JP3063700B2 - 光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録媒体

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JP3063700B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機色素層を記録
層とし、書換可能な光学情報記録媒体に関し、特に有機
色素の選択に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野においては光学情
報記録方式に関する研究が各所で進められている。この
光学情報記録方式は、非接触で記録・再生が行えるこ
と、磁気記録媒体に比べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型,追記型,書換え可能型のそ
れぞれのメモリー形態に対応できること等の数々の利点
を有し、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式
として産業用から民生用まで幅広い用途の考えられてい
るものである。
【0003】上述のメモリー形態のうち追記型は、エン
ドユーザーにおいて記録と再生とが行えるものであり、
消去ができないことから、主にデータの長期保存用ファ
イルとして使用される。記録に際しては、記録材料がレ
ーザー光の光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換
することにより生ずる記録層の局部的な非可逆的物理変
化を利用している。この非可逆的物理変化としては、記
録層の形状変化(ピットの形成)、表面性変化、結晶状
態変化等が知られている。
【0004】現在実用化されている追記型光学情報記録
媒体は、そのほとんどがテルル合金またはテルル化合物
を記録材料とするものである。しかし近年、媒体の耐蝕
性,量産性、経済性等をより向上させる観点から、これ
らテルル系材料に代わって有機色素が注目されている。
上記有機色素は、記録再生に使用される半導体レーザー
の近赤外領域において大きな吸収とある程度の反射を示
すことが必要であり、これまでにメチン系色素,ベンゼ
ンジチオールニッケル錯体,金属フタロシアニン色素,
ナフトキノン系色素等が知られている。
【0005】一方、書換え可能型とは文字どおり記録情
報を消去して再記録を可能とするものであり、記録・再
生可能なディジタル・ディスク(いわゆるコンパクト・
ディスク等),ビデオディスク,データメモリー,画像
編集用メモリー等の非常に広範囲な用途の考えられてい
るものである。この場合、レーザー光の照射により記録
層あるいは該記録層に隣接する他の層に生ずる物理変化
は可逆的でなければならず、幾つかのタイプのものが提
案されている。
【0006】たとえば、実開昭59−82342号公報
および1983年第30回応用物理学会講演集(講演番
号7a−X−8)には、基板上に光吸収層と熱可塑性層
とを順次形成した書換え可能型の光学情報記録媒体が提
案されている。この技術によると、光吸収層の光熱変換
作用によりレーザー光の照射部において熱可塑性層が局
所的に変形して記録が行われ、媒体全体を加熱すること
により消去が行われる。
【0007】また特開昭58−224449号公報に
は、反射率の高い基板の上に低分子量の熱可塑性樹脂に
光吸収体を分散させた記録層を必要に応じて中間断熱層
を介して形成した光学情報記録媒体が開示されている。
この場合は、消去は媒体全体の加熱によってもレーザー
光の照射によっても可能である。
【0008】さらにオプティカル・データ・ストーレー
ジ(Optical Data Storage),第
10巻,155ページ,1987年には、光吸収体を含
有し記録レーザー光の照射によって変形する第1の層
と、別の光吸収体を含有し消去レーザー光によって変形
する第2の層とが基板上に順次形成された光学情報記録
媒体が提案されている。この光学情報記録媒体による
と、まず記録時には記録レーザー光の照射によって第1
層が変形すると共に第2層に応力が及ぼされ、消去時に
は前記記録レーザー光とは異なる波長のレーザー光を照
射することにより蓄積された応力が開放される。
【0009】前述の有機色素は、これらの書換え可能型
光学情報記録媒体の光吸収体としても適用できる可能性
があり、研究が進められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来、光吸収
