JP3063146B2 - 混合樹脂組成物 - Google Patents

混合樹脂組成物

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JP3063146B2 JP2297847A JP29784790A JP3063146B2 JP 3063146 B2 JP3063146 B2 JP 3063146B2 JP 2297847 A JP2297847 A JP 2297847A JP 29784790 A JP29784790 A JP 29784790A JP 3063146 B2 JP3063146 B2 JP 3063146B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は混合樹脂組成物に係り、詳しくは、ウレタン
発泡断熱材を用いた断熱用箱体を製造する用途に好適に
使用される樹脂組成物に関し、更に詳しくは1,1−ジク
ロロ−2,2,2−トリフロロエタン(以下「HCFC−123」と
称す。)及び/又は1,1−ジクロロ−1−フロロエタン
(以下「HCFC−141b」と称す。)を発泡剤とするウレタ
ン発泡断熱材に接する構造材料の製造原料として用いら
れる混合樹脂組成物に関する。
[従来の技術] 冷蔵庫、製氷機などの保冷を目的とする断熱用箱体
は、一般に、例えば塗装或いはコーティングを施した鋼
板を外箱形状(門型又は逆門型など)に成形し、次に所
定の形状に成形した合成樹脂製内箱と組み合わせ、この
内箱と外箱との間にウレタン発泡断熱材の原料であるウ
レタン原液を注入した後発泡させ、ウレタン発泡断熱材
により外箱と内箱とを接合一体化する。即ち、ウレタン
発泡断熱材を、断熱材としての役割を果たさせると共
に、構造体としての強度部材として利用している。な
お、使用目的により、外箱と内箱とは、同材質であって
も異材質であっても良い。
ところで、ウレタン発泡の際には、ウレタンの硬化反
応時の発熱によりウレタン発泡断熱材の中心部では60℃
以上の高温となる。このため、ウレタンの硬化反応後、
冷却時にウレタン発泡断熱材は収縮を起こし、収縮応力
が発生する。そして、この収縮応力により、ウレタン発
泡断熱材や内箱に歪が生じ、内箱材料の強度が不十分で
あると内箱に白化現象やクラックが発生することにな
る。そのため、内箱材料としては、成形性が良好であ
り、ウレタン発泡断熱材との接着性が良好で、かつ、低
温収縮に対する応力耐性に優れ、また、使用に際し、内
部に収納した品物の落下に対する耐衝撃性、更には、収
納物、例えば、食用油、調味料等の汚染に対する耐薬品
性に優れること等が要求され、従来、これらを満足する
材料としてABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン3元共重合体)やスチロール樹脂又は塩化ビニ
ル樹脂などが用いられている。
一方、ウレタン発泡断熱材の発泡剤としては、フロン
(CCl3F:トリクロロフロロメタン)であるCFC−11が断
熱性、毒性、安全性、作業性、コストの点から最も一般
的に用いられている。そして、このCFC−11はウレタン
原料中に液状で混合され、ウレタン発泡時にウレタン樹
脂の反応熱により気化し、微細なセルを形成する。この
セル中のCFC−11は経時的に発泡体セルから外部に拡散
する。このため、内箱はウレタン原料注入時はもちろん
のこと、発泡後もセル内から拡散によりCFC−11の影響
を受ける。
従来、内箱材料としてスチロール樹脂を用いた場合に
は、このCFC−11に対する耐性が低いために、発泡材に
直接接触しないように防御フィルムや防御コートを必要
としている。また、塩化ビニル樹脂は、CFC−11からの
影響は受けにくい反面、耐熱性が低く、断熱材の硬化反
応時の熱により変形を生じたり、衝撃強度が低く割れ易
いという欠点がある。これに対して、ABS樹脂は、成形
性、耐衝撃性、耐溶剤性、耐CFC−11性等のバランスに
優れた材料であり、現在では最も広く用いられている。
ところで、最近になって、CFC−11をはじめフロンの
放出が成層圏のオゾン層を破壊する原因として、フロン
物質の生産及び消費に関して国際的に規制され始めた。
CFC−11は、この規制対象物質に含まれているため、上
