JP3066453B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3066453B2
JP3066453B2 JP3244928A JP24492891A JP3066453B2 JP 3066453 B2 JP3066453 B2 JP 3066453B2 JP 3244928 A JP3244928 A JP 3244928A JP 24492891 A JP24492891 A JP 24492891A JP 3066453 B2 JP3066453 B2 JP 3066453B2
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正男 阿部
彰 大谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子伝導性の導電性高分
子層を有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真は1938年にC.F.カール
ソンが発明して以来、多くの研究者が改良を重ね、現在
ではこの電子写真技術による電子複写機が一般の生活に
まで深く浸透している。
【0003】実用化されている電子写真感光体の基本構
成は支持体と感光層から成る。電子写真プロセスにより
静電像を得るには、感光層上の帯電電荷が露光部でのみ
支持体と導通状態になることにより消去されなければな
らない。従って、支持体は導電性である必要があり、ア
ルミニウム、ステンレス、銅、真鍮等の金属で作製され
る場合が多い。紙やプラスチックチックの絶縁材料の表
面に金属箔をラミネートしたり、金属を蒸着したりして
導電性を付与することも可能であるが、その実例は少な
い。
【0004】電子写真感光体の支持体の形状としてはド
ラム状、シート状、ベルト状等があるが、主流はドラム
状である。ドラム状支持体の場合、金属ドラム(シリン
ダー)の外周面に感光層を形成している。そして、この
感光層形成に際し、金属シリンダー表面に必然的に存在
する局部的な欠陥(凹凸)の隠蔽、金属素材中に含まれ
る不純物による局部電池形成で金属が腐食して画像欠陥
を生ずることを防止すること、金属シリンダーの表面粗
さを小さくするための表面研磨の省略、感光層の塗工性
と接着性の向上、および感光層の電気的破壊に対する保
護等の目的で金属シリンダー表面に先ず中間層を形成
し、この中間層上に感光層を形成するようにしている。
【0005】このような中間層に関しては、例えば、電
子写真学会誌,25(3),90(1986)に記載さ
れている。この中間層は支持体としての金属シリンダー
と感光体層を結びつける層であり、感光層から見れば支
持体の一部と見なすことができ、従って導電性である必
要がある。そして、この中間層は「導電層=Con−d
uctive Pigment Layer」とも呼ば
れている。
【0006】電子写真感光体における中間層としては、
(a)塩化リチウム、塩化ナトリウム等の電解質をポリ
ビニルアルコール等の水溶性ポリマーに溶解したもの、
(b)四級アンモニウム塩構造を有するポリマー、ポリ
スチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸アンモニウム等
の高分子電解質を用いるもの(特開昭55−25029
号公報)、あるいは(c)特開昭60−32054号公
報、特開昭60−111255号公報、特開昭61−1
10153号公報、特開昭61−129654号公報、
特開昭62−115467号公報に記載されているよう
に酸化アンチモン、酸化スズ、ニッケル、銅、銀、アル
ミニウム、カーボン、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸
化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム
等の導電性粉末を熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂中
に分散させたもの、等が既に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(a)および(b)の材料はイオン伝導性であるため、
湿度変化による電気抵抗の変動が大きく、この材料で形
成した導電層は低湿度環境では高抵抗値を示すので、電
子写真感光体の中間層としては実用性が欠ける。また、
(c)では導電性粉末が不溶性であるため、熱可塑性樹
脂あるいは熱硬化性樹脂中に分散させるにはボールミ
ル、サンドミル、ロールミル等を用いて長時間(例え
ば、24時間といったような)分散混合する必要があ
