JP3065618B1 - 車両搬送装置及びこれに使用する車両 - Google Patents

車両搬送装置及びこれに使用する車両

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JP3065618B1
JP3065618B1 JP32267799A JP32267799A JP3065618B1 JP 3065618 B1 JP3065618 B1 JP 3065618B1 JP 32267799 A JP32267799 A JP 32267799A JP 32267799 A JP32267799 A JP 32267799A JP 3065618 B1 JP3065618 B1 JP 3065618B1
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省司 宮内
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Abstract

【要約】 【課題】 工場生産ラインの台車等を小さい回転半径で
円滑に進路変更できるにする。 【解決手段】 曲がり部分C2 のある進路にガイドレー
ル100を敷設し、2台の台車2(前側だけを図示)を
中心P1 で車体1と回転可能に結合し、支持ローラ4で
車体を支持し、台車にガイド用の前後ローラ51、52
を取り付け、これらをレールで案内して進行させるよう
に構成する。 【効果】 前後ローラが曲がり部分に来てその姿勢が変
わると、これに伴って台車の姿勢が変わり、同時に車輪
3の向きも変わり、前後ローラによって操舵作用が生ず
る。その結果、曲がり部分の曲率を小さくして搬送車を
進行させることができる。搬送車の操作が簡単で、台車
による部品搬送方式の生産ラインの構成を合理化でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直線部分と円弧状
の曲がり部分とを持つ一定の進路に適用される車両搬送
装置及び車両に関し、特に、工場等において曲率の小さ
い曲がり部分のある一定の搬送路上を資材等を乗せて搬
送させるライン生産用車両搬送システムに好都合に利用
される。
【0002】
【従来の技術】工場のライン生産設備としては、材料や
部品等を搬送台車に乗せ、U字状やL字状又はこれらの
組合せから成り曲がり部分を持つ一定の搬送路上を移動
させ、搬送路に沿って加工や組立を行う複数のステーシ
ョン配設してそれぞれのステーションに搬送台車を停止
させ、搬送台車から一部分の物品を下ろすと共に他の物
品を搭載し、装置や機械類等を生産するようにした設備
がある。例えば、長尺のパイプ等を含む配管材料や機械
や部品等をユニット化したり船の部分構造体に取り付け
る作業を行う船舶の艤装工場では、従来、搬送台車の車
輪をキャスターにして、台車が工場内の搬送路を自由に
進行できるようにしていた。
【0003】しかしながら、このような台車では、キャ
スターの方向転換時の抵抗のため、曲がり部分での操縦
性が悪く、台車を円滑に進行させることができなかっ
た。又台車の旋回半径も大きくなり、狭隘な工場には不
向きであった。そして、台車を曲率半径の小さい曲がり
部分で旋回させるときには、一人の運転車が台車を後方
から押すと共に、もう一人の補助車が台車の前方を横か
ら押して回転させる必要があった。
【0004】一方、キャスターを用いず狭いスペースで
方向転換できるようにした台車移動機構としては、溝状
に立設された2条のレールの曲面部で球面車輪を案内す
ることにより、直角方向に縦横に方向転換できるように
したものが提案されている(特開昭59−156861
号公報参照)。
【0005】しかしながら、このような機構では、球面
車輪が高価であること、レール形状が特殊でレールの加
工が難しくコスト高になること、球面車輪であるため路
面と点接触して荷重を受けるので、接触面圧が高く重量
物運搬には適さないこと、等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、レールを必要としない通常の車
輪を使用して荷重支持能力が大きく、特別な操作をする
ことなく小さい回転半径で円滑に進路変更できる車両搬
送装置及びこれに使用する車両を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、請求項1の発明は、直線部分と円弧状の曲
がり部分とを持つ一定の進路に適用される車両搬送装置
において、案内部と車両とを有し、前記案内部は前記車
両の進行範囲で前記進路の方向に設けられ、前記車両は
車体と中間体と車輪と支持回転体と案内回転体とを備
え、前記中間体は2台あってそれぞれの中間体は相互に
離れた位置であって前記車体の下方にあって前記車体と
の間でそれぞれ1点を中心として回転可能なように前記
車体に結合され、前記車輪は前記中間体と前記支持回転
体とを介して前記車体を支持すると共に前記1点に対し
