とし、かつ、線引速度を一定にして各ファ
イバ母材を線引し、2a=2.25μm、2b=7.5
μm、2c=39μmの分散補償ファイバを作製した。
なお、得られた各分散補償ファイバの、波長1.55μ
mの光に対する分散特性は、波長分散値が−144ps
/km/nmであり、分散スロープが−0.45ps/
km/nm2である。
【0040】上述した各ΔJの値を有する分散補償ファ
イバごとに、波長1.55μmの光に対する光伝送損失
を測定した結果を図10に示す。
【0041】図10に示されたグラフにおいて、フッ素
を添加していない従来の分散補償ファイバ(ΔJ=0
%:第3クラッドが純粋石英ガラス)では、ガラス粘性
が高いため、より高温の2000℃程度で線引してい
る。一方、ΔJ=−0.4%の場合には1840℃程
度、ΔJ=−0.7%(フッ素添加量:2wt%)の場
合には1820℃程度と、第3クラッド4に対するフッ
素の添加量の割合が増加するにつれて(比屈折率差ΔJ
が小さくなるにつれて)線引温度が減少する傾向にあ
る。これは、フッ素の添加量の割合が増加するにつれ
て、線引時における第3クラッド4のガラス粘性が純粋
石英ガラス(第2クラッド3)よりも低いためである。
したがって、このような第3クラッド4を備えることに
より、従来の分散補償ファイバを製造する場合よりも低
い温度で線引を実施することが可能となり、これによっ
て光伝送損失も減少することが分かる。
【0042】なお、図3に、純粋石英ガラスに対するフ
ッ素の添加量(wt%)と、純粋石英ガラスを基準とし
た比屈折率差Δ(%)との関係を示しておく。
【0043】実験2 さらに、発明者らは、以下の条件で第1実施例(図9)
の構造を備えた分散補償ファイバを試作した。具体的に
は、Δ+ =2.6%、Δ- =−0.35%、ΔP=0%
とし、ΔJの値を、0%、−0.1%、−0.3%、−
0.5%、−0.6%、−0.7%と変えた複数種のフ
ァイバ母材を作製した。そして、線引時の張力を9.8
kg/mm2 とし、かつ、線引速度を一定にして各ファ
イバ母材を線引し、2a=2.6μm、2b=8.8μ
m、2c=46μmの分散補償ファイバを作製した。な
お、得られた各分散補償ファイバの、波長1.55μm
の光に対する分散特性は、波長分散値が−100ps/
km/nmであり、分散スロープが−0.2ps/km
/nm2である。
【0044】上述した各ΔJの値を有する分散補償ファ
イバごとに、波長1.55μmの光に対する光伝送損失
を測定した結果を図11に示す。
【0045】この場合も、上述した実験1と同様に、第
3クラッド4に添加されたフッ素の添加量の割合が増加
するにつれて(比屈折率差ΔJが小さくなるにつれ
て)、光伝送損失が減少することが分かる。
【0046】実験3 さらに、発明者らは、以下の条件で第1実施例(図9)
の構造を備えた分散補償ファイバを試作した。具体的に
は、Δ+ =2%、Δ- =−0.35%、ΔP=0%と
し、ΔJの値を、0%、−0.1%、−0.2%、−
0.3%、−0.5%、−0.6%、−0.7%と変え
た複数種のファイバ母材を作製した。また、線引時の張
力を9.8kg/mm2 とし、かつ、線引速度を一定と
して各ファイバ母材を線引し、2a=3μm、2b=1
0μm、2c=53μmの分散補償ファイバを作製し
た。なお、得られた各分散補償ファイバの、波長1.5
5μmの光に対する分散特性は、波長分散値が−85p
s/km/nmであり、分散スロープが−0.2ps/
km/nm2である。
【0047】上述した各ΔJの値を有する分散補償ファ
イバごとに、波長1.55μmの光に対する光伝送損失
を測定した結果を図12に示す。
【0048】この場合も、上述した実験1及び実験2と
同様に、第3クラッド4に添加されたフッ素の添加量の
割合が増加するにつれて(比屈折率差ΔJが小さくなる
につれて)、光伝送損失が減少することが分かる。
【0049】実験4 次に、線引張力と得られた分散補償ファイバの光伝送損
失の関係を実測した結果について以下説明する。この実
験4では、ΔJ=−0.35%とし、その他の値は、上
述した実験1で作製したファイバ母材と同一の母材を用
い、線引時の張力を種々変更して線引を実施して分散補
償ファイバを作製した。なお、図13は、線引した各張
力ごとに、波長1.55μmの光に対する得られた分散
補償ファイバの伝送損失を測定した結果を示すグラフで
ある。
【0050】図13に示されたグラフから、線引時の張
力を増加させると、光伝送損失も低減することが分か
る。ただし、16kg/mm2 を超える大きな張力によ