り、生産性が低いという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来技術の有
する上記問題を解決するため鋭意研究の結果、中間層を
電子伝導性の導電性高分子により形成することにより所
期の目的が達成されることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0009】即ち、本発明に係る電子写真感光体は支持
体と感光層の間に、電子伝導性の導電性高分子層を有す
ることを特徴とするものである。
【0010】本発明において用いられる導電性高分子は
電子伝導性のものである。「導電性高分子」なる用語は
広義には「イオン伝導性」の高分子電解質タイプのもの
をも含むものとして用いられることもあるが、本発明に
おける導電性高分子は「電子伝導性」のもののみを対象
としており、「イオン伝導性」のものを含むものではな
い。
【0011】電子伝導性の導電性高分子としては、ポリ
アセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等を挙げる
ことができるが、これらは一般に溶剤に不溶性であるた
め、溶液状態として支持体上に塗布することができな
い。
【0012】導電性高分子の応用範囲を拡大させるため
溶解性を付与する研究が進められ、近年、溶剤可溶性の
導電性高分子が開発された。本発明に用いる電子伝導性
の導電性高分子は、これら溶剤可溶性の導電性高分子を
意味し、その具体例としてはポリアニリン、3位に置換
基を有するポリチオフェン、3位に置換基を有するポリ
ピロール、3位および4位に置換基を有するポリチオフ
ェン、3位および4位に置換基を有するポリピロール等
を挙げることができる。そして、置換基としては、アル
キル基、アルコキシル基、アルキルカルボニル基、アル
コキシカルボニル基等があり、これら置換基はいずれも
C数1〜30程度のものである。本発明者はこれら電子
伝導性および溶剤可溶性を有する導電性高分子を中間層
として用いた電子写真感光体は、イオン伝導性高分子と
異なり低湿度環境下でも電気抵抗が増加せず、高い導電
度を維持することを知った。
【0013】溶剤可溶性のポリアニリンについては、本
出願人が既に特開平3−28229号公報において提案
しており、本発明においてもこのポリアニリンを好適に
用いることができる。電解酸化重合あるいは化学酸化重
合により得られていた従来のポリアニリンは溶剤には不
溶性であったが、本出願人提案の上記ポリアニリンは溶
剤可溶性である。
【0014】この溶剤可溶性ポリアニリンは下記化4を
主たる繰り返し単位として有する有機重合体であって、
【0015】
【化4】
【0016】(式中、mおよびnはそれぞれ繰り返し単
位中のキノンジイミン構造およびフェニレンジアミン構
造のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n
=1である。)
【0017】脱ドープ状態において457.9nmの波
長の光で励起して得られるレーザーラマンスペクトルに
おけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600c
-1よりも高波数に現れる骨格延伸振動のラマン線強度
Iaと、1600cm-1よりも低波数に現れる骨格延伸
振動のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.0以上で
あるものである。また、この溶剤可溶性ポリアニリンは
pka値(酸解離定数)が4.8以下のプロトン酸によ
りドープされていてもよい。
【0018】この溶剤可溶性ポリアニリンの合成法、溶
剤への溶解性、これをドーピングするためのプロトン
酸、脱ドープ方法、レーザーラマンスペクトル等につい
ては特開平3−28229号公報に詳細に開示されてお
り、本発明の実施に際しこの開示を参照することは好ま
しいことである。
【0019】本発明に好適に用いることができる溶剤可
溶性ポリアニリンの別の例を述べる。このポリアニリン
も本出願人が特開平3−52929号公報において既に
提案したものである。従って、本発明の実施に際しこの
ポリアニリンを適用する場合には上記公報の開示を参照
することができる。
【0020】この溶剤可溶性ポリアニリンは下記化5を
主たる繰り返し単位として有する有機重合体であって、
【0021】
【化5】
【0022】電子受容体(アクセプター)によりドープ
されているものである。
【0023】上記電子受容体は下記式で表される有機電
子受容体であるのが好ましい。
【0024】Q−(A)p (式中Qは下記化6で表され、またAは相互に異なって
いてもよい一価の電子吸引性基を示し、pは1〜4の整
数である。)
【0025】
【化6】
【0026】式Q−(A)pで示される電子受容体にお
