JP2927008B2 - リボンカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はシリアル型熱転写プリン
タのリボンカセットに関し,特にそのリボンの走行安定
性の向上、印字品質の改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のリボンカセットでは、インクリボ
ンの幅とほぼ同じ幅の円筒部を有するつばつきのリボン
ガイドローラ数個をリボンカセット内に配置するか、ま
たは、つばを持たない円筒形状のリボンガイドローラ数
個をリボンカセット内に配置していた。いずれにして
も、同一形状のリボンガイドローラを数個用いて、イン
クリボンを案内し、インクリボンの供給、巻取の安定を
図っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の様に、インクリ
ボンの幅とほぼ同じ幅の円筒部を有するつばつきのリボ
ンガイドローラを数個配置した構造のリボンカセットで
は、サーマルヘッドとインクリボンの接触する面で生じ
る圧力、摩擦力の不均一から発生するインクリボンの微
小なずり上り、ずり下がり、斜行によりインクリボンの
端面がリボンガイドローラのつば部に押しつけられるこ
とにより、インクリボンに張力の不均一が生じ、紙に転
写したインクを剥離するタイミングが部分的に遅れ、印
字品質を損なう欠点を潜在的に有していた。また、サー
マルヘッドの発熱体部の縦方向長さの倍以上の幅を有す
るインクリボンと、リボンカセットを反転して装着出
来、往路、復路でそれぞれインクリボンの上側半分、下
側半分のインクを使用して印字を行うように構成された
往復印字可能な熱転写プリンタにおいて、往路側でイン
クリボンの上半分のインクを用いて印字した際に、イン
クリボンに僅かなずり下がりが起きただけでも、復路側
で使用するインクリボンの下半分の処女インク面をリボ
ンガイドローラのつば部で傷め、インクの欠落、インク
リボンにしわが生じる等の結果、復路側で印字した際
に、字欠け等が生じ、著しく印字品質を損なう恐れがあ
った。

【０００４】また、つばを持たない円筒形状のリボンガ
イドローラを数個配置した構造のリボンカセットでは、
巻取りスプール近傍のリボンガイドローラで、インクリ
ボンの上下方向の挙動が全く規制されず、巻取りスプー
ル上でインクリボンが上下に巻乱れ、リボンカセットの
内面に接触し、インクリボンの走行負荷が増大する。そ
の結果、紙に転写したインクを剥離出来なくなり、印字
が続行できない、またインクリボンの供給不足を引き起
こし、インクリボンのインク面と印刷紙面間に相対速度
が生じ、紙面が汚れる、印字が滲む、あるいは印字が出
来なくなる等の不具合が生じる恐れがあった。

【０００５】本発明はこのような欠点を解決するために
なされたものであり、前述したインクリボンの微小なず
り上り、ずり下がり、斜行によりインクリボンの端面が
リボンガイドローラのつば部に押しつけられることから
発生するインクリボンの張力の不均一、インク面の損
傷、巻取りスプール上でのインクリボンの上下への巻乱
れ、それらに起因して生じる印字品質の低下、不具合を
防止することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のリボンカセット
は複数の発熱要素を列状に配したサーマルヘッドを桁方
向に移動しながら印刷するシリアル型熱転写プリンタに
用いられ、インクリボンが巻かれた供給スプールと、前
記インクリボンを巻き取る巻取りスプールと、前記イン
クリボンを案内する複数のガイドローラを備えたリボン
カセットにおいて、前記供給もしくは巻取りスプール近
傍に配置された第１のガイドローラと、前記サーマルヘ
ッド近傍に配置された第２のガイドローラとを備え、各
ガイドローラは、両端部に前記インクリボンの上下動を
規制するためのつばを備え、前記第１のガイドローラに
比べ、前記第２のガイドローラの両端部のつばとつばの
間の長さが大きくなるように形成されていることを特徴
とする。即ち、供給もしくは巻取りスプール近傍のガイ
ドローラに比べ、サーマルヘッド近傍のガイドローラ
は、インクリボンの接触できる幅（両端に設けられたつ
ばとつばの間の長さ）が広くなるように構成されている
ため、サーマルヘッド近傍のガイドローラでインクリボ
ンを傷めることがない。プリンタに反転して装着可能な
リボンカセットであって、装着された方向に応じて、イ
ンクリボンの上側半分もしくは下側半分を使用して印刷
が行われるタイプのリボンカセットにおいては、サーマ
ルヘッド近傍のガイドローラで未使用部分のインクリボ
ンを傷めることがなく、特に効果的である。

【０００７】

【実施例】図１は本発明によるシリアル型熱転写プリン
タのキャリッジ部に装着されたリボンカセットの一実施
例の略図である。

【０００８】１はサーマルヘッド、２はサーマルヘッド
の背面に固着された放熱板、３はサーマルヘッドの発熱
要素が列状に配列された発熱部、１０はリボンカセッ
ト、１１はキャリッジ、１３はプラテン、１４は印刷紙
をそれぞれ示している。

