JP3060422U - 液体噴出用ポンプのパッキング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トリガータイプの液体噴出用ポンプをボトルに
取り付け、斜め下方に向けて液体を噴出させるとき、内
部の液体が少量であると吸液パイプが液中になく、噴出
できないことになる。吸液パイプを容器中前方の底面に
接触するように誘導することを課題とする。 【解決手段】トリガータイプの液体噴出用ポンプをボト
ルに取り付けるに際して、該ポンプの吸液筒下端面とボ
トル口端の間に介在せしめるパッキング（１）を、外周
に凸条を有する嵌合用円筒体（２）であって、その下端
に外向きフランジ（３）および中心に小径穴（４ａ）を
有する内向きフランジ（４）を垂平方向に形成した形状
とした。これを介在させて容器にトリガータイプ液体噴
出用ポンプを取り付けると、ポンプの吸液パイプば容器
の前方底部に位置することになり、液体噴出用ポンプの
前傾斜に拘わらず全液体が噴出できることになる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】この考案は、液体容器の内部の液体を例えば泡状、霧 状などとして噴出させるためのトリガータイプのポンプを該容器に装着するに際 して、容器とポンプとの接合面に介在させるパッキングの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】硬質ないし半硬質のプラスチックからなるトリガータイプなどの ポンプを容器の口部に取り付けるに際しては、その間に軟質のプラスチックやゴ ムからなるパッキングを装着して液漏れを防止するのが通常である。

【０００３】トリガータイプのポンプにおける吸液筒は、容器の口部と同心円上 に形成されており、この吸液筒に対して直角方向に射出筒およびシリンダーが、 また、その射出筒の下方にトリガー（引き金）が軸支されているために容器口端 に取り付けた時、容器の前後における重量バランスが欠けることになる。このア ンバランスを解消するために、該吸液筒に対して射出筒の後端を可能な限り後方 に下げるという手段がとられている。この結果、吸液筒内の液体通路はその中心 より後方に偏して形成されることになり、これに接続された吸い込みチューブも 同様に容器口径内において後方に偏心して垂下されることになる。

【０００４】このようなトリガータイプ液体噴出器の使用において、しばしば該 射出筒先端を斜め下方に傾斜させて液体を噴出させるが、吸い込みチューブの終 端が容器内後方（液体噴出ノズル側を前方とする。以下同様。）にあるために、 液体の残余が少ないときにおいて容器の前方に移動した液体を吐出することがで きないという欠点があった。

【０００５】このような不都合を解消する装置として、特開平９ー１２２５４６ 号は、容器中に挿通される液体吸い込みチューブ（１７）の中間に蛇腹状部２１ を形成すると共に、終端におもり（２２）を取り付けたトリガータイプ液体噴出 器（図４）を提案している。これによると、容器がどの方向に傾斜しても該チュ ーブの下部は常に垂直状態に保たれ、容器内の液体は殆ど全量吐出できるものと されている。

【０００６】また、特開平９−０５７１６０号は、トリガータイプのポンプ本体 と液体容器の開口部上端面との間に装着するパッキングに関して、その裏面に吸 い込みチューブの挿着筒を傾斜状に突設形成したもの（図４（ａ））を開示して いる。したがって、これに嵌合するチューブは傾斜してその終端が容器底部の隅 に達し、容器の前傾状態において全量の液体が噴出できるものとしている。

【０００７】このほかに、液体吸い込みチューブの全長を容器内部の深さより長 く設定し、ポンプを容器に装着する際に、該チューブを所望方向に撓ませてその 終端を底部の隅に達せしめるという手段も採用されている。このタイプに使用さ れるパッキングは図３（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）、（ｅ）に示したようなものであ る。

【０００８】なお、図５に示すトリガータイプの液体噴出用ポンプは、円筒体の 下端に水平方向の外向きフランジと下方に突設させた小径口を有する逆円錐体を 有するパッキングを、その吸液筒内に嵌合させたもので、吸い込みチューブはそ の小径口に挿通して吸液通路に嵌合されている。したがって、吸い込みチューブ はその小径口の周縁によって中心方向に歪曲せられ、その終端が容器の前方側底 部に位置するものである。これによって、該ポンプが前傾した状態において液体 を完全に噴出することが可能となる。しかし、このトリガータイプの液体噴出器 は生産工場より図示の状態、すなわち、未だ容器に取り付けられない状態で、か つ、多数を一括梱包して搬送されるために、傾斜したチューブに対して直立させ る方向に外力が加わることがある。この外力Ｆにより、パッキングは外向きフラ ンジの一点Ｓを支点として回動し、係合が解け脱落する虞れがあった。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】上記、各々の手段には利点もあるが問題点もあ った。すなわち、前記の特開平９−０５７１６０号に示された手段は、吸い込み チューブの装着筒が所定の角度を持って形成されているためにチューブ終端を常 に容器の底部先端に保つことができ、容器底部の液体を残らず吸引し吐出するこ とが可能であることは利点であるが、このパッキングの成形において傾斜した装 着筒部分を形成するためには複雑な金型を必要とし、成形能率も低下する。さら に、この傾斜した装着筒にチューブを取り付ける作業も容易ではない。

