JP2013170322A - ワイヤロープ - Google Patents

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Yoshiaki Matsushita
義明 松下
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Abstract

【課題】芯綱ストランドのヤーンを、合成繊維モノフィラメントと合成繊維マルチフィラメントを混撚することにより、潤滑油の含浸性と保油性、含油量の調節、圧縮による径の保持力、耐疲労強度性に優れ、長期にわたって使用可能なワイヤロープを提供する。
【解決手段】中心部に潤滑油が含浸された合成繊維の芯綱2が配置され、その外周に複数本の側ストランド3を撚り合わせたワイヤロープ1である。前記合成繊維の芯綱2は、複数本のストランド5を撚り合わせてある。各芯綱ストランド5を構成するヤーン4は、合成繊維モノフィラメント4aと合成繊維マルチフィラメント4bとの混撚りで構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成繊維の芯綱を備えたワイヤロープに関するものであり、エレベーター、クレーン、ロープウェイ、ゴンドラリフトなどとして好適なワイヤロープに関するものである。
従来から、エレベーター、クレーン、ロープウェイなどに使用されているワイヤロープには、通常、内部中心部に潤滑油を含浸させた芯綱が配置されており、ロープに大きな張力がかかったり、撓んだりすると、芯綱が周囲の鋼線ストランドに押圧され潤滑油が滲出し、滲み出た潤滑油は素線である鋼線に付着して発錆や腐食、摩耗の増大を防ぐと共に、シーブなどにスムーズに巻きつけられる柔軟性と長期にわたって使用できる耐疲労強度性の大きいことが求められている。
その芯綱は、一般的にはサイザル麻、ジュート麻などの天然繊維を撚り合わせたもの、あるいはポリプロピレンなどの合成繊維を撚り合わせたものが用いられている。
天然繊維の芯綱は、含油性と保油性に優れ充分な油量を吸収できて長く潤滑油を浸出できる利点があると共に、芯綱の外周面に配されたストランドによって受ける圧力に対して、充分な保形性を有する反面、天然繊維は元来太くて粗剛な短繊維であるから、集束撚成して芯綱を作る時に径の寸法にばらつきが生じることがある。芯綱の径にばらつきがあると、芯綱の外周面のストランドとの接触圧が一定にならず、高い面圧の受ける箇所と低い面圧の受ける箇所が発生し、高い面圧の受ける部分が早く摩滅することになり、径が細くなってやがて断線に至るという欠点があった。
一方、合成繊維の芯綱は、天然繊維と比べると、軽くて強度があると共に、芯綱の径の寸法にばらつきがなくなり、ロープ全体の形態が安定しているが、繊維形状によっては潤滑油の含浸性が悪くて吸収量が少ないことから、比較的短期間のうちに消失することがあるため、長期間にわたって使用するワイヤロープには適していなかった。
そこで、上記の天然繊維のみからなる芯綱および合成繊維のみからなる芯綱の欠点を解消するものとして、含油性に優れた天然繊維を内芯とし、軽くて丈夫で保形性のよい合成繊維を外芯にして天然繊維と合成繊維の長所を生かした、ワイヤロープが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭60−82495号公報
しかしながら、上記の特許文献1は、天然繊維と合成繊維との異質の材料を使用していることから、内芯と外芯の馴染み性がよくなく、天然繊維の内芯を合成繊維の外芯で撚り合わせたものでは、ロープ径を安定して均一にすることが難しいといった問題点があった。
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、芯綱ストランドのヤーンを、合成繊維モノフィラメントと合成繊維マルチフィラメントまたは合成繊維モノフィラメントと合成繊維紡績糸あるいは合成繊維モノフィラメントとスプリットヤーンを混撚することにより、潤滑油の含浸性と保油性、含油量の調節、圧縮による径の保持力、耐疲労強度性に優れ、長期にわたって使用可能なワイヤロープを提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、中心部に潤滑油が含浸された合成繊維の芯綱が配置され、その外周に複数本の側ストランドを撚り合わせたワイヤロープであって、前記合成繊維の芯綱は、複数本のストランドを撚り合わせてなり、各芯綱ストランドを構成するヤーンが合成繊維モノフィラメントと合成繊維マルチフィラメントとの混撚りで構成されていることを特徴とするワイヤロープを開発し、採用した。
また、本発明は上記のように構成したワイヤロープにおいて、前記芯綱ストランドのヤーンは、合成繊維モノフィラメントと合成繊維紡績糸との混撚りで構成されていることを特徴とするワイヤロープ、および合成繊維モノフィラメントと合成繊維スプリットヤーンとの混撚りで構成されていることを特徴とするワイヤロープを開発し、採用した。
本発明によれば、芯綱の各ストランドを構成するヤーンを、合成繊維モノフィラメントと合成繊維マルチフィラメントとの混撚り、または合成繊維モノフィラメントと合成繊維紡績糸との混撚り、あるいは合成繊維モノフィラメントとスプリットヤーンとの混撚りであり、マルチフィラメント、紡績糸は多数の糸を集束して撚ってあるから、潤滑油をフィラメント間に浸透含浸させやすく、保油性にも優れ芯綱全体の潤滑油の量を調節できる。また、合成繊維スプリットヤーンは、多くのスリットが形成されてあるから、そのスリットを介して潤滑油を充分に吸収でき、長期にわたって的確な潤滑油を浸出させることができる。また、モノフィラメントは硬度性があるから、形態保持性に富みワイヤロープの形崩れを起こすことがない。
本発明の実施形態を示すワイヤロープの断面図である。 本発明の芯綱の拡大断面図である。 2本の混撚ヤーンの断面図である。 3本の混撚ヤーンの断面図である。 3本の混撚ヤーンの断面図である。 2本の別な混撚ヤーンの断面図である。 2本のさらに別な混撚ヤーンの断面図である。
以下に、本発明の第1実施の形態を添付の図1〜図4に基づいて説明する。図1は本発明の実施例を示すワイヤロープの断面図、図2はワイヤロープの中心部に組み込まれる前の芯綱の拡大断面図、図3〜6はヤーンの断面図である。ワイヤロープ1は、例えば、8×S(19)、6×S(19)、8×W(19)、6×W(19)などの構造のものであって、中心部に配される芯綱2と、その芯綱2の外周面に8本の鋼線側ストランド3、3………3を撚り合わせて形成したものである。
