JP3060473B2 - 複合セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

複合セラミックスおよびその製造方法

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JP3060473B2 JP02042123A JP4212390A JP3060473B2 JP 3060473 B2 JP3060473 B2 JP 3060473B2 JP 02042123 A JP02042123 A JP 02042123A JP 4212390 A JP4212390 A JP 4212390A JP 3060473 B2 JP3060473 B2 JP 3060473B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、グロープラグ、ターボチャージャのター
ビンホイール、ピストンキャップ、シリンダライナ、カ
ムシャフトのカム面、タペット、ロッカアームチップ、
吸排気バルブ、ディーゼルエンジンの副燃焼室のホット
プラグ等の自動車用内燃機関用部材や、ジェットエンジ
ンのファン、ジェットエンジンの空気圧縮室や燃焼室の
ハウジング、オービタ・ノーズコーンの断熱タイル等の
航空・宇宙用部材や、ベーン、プランジャ等のポンプ用
部材や、その他、ダイス、金型、工具、刃物、糸ガイド
等、強度と靭性がともに要求されるような用途に適した
複合セラミックスを製造する方法に関する。
<従来の技術> 異なる化合物からなるセラミックスが共存している複
合セラミックスには、極めて多種、多様なものがある。
そうして、そのような複合セラミックスを製造する方法
にも、いろいろな方法がある。
たとえば、特開昭58−120571号公報には、TiB2−ZrO2
系、TiC−ZrO2系、TiN−ZrO2系、TiCN−ZrO2系の複合セ
ラミックスを製造する方法が記載されている。また、特
開昭47−35011号公報には、TiB2−B4C−SiC−Si系複合
セラミックスの製造方法が、特開昭49−85115号公報に
は、TiB2−WC系複合セラミックスの製造方法が、特開昭
58−217463号公報および特開昭62−292678号公報には、
TiB2−Al2O3系複合セラミックスの製造方法が、特開昭5
9−118828号公報には、TiB2−BN−Al2O3系複合セラミッ
クスの製造方法が、特開昭60−226459号公報には、TiB2
−B4C−TiN系複合セラミックスの製造方法が、特開昭61
−270265号公報には、TiB2−TiC−SiC系複合セラミック
スの製造方法が、それぞれ記載されている。さらに、
“Journal of Material Science"、22、第1135〜1140頁
(1987年)には、Al2O3−ZrC系複合セラミックスの製造
方法が、“Poroshkovaya Metallurgiya"、149、第61〜6
4頁(1975年)には、ZrB2−ZrC系複合セラミックスの製
造方法が、それぞれ記載されている。
これら従来の方法は、いずれも、原料粉末として、製
造したい複合セラミックスの組成と同一組成のセラミッ
クス混合粉末を用い、その混合粉末を成形し、または、
成形しないで焼結するものである。たとえば、TiB2−Zr
O2系複合セラミックスを製造しようとするときには、Ti
B2の粉末とZrO2の粉末との混合粉末を用意し、それを焼
結するわけである。焼結の方法としては、反応を伴わな
い、最も一般的な方法であるが、これらの方法には、以
下において説明するような問題がある。
一つは、製造したい複合セラミックスの組成と同一組
成のセラミックス混合粉末を原料粉末として使用する従
来の方法では、結晶粒子が微細で、緻密な複合セラミッ
クスを得るのが極めて難しいということである。
すなわち、通常の焼結においては、よく知られている
ように、焼結条件が同じであれば原料粉末の粒子径が小
さいほど焼結性が向上し、緻密さも向上する。したがっ
て、従来の方法によるときは、原料粉末として、粒子径
ができるだけ小さなセラミックス粉末を使用するのがよ
いということになるが、商業的に入手可能なセラミック
ス粉末には、それほど小さな粒子径のものがない。した
がって、原料粉末の選択という面から、結晶粒子の微細
化、緻密化を図ることは、なかなか難しい。また、小さ
な粒子径のものほど焼結に関しては活性であるという事
情があるが、それゆえ、焼結時の温度分布(これは、大
なり小なり避けられない)に起因する異常粒成長を生じ
やすく、組織の均一性も低下する。これらのことから、
上述した従来の方法は、原料粉末の選択の幅が狭い。そ
うして、結晶粒子が粗大で、緻密さが十分でない複合セ
ラミックスは、当然、力学的特性もよくない。
上述したように、従来の方法においては、原料粉末
は、複合セラミックスの、結晶粒子の微細化、緻密さの
向上という点からは小さいほどよい。しかしながら、一
方で、原料粉末は、粒子径が小さくなればなるほど分散
性が低下してくる。そのため、原料粉末の調製工程で、
複合セラミックスの、結晶粒子の微細化、緻密さを向上
させようとして粒子径の小さなセラミックス粉末を使用
すればするほど、凝集による成分の偏析が問題になって
くる。成分の偏析は、当然、複合セラミックスの組織の
均質性を低下させるから、決して好ましいことではな
い。
また、上述した従来の方法は、それほど小さな粒子径
の原料粉末を商業的に入手できないことによる焼結性の
低下を克服するために、比較的高い温度、高い圧力、長
い時間での焼結を余儀なくされている。これは、原料粉
末の種類や粒子径によって採り得る焼結条件がほぼ決ま
ってしまい、焼結条件に関して選択の幅が狭いというこ
とでもある。
一方、セラミックスの製造方法として、反応焼結法や
自己燃焼合成法と呼ばれる方法がある。前者の反応焼結
法は、化学的反応を利用するという点でこの発明と共通
するところがある。すなわち、この方法は、原料とし
て、金属の粉末を用い、その金属粉末を成形した後、高
温下における化学反応を利用してセラミックスとする方
法である。たとえば、Siの粉末を成形した後、アンモニ
アあるいはN2雰囲気下で窒化処理すると、 3Si+2N2→Si3N4 なる反応によってSi3N4セラミックスを得ることができ