【００１０】特開平９ー１２２５４６号に示された手段においては、チューブの 中間又はその上方に蛇腹を一体形成することは非常に高度な技術を要し、また、 チューブに別体の蛇腹を接続煩瑣であり、さらに、その終端におもりを付着させ る作業も工程の増加を来たし、生産性に問題があった。

【００１１】さらに、吸い込みチューブを撓ませて容器内に挿通する方法にあっ ては、容器にトリガータイプのポンプを自動機械で取り付ける場合などにおいて 、必ずしも所望の位置、例えば、底部前方位置に収まるとは限らないことが欠点 とされている。以上のことから、吸い込みパイプ終端の位置決めを確実になし得 る簡易な装置が求められる。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本考案は、 上記の課題を解決するために開発されたもので、基本的にはパッキングの内径を 小径としたものである。前記のように、吸液筒における液体通路が後方に偏して おり、それに接続される吸い込みチューブもまた容器口径内において後方に偏心 した位置に垂下されていることから、容器口部中心にパッキングの小径部を位置 させることによって、そこに挿通されたチューブを強制的に撓ませ、該チューブ 終端を前方側容器底に誘導するものである。

【００１３】すなわち、請求項１の考案は、液体通路を有する吸液筒、それに連 なる射出筒およびシリンダーを一体的に形成し、その射出筒の所要箇所に軸支し たトリガーレバーの一部に該シリンダーに摺動状に嵌合したピストンの一端を軸 支し、かつ、ピストンを吸気方向に付勢するバネを装着し、さらに、前記射出筒 の下端に吸い込みチューブを嵌合垂下し、吸液筒に回動自在に外嵌した螺合キャ ップをもって容器口部に取り付け使用するトリガータイプの液体噴出用ポンプを 、ボトル口部に取り付けるに際して、該ポンプの吸液筒下端面とボトル口端の間 に介在せしめるパッキング１が、外周に凸条２ａを有する嵌合用円筒体２の下端 に外向きフランジ３および中心に小径穴４ａを有する内向きフランジ４を垂平方 向に形成した構造とした。前記のように、吸液筒１１の中心より後方に偏心して 取り付けられている吸い込みチューブ１７は、この小径穴４ａに挿通されてその 小径穴の周縁により前方側に歪曲され、その終端１７ａが容器の先端側底部に誘 導されることになる。

【００１４】請求項２に係る考案は、前記の内向きフランジが嵌合用円筒体の下 端面より上方の内面に形成されたものである。したがって、これにより吸い込み チューブの終端が容器の先端側底部に誘導されることは前記と同様であり、輸送 中などに生じる吸い込みチューブに対する横方向の荷重がパッキングに対する梃 子の作用をなさない。

【００１５】請求項３に係るパッキングは、円筒体内部に形成する内向きフラン ジをせっ頭円錐形に形成したもので、これによりポンプの組立時におけるチュー ブの挿通性を良好とし、作業性を向上させる。

【００１６】

【考案の実施の形態】本考案の詳細について図面を参照して説明する。図１は本 考案のパッキング１を介在させたトリガータイプの噴出器１０を容器Ｂに取り付 けた状態を示す要部断面になる側面図であり、図２（ａ）は実施例１に係るパッ キングの斜視図、（ｂ）はその平面図、（ｃ）は一部分を断面表示とした正面図 である。

【００１７】図２（ａ）、（ｂ）、（ｃ）に示すように、本考案パッキング１は 、トリガータイプの液体噴出用ポンプ１０における吸液筒１１の内径に密接に嵌 合する筒状体２を主体とし、かつ、その下端に外向きのフランジ３と内向きのフ ランジ４を形成し、その内向きフランジ４に前記の液体噴出器の吸液筒部１１に 嵌合取着される吸い込みチューブの直径より１ｍｍないし数ｍｍ大きな小径穴４ ａを開設した構成になるものである。

【００１８】なお、その円筒体２の外周面には凸条２ａが形成されており、吸液 筒１１の内周面に形成した凹条１１ａに係合し、容易に脱落することを防止する 。また、外向きフランジの表面または／および裏面（図示していない）にはコン タクトリング３ｃが一ないし数条凸設されている。

【００１９】以上の構造になる本考案パッキングは、トリガータイプ液体噴出用 ポンプ１０の吸液筒１１に形成された吸液路に吸い込みチューブ１２が嵌合取着 された後、該吸液筒１１の内径内にその円筒体部２が嵌合される。なお、この場 合、チューブ１７およびパッキング１の何れを先に取着してもよいことは勿論で ある。何れの場合においても、チューブ１７が液体通路に容易に嵌合できるよう に、該通路の開口端の一方（後方）にチューブ導入用案内壁１１ｂを形成するこ とが望ましい。

【００２０】吸液筒１１に形成された液体通路は、前記のように吸液筒１１およ び容器口部の中心より後方に偏心しているのに対して、パッキング１に形成した 穴４ａは容器の中心にあり、したがって、そこに挿通する吸い込みチューブ１２ は穴４ａの円周の縁辺により中心側に歪曲され、チューブ終端１７ａは容器の前 方側底面に誘導されることは前記の通りである。

