JP3059058U

JP3059058U - 安定材付きベタ基礎構造

Info

Publication number: JP3059058U
Application number: JP1998008963U
Authority: JP
Inventors: 義郎渡辺
Original assignee: 義郎渡辺
Priority date: 1998-11-12
Filing date: 1998-11-12
Publication date: 1999-07-02
Anticipated expiration: 2004-11-12

Abstract

(57)【要約】【目的】木造住宅または低層住宅用ベタ基礎の不同沈
下を防止する。【構成】建家基礎部の近く及び基礎構築領域の地盤１
０を、地盤の強弱により幅及び深さを調整（通常は幅２
００〜５００ｍｍ、深さ６００〜１２００ｍｍ）したト
レンチ溝１１を掘削しながら、ビニロン系その他の補強
繊維を混入したソイルセメントと土とを混合して改良し
た補強土質と置換し、ランマー等で転圧して土質強度と
靭性をもたせた改良土質により基礎構築領域の土質周囲
を囲繞するように形成された周辺安定材１２及び領域内
安定材１２ａをつくる。ついで周辺安定材１２及び領域
内安定材１２ａの上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋
１７を配置しコンクリートを打設する。その際、安定材
１２の少なくとも一方の上端側部１５に隣接する地盤１
０に沿って所定断面寸法の小溝１６を掘削し、ベタ基礎
コンクリートの打設時に小溝１６内に充填されたコンク
リートによって安定材１２の上端側部１５に当接して一
体化させるコンクリート製突起１９を形成させた状態で
ベタ基礎１８を造成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軟弱地盤の圧密や塑性変形による建物の不同沈下を抑止する安定材付きベタ基礎構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

軟弱地盤において多少の沈下が許容される場合の基礎工法としてベタ基礎、摩擦杭の打ち込み、またはその両者の併用等が行われている。いずれの場合も粘性土の性質上、圧密、塑性変形による沈下のおそれがあり、それによって不同沈下が生じると、建物の使用に支障を来すことになる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の布基礎工法は掘削排土量が多いし、基礎そのものの剛性が小さいし、更に型枠施工や配筋等の作業工数も多い。軟弱地盤の場合には不同沈下があり、基礎の剛性が小さいので地震発生時に割裂を生じ、建物に多大の被害を与える。摩擦杭を併用したベタ基礎工法においては摩擦杭を必要とするため、コストが高く工期の短縮も望めない。本考案は、軟弱地盤における建物の不同沈下のおそれが少なく、等沈下を前提とした低コストのベタ基礎構造を提供するすることを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、建家基礎部を施工する部分に溝を掘って安定材を造り、その上にベタ基礎部分を打設して安定材付きベタ基礎を構築するものである。すなわち、請求項１は、基礎構築部分またはその近くの地盤を、地盤の強弱により幅及び深さを調整したトレンチ溝を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧することにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって基礎構築領域の土質周囲を囲繞するように形成された安定材と；前記安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を配置してコンクリートを打設することにより安定材と一体化して造成されたベタ基礎と、からなる安定材付きベタ基礎構造である。請求項２は、基礎構築部分の近く及び基礎構築領域内の地盤を、地盤の強弱により幅及び深さを調整したトレンチ溝を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧することにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって基礎構築領域の土質周囲を囲繞するように形成された周辺安定材と；前記と同様改良土質によって基礎構築領域を数個に区分するように形成された領域内安定材と；前記周辺安定材及び領域内安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を配置してコンクリートを打設することにより各安定材と一体化して造成されたベタ基礎と、からなる安定材付きベタ基礎構造である。請求項３は、請求項１または２において、改良土質によって形成された前記安定材の少なくとも一方の上端側部に隣接する地盤に沿って所定断面寸法の小溝を掘削し、ベタ基礎コンクリートの打設時に前記小溝内に充填されたコンクリートにより安定材の少なくとも一方の上端側部に当接して一体化させるコンクリート製突起を形成させたことを特徴とする。

【０００５】請求項４は、基礎構築部分またはその近くの地盤を、地盤の強弱により幅及び深さを調整して掘削したトレンチ溝と；前記溝内へのコンクリート打設により基礎構築領域の土質周囲を囲繞して構築されたコンクリート造りの周辺安定材と；基礎構築領域内に該領域を数個に区分するようにトレンチ溝を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧することにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって形成された領域内安定材と；前記周辺安定材及び領域内安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を施してコンクリートを打設することにより安定材と一体化して造成されたベタ基礎構造である。

【０００６】

【作用】

基礎構築部分の近くに地盤の強弱により幅及び深さを調整した安定材造成用の溝を掘削すると同時に、ソイルセメントまたはビニロン系その他の補強繊維を混入したソイルセメントと土とを混合した土質と置換し、土質置換部分をランマー等で転圧して土質強度と靭性をもたせた改良土質による安定材を造り、該安定材の上面にベタ基礎配筋したのち、コンクリートを打設してベタ基礎と一体化する。この安定材は地盤領域を囲む垂直拘束壁となるもので、その高さ（深さ）と幅は、地盤の状態により決定する。安定材とベタ基礎とで囲まれた土は剛体となる。また、改良土質による安定材の代わりに、基礎構築部分またはその近くの地盤を掘削した溝内へ直接コンクリートを打設して無筋のコンクリート造りの安定材をつくり、安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を施して安定材と一体化して造成されたベタ基礎構造としてもよい。