てほぼ直角な方向に向くように前記中間体に対して一定
の向きに取り付けられていて、前記支持回転体は前記車
体と前記中間体との間に介在して前記車体の荷重を前記
中間体で支持すると共に前記1点に対してほぼ直角な方
向を向くように前記車体又は前記中間体の何れか一方に
対して一定の向きに回転自在なように取り付けられてい
て、前記案内回転体は前記それぞれの中間体に2個設け
られていて該2個が一定の距離離れた位置で前記案内部
と接触し回転して前記進路の方向に移動するように前記
中間体に取り付けられていて、前記車輪と前記案内回転
体とは該案内回転体が全て前記直線部分に接触している
ときに前記車輪が前記直線部分の直線の方向に向くよう
に前記中間体に取り付けられている、ことを特徴とす
る。
【0008】請求項2の発明は、直線部分と円弧状の曲
がり部分とを持つ一定の進路に適用される車両搬送装置
の車両において、前記車両搬送装置には前記車両の進行
範囲で前記進路の方向に案内部が設けられていて、車体
と中間体と車輪と支持回転体と案内回転体とを備えた車
両であって、前記中間体は2台あってそれぞれの中間体
は相互に離れた位置であって前記車体の下方にあって前
記車体との間でそれぞれ1点を中心として回転が自在な
ように前記車体に結合され、前記車輪は前記中間体と前
記支持回転体とを介して前記車体を支持すると共に前記
1点に対してほぼ直角な方向に向くように前記中間体に
対して一定の向きに取り付けられていて、前記支持回転
体は前記車体と前記中間体との間に介在して前記車体の
荷重を前記中間体で支持すると共に前記1点に対してほ
ぼ直角な方向を向くように前記車体又は前記中間体の何
れか一方に対して一定の向きに回転自在なように取り付
けられていて、前記案内回転体は前記それぞれの中間体
に2個設けられていて該2個が一定の距離離れた位置で
前記案内部と接触し回転して前記進路の方向に移動する
ように前記中間体に取り付けられていて、前記案内回転
体は前記それぞれの中間体に2個設けられていて該2個
が一定の距離離れた位置で前記案内部と接触し回転して
前記進路の方向に移動するように前記中間体に取り付け
られていて、前記車輪と前記案内回転体とは該案内回転
体が全て前記直線部分に接触しているときに前記車輪が
前記直線部分の直線の方向に向くように前記中間体に取
り付けられている、ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1乃至図3は本発明を適用した
車両搬送装置及び車両の概略構成を示し、図1は車体と
中間体とを分離させた状態、図2及び図3は車両が進行
するときの平面状態を示している。車両搬送装置は、図
において一点鎖線の中心線で示す直線部分C1 と円弧状
の曲がり部分C2 とを持つ一定の進路Cに適用され、案
内部としてのガイドレール100と車両である部材運搬
用の搬送車200とを有する。ガイドレール100は、
搬送車200の進行範囲で進路C方向に延設けられ、本
例では進路Cを形成する路面300に溝型綱を布設して
溝状に形成されていて、溝の内面101、102が高さ
方向に一様な形状でガイド面になっている。
【0010】なお、図1〜図3では1/4円の円弧状の
曲がり部分C2 を1個所に持った進路Cの一部分のみを
示しているが、U字生産ラインのように、このような曲
がり部分が複数個所あっても本発明を適用できることは
勿論である。又、曲がり部分の円弧状の曲率が漸次変化
している進路や、反曲点や互いに進路の反対側に曲率中
心のある曲がり部分を持つ進路等についても同様であ
る。
【0011】搬送車200は、車体1、中間体である車
台2、車輪3、支持回転体としての支持ローラ4、案内
回転体としてのガイドローラ5、等を備えている。車体
1は、積載物の種類等によって任意の適当な形状に製作
される。本例のものは、積載物を出し入れし易いように
枠構造になっていて、支柱11、枠12、床板13等で
構成されている。なお、図を見やすくするために上段枠
から上の部分を二点鎖線で示している。下段枠では、矢
印Y−Y´で示す搬送車の前後方向の両端部に床板13
を設けている。なお、図1では搬送車の先端側部分だけ
を示しているが、本例の搬送車では、後端側も先端側と
同じ構造になっている。
【0012】車台2は、図2に二点鎖線でその上面を示
しているように2台のものが相互に離れた位置にあり、
図1及び図2に示す如く車体1の下方にあって車体1と
の間でそれぞれ一点である中心P1 、P2 を中心として
相互間の回転が自在なように車体1に結合されている。
なお本例では、P1 、P2 を車体1及び車台2の寸法的
な中心位置にしているが、後述するようにP1 、P2
必ずしもこのような位置でなくてもよく、中心位置から
多少ずれていてもよい。
【0013】図4は、車体1と車台2との結合部分の構
造例を示す。結合部分は、車台2の上面板21に軸22
を取り付け、支持台23を介して軸22にスラスト軸受
