JP2012193576A - 柱部材の吊り上げ治具及び吊り上げ方法 - Google Patents

柱部材の吊り上げ治具及び吊り上げ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、柱部材の吊り上げ方法に係り、長尺の柱部材を安定した姿勢で吊り上げ、かつ、優れた作業効率を実現することを目的とする。
【解決手段】一対の環状部分74が柱部材10の中心線に対して線対称の位置関係となるように、柱部材10の上部にI型治具70を装着する。柱部材の下部に、同様にI型治具70を装着する。ワイヤ50が一端に備える編み込み式環状部54を上部の環状部分74に挿通させる。その編み込み式環状部54を下部のI型治具70に連結する。ワイヤ50が他端に備える連結用環状部52を、吊り具40のワイヤ装着環44に連結する。クレーンフック30により、吊り具40を吊り上げる。
【選択図】図11

Description

この発明は、柱部材の吊り上げ治具及び吊り上げ方法に係り、特に、建造物の躯体工事に際して、躯体用の柱部材を吊り上げる治具又は方法として好適な、柱部材の吊り上げ治具及び吊り上げ方法に関する。
特開2003−74186号公報には、クレーンを用いて柱鉄骨を垂直に立ち上げる方法が開示されている。この方法では、柱鉄骨の先端付近にワイヤが装着され、そのワイヤがクレーンにより吊り上げられる。この方法によれば、柱鉄骨の先端付近が吊り上げられることになるため、柱鉄骨を、安定した垂直状態に立ち上げることが可能である。
特開2003−74186号公報
しかしながら、上述した従来の方法では、ワイヤが柱鉄骨の先端付近に装着されているため、柱鉄骨が垂直に立ち上げられた状態では、その装着箇所が、作業者の手が容易には届かない高い位置となる。建造物の躯体工事等では、通常、何本もの柱鉄骨を立てていくことが必要である。そのため、柱鉄骨を立ち上げた後、ワイヤの装着を解く作業は容易に行い得ることが望ましい。この点、上記従来の方法は、必ずしも作業効率の優れたものではなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、長尺の柱部材を安定した姿勢で吊り上げることができ、かつ、優れた作業効率を実現することのできる柱部材の吊り上げ治具を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、長尺の柱部材を安定した姿勢で吊り上げることができ、かつ、優れた作業効率を実現することのできる柱部材の吊り上げ方法を提供することを第2の目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、柱部材の吊り上げ治具であって、
クレーンフックに連結されるフック連結部と当該フック連結部の両側に設けられた一対のワイヤ装着環とを備える吊り具と、
ワイヤ先端部を折り返してワイヤ本体に結合させることにより形成された連結用環状部を両端に備え、少なくとも一方の連結用環状部が、ワイヤ先端部をワイヤ本体に編み込む方式で形成された編み込み式環状部である構造を、それぞれが有している2本の吊り上げ用ワイヤと、
吊り上げる対象である柱部材の両側に当該柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となるように装着される一対の環状部分を備え、当該環状部分は、前記編み込み式環状部がその内部を通過することができる大きさを有するワイヤ保持治具と、
前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ備える前記編み込み式環状部を、吊り上げる対象である柱部材に、当該柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となる部位においてそれぞれ連結する連結治具と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明に係る吊り上げ治具を用いる柱部材の吊り上げ方法であって、
前記一対の環状部分が前記柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となるように、前記柱部材の上部に前記ワイヤ保持治具を装着する工程と、
前記柱部材の下部に前記連結治具を装着する工程と、
前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ一方の側に備えている前記編み込み式環状部を、前記ワイヤ保持治具が備える前記一対の環状部分のそれぞれに、前記柱部材の上側から挿通させる工程と、
前記一対の環状部分を通過した前記編み込み式環状部のそれぞれを、前記柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となる部位において前記連結治具に連結する工程と、
