JP3054614U - 玉掛用ワイヤロープ - Google Patents

玉掛用ワイヤロープ

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JP3054614U JP1998003834U JP383498U JP3054614U JP 3054614 U JP3054614 U JP 3054614U JP 1998003834 U JP1998003834 U JP 1998003834U JP 383498 U JP383498 U JP 383498U JP 3054614 U JP3054614 U JP 3054614U
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年雄 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張切断荷重を高め、高度の安全性を確保し
得る玉掛用ワイヤロープを提供する。 【解決手段】 スプライス部2は丸差し部と半差し部か
らなり、丸差し部の一部、および半差し部のすべての部
分が、外周部から断面中心方向に圧縮加工された金属製
リング4によって密着被覆されている構造とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、重量物の移動等に用いられる玉掛用ワイヤロープ、特にアイスプラ イス付玉掛用ワイヤロープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉掛用ワイヤロープは、クレーン等安全規則第219条(または労働安 全衛生規則第475条)の規定の適用を受ける。すなわち「アイスプライスは、 ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストラ ンドの素線の半数の素線を切り、残された素線をさらに2回以上(すべてのスト ランドを4回以上編み込んだ場合には1回以上)編み込むものとする。」(同規 則219条)の適用を受ける。
【0003】 図9は、両端にアイスプライスのついた、スプライス部ですべてのストランド を4回編み、半数の素線のストランドを1回編んだ従来の玉掛用ワイヤロープを 示す。ここでアイとは、フック等を掛ける輪状の部分であり、また、スプライス とは、アイを形成するためにワイヤを編み込んだ継手の部分を言う。
【0004】 つぎに、ワイヤロープの概略について説明をする。 図10は、典型的なワイヤロープである、24本の素線と1本の小芯からなる ストランドを6ストランド主芯のまわりに撚り合わせたワイヤロープの断面図で ある。(a)はそのワイヤロープの断面図であり、また(b)は各ストランドの 断面図である。(a)に示すワイヤロープの断面において、主芯11は6本のス トランド10に囲まれている。各ストランドは、(b)に示すように、小芯12 のまわりを素線13が環状に配されて成り立っている。この素線は、内層素線1 3aと外層素線13bに分けられ、内層素線13aが9本、外層素線13bが1 5本,環状に配されている。
【0005】 これらはいずれも撚り合わされており、(a)においては主芯11のまわりに ストランドが螺旋状に巻きついており、(b)の各ストランドでは、小芯12の まわりに各素線がやはり螺旋状に巻きついている。ワイヤロープにおける各スト ランドの螺旋の撚り方向、すなわち巻きつき方向と、(b)における小芯のまわ りの各素線の螺旋の巻きつき方向が同方向の場合をラング撚りという。また、ワ イヤロープの各ストランドの螺旋の巻きつき方向と、小芯のまわりの各素線の巻 きつき方向が逆方向の場合を普通撚りという。本考案のワイヤロープにおいては 、ラング撚りと普通撚りを特に区別せず、両方の撚り方を含むものとする。
【0006】 また、以後の説明において、上記クレーン等安全規則第219条の規定に現わ れる、「すべてのストランドを編み込むこと」を丸差し編み、また「ストランド の小芯と素線の半数の素線を切取り、残された素線を編み込むこと」を半差し編 みと呼ぶ。通常、ストランドの素線の半数が切取られる部分は、内層素線と小芯 である場合が多く、この場合、残された素線は外層素線となる。
【0007】 上記の「丸差し編み」には、「丸巻差し編み」と「丸かご差し編み」の2種類 が、また、「半差し編み」には、「半巻差し編み」と「半かご差し編み」の2種 類がある。後述するように、本発明においても、「丸差し編み」および「半差し 編み」というときには、「丸巻差し編みと丸かご差し編み」、および「半巻差し 編みと半かご差し編み」の両方を含むものとする。