【０００７】

【実施例】

次に図面に基づいて本考案を具体的に説明する。図１は本発明の１実施例の断面図である。図示のように、建家基礎構築部分の近くにトレンチ溝１１を掘って地盤領域の外縁近くに連続する安定材（垂直拘束壁）１２を造り、その上にコンクリートを打設して安定材付きベタ基礎１８を構築する。安定材１２は地盤の強弱により幅Ｗと深さＨを調整（通常は幅２００〜５００ｍｍ、深さ６００〜１２００ｍｍ位まで）する。また、基礎構築面積または基礎伏図に応じ、安定材１２で囲まれた基礎底盤を平面からみて、ほぼ４等分または６等分程度もしくはそれ以上に区画するように、深さ小さくした（Ｈ_０＜Ｈ）領域内安定材１２ａを造成する。

【０００８】上記安定材１２、１２ａを造成するには、基礎地盤１０の所定個所にトレンチ溝１１を掘削すると同時に、土とソイルセメント（またはビニロン系、カーボンファイバー、その他の補強繊維を混入したソイルセメント）を混合して土質を置換し、土質置換部分をランマー等で転圧して土質強度と靭性とをもたせた改良土質の安定材とする。ソイルセメントは土質に対し通常１００〜２００ｋｇ／ｍ^３程度混合する。

【０００９】この安定材１２、１２ａの上面を覆ってベタ基礎配筋１６を配置し、コンクリートを打設して安定材上面１３とベタ基礎１８とを一体化したのち、基礎立ち上がり部２０を造成して、通常のとおり上部構造を構築する。基礎立ち上がり部２０は、普通の型枠を建て込み、コンクリート打設後に型枠外しとしても良いが、図１のように、基礎立ち上がり部２０分の外周部にコンクリートとの付着性をよくした仕上げ材をそのまま型枠２２として用い、内側に捨て型枠２１を建て込み基礎立ち上がり部２０の造成用のコンクリートを打設することにより、コンクリート硬化後の型枠外し作業を省略するようにしてもよい。図中２３はタイバーである。

【００１０】図２は第２の例を示す。この場合は、改良土質によって形成された前記安定材１２の少なくとも一方の上端側部１５に隣接する地盤に沿って所定断面寸法の小溝１６を掘削し、ベタ基礎コンクリートの打設時に前記小溝１６内に充填されたコンクリートによって安定材１２の一方または双方の上端側部１５に当接して一体化し拘束させうるコンクリート製突起１９を形成させる。

【００１１】図２の場合も図１に示すように、ベタ基礎部分と安定材上面にわたってコンクリートを打設してベタ基礎とを一体化したのち、基礎造成部分の外周部にコンクリートとの付着性をよくした仕上げ材をそのまま型枠２２として建て込み、内側に捨て型枠２１を建て込んで基礎立ち上がり部２０造成用のコンクリートを打設することにより、基礎部の施工を完了する。

【００１２】図３は第３の例を示す。この場合は、改良土質による周辺安定材の代わりに、無筋の現場打ちコンクリートによって安定材をつくったものである。前の例と同じく基礎構築部分またはその近くの地盤１０を、地盤の強弱により幅及び深さを調整して溝１１を掘削するが、溝内の土質を置換せずに、溝内へ直接コンクリートを打設して無筋のコンクリート造りの安定材１３をつくる。領域内の安定材１２ａは前と同様に土質置換による安定材とする。この安定材１３、１２ａの上部を含む地盤領域１０に、ベタ基礎配筋１６を施しコンクリートを打設することにより安定材１３と一体化して造成されたベタ基礎１７が構築される。ついで、基礎立ち上がり部にコンクリートとの付着性をよくした仕上げ材をそのまま型枠２２として建て込み、さらに型枠上部にステンレス製の幅止め材２４を掛け渡して内側の捨て型枠２１を建て込み、基礎立ち上がり部２０造成用のコンクリートを打設することにより、脱型せずに基礎部の施工を完了する。なお、図１、２に示したようなタイバー２３を用いて型枠を固定し、基礎立ち上がり部の硬化後に型枠を外す方式にしてもよい。