【０００９】リボンカセット１０は、フィルム状の樹脂
の表面に熱溶融性のインクを塗布したインクリボン９、
未印字のインクリボンが巻かれている供給スプール５、
印字済みのインクリボンを巻取る巻取りスプール４、リ
ボンガイドローラ６ａ，６ｂから構成されている。サー
マルヘッドに近接する１対のリボンガイドローラ６ａ
は、巻取及び供給スプールに最も近いリボンガイドロー
ラ６ｂに比べ、端部のつばを含まない円筒部の高さ、す
なわちインクリボン９の接触できる幅が、広く形成され
ている。

【００１０】キャリッジ１１はサーマルヘッド１を中心
に巻取りリール軸７、供給リール軸８から構成され、ガ
イド軸１２に支持されている。サーマルヘッド１は、印
刷時には前面に倒れ、プラテン１３との間に適当な押圧
力を発生し、紙送り時等、印刷時以外には、後方に倒
れ、保持される。リボンカセット１０は、キャリッジ１
１に対し容易に脱着可能である。

【００１１】キャリッジ１１が、ガイド軸１２に沿って
矢印Ａ方向に移動することによってインクリボン９は供
給リボンスプール４ａから矢印Ｃ方向に引き出され、供
給側のリボンガイドローラ６ａ、６ｂはインクリボン９
との接触面の摩擦力により矢印Ｆ方向に回転し、常に新
しいインクリボン９を滑らかにサーマルヘッド１に供給
する。サーマルヘッド１上の発熱体部２で溶融され、印
刷紙１４に転写された印刷後のインクリボン９は巻取り
リール軸７が発生する適切なトルクで、巻取りスプール
４に巻取られる。この時、供給側のリボンガイドローラ
６ａ、６ｂ同様に巻取側のリボンガイドローラ６ａ，６
ｂが矢印Ｆ方向に回転し、円滑にインクリボン９の巻取
りが行われる。

【００１２】図２は本発明によるシリアル型熱転写プリ
ンタのキャリッジ部に装着されたリボンカセットの一実
施例で、図１のＢ方向から視た平面図である。

【００１３】ｌはインクリボンの幅、ｍは巻取及び供給
スプール近傍のリボンガイドローラの端部のつばを含ま
ない円筒部の高さ、ｎはサーマルヘッド近傍のリボンガ
イドローラの端部のつばを含まない円筒部の高さを示
し、ｍ≫ｎ＞ｌの関係が成立するようにリボンカセット
１０は構成されている。

【００１４】図３、図４は本発明によるシリアル型熱転
写プリンタのキャリッジ部に装着されたリボンカセット
の一実施例で、図１のＧ方向から視たサーマルヘッド近
傍の略図である。

【００１５】図３の様に、サーマルヘッド１がリボンカ
セットに対し前方に傾斜した状態で印字を行うとインク
リボン９は矢印Ｈ方向にずり上がる傾向を示す。図４の
様に、サーマルヘッド１がリボンカセットに対し後方に
傾斜した状態で印字を行うとインクリボン９は矢印Ｉ方
向にずり下がる傾向を示す。この要因以外に、巻取りト
ルクの変化、環境温度の変化に伴う印刷紙１４、インク
リボン９、サーマルヘッド１間の摩擦力の変化等の影響
で、サーマルヘッド１近傍のインクリボン９には様々な
力が加わり、インクリボン９の走行挙動は不安定になり
易い。

【００１６】図５、図６は従来のリボンカセットのイン
クリボンの走行状態を示す略図である。

【００１７】図５に示す従来のリボンカセット１１０で
は、インクリボンの幅とリボンガイドローラの端部のつ
ばを含まない円筒部の高さの関係はｍ＝ｎ＞ｌであり、
サーマルヘッド１近傍で、インクリボン９の微小なずり
上り、ずり下がりが発生した場合、インクリボン９の端
面がリボンガイドローラ１０６のつば部に押しつけられ
ることにより、インクリボン９に張力の不均一が生じ、
紙に転写したインクを剥離するタイミングが部分的に遅
れ、印字品質を損なう欠点を潜在的に有していた。ま
た、表側、裏側で印字可能なリボンカセットにおいて、
表側を印字した際に、インクリボンの斜行により、裏側
で使用するインク面をリボンガイドローラで傷めてしま
い、裏側で印字した際、著しく印字品質を損なう恐れが
あった。

【００１８】また、インクリボンの幅とリボンガイドロ
ーラの端部のつばを含まない円筒部の高さの関係がｍ＝
ｎ≫ｌである図５に示したリボンカセット２１０では、
サーマルヘッド１近傍で発生するインクリボン９の微小
なずり上り、ずり下がりによる前述の印字品質の低下は
生じにくいが、巻取りスプール４近傍のリボンガイドロ
ーラ２０６で、インクリボン９の上下方向の挙動が全く
規制されず、巻取りスプール４上でインクリボン９が上
下に巻乱れ、リボンカセット２１０の内面に接触し、イ
ンクリボン９の走行負荷が増大する。その結果、紙に転
写したインクを剥離出来なくなり、印字ができない、ま
たインクリボンの供給不足を引き起こし、印字が出来な
くなる等の不具合が生じる恐れがあった。

