JP3643012B2 - 分散補償光ファイバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1.53μmよりも短波長側に零分散波長を有する伝送用の光ファイバを用いて1.53〜1.62μm帯の光信号を伝送したときに生じる波長分散と分散スロープを同時に補償する分散スロープ補償型の分散補償光ファイバに関し、特に非線形効果を低減したものである。
【0002】
【従来の技術】
1.53〜1.62μmから選ばれる波長帯を使用波長帯とした最近の光通信システムにおいては、通信速度の高速化、伝送距離の長距離化、大容量化が急速に進んでいる。
長距離化を図るための技術としては、エルビウム添加光ファイバ増幅器によって、所定距離毎に光信号を増幅する超長距離無再生中継などが既に商用化されている。
また、大容量化を図るための技術としては、波長多重伝送が挙げられる。そして、さらなる大容量化を図るため、波長多重数を増大し、波長帯域を拡大する方向に開発が進んでいる。
【0003】
このようなシステムにおいて、伝送用の光ファイバには、例えば以下のような特性が求められる。
通信速度の高速化においては、小さい波長分散を有し、かつ波長分散が零ではないことが好ましい。波長分散が零の場合は非線形効果のひとつである4光子混合が発生しやすくなり、伝送特性が劣化するからである。
波長多伝送においては、さらに、分散スロープが小さいことも重要である。分散スロープは、波長を横軸、波長分散を縦軸にとったときのグラフの傾きである。分散スロープが小さいと、波長多重する各波長の光信号間の伝送状態のばらつきが小さくなり、伝送特性の劣化を防ぐことができる。
長距離化においては、さらに、非線形効果が発生しにくいことも重要である。非線形効果が発生すると伝送特性が劣化するが、特に上述のようにエルビウム光増幅器を用いた場合は、増幅による光信号の強度の急激な増加により、非線形効果が発生しやすくなるからである。また、波長多重伝送においては、そもそも伝送する光信号のパワーが大きいため、エルビウム光増幅器の増幅により、非線形効果による伝送劣化が大きくなりやすいという問題もある。
【0004】
非線形学効果の大きさは、
2/Aeff
で表される。ここで、n2は光ファイバの非線形屈折率、Aeffは光ファイバの有効断面積である。非線形効果を低減するためには、n2を小さくするか、Aeffを大きくする必要があるが、n2が材料に固有の値であるため石英系の光ファイバでは大きく低減させることは困難である。そのため、現在の非線形抑制光ファイバの開発は有効断面積を大きくすることに主眼が置かれている。
【0005】
ところで、1.53〜1.62μmを使用波長帯とするシステムにおいて、1.55μmの波長分散を零付近に設計した分散シフト光ファイバは、波長分散の観点からは好ましい。
しかし、従来の分散シフト光ファイバは、分散スロープを小さくすると、大きな有効断面積を実現できないという問題があった。
【0006】
そこで、既に世界中に構築されている1.3μm帯シングルモード光ファイバ網を用いてこの使用波長帯の光信号を伝送する試みがなされている。この使用波帯における1.3μm用シングルモード光ファイバの有効断面積は比較的大きいため、非線形効果を抑制することができる。
1.3μm用シングルモード光ファイバを用いてこの使用波長帯の光信号を伝送すると、約+17ps/nm/kmの波長分散が生じ、伝送特性が大きく劣化するため、分散補償光ファイバを組み合わせたシステムが提案され、商用化されている。
分散補償光ファイバは、この使用波長帯において負の波長分散を有しているため、1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散を相殺することができる。その結果、システム全体の伝送特性の劣化を防ぎ、高速通信化が可能となる。
【0007】
また、この使用波長帯において、1.3μm用シングルモード光ファイバは正の分散スロープを有しているため、負の分散スロープを備えた分散補償光ファイバによって、波長分散とともに分散スロープを補償するシステムが提案されている。
分散スロープ補償型の分散補償光ファイバとしては、図2に例示したW型屈折率分布を有するものなどが開発されている。
この屈折率分布は、コア11と、その外周上に設けられたクラッド12とからなり、コア11は、中心のクラッド12よりも高い屈折率を備えた中心コア部13と、その外周上に設けられた、前記クラッド12よりも低い屈折率を備えた中間コア部14とから構成されている。
【0008】
そして、クラッド12に対する中間コア12の比屈折差Δ12と、クラッド12に対する中心コア部11の比屈折率差Δ11、および中心コア部13の外径2a2と中間コア部14の外径2b2との比率を調節することにより、1.3μm用シングルモード光ファイバの正の波長分散と正の分散スロープを同時に補償できる特性が得られる。
