JP3720865B2 - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、導電性の支持体の上に中間層と感光層とをこの順序にて積層した電子写真感光体において、導電性ポリアニリンを成分として含む導電性ポリマーブレンドからなる中間層を備えた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真は、1938年にC.F.カールソンが発明して以来、多くの研究者が改良を重ね、現在ではこの電子写真技術による電子複写機が広く用いられている。
現在、実用化されている電子写真感光体は、基本的には、支持体と感光層とからなる。電子写真プロセスによって静電像を得るには、感光層上に一様に帯電電荷を与え、所要の画像を露光させて、その帯電電荷が露光部分においてのみ、支持体と導通状態になることによって、感光層上に静電潜像を形成するものである。従って、支持体は、導電性であることが必要であって、通常、アルミニウム、ステンレス、銅、真鍮等の金属から構成される。
【0003】
電子写真感光体の支持体は、通常、ドラム状、シート状、ベルト状等であるが、主流はドラム状であり、金属製のドラム(シリンダー)の外周面に感光層が積層されて、感光体に形成されている。この感光層の形成に際しては、金属シリンダーの表面に必然的に存在する局部的な欠陥(凹凸)を隠蔽すること、金属素材中に含まれる不純物によって局部電池が形成されて、金属が腐食し、画像欠陥を生ずることを防止すること、金属シリンダーの表面粗さを小さくするための表面研磨を省略すること、感光層の塗工性と接着性を向上すること、更に、感光層を電気的破壊から保護すること等を目的として、通常は、金属シリンダーの表面に中間層を形成し、この中間層の上に感光層が形成されている。
【0004】
このような中間層については、例えば、電子写真学会誌、25(3)、90(1986)に記載されている。この中間層は、支持体としての金属シリンダーと感光体層を結び付ける層であり、感光層からみれば支持体の一部と見做すことができ、従って、導電性であることが必要である。そこで、この中間層は「導電層」(Conductive Pigment Layer) とも呼ばれている。
【0005】
このような電子写真感光体における中間層としては、(a)塩化リチウム、塩化ナトリウム等の電解質をポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーに溶解したもの、(b)特開昭55−25029号公報に記載されているように、第4級アンモニウム塩構造を有するポリマー、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質を用いるもの、(c)特開昭60−32054号公報、特開昭60−11255号公報、特開昭61−110153号公報、特開昭61−129654号公報、特開昭62−115467号公報等に記載されているように、酸化アンチモン、酸化スズ、ニッケル、銅、銀、アルミニウム、カーボン、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム等の導電性粉末を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散させたもの等が既に提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のうち、(a)及び(b)の導電性材料はイオン伝導性であるので、湿度変化による電気抵抗の変動が大きく、特に、このような材料で形成した中間層は、低湿度環境下で高抵抗値を示すので、電子写真感光体の中間層としては実用性に欠ける。また、(c)の導電性材料の調製には、上記導電性粉末が溶剤に溶解しないので、導電性粉末を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中にボールミル、サンドミル、ロールミル等を用いて、例えば、24時間程度の長時間をかけて分散させる必要があり、生産性が低いという問題がある。
【0007】
そこで、最近、(d)特開平5−61234号公報に記載されているように、電子伝導性の導電性のポリアニリンを電子写真感光体における中間層に用いることが提案されており、このような電子写真感光体によれば、低湿度環境下でも、中間層の導電性が低下することがなく、鮮明な画像が安定して得られることが記載されている。
【0008】
かくして、このような有機溶剤に可溶性のポリアニリンをドーピングして電子伝導性の導電性ポリアニリンとし、このような導電性ポリアニリンから中間層を構成することによって、上述した(a)、(b)、(c)の材料における問題は、解決することができるものの、一般に、フィルム形成が可能な程度に高分子量のポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドン等の限られた極性溶剤にしか溶解しない。このような極性溶剤は、一般に、沸点が高く、基材上に均一なフィルムを得るのが困難である。また、導電性ポリアニリンは、機能性の材料として高価であり、このようなポリアニリンを用いることは、電子写真感光体の製造コストを高めることとなる。
【0009】
一方、導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとのポリマーブレンドについては、既に種々のものが知られている。例えば、特開平5−61234号公報には、導電性ポリアニリンとポリエステル系樹脂やポリ塩化ビニル樹脂とのブレンドが記載されており、これらのポリマーブレンドから導電性薄膜を得ることができることも記載されている。更に、米国特許第 5,232,631号明細書やWO92/22911号公報等にも、導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとのブレンドが記載されている。