って線引した場合には、光ファイバが断線する結果とな
った。また、光伝送損失は、勿論、より低い値であるこ
とが望ましいが、実用上 1.0dB/kmよりも低い
値であることが望ましい。これらを踏まえ、ファイバ母
材は、4kg/mm2 以上、より好ましくは5kg/m
2 以上であって16kg/mm2 以下の張力を付与し
て線引することが望ましい。
【0051】参考のため、図14に、線引速度vを10
0m/minの一定とした場合における、線引温度と線
引張力との一般的な関係を示しておく。対象となるファ
イバ母材の構造は、実験1の場合と同一である(ΔJ=
−0.35%)。この関係は、ファイバ母材の外径、炉
の内径、雰囲気等により大きく変動するため、これらの
条件次第で、上下に数10℃のオーダでグラフが平行移
動し得る。なお、この図14に示された線引張力と線引
温度との関係は、この発明とは無関係に示されたもので
あり、当該発明に係る分散補償ファイバの製造条件を示
唆するものではない。
【0052】第2実施例 次に、この発明に係る分散補償ファイバの第2実施例
を、図15を用いて説明する。なお、図15は当該第1
実施例の屈折率プロファイルを示す図であり、各領域1
0b、20b、30b、40bは図1の領域10、2
0、30、40にそれぞれ対応している。したがって、
図15に示された屈折率プロファイルの横軸は、図1の
ファイバ断面における線L1上の各位置に対応してい
る。また、該屈折率プロファイルの縦軸は、純粋石英ガ
ラスを基準とした比屈折率差を表す。
【0053】この第2実施例におけるコア1、及び第1
〜第3クラッド2〜4は、以下のように構成されてい
る。
【0054】 コア1 :GeO2が所定量添加(屈折率は増加)されたSiO2ガラス 第1クラッド2:フッ素が所定量添加(屈折率は低下)されたSiO2ガラス 第2クラッド3:純粋石英ガラス 第3クラッド4:塩素が所定量添加され(屈折率は増加)、線引時におけるガ ラス粘性が該第2クラッド3よりも低くなるよう制御された SiO2ガラス この第2実施例と上述した第1実施例との構造上の差異
は、第3クラッド4に添加される不純物が異なる点であ
る。この構成によっても線引時のガラス粘性を低下させ
ることが可能である。
【0055】発明者らは、以下の条件でこの第2実施例
(図15)の構造を備えた分散補償ファイバを試作し
た。具体的には、Δ+ =2.1%、Δ- =−0.35
%、ΔP=0%とし、ΔJの値を、0%、0.03%、
0.08%、0.12%と変えた複数種のファイバ母材
を作製した。また、線引時の張力を9.8kg/mm2
とし、かつ、線引速度を一定として各ファイバ母材を線
引し、2a=2.75μm、2b=7.9μm、2c=
47μmの分散補償ファイバを作製した。なお、得られ
た各分散補償ファイバの、波長1.55μmの光に対す
る分散特性は、波長分散値が−85ps/km/nmで
あり、分散スロープが−0.2ps/km/nm2であ
る。
【0056】第3実施例 次に、この発明に係る分散補償ファイバの第3実施例
を、図16を用いて説明する。なお、図16は当該第1
実施例の屈折率プロファイルを示す図であり、各領域1
0c、20c、30c、40cは図1の領域10、2
0、30、40にそれぞれ対応している。したがって、
図16に示された屈折率プロファイルの横軸は、図1の
ファイバ断面における線L1上の各位置に対応してい
る。また、該屈折率プロファイルの縦軸は、純粋石英ガ
ラスを基準とした比屈折率差を表す。
【0057】この第3実施例におけるコア1、及び第1
〜第3クラッド2〜4は、以下のように構成されてい
る。
【0058】 コア1 :GeO2が所定量添加(屈折率は増加)されたSiO2ガラス 第1クラッド2:フッ素が所定量添加(屈折率は低下)されたSiO2ガラス 第2クラッド3:塩素が所定量添加され(屈折率は増加)、線引時における ガラス粘性が純粋石英ガラスよりも低くなるよう制御された SiO2ガラス 第3クラッド4:フッ素が所定量添加され(屈折率は低下)、線引時における ガラス粘性が純粋石英ガラスよりも低くなるよう制御された SiO2ガラス この第3実施例と上述した第1実施例との構造上の差異
は、第2クラッド3に塩素が添加されている点である。
この構成によっても線引時のガラス粘性を低下させるこ
とが可能である。第2クラッド3が純粋石英ガラスであ
る場合(第1及び第2実施例)、線引時において、第3
クラッド4よりもガラス粘性の高い該第2クラッド3に
線引張力が集中し過ぎると、このガラス領域の屈折率変