【0009】
さらに、曲げ損失の改善、分散スロープの特性改善の観点から、図1に例示したセグメント付きW型の屈折率分布を有する分散スロープ補償型の分散補償光ファイバも開発されている。
この屈折率分布は、コア1と、その外周上に設けられたクラッド2とからなり、コア1は中心のクラッド2よりも高い屈折率を備えた中心コア部3と、その外周上に設けられた、前記クラッド2よりも低い屈折率を備えた中間コア部4と、その外周上に設けられた、前記クラッド2よりも高い屈折率を備えたリングコア部5とから構成されている。
【0010】
この場合もクラッド2に対する中心コア部3の比屈折率差Δ1、クラッド2に対する中間コア部4の比屈折率差Δ2、クラッド2に対するリングコア部5の比屈折率差Δ3、および中心コア部3の外径a1に対する中間コア部4の外径b1の比率、および中心コア部3の外径a1に対するリングコア部5の外径c1の比率を調節することによって、1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを同時に補償できる特性が得られることが報告されている。
【0011】
また、これらの分散スロープ補償型の分散補償光ファイバは、従来、例えば適当な筐体内に収められモジュールとして光通信システムに組み込まれていた。しかし、最近では分散補償光ファイバ自体をケーブル化して伝送路に挿入しようという検討が行われ、いくつか報告がなされている。
分散補償光ファイバ自体を伝送路として用いることができれば、モジュールの配置スペースを省略でき、かつ光信号が透過する光ファイバの長さを実質的に短くすることができるため、システム全体の伝送特性を向上させることができるためである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、波長分散と分散スロープの補償および低損失化に重点を置いた分散スロープ補償型の分散補償光ファイバについては報告されているが、有効断面積の拡大についての有効な検討、報告はなされていない。
上述のように高速化、長距離化、波長多重化のためには、非線形効果の抑制が必須であり、分散スロープ補償型の分散補償光ファイバを伝送路として挿入する場合には、やはり、非線形効果を有効に抑制できる程度の有効断面積を備えていなければ実用化が困難となる場合がある。
【0013】
そこで、本発明においては、波長分散と分散スロープを補償するという本来の機能を維持しつつ、低損失、かつ低非線形を実現できる分散スロープ補償型の分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
具体的には、低非線形実現のために、大きな有効断面積を備えた分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の分散補償ファイバは、下記(1)〜(7)の条件を満足することを特徴とする。
(1)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、有効断面積が30μm 以上である。
(2)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
(3)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、波長分散が−40〜−10ps/nm/kmである。
(4)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、1.55μmにおける波長分散が+17ps/nm/kmであり、分散スロープが+0.060ps/nm 2 /kmである1.3μm帯シングルモード光ファイバと接続した伝送路全体の波長分散の絶対値が4.0ps/nm/km以下、分散スロープの絶対値が0.03ps/nm /km以下である。
(5)カットオフ波長が1.54〜1.69μ m である。
(6)コアと、その外周上に形成されたクラッドとを備え、前記コアが、前記クラッドよりも高い屈折率を備えた中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を備えた中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を備えたリングコア部とからなり、前記クラッドが純粋石英の屈折率の値以下の屈折率を備えている。
(7)中心コア部の外径を2a 、中間コア部の外径を2b 、リングコア部の外径を2c としたとき、2.0≦b /a ≦3.0、2.5≦c /a ≦4.0であり、
クラッドに対する中心コア部の比屈折率差Δ が0.6〜0.9%、クラッドに対する中間コア部の比屈折率差Δ が−0.30〜−0.50%、クラッドに対するリングコア部の比屈折率差Δ が0.4〜0.9%である。