【0008】 丸巻差し編みは、次のように構成されている。すなわち、差し込んでゆくほう のワイヤロープのストランドは、各ストランドごとに本体のワイヤロープの各ス トランドに沿って撚り合いながら、本体のワイヤロープの主芯とそれに沿って並 んでいる差し込んでゆくほうのワイヤロープの主芯の2本の主芯に巻きついてい る。
【0009】 これに対して、丸かご差し編みは、差し込んでゆくほうのワイヤロープのスト ランドが、各ストランドごとに本体のワイヤロープの各ストランドと順次交差し ながら、本体のワイヤロープの2本のストランドの内側と1本のストランドの外 側を、周期的に縫いながら編み目を形成して、上記の主芯に、本体のワイヤロー プのストランドと同じピッチで螺旋状に巻きついている。
【0010】 また、半巻差し編みは、差し込んでゆくほうのワイヤロープの各ストランドは 、小芯と内層素線とが除去され、外層素線束のみとされており、その外層素線束 が、本体のワイヤロープの各ストランドに沿って撚り合いながら、上記主芯に巻 きついている。
【0011】 これに対して、半かご差し編みは、小芯と内層素線が除去された差し込んでゆ くほうのワイヤロープが、その外層素線の束ごとに本体のワイヤロープの各スト ランドと順次交差し、その本体のワイヤロープの2本のストランドの内側と1本 のストランドの外側を、周期的に縫いながら編み目を形成して上記主芯に、本体 のワイヤロープのストランドと同じピッチで螺旋状に巻きついている。
【0012】 上記のクレーン等安全規則219条のように、玉掛用ワイヤロープで、半差し 編みを必ず必要とするのは、図9に示すように、スプライスの部分から本体の部 分にかけてロープ径を滑らかに移行させることにより、応力集中の度合いを低下 させ、引張切断荷重や疲労強度を高くするためである。
【0013】 アイスプライスのついたワイヤロープとしては、上記の玉掛用だけでなく、上 記クレーン等安全規則に服さない一般の、台付用ワイヤロープもある。この台付 用ワイヤロープは自動車の牽引等に用いられるもので、手間のかかる半差し編み は必要とされない。このため、市販の台付用ワイヤロープは、この台付用ワイヤ ロープの2倍程度の工数を要する半差し編みを含むことはなく、すべてが丸差し 編みでスプライスが形成されている。
【0014】
【考案が解決しようとする課題】
上記の半差し編みを含むアイスプライスを含む玉掛用ワイヤロープの引張切断 荷重は、ワイヤロープの公称引張切断荷重の70〜95%(平均90%程度)で ある。したがって、たとえば、4トン以上の引張切断荷重を持つべきワイヤロー プのアイスプライス付ワイヤロープを引張試験すると、平均3.6トン程度の引 張切断荷重が得られ、かつアイスプライスと本体側との境界付近で素線の切断が 始まる。台付用ワイヤロープの場合には、上記の平均値は85%程度であり、し たがって、アイスプライス付ワイヤロープの引張切断荷重は平均3.4トン程度 であった。ただし、台付用ワイヤロープで引張切断荷重が問題とされることはほ とんどない。
【0015】 ここで、スプライス付ワイヤロープの引張切断荷重とは、スプライスの両側に 漸増する荷重を負荷していき、1本でも素線が切断したときの荷重をいう。素線 が一度に数本切断する場合もあり、この方が荷重が平均化されて、素線に分散し てかかっているので好ましい。また、切断箇所はスプライスと本体との境界で切 れる場合が多いが、できるだけ本体に入った位置で切れるほうが、荷重が各素線 に分散され、2本以上の素線が一度に切れることが多いので好ましい。
【0016】 上記の問題の他に、玉掛用ワイヤロープの場合、半差し編みの終端部で素線の 先端がワイヤロープ表面から出ているために、人体を傷付ける問題、狭隘な場所 で上記ワイヤロープを引き抜くとき、上記の終端部のためにスムースに引き抜き にくい問題等があった。
【0017】 本考案は、一層高度の安全性を確保するために、引張切断荷重を向上させた玉 掛用ワイヤロープ、特にアイスプライス付玉掛用ワイヤロープの提供を目的とす る。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本考案の玉掛用ワイヤロープは、次のような基本的な構造をとる。すなわち、 スプライス部を持つワイヤロープであって、スプライス部は、丸差し部と半差し 部とからなり、丸差し部の一部、および半差し部のすべての部分が、外周部から 断面中心方向へ圧縮加工された金属製リングによって密着被覆されている構造を とる。
