JP4413407B2 - 光ファイバおよびそれを用いた光伝送路 - Google Patents

光ファイバおよびそれを用いた光伝送路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば波長多重光伝送を行なう際に用いられる光ファイバおよびそれを用いた光伝送路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報社会の発展により、通信情報量が飛躍的に増大する傾向にあり、このような情報の増大化に伴い、波長多重伝送(WDM伝送)が通信分野に広く受け入れられ、今や波長多重伝送の時代を迎えている。波長多重光伝送は、複数の波長の光を1本の光ファイバで伝送できるため、大容量高速通信に適した光伝送方式であり、現在、この伝送技術の検討が盛んに行なわれている。
【0003】
また、現在は、この種の波長多重伝送を、通常の光増幅器の利得帯域である波長1.55μm帯(例えば1530nm〜1570nmのように、波長1550nmをほぼ中心とした波長帯。以後、波長1.55μm帯という用語は、この意味で用いる。)で行なうことが検討されている。
【0004】
なお、周知の如く、光通信の伝送網として、波長1.3μm付近の波長帯に零分散を持つシングルモード光ファイバ(以下、単にシングルモード光ファイバという)が世界中に敷設されており、このシングルモード光ファイバは非線形性や伝送損失、偏波依存性損失などの特性が比較的優れているが、波長多重伝送用の波長帯として検討されている波長1.55μm帯で大きな正の分散値(約17ps/nm/km)と正の分散勾配(約0.06ps/nm2/km)を有する。
【0005】
そのため、これらの分散値と分散勾配を補償する手段を講じないと、シングルモード光ファイバを用いて波長1.55μm帯における波長多重伝送を行なうことは困難である。そこで、シングルモード光ファイバの波長1.55μm帯における分散値と分散勾配を短い長さの光ファイバにより補償できるモジュール型分散補償光ファイバが盛んに検討されている。例えばこの種のモジュール型分散補償光ファイバのうち、波長1.55μmにおける分散値の絶対値を伝送損失で割った値(FOM)を200程度としたものが提案されている。
【0006】
なお、上記モジュール型分散補償光ファイバの例として、マッチドクラッドファイバのような単峰型の分散補償光ファイバが提案されたが、この種の分散補償光ファイバは波長1.55μm帯における分散値を負にできても、分散スロープを負にはできない。そのため、一波長の分散が補償されても分散スロープが増大してしまう。
【0007】
そこで、波長1.55μm帯において負の分散スロープを有する光ファイバとして、例えば図6に示すように、クラッド5よりも屈折率が高いセンタコア1の外周側にクラッド5よりも屈折率が低いサイドコア12を設けたW型の分散補償光ファイバが提案された。この種の分散補償光ファイバは、波長1.55μm帯における分散値と分散スロープ光ファイバを共に負にできる。そのため、W型の分散補償光ファイバは、波長1.55μm帯におけるシングルモード光ファイバの分散と分散スロープを補償するモジュール型分散補償光ファイバとして注目されてきた。
【0008】
なお、分散補償光ファイバによる分散補償性能は、次の式(1)で定義される補償率で表現すると分かりやすく、補償率の値が100%に近いほど広帯域分散補償が可能となる。
【0009】
補償率={S(DCF)/S(SMF)}/{D(DCF)/D(SMF)}
×100・・・・・(1)
【0010】
この補償率を波長1.55μm帯において波長多重伝送を行なうことに対応させて定義した場合、(1)の式中、S(DCF)は分散補償光ファイバの波長1.55μm帯における分散スロープの平均値であり、S(SMF)は伝送用のシングルモード光ファイバの波長1.55μm帯での分散スロープの平均値である。また、D(DCF)は分散補償光ファイバの波長1.55μmにおける分散値であり、D(SMF)は伝送用のシングルモード光ファイバの波長1.55μmにおける分散値である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように短いファイバ長でもって分散を補償するために、分散補償光ファイバに高い負の分散と負の分散スロープを持たせるためには、分散補償光ファイバの屈折率分布を定める各種パラメータの条件が非常に厳しくなり、製造が難しくなる上に、負の高い分散と分散スロープを持たせる屈折率構造にすると必然的に非線形現象が生じやすくなり、光ファイバのモードフィールド径や実効コア断面積も小さくなる。前記非線形現象が生じると、信号波形の歪みが生じ、波長多重光伝送の高速化、大容量化を行う上で新たな問題となる。
【0012】
また、光ファイバの実効コア断面積が小さくなると、光ファイバの曲げによる伝送損失が大きくなるという問題や、シングルモード光ファイバと接続したときの接続損失が大きくなるといった問題が生じることになる。
【0013】
そこで、分散補償光ファイバを単にモジュール化した分散補償専用の光ファイバとすることから発想を転換し、シングルモード光ファイバとほぼ同じ長さの分散補償光ファイバを接続して、シングルモード光ファイバを伝搬して来る光信号の分散を分散補償光ファイバによって補償しながら光信号を長距離伝送できる線路用の分散補償光ファイバが提案されるようになった。
【0014】
例えばECOC’97 Vol.1 p127等には、シングルモード光ファイバと逆の分散特性を有する分散補償光ファイバを光伝送路用として適用する提案が成されている。この種の線路用の分散補償光ファイバは、波長1.55μm帯における分散値が−20ps/nm/km〜−10ps/nm/km程度である。
【0015】
しかしながら、上記線路用の分散補償光ファイバは、モジュール型分散補償光ファイバに比べて低非線形であるものの、シングルモード光ファイバに比べれば非線形現象が生じ易いものである。