記のようなウレタン発泡断熱材の発泡剤としての使用が
困難となり、代替発泡剤の使用が検討されている。CFC
−11の代替発泡剤としては、CFC−11と物理特性(沸
点、蒸発潜熱等)が類似するものであって、フロン規制
対象外物質であるHCFC−123及びHCFC−141bなどが提案
されている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、HCFC−123やHCFC−141bは、CFC−11と比較し
て高分子材料に対する溶解性が高く、従来の内箱用箱体
材料であるスチロール樹脂やABS樹脂に対する膨潤、溶
解能が大きい。このため、これらの発泡剤による代替
は、箱体の強度低下や破壊、外観不良につながる。例え
ば、ウレタン発泡断熱材の発泡剤としてHCFC−123やHCF
C−141bを用いた場合、従来、内箱材料として最も広く
使用されているABS樹脂では、発泡剤のアタックが大き
く、内箱にクラック或いは白化を発生し、冷蔵庫箱体等
の強度不足や外観不良となるという問題がある。そのた
め、内箱材料の肉厚を非常に厚くするか、或いはHCFC−
123及びHCFC−141b(以下「HFCF」と総称する。)に優
れた耐性を示すフィルムをラミネートするなどの対策が
講じられているが、内箱材料の肉厚を厚くしても経時的
にHCFCの影響を受け、長期では冷蔵庫箱体等の品質が低
下することになり、本質的な解決策とはならない。ま
た、肉厚を厚くすると成形時間が長くなり、生産性が低
下したり材料重量が大きくなり、断熱用箱体の重量が増
加するという欠点もある。また、耐HCFC性に優れた材料
をラミネートすることは、必要最小限の厚みでHCFCから
のアタックを防止する効果があるが、内箱の切り欠き部
に対するHCFCからの影響を防止するための保護構造が必
要となり、製造が複雑になること、異種材料から構成さ
れるため材料の再生利用が困難であること等の問題があ
る。
また、ガラス繊維(以下「GF」と称す。)及び炭素繊
維(以下「CF」と称す。)等の充填材を混入し、材料の
機械的特性を向上させることも一般的に良く行なわれて
いるが、GF及びCFはいずれも繊維径が5〜20μmで長さ
が100μm〜数mmと形状が大きく、成形品の表面平滑
性、表面意匠性を著しく低下させるという欠点がある。
また、繊維により材料の成形性が低下するという欠点も
あり、GFやCF等の充填材の使用は好ましいことではな
い。
本発明は上記従来の問題点を解決し、従来の製造設備
を用いて製造することができ、HCFC−123やHCFC−141b
を発泡剤としたウレタン発泡断熱材と接触した場合であ
っても、強度低下や破壊、外観不良をひき起こすことの
ない構造材を提供することができる混合樹脂組成物を提
供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の混合樹脂組成物は、HCFC−123及び/又はHCF
C−141bを発泡剤とするウレタン発泡断熱材に接する構
造材製造用の混合樹脂組成物であって、エチレン−αオ
レフィン系ゴム質共重合体(A)とガラス状共重合体
(B)とがグラフト結合してなるグラフト重合体(I)
と、アクリル酸アルキルエステル系ゴム質重合体及び/
又は共重合体(C)とガラス状共重合体(B)とがグラ
フト結合してなるグラフト重合体(II)と、ガラス状共
重合体(III)とを含み、 前記ガラス状共重合体(B)及び(III)はシアン化
ビニル単量体と芳香族ビニル単量体及び/又は不飽和カ
ルボン酸アルキルエステル単量体とで構成され、そのシ
アン化ビニル単量体成分含有量と芳香族ビニル単量体及
び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体成分
含有量との比率が1/3〜1/1の範囲であり、 混合樹脂組成物中の前記ゴム質共重合体(A)の含有
量が10〜35重量%であり、 グラフト重合体(I)において、ゴム質共重合体
(A)にグラフト結合しているガラス状共重合体(B)
の割合が該ゴム質共重合体(A)100重量部に対して30
重量部以上であり、 混合樹脂組成物中の前記ゴム質重合体及び/又は共重
合体(C)の含有量が5〜30重量%であり、 グラフト重合体(II)において、ゴム質重合体及び/
又は共重合体(C)にグラフト結合しているガラス状共
