JP3060975U - 扁平フランジを有する紙カップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トップシールを接着したり、キャップの嵌着座
となる扁平フランジを有する紙カップにおける前記扁平
フランジを、従来の扁平フランジを有する紙カップの成
形工程により容易に製作できる扁平フランジを有する紙
カップを提供すること。 【解決手段】ブランクの上端縁の水平フランジ成形紙料
部分の端縁寄りの外面に塗着した感熱接着能を有する塗
剤と、ブランクの内面の感熱接着能を有する耐水層とに
より、水平フランジの３層の折り重なり部分を熱接着さ
せる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、液体、潤滑物等が収納され、開口部がトップシールあるいはキャッ プ等で閉鎖される紙カップの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

液体、潤滑物等を収納し、開口部がトップシールあるいはキャップで閉鎖され る扁平フランジを有する紙カップは、従来は、図７および図８に示されるごとく 、胴部内周面にポリエチレン等の感熱接着能を有する合成樹脂フィルムＡをラミ ネートされた紙料Ｂで成形されたカップ本体の胴部Ｃの開口縁Ｈを外向きに１巻 き程度巻き込んでカール部Ｄとし、このカール部Ｄを矢印Ｅ，Ｆから押圧、加熱 して図６に模型的に示すように扁平フランジＧに成形している。

【０００３】 この構造の扁平フランジＧでは、巻き込み時の巻き込み度合が少なく、開口縁 Ｈが図７に示されるごとく、１巻きを超えた時計の１２時位置の前後に位置させ られているため、押圧、加熱により扁平に成形された際に、折り重なり片Ｉ，Ｊ ，Ｋの接着に寄与するのは、折り重なり片Ｊ部分の合成樹脂フィルムＬのみであ り、折り重なり片ＩとＫ、折り重なり片ＪとＫとは全く接着されておらず、矢印 Ｍ方向からの押圧を受けると、扁平フランジＧは上下方向に膨出変形し、トップ シールの剥離、キャップの抜け落ち等を生じやすい問題を有している。

【０００４】 前記問題を解決するため、図９に示されるごとく、開口縁Ｈを外向きに１巻き 半以上巻き込んでカール部Ｎとし、このカール部Ｎを、図８に示すものと同じく 押圧、加熱して図１０に示される扁平フランジＯとする手段も提案されている。

【０００５】 図１０に示す扁平フランジＯは、折り重なり片ＰとＱ、折り重なり片ＲとＳと が、それぞれ接着される結果、矢印Ｍ方向からの押圧に対する耐圧強度が大とな り、図８に示したもののごとき膨出変形の発生は防止されるが、図９に示すごと き１巻き半以上の巻き込み加工が著しく困難な作業となり、生産性が著しく低下 する別の問題が発生している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

既述の従来の扁平フランジを有する紙カップの有する諸問題に鑑み、本考案は 、扁平フランジに、カップ中心方向に向かう押圧力が作用した際の該フランジの 膨出変形を防止でき、しかも生産性の低下を生ずることの無い、扁平フランジを 有する紙カップを提供することを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するため、請求項１の考案では、内周面に感熱接着能を有する 耐水層が形成され、カップ本体の開口縁に外向きの扁平フランジが形成されてい る紙カップにおいて、扁平フランジを、前記内周面の耐水層に連続する耐水層が 端縁まで形成されているフランジ成形紙料部分の巻き込み、折り重ねにより成形 し、扁平フランジの折り重なり部分を、前記内周面の耐水層に連続する耐水層の 感熱接着能と、前記フランジ成形紙料部分の端縁寄り部分の外面に塗着されてい る感熱接着能を有する塗剤の接着能とにより一体に接着するという構成とした。

【０００８】 請求項２の考案では、紙カップの胴部のブランク両端部の接着部分を、下側と なる端部の外周面に塗着された感熱接着能を有する塗剤の接着能と、上側となる 端部の内周面の感熱接着能を有する耐水層の接着能とで接着するという構成を請 求項１の考案に付加した。

【０００９】

【考案の実施の形態】

図１ないし図４は、請求項１および請求項２の両考案を併せ適用した第１の実 施例を示しており、図１および図４に示されるごとく紙カップ１は、カップ本体 の開口縁２に外向きの扁平フランジ３が成形されている。

【００１０】 紙カップ１は、図２、図３および図４に示されるごとく厚紙製のブランク４で 形成されており、該厚紙製のブランク４は、内周面５に、ＰＥ，ＰＰ，ＰＥＴ等 を主材とする感熱接着能を有する耐水層６が形成されており、該耐水層６は、ブ ランク４のフランジ成形紙料部分７の端縁８まで形成されており、該ブランク４ の外面における前記端縁８寄り部分には感熱接着能を有する塗剤９が塗着されて いる。この塗剤は前記耐水層６を形成している合成樹脂のほか、該合成樹脂と熱 密着性を有するアクリル樹脂、ニトロセルローズ、ＰＶＤＣ、塩素化ＰＰ、塩化 ビニル、酢酸ビニル共重合体、ホットメルト材等のヒートシール剤等から選定さ れる。同一の塗剤１０が、紙カップ１の胴部１１を形成するブランクの両端部１ ２，１３の接着部分１４において下側となる端部１３の外周面にも塗着されてい る。

【００１１】 ブランク４は、胴部１１に成形され、接着部分１４を加圧、加熱されると、接 着部分１４においては、上側となる端部１２の内周面の耐水層６と、下側となる 端部１３の外周面の塗剤１０との両者の感熱接着能で強固に接着される。