しかしながら、このような導電性ポリマーブレンドを電子写真感光体に応用することは、従来、知られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、電子写真感光体への導電性ポリアニリンの利用について鋭意研究した結果、少量の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからのポリマーブレンドが10-7〜10-13 S/cmの導電性を有し、このようなポリマーブレンドからなる中間層を電子写真感光体に配設することによって、高品質の画像を与える高性能の電子写真感光体を得ることができることを見出して本発明に至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性の支持体の上に中間層と感光層とをこの順序にて積層した電子写真感光体において、上記中間層が10重量%以下の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからなり、電導度が10-7〜10-13 S/cmの範囲にある導電性ポリマーブレンドからなることを特徴とする。
【0012】
本発明において用いる導電性ポリアニリンは、その構造及び製造方法において特に限定されるものではないが、しかし、一例として、特開平3−28229号公報に記載されている有機溶剤に可溶性のポリアニリンから得られる導電性ポリアニリンが好ましく用いられる。この溶剤可溶性ポリアニリンは、一般式
【0013】
【化1】
Figure 0003720865
【0014】
(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1である。)
を主たる繰返し単位として有し、457.9nmの波長の光で励起して得られるレーザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線の強度Iaと1600cm-1よりも低波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.0以上であって、酸解離定数pKa 値が4.8以下のプロトン酸(ドーパント)がドーピングされているものである。即ち、上記一般式で表わされるポリアニリンは、脱ドープ状態において、有機溶剤に可溶性である。また、本発明においては、上記溶剤可溶性ポリアニリンは、N−メチルピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であることが好ましい。
【0015】
また、本発明においては、特開平3−52929号公報に記載されているように、式
【0016】
【化2】
Figure 0003720865
【0017】
で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位を主たる繰返し単位として有する溶剤可溶性ポリアニリンも好ましく用いることができる。
このようなイミノ−p−フェニレン型のポリアニリンは、前記キノンジイミン及びフェニレンジアミン型ポリアニリンを還元剤にて還元することによって得ることができる。即ち、このイミノ−p−フェニレン型ポリアニリンも、脱ドープ状態において、有機溶剤に可溶性である。また、この溶剤可溶性ポリアニリンは、N−メチルピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であることが好ましい。
【0018】
上記還元剤としては、フエニルヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化金属化合物等が好適に用いられる。還元反応後に残渣を生じないので、ヒドラジン水和物又はフエニルヒドラジンが還元剤として特に好ましく用いられる。
【0019】
本発明において用いる絶縁性ポリマーは、その電導度が10-10 S/cm以下であれば、特に限定されないが、有機溶剤に可溶性のポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂等が好ましく用いられる。そこで、本発明によれば、上記導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーを混合する方法は、特に限定されるものではないが、これらポリアニリンと絶縁性ポリマーとを有機溶剤に溶解させることによって混合するのが好ましい。
【0020】
本発明において、上述したような溶剤可溶性のポリアニリンから導かれる導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとのポリマーブレンドからなる中間層を形成するには、例えば、このポリアニリンと絶縁性ポリマーとドーパントとを含む溶液を調製し、この溶液を支持体の表面に塗布し、乾燥させて、層を形成すれば、導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとのポリマーブレンドからなる中間層を形成することができる。この際に用いるポリアニリンは、前述したキノンジイミン・フェニレンジアミン型のポリアニリンでも、イミノ−p−フェニレンのポリアニリンのいずれであってもよい。イミノ−p−フェニレンのポリアニリンを用いるときは、これは、溶液中にて、及び/又は乾燥中又は製膜後に空気中の酸素によってキノンジイミン・フェニレンジアミン型のポリアニリンに酸化される。
【0021】
用いる絶縁性ポリマーが水酸基やカルボキシル基等の官能基を有するときは、必要に応じて、上記官能基と反応し得る官能基を有する多官能性化合物、例えば、有機ポリイソシアネートを架橋剤として、ポリアニリンの溶液に配合し、ポリマーブレンドの層を形成すると同時に、絶縁性ポリマーを架橋させることもできる。
【0022】
特に、本発明によれば、上記ドーパントとしては、長鎖アルキル基を分子内に有する有機スルホン酸が好ましく用いられる。特に、有機スルホン酸が分子内に単一のアルキル基を有するときは、そのアルキル基の炭素数は6以上であることか好ましく、有機スルホン酸が分子内に2つのアルキル基を有するときは、それぞれのアルキル基の炭素数は3以上であることか好ましい。
【0023】