重合体(B)の割合が該ゴム質重合体及び/又は共重合
体(C)100重量部に対して30重量%以上であり、 混合樹脂組成物中の、ゴム質重合体(A)とゴム質重
合体及び/又はゴム質共重合体(C)との合計含有量が
20〜40重量%であり、かつ、 混合樹脂組成物中の、ガラス状共重合体(III)の含
有量が0〜80重量%であることを特徴とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の混合樹脂組成物において、エチレン−αオレ
フィン系ゴム質共重合体(A)としては、エチレン−プ
ロピレン又はエチレン−ブテン共重合体(EPR)、エチ
レン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体
(EPDM)などが挙げられ、これらの共重合体におけるエ
チレンとプロピレン又はブテンとのモル比は5:1〜1:3の
範囲であることが好ましい。なお、前記EPDMにおける非
共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン、1,4−
ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−シクロヘ
プタジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられ
る。
また、アクリル酸アルキルエステル系ゴム質重合体及
び/又は共重合体(以下、重合体及び/又は共重合体を
「(共)重合体」と称す。)(C)としては、炭素数1
〜16のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル
単量体の1種以上に架橋剤、グラフト化剤等の共重合可
能な単量体を(共)重合させ得られるゴム質(共)重合
体が挙げられ、炭素数1〜16のアルキル基を有するアク
リル酸アルキルエステル単量体としてはアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
−2エチルヘキシル等が挙げられる。架橋剤としてはジ
ビニルベンゼン、ジアリルマレート、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレ
ート等が挙げられる。
本発明に係る混合樹脂組成物では、これらのゴム質共
重合体(A)及びゴム質(共)重合体(C)は樹脂中に
粒子状に分散しており、その粒子径については特に制限
は無いが、混合樹脂の衝撃強度を発現するために0.1〜
0.8μmの範囲が好ましい。
このようなゴム質共重合体(A)及びゴム質(共)重
合体(C)は、該ゴム質共重合体(A)及びゴム質
(共)重合体(C)を構成する単量体に、必要により重
合開始剤、分子量調節剤、架橋剤、懸濁剤、乳化剤等を
加えて公知の乳化重合、懸濁重合或いは溶液重合等のい
ずれかの方法で製造することができる。
ガラス状共重合体(B)及び(III)は、シアン化ビ
ニル単量体と、芳香族ビニル単量体及び/又は不飽和カ
ルボン酸アルキルエステル単量体とで構成される。この
うち、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、P−メ
チルスチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等
の1種又は2種以上が、シアン化ビニル単量体として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の1種又
は2種以上が、また、不飽和カルボン酸アルキルエステ
ル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、
エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート等の1種又は2種以上を用いることができる。
このようなガラス状共重合体(B)を前記ゴム質共重
合体(A)又はゴム質(共)重合体(C)にグラフト結
合させる方法としては、ゴム質共重合体(A)又はゴム
質(共)重合体(C)の存在下でガラス状共重合体
(B)を構成する単量体と、必要により乳化剤、重合開
始剤、分子量調節剤、懸濁剤等とを加えて、公知の乳化