体として使用されていた有機色素には幾つかの特性上の
欠点があった。
【0011】たとえば、シアニン系色素は光劣化を起こ
し易く、単独では実用に耐えない。また、フタロシアニ
ン系色素は耐光性には優れる反面、多くの溶媒に難溶で
あり、記録層を塗布によって形成することができない。
その上、色素単体では半導体レーザー光の波長領域に吸
収帯を持たないので、会合体を形成させる等の工夫を要
する。しかし、仮に会合体が形成されたとしても、熱可
塑性材料や他の有機色素と混合することにより感度が低
下したり、あるいは会合が解消されて吸収が消失する虞
れがある。
【0012】また、色々なメモリ形態のうち特に書換え
可能型の光学情報記録媒体の高信頼化と普及を図るにあ
たっては、さらに考慮すべき点が残されている。すなわ
ち、上述のような従来の技術においては、記録・再生あ
るいは消去に関与する部分が2層以上の多層構造とされ
ていること、有機色素が大量の熱可塑性樹脂中に分散さ
れていること、あるいは使用するレーザー光の波長が単
一でないために周辺機器の構成が複雑になること等の問
題点があり、必ずしも生産性,操作性,経済性等に優れ
ているとは言えないのが現状だからである。
【0013】そこで本発明は、上述の問題を解決し、単
純な媒体構成により信頼性の高い記録・再生、あるいは
これらに加えて消去も行うことのできる光学情報記録媒
体の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の目的
を達成するために検討を重ねた結果、有機色素として置
換アミノフタロシアニンを使用することにより従来の問
題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0015】すなわち本発明にかかる光学情報記録媒体
は、基板上にテトラヘキシルアミノフタロシアニン、テ
トラドデシルアミノフタロシアニン、テトラプロピルア
ミノフタロシアニンから選ばれる少なくとも1種を含む
記録層を設けてなり、記録情報を消去して再記録するこ
とが可能であることを特徴とするものである。
【0016】以上のように構成された本発明に係る光学
情報記録媒体において使用される置換アミノフタロシア
ニンは、会合体等を形成しなくとも色素単体で半導体レ
ーザー光を吸収し、融解する。したがって、このような
置換アミノフタロシアニンを含む記録層に半導体レーザ
ー光が照射されると、照射部位において局部的に色素が
融解し、記録層にピットが形成される。この物理変化
は、置換アミノフタロシアニン分子中の置換アミノ基の
種類を適宜選択することにより可逆的とも非可逆的とも
なる。上記物理変化が可逆的である場合、記録光と同等
以上のパワーを有する半導体レーザー光を既に形成され
ているピットあるいはその近傍に照射することにより記
録層が平坦化され、再記録が可能となる。本発明では、
このような物理変化が有機色素のみによって担われ、熱
可塑性層や記録層への熱可塑性材料の混入等を必要とし
ない。したがって、耐久性の向上や作製上の観点からも
有利である。
【0017】また、上記置換アミノフタロシアニンは熱
分解温度が従来のシアニン色素等に比べて高く、レーザ
ー光の照射を受けて融解・固化を繰り返しても劣化を生
じない。さらに、汎用の溶媒に可溶であるため、各種の
塗布方法による記録層の形成が可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光学情報記録
媒体の好適な実施の形態を説明する。
【0019】本発明に係る光学情報記録媒体は、基板上
に置換アミノフタロシアニンを含む記録層を設けてな
り、記録情報を消去して再記録することが可能であるこ
とを特徴とするものである。
【0020】まず、本発明において使用される置換アミ
ノフタロシアニンは、次の一般式(I)で表される化合
物である。
【0021】
【化1】
【0022】上記一般式(I)で表される化合物はいわ
ゆるフリーベース型の置換アミノフタロシアニン色素で
ある。なお、フタロシアニン骨格の最中央部に位置する
窒素原子上の水素原子2原子が金属原子で置換され、金
属錯体となっていても良い。また、式中、K 1 〜K 4 は置
換アミノ基を表すが、ここで置換アミノ基としてはヘキ
シルアミノ基、ドデシルアミノ基、プロピルアミノ基を
挙げることができる。
【0023】
【0024】上述のような置換アミノフタロシアニン
は、記録光となる半導体レーザー光の波長領域 (78
0nm)に吸収帯を持つ。これは、会合状態においての
み吸収を示す従来のフタロシアニン系色素とは大きく異