【0016】
そこで、本発明者は、さらに発想を転換し、上記のようなシングルモード光ファイバと逆の分散特性を有する分散補償光ファイバをシングルモード光ファイバと同じ長さで接続して、波長多重伝送用の伝送路を形成するよりも、例えばシングルモード光ファイバの半分以下の長さでシングルモード光ファイバの分散を補償でき、かつ、低非線形性、低損失、低偏波モード分散特性を有する光ファイバを、シングルモード光ファイバと接続して光伝送路を形成することにより、波長多重伝送により適した新たな光伝送路を形成できると考えた。
【0017】
本発明は、上記のような考えに基づいてなされたものであり、正分散光ファイバの分散を補償する機能と光伝送線路の一部としての機能を併せ持つ、低非線形性、低損失、低偏波モード分散特性の光ファイバを提供することを本発明の第1の目的とし、さらに、本発明の第2の目的は、光伝送用正分散光ファイバと前記光ファイバを接続して成る非線形特性や低曲げ損失特性、光伝送特性等に優れた光伝送路を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散値を−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/km以下の値とし、前記波長における分散値を波長1530〜1570nmにおける分散スロープの平均値で割った値を346463とし、前記波長1.55μmにおける分散値の絶対値を伝送損失で割った値を204.3以上314.4以下とし、波長1.55μmにおける伝送損失を0.278dB/km以下0.255dB/km以上とし、コア径を8.8μm以上10.2μm以下とし、屈折率分布形状がα乗プロファイルと成しているセンタコアの外周側を該センタコアよりも屈折率が低い第1サイドコアで覆い、該第1サイドコアの外周側を第1サイドコアよりも屈折率が高く前記センタコアの屈折率最大部よりも屈折率が低い第2サイドコアで覆い、該第2サイドコアの外周側を該第2サイドコアよりも屈折率が低く前記第1サイドコアよりも屈折率が高いクラッドで覆って形成されており、前記センタコアの屈折率最大部のクラッドに対する比屈折率差をΔ1とし、前記第1サイドコアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔ2とし、前記第2サイドコアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ1を1.22%以上1.48%以下とし、Δ2を−0.59%以上−0.48%以下とし、Δ3を0.29%以上0.35%以下とし、前記αを2以上4以下とし、第1サイドコアの半径をセンタコアの半径の2.1倍以上2.2倍以下とし、第2サイドコアの半径をセンタコアの半径の3.2倍以上3.3倍以下とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0019】
また、第2の発明の光ファイバは、上記第1の発明の構成に加え、波長1.55μmにおける実効コア断面積を20.3μm以上25.6μm以下とし、前記波長における偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0020】
さらに、第3の発明の光ファイバは、上記第1又は第2の発明の構成に加え、波長1.55μmにおける曲げ直径20mmでの曲げ損失を20dB/m以下とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
さらに、第4の発明の光伝送路は、少なくとも波長1.55μmにおける分散値が10ps/nm/km以上25ps/nm/km以下の正分散光ファイバと、該正分散光ファイバの約9分の1以上約2分の1以下の長さを有する第1乃至第3のいずれか一つの発明の光ファイバを接続して形成した構成をもって課題を解決する手段としている。
【0022】
さらに、第の発明の光伝送路は、上記第の発明の構成に加え、正分散光ファイバと第1乃至第のいずれか一つの発明の光ファイバとの間に、波長範囲が波長1530nm〜1570nmである波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを接続し、該波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバの長さを該波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバに直接接続されている正分散光ファイバの長さの100分の1以下とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0023】
本発明では、例えば、波長1.3μm帯に零分散を持つ(より具体的には波長1.31μmに零分散を持つ)シングルモード光ファイバ等の正分散光ファイバに、シングルモード光ファイバの長さに対して約9分の1以上約2分の1以下の長さだけ、本発明の光ファイバが接続されて光伝送路が形成される。
【0024】
例えば信号光送信側に正分散光ファイバを接続した場合を考えると、光伝送路を用いて波長1.55μm帯の光信号を用いて波長多重光伝送を行うと、波長1.55μm帯の各波長は正分散光ファイバを伝送するにつれ、正の分散が増加して行く。その後、波長多重の各波長の光信号は、正分散光ファイバから本発明の光ファイバに切り替わって伝送される。
【0025】
本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおいて−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/km以下の範囲の負の分散値を有しており、波長1.55μmにおける正分散光ファイバの分散値を約10〜25ps/nm/kmとすると、本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散の絶対値が正分散光ファイバの分散値の約2倍〜約9倍である。