24を嵌め込み、車体の床板13をスラスト軸受24で
支持し、これらをワッシャー25及びナット26で結合
した構造になっている。このような構造により、矢印で
示す車体1の中心部近傍の荷重Wをスラスト軸受24を
介して車台2で支持できると共に、矢印で示す車体1の
押し力Fを車台2に伝達することができる。なお、スラ
スト軸受24で車体重量の一部分を受け持つことなく、
押し力だけを車台に伝達するような構造であってもよ
い。
【0014】車輪3は、車台2と支持ローラ4とを介し
て車体1を支持するように2台の車台2のそれぞれに支
持フレーム31を介して取り付けられている。本例で
は、これらの車輪は、進路Cの曲がり部C1 の内外側に
なる内輪32及び外輪33の2個で構成されていて、前
後の内外輪32、33の合計4個の車輪で車体の全重量
を支持している。
【0015】これらの車輪3は、例えば前側のもので
は、中心P1 に対してほぼ直角な方向を向くように車台
2に対して一定の向きに取り付けられている。即ち、図
2に示す如く、P1 を中心として車輪3を含む円弧Qを
描いたときに、車輪は常に円弧Qの接線方向に向くよう
になっている。その結果、車体1に対して車台2が回転
したときには、車輪も円弧Q上を回転し、その向きは常
にQの接線方向になる。このような車輪は、ハンドルで
操縦される通常のものと同じものでよい。従って、走行
のためのレールを必要とせず、又十分な荷重支持能力を
有する。
【0016】支持ローラ4は、車体1と車台2との間に
介在して車体1の重量を車台2で支持するように、車体
1又は車台2の何れか一方として本例では車台2に取り
付けられている。これらは、本例では前記円弧Q上に4
個設けられ、前記スラスト軸受24と共に合計5点で上
方の車体荷重を車台2に伝達している。これらの支持ロ
ーラ4も、中心P1 又はP2 に対してほぼ直角な方向を
向くように、本例では車台2に対して一定の向きに回転
自在なように取り付けられている。即ち、車輪3と同様
に、円弧Qの接線方向に向いていて、車台2の回転に伴
って円弧Q上をその接線方向に向きを変えつつ回転して
移動する。
【0017】図5は支持ローラ4の構造例を示す。支持
ローラ4は、車体の床板13を載せて支持するローラ4
1、支持軸42、これを支持するフレーム43、これと
支持軸42とを固定するナット44及びワーシャー4
5、等によって構成されている。フレーム43は車台2
の上面板21にボルト・ナット等によって構成されてい
る。
【0018】ガイドローラ5は、それぞれの車台2に前
ローラ51及び後ローラ52として2個設けられてい
て、これらが図2において線分Sで示すように一定の間
隔Sだけ離れた位置でガイドレール100と接触し、回
転して進路Cを移動するように車台2に取り付けられて
いる。
【0019】図6はガイドローラ5の構造部の一例を示
す。ガイドローラ5の構造部は、車台2の構造体をなす
ブラケット6、これに固定されたL型の取付板7、支持
軸8、ナット9等により、ガイドローラ5がガイドレー
ル100内に入るように形成されている。ガイドローラ
5は図示しないボールベアリングを内蔵していて、外側
の回転部分がガイドレール100の内面101、102
に接触して円滑に回転するようになっている。
【0020】なお、ガイドレールを溝型にして1個のガ
イドローラを溝の両面に接触させる本例のような構造の
ものに代えて、ガイドレールをI型にすると共に、ガイ
ドローラ2個を1組にして、それぞれのローラをレール
の両面を挟むようにレールに接触させる構造のものにし
てもよい。又、ガイドレール100を1本から2本に分
岐させ、分岐部にポイント切換機構を設け、複数のライ
ンを構成することができる。この場合、ガイドレール1
00にはガイドローラ5が接触するだけであるから、ポ
イント切換機構としては、人が人力で切り換える進路切
換板を設ける程度のものでよい。
【0021】車輪3とガイドローラ5とは、図2に示す
如く、前後ローラ51、52の全てが進路の直線部分C
1 の位置のガイドレールに接触しているときに、車輪3
(内外輪32、33)が直線部分C1 の直線の方向、従
って図示の前後Y−Y´方向に向くように、車台2に取
り付けられている、以上のような搬送車200は次のよ
うに作動してその作用効果を発揮する。
【0022】図2の二点鎖線で示す如く、搬送車200
の車体1は最初に進路Cの直線部分C1 の位置にあるも
のとする。このときには、4個のガイドローラ5はガイ
ドレール100内に直線状に並んでその案内面に接触し
ている。車体1と前後の車台2との回転の中心P1 、P
2 も同じ直線上にある。この状態では、車体1及び車台
2は共に進路方向である前後Y−Y´方向に向いてい
て、車輪3もその方向に向いている。前後の車台2の4
個の支持ローラ4は、前側のもので示す如く同じ円弧Q
上でその接線方向に向いている。なお、本例の搬送車
は、手押し式のもので、その長さは2.5m、幅は1.