る。これに対して、後者の自己燃焼合成法は、異なる金
属の混合粉末に着火し、それ自身の反応生成熱を利用し
て反応を伝播させ、セラミックスを得る方法である。た
とえば、Tiの粉末と、Bの粉末と、Cの粉末との混合粉
末に着火すると、 2Ti+2B+C→TiB2+TiC なる反応によってTiB2−TiC系複合セラミックスを得る
ことができる。しかしながら、これらの方法にも、以下
において説明するような問題がある。
すなわち、反応焼結法や自己燃焼合成法においては、
侵入固溶と呼ばれる固溶プロセスによって、金属元素の
結晶格子、たとえば、上述したSiやTiの結晶格子の中
に、他の元素、たとえば、上述したNやB、Cを侵入さ
せることによってセラミックスを生成させる。ところ
が、この侵入固溶には大きな熱エネルギーが発生するの
で、相当高い温度の下で焼結が行われることになる。ま
た、原料である金属粉末が未反応のままセラミックス中
に残存する、すなわち、セラミックス形態にならないま
まセラミックス中に残存すると、金属はセラミックスと
は全く異質のものであるから、その部分が破壊の起点に
なり、力学的特性が低下するようになる。特に、未反応
の金属は偏析しやすいので、かかる傾向が著しい。
<発明が解決しようとする課題> この発明は、従来の方法の上述した問題点を解決し、
原料粉末の粒子径への依存度が低くて原料粉末の選択の
幅が広く、混合粉末の調製も容易であるばかりか、比較
的低い温度、低い圧力、短い時間でも十分な焼結を行う
ことができ、また、原料粉末がたとえ未反応のまま残存
しても力学的特性に与える影響が少なく、結晶粒子が微
細で、緻密な、強度や靭性等の力学的特性に優れた複合
セラミックスを製造する方法を提供することを目的とす
る。
<課題を解決するための手段> 上記目的を達成するために、この発明は、下記a群か
ら選択した化合物からなるセラミックス粉末と、下記b
群から選択した化合物からなるセラミックス粉末とを含
む混合粉末を非酸化性雰囲気下で1650〜1900℃の温度範
囲で焼結し、その焼結時に、a、b各群の、選択した化
合物間で元素の置換反応を起こさせることを特徴とす
る、複合セラミックスの製造方法を提供する。
a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiC、TiN すなわち、この発明は、上述した従来の方法のよう
に、製造したい複合セラミックスの組成と同一組成の混
合粉末を原料粉末として使用するのではなく、a、b各
群から選択した、製造したい複合セラミックスとは異な
る組成の混合粉末を用い、焼結中に、選択したa、b各
群の化合物間で元素の置換反応を起こさせ、所望の組成
の複合セラミックスを得るものである。あるいは、下記
a群から選択した化合物からなるセラミックス粉末と、
下記cの化合物からなるセラミックス粉末とを含む混合
粉末を非酸化性雰囲気下で1600〜1800℃の温度範囲で焼
結し、その焼結時に、a群とcの、選択した化合物間で
元素の置換反応を起こさせることを特徴とする、複合セ
ラミックスの製造方法を提供する。
a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiO2 すなわち、a群とcの組み合わせから所望の組成の複
合セラミックスを得るものである。そうして、この発明
は、化学的反応を利用するものではあるけれども、従来
の反応焼結法や自己燃焼合成法とは全く異なり、置換反
応を利用するものである。以下、この発明をさらに詳細
に説明する。
混合粉末の調製工程: この工程においては、下記a群から選択した化合物か
らなるセラミックス粉末と、下記b群から選択した化合
物からなるセラミックス粉末とを含む混合粉末を調製す
る。もっとも、この発明は、焼結中に置換反応を起こさ
せることを前提とするものであるから、熱力学的に安定
で置換反応を期待できない組み合せ、すなわち、ZrCとT
iC、HfCとTiC、HfNとTiN、ZrNとTiNの組み合せを含む組
み合せは、当然、除かれるものである。
a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiC、TiN a群、b群からは、通常、1種づつ、合わせて2種を
選択するが、合わせて3種を選択することもでき、4種
を選択することもできる。すなわち、2種を選択すれば
2元系の複合セラミックスが得られるし、3種を選択す
れば3元系の、4種を選択すれば4元系の複合セラミッ
クスが得られる。もっとも、4種以上を選択しても、得
られる複合セラミックスの特性は3種を選択した場合と
ほとんど変わらないことが多い。したがって、実質上は
3種までである。あるいは、下記a群から選択した化合
物からなるセラミックス粉末と、下記cの化合物からな
るセラミックス粉末とを含む混合粉末を調整する。
a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiO2 上記a、b各群またはcのセラミックス粉末は、元素
の置換反応を伴う焼結が、より速やかに、かつ、より一
様に行われるよう、粒子径が5.0μm以下であるのが好
ましい。もっとも、この5.0μm以下という範囲は、上
述した、従来の、製造したい複合セラミックスの組成と
同一組成のセラミックス混合粉末を用いる方法にくらべ
れば大変広く、従来の方法にくらべてより粗大なセラミ
ックス粉末を使用することができる。
各群のセラミックス粉末の混合割合は、モル比で、a
群のセラミックス粉末1に対して、b群またはcのセラ
ミックス粉末が0.2〜2.0になるようにする。この範囲内
において、平均粒子径や、後述する第3成分の添加の有
無および添加量や、焼結条件等に応じて決める。
すなわち、この発明においては、焼結時に、元素の置
換反応、たとえば、 TiC+ZrB2→TiB2+ZrC TiN+ZrB2→TiB2+ZrN TiO2+ZrB2→TiB2+ZrO2 TiO2+ZrC→TiC+ZrO2 TiO2+ZrN→TiN+ZrO2 TiO2xZrC+(1-x)ZrN →Ti(CxN(1-x)+ZrO2 のような等モル反応が起こる。したがって、理論的には
上記モル比の割合が好ましいわけであるが、a、b各群