そのような有機スルホン酸としては、例えば、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドテカンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルペンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼスルホン酸、ノナデシルベンゼンスルホン酸、エイコシルベンゼンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナフタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンジスルホン酸、ヘプチルナフタレンジスルホン酸、オクチルナフタレンジスルホン酸、ノニルナフタレンジスルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸、ジペンチルナフタレンジスルホン酸、ジヘキシルナフタレンジスルホン酸、ジヘプチルナフタレンジスルホン酸、ジオクチルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等を挙げることができる。
【0024】
本発明において、導電性ポリマーブレンドにおける導電性ポリアニリンの含有量は、通常、10重量%以下であり、好ましくは、1重量%以下である。更に、0.5重量%以下でも十分な場合もある。しかし、中間層が後述するような電導度を有するように、少なくとも0.1重量%の配合を必要とする。
【0025】
本発明においては、このように、導電性ポリアニリン量を少量含む導電性ポリマーブレンドからなる中間層を支持体の表面に積層することによって、目的とする高品質の画像を与える高性能の電子写真感光体を得ることができ、ここに、本発明によれば、2つの大きな改良点を指摘することができる。
【0026】
第1には、前述したように成膜可能な程度に高分子量のポリアニリンをよく溶解する有機溶剤は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の数種類の極性溶剤に限られるが、しかし、そのような極性溶剤を用いる溶液中のポリアニリン濃度を低くし、且つ、前述した長鎖アルキル基を分子内に有する有機スルホン酸をドーパントとして用いることによって、比較的低沸点、好ましくは、沸点150℃以下の汎用の有機溶剤によって、その溶液を希釈することができる。具体的には、例えば、0.5重量%濃度のポリアニリンのN−メチル−2−ピロリドン溶液に、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸を添加した場合、テトラヒドロフランを用いることによって約4倍に希釈することができる。
【0027】
このように希釈したポリアニリン溶液からは、厚みが大凡0.1μm以下の薄膜しか製膜できないが、本発明に従って、その溶液に絶縁性ポリマーを添加して、固形分濃度を増加させることによって、厚み数μm以上のフィルムを製膜することもできる。
このようにして得られる導電性ポリアニリンを含む導電性ポリマーブレンドは、通常、10-7〜10-13 S/cm の導電性を有し、感光体の中間層として好適に用いることができる。
【0028】
第2に、このように少量の導電性ポリアニリンを多量の汎用の絶縁性ポリマーに配合して、ポリマーブレンドとすることによって、高価な導電性ポリアニリンの使用量を低減して、改善された特性を有する感光体を低コストにて製造することができる。
【0029】
前記比較的低沸点の汎用有機溶剤は、前述したように、沸点が150℃以下であればよいが、特に室温にて乾燥可能な溶剤が好ましい。そのような溶剤の好ましい一例として、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0030】
本発明による電子写真感光体は、前述したように、導電性の支持体の上に中間層を有し、その上に感光層を積層してなるものであって、感光層は、従来、知られている電子写真感光体における感光層と同じであってよく、また、既に知られているように、単層型、積層型のいずれでもよい。
例えば、単層型感光層は、色素増感された酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコン、ポリビニルカルバゾール、フタロシアニン顔料、オキサジアゾール顔料等をバインダーポリマーと共に溶液とし、これを中間層の上に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。
【0031】
積層型感光層は、露光により電荷担体を発生させる電荷発生層と、発生した電荷担体を移動させる能力を有する電荷輸送層を組み合わせて積層したものである。電荷発生層はスーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン等のキノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料等の電荷発生物質をポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、セルロースエステル類等のバインダーポリマーと混合し、この混合物を用いて層形成してなるものである。また、電荷発生物質の蒸着によって形成することもできる。この電荷発生層の膜厚は、通常、約0.05〜3μmの範囲である。
【0032】
電荷輸送層は、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン等の複素環化合物、トリフェニルメタン、トリアリールアミン、ヒトラゾン系化合物等の電荷輸送物質を上記と同様のバインダーポリマーと混合し、この混合物を用いて層形成してなるものであって、その膜厚は、通常、約5〜40μmの範囲である。
【0033】
本発明による電子写真感光体は、電子写真複写機のみならず、レーザービームプリンター用感光体としても好適に用いることができる。このレーザービームプリンターは、レーザー光を光源としており、支持体上に電子伝導性の導電性ポリアニリンを含む導電性ポリマーブレンドによる中間層が形成された本発明の感光体を用いることによって、レーザー光が支持体表面で反射し、干渉して、縞模様が複写画像に発現するのを防止することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真感光体は、電子伝導性の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとを含む導電性のポリマーブレンドを導電性支持体の上に中間層として形成し、その上に感光層を積層してなるものであるので、低湿度環境下でも、中間層の導電性が低下することがなく、高品質で鮮明な電子写真画像を得ることができる。