ける電子吸引性基としては、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、シアノ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル
基等が挙げられる。
【0027】また、かような有機電子受容体に代え、F
eCl3 、SbCl5 、CuCl2 、I2 等の無機電子
受容体(ルイス酸)を用いることもできる。
【0028】電子写真感光体における導電層形成材料と
して要求される導電性の度合いはそれほど高くなく、電
導度の値で10-3〜10-13 S/cm好ましくは10-4
〜10-12 S/cmである。
【0029】そして、上記した溶剤可溶性ポリアニリン
はいずれもドーピング率の高いドープ状態では電導度が
10-1〜101 S/cm程度であり、脱ドープ状態では
10 -6〜10-13S/cm程度である。
【0030】ポリアニリン等の導電性高分子の電導度
は、ドーピング率が比較的低い領域ではドーピング率の
増加に対応して高くなる。従って、電子写真感光体の導
電層形成用に用いる場合には、必要とする電導度となる
ようにドーピング率を調整すればよい。ドーピング率の
調整は、ドーピング試薬であるドーパントの導電性高分
子に対する添加量の増減により行なうことができる。ま
た、ドーパントの種類を変えることによっても、電導度
の値をコントロールすることができる。
【0031】電導度を10-3S/cm以下にするために
は、導電性高分子が前記ポリアニリンである場合、ポリ
マー鎖中のNの数に対する1価ドーパントの数として定
義されるポリアニリンのドーピング率の値で0.3以下
とするのが好ましい。もっとも、前記したように電導度
の値はドーパントの種類によっても変化するため、この
値は限定的な意味を持つものではなく、ひとつの目安と
考えるべきものであることを理解すべきである。
【0032】一方、電子写真感光体における導電層形成
材料に要求される電導度から了解されるように、ポリア
ニリンのような導電性高分子を脱ドープ状態で用いるこ
ともできる。
【0033】また、電導度調整のため熱可塑性樹脂ある
いは熱硬化性樹脂から選ばれた溶剤可溶性のポリマーを
導電性高分子に混合して用いることもできる。更に、導
電性高分子の導電性、溶解性を調整するため、酸化剤あ
るいは還元剤等の添加剤を溶液中に加えることもでき
る。
【0034】本発明に係る電子写真感光体を得るため支
持体上に導電層を形成するには、導電性高分子溶液、導
電性高分子およびドーパントの溶液あるいはこれら溶液
に更に電導度調整用ポリマーを溶解した液を支持体上に
塗布した後加熱乾燥により溶剤を除去する方法を採用で
きる。支持体への該溶液の塗布はディッピング、スプレ
ー、ロールコーティング、ナイフコーティング等により
行なうことができ、その膜厚は、通常、約1〜40μm
である。支持体としては、従来の電子写真感光体と同じ
もの、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、真鍮等
の金属成形体、プラスチック成形体表面に金属層を形成
したもの、あるいはプラスチックと導電性粉末との混合
物を成形したもの等を使用でき、その形状もドラム状、
シート状、ベルト状等いずれであってもよい。
【0035】上記ポリアリニン等を用いて支持体上に形
成した導電層は加熱により生成したラジカルのカップリ
ングによると考えられる架橋反応により、もはや溶剤に
は溶解しないものとなる。従って、この導電層上に後述
の感光層を形成するに際し、溶剤を使用しても該導電層
が溶解乃至膨潤したりすることはない。従って、感光層
の形成が容易である利点を有する。
【0036】本発明に係る電子写真感光体は、導電層上
に更に感光層を有するものである。感光層は従来の電子
写真感光体のそれと同じであることができ、単層型ある
いは積層型のいずれであってもよい。
【0037】単層型感光層は色素増感された酸化亜鉛、
セレン、アモルファスシリコン、ポリビニルカルバゾー
ル、フタロシアニン顔料、オキサジアゾール顔料等をバ
インダーポリマーと共に塗布して形成できる。
【0038】また、積層型感光層は露光により電荷担体
を発生させる電荷発生層と、発生した電荷担体を移動さ
せる能力を有する電荷輸送層を組み合わせたものであ
る。電荷発生層はスーダンレッド、ダイアンブルー等の
アゾ顔料、ピレンキノン等のキノン顔料、ペリレン顔
料、フタロシアニン顔料等の電荷発生物質をポリカーボ
ネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレ
ン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、セルロー