またはcのセラミックス粉末が未反応のままいくらか残
存しても、それらはもともとセラミックスであるから、
複合セラミックスの特性にそれほど大きな影響を与える
ことはない。なお、この発明においては、上記混合割合
を調整して一部にのみ置換反応を起こさせ、反応生成熱
を制御して結晶粒子径の粗大化を防止することも可能で
ある。
混合操作は、乾式でも湿式でもよいが、混合粉末の分
散をより一様に行わせるという面からは湿式混合法によ
るのが好ましい。たとえば、混合粉末に、イソプロピル
アルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、
ジメチルスルホキシド等の有機分散媒を加え、アトリー
ションミル等でよく混合、粉砕する。これによって、二
次凝集がよく解膠し、一次粒子が極めて均一に分散した
混合粉末が得られる。混合、粉砕後は、ロータリーエバ
ポレータ等で減圧乾燥する。ロータリーエバポレータを
用いると、自然乾燥や恒温乾燥では生じやすい、比重差
による偏析を防止することができる。
ところで、焼結によって得られる複合セラミックスに
ZrO2やHfO2が含まれるとき、それらの結晶構造が、単斜
晶か、主として単斜晶になることがある。これを、正方
晶か、主として正方晶に保持したいときには、混合工程
で混合粉末に安定化剤の粉末を添加し、焼結中にその安
定化剤を固溶させるようにする。そのような安定化剤
は、Y2O3、CeO2、MgOおよびCaOから選択する。平均粒子
径は、0.5μm以下であるのが好ましい。添加量は、生
成されるZrO2やHfO2に対して、Y2O3では2〜5モル%、
CeO2では8〜16モル%、MgOでは6〜12モル%、CaOでは
3〜15モル%の範囲になるようにする。もちろん、これ
らの2種以上を併用することもでき、たとえば、0.5〜
3.0モル%のY2O3と2.0〜14.0モル%のCeO2とを併用した
り、2.0〜10.0モル%のMgOと同モル%のCaOとを併用し
たり、2.0〜14.0モル%のCeO2と2.0〜10.0モル%のMgO
とを併用したりすることができる。
また、混合粉末には、必要に応じて、さらに別の、選
択したa群、b群またはcのセラミックス粉末とは異な
る、いわゆる第3成分を添加することができる。第3成
分の添加によって、複合セラミックスの、密度、強度、
靭性、硬度、熱伝導率、電気伝導度等の特性を変えるこ
とができる。
すなわち、混合粉末に、第3成分として、平均粒子径
が0.5μm以下の、SiO2、Al2O3、Al6Si2O13、MgO、Ca
O、ZrO2等の金属酸化物の粉末や、平均粒子径が6.0μm
以下、好ましくは3.0μm以下の、WC、SiC、TiC、ZrC、
B4C、TaC、NbC等の金属炭化物の粉末や、平均粒子径が
6.0μm以下、好ましくは3.0μm以下の、TiN、ZrN、Si
3N4、AlN、TaN等の金属窒化物の粉末を加えることがで
きる。これらは、あまり多くなりすぎるとa群のセラミ
ックス粉末とb群のセラミックス粉末との距離が大きく
なって置換反応が起こりにくくなるので、40体積%以下
の範囲とするのが好ましい。
また、第3成分として、平均粒子径が7.0μm以下
の、Si、Mg、Ca、Al、Ti、Zr、Ta、W、Ni、Co、Mo、Fe
等の金属の粉末を、20体積%以下の範囲で加えることが
できる。もっとも、金属の粉末は、分散性を向上させて
それが偏析しないようにすることが必要である。
混合粉末には、また、5〜40体積%の範囲でウイスカ
を加えることができる。ウイスクを加えると、複合セラ
ミックスにおいて、マトリックス中をクラックが進行し
たとき、ウイスカがそのクラックを偏向させ、さらに枝
別れさせて破壊エネルギーを吸収するようになり、ま
た、引抜効果によって破壊エネルギーが減衰されるよう
になるので、複合セラミックスの破壊強度、靭性が飛躍
的に向上する。そのような作用をもつウイスカとして
は、SiC、Si3N4等のセラミックスウイスカを使用するこ
とができる。なかでも、ヤング率や剛性が高く、しか
も、高温下における耐酸化性に優れているSiCウイスカ
が好ましい。なお、ウイスカの混合割合を5〜40体積%
の範囲で選定するのが好ましいのは、5体積%未満で
は、破壊強度、靭性の向上効果があまり期待できず、ま
た、40体積%を超えると、複合セラミックスの密度が低
下するようになるからである。なお、また、ウイスカを
加える場合は、それを、事前に、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、トルエン等の有機溶媒中で、ポ
リエチレンイミン、トリクロロオクタデシルシラン等の
分散剤を併用し、超音波等を用いてよく分散させておく
のが好ましい。
第3成分は、上述したように、複合セラミックスに要
求される特性に応じて選択する。
たとえば、複合セラミックスの、特に密度を向上させ
たい場合には、Si、Mg、Ca、Al、Ti、Zr、Ta、W、Ni、
Co、Mo、Feの粉末や、SiO2、ZrO2、CaO、Al2O3、MgOの
粉末が適している。
また、特に強度を向上させたい場合には、ZrO2、Al2O
3、SiO2の粉末や、ウイスカが適している。
さらに、特に靭性を向上させたい場合は、ZrO2、Si3N
4の粉末や、ウイスカが適している。
さらにまた、特に硬度を向上させたい場合には、B
4C、SiC、WC、TaC、NbCの粉末が適している。
また、特に熱伝導率を向上させたい場合には、B4C、S
iC、WC、TaC、NbCの粉末や、ZrN、TiN、AlN、TaNの粉末
が適している。
さらに、特に電気伝導度を向上させたい場合には、Si
C、WC、TaC、NbCの粉末や、ウイスカが適している。
成形工程と焼結工程: この発明においては、次に、上述したように調製した
混合粉末を焼結するが、これには二つの方法がある。
一つは、混合粉末を、乾式静水圧成形法、金型成形
法、湿式スリップキャスティング成形法、射出成形法等
を用いて所望の形状に成形した後、その成形体を加圧ま
たは無加圧下に焼結する方法である。もう一つは、混合
粉末を成形することなく、ホットプレス法や熱間静水圧
加圧処理法(HIP法)等を用いて加圧焼結する方法であ
る。いずれの場合も、焼結は、非酸化性雰囲気、たとえ