前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ他方の側に備えている前記連結用環状部を、前記吊り具が備える前記一対のワイヤ装着環のそれぞれに連結させる工程と、
前記吊り具が備える前記フック連結部をクレーンフックに連結する工程と、
上記の全工程の終了後に、前記クレーンフックを上昇させて前記柱部材を吊り上げる工程と、
を含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、柱部材の下部に連結治具を取り付けることにより、2本のワイヤを、柱部材の下部に連結させることができる。ワイヤ保持治具を柱部材の上部に装着し、その環状部分にワイヤを通すことにより、ワイヤの拘束力を、柱部材の上部に伝えることができる。2本のワイヤを吊り具のワイヤ装着環に連結させて、その吊り具をクレーンで引き上げることにより、柱部材を安定した垂直状態に吊り上げることができる。ワイヤは、柱部材の下部で連結治具に連結されているため、柱部材が立てられた後であっても、その連結は容易に解除することができる。ワイヤの編み込み式環状部は、ワイヤ保持治具の環状部分の内部を通過することができるため、編み込み式環状部を連結治具に連結させておけば、連結解除の後に治具クレーンを引き上げるだけで、ワイヤを、ワイヤ保持治具から引き抜き、柱部材とワイヤとの関わりを完全に解除することができる。
第2の発明によれば、第1の発明に係る吊り上げ治具を用いて、長尺の柱部材を安定した姿勢で吊り上げることができ、かつ、優れた作業効率を実現することができる。
本発明の実施の形態で吊り上げられる柱部材の斜視図である。 図1に示す柱部材がその上に立てられるアンカーの斜視図である。 図1に示す柱部材と図2に示すアンカーとの位置合わせのために用いられるテーパナットの概要を説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いられるクレーンフックの構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いられる吊り具の構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いられるワイヤの構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いられるI型治具の構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いられるカラビナの構造を説明するための図(図8(A))、及びカラビナの代用に用い得るシャックルの構造を説明するための図(図8(B))である。 比較例による柱部材の吊り上げ方法を説明するための図である。 比較例による柱部材の吊り上げ方法で柱部材からワイヤを取り外す際に行われる作業を説明するための図である。 本発明の実施の形態による柱部材の吊り上げ方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態による柱部材の吊り上げ方法で吊り上げられた柱部材の様子を示す図である。 本発明の実施の形態による柱部材の吊り上げ方法で柱部材からワイヤを取り外す際に行われる作業を説明するための図である。
[実施の形態の前提]
図1は本発明の実施の形態で用いられる柱部材10の斜視図である。柱部材10は鉄鋼製の四角柱であり、本体12と柱プレート14を有している。本実施形態において本体12は、2mの長さを有している。但し、本体の長さはこれに限定されるものではなく、例えば5mや8m程度であってもよい。
本体12の側面には複数の貫通孔16が設けられている。図1には、本体12の手前側の面に設けられた2つの貫通孔16が示されている。本体12には、それらの貫通孔16と対向する位置、すなわち、柱部材10の中心軸に対して、それらと線対称となる位置にも貫通孔が設けられている。貫通孔16は、それぞれ、対向する面に設けられた貫通孔と対をなしている。貫通孔16より直径の細い軸は、それらの貫通孔の対を通過することで、柱部材10を貫通することができる。
柱プレート14は、本体12の端部にフランジとして固定された正方形の板部材である。柱プレート14には、その四隅に、ボルト穴18が形成されている。
図2は、本発明の実施形態において用いられるアンカー20の斜視図である。アンカー20は、建造物の躯体構造における基礎であり、柱部材10は、アンカー20の上に立てられることになる。アンカー20は、柱プレート14より大きな四角状の平面部22を有している。平面部22の四隅には、柱プレート14のボルト穴18に対応する配置でボルト軸24が設けられている。
図3は、柱部材10がアンカー20上に立てられた状態を示す。柱部材10は、図3に示すように、アンカー20上の4本のボルト軸24が、柱プレート14の4つのボルト穴18に挿入されるように立てられる。図3は、更に、対角を成す2つのボルト軸24にテーパナット26が取り付けられた様子を示している。