【0035】
更に、本発明によれば、ポリマーブレンドにおけるポリアニリンの含有率が低いので、汎用の低沸点溶剤を用いて、溶液とすることができ、かくして、これを支持体上に塗布し、乾燥させることによって、容易に且つ低廉に均一な導電性フィルムとしての中間層を形成することができる。このようにして得られる電子写真感光体を電子写真プロセスに用いることによって、高性能の画像を安定して得ることができる。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明において用いる溶剤可溶性のポリアニリンの合成を示す参考例と共に、本発明の実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0037】
参考例1
(溶剤可溶性ポリアニリンの合成)
攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた10リットル容量のセパラブルフラスコに蒸留水6000g、36重量%塩酸360ml及びアニリン400g(4.295モル)をこの順序で仕込み、アニリンを溶解させた。
【0038】
一方、これとは別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水1493gに97重量%濃硫酸434g(4.295モル)を加えて混合し、硫酸水溶液を調製した。次いで、この硫酸水溶液を上記アニリン溶液に加え、フラスコ全体を低温恒温槽にて−4℃まで冷却し、アニリン硫酸塩の硫酸酸性水溶液を調製した。次に、ビーカー中にて蒸留水2293gにペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)を加えて溶解させて、酸化剤溶液を調製した。
【0039】
上記フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温度を−3℃に保持しつつ、攪拌下に上記アニリン硫酸塩の硫酸酸性水溶液にチュービングポンプを用いて、直管アダプターから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1ml/分以下の割合で徐々に滴下した。アニリン硫酸塩の水溶液は、最初、無色透明であったが、重合の進行に伴って、緑青色から黒褐色に変化し、次いで、黒褐色のポリアニリン粉末が析出した。
【0040】
このポリアニリン粉末の析出時に、反応混合物の温度上昇がみられるが、高分子量のポリアニリンを得るためには、反応系の温度を0℃以下、好ましくは、−3℃以下に抑えることが肝要である。粉末の析出後は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下速度を例えば8ml/分程度とやや早くしてもよい。しかし、この場合にも、反応混合物の温度モニターしつつ、温度を−3℃以下に保持するように滴下速度を調整するのがよい。
【0041】
かくして、7時間を要して、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に1時間、−3℃以下の温度にて攪拌を続けた。
このようにして得られたポリアニリン粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、硫酸にてドープされている黒緑色の導電性ポリアニリン粉末430gを得た。これを直径13mm、厚さ700μmのディスクに加圧形成し、ファン・デル・ポー法によって、その電導度を測定したところ、14S/cmであった。
【0042】
(導電性ポリアニリンのアンモニアによる脱ドーピング)
上記硫酸にてドープされている導電性ポリアニリン粉末350gを2Nアンモニア水4リットル中に加え、オートホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混合物は黒緑色から青紫色に変化した。
【0043】
ブフナーろうとにて粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返し洗浄し、次いで、濾液が無色になるまでアセトン洗浄した。この後、得られた粉末を室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドーピングしたポリアニリン粉末を得た。
このポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドンに可溶性であって、溶解度はピロリドン100gに対して8g(7.4%)であった。また、N−メチル−2−ピロリドンを溶剤として30℃で測定した極限粘度「η」は1.23dl/gであった。また、この重合体は、ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドには1%以下の溶解度であり、テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液及びアセトニトリルには実質的に溶解しなかった。
【0044】
この脱ドープ状態のポリアニリンは、IRスペクトル、ラマンスペクトル、電子スペクトル、元素分析から前述したキノンジイミン・フェニレンジアミン型分子構造を有し、キノンジイミン構造単位のモル分率が0.45、フェニレンジアミン構造単位のモル分率が0.55であることが確認された。
また、この脱ドープ状態のポリアニリン粉末をディスク状に成形した試料について、励起波長457.9nmを照射して得たレーザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度Iaと、1600cm-1よりも低波数にあらわれる現れる骨格延伸振動のラマン線強度Ibの比la/Ibは1.20であった。