【0026】
したがって、本発明の光ファイバを、その分散値に応じて、正分散光ファイバの約9分の1以上約2分の1以下の長さだけ接続することにより、正分散光ファイバを伝搬して来ることによって増加した分散は、本発明の光ファイバの分散値によって、本発明の光ファイバを伝搬して行くにつれ次第に減殺される方向に補償されて行く。そして、本発明の光ファイバの終端側で、波長多重の各波長の分散はほぼ零に補償されて受信されることになる。
【0027】
また、本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散値を分散スロープで割った値が正であり、分散値が負であるから、分散スロープが負である。そのため、正分散光ファイバの波長1.55μm帯における正の分散スロープは、本発明の光ファイバによって減殺される。
【0028】
また、本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける伝送損失を0.30dB/km以下としているので、波長多重光を本発明の光ファイバに通したときに、現在用いられているシングルモード光ファイバに分散補償モジュールを接続した光伝送系に波長多重光を通したときと同程度の損失でもって、支障無く光伝送できる。
【0029】
さらに、周知の如く、有効コア断面積を大きくすることにより非線形現象による歪みを抑制できるので、前記波長1.55μmにおける実効コア断面積を20.3μm以上25.6μm 以下とした本発明の光ファイバにおいては、非線形現象による歪みをより一層確実に抑制できる。また、波長1.55μmにおける偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下とすると、波長多重光を本発明の光ファイバに通したときに、現在用いられているシングルモード光ファイバに波長多重光を通したときと同程度の偏波モード分散による歪みでもって、支障なく伝送させることが可能となる。
【0030】
さらに、前記波長1.55μmにおける曲げ直径20mmでの曲げ損失を20dB/m以下とした本発明の光ファイバは、光ファイバの曲げによる伝送損失の増大を確実に防止できる。
【0031】
また、屈折率分布形状がα乗プロファイルと成しているセンタコアの外周側を該センタコアよりも屈折率が低い第1サイドコアで覆い、該第1サイドコアの外周側を第1サイドコアよりも屈折率が高く前記センタコアよりも屈折率が低い第2サイドコアで覆い、該第2サイドコアの外周側を該第2サイドコアよりも屈折率が低く前記第1サイドコアよりも屈折率が高いクラッドで覆って形成することで、本発明の光ファイバの前記設定される条件を備えた屈折率構造の光ファイバを容易に製造することが可能となる。
【0032】
さらに、上記屈折率プロファイルにおいて、前記センタコアのクラッドに対する比屈折率差Δ1を1.22%以上1.48%以下とし、αを2以上4以下とすることにより、波長1.55μmにおいて−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/km以下の範囲の負の分散値を有し、かつ、波長1.55μmにおける実効コア断面積が20.3μm以上25.6μm 以下の光ファイバを確実に形成できる。
【0033】
さらに、第1サイドコアのクラッドに対する比屈折率差をΔ2としたとき、Δ2を−0.59%以上−0.48%以下とし、第2サイドコアのクラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ3を0.29%以上0.35%以下とし、第1サイドコアの半径をセンタコアの半径の2.1倍以上2.2倍以下とし、第2サイドコアの半径をセンタコアの半径の3.2倍以上3.3倍以下としたことで、さらに、より一層、低非線形性と低曲げ損失性を確実に図ることが可能となる。
【0034】
このように、本発明の光ファイバの屈折率プロファイルを最適化することにより、本発明の光ファイバと正分散光ファイバを有して構成される波長多重光伝送路の光伝送特性を高めることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づき説明する。図1には本発明に係る光ファイバの一実施形態例の屈折率分布プロファイルが示されている。光ファイバの屈折率分布のプロファイルとしては、様々な形態の屈折率プロファイルのものとすることが可能であるが、本実施形態例では、構造が比較的単純で、屈折率構造の設計、制御がしやすく、伝送損失も小さい、図1に示すような屈折率プロファイルを採用している。
【0036】
本実施形態例の光ファイバの屈折率構造は、屈折率分布形状がα乗プロファイルと成しているセンタコア1の外周側を該センタコア1よりも屈折率が低い第1サイドコア2で覆い、該第1サイドコア2の外周側を第1サイドコア2よりも屈折率が高く前記センタコア1の屈折率最大部よりも屈折率が低い第2サイドコア3で覆い、該第2サイドコア3の外周側を該第2サイドコア3よりも屈折率が低く前記第1サイドコア2よりも屈折率が高いクラッド5で覆って形成されている。
【0037】
また、本実施形態例において、クラッド5は純シリカ(SiO)の層により形成されており、第1サイドコア2は純シリカ(SiO)に屈折率を低くするフッ素(F)をドープすることにより形成されており、また、センタコア1と第2サイドコア3は純シリカに屈折率を高めるゲルマニウム(Ge)をドープすることにより形成されている。
【0038】
さらに、本実施形態例の光ファイバは、前記センタコア1の屈折率最大部のクラッド5に対する比屈折率差をΔ1としたとき、Δ1を1.0%以上1.6%以下とし、前記αを2以上4以下としている。また、第1サイドコアのクラッドに対する比屈折率差をΔ2としたとき、Δ2を−0.65%以上−0.3%以下とし、第2サイドコアのクラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ3を0.15%以上0.40%以下としている。