テーパナット26は、その一方の側にテーパ加工が施されている。図3において、テーパナット26は、そのテーパ加工が施された側が柱プレート14側になるように、ボルト軸24に取り付けられている。この状態でテーパナット26を締め付けると、ボルト穴18とボルト軸24との中心合わせを行うことができる。また、対角を成す2箇所でその中心合わせを行うことにより、アンカー20上での柱部材10の位置合わせを行うことができる。
テーパナット26は、柱部材10の位置合わせ完了後にボルト軸24から取り外される。柱部材10は、最終的には、4つの通常ナット(図示せず)によってアンカー20に固定される。上記の位置合わせは、柱部材10の移動を容易にするため、柱部材10を僅かに吊り上げた状態で行われる。この際、柱部材10が傾いた状態で吊り上げられていると、テーパナット26が有効に機能せず、位置合わせの精度が悪化し易い。このため、柱部材10を吊り上げる際には、柱部材10が垂直な姿勢をとることが望まれる。
次に、図4乃至図8を参照して、本発明の実施の形態において、柱部材10を吊り上げるために用いられる治具について説明する。
図4は、本実施形態で用いられるクレーンフック30の概要を示す。クレーンフック30は、一般的に用いられているものであり、その上端においてクレーンワイヤ32に連結されている。クレーンワイヤ32は、図示しないクレーンから吊り下げられている。クレーンフック30の下端には、フック機構34が設けられている。フック機構34は、可動式のロック部36により通常時は閉じた環状に維持される。
図5は、本実施形態で用いられる吊り具40の概要を示す。吊り具40は、クレーンフック30に連結されるフック連結部42を有している。フック連結部42は、吊り具40の中央に位置し、環状に設けられている。フック連結部42の両側には、それぞれ、ワイヤ装着環44が設けられている。吊り具40には、柱部材10の重量に耐えるのに十分な剛性が与えられている。
図6は、本実施形態で用いられる吊り上げ用ワイヤ50の概要を示す。吊り上げ用ワイヤ50(以下、単に「ワイヤ50」と称す)は、その両端に、それぞれ連結用環状部52,54を備えている。図6において左側に示す連結用環状部52は、環状の中心部材56を有している。中心部材56は、その外形に倣うように折り返されたワイヤ材の先端部分により囲まれている。折り返されたワイヤ材は、ワイヤ材の本体と重ねられた状態で、かしめ環58によりかしめられている。かしめ環58の端部には、取り扱いを容易にするため、テーパ部が設けられている。
図6においてワイヤ50の右側に示す連結用環状部54は、折り返されたワイヤ材の先端を、ワイヤ材の本体に編みこむ方式で形成されている。以下、この連結用環状部54を、「編み込み式環状部54」と称す。編み込み式環状部54では、ワイヤ材の先端を環状に維持するための力がワイヤ材の編みこみによって確保される。このため、この構造によれば、環状構造を維持するためにかしめ環を用いる必要がない。ただし、本実施形態では、編み込み部分の取り扱いを容易にするため、その周囲をカバー環62で覆うこととしている。カバー環62には、ワイヤ材との段差を滑らかにするため、その端部にテーパ部64が設けられている。尚、図6には、構造の理解を容易にするため、かしめ環58及びカバー環62は、何れも断面構造を示している。
ワイヤ材の先端を本体に編み込むことで環状部を形成する場合、ワイヤ材の先端を本体に重ねる場合に比して、先端部と本体とが重なる部分の最大径を小さくすることができる。更に、カバー環62には、かしめ力が要求されていないことから、カバー環62は、かしめ環58に比して薄くすることができる。このため、編み込み式環状部54の根元部分の最大径は、連結用環状部52の根元部分の最大径に比して、十分に小さく抑えられている。また、編み込み式環状部54の環部分は、ワイヤ材のみで形成されているため、柔軟に変形することができる。このため、編み込み式環状部54は、連結用環状部52に比して、より小さな穴を通過することができる。
図7は、本実施形態において用いられるI型治具70の概要を示す。I型治具70は、直線状に形成された本体部分72を備えている。本体部分72は、柱部材10の貫通孔16より僅かに小さな径を有し、かつ、柱部材10の幅より僅かに大きい長さを有している。本体部分72の一方の端部には、環状部分74が固定されている。本体部分72の他方の端部には、ネジ溝76が形成されている。I型治具70は、ネジ溝76に対応する雌ネジを有する着脱式の環状部分78を有している。本体部分72を貫通孔16に通した後に、環状部分78をネジ溝76にねじ込むことにより、I型治具70を柱部材10に装着することができる。本実施形態において、I型治具70は、上述した吊り具40と同等の幅を有している。