なる性質であり、結合剤あるいは他の有機色素との混合
も可能となる。しかも上記置換アミノフタロシアニン
は、上記波長領域において15%程度、あるいはそれよ
り大きい反射率を有している。従来の光学情報記録媒体
では、記録・再生に同一波長の半導体レーザー光を利用
しようとすると光吸収体の吸光度と反射率のバランスを
とることが難しいため、一般には反射率を補うために記
録層の上に金属反射層を積層すること等が行われてい
た。しかし、上記置換アミノフタロシアニンを含む記録
層は、このような金属反射層を特に必要とはしない。
【0025】また、上記置換アミノフタロシアニンは熱
分解温度が370℃以上であり、かつ370℃未満で溶
融する。したがって、半導体レーザー光による通常の使
用条件下では熱分解を起こす虞れはなく、優れた光熱変
換特性が失われることはない。
【0026】上述の置換アミノフタロシアニンを用いて
光学情報記録媒体を作成するには、この有機色素を適当
な溶媒に溶解し、ポリカーボネート, PMMA(ポリメ
チルメタクリレート),ガラス等の基板上に塗布した
後、乾燥させて記録層を形成すれば良い。
【0027】ここで、上記溶媒としては基板を溶解する
等の影響を与えない化合物を適宜選択することが必要で
ある。たとえば基板の材料としてポリカーボネートを使
用する場合には、ヘキサン系溶媒、セロソルブ系溶媒、
ヒドロキシケトン系溶媒等が好適である。本発明の置換
アミノフタロシアニンはこれらの溶媒に可溶である。
【0028】さらに特性向上を目的として、ニッケル錯
体やヒンダードアミン等の各種添加剤を、また成膜性を
向上させる目的で高分子結合剤等を添加しても良い。
【0029】以上の有機色素、各種添加剤、高分子結合
剤等は、上述の有機溶媒中に各々の濃度が0.5〜5重
量%程度となるように溶解されることが好ましい。
【0030】塗布方法としてはスピンコート法、ドクタ
ーブレード法、グラビアコート法、ウェッブコート法等
が適用可能であるが、なかでもスピンコート法は特に実
用性が高い。
【0031】なお、この光学情報記録媒体には必要に応
じて下地膜、保護膜、金属反射膜等が形成されていても
良い。
【0032】記録情報の再生に際しては、記録層に既に
生じている物理変化に影響を与えない程度のパワーの半
導体レーザー光を照射して、反射率の変化を検出する。
【0033】また記録情報の消去に際しては、媒体全体
を色素の熱分解温度を越えない範囲で加熱するか、ある
いは記録光と同等以上のパワーを有する半導体レーザー
光によりピットを再び平坦化するかのいずれかの方法が
とられる。後者の方法によれば、記録情報の選択的な消
去が可能となる。このとき、半導体レーザー光の焦点位
置は、既に形成されているピットの真上であっても、若
干ずれた位置であっても良い。
【0034】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について実験結
果にもとづいて説明する。
【0035】まず、置換アミノフタロシアニンの一例と
して、以下に示す経路によりテトラヘキシルアミノフタ
ロシアニンを合成した。
【0036】
【化2】
【0037】まず、ニトロフタロジニトリル(1)にア
ルカリ金属アルコラートを作用させて縮合させ、テトラ
ニトロフタロシアニン(2)を得た。このとき、アルカ
リ金属アルコラートの代わりにたとえば金属や金属塩を
作用させると、加熱反応により金属錯体が得られる。
【0038】次に、上記テトラニトロフタロシアニン
(2)を塩化カルシウムの存在下、熱水中で硫化ナトリ
ウム(Na2S)を用いて還元することにより、高収率
でテトラアミノフタロシアニン(3)が得られた。さら
に、上記テトラアミノフタロシアニン(3)に固体水酸
化ナトリウム,テトラ(n−ブチル)アンモニウムの共
存下で1−ブロモ−n−ヘキサンを作用させることによ
り、テトラヘキシルアミノフタロシアニン(4)を合成
した。アセトン中で測定したテトラヘキシルアミノフタ
ロシアニン(4)の吸収スペクトルを図1に示す。この
図1より、この化合物の吸収極大波長は750 nmで
あるが、半導体レーザーの波長である780nmにおい
ても十分な吸収を示すことがわかる。固体膜での複素屈
折率は1.996−0.468i(780nm)であっ
た。色素単体としてのこのような光学的性質は、従来の
フタロシアニン誘導体にはみられなかったものである。
【0039】なお、上記臭化ヘキシルの代わりに種々の
アルキルハライドを使用することにより、対応する置換
基をアミノ基の窒素原子上に導入することができる。ま