重合、懸濁重合或いは溶液重合等の方法によってグラフ
ト重合する方法が挙げられる。
本発明の混合樹脂組成物において、ゴム質共重合体
(A)の含有量は10〜35重量%である。ゴム質重合体
(A)の含有量が10重量%未満では、断熱用箱体に用い
た場合の促進劣化テストによって膨れ、割れ、白化等の
外観不良を生じ、35重量%を超えると、混合樹脂の溶融
粘度が高くなって押出成形性が低下するとともに混合樹
脂の剛性と機械的強度が低下して、断熱用箱体に用いた
場合に必要となる強度と箱体表面の耐傷性を保持でき
ず、更に断熱用箱体の組立てが困難になるなどの問題を
生じる。
また、グラフト重合体(I)において、ゴム質共重合
体(A)にグラフト結合しているガラス状共重合体
(B)の割合は、ゴム質共重合体(A)100重量部に対
して30重量部以上である。この割合が30重量部未満で
は、シートが層状に剥離したり、衝撃強度が劣るなどの
欠点を生じる。
本発明の混合樹脂組成物において、ゴム質(共)重合
体(C)の含有量は5〜30重量%である。ゴム質(共)
重合体(C)の含有量が5重量%未満では、断熱用箱体
に用いた場合の促進劣化テストによって割れ、白化等の
外観不良を生じ、30重量%を超えると、混合樹脂の剛性
と機械的強度が低下して、断熱用箱体に用いた場合の強
度、箱体表面の耐傷性を低下させ、更に断熱用箱体の組
立てが困難になるなどの問題を生じる。
また、グラフト重合体(II)において、ゴム質(共)
重合体(C)にグラフト結合しているガラス状共重合体
(B)の割合は、ゴム質(共)重合体(C)100重量部
に対して30重量部以上である。この割合が、30重量部未
満では、衝撃強度が低下し、断熱用箱体に用いた場合の
促進劣化テストによって割れ、白化等の外観不良を生じ
る。
本発明の混合樹脂組成物において、ゴム質重合体
(A)とゴム質(共)重合体(C)との合計含有量は20
〜40重量%である。この合計含有量が20重量%未満で
は、断熱用箱体に用いた場合の促進劣化テストによって
割れ、白化等の外観不良を生じ、40重量%を超えると、
混合樹脂の剛性と機械的強度が低下して断熱用箱体に用
いた場合の強度、箱体表面に耐傷性を低下させ、更に断
熱用箱体の組立てが困難になるなどの問題を生じる。
また、本発明の混合樹脂組成物において、ガラス状共
重合体(III)はゴム質共重合体(A)及びゴム質
(共)重合体(C)の非存在下で別に重合したものであ
り、その含有量は0〜80重量%である。この含有量が80
重量%を超えると、相対的にグラフト重合体(I),
(II)の成分量が少なくなり、本発明の範囲のゴム質共
重合体(A)及びゴム質(共)重合体(C)成分量を含
有させようとすると、グラフト重合体(I),(II)中
のゴム質共重合体(A)及びゴム質(共)重合体(C)
の成分量が高くなり過ぎるために、所望のグラフト率が
得られないという不都合がある。
なお、ガラス状共重合体(B)及び(III)を構成す
る単量体成分量比については、本発明の目的であるHCFC
−123又はHCFC−141bなどのフロンに対する耐溶剤性を
改善するために、シアン化ビニル単量体含有量と、芳香
族ビニル単量体及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエ
ステル単量体成分量との重量比が1/3〜1/1の範囲である
ことが必要である。この比が1/3未満では前記フロンに
対する耐溶剤性が充分ではないために断熱用箱体に用い
た場合に割れ、白化等の外観不良が生じ、1/1を超える
と、本発明の混合樹脂を断熱用箱体に成形加工する工程
において樹脂が劣化し、溶融粘度が増加したり著しく変
色するために好ましくない。
このような本発明の混合樹脂組成物の製造方法には特
に制限はなく、一般には、グラフト重合体(I),グラ
フト重合体(II)及び必要に応じてガラス状共重合体
(III)を混合すれば良い。この場合、これらの構成成
分に滑剤、可塑剤、安定剤などを加えた後に公知の一軸
或いは二軸押出機、又はバンバリーミキサーなどを用い
て容易に混合することができる。
[作用] 本発明の混合樹脂組成物を構成するエチレン−αオレ
フィン系ゴム質共重合体(A)はHCFC−123及びHCFC−1
41bに溶解しないために、本発明の目的である耐溶剤性