【００１３】なお、図示を省略したが、現場打杭と上記安定材とを併用してもよい。すなわち、軟弱地盤であるベタ基礎施工領域１０内に、所要数の無筋の現場打杭を造成したのち、前記現場打杭で補強された土質周囲を囲んで連続する安定材１２または１３と領域内安定材１２ａを造成し、ついで、ベタ基礎コンクリートを打設して安定材上面と現場打杭頂部とベタ基礎とを一体化する。現場打杭は、穿孔した杭孔に、ソイルセメントを掘削土に混合撹拌（例えば３００ｋｇ／ｍ^３)し、これに水を加えたスラリーを充填することで施工される。この現場打杭は、支持杭ではなく安定材的な目的をもっている。このように、安定材と現場打設杭とを併用する場合には、周囲の土質より著しく強固なものとなり、しかも安定材と現場打設杭とベタ基礎とを一体化したため、建造物の不同沈下を一層確実に抑止することができる。

【００１４】

【発明の効果】

上述のように、本考案の請求項１によれば、建家基礎部を施工する部分またはその近くに地盤の強弱により幅及び深さを調整したトレンチ溝を掘削しながら、補強土質と置換し転圧して土質を改良した安定材を造り、安定材上部にベタ基礎用コンクリートを打設して一体化させたものであるから、安定材とベタ基礎部分とで囲まれた土は剛体となり、軟弱地盤における建物の不同沈下を抑止できる。請求項２によれば、基礎構築部分の近く及び基礎構築領域内の地盤を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧することにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって、基礎構築領域の土質周囲を囲繞するように形成された周辺安定材及び該領域内を数個に区分するように形成された領域内安定材をつくり、周辺安定材及び領域内安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を配置してベタ基礎コンクリートを打設して安定材付きベタ基礎構造としたので、安定材とベタ基礎部分との一体化が安定化する。また、請求項３によれば、改良土質によって形成された安定材の少なくとも一方の上端側部に隣接する地盤に沿って所定断面寸法の小溝を掘削し、ベタ基礎コンクリートの打設時に前記小溝内に充填されたコンクリートによって安定材の少なくとも一方の上端側部に当接して一体化させるコンクリート製突起を形成させたものであるから、安定材とベタ基礎部分との一体化が一層安定化する。さらに、請求項４によれば、基礎構築部分の近くに掘削した溝内の土質を置換せずに、直接コンクリートを打設することにより領域周辺に無筋のコンクリート造りの安定材をつくり、ベタ基礎配筋を施しベタ基礎用コンクリートを打設して安定材と一体化したものであるから、低コストで安定材付きベタ基礎を造成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案ベタ基礎構造の第１の例を示す断面図で
ある。

【図２】本考案の第２の例を示す断面図である。

【図３】本考案の第３の例を示す断面図である。

【符号の説明】

１０地盤１１溝１２改良土質による周辺安定材１２ａ改良土質による領域内安定材１３コンクリート造りの周辺安定材１４安定材の上面１５安定材の上端側部１６小溝１７ベタ基礎配筋１８ベタ基礎１９突起２０基礎立ち上がり部２１、２２型枠２３タイバー２４幅止め材

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】基礎構築部分またはその近くの地盤を、
地盤の強弱により幅及び深さを調整したトレンチ溝を掘
削すると同時に、補強土質と置換し転圧することにより
土質強度と靭性をもたせた改良土質によって基礎構築領
域の土質周囲を囲繞するように形成された安定材と、前記安定材の上部を含む地盤領域に、ベタ基礎配筋を配
置してコンクリートを打設することにより安定材と一体
化して造成されたベタ基礎と、からなる安定材付きベタ基礎構造。
【請求項２】基礎構築部分の近く及び基礎構築領域の
地盤を、地盤の強弱により幅及び深さを調整したトレン
チ溝を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧するこ
とにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって基
礎構築領域の土質周囲を囲繞するように形成された周辺
安定材と、前記と同様改良土質によって基礎構築領域内を数個に区
分するように形成された領域内安定材と、前記周辺安定材及び領域内安定材の上部を含む地盤領域
に、ベタ基礎配筋を配置してコンクリートを打設するこ
とにより各安定材と一体化して造成されたベタ基礎と、からなる安定材付きベタ基礎構造。
【請求項３】改良土質によって形成された前記安定材
の少なくとも一方の上端側部に隣接する地盤に沿って所
定断面寸法の小溝を掘削し、ベタ基礎コンクリートの打
設時に前記小溝内に充填されたコンクリートにより安定
材の少なくとも一方の上端側部に当接して一体化させる
コンクリート製突起を形成させたことを特徴とする請求
項１または２記載の安定材付きベタ基礎構造。
【請求項４】基礎構築部分またはその近くの地盤を、
地盤の強弱により幅及び深さを調整して掘削したトレン
チ溝と、前記溝内へのコンクリート打設により基礎構築領域の土
質周囲を囲繞して構築されたコンクリート造りの周辺安
定材と、基礎構築領域内に該領域を数個に区分するようにトレン
チ溝を掘削すると同時に、補強土質と置換し転圧するこ
とにより土質強度と靭性をもたせた改良土質によって形
成された領域内安定材と、前記周辺安定材及び領域内安定材の上部を含む地盤領域
に、ベタ基礎配筋を施してコンクリートを打設すること
により各安定材と一体化して造成されたベタ基礎と、からなる安定材付きベタ基礎構造。