また、本発明の分散補償光ファイバの製造方法は、下記(11)〜(17)の条件を満足する様に、分散補償光ファイバを設計し、製造することを特徴とする。
(11)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、有効断面積が30μm 以上である。
(12)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
(13)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、波長分散が−40〜−10ps/nm/kmである。
(14)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、1.55μmにおける波長分散が+17ps/nm/kmであり、分散スロープが+0.060ps/nm 2 /kmである1.3μm帯シングルモード光ファイバと接続した伝送路全体の波長分散の絶対値が4.0ps/nm/km以下、分散スロープの絶対値が0.03ps/nm /km以下である。
(15)カットオフ波長が1.54〜1.69μ m である。
(16)コアと、その外周上に形成されたクラッドとを備え、前記コアが、前記クラッドよりも高い屈折率を備えた中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を備えた中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を備えたリングコア部とからなり、前記クラッドが純粋石英の屈折率の値以下の屈折率を備えている。
(17)中心コア部の外径を2a 、中間コア部の外径を2b 、リングコア部の外径を2c としたとき、2.0≦b /a ≦3.0、2.5≦c /a ≦4.0であり、
クラッドに対する中心コア部の比屈折率差Δ が0.6〜0.9%、クラッドに対する中間コア部の比屈折率差Δ が−0.30〜−0.50%、クラッドに対するリングコア部の比屈折率差Δ が0.4〜0.9%である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、使用波長帯は、1.53μm〜1.62μmから、用途に応じて所定の波長幅の領域が選択される。例えば1.53〜1.57μm、1.57〜1.62μmあるいは1.53〜1.62μm全体などである。
有効断面積は以下の式
【0016】
【数1】
Figure 0003643012
【0017】
で表される。
有効断面積が大きい程、低非線形となり、好ましい。本発明においては、前記使用波長帯において、30μm2以上、好ましくは35μm2以上のものが得られる。なお、有効断面積の上限値は特に定めるものではないが、実質的には40μm2以下の範囲のものであれば製造可能である。30μm2未満になると非線形効果の抑制効果が小さくなり不都合である。
【0018】
本発明において、曲げ損失は曲げ直径20mmの値をいう。曲げ損失はできるだけ小さい方が好ましい。本発明においては、前記使用波長帯において、40dB/m以下、好ましくは30dB/m以下、実質的には0.1〜10dB/mの範囲のものが得られる。40dB/mをこえると敷設時に付与されるわずかな曲げなどによって損失が増加するため不都合である。
【0019】
本発明の分散補償光ファイバの前記使用波長帯における波長分散は、−40〜−10ps/nm/km、好ましくは−18〜−25ps/nm/kmの範囲とされる。−10ps/nm/kmよりも大きく、ゼロに近くなると、伝送用の光ファイバの正の波長分散を補償することが困難となる。−40ps/nm/kmよりも小さいものはAeffの値が小さくなってしまい、実質的に製造することが困難である。
【0020】
また、本発明の分散補償光ファイバは、正の波長分散と正の分散スロープを備えた伝送用の光ファイバと、所定の使用長で接続して伝送路を構成したとき、この伝送路全体の波長分散の絶対値が4.0ps/nm/km以下、好ましくは2.0ps/nm/km以下になるように、前記伝送用の光ファイバの波長分散を補償することができ、同時に伝送路全体の分散スロープの絶対値が0.03ps/nm2/km以下、好ましくは0.01ps/nm2/km以下となるように、前記伝送用の光ファイバの分散スロープを補償することができるように設計されている。
【0021】
補償対象の伝送用の光ファイバの代表例は1.3μm用シングルモード光ファイバであるが、例えば本発明の使用波長帯の下限値である1.53μmよりも短波長側に零分散波長を備えているものであれば特に限定せずに用いることができる。