について好適な特性を混合樹脂組成物に付与する。しか
しながら、ゴム質共重合体(A)は低温特性が劣るため
に、ゴム質重合体としてこれだけを用いた場合には、特
に低温条件において混合樹脂組成物にクラック等の外観
不良を生じる。本発明の目的である断熱用箱体に用いら
れる樹脂組成物が必要とする低温特性は、アクリル酸ア
ルキルエステル系ゴム質(共)重合体(C)によって与
えられ、ゴム質(共)重合体(C)を添加することによ
って、本発明の目的であるHCFC−123及びHCFC−141bを
用いて発泡されたウレタン断熱剤と接触する用途に必要
な耐溶剤性が付与される。
本発明の別の構成物質であるガラス状共重合体
(B),(III)は、本発明の混合樹脂組成物に機械的
強度、表面光沢などを付与するが、その耐溶剤性は本発
明の範囲において異なる。即ち、ガラス状共重合体
(B)に含まれるシアン化ビニル単量体成分量が33重量
%以下の場合にはガラス状共重合体(B)はHCFC−123
に溶解(無制限膨潤)し、HCFC−141bに対して膨潤する
が、その量が33重量%を超えるに従って前記フロンへの
溶解性が低下し、シアン化ビニル単量体成分量が40重量
%の場合にはガラス状共重合体(B)とほぼ同じ重量の
HCFC−123を吸収し、HCFC−141bに対する膨潤量は無視
できる程度である。従って、ガラス状共重合体を構成す
るシアン化ビニル単量体成分量を50重量%を超えて上げ
ることによって、本発明の目的である特定のフロンに対
する耐溶剤性は改善されるが、この場合には前記したよ
うに、シアン化ビニル単量体成分量が多すぎることが原
因となって混合樹脂の熱安定性が著しく低下する。この
ように、ガラス状共重合体(B)の耐溶剤性は本発明の
範囲において必ずしも充分ではないが、本発明者らは鋭
意検討の結果、このようなガラス状共重合体をゴム質共
重合体(A)及びゴム質(共)重合体(C)に結合させ
て、本発明の範囲に調整した混合樹脂を用いてシートを
成形し、これとHCFC−123及びHCFC−141bの内の少なく
とも1種を発泡剤とするウレタン発泡断熱材と接する状
態で高温と低温条件に繰り返し保持する試験(ヒートサ
イクルテスト)を行ったところ、このウレタン発泡断熱
材と接する上記シートにクラック等の劣化が生じないこ
とを見出し、本発明に到達したものである。
また、本発明の混合樹脂組成物は優れた加工性と、着
色性、衝撃強度、耐寒性などの特徴を有し、本発明の混
合樹脂組成物を箱体に用いることによりHCFC−123及びH
CFC−141bの内の少なくとも1種を発泡剤としたウレタ
ン発泡断熱材と接する用途に対して樹脂が劣化せず、成
形加工性、外観意匠性に優れた断熱用箱体を提供するこ
とができるものである。
[実施例] 以下、本発明を製造例、実施例及び比較例に基いてよ
り具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例における評価方法は下記の通
りである。
押出成形性 押し出し成形工程における混合樹脂の溶融粘度と熱安
定性を考慮して、実用の可能性を判定した。
押出シートの外観 押出シートの色調と表面光沢を評価して、断熱用箱体
としての外観意匠性から判定した。
押出シートの強度 押出シートの引張強度、曲げ弾性率、表面剛性を評価
して、断熱用箱体に組み込んだ場合の断熱用箱体の強度
及び樹脂製内箱表面の傷つき易さを考慮して判定した。
ヒートサイクル性 まず、押出シートを真空成形して厚み約1mmの成形品
を得た。
この真空成形シートを適当な大きさに切断した後、外
枠が金属で作られた間口200mm×100mm、深さ20mmの弁当
箱状容器の上面に固定した後、この1面が樹脂製シー
ト、他の5面が金属で形成されている中空容器の中空部
に発泡ポリウレタン原料を注入発泡させた。発泡操作後
60℃で30分キュアリングを行った後、−10℃で12時間放
置した後+50℃に12時間放置する操作を7回繰り返すヒ
ートサイクル試験を行なって試験終了後の樹脂製シート
の表面状態を観察した。なお、発泡ポリウレタン原料は
東洋ゴム(株)製「#1903−25」発泡ポリウレタン原料
を用いたが、この原料のうち、フロンについてのみHCFC
−123或いはHCFC−141bを用いた。
製造例1 グラフト重合体の製造 エチレン−αオレフィン系ゴム乳化ラテックス、アク