化(残留応力に起因する屈折率の低下)を招く。この第
3実施例の構成は係る課題を解決する。また、第2クラ
ッド3に添加される不純物として、塩素等の屈折率を増
加させる材料を選択するのは、第1クラッド2の屈折率
を低下させるとともに第2クラッド3の屈折率を増加さ
せて該第1及び第2クラッド間2、3の屈折率差を制御
することにより、図16の屈折率プロファイル中の凹み
領域A(図1のコア部1に相当する領域10c、図1の
第1クラッド2に相当する領域20c、及び図1の第2
クラッド3に相当する領域30cの各屈折率プロファイ
ルにより定義される領域)をより深くするためである。
また、このように屈折率プロファイルを制御することに
より、当該分散補償ファイバの分散特性をさらに改善す
ることができる(十分な負の波長分散値が得られるとと
もに波長分散スロープの絶対値を大きくすることができ
る)。
【0059】発明者らは、以下の条件でこの第3実施例
(図16)の構造を備えた分散補償ファイバを試作し
た。具体的には、Δ+ =2.1%、Δ- =−0.35
%、ΔP=0.08%とし、ΔJの値を、0%、−0.
04%、−0.1%、−0.2%、−0.35%、−
0.5%、−0.7%と変えた複数種のファイバ母材を
作製した。また、線引時の張力を9.8kg/mm2
し、かつ、線引速度を一定として各ファイバ母材を線引
し、2a=2.8μm、2b=8μm、2c=46μm
の分散補償ファイバを作製した。なお、得られた各分散
補償ファイバの、波長1.55μmの光に対する分散特
性は、波長分散値が−101ps/km/nmであり、
分散スロープが−0.25ps/km/nm2である。
【0060】第4実施例 次に、この発明に係る分散補償ファイバの第4実施例
を、図17を用いて説明する。なお、図17は当該第1
実施例の屈折率プロファイルを示す図であり、各領域1
0d、20d、30d、40dは図1の領域10、2
0、30、40にそれぞれ対応している。したがって、
図17に示された屈折率プロファイルの横軸は、図1の
ファイバ断面における線L1上の各位置に対応してい
る。また、該屈折率プロファイルの縦軸は、純粋石英ガ
ラスを基準とした比屈折率差を表す。
【0061】この第4実施例におけるコア1、及び第1
〜第3クラッド2〜4は、以下のように構成されてい
る。
【0062】 コア1 :GeO2が所定量添加(屈折率は増加)されたSiO2ガラス 第1クラッド2:フッ素が所定量添加(屈折率は低下)されたSiO2ガラス 第2クラッド3:塩素が所定量添加され(屈折率は増加)、線引時における ガラス粘性が純粋石英ガラスよりも低くなるよう制御された SiO2ガラス 第3クラッド4:塩素が所定量添加され(屈折率は増加)、線引時におけるガ ラス粘性が純粋石英ガラスよりも低くなるよう制御された SiO2ガラス この第4実施例と上述した第3実施例との構造上の差異
は、第3クラッド4に添加された不純物が異なる点にあ
る。すなわち、この第4実施例では、第2クラッド3と
第3クラッド4のいずれにも塩素が添加されている。特
にこの場合、第2及び第3クラッド3、4の線引時にお
けるガラス粘性を一致させることにより(塩素の添加量
を一致させる)、当該分散補償ファイバの製造工程の簡
略化が可能になる。
【0063】発明者らは、以下の条件でこの第4実施例
(図17)の構造を備えた分散補償ファイバを試作し
た。具体的には、Δ+ =2.1%、Δ- =−0.35
%、ΔP=0.08%とし、ΔJの値を、0%、0.0
3%、0.08%、0.12%と変えた複数種のファイ
バ母材を作製した。また、線引時の張力を9.8kg/
mm2 とし、かつ、線引速度を一定として各ファイバ母
材を線引し、2a=2.7μm、2b=7.7μm、2
c=46μmの分散補償ファイバを作製した。なお、得
られた各分散補償ファイバの、波長1.55μmの光に
対する分散特性は、波長分散値が−101ps/km/
nmであり、分散スロープが−0.3ps/km/nm
2である。
【0064】上述した各ΔJの値を有する分散補償ファ
イバごとに、波長1.55μmの光に対する光伝送損失
を測定した結果を図18に示す。この図18に示された
グラフからも分るように、第3クラッド4に添加された
塩素の添加量の割合が増加するにつれて(比屈折率差Δ
Jが小さくなるにつれて)、光伝送損失が減少している
ことが分かる。
【0065】なお、発明者らは、上述した第2実施例の
試料について第3クラッド4の非屈折率差ΔJと光伝送
損失との関係が、図12に示されたグラフに略一致する
ことを確認した。また、発明者らは、上述した第3実施