分散補償光ファイバの使用長さは、上述のように補償対象とする伝送用の光ファイバの特性などによって設定する。本発明においては、分散補償光ファイバ自体が伝送路として用い得る低損失、かつ低非線形な特性を備えているため、比較的長い使用長さであっても伝送路全体の伝送損失の劣化を招くことがない。特に限定するものではないが、分散補償光ファイバの使用長さは伝送用の光ファイバに対して1.0〜2.5倍とされる。
【0022】
また、分散補償光ファイバの最適な分散スロープは、補償する伝送用の光ファイバの分散スロープと使用長さによって変化するため、特に限定するものではないが、例えば−0.05〜−0.12ps/nm2/km程度であると好ましい。
【0023】
また、本発明の分散補償光ファイバは、シングルモード光ファイバを補償するものであるため、前記使用長さにおいて、カットオフ波長がシングルモード伝搬を保証する値をとることが好ましい。
カットオフ波長は、通常CCITTの2m法によって測定した値が用いられるが、実際の長尺の使用状態では2m法におけるカットオフ波長が使用波長よりも長くても、シングルモード伝搬を行うことができる。したがって、カットオフ波長は、使用長さを考慮して、実際の使用状態で実質的にシングルモード伝搬を保証する値とされる。
【0024】
これらの特性を得るために、本発明の分散補償光ファイバにおいては、図1に例示したセグメント付きW型の屈折率分布を備えていることが第1の条件となる。
すなわち、この屈折率分布形状は、コア1と、その外周上に形成されたクラッド2とを備えている。そして、このコア1が、前記クラッド2よりも高い屈折率を備えた中心コア部3と、該中心コア部3の外周上に設けられ、前記クラッド2より低い屈折率を備えた中間コア部4と、この中間コア部4の外周上に設けられ、前記クラッド2よりも高い屈折率を備えたリングコア部5とからなる。
【0025】
この屈折率分布において、例えば、コア1とリングコア部5はゲルマニウム添加石英ガラス、中間コア部4はフッ素添加石英ガラス、クラッド2は純石英ガラス、あるいはフッ素添加石英ガラスなどから形成されている。
なお、クラッド2は、純石英ガラスの屈折率の値以下の屈折率を有すると好ましい。その理由は、コア1とクラッド2の軟化温度の差を小さくすることにより、線引き後に中心コア部3などに残留する応力を小さくでき、低損失な光ファイバを得ることができるためである。
【0026】
この屈折率分布において、中心コア部の外径を2a1中間コア部の外径を2b1、リングコア部の外径を2c1としたとき、2.0≦b1/a1≦3.0、2.5≦c1/a1≦4.0であり、クラッド2に対する中心コア部3の比屈折率差Δ1が0.6〜0.9%、クラッド2に対する中間コア部4の比屈折率差Δ2が−0.30〜−0.50%、クラッド2に対するリングコア部5の比屈折率差Δ3が0.4〜0.9%であると好ましい。
【0027】
1/a1が2.0未満であると中間コア部4の効果が減少し、Aeffが小さくなり、3.0をこえると曲げ損失が大きくなり、使用できなくなる。c1/a1が2.5未満ではリングコア部5の効果が減少し、Aeffが小さくなり、4.0をこえると曲げ損失が小さくなり、使用できなくなる。。
また、比屈折率差Δ1が0.6%未満では曲げ損失が大きくなり、0.9%をこえるとAeffが小さくなる。また、比屈折率差Δ2が−0.30%よりも大きくなると(クラッド2の屈折率に近くなると)Aeffは小さくなり、−0.50%よりも小さくなると曲げ損失が大きくなり、使用できなくなる。また、比屈折率差Δ3が0.4%未満であるとリングコア部5の効果が減少し、Aeffが小さくなり、0.9%をこえると曲げ損失が大きくなり、使用できなくなる。
【0028】
本発明の分散補償光ファイバにおいては、図1に示したセグメント付きW型の屈折率分布を有し、かつ各構造パラメータが上述の数値範囲を満足していたとしても、必ずしも上述の特性を備えている分散補償光ファイバが得られるとは限らない。すなわち、b1/a1、c1/a1、Δ1、Δ2、Δ3の5つの数値範囲から、上述の特性を実現できるように試行錯誤を行って適切な値を選択することによってはじめて、本発明の分散補償光ファイバが得られる。
したがって、本発明の分散補償光ファイバにおいては、単純に構造パラメータに係る数値範囲によって特定することが困難であるため、特性値によって発明を特定することとした。なお、このような特性は従来の分散補償光ファイバでは得られていなかったことは言うまでもない。
【0029】
本発明の分散補償光ファイバは、例えば、通常のVAD法とOVD法との組み合わせや、MCVD法、PCVD法などによって製造することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
【0031】
[比較例]