【0039】
なお、図1に示す屈折率構造において、センタコア1の屈折率最大部の屈折率をn、第1サイドコア2の屈折率をns1、第2サイドコア3の屈折率をns2、クラッド5の屈折率をnとしたとき、センタコア1の屈折率最大部のクラッド5に対する比屈折率差Δ1は次の(2)式により定義している。
【0040】
Δ1={(n −n )/2n }×100・・・・・(2)
【0041】
また、第1サイドコア2のクラッド5に対する比屈折率差Δ2は次の(3)式により定義している。
【0042】
Δ2={(ns1 −n )/2ns1 }×100・・・・・(3)
【0043】
さらに、第2サイドコア3のクラッド5に対する比屈折率差Δ3は次の(4)式により定義している。
【0044】
Δ3={(ns2 −n )/2ns2 }×100・・・・・(4)
【0045】
さらに、本実施形態例において、第1サイドコア2の半径bはセンタコア1の半径aの1.7倍以上2.3倍以下、第2サイドコア3の半径cはセンタコア1の半径aの2.4倍以上3.5倍以下と成している。
【0046】
本実施形態例の光ファイバは、正分散光ファイバを伝搬することにより発生する分散を補償する機能と、光信号を伝搬する伝送路としての機能とを併せ持つ構成とし、さらに、本実施形態例の光ファイバをシングルモード光ファイバ等の正分散光ファイバと1:1の長さで接続するのではなく、例えば正分散光ファイバの約9分の1〜約2分の1の長さの本実施形態例の光ファイバを正分散光ファイバに接続して、正分散光ファイバにより発生する分散を補償しようとするものである。
【0047】
そこで、本実施形態例の光ファイバの波長1.55μmにおける分散値を、−90ps/nm/km以上−50ps/nm/kmに設定し、正分散光ファイバの分散値の絶対値の約2倍から6倍としている。
【0048】
また、本実施形態例の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散値を波長1.55μm帯における分散スロープの平均値で割った値を250〜500とし、正分散光ファイバに本実施形態例の光ファイバを接続したときの補償率を100%に近い値にしている。
【0049】
さらに、本実施形態例の光ファイバは、光信号を伝搬する伝送路としての機能を優先させたことで、屈折率プロファイル設計の制約が緩やかとなり、低非線形性伝送路が容易に形成できることとなった。
【0050】
具体的には、本実施形態例の光ファイバは、波長1.55μmにおける各特性値を以下の値とした。すなわち、分散値の絶対値を伝送損失で割った値(FOM)を180以上とし、実効コア断面積を20μm以上とし、偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下とし、曲げ直径20mmでの曲げ損失を20dB/m以下とした。また、波長1.55μmにおける伝送損失を0.3dB/km以下とした。
【0051】
なお、本発明者は、上記特性を有する本実施形態例の光ファイバの屈折率プロファイルを特定するために、以下のような検討を行なった。
【0052】
まず、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差Δ1を多少小さくしても、第2サイドコア3の効果によって曲げ損失の増大抑制が可能な、図1に示す構成の屈折率プロファイルを決定した。そして、この屈折率プロファイルにおいて、比屈折率差Δ1を1.3%に設定した。
【0053】
なお、従来のモジュール型分散補償光ファイバにおいては、例えばセンタコアのクラッド5に対する比屈折率差Δ1を2.0%程度に大きくしているが、本実施形態例の光ファイバは線路用であるために、比屈折率差Δ1の値を上記のように2.0%よりも小さい値である1.3%に設定した。
【0054】
そして、比屈折率差Δ2、Δ3を変数として光ファイバの特性の変化を検討した。例えば、比屈折率差Δ3を0.25%とし、センタコア1の半径a:第1サイドコア2の半径b:第2サイドコア3の半径c=1:2:3にし、比屈折率差Δ2をパラメータとして表1のように様々に変化させて形成される光ファイバについて、表1に示す各特性をシミュレーションにより求めた。
【0055】
なお、以下に示す各表において、分散は波長1.55μmにおける分散値、slopeは波長1.55μm帯における分散スロープ(分散勾配)の平均値、補償率は、前記式(1)から求められる値、Aeffは波長1.55μmの光を伝搬したときの実効コア断面積、λcはカットオフ波長、伝搬屈折率β/kは波長1.55μmの光に対する伝搬屈折率であり、伝搬屈折率の値は伝搬条件の良さを示す指数となる。
【0056】
【表1】
Figure 0004413407
【0057】
表1から明らかなように、比屈折率差Δ2の値が−0.6%近くになると、実効コア断面積が23μm以下となって低非線形の実現が徐々に厳しくなり、また、伝搬屈折率が1.44589となり、曲げ損失が増加する危険性の観点からも厳しくなる。一方、比屈折率差Δ2が−0.4%に近づいていくと、分散特性(分散値の絶対値及び補償率)が実用可能であるが最適ではない値となることが分かった。そこで、比屈折率差Δ2の値は−0.50〜−0.55%程度が最適値であると判断した。
【0058】
次に、上記結果に基づき、比屈折率差Δ2を−0.55%として、センタコアの半径aと第1サイドコアの半径bの割合(a/b)を変えていった場合に、表1に示した各特性がどう変化するかをシミュレーションにより検討した。その結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0004413407
【0060】
表2より、上記割合(a/b)の値を0.50付近にすると、分散値の絶対値の大きさが最大で、実効コア断面積も23μm以上と大きく、補償率も90%程度となるので、上記割合(a/b)の値は0.50付近に最適値があると判断した。