【００１２】 またフランジ成形紙料部分７は、図３に示されるごとく、端縁８が概ね垂直上 方位置、すなわち時計の１２時位置の前後に位置する図５に示す従来品と同様の １巻程度のカール部１５に成形された後、金型による加圧、加熱を受け、図４に 示されるごとく扁平フランジ３に成形される。

【００１３】 図４に示される扁平フランジ３は、折り重なり片１６と１７とが、フランジ成 形紙料部分７の内周面の耐水層６の熱接着能で接着され、折り重なり片１７と折 り重なり片１８とは、ブランク４の外面の端縁８寄り部分に塗着された塗剤９の 熱接着能で接着され、ブランク４の紙厚が３層一体に接着されている。

【００１４】 図４においては、折り重なり片１７と折曲部１９の内面との間に空所２０が形 成された構造が模型的に示されているが、この種紙カップにおける扁平フランジ の張り出し長さは、５ミリメートル前後であり、前記空所２０の長さは、比率的 には図４より著しく小さい数値となり、図８に示されるものと同様の矢印Ｍ方向 からの押圧を受けても、扁平フランジ３における空所２０の存在による膨出変形 は無視しうる程僅少であり、前記空所２０以外の部分は、３枚重ねの強い強度を 具備し、前記矢印Ｍ方向の押圧に耐えうる。

【００１５】 紙カップ１の胴部１１の接着部分１４は、ブランク４の上側の端部１２の内周 面の耐水層６と、下側の端部１３の外周面の塗剤１０との両者の感熱接着能によ り接着されるので、接着層が厚くなる分、接着強度が向上し、接着部分の不測の 剥離の可能性が皆無となる。

【００１６】 図５および図６は第２の実施例のカール部の一部の拡大縦断端面図であって、 第１の実施例のものが、図３に示されるごとく、１巻き程度のカール部１５に形 成されているのに対し、第２の実施例では図５に示されるごとく、端縁８Ａが時 計の９時の位置に留められ、扁平フランジ３Ａが図６に示されるごとく、コンパ クトに形成され、フランジ成形紙料部分の使用紙量の節減が図れ、しかも図３、 図４に示すものと同様の耐押圧強度を保有させたものである。

【００１７】

【考案の効果】

請求項１の考案によると、扁平フランジを構成している折り重なり片が互いに 接着されて一体のフランジに形成されて強い強度を具備し、横方向からのカップ 中心へ向かう強い押圧力を受けても、扁平フランジの膨出変形を防止でき、トッ プシールやキャップの不測の剥離、抜脱を防止できる効果を奏する。

【００１８】 しかも成形工程においては、塗剤９の塗布工程が付加されるほかは、従来の扁 平フランジの成形工程たるカール部の形成と、該カール部の加熱、押圧という工 程をそのまま採用できるので、従来通りの高い生産性を維持できる効果を奏する 。

【００１９】 請求項２の考案によると、請求項１の考案における塗剤９の塗布工程と同時に 、ブランクの下側となる端部の外周面に塗剤１０を塗布するほかは、従来と同一 の成形工程によって成形でき、胴部の接着強度が向上し、接着部分の不測の剥離 を防止できる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１の実施例の正面図である。

【図２】 図１に示される紙カップのブランクの縮小展
開図である。

【図３】 図１に示されるブランクから成形されたカッ
プ本体の、開口縁に形成されたカール部の一部の拡大縦
断端面図である。

【図４】 図３に示すカール部から成形された扁平フラ
ンジの一部の拡大縦断端面図である。

【図５】 第２の実施例の図３と同様の拡大縦断端面図
である。

【図６】 図５に示すカール部から成形された扁平フラ
ンジの図４と同様の拡大縦断端面図である。

【図７】 従来の３層構成の扁平フランジの成形工程に
おいて、カップ本体の開口縁に形成されたカール部の一
部の拡大縦断端面図である。

【図８】 図７に示すカール部から成形された扁平フラ
ンジの一部の拡大縦断端面図である。

【図９】 従来の４構成の扁平フランジの成形工程にお
いて、カップ本体の開口縁に形成されたカール部の一部
の拡大縦断端面図である。

【図１０】図９に示すカール部から成形された扁平フラ
ンジの一部の拡大縦断端面図である。

【符号の説明】

１ 紙カップ ２ 開口縁 ３ 扁平フランジ ５ 内周面 ６ 耐水層 ７ フランジ成形紙料部分 ８ 端縁 ９，１０ 塗剤 １１ 胴部 １２ 上側となる端部 １３ 下側となる端部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内周面に感熱接着能を有する耐水層が形成
   されているカップ本体の開口縁に、外向きの扁平フラン
   ジが形成されている紙カップにおいて、 該扁平フランジは、前記内周面の耐水層に連続する耐水
   層が端縁まで形成されているフランジ成形紙料部分の、
   巻き込み、折り重ねにより扁平に成形されており、 該扁平フランジの折り重なり部分は、前記内周面の耐水
   層に連続する耐水層の感熱接着能と、 前記フランジ成形紙料部分の端縁寄り部分の外面に塗着
   されている感熱接着能を有する塗剤の熱接着能とにより
   一体に接着されている扁平フランジを有する紙カップ。
2. 【請求項２】紙カップの胴部におけるブランク両端部の
   接着部分が下側となる端部の外周面に塗着された感熱接
   着能を有する塗剤の接着能と、上側となる端部の内周面
   の感熱接着能を有する耐水層の接着能とで接着されてい
   る請求項１記載の扁平フランジを有する紙カップ。