ば、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気か、
一酸化炭素ガスや水素ガス等の還元性ガス雰囲気か、0.
1Torr.以下の減圧雰囲気下で行う。焼結温度は、b群か
ら選択する場合は1650〜1900℃、cを選択する場合は16
00〜1800℃の範囲で、混合粉末の組成、第3成分の添加
の有無および添加量等に応じて選択する。
加圧を伴う焼結による場合、温度分布ができないよ
う、5〜10℃/分の速度で焼結温度まで上げ、その温度
に所望の時間保持して焼結する。このとき、加圧は、昇
温前から行ってもよく、昇温速度に合わせて徐々に加圧
してもよく、昇温中は加圧しないで、焼結温度に達した
時点で加圧するようにしてもよい。加圧を伴わない焼結
による場合も、昇温速度は、加圧を伴う焼結の場合と同
じ条件にするのが好ましい。
この発明においては、原料粉末として、a、b各群ま
たはcから選択した、得られる複合セラミックスの主成
分となる化合物とは異なる化合物からなるセラミックス
粉末の混合粉末を用い、焼結時に、両群の化合物間で元
素の置換反応を起こさせ、この置換反応によって、a、
b各群またはcのいずれにも属さない化合物からなる複
合セラミックスを得る。たとえば、 TiC+ZrB2→TiB2+ZrC TiN+ZrB2→TiB2+ZrN TiO2+ZrB2→TiB2+ZrO2 TiO2+ZrC→TiC+ZrO2 TiO2+ZrN→TiN+ZrO2 ではTiとZrとが置換され、 TiC+HfB2→TiB2+HfC ではTiとHfとが置換されるわけである。もっとも、これ
らの置換は、ほとんどの場合、完全には行われず、中間
生成物が共存する。たとえば、 TiC+ZrB2→TiB2+ZrC の場合、(Ti,Zr)B2や、(Ti,Zr)Cのような中間生成
物が共存し得る。
このように、この発明は、複合セラミックスを置換固
溶によって製造する。同じ固溶でも、上述した反応焼結
法や自己燃焼合成法における侵入固溶とは反応メカニズ
ムが全く異なるのである。そうして、この発明の方法に
よる複合セラミックスには、従来法によるものには観察
されない、いくつかの特徴がみられる。
すなわち、この発明の方法による複合セラミックス
は、かなり大きな、圧縮側の結晶格子歪をもっている。
結晶格子歪は、複合セラミックスをX線回折したとき、
回折パターンにピークシフトが現われることによって確
認できるが、この発明の方法によるものは、普通の焼結
における加圧力によるものよりもはるかに大きなピーク
シフトを示す。したがって、この大きな結晶格子歪は、
置換反応によるものと考えざるを得ない。置換反応に伴
って、結晶格子を大きく歪ませるほどの応力が生じてい
ると考えざるを得ないのである。そうして、この大きな
圧縮側の結晶格子歪が、複合セラミックスの力学的特性
の向上に寄与しているものと推定される。
また、この発明の方法による複合セラミックスには、
特異な結晶粒界相が存在する。たとえば、ZrB2の粉末と
TiCの粉末との混合粉末を原料粉末とするTiB2−ZrC系複
合セラミックスを透過型電子顕微鏡で観察すると、TiB2
同士やZrC同士の間には粒界相がほとんどみられず、結
晶粒子同士が直接密着したコヒーレントな粒界、いわゆ
る整合粒界を形成している。これに対して、TiB2とZrO
との間には、置換反応による反応生成物ではないかと思
われるものによる結晶粒界相が存在する。この粒界相の
作用は明らかでないが、この発明の方法による複合セラ
ミックスが、上述した従来の方法によるものにくらべ
て、力学的特性、特に強度や靭性が優れていることか
ら、粒界相がTiB2粒子とZrC粒子との結合力を強めると
ともに、両粒子間に熱膨脹差あるいは熱収縮差が生じた
ときにそれを吸収して結晶粒子間にクラック等が進行す
るのを防止しているのではないかと推定される。
さらに、この発明は置換反応を伴うが、この置換反応
は、上述したように完全であることは希で、得られる複
合セラミックスには、中間生成物が多かれ少なかれ存在
する。たとえば、ZrB2の粉末とTiCの粉末との混合粉末
を原料粉末とするTiB2−ZrC系複合セラミックスを観察
すると、(Ti,Zr)B2や(Ti,Zr)Cの結晶粒子が存在
し、前者にはTiB2がより多く含まれ、後者にはZrCがよ
り多く含まれている。これは、分析電子顕微鏡(TEM)
によって分析視野を定めた後、電子線エヘルギー損失分
光分析器(FELS)によってBとCの存在を確認し、エネ
ルギー分散型X線分光分析計(EDS)によってTiとZrと
の存在比をX線分光パターンのピーク高さから計算する
ことによって確認できる。かかる事実は、明らかに物質
移動の痕跡を示すものであって、結晶構造、結晶粒子の
結合状態に関し、特異なものである。
この発明による複合セラミックスには、その耐酸化
性、耐摩耗性、その他の特性を改善する目的で、表面に
SiCやSi3N4、その他のセラミックス被膜を形成すること
ができる。そのような被膜は、CVD法と呼ばれる化学的
気相蒸着法や、物理的気相蒸着法、パイロリティックス
プレー法、ガス爆発溶射法、イオン注入法等によって形
成することができる。なかでも、簡単であるうえに緻密
で微細な被膜が得られるCVD法、特に熱CVD法が最も好ま
しい。熱CVD法は、たとえば、Si源としてSiCl4ガスを、
C源としてCxHyガスをそれぞれ使用し、それらの混合ガ
スをH2ガスをキャリヤーガスとして1000〜1400℃の反応
炉内に供給し、その反応炉内に置いた複合セラミックス
上でSiCを合成する方法である。Si源とC源とを有するC
H3SiCl3ガス等のガスを用い、それを複合セラミックス
上で熱分解させてSiCとすることもできる。
この発明による複合セラミックスは、力学的特性、特
に強度、靭性がともに優れていることから、グロープラ
グ、ターボチャージャのタービンホイール、ピストンキ
ャップ、シリンダライナ、カムシャフトのカム面、タペ
ット、ロッカアームチップ、吸排気バルブ、ディーゼル
エンジンの副燃焼室のホットプラグ等の自動車用内燃機
関用部材や、ジェットエンジンのファン、ジェットエン
ジンの空気圧縮室や燃焼室のハウジング、オービタ・ノ
ーズコーンの断熱タイル等の航空・宇宙用部材や、ベー