【0061】
また、比屈折率差Δ3およびセンタコアの半径aと第2サイドコアの半径cの割合(a/c)に関しても、上記と同様の検討を行なったところ、比屈折率差Δ3の最適値は0.32%程度、上記割合(a/c)の最適値は0.35程度であることが分かった。
【0062】
なお、一般的に、比屈折率差Δ3を大きくしたり、第2サイドコア3の幅を広くする(換言すれば、a/cを小さくする)と、実効コア断面積は拡大していき、分散値の絶対値は大きくなるが、第2サイドコア3の屈折率や幅を大きくするとカットオフ波長が大きくなる。このカットオフ波長が光信号の波長より長くなってしまうと、光信号の波長におけるシングルモード条件を満たすことができなくなってしまう。
【0063】
また、一般的に、比屈折率差Δ1を小さくしていくと、分散値が正の側に移動する一方、実効コア断面積が大きくなり、より低非線形、低損失、低偏波依存性損失が達成され、その逆に、比屈折率差Δ1を大きくしていくと、実効コア断面積が小さくなるが分散値の絶対値は大きくなる。
【0064】
したがって、上記検討結果は、いずれも比屈折率差Δ1を1.3%として行なったものであるが、比屈折率差Δ1を適宜に変化させれば、用途に応じて所望の特性を得られる可能性があるので、あらゆる比屈折率差Δ1の値に関して、上記と同様の検討を行なって他のパラメータの最適化を行なった。
【0065】
図2には、比屈折率差Δ1の値を様々に変化させたときの光ファイバの分散値(特性線)と実効コア断面積の値(特性線)がそれぞれ示されている。比屈折率差Δ1の値を大きくしすぎると、伝送損失や偏波依存性損失等の劣化を伴い、一方、比屈折率差Δ1の値を小さくしていくと、実効コア断面積は大きくなるが、分散の絶対値が小さくなってしまう。そこで、比屈折率差Δ1の最適値は、1.0%以上1.6%以下、好ましくは1.2%以上1.6%以下に決定した。
【0066】
そして、この比屈折率差Δ1の範囲に対応させて、あらゆるパラメータの最適値を検討し、本実施形態例では、最適な屈折率プロファイルとして、αの範囲を2以上4以下とし、第1サイドコア2のクラッド5に対する比屈折率差をΔ2の範囲を−0.65%以上−0.3%以下とし、第2サイドコア3のクラッド5に対する比屈折率差Δ3の範囲を0.15%以上0.40%以下に決定した。また、第1サイドコア2の半径bをセンタコア1の半径aの1.7倍以上2.3倍以下とし、第2サイドコア3の半径cをセンタコア1の半径aの2.4倍以上3.5倍以下に決定した。
【0067】
その結果、本実施形態例の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散値を−90ps/nm/km以上−50ps/nm/kmとして、正分散光ファイバの分散値の絶対値の約2倍から9倍とし、正分散光ファイバの約9分の1以上約2分の1以下の長さで正分散光ファイバの分散を補償できるようにし、かつ、波長1.55μmにおける実効コア断面積を20μm以上とする等、低非線形、低損失の伝送路を形成できる光ファイバとなった。
【0068】
図3には、上記実施形態例の光ファイバを用いた光通信システムの一例が示されている。同図において、31は光送信部、35は光受信部を示しており、同図に示すシステムは、光増幅器32、正分散光ファイバ33、上記実施形態例の光ファイバ34を順に接続した構成体36を、光送信部31と光受信部35との間に複数(同図では2個)直列に接続したものである。なお、前記の如く、正分散光ファイバ33は、従来のシングルモード光ファイバと同様に、波長1.55μm帯において正の分散と正の分散スロープを有する。
【0069】
それぞれの構成体36において、上記実施形態例の光ファイバ34は正分散光ファイバ33の分散と分散スロープを補償できるように、正分散光ファイバの長さの約9分の1以上約2分の1以下の長さとしている。
【0070】
この光伝送路においては、正分散光ファイバ33と上記実施形態例の光ファイバ34が、互いに分散と分散スロープを相殺し合い、正分散光ファイバ33を伝搬して来ることによって増加した分散は、上記実施形態例の光ファイバ34の分散値によって、上記実施形態例の光ファイバ34を伝搬して行くにつれ次第に減殺される方向に補償される。そして、上記実施形態例の光ファイバ34の終端側で、波長多重の各波長の分散はほぼ零に補償される。
【0071】
この光伝送路は、例えば波長1500nm〜1600nmに渡って、±1ps/nm/km以下の低分散も達成できる。さらに、この光伝送路は、例えばC−Bandと呼ばれる波長1530nm〜1565nmについては、0.5ps/nm/km以下という超低分散も達成可能である。
【0072】
また、上記実施形態例の光ファイバは、前記の如く波長1.55μmにおける実効コア断面積が大きいものの、正分散光ファイバに比べると小さいので、光増幅器32の出力側に直接正分散光ファイバ33を接続し、その出力側に上記実施形態例の光ファイバ34を接続している。
【0073】
すなわち、周知の如く、非線形現象は、光ファイバに入力される入力光の強度が大きいほど発生しやすいため、強い光信号の出力側(図3では各光増幅器32の出力側)に近い光ファイバを低非線形の正分散光ファイバ33とし、その出力側に上記実施形態例の光ファイバ34を接続することにより、非線形現象による波形歪みの抑制をより一層確実にしている。
【0074】
さらに、周知の如く、正分散光ファイバは、低非線形であるだけでなく、低損失であるので、従来提案されていた光伝送路のように、線路用の分散補償光ファイバをシングルモード光ファイバ等の正分散光ファイバと同じ長さだけ接続して形成する場合に比べ、図3に示すシステムのように、正分散光ファイバの長さを上記実施形態例の光ファイバより長くして光伝送路を形成することにより、非線形現象による波形歪みと損失の両方を抑制できる優れた光伝送路にできる。
【0075】