【0045】
実施例1
(導電性ポリマーブレンドからなるフィルムの作製)
N−メチル−2−ピロリドン97.5gに参考例1で得られた溶剤可溶性キノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリン2.5gを攪拌下に溶解させた。次いで、これにフェニルヒドラジン0.75gを溶解させた。これによって、溶液は、濃青色から淡黒褐色に変色し、同時に、窒素ガスの発生が確認され、これによって、ポリアニリンがキノンジイミン・フェニレンジアミン型からイミノ−p−フェニレン型に変換されたことが確認された。この溶液をG2ガラスフィルターにて減圧濾過して、イミノ−p−フェニレン型のポリアニリン溶液を調製した。
【0046】
別に、テトラヒドロフラン95.5gにドデシルベンゼンスルホン酸4.5gを溶解させて、ドーパント溶液を調製した。
別に、テトラヒドロフラン85gに塩化ビニル・酢酸ビニル・ヒドロキシプロピルアクリレートの三元共重合体15gを溶解させ、絶縁性ポリマー溶液を調製した。
【0047】
更に、別に、テトラヒドロフラン50gに架橋剤として多官能性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHL)の75重量%のトルエン溶液50gを溶解させて、架橋剤溶液を調製した。
上記イミノ−p−フェニレン型のポリアニン溶液6gにN−メチル−2−ピロリドン18gを加え、次に、上記ドーパント溶液6gを加えて、攪拌し、更に、これに上記絶縁性ポリマー溶液100gと架橋剤溶液6gとテトラヒドロフラン14gをこの順序にて加えて、導電性ポリマーブレンドの溶液を調製した。
【0048】
この導電性ポリマーブレンドの溶液をガラス板上にキャスティングし、室温で30分間放置して、テトラヒドロフランを乾燥させた後、更に、125℃で加熱乾燥し、溶剤を除去して、フィルムを調製し、これをガラス板から剥離した。
このようにして得られた導電性ポリマーブレンドのフィルムの膜厚は9.5μmであり、電導度は、三菱油化製ハイレスターにて測定したところ、3×10-10 S/cmであった。
【0049】
(電子写真感光体の製造)
導電性支持体としてアルミニウム板を用い、この片面上に上記方法と同様にして、導電性ポリマーブレンドの層を形成させた。次に、この導電性ポリマーブレンドの層の上に下記式
【0050】
【化3】
Figure 0003720865
【0051】
で示されるビスアゾ顔料をシクロヘキサノン中で酢酸酪酸セルロース樹脂中に分散させたものを塗布し、100℃で10分間加熱乾燥し、厚さ0.1μmの電荷発生層を形成した。この電荷発生層の形成に際して、ポリアニリン層がシクロヘキサノンに溶解し、又は膨潤するようなことはなかった。
次いで、この電荷発生層上に下記式
【0052】
【化4】
Figure 0003720865
【0053】
で示されるヒドラゾン化合物をスチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂と共にトルエンに溶解した溶液を塗布した後、100℃で1時間加熱乾燥して、厚さ20μmの電荷輸送層を形成して、電子写真感光体を得た。
【0054】
この電子写真感光体を相対湿度70℃の環境下で帯電、露光、現像、転写及び定着からなる電子写真プロセスに適用したところ、得られた画像には、地汚れもなく、黒ベタ、網点、細線共に鮮明であった。そして、相対湿度30%の環境下でも、同じく高品質の画像を得ることができた。

Claims (4)

  1. 導電性の支持体の上に中間層と感光層とをこの順序にて積層してなり、上記中間層が導電性ポリマーブレンドからなる電子写真感光体において、上記導電性ポリマーブレンドが10重量%以下の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからなり、電導度が10-7〜10-13 S/cmの範囲にあると共に、上記導電性ポリアニリンが分子内に炭素数が6〜20である単一のアルキル基又はそれぞれの炭素数が3〜9である2つのアルキル基を有する有機スルホン酸をドーパントとするポリアニリンからなることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 導電性の支持体の上に中間層と感光層とをこの順序にて積層してなり、上記中間層が導電性ポリマーブレンドからなり、この導電性ポリマーブレンドが10重量%以下の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからなり、電導度が10-7〜10-13 S/cmの範囲にある電子写真感光体の製造方法において、分子内に炭素数が6〜20である単一のアルキル基又はそれぞれの炭素数が3〜9である2つのアルキル基を有する有機スルホン酸をドーパントとする導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからなる導電性ポリマーブレンドを有機溶剤に溶解してなる溶液を導電性の支持体上に塗布し、乾燥させて、上記中間層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  3. 10重量%以下の導電性ポリアニリンと絶縁性ポリマーとからなり、電導度が10-7〜10-13 S/cmの範囲にあると共に、上記導電性ポリアニリンが分子内に炭素数が6〜20である単一のアルキル基又はそれぞれの炭素数が3〜9である2つのアルキル基を有する有機スルホン酸をドーパントとするポリアニリンからなる導電性ポリマーブレンドをN−メチル−2−ピロリドンと沸点が150℃以下の有機溶剤とからなる混合溶剤に溶解してなる溶液を導電性の支持体上に塗布し、乾燥させて、上記中間層を形成することを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 沸点が150℃以下の有機溶剤がテトラヒドロフランである請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
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