1m、車両と荷物とを含めた搬送時の総質量は約500
kg〜1500kgである。
【0023】この状態から、搬送車200を前方Y方向
に進行させるには、運転者1人が車体1の後端部11を
押す。これにより、ガイドローラ5がガイドレール10
0内を移動して車台2の姿勢を定めて保持し、それによ
って車輪3の向きが定まり、走行用のレールがなくて
も、搬送車の進行方向が定まる。ガイドローラ5のうち
の前側の前ローラ51が直線部分C1 から曲がり部分C
2 に入ると、中心P1 も直線方向からずれてくる。そし
て、P1 を含む前後ローラ間の線分SがY方向から右回
転し、それに従って車台2も同じ方向に同じ角度だけ回
転し、その結果車輪3も同じだけ回転して向きを変え
る。
【0024】このような経過を辿り、前後ローラ51、
52がそれぞれ曲がり部分C2 の先後端位置に到達する
と、車体1は図2の実線の状態になる。このときには、
線分SはY方向から45°の角度になり、車体1も少し
傾斜する。この状態では、車輪3も45°の方向を向
き、転がり進行をしようとする方向と完全に一致する。
なお、上記のような状態になるのは、本例の搬送車で
は、曲がり部分の曲率半径をrとすると、S=√2rに
していることによる。ここで、rは、搬送車の全長Lの
1/5、幅の1/2以下で、短い距離になっている。
【0025】搬送車が図2の実線の状態から更に進行し
て図3の二点鎖線で示す車体1の状態になり、図3では
実線で示している後方の車台2の前後ローラ51、52
が曲がり部分に入って線分Sが直線方向から45°の向
きになると、後方の内外輪32、33も45°の方向を
向き、車台2の進行方向と完全に一致し、円滑に転がっ
て進行する。
【0026】又、上記のように前側及び後側の車台2が
回転するに伴って車体1も回転するが、2台の車台が間
隔を明けて配設されているので、車体1と車台2との間
には回転ずれが生ずる。このとき、支持ローラ4が中心
1 、P2 を中心とした円弧Qの方向に回転して移動す
るように取り付けられているので、車体と車台間の回転
抵抗は十分小さい値である。従って、2台の車台の回転
に伴って車体も回転し、搬送車は円滑に進路の曲がり部
分を旋回することができる。
【0027】以上の如く、本例の搬送車によれば、曲が
り部分の曲率半径が搬送車の全長の1/5という従来の
キャスター式台車の半分以下の小さい値であっても、前
後ローラ51、52のハンドル作用によって車輪3を車
台2の動く方向に向けることにより、従来のように運転
者が車体に回転力を与えるような操作をすることなく単
に車体を押すだけという簡単な操作により、曲がり部分
においても搬送車を円滑に進行させることができる。
【0028】発明者等は、前記のような搬送車を実際に
試作して搬送試験を行った。それによれば、1人の運転
者が車体を前方に押すだけの操作により、曲がり部を連
続して円滑に曲がりきり、車体を90°旋回させて別の
直線部分に移行させることができた。従って、本発明に
よれば、従来キャスター式台車を2人で走行させていた
のに較べて省力化が図られると共に、作業能率を向上さ
せることができる。又、ガイドレール100はガイドロ
ーラ5を案内するだけのものであるから、車体重量を支
持する必要がなく、簡易な構造のものでよい。
【0029】図7は、図2及び図3の運転状態を更に細
かく分けて、車体の進行軌跡を段階的に示した図であ
る。この図では、車体1が進路の直線部から曲線部を通
るときに車体角度が45°程度回転するまで状態を、1
−1から1−5まで5段階に分けて示している。本例の
搬送車によれば、図2、3に示す如く車台2が曲がり部
分を円滑に曲がりきると共に、本図に示す如く、車体1
の進行軌跡の占める範囲を、車体幅より少し膨らむ程度
に極めて小さくすることができる。その結果、工場等ス
ペースを有効に活用でき、狭隘な工場においても、搬送
車による物品の搬送を可能にすることができる。
【0030】図8は、曲がり部を通過するときの搬送車
の車輪の転がり方向を更に詳しく調べた結果を示す。図
では、進路の90°曲がり部分C2 を中心Oから15°
の角度で6等分した位置を1a〜7a、前側の前ローラ
51がこれらのそれぞれの位置に来たときの後ローラ5
2の位置を1b〜7b(1b、2bは図の範囲外になる
ため図示せず)、それぞれの状態での中心P1 の位置を
1P〜7P、それぞれの状態での内外輪32、33の位
置及び方向の線を1A〜7A及び1B〜7B、前後ロー