また、正分散光ファイバ33と上記実施形態例の光ファイバ34との間に、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを接続して光伝送路を形成してもよい。この場合、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバの長さは、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバに直接接続されている正分散光ファイバ33の長さの100分の1以下とする。
【0076】
上記波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバのモードフィールド径は、正分散光ファイバ33のモードフィールド径と上記実施形態例の光ファイバ34のモードフィールド径の間の範囲内の値である。上記波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを正分散光ファイバ33と光ファイバ34との間に介設すると、正分散光ファイバ33と光ファイバ34とのモードフィールド径の違いを波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバにより緩和できるので、光伝送路全体における接続損失を低減することができる。
【0077】
また、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバの長さは、正分散光ファイバ33の長さの100分の1以下であるため、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを設けることによって光伝送路の分散特性等にも全くといっていいほど影響を与えない。
【0078】
図4には、上記実施形態例の光ファイバを用いた光通信システムのさらに別の例が示されている。同図に示すシステムは、光送受信器37,38の間の光伝送路により双方向通信を行なうものであり、正分散光ファイバ33aと正分散光ファイバ33bとの間に上記実施形態例の光ファイバ34を介設している。
【0079】
このシステムにおいても、上記実施形態例の光ファイバ34は正分散光ファイバ33a,33bの分散と分散スロープを補償できるように、正分散光ファイバの長さの約9分の1以上約2分の1以下の長さとしている。
【0080】
この図4に示すシステムにおいても、図3に示すシステムと同様の効果を奏することができる。また、図4に示すシステムは、双方向システムであるため、光送受信器37,38に近い側に正分散光ファイバ33a,33bを設けることにより、光送受信器37,38のどちらから信号光を送信しても、より低非線形な正分散光ファイバ33a,33bに最初に信号光が入射されるため、非線形現象もより確実に抑制できる。
【0081】
(実施例)
次に、本実施形態例の光ファイバの実施例について説明する。本発明者は、上記のようなシミュレーション結果を参考に、実施例1、2として、表3に示す比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3と、センタコア1の半径aと第1サイドコア2の半径bと第2サイドコア3の半径cとの比a:b:cと、コア径(第2サイドコア3の外径)とを有する光ファイバを決定した。
【0082】
【表3】
Figure 0004413407
【0083】
なお、表3には、これらの光ファイバにおける波長1.55μmにおける分散値と、波長1.55μmにおける分散値を波長1.55μm帯における分散スロープの平均値で割った値(DPS)、波長1.55μmにおける実効コア断面積(Aeff)、伝搬定数(β/k)、カットオフ波長(λc)のシミュレーション結果も示してある。
【0084】
上記光ファイバの屈折率プロファイルは、上記実施形態例におけるシミュレーションで求めた最適値の付近とし、Δ1を小さくすることで、低非線形性化と高補償率化の両立を図ることにした。
【0085】
次に、表3に示す屈折率プロファイルの光ファイバを実際に試作し、その特性を測定した。この結果が表4に示されており、表4の試作例1、2は、表3の実施例1の屈折率プロファイルを有し、表4の試作例4〜6は、表3の実施例2の屈折率プロファイルを有している。また、比屈折率差Δ1が表3の実施例1と実施例2の中間の値(Δ1=1.35)となる光ファイバを試作し、この光ファイバを試作例3として、その特性も表4に示した。
【0086】
【表4】
Figure 0004413407
【0087】
表4から明らかなように、試作例1〜6は、いずれも波長1.55μmにおける分散値が、−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/kmとなり、波長1.55μmにおける分散値を波長1.55μm帯における分散スロープの平均値で割った値(DPS)が311463の範囲内の値である。
【0088】
そのため、試作例1〜6の光ファイバを、シングルモード光ファイバ等の正分散光ファイバの約9分の1〜約2分の1の長さだけ正分散光ファイバに接続し、その補償率を100%に近い値とすることができ、波長1.55μm帯において低分散の光伝送路を構築できる。
【0089】
例えばこれら試作例1〜6の光ファイバを用いて図3に示したような光通信システムを形成した場合、波長1.55μm帯を含む1500〜1600nmの波長帯において、±1ps/nm/km程度の低分散を得られることが確認できた。
【0090】
また、試作例1〜6の各光ファイバは、波長1.55μmにおける実効コア断面積を20.3μm 以上25.6μm 以下とし、特に大きいものでは実効コア断面積を25μm以上として、従来例の前記モジュール型分散補償光ファイバ(実効コア断面積が18μm)に比べて大きく、低非線形性を達成できており、さらに伝送損失も小さくできることが確認された。
【0091】