ン、プランジャ等のポンプ用部材や、その他、ダイス、
金型、工具、刃物、糸ガイド等、強度と靭性がともに要
求されるような用途において好適に使用できるものであ
る。
<実 施 例> 実施例1 平均粒子径が0.5μmのZrB2粉末と、平均粒子径が2.0
μmのTiC粉末とをモル比で1:1になるように調製し、こ
れを、直径3mmのSiCボールを粉砕メディアとするアトリ
ーションミルを用いてエチルアルコール中にて6時間粉
砕、混合し、さらにロータリーエバポレータを用いて減
圧乾燥し、ZrB2粉末とTiC粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.06Torr.の減圧下にて1800℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrC系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、相対密度が99%であり、ま
た、常温曲げ強度は55kg/mm2、1000℃における高温曲げ
強度は93kg/mm2、ビッカース硬度は2400kg/mm2、破壊靭
性は5.2MPa・m1/2であった。
実施例2 平均粒子径が0.5μmのZrB2粉末と、平均粒子径が1.7
μmのTiN粉末とをモル比で1:1になるように調製し、以
下、実施例1と同様にして、ZrB2粉末とTiN粉末との混
合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.06Torr.の減圧下にて1750℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrN系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、相対密度が97%であり、ま
た、常温曲げ強度は47kg/mm2、ビッカース硬度は1900kg
/mm2、破壊靭性は6.8MPa・m1/2であった。
実施例3 平均粒子径が1.4μmのHfB2粉末と、平均粒子径が2.0
μmのTiC粉末とをモル比で1:1になるように調製し、以
下、実施例1と同様にして、HfB2粉末とTiC粉末との混
合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1850℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
HfC系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、相対密度が98%であり、ま
た、ビッカース硬度は2240kg/mm2、破壊靭性は4.8MPa・
1/2であった。
実施例4 平均粒子径が2.0μmのZrC粉末と、平均粒子径が1.7
μmのTiN粉末とをモル比で1:1になるように調製し、以
下、実施例1と同様にして、ZrC粉末とTiN粉末との混合
粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1700℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiC−Z
rN系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、相対密度が98%であり、ま
た、常温曲げ強度は46kg/mm2、ビッカース硬度は1770kg
/mm2、破壊靭性は6.4MPa・m1/2であった。
実施例5 平均粒子径が0.5μmのZrB2粉末と、平均粒子径が2.0
μmのZrC粉末と、平均粒子径が1.7μmのTiN粉末とを
モル比で1:1:2になるように調製し、以下、実施例1と
同様にして、ZrB2粉末と、ZrC粉末と、TiN粉末との混合
粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1800℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
TiC−ZrN系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20
MPaとした。
上記複合セラミックスは、相対密度が98%であり、ま
た、常温曲げ強度は63kg/mm2、ビッカース硬度は1650kg
/mm2、破壊靭性は5.8MPa・m1/2であった。
実施例6 平均粒子径が0.5μmのZrB2粉末と、平均粒子径が1.9
μmのHfC粉末と、平均粒子径が1.7μmのTiN粉末とを
モル比で1:1:2になるように調製し、以下、実施例1と
同様にして、ZrB2粉末と、HfC粉末と、TiN粉末との混合
粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.06Torr.の減圧下にて1800℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
TiC−ZrN−HfN系複合セラミックスを得た。なお、加圧
力は20MPaとした。
上記複合セラミックスは、相対密度が98%であり、ま
た、ビッカース硬度は1730kg/mm2、破壊靭性は5.8MPa・
1/2であった。
実施例7 平均粒子径が1.0μmのZrB2粉末と、平均粒子径が2.0
μmのTiC粉末とをモル比で1:1になるように調製し、以
下、実施例1と同様にして、ZrB2粉末と、TiC粉末との
混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末に、あらかじめ1重量%ポリエチ
レンイミンのエチルアルコール溶液中にて超音波を用い
て分散させたSiCウイスカをそれが10体積%になるよう
に加え、これを、直径3mmと10mmのSiCボールを重量で1:
1になるように混合したものを粉砕メディアとするボー
ルミルを用いて12時間粉砕、混合し、さらにロータリー
エバポレータを用いて減圧乾燥し、SiCウイスカを含
む、ZrB2粉末とTiC粉末との混合粉末を得た。
次に、上記のウイスカ含有混合粉末を0.02Torr.の減
圧下にて1900℃で1時間ホットプレスし、置換反応を行
わせて、SiCウイスカを含むTiB2−ZrC系複合セラミック
スを得た。なお、加圧力は25MPaとした。