ラ51、52の動く方向から定まる車台2の動きの瞬間
中心をそれぞれ1o〜7o(1oは無限遠になり2oも
遠くなるので図示せず)、外輪33の方向線の法線と外
輪から瞬間中心までを結んだ線との成す角度である偏向
角をそれぞれα1 〜α7、そして内輪の方向線3Aの法
線と3Aから瞬間中心3oまでを結んだ線の成す偏向角
をβ3 としている。
【0031】この図から分かるように、α1 と、図2及
び図3の実線の状態に相当するα7は0である。従っ
て、これらの状態では、外輪1B及び7Bの向きは、車
台2が瞬間中心(無限遠の位置及びO)を中心として回
転しようとする方向、即ち車台2の動こうとする方向と
完全に一致し(偏向角0)、外輪はすべり摩擦0の完全
な転がりのみで進行する。即ち直線走行時とほぼ同じ状
態にある。なお、偏向角を図示していないが内輪1A、
7Aについても同様である。その他の位置では偏向角α
を生ずるが、この角度は僅かであり、この偏向角による
転がり方向と進行方向とのずれによる摩擦抵抗は十分小
さい値である。この場合、進路の曲がり部分でも搬送車
を連続して動かせるので、このときの摩擦は動摩擦にな
り、更に小さい値になる。
【0032】一方、内輪の動きは複雑であり、偏向角も
外輪に較べると多少大きくなるが、その値としては小さ
く、又、内輪の移動範囲は外輪に較べて十分小さいの
で、内輪の進行抵抗は殆ど問題にならない。従って、本
例の搬送車によれば、既述の如く、ガイドローラ5のハ
ンドル作用により、車輪は少ない抵抗で円滑に進行し、
搬送車は容易に曲がり部分を通過できることになる。
【0033】図9はガイドローラのハンドル作用の大き
さを説明した図である。(a)では、車台の前方の前ロ
ーラが曲がり部分C2 の中間に来た状態を示している。
後方の車台ではガイドローラが直線部分にあって小さい
抵抗で進行できるため、仮にその抵抗を0とすれば、中
心点P1 には人の押し力Fがかかり、これにより、前後
ローラ51、52はガイドレール100の内面101か
ら反力R 1 、R2 及び摩擦力f1 、f2 を受け、仮にこ
れらが力の多角形を形成して釣り合ったとすれば、図中
の二点鎖線で示したような力の関係になる。
【0034】ここで、前後ローラ51、52はガイドレ
ール100に接触して回転するように構成されているの
で、摩擦抵抗がないためf1 (f2 も同様)は十分小さ
い値になる。従って、実際には二点鎖線のような静的な
力の多角形は成立せず、前後ローラは進行方向に動いて
行くことになる。その結果、車台2を回転させるモーメ
ントとしてはR1 の作用が支配的となり、車台にはほぼ
1 xのモーメントMがかかる。更に、R2 及びf2
十分小さいので、R1 はほぼF/√2=0.7Fにな
り、Mは0.7Fx程度の大きさになる。ここでxは約
0.6rになるので、結局Mは0.42Fr程度の大き
さになる。そして、このモーメントMがハンドル作用を
なし、内外輪3が向きを変えるように車台2を回転させ
ることになる。
【0035】(b)では、図8において前方の車台の前
後ローラが7a−7bにあり中心が7Pにあるときの状
態を例示している。この場合には、Mは0.9Fx程度
となり、x=r/2から、Mは0.45Fr程度の大き
さになる。
【0036】以上から、rが大きくなればハンドル力が
大きくなり、操縦性に余裕ができるが、車台の回転半径
が大きくなるので、装置を狭隘な工場に適用できること
等の種々の効果は減少する傾向になる。本例の搬送車で
は、実製品で少なくともr=L/5を達成できたので、
本発明の効果が十分大きいことが実証された。なお、押
し力Fだけでどれだけの小回転半径まで連続的に円滑に
回転できるかは、ガイドローラ5や支持ローラ4の性
能、車輪3の性能、搬送路の状態、各部の寸法関係、等
の種々の条件によって定まることになる。なお、rを変
化させても、図8に示した偏向角αは殆ど変化しない。
又、間隔Sを変えれば、rが同じであっても、Sによっ
てモーメントが変化する。
【0037】以上の例では、S=√2rとし、回転の中
心P1 、P2 がSの中央にあり且つ内外輪52、53の
中央にある場合について説明したが、これらの条件は、
適当な場合には適当な範囲で変更可能である。以下では
そのような種々の変更について説明する。
【0038】図10はrに対して前後ローラ間の間隔S
を大きくした例を示す。この例では、前ローラ51を5
aの位置にして後ローラ52を5b´の位置にして、図