VAD法やMCVD法などの公知の方法により、GeO2添加石英ガラスからなる第1層と、その外周上に設けられたSiO2からなる第2層とを備えた円柱状の多孔質体を作製した。なお、第2層径/第1層径=4.0であった。
この多孔質体を、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、He 5L/min SiF4 1L/minの雰囲気でフッ素添加および透明ガラス化を同時に行ってロッドを製造した。
このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して、ファイバ母材を作製した。ついで、線引きして図1に示したW型の屈折率分布を有する分散補償光ファイバを作製した。
分散補償光ファイバの使用波長1.55μmにおける光学特性を表1に示した。なお、表1中のMFDとはモードフィールド径、波長とは光学特性の測定波長(使用波長)である。
【0032】
【表1】
Figure 0003643012
【0033】
表1中の分散補償率は、1.3μm用シングルモード光ファイバの単位長さ当たりの分散スロープの絶対値に対する分散補償光ファイバの単位長さ当たりの分散スロープの絶対値の割合を示している。
なお、一般的な1.3μm帯シングルモード光ファイバの1.55μmにおける波長分散は+17ps/nm/km、分散スロープは+0.060ps/nm2/kmである。
【0034】
表1より、この分散補償光ファイバの波長分散は−16.2ps/nm/kmなので、便宜上、1kmの1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散を零にして、完全に補償できる分散補償光ファイバの使用長さは1.05kmであった。
そして、この分散補償光ファイバの分散スロープは−0.057ps/nm2/kmなので、この使用長さ(1.05km)の分散補償光ファイバの分散スロープは−0.060ps/nm2であり、前記1.3μm用シングルモード光ファイバの1kmの分散スロープを完全に補償することができることがわかった。
【0035】
ついで、同様の使用長さの比率で1.3μm用シングルモード光ファイバとこの分散補償光ファイバとを接続し、全長45kmの伝送路を構築した。
この伝送路の後半に使用されている分散補償光ファイバのAeffが25.1μm2であり、小さいため、非線形効果による伝送特性の劣化が大きく、伝送容量を大容量化したり、伝送距離を長くして、長距離大容量伝送に適用することは困難であることがわかった。
【0036】
[実施例]
各層のサイズなどを変更して比較例と同様にしてロッドを製造した。ついで、このロッドを延伸し、その周囲にリングコア部用とクラッド用のGeO2添加石英ガラスとSiO2からなる多孔質体をそれぞれ外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、He雰囲気で透明ガラス化して母材とした。ついで延伸して図1に示したセグメント付きW型の屈折率分布を備えた分散補償光ファイバを作製した。
表2、3に得られた分散補償光ファイバの構造パラメータおよび、使用波長1.55μmにおける光学特性を示した。
【0037】
【表2】
Figure 0003643012
【0038】
【表3】
Figure 0003643012
【0039】
表2、3に示した結果より、本発明に係るNo2〜6の分散補償光ファイバにおいては、いずれも標準的な1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償することができるものであった。
なお、表3中の使用長さとは、便宜上、1kmの1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散を零にして、完全に補償できる分散補償光ファイバの使用長さを示した。
また、伝送路全体の波長分散または分散スロープとは、1kmの1.3μm用シングルモード光ファイバと、前記使用長さの分散補償光ファイバとを接続したときの単位長さ当たりの波長分散または分散スロープを示した。
【0040】
また、同じ使用長さの比率で1.3μm用シングルモード光ファイバと分散補償光ファイバを接続して全長45kmの長さの伝送路を構築した。この伝送路の後半に使用されている分散補償光ファイバのAeffは30μm2以上と大きいため、非線形効果による伝送特性の劣化が小さく、伝送容量を大きくしたり、伝送距離を延ばして長距離大容量伝送を行うことができることがわかった。
また、この伝送路に使用した使用長さにおいて、分散補償光ファイバはシングルモード伝搬可能であった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の分散補償光ファイバにおいては、波長分散と分散スロープを補償するという本来の機能を維持しつつ、低損失、かつ低非線形を実現できる分散スロープ補償型の分散補償光ファイバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セグメント付きW型の屈折率分布の一例を示した概略図である。