また、試作例3の光ファイバをシングルモード光ファイバと融着接続により接続し、その接続損失を測定したところ、1.0dB程度であった。また、試作例3の光ファイバとシングルモード光ファイバとの間に、波長1.55μmにおけるモードフィールド径が約8μmの分散シフト光ファイバを介設したところ、分散シフト光ファイバの両端側の接続損失を合わせても、その値は0.6dB程度となった。
【0092】
このように、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバをシングルモード光ファイバと上記実施形態例の光ファイバとの間に介設すると、正分散光ファイバと上記実施形態例の光ファイバとのモードフィールド径の違いを波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバにより緩和でき、光伝送路全体における伝送損失を低減できることが確認できた。
【0093】
図5には、長さ40kmのシングルモード光ファイバと長さ10kmの試作例3の光ファイバとの間に、長さ2mの上記分散シフト光ファイバを介設して形成した光伝送路全体の分散特性が示されている。同図から明らかなように、波長1530nm〜1570nmにおける分散値は±0.02ps/nm/km程度であり、非常に良好な(平坦な)分散特性を得ることができた。
【0094】
また、図5に示す特性を有する光伝送路は、光ファイバの長さをシングルモード光ファイバの長さの約4分の1としているので、伝送損失や非線形性の面でも良好な特性が得られている。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態例および実施例に限定されることはなく様々な実施の態様を採り得る。例えば、本発明の光伝送路は、実施例で用いたシングルモード光ファイバの代わりに、波長1.55μm帯における分散値が10ps/nm/km以上25ps/nm/km以下の光ファイバから成る正分散光ファイバを用いて構成してもよい。本発明の光伝送路に適用される正分散光ファイバの例を表5に示す。
【0096】
【表5】
Figure 0004413407
【0097】
表5において、CSF(Cutoff Shifted Fiber)は、カットオフ波長を長波長側にシフトさせた光ファイバであり、FF(FullyFluoride doped fiber)は、クラッド層をF層とした、純シリカコアファイバであり、Aeff拡大光ファイバは、最近盛んに検討されている、実効コア断面積を拡大した光ファイバである。
【0098】
このような各光ファイバを用いて正分散光ファイバを形成し、これらの正分散光ファイバに、その合計の長さの約9分の1以上約2分の1以下の長さの本発明の光ファイバを接続して光伝送路を形成した場合も、上記実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0099】
【発明の効果】
本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける分散値を−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/km以下の値とし、波長1.55μmにおける分散値を波長1.55μm帯における分散スロープの平均値で割った値を346463としたものであるから、シングルモード光ファイバ等の波長1.55μmにおける分散値が10ps/nm/km以上25ps/nm/km以下の光ファイバから成る正分散光ファイバに、その約9分の1以上約2分の1以下の長さの本発明の光ファイバを接続することにより、正分散光ファイバの分散と分散スロープを補償することができる。
【0100】
また、本発明の光ファイバは、波長1.55μmにおける伝送損失を0.3dB/km以下としたので、シングルモード光ファイバと分散補償モジュールとを組み合わせた光伝送系の平均伝送損失とほぼ同程度の損失でもって、波長1.55μm帯の光を伝送することができる。
【0101】
また、本発明の光ファイバは、光信号を伝搬する伝送路としての機能を優先しているので、屈折率分布を規制する条件を緩やかにでき、これに伴い、例えば波長1.55μmにおける実効コア断面積を20.3μm以上25.6μm 以下とし、前記波長1.55μmにおける偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下とすることができ、このように、低非線形、低偏波依存性損失を達成できる。
【0102】
なお、偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下とするために、屈折率プロファイルの最適化のみで実現したが、例えば、偏波モード分散値を低下させる技術(特開平6―171970号等)を用いることにより、さらに偏波モード分散値を低下させることが可能である。
【0103】
さらに、波長1.55μmにおける曲げ直径20mmでの曲げ損失を20dB/m以下とした本発明の光ファイバは、曲げ損失も確実に低減でき、より一層光伝送路として適した光ファイバとすることができる。
【0104】
さらに、本発明の光ファイバにおいて、その屈折率プロファイルを特定した構成によれば、製造が容易で、上記のような優れた性質を有する光ファイバを確実に提供することができる。
【0105】
さらに、本発明の光伝送路によれば、少なくとも波長1.31μm帯に零分散をもつシングルモード光ファイバ等の波長1.55μmにおける分散値が10ps/nm/km以上25ps/nm/km以下の正分散光ファイバと、該正分散光ファイバの約9分の1以上約2分の1以下の長さを有する本発明の光ファイバを接続することにより、波長1.55μm帯における分散特性がフラットで、かつ、低非線形性を有し、さらに、曲げ損失も小さく、伝送される波長多重光の歪みも小さい優れた波長多重光伝送システムの構築を図ることができる。
【0106】