リロニトリル、スチレンを公知の乳化重合により重合す
る際にゴムラテックス添加量、分子量調節剤及び開始剤
の種類と量を変えて、ゴム含有量とグラフト率の異なる
表1のグラフト重合体(I−1)〜(I−4)を得た。
別に、ブチルアクリレートゴム乳化ラテックス、アク
リロニトリル、スチレンを公知り乳化重合により重合す
る際にゴムラテックス添加量、分子量調節剤及び開始剤
の種類と量を変えて、ゴム含有量とグラフト率の異なる
表2のグラフト重合体(II〜1)〜(II−4)を得た。
なお、グラフト率はグラフト重合体を重合する際に仕
込んだゴム量とアクリロニトリル及びスチレン単量体の
重合率からグラフト重合体のゴム含量を重量%(a)で
求め、グラフト重合体1gを50mlのテトラヒドロフランに
室温で溶解した後に超遠心装置を用いて不溶分を求め、
その重量%(h)を用いて次式により計算した。
グラフト率(重量%)={(b)−(a)}×100/
(a) すなわち、グラフト率はゴム質重合体100重量部にグ
ラフト結合しているアクリロニトリル−スチレン共重合
体の重量部と同義である。
また、グラフト重合体中のアクリロニトリルとスチレ
ン単量体成分の量比は赤外分光分析、元素分析等の公知
の分析方法により求めた。
製造例2 共重合体の製造 アクリロニトリル、スチレン、メチルメタクリレート
等の単量体の組合せと量比を変えて公知の懸濁重合によ
り表3の共重合体(III−1)〜(III−5)を得た。
実施例1 グラフト重合体(I−1)、(I−2)、(II−
1)、(II−2)及びガラス状共重合体(III−2)を
用い、表4の量比で配合し、これに滑剤、可塑剤、安定
剤等を加えた後、公知の押出機又はバンバリーミキサー
にて混練して混合樹脂ペレットを得た。この混合樹脂ペ
レットを公知のコートハンガーダイを有する押出機にて
押し出し成形し、厚み約2mmのシートを成形した。
評価結果を表4に示す。
実施例2 グラフト重合体(I−2)と(II−2)を用い、ガラ
ス状共重合体(III)の種類を表5のように変えて配合
したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行ない、
結果を表5に示した。
比較例1 比較のために、表6に示す如く、グラフト重合体
(I)のみを用いた場合、混合樹脂のゴム質(共)重合
体含有量及びグラフト重合体のグラフト率が本発明の範
囲を超えている場合について、実施例1と同様に評価を
行ない結果を表6に示した。
表6から分かるように、グラフト重合体(I)のみを
用いた場合(No.15,16)及び混合樹脂のゴム質(共)重
合体含有量が本発明の範囲より低い場合(No.17,19)に
は、ヒートサイクルテストにおいてクラック、白化等が
生じる。また、混合樹脂が本発明の範囲より高いゴム質
(共)重合体を含有すると(No.20)、混合樹脂の粘度
が高過ぎるために押出成形工程において難点が生じ、ま
た、混合樹脂が軟質となって断熱用箱体が必要とする強
度を保持できない。更に、グラフト重合体(I)又は
(II)のグラフト率が本発明の範囲より低い場合(No.1
8,21,22)には、押出シートの強度を測定する際にシー
トが層状に剥離する。
比較例2 比較のために、表7に示す如く、本発明の範囲を超え
た混合樹脂について、実施例と同様に評価を行ない、結
果を表7に示した。
表7より明らかなように、混合樹脂が本発明の範囲よ
り少ないグラフト重合体(I)(ゴム質共重合体
(A))を含有する場合(No.23,24)にはヒートサイク
ルテストにおいて混合樹脂製シートに膨れが生じ、また
グラフト重合体(I)又は(II)(ゴム質共重合体
(A)又はゴム質(共)重合体(C))の含有率が高す
ぎる場合(No.25〜27)には、押出成形が難しくなり、
シートの強度も損なわれる。
比較例3 比較のために、表8に示す如く、混合樹脂中のアクリ
ロニトリル単量体成分量が本発明の範囲を超える場合に
ついて、実施例1と同様に評価を行ない、結果を表8に
示した。
表8から分かるように、この成分量が低い場合(No.2
8〜30)には、ヒートサイクルテストにおいてクラッ
ク、白化等が生じ、また、その成分量が高すぎる場合
(No.31,32)には、押出成形工程において経時的に押出
