JP3058553B2 - インクリボンカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクリボンカセットに
係わり、特に熱転写プリンタに使用されるインクリボン
の安定的な走行を可能にしたインクリボンカセットに関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、インクリボンカセットを用いる
熱転写プリンタは、図６に示すようにプラテン１と対向
して配置され、このプラテン１に沿って往復移動される
キャリッジ２を有しており、このキャリッジ２に、プラ
テン１に対して接離可能なサーマルヘッド３と、その一
部がプラテン１上の用紙４とサーマルヘッド３との間に
位置するように導出されたインクリボンを収納した後述
のインクリボンカセットとを搭載して構成されている。
このキャリッジ２にはキャリッジ駆動モータ５によって
駆動される駆動ベルト６が接続されるとともに、用紙４
をキャリッジ２の移動方向に垂直な方向に搬送する複数
の紙送りローラ７及びこれらの紙送りローラ７を駆動す
る紙送りモータ８を備えている。

【０００３】このような熱転写プリンタに使用される一
般的なインクリボンカセットの構成を図５に示す。図示
したように、樹脂材料からなるカセットケース１０に
は、インクリボン１１が巻回された供給リール１２と、
印字に使用されたインクリボン１１を巻き取る巻取りリ
ール１３とが収納されている。また、インクリボン１１
の走行経路には樹脂材料で形成された回転自在な複数個
のガイドローラ１４と、印字後用紙からインクリボン１
２を引き剥すための引き剥し力を与えるための巻取りロ
ーラ１５が配置されており、、供給リール１２から繰り
出されたインクリボン１１はこれらガイドローラ１４を
介して引き回され、途中のサーマルヘッド３を当接させ
るための開口部１５のところで一旦カセットケース１０
の外にでて印字に使用された後、再びカセットケース１
０内に入って巻取りローラ１５を経由して巻取りリール
１３に巻き取られる。

【０００４】このような構成によれば、印字時、サーマ
ルヘッド３及びプラテン１間に用紙４とともに挟持され
ているインクリボン１１がキャリッジ２の走行により供
給リール１２から引き出されて順次印字に供され、印字
に使用された後、用紙から剥離され巻取りリール１３に
巻き取られる。

【０００５】なお、このカセットにおいては、インクリ
ボン１２がすべて使用された場合、インクリボンカセッ
ト１０をひっくり返すことで再度使用できるように対象
な形状としている。また、インクリボン１１の終端を検
出するためのリボンエンドセンサ１７が挿入される開口
部１８も形成してある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インクリボンカセットにおいては、熱転写プリンタ側の
サーマルヘッド３の傾き、サーマルヘッド３とプラテン
１（用紙４）との圧接状態等により印字後のインクリボ
ン１１を用紙４から引き剥がす際にインクリボン１１の
幅方向での張力が不均一になりやすいという傾向があっ
た。そのために、インクリボン１１の走行が安定せず、
インクリボン１１の斜行や、用紙４からの引き剥がし時
間のずれによる印字ムラが発生し、印字品位が劣化、イ
ンクリボン１１の巻取り不良、ひどいときにはインクリ
ボン１１の搬送ができなくなる、という問題点があっ
た。

【０００７】この対策としては、インクリボン１１の引
き剥し力を得る巻取りローラ１５やリボンガイドローラ
１４、さらには印字部でのサーマルヘッド３のインクリ
ボン１１との接触部のそれぞれが平行であるように配置
することで、インクリボン１１の幅方向における張力が
均一となり、印字ムラ等の防止はできるが、この場合そ
れぞれの部品の平行度の管理が困難で、また、それぞれ
を平行に配置するためには組立に細心の注意を払わなけ
ればならなかった。そしてこの不具合は、最近使用され
つつある印字寿命を長くした、ベースフィルム及びイン
ク等の厚みを薄くしたインクリボンを使用する熱転写プ
リンタにおいては特に顕著なものとなっている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のインクリボンカセットは請求項１におい
て、熱転写用インクが塗布されたインクリボンを内部に
収納したインクリボンカセットにおいて、前記インクリ
ボンの走行経路中にリボンガイドローラを配置し、この
リボンガイドローラは、円筒状の部材の表面中央に突出
部を形成し、この突出部の外側に樹脂材料からなる円筒
部材を配置し、この円筒部材に自調機能をもたせたこと
を特徴とする。

【０００９】

【００１０】

【作用】上記手段は以下のように作用する。

【００１１】

【００１２】本発明においては、リボンガイドローラ
に、円筒状の部材の表面中央に突出部を形成し、この突
出部の外側に樹脂材料からなる円筒部材を配置し、この
円筒部材に自調機能をもたせたことにより、印字後のイ
ンクリボンを用紙から引き剥がす際に、テープ幅方向で
の張力が不均一となった場合に、張力の大きい部分と接
触しているリボンガイドローラの円筒部材が傾くことに
より、インクリボンの幅方向の張力の差が緩和される。

【００１３】そして、その結果としてインクリボンの走
行が安定する。

【００１４】

【実施例】以下、図面を用いて本発明について説明す
る。図１は、本発明の一実施例であるリボンガイドロー
ラ１４の構造を示す半断面図である。尚、このリボンガ
イドローラ１４の構造以外は上述した従来例と同様の構
成であるので詳細な説明は省略する。