スエステル類等のバインダーポリマーと混合させ、この
混合物を用いて形成でき、また電荷発生物質を蒸着して
形成することもできる。この電荷発生層の膜厚は、通
常、約0.05〜3μmである。
【0039】一方、電荷輸送層はオキサジアゾール、オ
キサゾール、ピラゾリン等の複素環化合物、トリフェニ
ルメタン、トリアリールアミン、ヒトラゾン系化合物等
の電荷輸送物質を上記と同様なバインダーポリマーと混
合させ、この混合物を用いて形成でき、その膜厚は、通
常、約5〜40μmである。
【0040】本発明に係る電子写真感光体は電子複写機
だけでなく、レーザービームプリンター用感光体として
も好適に用いることができる。レーザービームプリンタ
ーはレーザー光を光源としており、支持体上に電子伝導
性の導電性高分子による導電層が形成された本発明の感
光体を用いると、レーザー光が支持体表面で反射して干
渉し縞模様が複写画像に発現するのを防止できる。
【0041】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は上記のように
構成され、支持体と感光層の間に電子伝導性の導電性高
分子から成る導電層を形成したので、下記実施例にも示
されているように低湿度環境下においても抵抗値が高ま
ることなく、鮮明な画像を得ることができる。
【0042】
【実施例】以下、参考例と共に実施例を挙げて本発明を
更に詳細に説明する。
【0043】参考例1 (溶剤可溶性ポリアニリンの合成)攪拌装置、温度計お
よび直管アダプターを備えた容量10リットルのセパラ
ブルフラスコに蒸留水6000g、36重量%塩酸36
0mlおよびアニリン400g(4.295モル)をこ
の順序で仕込み、アニリンを溶解させる。
【0044】一方、これとは別に氷水にて冷却しなが
ら、ビーカー中の蒸留水1493gに97重量%濃硫酸
434g(4.295モル)を加えて混合し、硫酸水溶
液を調製する。そして、この硫酸水溶液を上記アニリン
溶液に加え、フラスコ全体を低温恒温槽にて−4℃まで
冷却する。
【0045】次に、ビーカー中にて蒸留水2293gに
ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モ
ル)を加えて溶解させ、酸化剤溶液を調製する。
【0046】上記のフラスコ全体を低温恒温槽で冷却し
て、反応混合物の温度を−3℃に保持しつつ、攪拌下に
アニリン塩の酸性水溶液にチュービングポンプを用い
て、直管アダプターからペルオキソ二硫酸アンモニウム
水溶液を1ml/分以下の割合で除々に滴下する。最
初、無色透明の溶液は重合の進行に伴って緑青色から黒
褐色となり、次いで黒緑色の粉末が析出する。
【0047】この粉末析出時に反応混合物の温度上昇が
みられるが、高分子量重合体を得るためには、反応系の
温度を0℃以下好ましくは−3℃以下に抑えることが肝
要である。粉末析出後は、ペルオキソ二硫酸アンモニウ
ム水溶液の滴下速度を例えば8ml/分程度とやや早く
してもよい。しかし、この場合にも、反応混合物の温度
をモニターしつつ、温度を−3℃以下に保持するように
滴下速度を調整する。かくして、7時間を要して、ペル
オキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後、
更に1時間、−3℃以下の温度にて攪拌を続けた。
【0048】得られた重合体粉末を濾別し、水洗、アセ
トン洗浄し、室温で真空乾燥して、黒緑色の重合体粉末
430gを得た。これを直径13mm、厚さ700μm
のディスクに加圧成形し、ファン・デル・ポー法によっ
て、その電導度を測定したところ、14S/cmであっ
た。
【0049】(導電性有機重合体のアンモニアによる脱
ドーピング)上記ドープされている導電性有機重合体粉
末350gを2Nアンモニア水4リットル中に加え、オ
ートホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間
攪拌する。混合物は黒緑色から青紫色に変化した。
【0050】ブフナーろうとにて粉末を濾別し、ビーカ
ー中にて攪拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるま
で繰り返し洗浄し、次いで濾液が無色になるまでアセト
ン洗浄する。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥
して、黒褐色の脱ドーピングした重合体粉末を得た。
【0051】この重合体はN−メチル−2−ピロリドン
に可溶性であって、溶解度はピロリドン100gに対し
て8g(7.4%)であった。また、ピロリドンを溶剤
として30℃で測定した極限粘度[η]は1.23dl