上記複合セラミックスは、相対密度が99%であり、ま
た、常温曲げ強度は132kg/mm2、ビッカース硬度は2250k
g/mm2、破壊靭性は5.5MPa・m1/2であった。
実施例8 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
以下、実施例1と同様にして、ZrB2粉末と、TiO2粉末と
の混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1600℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPa
とした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が単斜晶であり、相対
密度は92%、常温曲げ強度は25kg/mm2、ビッカース硬度
は1250kg/mm2であった。
実施例9 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、以下、実施例1と同様にして、ZrB2
末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.06Torr.の減圧下にて1600℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPa
とした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は97%、常温曲げ強度は30kg/mm2、ビッカース硬度
は1650kg/mm2、破壊靭性は15.0MPa・m1/2であった。
実施例10 平均粒子径が0.8μmのZrC粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
以下、実施例1と同様にして、ZrC粉末と、TiO2粉末と
の混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.04Torr.の減圧下にて1700℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiC−Z
rO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、ZrO2が単斜晶であり、相対
密度は97%、ビッカース硬度は1170kg/mm2、破壊靭性は
14.4MPa・m1/2であった。
実施例11 平均粒子径が0.8μmのZrC粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、以下、実施例1と同様にして、ZrC粉
末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.08Torr.の減圧下にて1600℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiC−Z
rO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は105kg/mm2、ビッカース硬
度は1850kg/mm2、破壊靭性は7.0MPa・m1/2であった。
実施例12 平均粒子径が1.7μmのZrN粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
以下、実施例1と同様にして、ZrN粉末と、TiO2粉末と
の混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1700℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiN−Z
rO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、ZrO2が単斜晶であり、相対
密度は88%、ビッカース硬度は610kg/mm2であった。
実施例13 平均粒子径が1.7μmのZrN粉末と、平均粒子径が0.2
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、以下、実施例1と同様にして、ZrN粉
末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1700℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiN−Z
rO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPaと
した。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は77kg/mm2、ビッカース硬度
は1290kg/mm2、破壊靭性は5.3MPa・m1/2であった。
実施例14 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が2.0
μmのTiC粉末と、平均粒子径が0.02μmのTiO2粉末と
を、モル比で2:1:1になるように調製し、これに平均粒
子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%になるように添加
し、以下、実施例1と同様にして、ZrB2粉末と、TiC粉
末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.08Torr.の減圧下にて1650℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrC−ZrO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は2
0MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は85kg/mm2、ビッカース硬度
は1850kg/mm2、破壊靭性は7.2MPa・m1/2であった。
実施例15 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.8
μmのZrC粉末と、平均粒子径が0.02μmのTiO2粉末と