【0019】 このような構造とすることにより、スプライス部の素線が金属製リングによっ て圧縮され素線同士が互いに押し付け合うので、荷重が1から2本の素線に集中 しかかっても、この押し付け合いの摩擦力を介して隣の素線に伝達されるので、 荷重の素線にわたる分散が自動的になされる。この結果、スプライス部と本体の 境界付近の応力集中度の高い個所でも、荷重の分散がなされるので、高い引張切 断荷重が得られる。
【0020】 上記の金属製リングの副次的な効果として、スプライス部の端の部分で、素線 の切断端がヒゲのように出ることが金属製リングによって防止されるので怪我の 防止も有効になされる。さらに、ワイヤロープを狭隘な場所等を通して引抜かな ければならないような場合、上記のように金属製リングが施されている場合には 滑らかにその狭隘な場所をスムースに引抜くことができる。
【0021】 上記の金属製リングは、つぎのものであるとき、引張切断荷重を向上させる効 果が大きい。すなわち、上記の金属製リングは、スプライス部の素線に圧縮力を 付与したうえで、さらにその内面は、スプライス部の外周部の凹部内に食い込ん だ凸部を有するものとする。
【0022】 このような金属製リングとすることにより、玉掛用ワイヤロープに引張荷重が 付加された場合にも、スプライス部の素線を、断面の径方向に広がらせずに断面 中心方向に圧縮力を加え、素線間に十分高い摩擦力を生じさせ、一部の素線に荷 重が集中することを防止する。さらに、上記の金属製リングは、玉掛用ワイヤロ ープに引張荷重が付加された場合にも、互いに食い込み合っている素線との間に 十分な摩擦力を生じ、その引張荷重の一部を負担し、かつ伝達し、一部の素線に 荷重が集中することを防止することができる。このような金属製リングの働きに より、引張荷重の素線全体にわたる分散化がより一層確実なものとなり、その結 果、引張切断荷重の向上が得られる。
【0023】 狭隘個所でスムースに引き抜くことができる点を重視する場合には、上記の金 属製リングは次の形状をとる。すなわち、上記の金属製リングは、丸差し部から 半差し部に移行する部分に対応する位置付近から本体ロープ側にかけて、その外 径が小さくなるテーパ形状を有しているものとする。
【0024】 上記形状の金属製リングにより、上記各種のワイヤロープの狭隘個所での引き 抜きがいっそう容易となり、機能的な美観も備えることができる。
【0025】 上記の各種の玉掛用ワイヤロープのスプライスは、アイスプライスとして使用 する場合がきわめて多い。すなわち、上記のスプライス部がアイを形成している アイスプライス部であり、上記の金属製リングが丸差し部と半差し部の外周部の 凹凸を埋め、外周部の素線と互いに食い込み合っていることは勿論のこと、丸差 し部と半差し部の境界部、および半差し部と本体ロープの境界部のいずれの境界 部においても、前記境界部の外周部の凹凸に沿って凹凸を埋め、前記境界部の外 周部の素線とも互いに食い込み合っている玉掛用ワイヤロープである。
【0026】 上記のアイスプライス付玉掛用ワイヤロープを用いることにより、クレーン吊 り荷作業等において、フック等を用いて荷物を吊り上げ、移動させることが、高 度の安全性を確保したうえで、簡便にできできるようになる。副次的な効果であ る素線先端による怪我も解消でき、狭隘個所での引き抜きも容易となり、しかも 外観上も機能的な美観を備えることができる。
【0027】 上記の玉掛用ワイヤロープは、基本的に次の構成をとる。すなわち、上記の丸 差し部は、凹凸のある第1の外面形状を有し、上記の半差し部は、第1の外面形 状とは異なる凹凸のある第2の外面形状を有し、上記の金属製リングは、第1の 外面形状および第2の外面形状に嵌合する内面形状を有することとする。
【0028】 上記の構成をとるために、上述したような細部における重要な構造を付与する ことが出来、その結果、引張切断荷重の大幅な向上を得ることができる。
【0029】
【考案の実施の形態】
図1は、両端に本考案のアイスプライスを備えた玉掛用ワイヤロープを示す。 図1に示すような両端にアイスプライスを備えた本考案の玉掛用ワイヤロープの 製作は、次の方法による。
【0030】 まず、ワイヤロープ1を仕上がり長さに余尺をプラスして切断する。余尺はス プライス部分2とアイの部分3を考慮した長さである。次に、端の部分にアイ3 を形成するためにフレミッシュ加工する。フレミッシュ加工については、後記す る図3において詳しく説明する。