【図2】 W型の屈折率分布の一例を示した概略図である。
【符号の説明】
1…コア、2…クラッド、3…中心コア部、4…中間コア部、5…リングコア部

Claims (2)

  1. 下記(1)〜(7)の条件を満足することを特徴とする分散補償光ファイバ。
    (1)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、有効断面積が30μm 以上である。
    (2)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
    (3)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、波長分散が−40〜−10ps/nm/kmである。
    (4)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、1.55μmにおける波長分散が+17ps/nm/kmであり、分散スロープが+0.060ps/nm 2 /kmである1.3μm帯シングルモード光ファイバと接続した伝送路全体の波長分散の絶対値が4.0ps/nm/km以下、分散スロープの絶対値が0.03ps/nm /km以下である。
    (5)カットオフ波長が1.54〜1.69μ m である。
    (6)コアと、その外周上に形成されたクラッドとを備え、前記コアが、前記クラッドよりも高い屈折率を備えた中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を備えた中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を備えたリングコア部とからなり、前記クラッドが純粋石英の屈折率の値以下の屈折率を備えている。
    (7)中心コア部の外径を2a 、中間コア部の外径を2b 、リングコア部の外径を2c としたとき、2.0≦b /a ≦3.0、2.5≦c /a ≦4.0であり、
    クラッドに対する中心コア部の比屈折率差Δ が0.6〜0.9%、クラッドに対する中間コア部の比屈折率差Δ が−0.30〜−0.50%、クラッドに対するリングコア部の比屈折率差Δ が0.4〜0.9%である。
  2. 下記(11)〜(17)の条件を満足する様に、分散補償光ファイバを設計し、製造することを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法。
    (11)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、有効断面積が30μm 以上である。
    (12)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
    (13)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、波長分散が−40〜−10ps/nm/kmである。
    (14)1.53μm〜1.62μmから選択した使用波長帯において、1.55μmにおける波長分散が+17ps/nm/kmであり、分散スロープが+0.060ps/nm 2 /kmである1.3μm帯シングルモード光ファイバと接続した伝送路全体の波長分散の絶対値が4.0ps/nm/km以下、分散スロープの絶対値が0.03ps/nm /km以下である。
    (15)カットオフ波長が1.54〜1.69μ m である。
    (16)コアと、その外周上に形成されたクラッドとを備え、前記コアが、前記クラッドよりも高い屈折率を備えた中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を備えた中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を備えたリングコア部とからなり、前記クラッドが純粋石英の屈折率の値以下の屈折率を備えている。
    (17)中心コア部の外径を2a 、中間コア部の外径を2b 、リングコア部の外径を2c としたとき、2.0≦b /a ≦3.0、2.5≦c /a ≦4.0であり、
    クラッドに対する中心コア部の比屈折率差Δ が0.6〜0.9%、クラッドに対する中間コア部の比屈折率差Δ が−0.30〜−0.50%、クラッドに対するリングコア部の比屈折率差Δ が0.4〜0.9%である。
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