をモル比で1:1:2になるように調製し、これに平均粒子
径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%になるように添加
し、以下、実施例1と同様にして、ZrB2粉末と、ZrC粉
末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.03Torr.の減圧下にて1600℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
TiC−ZrO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は2
0MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は113kg/mm2、ビッカース硬
度は1850kg/mm2、破壊靭性は6.3MPa・m1/2であった。
実施例16 平均粒子径が0.5μmのZrC粉末と、平均粒子径が1.7
μmのZrN粉末と、平均粒子径が0.2μmのTiO2粉末とを
モル比で1:1:2になるように調製し、これに平均粒子径
が0.2μmのY2O3粉末を3モル%になるように添加し、
以下、実施例1と同様にして、ZrC粉末と、ZrN粉末と、
TiO2粉末と、Y2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.04Torr.の減圧下にて1700℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiCN−
ZrO2系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は20MPa
とした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は89kg/mm2、ビッカース硬度
は1510kg/mm2、破壊靭性は5.2MPa・m1/2であった。
実施例17 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.0
2μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、さらに平均粒子径が0.02μmのAl2O3
粉末を20体積%になるように添加し、以下、実施例1と
同様にして、ZrB2粉末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末と、Al
2O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1650℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrO2−Al2O3系複合セラミックスを得た。なお、加圧力
は20MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は100%、常温曲げ強度は125kg/mm2、ビッカース硬
度は1680kg/mm2、破壊靭性は5.1MPa・m1/2であった。
実施例18 平均粒子径が0.8μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.0
2μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、さらに平均粒子径が0.2μmのSiC粉末
を30体積%になるように添加し、以下、実施例1と同様
にして、ZrB2粉末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末と、SiC粉
末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.03Torr.の減圧下にて1800℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
ZrO2−SiC系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は2
0MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は125kg/mm2、ビッカース硬
度は1790kg/mm2、破壊靭性は5.7MPa・m1/2であった。
実施例19 平均粒子径が0.8μmのZrC粉末と、平均粒子径が0.02
μmのTiO2粉末とをモル比で1:1になるように調製し、
これに平均粒子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%にな
るように添加し、さらに平均粒子径が0.2μmのAl2O3
末を10重量%になるように添加し、以下、実施例1と同
様にして、ZrB2粉末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末と、Al2O
3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.02Torr.の減圧下にて1650℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiC−Z
rO2−Al2O3系複合セラミックスを得た。なお、加圧力は
20MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は100%、常温曲げ強度は131kg/mm2、ビッカース硬
度は1850kg/mm2、破壊靭性は6.8MPa・m1/2であった。
実施例20 平均粒子径が0.5μmのZrB2粉末と、平均粒子径が0.5
μmのZrC粉末と、平均粒子径が0.02μmのTiO2粉末と
を、モル比で1:1:2になるように調製し、これに平均粒
子径が0.2μmのY2O3粉末を3モル%になるように添加
し、さらに平均粒子径が0.02μmのAl2O3粉末を20体積
%になるように添加し、以下、実施例1と同様にして、
ZrB2粉末と、ZrC粉末と、TiO2粉末と、Y2O3粉末と、Al2
O3粉末との混合粉末を得た。
次に、上記混合粉末を0.03Torr.の減圧下にて1600℃