【0031】 その後、スプライス部分を形成するのであるが、図1の場合には、丸巻差し編 み4回、および半巻差し編み1回を行なった場合を示す。半巻差し編みをする場 合には、丸巻差し編みを行なった後、丸巻差し編みより先端側のワイヤロープの ストランドの素線の内層素線13aと小芯12を切り落とし、外層素線13bの 束を巻き差し編みする。丸巻差し編み4回と半巻差し編み1回をしたスプライス は、金属製リング4で覆わなくても、すでにクレーン等安全規則第219条の規 定に適合するものである。
【0032】 ここで、従来のスプライスが形成されたわけであるが、この後ハンマーでスプ ライス部分を成形し出ているヒゲを切り落とす。
【0033】 さらに、金属製リング4の素材としての丸パイプを差込みやすくするために、 再度ハンマーで叩いて成形する。この後、アルミ合金、鉄、銅などの丸パイプを 差込み、この丸パイプが動かない程度にハンマーで外から叩いて押さえる。この 後、油圧式のプレスで圧縮加工する。圧縮加工は、スプライス部に上記により仮 留めされた丸パイプの部分を金型に嵌め込み、規定の荷重でプレスする。この荷 重は、ロープ径によって変える。たとえば、ロープ径6mmの場合には加圧荷重 を40トンとし、ロープ径9mmの場合には加圧荷重は50トン、またロープ径 12mmの場合には55トン、16mmの場合には110トンとする。この加工 により、当初は素線よりも柔らかかった金属は加工硬化して、十分な強度を確保 することができる。
【0034】 丸パイプの肉厚は厚いほうが好ましく、ロープ径が太くなるほど肉厚を厚くす る。ロープ径が9mmの場合は、使用する素材の丸パイプの肉厚は1〜4mm程 度とし、プレス加工された後の金属製リングとしての肉厚は平均0.5〜3.5 mm程度とするのがよい。プレス加工により、素材の丸パイプの長さよりも長さ は延びる。
【0035】 上記のように、肉厚を厚くすることにより、スプライス部の素線に断面中心方 向の圧縮力を付与することができ、荷重の各素線にわたる分散化に効果的に作用 する。引張荷重が加えられたとき、スプライス部とワイヤロープ本体との境界部 では、応力集中が生じやすく、素線の単線切断が生じやすいが、上記のように肉 厚の厚い金属製リングを用いると、圧縮力および素線と金属製リング内面との互 いの食い込みの影響が上記の境界部にまで及ぶので、荷重の分散化が行なわれ、 切断荷重の向上をもたらす。
【0036】 上記したように、図1のスプライス部分は丸巻差し編み4回、半巻差し編み1 回の場合であるが、丸巻き差し3回、半巻差し2回であってもクレーン等安全規 則第219条の規定に適合することは明らかである。
【0037】 また、上記のスプライス部の編み方は、丸巻差し編みおよび半巻差し編みであ ったが、これを丸かご差し編みおよび半かご差し編みとすることにより、引張切 断荷重をさらに高めることができるので好ましい。このような丸かご差し編みお よび半かご差し編みによるスプライス部の形成も、本考案の限定範囲に含まれる ことはいうまでもない。
【0038】 また、上記のような玉掛用ワイヤロープの構造とすることにより、上記の引張 切断荷重の向上の他に、副次的な効果としてヒゲの部分が金属管で覆われている ために、怪我防止も有効になされ、かつ狭隘箇所の引抜も容易に可能となる。狭 隘個所の引き抜きは、金属製リングが丸差し編みと半差し編みとの境界付近から 本体側にかけて、外径を小さくし、テーパを設けることにより、よりいっそう容 易となる。また、機能的な美観を備えることもできる。
【0039】 図2は、本考案の玉掛用ワイヤロープのアイスプライスの部分を示す。スプラ イス部分は4回の丸巻差し編み、および1回の半巻き差し編みをされている。丸 巻差し編みと半巻差し編みの境界部付近の丸巻差し編みの部分から本体側にかけ て、アルミ管が、素線と互いに食い込み合うようにプレスにより圧縮加工されて 被覆されている。ここで、アイの部分のワイヤロープの断面E−E断面および本 体の断面であるD−D断面は、上述した図10の(a)の断面と同じである。
【0040】 図3は、フレミッシュアイを加工する場合の途中のストランドの配置を示す。 フレミッシュアイの製造はつぎのようにして行なう。
【0041】 すなわち、ワイヤロープの先端部を主芯と半数のストランドとが撚り合わされ た束と、残余のストランドが撚り合わされた束とに分岐させ、分岐した主芯と半 数のストランドが撚り合わされた束に先端を余して形成させた輪に対して、輪の 分岐部と反対側の部分から分岐部の方向に輪に沿って、上気の残余のストランド が撚り合わされた束をその根元の部分から先の方向へと輪を一周して撚り合わせ 、1本のロープの輪としてのフレミッシュアイを形成する。