た、アルキルハライドとして1−ブロモプロパンおよび
1−ブロモ−n−ドデカンを作用させ、それぞれテトラ
プロピルアミノフタロシアニンおよびテトラドデシルア
ミノフタロシアニンも同様に合成した。これらの化合物
も、色素単体で半導体レーザー光を十分に吸収できるこ
とが確認され、780nmにおける前者の複素屈折率は
2.245−0.649i、後者の複素屈折率は1.8
44−0.363iであった。
【0040】次に、これらの置換アミノフタロシアニン
を用いて実際に光学情報記録媒体を作成し、諸特性を調
べた。
【0041】実施例1 本実施例は、ポリカーボネートからなる基板上にテトラ
ヘキシルアミノフタロシアニンからなる記録層を設けた
光学情報記録媒体の例である。
【0042】まず、ジアセトンアルコールにテトラヘキ
シルアミノフタロシアニンを濃度が1〜2重量%となる
ように溶解し、塗料を調製した。
【0043】次に、中央に直径1.5cmの回転装置結
合用の穴を有し、信号記録部にグルーブが予め形成され
ている直径12cmのポリカーボネート基板をスピンコ
ーターにセットした。
【0044】このポリカーボネート基板の回転数を70
0〜3000rpmの範囲で変化させながら種々の層厚
の塗膜を形成した後、乾燥させて記録層とし、光学情報
記録媒体を完成した。
【0045】上述の光学情報記録媒体をライトワンス型
の媒体として使用する場合の特性を検討した。
【0046】まず、記録層の層厚を700オングストロ
ームとした場合について、波長780nmの半導体レー
ザー光を開口数0.6のレンズでビームスポット径1μ
m程度に絞り、半導体レーザー光のパワーを0.5m
W,パルス幅を1.1μsecとして再生を行った。こ
の再生を10万回繰り返す過程において、反射率の変化
を調べた結果を図2に示す。図中、縦軸は反射率
(%)、横軸は再生回数(×1000回)を表す。初期
反射率は21.42 %である。10万回再生後の最終
反射率は21.26 %であり、初期反射率の99%以
上の値に維持されていた。つまり、テトラヘキシルアミ
ノフタロシアニンは光劣化をほとんど起こさず、極めて
安定な記録層を形成する化合物であり、このような記録
層を有する光学情報記録媒体はまずライトワンス型の媒
体として極めて好適な性能を有していることが確認され
た。
【0047】このテトラヘキシルアミノフタロシアニン
は、別の示差熱分析から分解点が375℃であることが
わかり、従来一般的に使用されているシアニン系色素
(日本感光色素社製;商品名NK−125,後述の比較
例参照。)の191℃と比べてかなり高くなっていた。
この事実からも、本実施例にかかる光学情報記録媒体の
優れた耐久性が裏付けられる。
【0048】次に、この光学情報記録媒体の書換え可能
型媒体としての可能性について検討した。すなわち、ス
ピンコート時の基板の回転数を700rpmとして層厚
2500オングストロームの記録層を形成した場合につ
いて、波長780nmの半導体レーザー光のパワーを8
mW,パルス幅を8μsecとして記録を行い、同じく
10mW,100μsecとして先の記録情報の消去を
行い、再び上述の記録条件にて再記録を行った。再生光
のパワーは0.5mW,パルス幅は1.1μsecとし
た。このような記録/消去サイクルを繰り返す過程にお
いて、反射率の変化を調べた結果を図3に示す。図3
中、縦軸は反射率(%)、横軸は記録/消去サイクル数
(回)を表す。また、白三(△)のプロットは初期反射
率、白丸(○)のプロットは記録後の反射率、黒丸
(●)のプロットは消去後の反射率をそれぞれ表す。こ
の図3より、記録/消去サイクルの2回目以降は記録後
の反射率が初期反射率よりも増大しているものの、これ
に伴って消去後の反射率も増大しているので両者の間に
は有意な反射率の差が存在しており、しかもこの差は再
現性良く現れている。この結果をみる限り、本実施例に
かかる光学情報記録媒体は少なくとも10回の記録/消
去サイクルに耐える書換え可能型の媒体であることがわ
かる。
【0049】なお、記録層の層厚が1500オングスト
ローム未満の場合には満足な記録/消去特性が現れず、
書換え可能型の媒体を提供するためには記録層の最適範
囲が存在することが示唆された。
【0050】実施例2 本実施例は、ポリカーボネートからなる基板上にテトラ
プロピルアミノフタロシアニンからなる記録層を設けた
光学情報記録媒体の例である。媒体の作成は、上述の実
施例1に記載した手順に準じて行った。記録層の乾燥後
の層厚は約1000オングストロームであった。
【0051】上記光学情報記録媒体のライトワンス型媒