で1時間ホットプレスし、置換反応を行わせて、TiB2
TiC−ZrO2−Al2O3系複合セラミックスを得た。なお、加
圧力は20MPaとした。
上記複合セラミックスは、ZrO2が正方晶であり、相対
密度は99%、常温曲げ強度は127kg/mm2、ビッカース硬
度は1650kg/mm2、破壊靭性は5.6MPa・m1/2であった。
<発明の効果> この発明は、焼結時に置換反応を伴うが、置換反応に
よる焼結では、置換される元素間で物質移動が生ずるた
め、原料粉末の粒子径が比較的大きくても、複合セラミ
ックスはよく緻密化される。これは、従来の焼結のよう
に、外部から加えられる大きなエネルギーによって原子
が移動し、結晶粒界が消滅して結晶粒子の成長が起こる
のではなく、比較的小さな外部エネルギーで元素が相互
に置換し合って互いの粒子径を維持するためではないか
と推定される。また、置換反応においては、置換に際し
て、ある意味では、化合物の、一種の分解が起こること
になる。この、分解され、他の元素と置換される元素
は、極めて一様に分散するので、組織の均一化には極め
て都合がよい。したがって、原料粉末の分散性もあまり
問題にならず、分散性が悪く、凝集しやすい、比較的小
さな粒子径の原料粉末を使用しても、得られる複合セラ
ミックスは極めて均質な組織を有するものとなる。その
ため、この発明の方法は、従来の方法にくらべて原料粉
末の粒子径への依存度が低く、商業ベースで得られる、
粒子径が比較的大きな原料粉末でも使用することがで
き、原料粉末の選択の幅が広く、混合粉末の調製工程上
における制約も大幅に緩和される。
また、この発明の方法においては、採り得る焼結条件
の範囲が大幅に拡大され、比較的低い温度、低い圧力、
短い時間での焼結が可能になる。これは、焼結中に起こ
る置換反応自身が大きな駆動力になるために、外部から
加えるエネルギーが従来の方法ほどは必要ないためであ
ろう。事実、焼結時の熱膨脹、収縮挙動をみると、まず
1000℃付近で置換反応が始まり、緻密化が促進されてい
る。これは、この発明の方法によるときは、置換反応が
始まる温度付近の比較的低温で比較的長時間保持して緻
密化を促進することも、逆に焼結温度を上げて短時間で
焼結を完了することも、いずれも可能であるということ
であり、焼結条件を広い温度範囲、広い時間範囲から選
択することができるようになる。同様に、加圧条件につ
いても、採り得る範囲が拡大される。従来の方法と同一
条件で焼結する場合、この発明の方法によるもののほう
が、緻密さが向上する。従来の方法によって同様の緻密
さを得ようとすれば、加圧力をさらに大きくし、焼結温
度を上げ、焼結時間も長くする必要がある。
さらに、この発明においては、原料粉末としてセラミ
ックス粉末を用いるから、たとえそれが未反応のまま複
合セラミックス中に残存しても、隣接する粒子とは通常
の焼結結合状態をもつことができる。そのため、金属の
粉末を用いる、従来の反応焼結法や自己燃焼合成法にお
ける、金属がそのまま偏析して残る場合にくらべて、得
られる複合セラミックスの力学的特性が向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−12672(JP,A) 特開 昭61−44769(JP,A) 特開 昭63−100071(JP,A) 特開 昭60−16871(JP,A) 特開 昭60−16867(JP,A) 特開 昭61−6169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/58 105 C04B 35/56

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記a群から選択した化合物からなるセラ
    ミックス粉末と、下記b群から選択した化合物からなる
    セラミックス粉末とを含む混合粉末を非酸化性雰囲気下
    で1650〜1900℃の温度範囲で焼結し、その焼結時に、
    a、b各群の、選択した化合物間で元素の置換反応を起
    こさせることを特徴とする、複合セラミックスの製造方
    法。 a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiC、TiN
  2. 【請求項2】下記a群から選択した化合物からなるセラ
    ミックス粉末と、下記cの化合物からなるセラミックス
    粉末とを含む混合粉末を非酸化性雰囲気下で1600〜1800
    ℃の温度範囲で焼結し、その焼結時に、a群とcの、選
    択した化合物間で元素の置換反応を起こさせることを特
    徴とする、複合セラミックスの製造方法。 a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiO2
  3. 【請求項3】a群から選択した化合物からなるセラミッ
    クス粉末と、b群またはcから選択した化合物からなる
    セラミックス粉末とが、モル比で1:0.2〜2.0になるよう
    に混合粉末を調整する、請求項(1)または(2)の複
    合セラミックスの製造方法。
  4. 【請求項4】混合粉末に、第3成分として、金属、金属
    酸化物、金属炭化物化物、金属炭化物および金属窒化物
    から選ばれた粉末を添加する、請求項(1)または
    (2)の複合セラミックスの製造方法。
  5. 【請求項5】混合粉末にセラミックスウイスカを添加す
    る、請求項(1)または(2)の複合セラミックスの製
    造方法。
  6. 【請求項6】下記a群から選択した化合物からなるセラ
    ミックス粉末と、下記b群から選択した化合物からなる
    セラミックス粉末とを含む混合粉末を非酸化性雰囲気下
    で焼結し、その焼結時に、a、b各群の、選択した化合
    物間で元素の置換反応を起こさせることにより製造され
    得る複合セラミックス中に、該置換反応により得られう
    る中間生成物を含むことを特徴とする複合セラミック
    ス。 a.ZrB2、HfB2、ZrC、HfC、ZrN、HfN b.TiC、TiN、TiO2
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