【0042】 余された先の部分は、本体ロープに丸差し編みおよび半差し編みされ、アイス プライスが完成する。
【0043】 このようなフレミッシュアイを形成することにより、ワイヤロープ端の玉掛中 回転等が生じてもスプライス部分の抜けがなくなり、非常に高度の安全性が確保 できる。
【0044】 図4は、図2におけるスプライス部分のA−A断面を示す。主芯が2本中心に あり、そのまわりを本体のストランドおよびアイを形成して折り返してきたスト ランドが、ストランド毎に互いに撚り合いながら巻きついている。A−A断面で は、アルミ合金製リングの被覆は行なわれていない。
【0045】 図5は、図2におけるB−B断面を示す。ここで注目すべきことは、圧縮加工 されたアルミ管が丸巻差し編みをされているストランドの素線の外側に極めて良 好に圧縮加工され、アルミ合金製リングの内面に素線が食い込んでいることであ る。このような素線への圧縮力付与と、素線と金属製リング内面との互いの食い 込みのために、素線間に互いに良好な接触が保たれ、素線の数本に引張荷重が集 中してかかることがない。たとえ、数本の素線に荷重が集中するような場合が生 じても、素線間に摩擦力を介して応力が伝達され、また、アルミ合金製リングを 介して他の素線の部分に荷重が伝達されるので、全体として低い荷重下で応力集 中が生じた素線に切断が起きることがなくなる。
【0046】 図6は、図2におけるC−C断面、すなわちスプライスの半巻差し編み部分の 断面図である。この図においても、金属製リングとしての塑性加工されたアルミ は極めて良好に素線と互いに食い込み合って密着して素線を被覆していることが わかる。このため、上記したように1、2本の素線に応力集中が生じることなく 、荷重が平均化されるので高い引張切断荷重を得ることができるのである。また 、図2における金属被覆管の外側形状は、丸巻差し編みと半巻差し編みの境界部 から本体側の終端部にかけてテーパがついているので、滑らかに狭隘箇所を引抜 くことができ、かつ素線の切断端のヒゲによる怪我を防止することができる。
【0047】
【実施例】
つぎに実施例1および実施例2により、本考案の効果を説明する。
【0048】 実施例1 図7は、両端にアイスプライスを備える直径6mm、9mm、12mm、およ び16mmのワイヤロープについての引張試験結果である。上半分が従来のアイ スプライス(編み込み加工まま)の引張試験結果であり、一方、下半分がアルミ 管を上述の方法によりプレス加工して被覆した本考案に係るアイスプライス付ワ イヤロープの試験結果である。
【0049】 両者を比較すると、直径6mm、9mm、12mm、および16mmの玉掛用 ワイヤロープとも、本考案に係るワイヤロープの引張切断荷重が高くなっている ことがわかる。また、本考案のワイヤロープのストランドの切断箇所は、従来品 に比べて本体に近い部分であり、スプライス部分で応力集中が起きにくいことが わかる。また、素線の切断本数も、本考案に係るワイヤロープでは、直径6mm 、9mm、12mmおよび16mmまで、おのおの5本、2本、2本、および4 本と、切断素線が多い。この切断本数は、従来品のおのおの2本、1本、1本、 および1本に比べて格段に多い。この現象は、肉厚の厚いアルミ管がプレス加工 されて、外周部の素線と互いに食い込み合って断面中心方向に圧縮力を付与して いるために、素線間に摩擦力が生じ、アルミ合金製リングも荷重を負担し伝達し 、素線全体に荷重が分散されるので、高い荷重で一度に多くの素線が切断するこ との証左である。
【0050】 したがって、引張切断荷重においても、また切断形態においても、明らかに本 考案に係るプレス加工された厚肉のアルミ管を被覆したことによる効果が認めら れる。この被覆は、上記のように引張切断荷重等の向上をもたらすが、同時に、 副次的な効果として、怪我防止および狭隘箇所の引抜きの容易化という効果も得 られる。
【0051】 実施例2 図8は、もう1つの実施例である実施例2を示す。この実施例2では、本考案 に係るアイスプライス付ワイヤロープの試験のみを行なった。ただし、直径9m mのワイヤロープの場合には、ワイヤロープ本体の公称引張切断荷重が4トン、 また12mmの場合には、7トンである。アイスプライス付ワイヤロープでは、 ワイヤロープ本体の平均90%の引張切断荷重となるので、直径9mmおよび1 2mmのアイスプライス付ワイヤロープの引張切断荷重は、それぞれ3.6トン および6.3トンが基準となり、それ以上の引張切断荷重は高い値と評価するこ とができる。