例の試料についても、第3クラッド4の非屈折率差ΔJ
と光伝送損失との関係が、上述の図18に示されたグラ
フに略一致することを確認した。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る分
散補償ファイバは、実質的に光信号の伝搬に寄与しない
ガラス領域であって第2クラッド3あるいは純粋石英ガ
ラスに比べて所定温度におけるガラス粘性が低下するよ
う制御された第3クラッド4を第2クラッド3の外側に
設けたので、線引を実施した場合には、より低温でのフ
ァイバ母材の線引が可能になるため、コア1に高濃度の
GeO2 を添加したタイプの分散補償ファイバを製造す
る場合にも、光伝送損失をより低減させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る分散補償ファイバの断面構造、
対応する光強度分布、及び対応する屈折率プロファイル
を示す図である。
【図2】純粋石英ガラスに添加される代表的な屈折率制
御用の不純物について、その添加量と所定温度における
そのガラス粘性との関係を示すグラフである。
【図3】純粋石英ガラスに添加されるフッ素の添加量
(wt%)と、純粋石英ガラスを基準としたその比屈折
率差(%)との関係を示すグラフである。
【図4】第2クラッドの外径算出にあたって示した参考
図であり、屈折率プロファイルとそれに対応する光強度
分布を示す図である。
【図5】試作した分散補償ファイバの構造及び諸特性を
示す図表である(Δ+=2.5%の場合)。
【図6】試作した分散補償ファイバの構造及び諸特性を
示す図表である(Δ+=2.1%の場合)。
【図7】この発明に係る分散補償ファイバの製造工程の
一部を示す工程図である。
【図8】図7に示された工程を経て得られたファイバ母
材の構造を示す図である。
【図9】この発明に係る分散補償ファイバの第1実施例
の屈折率プロファイルを示す図である。
【図10】実験1で試作された第1実施例の分散補償フ
ァイバについて、ΔJ(純粋石英ガラスを基準とした第
3クラッドの比屈折率差)と光伝送損失との関係を示す
グラフである。なお、試作された各分散補償ファイバ
の、波長1.55μmの光に対する分散特性は、波長分
散値が−144ps/km/nmであり、分散スロープ
が−0.45ps/km/nm2である。
【図11】実験2で試作された第1実施例の分散補償フ
ァイバについて、ΔJ(純粋石英ガラスを基準とした第
3クラッドの比屈折率差)と光伝送損失との関係を示す
グラフである。なお、試作された各分散補償ファイバ
の、波長1.55μmの光に対する分散特性は、波長分
散値が−100ps/km/nmであり、分散スロープ
が−0.2ps/km/nm2である。
【図12】実験3で試作された第1実施例の分散補償フ
ァイバについて、ΔJ(純粋石英ガラスを基準とした第
3クラッドの比屈折率差)と光伝送損失との関係を示す
グラフである。なお、試作された各分散補償ファイバ
の、波長1.55μmの光に対する分散特性は、波長分
散値が−85ps/km/nmであり、分散スロープが
−0.2ps/km/nm2である。
【図13】実験1で試作された分散補償ファイバについ
て、製造時の線引張力と光伝送損失との関係を示すグラ
フである(実験4)。
【図14】光ファイバ製造時において、線引速度が一定
の場合における、一般的な線引張力と線引温度との関係
を示すグラフである。
【図15】この発明に係る分散補償ファイバの第2実施
例の屈折率プロファイルを示す図である。
【図16】この発明に係る分散補償ファイバの第3実施
例の屈折率プロファイルを示す図である。
【図17】この発明に係る分散補償ファイバの第4実施
例の屈折率プロファイルを示す図である。
【図18】試作された第4実施例の分散補償ファイバに
ついて、ΔJ(純粋石英ガラスを基準とした第3クラッ
ドの比屈折率差)と光伝送損失との関係を示すグラフで
ある。
【図19】従来の分散補償ファイバの構造及びそれに対
応する屈折率プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
1…コア、2…第1クラッド、3…第2クラッド、4…
第3クラッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−198978(JP,A) 特開 平2−139504(JP,A) 特開 平6−11620(JP,A) 特開 平6−222235(JP,A) 特開 平7−270636(JP,A) 特開 平5−155639(JP,A) SPIE VOL.1171,Fiber and Amplifiers (1989),pp.181−191 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/54