8の状態と比較している。このようにすると、図示の如
く、瞬間中心の位置5oが中心Oから少し遠い位置5o
´になり、偏向角α5 ´がα5 より少し大きくなり、ハ
ンドル抵抗が少し大きくなる。しかし、図9のxが大き
くなり(同図の(b)以外の状態のとき)、ハンドル作
用をするモーメントは大きくなる。従って、Sをある程
度大きくする方が良い場合もある。なお、車体寸法か
ら、Sを大きくするには限界がある。
【0039】一方、図10とは反対に間隔Sを小さくす
ることも可能である。例えば、図8において、前後ロー
ラを5a−7b間にすれば、この状態でも瞬間中心がO
点になり、偏向角α5 が0になり、全体的に外輪の動き
に対する抵抗が小さくなるが、図9のxが小さくなり、
ハンドルモーメントが小さくなる。従って、車体が小さ
い場合などには、間隔Sをある程度小さくするのが良い
場合がある。
【0040】前後ローラ51、52に対して中心P1
後ローラ52側にずらせば、偏向角αは大きくなるが、
例えば図8の7Pの位置が前ローラ51から遠くなるた
め、x=r/2に相当する距離が大きくなってハンドル
モーメントは大きくなる。P 1 を前ローラ51側にずら
せば上記と反対になる。従って、ある程度の範囲でこの
ような構成も採用可能である。
【0041】車体1と車台2との回転の中心P1 を車体
1の中心線から外輪32側(図2では左の方向)にずら
せば、中心P1 に押し力Fを加えたときに、車体進行力
と共に、車輪自体に進路の曲がり部分C2 と同じ方向に
向きを変えさせるモーメントを与えることができる。従
って、C2 のような曲がり部を通過するのは容易にな
る。しかし、進路の直線部分C1 の走行時にも車輪に不
要なモーメントがかかり、直進には不利になる。又、U
字状の進路であれば曲がり部分の曲がり方向が同じであ
るため上記モーメントが有効になるが、反対方向の曲が
り部分のある進路では、その曲がり部分を通過しにくく
なる。従って、この構成は、進路の形状や曲がり部分の
曲率等を考慮して適当な条件のときに用いられる。
【0042】又、上記のように中心点P1 をずらせる
と、図9のxが大きくなり、車台2の回転力が大きくな
るので、ガイドローラ5のハンドル作用が大きくなる。
但し、反対方向の曲がり部分があるときには、その部分
を通過するときにxが小さくなり、上記と同様に直進及
び旋回の何れにおいても不利な傾向になる。
【0043】回転中心から外輪までの距離を大きくすれ
ば、積荷の支持状態はより安定するが、車台を回転させ
て車輪を回すための抵抗モーメントが大きくなるため、
図8の偏向角が僅かに小さくなるものの、曲がり部分の
旋回性は低下する。上記距離を小さくすればその反対の
作用が生ずる。従って、このような構成も、必要に応じ
て適当な条件のときに採用すべきものである。
【0044】図1等に示す搬送車は、実際に採用し得る
最適な構造のものの1例であるが、本発明を適用するに
当たっては、種々の条件を考慮して、以上の諸変更要素
の何れか又は複数を含めて図1のものを変更した構成を
適宜採用することができる。即ち、本発明ではかなりの
設計上の自由度ある。なお、以上では人力で動かす搬送
車の例を示したが、エンジンやモータ等の駆動装置を使
用した搬送車にも本発明を適用することができる。
【0045】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、次のような作
用効果が生ずる。直線部分と円弧状の曲がり部分とを持
つ一定の進路に適用される車両搬送装置が案内部と車両
とを有し、案内部は車両の進行範囲で進路の方向に設け
られているので、車両をその進行範囲まで進路に沿って
進行させることが可能になる。
【0046】車両は車体と中間体と車輪と支持回転体と
案内回転体とを備え、中間体は2台あり、それぞれの中
間体は相互に離れた位置であって車体の下方にあって車
体との間でそれぞれ1点を中心として回転が自在なよう
に車体に結合されているので、2台の中間体の何れか又
は両方が進路の曲がり部分でそれぞれ別個に回転をして
も、それぞれ別個に車体との回転関係を形成しつつ、下
方の中間体で上方の車体を支持することできる。又、車
体を押せば、結合されている2台の中間体を進行させる
ことができる。
【0047】車輪は中間体と支持回転体とを介して車体
を支持すると共に1点に対してほぼ直角な方向に向くよ
うに中間体に対して一定の向きに取り付けられているの