【0052】 図8の試験結果によれば、本考案に係る直径9mmの玉掛用ワイヤロープの場 合には、いずれも4トンをはるかに超えており、本考案の玉掛用ワイヤロープに よる引張切断荷重の向上の効果が明瞭に現われている。また、直径12mmのワ イヤロープの場合においても、引張切断荷重の向上の効果は明瞭であり、いずれ も7トンを大きく超えた値となっている。また、直径12mmの場合には、切断 箇所はBであり、本体に近い側で切断しており応力集中が起きにくくなっている ことがわかる。
【0053】 上記の実施例1および実施例2により、本考案の玉掛用ワイヤロープの引張切 断荷重が向上することが実証された。
【0054】
【考案の効果】
本考案に係る玉掛用ワイヤロープにより、クレーン等安全規則219条の規定 の適用を満たしながら引張切断荷重を飛躍的に向上させることができるので、高 度の安全性を確保することができ、かつ取扱性が向上するために、玉掛作業等の 能率を大きくに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両端にアイスプライスを備え、スプライスの部
分に金属製リングを密着被覆された本考案の玉掛用ワイ
ヤロープを示す図である。
【図2】金属製リングを被覆した本考案のアイスプライ
スの部分を示す図である。
【図3】フレミッシュアイを製造する途中のストランド
を示す図である。
【図4】図2における、A−A断面図である。
【図5】図2における、B−B断面図である。
【図6】図2における、C−C断面図である。
【図7】実施例1の試験結果を示す図である。
【図8】実施例2の試験結果を示す図である。
【図9】両端にアイスプライスを備えた従来の玉掛用ワ
イヤロープを示す図である。
【図10】ワイヤロープの断面図である。(a)は、全
体のワイヤロープの断面図、また、(b)は、ストラン
ドの断面図である。
【符号の説明】
1 ワイヤロープ 2 スプライス 3 アイ 4 金属製リング 10 ストランド 11 主芯 12 小芯 13 素線 13a 内層素線 13b 外層素線 A スプライスとワイヤロープ本体の境界 B Aよりワイヤロープ本体に入った部分 C スプライスの影響を受けない本体部分

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スプライス部を持つワイヤロープであっ
    て、 前記スプライス部は、丸差し部と半差し部とからなり、 前記丸差し部の一部、および前記半差し部のすべての部
    分が、外周部から断面中心方向へ圧縮加工された金属製
    リングによって密着被覆されている玉掛用ワイヤロー
    プ。
  2. 【請求項2】 前記金属製リングの内面は、前記スプラ
    イス部の外周部の凹部内に食い込んだ凸部を有する請求
    項1に記載の玉掛用ワイヤロープ。
  3. 【請求項3】 前記金属製リングは、丸差し部から半差
    し部に移行する部分に対応する位置付近から本体ロープ
    側にかけて、その外径が小さくなるテーパ形状を有して
    いる請求項1または2に記載の玉掛用ワイヤロープ。
  4. 【請求項4】 前記スプライス部がアイを形成している
    アイスプライス部であり、 前記金属製リングが、丸差し部と半差し部の境界部、お
    よび半差し部と本体ロープの境界部のいずれの境界部に
    おいても、前記境界部の外周部の凹凸に沿って凹凸を埋
    め、前記境界部の外周部の素線をリング内面に食い込ま
    せている請求項1〜3のいずれかに記載の玉掛用ワイヤ
    ロープ。
  5. 【請求項5】 前記丸差し部は、凹凸のある第1の外面
    形状を有し、 前記半差し部は、前記第1の外面形状とは異なる凹凸の
    ある第2の外面形状を有し、 前記金属製リングは、前記第1の外面形状および第2の
    外面形状に嵌合する内面形状を有する請求項1〜4のい
    ずれかに記載の玉掛用ワイヤロープ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012193576A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Noriaki Nakamura 柱部材の吊り上げ治具及び吊り上げ方法

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