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その外径が2〜4μmであってGeO2
    が10mol%以上添加されたコア部と、該コア部の外
    周に形成され、かつ、その屈折率が該コア部よりも低く
    設定されたクラッド部とを備えた、石英ガラスを主成分
    とする分散補償ファイバにおいて、 前記クラッド部は、前記コア部の外周に密着して形成さ
    れ、その外径が4〜20μmであり、かつ、屈折率を低
    下させるための不純物が添加されたガラス領域であっ
    て、光学的クラッドの一部を構成する第1クラッドと、 前記第1クラッドの外周に密着して形成され、かつ、該
    第1クラッドの屈折率よりも高い屈折率を有するガラス
    領域であって、該第1クラッドとともに前記光学的クラ
    ッドを構成する第2クラッドと、 前記第2クラッドの外周に密着して形成され、かつ、所
    定温度において該第2クラッドよりも低いガラス粘性を
    有するガラス領域であって、物理的クラッドを構成する
    第3クラッドと、 を備えたことを特徴とする分散補償ファイバ。
  2. 【請求項2】 その外径が2〜4μmであってGeO2
    が10mol%以上添加されたコア部と、該コア部の外
    周に形成され、かつ、その屈折率が該コア部よりも低く
    設定されたクラッド部とを備えた、石英ガラスを主成分
    とする分散補償ファイバにおいて、 前記クラッド部は、前記コア部の外周に密着して形成さ
    れ、その外径が4〜20μmであり、かつ、屈折率を低
    下させるための不純物が添加されたガラス領域であっ
    て、光学的クラッドの一部を構成する第1クラッドと、 前記第1クラッドの外周に密着して形成され、かつ、該
    第1クラッドの屈折率よりも高い屈折率を有するととも
    に所定温度におけるガラス粘性が純粋石英ガラスよりも
    低いガラス領域であって、該第1クラッドとともに前記
    光学的クラッドを構成する第2クラッドと、 前記第2クラッドの外周に密着して形成され、かつ、所
    定温度における純粋石英ガラスよりも低いガラス粘性を
    有するガラス領域であって、物理的クラッドを構成する
    第3クラッドと、 を備えたことを特徴とする分散補償ファイバ。
  3. 【請求項3】 前記第2クラッドは、塩素が0.25〜
    1wt%添加されたガラス領域であることを特徴とする
    請求項2記載の分散補償ファイバ。
  4. 【請求項4】 前記第1クラッドは、フッ素が所定量添
    加されたガラス領域であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項記載の分散補償ファイバ。
  5. 【請求項5】 前記第3クラッドは、フッ素が0.1〜
    2wt%添加されたガラス領域であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか一項記載の分散補償ファイバ。
  6. 【請求項6】 前記第3クラッドは、塩素が0.25〜
    1wt%添加されたガラス領域であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか一項記載の分散補償ファイバ。
  7. 【請求項7】 波長1.55μm帯の光に対し、その光
    伝送損失が1dB/km以下であることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか一項記載の分散補償ファイバ。
  8. 【請求項8】 波長1.55μm帯の光に対し、その波
    長分散値が−50ps/km/nm以下であり、かつ、
    波長分散スロープが負であることを特徴とする請求項1
    〜7のいずれか一項記載の分散補償ファイバ。
  9. 【請求項9】 5〜16kg/mm2の張力によって線
    引されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項
    記載の分散補償ファイバ。
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