/gであった。また、この重合体は、ジメチルスルホキ
シドおよびジメチルホルムアミドには1%以下の溶解度
であり、テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水
溶液、60%ギ酸水溶液およびアセトニトリルには実質
的に溶解しなかった。
【0052】この脱ドープ状態のポリアニリンは、IR
スペクトル、ラマンスペクトル、電子スペクトル、元素
分析から前記化4に示すのと同じキノンジイミン・フェ
ニレンジアミン型分子構造を有し、キノンジイミン構造
単位のモル分率が0.45、フェニレンジアミン構造単
位のモル分率が0.55であるポリマーであることが確
認された。
【0053】また、この脱ドープ状態のポリアニリン粉
末をディスク状に成形した試料について、励起波長45
7.9nmで照射して得たレーザーラマンスペクトルに
おけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600c
-1よりも高波数に現れる骨格延伸振動のラマン線強度
Iaと、1600cm-1よりも低波数に現れる骨格延伸
振動のラマン線強度Ibの比Ia/Ibは1.20であ
った。
【0054】参考例2 (還元状態の可溶性ポリアニリンの合成)参考例1にて
得られたキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可
溶性ポリアニリン2.5gをN−メチル−2−ピロリド
ン97.5gに加え、攪拌下に溶解する。
【0055】この溶液にフェニルヒドラジン0.82g
を除々に加える。このとき、溶液は褐青色から淡黒褐色
に変色し、同時に、窒素ガスの発生が確認された。
【0056】反応終了後、反応混合物を窒素置換したア
セトン1.5リットル中に滴下したところ、灰白色の沈
澱が得られた。この沈澱をガラスフィルターにて濾別
し、窒素置換したアセトンにて数回洗浄した後、室温に
て減圧乾燥して、前記化5と同構造のイミノ−p−フェ
ニレン型溶剤可溶性ポリアニリン2.3gを灰白色粉末
として得た。この重合体は、アルゴン置換したグローボ
ックス中に保存した。また、この重合体のN−メチル−
2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度[η]は
1.1であった。
【0057】実施例1 (ポリアニリンフィルムの形成)参考例1で得られたキ
ノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリア
ニリン7.5重量部、フェニルヒドラジン0.75重量
部、p−トルエンスルホン酸1.6重量部、N−メチル
−2−ピロリドン90.15重量部から成る溶液を作製
する。
【0058】この溶液をガラス板上に塗布し、150℃
で2時間乾燥した後、室温にて2日間放置する。ガラス
板上のポリアニリンフィルム(厚さ20μm)を剥離
し、1cm角に切り取った後、フィルム両面に銀ペース
トを塗り、更に両面に銅箔を電極として取り付ける。2
端子法によりこのドープ状態のポリアニリンフィルムの
電導度を測定したところ、2.2×10-6S/cmであ
った。
【0059】(電子写真感光体の製造)支持体としてア
ルミニウム板を用い、この片面上に上記の方法と同じよ
うにしてポリアニリン層を形成させる。このポリアニリ
ン層上に下記化7で示されるビスアゾ顔料をシクロヘキ
サノン中で酢酸酪酸セルロース樹脂中に分散させたもの
を塗布し、100℃で10分間加熱乾燥し、厚さ0.1
μmの電荷発生層を形成する。この電荷発生層の形成に
際し、ポリアニリン層はシクロヘキサノンに溶解あるい
は膨潤するようなことはなかった。
【0060】
【化7】
【0061】次いで、電荷発生層上に下記化8で示され
るヒドラゾン化合物をスチレン−メタクリル酸メチル共
重合樹脂と共にトルエンに溶解した液を塗布後、100
℃で1時間加熱乾燥することにより、厚さ20μmの電
荷輸送層を形成して電子写真感光体を得た。
【0062】
【化8】
【0063】この電子写真感光体を相対湿度70%の環
境下で帯電、露光、現像、転写および定着から成る電子
写真プロセスに適用したところ、得られた画像の状態
は、地汚れもなく、黒ベタ、網点、細線共に鮮明であっ
た。そして、相対湿度30%の環境下でも同じく良好な
画像が得られた。
【0064】実施例2 (ポリアニリンフィルムの形成)参考例2で得られたイ
ミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン5重量
部、テトラシアノキノジメタン1重量部、N−メチル−
2−ピロリドン94重量部から成る溶液を作製した。こ
の溶液を用いること以外は実施例1と同様にして厚さ2
0μmのポリアニリンフィルムを作製し、2端子法によ