トルクが上昇するために工業的に実用化が困難であり、
更に成形されたシートは赤黄色に変色して、断熱用箱体
にした場合の外観意匠性を著しく損なうものである。
以上の結果から明らかなように、本発明の混合樹脂組
成物は、押出加工性、押出シートの外観、強度等に優
れ、また、本発明の混合樹脂組成物を用いて成形された
シートはHCFC−123及び/又はHCFC−141bを発泡剤とす
るウレタン発泡断熱材と接する状態における促進劣化テ
ストによってもウレタンと接触することによって樹脂が
劣化しない。このため、本発明の混合樹脂組成物によっ
て、強度や外観意匠性に優れる断熱用箱体製造用の混合
樹脂が提供されることが明らかである。
[発明の効果] 以上説明した通り、本発明の混合樹脂組成物によれ
ば、HCFC−123及び/又はHCFC−141bを発泡剤としたウ
レタン発泡断熱材と接する箱体として、強度や外観意匠
性に優れた断熱用箱体を製造することができる。しか
も、本発明の混合樹脂組成物による樹脂製箱体は、いず
れも従来の製造設備を用いて製造できるため工業的に極
めて有利である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−168752(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/06 C08L 51/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフロロエタン
    及び/又は1,1−ジクロロ−1−フロロエタンを発泡剤
    とするウレタン発泡断熱材に接する構造材製造用の混合
    樹脂組成物であって、 エチレン−αオレフィン系ゴム質共重合体(A)とガラ
    ス状共重合体(B)とがグラフト結合してなるグラフト
    重合体(I)と、アクリル酸アルキルエステル系ゴム質
    重合体及び/又は共重合体(C)とガラス状共重合体
    (B)とがグラフト結合してなるグラフト重合体(II)
    とを含み、 前記ガラス状共重合体(B)はシアン化ビニル単量体と
    芳香族ビニル単量体及び/又は不飽和カルボン酸アルキ
    ルエステル単量体とで構成され、そのシアン化ビニル単
    量体成分含有量と芳香族ビニル単量体及び/又は不飽和
    カルボン酸アルキルエステル単量体成分含有量との比率
    が1/3〜1/1の範囲であり、 混合樹脂組成物中の前記ゴム質共重合体(A)の含有量
    が10〜35重量%であり、 グラフト重合体(I)において、ゴム質共重合体(A)
    にグラフト結合しているガラス状共重合体(B)の割合
    が該ゴム質共重合体(A)100重量部に対して30重量部
    以上であり、 混合樹脂組成物中の前記ゴム質重合体及び/又は共重合
    体(C)の含有量が5〜30重量%であり、 グラフト重合体(II)において、ゴム質重合体及び/又
    は共重合体(C)にグラフト結合しているガラス状共重
    合体(B)の割合が該ゴム質重合及び/又は共重合体
    (C)100重量部に対して30重量部以上であり、かつ、 混合樹脂組成物中の、ゴム質重合体(A)とゴム質重合
    体及び/又はゴム質共重合体(C)との合計含有量が20
    〜40重量%であることを特徴とする混合樹脂組成物。
  2. 【請求項2】グラフト重合体(I)と、グラフト重合体
    (II)と、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体
    及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体と
    で構成され、そのシアン化ビニル単量体成分含有量と芳
    香族ビニル単量体及び/又は不飽和カルボン酸アルキル
    エステル単量体成分含有量との比率が1/3〜1/1の範囲で
    あるガラス状共重合体(III)とを含む混合樹脂組成物
    であって、該ガラス状共重合体(III)の混合樹脂組成
    物中の含有量が80重量%以下であることを特徴とする請
    求項(1)に記載の混合樹脂組成物。
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