【００１９】本発明のリボンカセット１０では、インク
リボンの幅とリボンガイドローラの端部のつばを含まな
い円筒部の高さの関係がｍ≫ｎ＞ｌであるため、サーマ
ルヘッド近傍で様々な力が加わり走行挙動が不安定にな
り易いインクリボン近傍のリボンガイドローラでは、イ
ンクリボンを傷め難く、巻取りスプールに最も近いリボ
ンガイドローラでは、インクリボンが巻取りスプール上
の上下方向の巻乱れをインクリボンの端面を傷めない程
度の微少な力で規制し、走行負荷の増大を防止する機能
を有する。

【００２０】本実施例では、４個のリボンガイドローラ
を有するリボンカセットについて説明したが、５個以上
のリボンガイドローラを有するリボンカセットについ
て、サーマルヘッド近傍では、インクリボンの接触でき
る幅が広いリボンガイドローラを配置し、巻取及び供給
スプールに近づくにつれ、徐々にインクリボンの接触で
きる幅を狭くしたリボンガイドローラを配置して、イン
クリボンが巻取りスプール上の上下方向の巻乱れを規制
してもよい。また、本実施例では、インクリボンの接触
できる幅の違う複数のリボンガイドローラを有するリボ
ンカセットについて述べたが、サーマルヘッド近傍、巻
取及び供給スプール近傍で、外径の異なるリボンガイド
ローラを配置、もしくは太鼓形状のリボンガイドローラ
を配置してインクリボンの走行を安定させてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上、述べたように本発明によれば、リ
ボンガイドローラの端部のつばを含まない円筒部の高
さ、すなわち前記インクリボンの接触できる幅が、リボ
ンカセット内の最もサーマルヘッドに近い位置に配置さ
れた一対のリボンガイドローラでは広く、インクリボン
の巻取及び供給スプールに最も近いリボンガイドローラ
では狭く構成されているため、インクリボンを傷め難
く、かつ巻取りスプール上の上下方向の巻乱れを生じ難
く、安定したインクリボンの走行が期待でき、その結果
としてインクリボンの張力不均一から生じる印字むら、
及びインクリボンと印刷紙の貼り付、リボン走行負荷増
大に起因するインクリボン供給不足による印字の滲み、
汚れ、インクリボンから欠落したインクが印刷紙に付着
する等の汚れ、往復印字可能である様に構成された熱転
写プリンタにおける復路印字時の字欠け等が発生せず、
インクリボンの初期から終期まで、これらの印字上不具
合のない安定した印字品質が得られる。特に熱転写プリ
ンタの印字速度の高速化に関して、インクリボンの走行
安定化はサーマルヘッドの熱制御と同様に重大な課題で
あり、本発明は熱転写プリンタの印字速度の高速化を行
う際にインクリボンの走行安定化に優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す略図。

【図２】本発明の一実施例を示す略図。

【図３】本発明の一実施例を示す略図。

【図４】本発明の一実施例を示す略図。

【図５】従来技術の例を示す略図。

【図６】従来技術の例を示す略図。

【符号の説明】

１ サーマルヘッド ２ 放熱板 ３ 発熱部 ４ 巻取りスプール ５ 供給スプール ６ リボンガイドローラ ７ 巻取リール軸 ８ 供給リール軸 ９ インクリボン １０ リボンカセット １１ キャリッジ １２ ガイド軸 １３ プラテン １４ 印刷紙

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サーマルヘッドを桁方向に移動しながら
   印刷するシリアル型熱転写プリンタに用いられ、インク
   リボンが巻かれた供給スプールと、前記インクリボンを
   巻き取る巻取りスプールと、前記インクリボンを案内す
   る複数のガイドローラを備えたリボンカセットにおい
   て、 前記供給もしくは巻取りスプール近傍に配置された第１
   のガイドローラと、前記サーマルヘッド近傍に配置され
   た第２のガイドローラとを備え、 各ガイドローラは、両端部に前記インクリボンの上下動
   を規制するためのつばを備え、 前記第１のガイドローラに比べ、前記第２のガイドロー
   ラの両端部のつばとつばの間の長さが大きくなるように
   形成されていることを特徴とするリボンカセット。
2. 【請求項２】 請求項１記載のリボンカセットにおい
   て、前記リボンカセットは、前記プリンタに反転して装
   着可能なリボンカセットであって、装着された方向に応
   じて、前記インクリボンの上側半分もしくは下側半分を
   使用して印刷が行われることを特徴とするリボンカセッ
   ト。