りその電導度を測定したところ、3.4×10-7S/c
mであった。
【0065】(電子写真感光体の製造)上記のポリアニ
リン溶液を用いること以外は実施例1と同様にしてアル
ミニウム板の片面上にポリアニリン導電層、電荷発生層
および電荷輸送層を順次形成して電子写真感光体を得
た。この電子写真感光体を相対湿度70%の環境下で電
子写真プロセスに適用したところ、得られた画像の状態
は地汚れもなく、黒ベタ、網点、細点共に鮮明であっ
た。また、相対湿度30%の環境下でも同じく良好な画
像が得られた。
【0066】比較例1 ポリアニリン導電層を形成しないこと以外は実施例1と
同様にして電子写真感光体を製造した。この電子写真感
光体を電子写真プロセスに適用したところ、画像はコン
トラストの低い、乱れたものであった。
【0067】比較例2 ポリアニリン溶液に代え、ポリスチレンスルホン酸ナト
リウム水溶液を用い、イオン伝導性導電性高分子から成
る導電層をアルミニウム板片面上に形成し、更に、この
層上に電荷発生層および電荷輸送層を実施例1と同様に
して形成して電子写真感光体を得た。
【0068】この電子写真感光体を電子写真プロセスに
適用した。相対湿度70%の環境下では得られた画像は
比較的良好であったが、相対湿度30%の環境下では画
像はコントラストの低い、乱れたものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−296153(JP,A) 特開 平3−39753(JP,A) 特開 平3−41462(JP,A) 特開 平3−80256(JP,A) 特開 平4−234767(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と感光層との間に、電子伝導性の導
    電性高分子層を有する電子写真感光体において、上記導
    電性高分子層が、下記化1 【化1】 (式中、mおよびnはそれぞれ繰り返し単位中のキノン
    ジイミン構造およびフェニレンジアミン構造のモル分率
    を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。)を主たる繰り返し単位として有する有機重合体で
    あって、脱ドープ状態において457.9nmの波長の
    光で励起して得られるレーザーラマンスペクトルにおけ
    るパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm -1
    よりも高波数に現れる骨格延伸振動のラマン線強度Ia
    と、1600cm -1 よりも低波数に現れる骨格延伸振動
    のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.0以上である
    ポリアニリンから成ることを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】支持体と感光層との間に、電子伝導性の導
    電性高分子層を有する電子写真感光体において、上記導
    電性高分子層が、下記化2 【化2】 (式中、mおよびnはそれぞれ繰り返し単位中のキノン
    ジイミン構造およびフェ ニレンジアミン構造のモル分率
    を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。)を主たる繰り返し単位として有する有機重合体で
    あって、脱ドープ状態において457.9nmの波長の
    光で励起して得られるレーザーラマンスペクトルにおけ
    るパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm -1
    よりも高波数に現れる骨格延伸振動のラマン線強度Ia
    と、1600cm -1 よりも低波数に現れる骨格延伸振動
    のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.0以上であ
    り、且つpkaが4.8以下であるプロトン酸によりド
    ープされているポリアニリンから成ることを特徴とする
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】支持体と感光層との間に、電子伝導性の導
    電性高分子層を有する電子写真感光体において、上記導
    電性高分子層が、下記化3 【化3】 を主たる繰り返し単位として有する有機重合体であっ
    て、電子受容体によりドープされているポリアニリンか
    ら成ることを特徴とする電子写真感光体。
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