で、車輪で車体を支持できると共に、中間体が車体との
結合点である1点を中心として回転するときに、中間体
の回転に対応して車輪の向きが変わり、車輪は常に中間
体の回転円の接線方向に向いてその方向に転がることに
なる。
【0048】支持回転体は車体と中間体との間に介在し
て車体の荷重を中間体で支持すると共に1点に対してほ
ぼ直角な方向を向くように車体又は中間体の何れか一方
に対して一定の向きに回転自在なように取り付けられて
いるので、例えば車体に取り付けられているときには、
中間体が1点を中心として回転すれば、支持回転体は常
に中間体上でその回転円の接線方向に回転することにな
り、車体と中間体との間で抵抗の少ない状態で車体の重
量を中間体に伝達することができる。
【0049】案内回転体はそれぞれの中間体に2個設け
られていて2個が一定の距離離れた位置で案内部と接触
し回転して進路の方向に移動するように中間体に取り付
けられているので、例えば中間体に取り付けられている
2個の案内回転体の一方が案内部で案内されて進路の直
線部分から曲がり部分に入ると、2個の案内回転体で形
成する姿勢として例えば2個の案内回転体を結んだ線分
が傾斜し、この傾斜した量だけ中間体を傾斜させ、それ
に伴って中間体に取り付けられた車輪の向きを傾斜させ
る。即ち、2個の案内回転体で車輪の向きを変えるハン
ドル作用をする。この場合、案内回転体は案内部と接触
して回転して移動するので、その移動抵抗は十分小さ
く、従ってハンドル作用をするときの抵抗が小さい。そ
の結果、例えば人が車体を押し、その力で中間体を介し
て案内回転体を進行させるときに、人の力を軽くするこ
とができる。
【0050】そして、車輪と案内回転体とは案内回転体
が全て直線部分に接触しているときに車輪が直線部分の
直線の方向に向くように中間体に取り付けられているの
で、案内回転体が進路の直線部分にあるときには、車輪
をその方向に向けて抵抗なく回転させて車体を進行させ
ると共に、案内回転体が進路の曲がり部分に入ると、前
記ハンドル作用で車輪の向きを変え、曲がり部分を進行
し易くする。その結果、2個の中間体がそれぞれ独立し
て曲がり部分を円滑に通過し、これらと回転可能に結合
された車体を回転させつつ、中間体と共に曲がり部分を
通過させることができる。
【0051】請求項1の発明の構成に基づいて生ずる以
上のような作用によれば、支持回転体及び案内回転体が
摩擦によらず抵抗が十分小さくなる回転によって動き、
それによって少ない抵抗で十分なハンドル作用を発生さ
せるので、車両が進行する進路の曲がり部分の曲率を小
さくすることができる。その結果、工場等における車両
による物品搬送系を占有スペースの小さい合理的をもの
にすることができる。又、狭隘な工場でも、U字生産ラ
インを構成する車両搬送系を構築することができる。
【0052】この場合、車両の進行に従って自動的に生
ずるハンドル作用によって自動的に車輪が操縦されるの
で、車両に推進力を与えるだけで車両を進行させること
ができる。従って、例えば人が車両を進行させるときに
は、単に車両を押せばよく、操作を簡単にすることがで
きる。又、車輪がハンドル作用によって操縦されるで、
キャスターのようなものでなく通常の車輪を使用するこ
とができる。その結果、重量物の運搬も可能になる。更
に、車体の全重量のかかる車輪を乗せて走行させるため
のガイドレールは不要である。
【0053】請求項2の発明によれば、上記のような曲
率の小さい曲がり部分を持つ進路を進行できる車両を提
供することができる。そして、この車両により、上記種
々の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両である部材搬送用の搬送
車を含む車両搬送装置の全体構成をの一例を示す斜視図
である。
【図2】上記車両搬送装置における搬送車の進行時の概
略平面図である。
【図3】上記搬送車が更に進行したときの概略平面図で
ある。
【図4】上記搬送車の車体と車台との結合部の断面図で
ある。
【図5】上記搬送車の支持ローラの側面図である。
【図6】上記搬送車のガイドローラの側面図である。
【図7】上記搬送車が曲がり部分を進行するときの車体
の姿勢を示す平面図である。
【図8】上記搬送車が曲がり部分を進行するときの車輪
の状態を示す説明図である。
【図9】(a)及び(b)は上記搬送車が曲がり部分を
進行するときに車台の中心及び前後ローラにかかる力の
関係を示す説明図である。