さらに、正分散光ファイバと本発明の光ファイバとの間に、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを接続した光伝送路によれば、正分散光ファイバと本発明の光ファイバとのモードフィールド径差により生じる接続損失に比べ、光が正分散光ファイバと波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバとのモードフィールド径差により生じる接続損失に、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバと本発明の光ファイバとのモードフィールド径差により生じる接続損失を加えた値の方が小さくなる。
【0107】
したがって、この構成の光伝送路は、光伝送路の損失を小さくすることが可能となり、また、前記波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバの長さを波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバに直接接続されている正分散光ファイバの長さの100分の1以下とすることによって、波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバがもつ分散スロープの影響を光伝送路に与えることがないために、波長1.55μm帯において、低損失性とフラットな分散特性を併せ持ち、さらに、本発明の光ファイバの優れた特性により、優れた波長多重光伝送システムの構築を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光ファイバの一実施形態例の屈折率分布プロファイルを示す図である。
【図2】 上記実施形態例における光ファイバのΔ1の値と波長1.55μmにおける分散値および実効コア断面積の関係を示すグラフである。
【図3】 上記実施形態例の光ファイバを用いた光通信システム例を示す説明図である。
【図4】 上記実施形態例の光ファイバを用いた光通信システムの別の例を示す説明図である。
【図5】 本発明に係る光伝送路の一実施例の分散特性を示すグラフである。
【図6】 W型の屈折率プロファイルの説明図である。
【符号の説明】
1 センタコア
2 第1サイドコア
3 第2サイドコア
5 クラッド
32 光増幅器
33 正分散光ファイバ
34 本発明の光ファイバ

Claims (5)

  1. 波長1.55μmにおける分散値を−87.4ps/nm/km以上−52.1ps/nm/km以下の値とし、前記波長における分散値を波長1530〜1570nmにおける分散スロープの平均値で割った値を346463とし、前記波長1.55μmにおける分散値の絶対値を伝送損失で割った値を204.3以上314.4以下とし、波長1.55μmにおける伝送損失を0.278dB/km以下0.255dB/km以上とし、
    コア径を8.8μm以上10.2μm以下とし、
    屈折率分布形状がα乗プロファイルと成しているセンタコアの外周側を該センタコアよりも屈折率が低い第1サイドコアで覆い、該第1サイドコアの外周側を第1サイドコアよりも屈折率が高く前記センタコアの屈折率最大部よりも屈折率が低い第2サイドコアで覆い、該第2サイドコアの外周側を該第2サイドコアよりも屈折率が低く前記第1サイドコアよりも屈折率が高いクラッドで覆って形成されており、
    前記センタコアの屈折率最大部のクラッドに対する比屈折率差をΔ1とし、
    前記第1サイドコアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔ2とし、
    前記第2サイドコアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、
    Δ1を1.22%以上1.48%以下とし、
    Δ2を−0.59%以上−0.48%以下とし、
    Δ3を0.29%以上0.35%以下とし、
    前記αを2以上4以下とし、
    第1サイドコアの半径をセンタコアの半径の2.1倍以上2.2倍以下とし、
    第2サイドコアの半径をセンタコアの半径の3.2倍以上3.3倍以下としたことを特徴とする光ファイバ。
  2. 波長1.55μmにおける実効コア断面積を20.3μm以上25.6μm以下とし、前記波長における偏波モード分散値を0.20ps/km1/2以下としたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  3. 波長1.55μmにおける曲げ直径20mmでの曲げ損失を20dB/m以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光ファイバ。
  4. 少なくとも波長1.55μm帯における分散値が10ps/nm/km以上25ps/nm/km以下の正分散光ファイバと、該正分散光ファイバの約9分の1以上約2分の1以下の長さを有する請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の光ファイバを接続して形成したことを特徴とする光伝送路。
  5. 正分散光ファイバと請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の光ファイバとの間に、波長範囲が波長1530nm〜1570nmである波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバを接続し、該波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバの長さを該波長1.55μm帯に零分散をもつ光ファイバに直接接続されている正分散光ファイバの長さの100分の1以下としたことを特徴とする請求項4記載の光伝送路。
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