【００１５】リボンガイドローラ１４は、図１に示した
ように樹脂材料からなる円筒状の部材２１の表面にスポ
ンジあるいは発砲ウレタンからなる弾力性をもった部材
２２を所定の厚さで巻回した構造となっており、カセッ
トケース１１に形成された凸部（図示せず）を円筒状部
材２１の穴部２１ａに挿入することで回転自在に組み立
てられる。

【００１６】このように構成されたインクリボンカセッ
トにあっては、供給リール１３から引き出されたインク
リボン１１はリボンガイドローラ１４，１４により印字
部（開口部１６）まで案内され、印字部で印字に使用さ
れたインクリボン１１は、巻取りローラ１５により常に
一定の巻取り力で用紙から引き剥され、更に巻取りリー
ル１３に巻取られる。

【００１７】このとき、サーマルヘッド３の傾き、サー
マルヘッド３プラテン１（用紙４）との圧接状態あるい
はリボンガイドローラ１４等の平行が保たれておらず、
引き剥し時のインクリボン１１にかかる張力がインクリ
ボン１１の幅方向で不均一となった場合、リボンガイド
ローラ１４の表面である発泡材の張力の大きい部分の接
触面が弾性変形しへこみ各部材間での平行状態が保たれ
る。これによりインクリボン１１の幅方向の張力が均一
となり、結果として、インクリボン１１の走行が安定す
る。

【００１８】なお、上記の実施例ではガイドローラ１
４，１４のすべてをその外周部が弾力性のある材料であ
る発泡材で形成したものであるように説明したが、イン
クリボン１１の走行が不安定となるのは印字部において
が最も顕著であるので、図３に示すように、この印字部
近傍のガイドローラ１４のみを上記説明のように外周部
を弾力性のある発泡材で卷回した構造とすることでも、
インクリボン１１の走行を安定させることができる。

【００１９】図２は、本発明の他の実施例であるリボン
ガイドローラ１４の構造を示すものであり、図１で示し
た上述の第１実施例とは異なり、円筒状の部材２１の表
面のほぼ中央部に、その外周に沿って突出部２１ｂを形
成し、その外側に樹脂材料からなる円筒部材２３を配置
し、外周の円筒部材２３に自調機能を持たせた構造とし
たものである。 このような構造とした場合でも、サーマ
ルヘッド３の傾き、サーマルヘッド３とプラテン１（用
紙４）との圧接状態あるいはリボンガイドローラ１４等
の平行が保たれておらず、印字中に用紙から引き剥がす
時のインクリボン１１にかかる張力がインクリボン１１
の幅方向で不均一となった場合、張力の大きい部分の円
筒部材２３が上記の突出部２１ｂを支点として傾き、各
部材間での平行状態が保たれる。これによりインクリボ
ン１１の幅方向の張力が均一となり、効果として、イン
クリボンの走行が安定する。

【００２０】この第２実施例においても、上述の第１実
施例と同様に、印字部近傍のリボンガイドローラ１４の
みを自調機能を持たせた構造とすることでも、インクリ
ボン１１の走行を安定させることができる。

【００２１】

【効果】以上説明したように本発明においては、インク
リボンの走行経路に配置され、インクリボンを案内する
ガイドローラの表面をスポンジあるいは発砲ウレタンか
らなる弾力性をもった部材を巻回した構造としたり、あ
るいはガイドローラを自調構造としたことにより、引き
剥し時のインクリボンにかかる張力がリボンの幅方向で
不均一となった場合でも、張力の大きい部分のリボンと
の接触面が弾性変形したり、傾くことにより、各部材間
での平行状態が保たれ、インクリボンの幅方向の張力が
均一となり、結果として、インクリボン１２の走行が安
定する。このため、良好な印字品質が得られる、という
顕著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るリボンガイドローラの
半断面図である。

【図２】本発明の第２の実施例に係るリボンガイドロー
ラの半断面図である。

【図３】本発明に係るリボンガイドローラを使用したイ
ンクリボンの印字部付近の走行状態を示す説明図であ
る。

【図４】本発明に係るリボンガイドローラをキャリッジ
上に設けたことを示す説明図である。

【図５】熱転写プリンタに使用されるインクリボンカセ
ットの構成図である。

【図６】一般的な熱転写プリンタの主要部の構造を示す
説明図である。

【符号の説明】

３ サーマルヘッド １０ カセットケース １１ インクリボン １４ リボンガイドローラ １５ 巻取りローラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−108572（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−10966（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−29571（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−67059（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−36849（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−150257（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 35/04 B41J 32/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱転写用インクが塗布されたインクリボ
   ンを内部に収納したインクリボンカセットにおいて、前
   記インクリボンの走行経路中にリボンガイドローラを配
   置し、このリボンガイドローラは、円筒状の部材の表面
   中央に突出部を形成し、この突出部の外側に樹脂材料か
   らなる円筒部材を配置し、この円筒部材に自調機能をも
   たせたことを特徴とするインクリボンカセット。