【図10】前後ローラの間隔を変えたときに上記搬送車
が曲がり部分を進行するときの車輪の状態を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 車体 2 車台(中間体) 3 車輪 4 支持ローラ(支持回転体) 5 ガイドローラ(案内回転体) 32 内輪(車輪) 33 外輪(車輪) 51 前ローラ(案内回転体) 52 後ローラ(案内回転体) 100 ガイドレール(案内部) 200 搬送車(車両) C 進路 C1 直線部分 C2 曲がり部分 P1 、P2 中心(1点) S 間隔(一定の距離)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上林 實 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61B 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線部分と円弧状の曲がり部分とを持つ
    一定の進路に適用される車両搬送装置において、 案内部と車両とを有し、 前記案内部は前記車両の進行範囲で前記進路の方向に設
    けられ、 前記車両は車体と中間体と車輪と支持回転体と案内回転
    体とを備え、 前記中間体は2台あってそれぞれの中間体は相互に離れ
    た位置であって前記車体の下方にあって前記車体との間
    でそれぞれ1点を中心として回転可能なように前記車体
    に結合され、 前記車輪は前記中間体と前記支持回転体とを介して前記
    車体を支持すると共に前記1点に対してほぼ直角な方向
    に向くように前記中間体に対して一定の向きに取り付け
    られていて、 前記支持回転体は前記車体と前記中間体との間に介在し
    て前記車体の荷重を前記中間体で支持すると共に前記1
    点に対してほぼ直角な方向を向くように前記車体又は前
    記中間体の何れか一方に対して一定の向きに回転自在な
    ように取り付けられていて、 前記案内回転体は前記それぞれの中間体に2個設けられ
    ていて該2個が一定の距離離れた位置で前記案内部と接
    触し回転して前記進路の方向に移動するように前記中間
    体に取り付けられていて、 前記車輪と前記案内回転体とは該案内回転体が全て前記
    直線部分に接触しているときに前記車輪が前記直線部分
    の直線の方向に向くように前記中間体に取り付けられて
    いる、 ことを特徴とする車両搬送装置。
  2. 【請求項2】 直線部分と円弧状の曲がり部分とを持つ
    一定の進路に適用される車両搬送装置の車両において、 前記車両搬送装置には前記車両の進行範囲で前記進路の
    方向に案内部が設けられていて、 車体と中間体と車輪と支持回転体と案内回転体とを備え
    た車両であって、 前記中間体は2台あってそれぞれの中間体は相互に離れ
    た位置であって前記車体の下方にあって前記車体との間
    でそれぞれ1点を中心として回転が自在なように前記車
    体に結合され、 前記車輪は前記中間体と前記支持回転体とを介して前記
    車体を支持すると共に前記1点に対してほぼ直角な方向
    に向くように前記中間体に対して一定の向きに取り付け
    られていて、 前記支持回転体は前記車体と前記中間体との間に介在し
    て前記車体の荷重を前記中間体で支持すると共に前記1
    点に対してほぼ直角な方向を向くように前記車体又は前
    記中間体の何れか一方に対して一定の向きに回転自在な
    ように取り付けられていて、 前記案内回転体は前記それぞれの中間体に2個設けられ
    ていて該2個が一定の距離離れた位置で前記案内部と接
    触し回転して前記進路の方向に移動するように前記中間
    体に取り付けられていて、 前記案内回転体は前記それぞれの中間体に2個設けられ
    ていて該2個が一定の距離離れた位置で前記案内部と接
    触し回転して前記進路の方向に移動するように前記中間
    体に取り付けられていて、 前記車輪と前記案内回転体とは該案内回転体が全て前記
    直線部分に接触しているときに前記車輪が前記直線部分
    の直線の方向に向くように前記中間体に取り付けられて
    いる、 ことを特徴とする車両。
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