前記芯綱2は、図2に示すように、ポリプロピレン繊維を多数本束ねて撚ったヤーン4を7本撚り合わせて1本の芯綱ストランド5とし、その芯綱ストランド5を3本撚り合わせた構成になっている。
各芯綱ストランド5を構成するヤーン4は、図3に示すように、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製のマルチフィラメント4bとの2つ打ち混撚り、あるいは図4に示すように、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製のマルチフィラメント4bとの3つ打ち混撚りとされるが、含油量の調節または硬さ(形状安定)調節できるようこれ以外の混撚り比率の時もある。
前記ヤーン4の繊維をポリプロピレン繊維としたが、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン、アラミド、ポリアリレートあるいはビニロンとポリエステルの混紡糸などを用いることができる。また、前記ヤーン4をポリプロピレンとした時の繊維形状としては、マルチフィラメント、モノフィラメント、紡績糸、スプリットヤーン、フラットヤーン、連糸を使用することができる。
図5、図6に示すのは、本発明の第2、第3実施の形態を示すもので、前記第1実施の形態では、各芯綱ストランド5を構成するヤーン4をポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製のマルチフィラメント4bとしたが、この第2実施の形態では、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製の紡績糸4c、第3実施の形態では、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系のスプリットヤーン4dとの2つ打ち混撚りで構成された点が異なっているだけであり、他の構成はすべて第1実施の形態と同じであることからその部分の説明は省略する。
このように構成された本発明の第1実施形態におけるワイヤロープ1の使用状態を作用、効果と共に説明すれば、エレベーターのロープとして使用すると、芯綱2を構成する複数本のストランド5のヤーン4は、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製のマルチフィラメント4bとから構成されており、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aは固くて腰が強いので、荷重が生じた時の弾性変形が少なく、これによって芯綱の変形によるワイヤロープのつぶれ変形や伸び変形を防ぐことができる。また、芯綱2は上述したように、比較的弾性変形が小さいことから、芯綱の剛性が向上し、ストランド素線の局部曲げ応力が小さくなり、素線の切断がなくなる。さらに、ポリプロピレン製のマルチフィラメント4bは多数本を束ねてあるから、高強度であると共に、多数のフィラメント間に潤滑油を充分に浸透含浸でき、芯綱全体の潤滑油の量を調節しやすくなり、長期にわたって的確な潤滑油を浸出させることができる。
また、第2実施形態の芯綱2の場合、複数本のストランド5のヤーン4が、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレン製の紡績糸4cとの混撚であり、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aは前述したように、固くて腰が強いので、荷重が生じた時の弾性変形が少なく、これによって芯綱の変形によるワイヤロープのつぶれ変形や伸び変形を防ぐことができる。一方、ポリプロピレン製の紡績糸4cは、多数本を引き揃えた糸の間に潤滑油を充分に浸透含浸でき、芯綱全体の潤滑油の量を調節しやすくなり、保油性にも富み長期にわたって的確な潤滑油を浸出させることができる。
さらに、第3実施形態の芯綱2の場合、複数本のストランド5のヤーン4が、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aとポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系のスプリットヤーン4dとの混撚で、ポリプロピレン製のモノフィラメント4aは前述したように、固くて腰が強いので、荷重が生じた時の弾性変形が少なく、これによって芯綱の変形によるワイヤロープのつぶれ変形や伸び変形を防ぐことができる。一方、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系のスプリットヤーン4dは多くのスリットが形成されてあるから、そのスリットを介して潤滑油を浸透含浸し長期にわたって的確な潤滑油を浸出させることができる。
以上、本発明の実施の形態については、ワイヤロープを8×S(19)の構造のもので、芯綱をポリプロピレン製のもので説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能であるのは言うまでもない。
本発明は、エレベーター、クレーン、ロープウェイ、ゴンドラリフトなどのワイヤロープとして好適に利用できるものである。
1 ワイヤロープ
2 芯綱
3 側ストランド
4 ヤーン
4a 合成繊維モノフィラメント
4b 合成繊維マルチフィラメント
4c 合成繊維紡績糸
4d 合成繊維スプリットヤーン
5 芯綱ストランド

Claims (3)

  1. 中心部に潤滑油が含浸された合成繊維の芯綱が配置され、その外周に複数本の側ストランドを撚り合わせたワイヤロープであって、前記合成繊維の芯綱は、複数本のストランドを撚り合わせてなり、各芯綱ストランドを構成するヤーンが合成繊維モノフィラメントと合成繊維マルチフィラメントとの混撚りで構成されていることを特徴とするワイヤロープ。
  2. 前記芯綱ストランドを構成するヤーンは、合成繊維モノフィラメントと合成繊維紡績糸との混撚りで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ。
  3. 前記芯綱ストランドを構成するヤーンは、合成繊維モノフィラメントと合成繊維スプリットヤーンとの混撚りで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ。
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