体としての特性を調べた。すなわち、まず波長780n
mの半導体レーザー光のパワーを8mW,パルス幅を8
μsecとして記録を行い、続いて同じ波長の半導体レ
ーザー光のパワーを0.5mW,パルス幅を1μsec
として再生を行った。この再生を10万回繰り返す過程
において、反射率の変化を調べた結果を。結果を図4に
示す。初期反射率は20.88%である。10万回再生
後の最終反射率は16.23%であり、初期反射率の7
8%以上に維持されていた。したがって、上記光学情報
記録媒体は、ライトワンス型の媒体として十分な性能を
有している。
【0052】この光学情報記録媒体については書換え可
能型媒体としての性能も検討したが、消去特性の再現性
にやや劣っていた。したがって、書換え可能型媒体が実
現されるか否かは置換アミノ基の種類に依存することが
示唆される。
【0053】比較例 本比較例は、ポリカーボネートからなる基板上にシアニ
ン系色素を記録材料とする有機色素層を形成して光学情
報記録媒体を製造した例である。まず、2−ヒドロキシ
−2−メチル−3−ブタノンに以下に示す化3式で表さ
れるシアニン系色素(日本感光色素社製,商品名NK−
125)を濃度が3重量%となるように溶解し、塗料を
調製した。
【0054】
【化3】
【0055】次に、実施例1と同様にポリカーボネート
基板上にスピンコートにより層厚700オングストロー
ムの記録層を形成し、光学情報記録媒体を作成した。
【0056】再生を波長780nmの半導体レーザー光
のパワーを0.5mW,パルス幅を1μsecとして行
った。この再生を10万回繰り返す過程において、反射
率の変化を調べた結果を図5に示す。図5中、縦軸は反
射率(%)、横軸は再生回数(×1000回)を表す。
初期反射率は36.73%である。10万回再生後の最
終反射率は26.01%であり、初期反射率の70%に
低下していた。
【0057】上記シアニン系色素の分解点は示差熱分析
から191℃と低いこともわかっており、耐熱性も不十
分である。
【0058】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用すれば、色素を単独で成膜して記録層としても
その優れた光熱変換作用により十分な大きさの反射率の
変化が生じる。したがって、光学情報記録媒体の構成を
簡略化することができ、経済性や生産性が向上する。ま
た、本発明で使用される置換アミノフタロシアニンは、
汎用の溶媒に溶解することができ、色素単体で半導体レ
ーザーの波長領域に吸収を有し、しかも光劣化をほとん
ど起こさない安定な化合物であるため、長期の使用に耐
える信頼性の高い書換え可能な光学情報記録媒体の提供
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】テトラヘキシルアミノフタロシアニンの吸収ス
ペクトルである。
【図2】テトラヘキシルアミノフタロシアニンからなる
記録層を有する光学情報記録媒体の繰返し再生における
反射率変化を示す特性図である。
【図3】テトラヘキシルアミノフタロシアニンからなる
記録層を有する光学情報記録媒体の記録/再生サイクル
における反射率変化を示す特性図である。
【図4】テトラプロピルアミノフタロシアニンからなる
記録層を有する光学情報記録媒体の繰返し再生における
反射率変化を示す特性図である。
【図5】比較例としてシアニン色素からなる記録層を有
する光学情報記録媒体の繰返し再生にける反射率変化を
示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−233887(JP,A) 特開 昭63−242588(JP,A) 特開 昭64−31692(JP,A) 特開 平1−133790(JP,A) 特開 平1−176585(JP,A) 特開 平1−198391(JP,A) 特開 平1−210388(JP,A) 特開 平1−297293(JP,A) 特開 平2−1374(JP,A) 特開 平2−39991(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にテトラヘキシルアミノフタロシ
    アニン、テトラドデシルアミノフタロシアニン、テトラ
    プロピルアミノフタロシアニンから選ばれる少なくとも
    1種を含む記録層を設けてなり、記録情報を消去して再
    記録することが可能であることを特徴とする光学情報記
    録媒体。
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