【００２１】図２の（ｄ）は実施例２に係るパッキング１を示したもので、図１ のパッキングと異なり内向きフランジ４を円筒体２の内径内に形成したものであ る。この構成においては、搬送中、チューブに垂平方向に加わる外力に対しても パッキングは離脱することがなくなる。

【００２２】図２の（ｅ）は実施例３に係るパッキング１を示したもので、内向 きフランジ４は中央側が上方に傾斜した形状に構成したものである。これによる と、液体噴出器１０の吸液筒１１にパッキング１を嵌合し、次いで、吸い込みチ ューブ１７を嵌合取着する場合、この内向きフランジの傾斜にしたがって挿通す れば容易に装着ができることになる。

【００２３】

【考案の効果】本考案のパッキングは構造が簡単であるにもかかわらず、吸い込 みチューブを容器の先端側底面への確実な誘導が可能になる。たがって、容器を 前方傾斜した場合において、液体の移動側にチューブ終端が位置しているために 容器内の液体の全量を噴出することができる。

【００２４】吸い込みチューブの終端の位置規制のための内向きフランジが外向 きフランジと同一平面上ないし上方に形成されているために、チューブに加わる 外力によって離脱することがなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るパッキングを装着したトリガータ
イプ液体噴出器を示した一部断面になる側面図

【図２】パッキングの詳細を示したもので、（ａ）は実
施例１の斜視図、（ｂ）はその平面図、（ｃ）は一部断
面とした正面図であり、（ｄ）は実施例２の一部断面と
した正面図、（ｅ）は実施例３の一部断面とした正面図
である。

【図３】図３は従来例を示したもので、吸い込みチュー
ブに錘を付けてチューブが常に垂直に位置するようにし
た装置の側面図である。

【図４】図４は従来例に係るパッキングを示したもの
で、（ａ）は最もポピュラーなもの、（ｂ）は偏心した
位置にチューブの挿通穴を設けたもの、（ｃ）はチュー
ブの挿通穴を傾斜状に突設形成したもの、（ｄ）（ｅ）
は中央にチューブ挿通穴を形成したもの、（ｆ）は円筒
体の下端に外向きフランジと逆円錐型のガイド筒を下方
に延設してその先端にチューブの挿通穴を形成したも
の、それぞれの斜視図である。

【図５】図４（ｆ）に示したパッキングを装着し吸い込
みチューブを嵌合した液体噴出器を示した一部断面の側
面図である。

【符号の説明】

１ パッキング ２ 円筒体 ３ 外向きフランジ ４ 内向きフランジ １０ トリガータイプの液体噴出器 １１ 吸液筒 １２ 射出筒 １３ シリンダ １４ トリガー １５ ピストン １６ バネ １７ 吸い込みチューブ １８ 螺合キャップ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】液体通路を有する吸液筒、それに連なる射
   出筒およびシリンダーを一体的に形成し、その射出筒の
   所要箇所に軸支したトリガーレバーの一部に該シリンダ
   ーに摺動状に嵌合したピストンの一端を軸支し、かつ、
   ピストンを吸気方向に付勢するバネを装着し、さらに、
   前記射出筒の下端に吸い込みチューブを嵌合垂下し、吸
   液筒に回動自在に外嵌した螺合キャップをもって容器口
   部に取り付け使用するトリガータイプの液体噴出用ポン
   プを、ボトル口部に取り付けるに際して、該ポンプの吸
   液筒下端面とボトル口端の間に介在せしめるパッキング
   （１）が、外周に凸条を有する嵌合用円筒体（２）の下
   端に外向きフランジ（３）および中心に小径穴（４ａ）
   を有する内向きフランジ（４）を垂平方向に形成したこ
   とを特徴とするポンプ取付用パッキング。
2. 【請求項２】液体通路を有する吸液筒、それに連なる射
   出筒およびシリンダーを一体的に形成し、その射出筒の
   所要箇所に軸支したトリガーレバーの一部に該シリンダ
   ーに摺動状に嵌合したピストンの一端を軸支し、かつ、
   ピストンを吸気方向に付勢するバネを装着し、さらに、
   前記射出筒の下端に吸い込みチューブを嵌合垂下し、吸
   液筒に回動自在に外嵌した螺合キャップをもって容器口
   部に取り付ける構造のトリガータイプの液体噴出用ポン
   プを、ボトル口部に取り付けるに際して、該ポンプの吸
   液筒下端面とボトル口端の間に介在せしめるパッキング
   （１）が、外周に凸条を有する嵌合用円筒体（２）の下
   端に外向きフランジ（３）を、嵌合用円筒体の内面で、
   かつ、該嵌合用円筒体の下端面より上方に内向きフラン
   ジ（４）を水平方向に形成したことを特徴とする請求項
   １記載のパッキング。
3. 【請求項３】前記のパッキングにおいて、その嵌合用円
   筒体に形成した内向きフランジがせっ頭円錐形に形成さ
   れたことに特徴を有する請求項１または請求項２記載の
   パッキング。