図8(A)は、本実施形態において用いることのできるカラビナ80の概要を示す。カラビナ80は、C字型の本体82と、その本体82に取り付けられたロック部84とを有しており、ロック部82が締められることにより環形状となり、ロック部が緩められることにより、その環状態を解除することができる。本実施形態において、カラビナ80は、吊り具40或いはI型治具70に、ワイヤ50を連結するために用いることができる。
図8(B)は、本実施形態において、カラビナ80の代わりに用いることのできるシャックル90の概要を示す。シャックル90は、U字型の本体92と、そのU字型の開口部分に装着されるロックボルト94を備えている。シャックル90は、ロックボルト94が締められることにより環形状となり、ロックボルト94が外されることにより、その環状態を解除することができる。シャックル90は、カラビナ80と同様に、吊り具40或いはI型治具70に、ワイヤ50を連結するために用いることができる。
[比較例の方法]
以下、本実施形態による柱部材の吊り上げ方法の説明に先立ち、その前提となる比較例の方法について説明する。
柱部材10を安定した垂直姿勢に吊り上げるためには、ワイヤ50の連結位置が、柱部材10の先端に近いほど有利である。しかしながら、ワイヤ50は、柱部材10を立てた後に、そこから取り外す必要がある。この際、ワイヤ50が柱部材10の先端付近に連結されていると、ワイヤ50の取り外しを、極めて高い位置で行う必要が生じてしまう。このため、ワイヤ50の取り外し時の作業性に着目すると、ワイヤ50は、柱部材10の基部(柱プレート14側)に近い箇所に連結されることが望ましい。
図9は、ワイヤ50を、柱部材10の基部付近に連結させながら、柱部材10を垂直姿勢に吊り上げる方法の一例(比較例)を説明するための図である。図9において、柱部材10は、2本の枕木100,102の上に置かれている。ワイヤ50は、この状態で柱部材10に連結される。
図9に示す比較例では、柱部材10の基部側の貫通孔16(図1参照)に、連結治具104が装着される。連結治具104は、柱部材10と接する面に、貫通孔16に進入する剛性部を有しており、柱部材10に対して強固に固定された状態となる。また、連結治具104は、柱部材10の角に当たる位置に環状部分106を有している。比較例では、この環状部分106に、カラビナ80により、ワイヤ50の連結用環状部52(編み込み式環状部54でもよい)が連結される。
ワイヤ50は、柱部材10の角部に沿って先端方向に延ばされ、その先端付近で片絞りされる。片絞りの後、ワイヤ50の先端(編み込み式環状部54又は連結用環状部52)が、クレーンフック30(図9には図示せず)に連結される。図9に示す状態がセットされた後、クレーンによりワイヤ50が引き上げられると、柱部材10は、ワイヤ50が片絞りされた箇所を力点として吊り上げられ、やがて、ほぼ垂直な姿勢となる。
図10(A)及び図10(B)は、比較例の方法において、ワイヤ50を柱部材10から取り外す際の状態変化を時系列で示した図である。比較例の方法では、所望の箇所に柱部材10が立てられると、その後、クレーンフック30を下げることでワイヤ50が緩められる(図10(A))。片絞りされたワイヤ50を外すためには、ワイヤ50の先端をクレーンフック30から外す必要がある。このため、クレーンフック30は、作業者の手が届く高さにまで下げられる(図10(B))。
図10(B)に示す状態が実現された後、作業者によって、ワイヤ50がクレーンフック30から取り外される。次いで、ワイヤ50の片絞り部分が取り外されると共に、ワイヤ50と連結治具104との連結が解除される。これらの作業の後、連結治具104が、柱部材10から取り外され、柱部材10の設置が完了する。
上述した比較例の方法によれば、連結治具104が、柱部材10の基部付近に取り付けられているため、連結治具104とワイヤ50との連結解除、及び連結治具104の柱部材10からの取り外しは、十分に低い位置で行うことができる。また、クレーンフック30を十分に下げることにより、片絞りの箇所も下げることができるため、片絞りされたワイヤ50の取り外しも比較的低い位置で行うことができる。このため、比較例の方法によれば、ワイヤ50を柱部材10の先端付近に連結させ吊り上げ作業を行う方法に比して、優れた作業性を得ることができる。
しかしながら、比較例の方法では、吊り上げ時の力点が、片絞りされたワイヤ50が交差する一点のみとなる。このため、吊り上げられた柱部材10は、厳密には垂直姿勢にならない。また、この状態では、搬送の過程で、柱部材10に、上記力点を中心とした回転が生じ易い。この点、比較例の方法は、上述したテーパナット26(図3参照)による位置決めの精度を悪化させ易く、また、柱部材10の安定した搬送を実現し難いという特性を有している。
更に、比較例の方法は、ワイヤ50を取り外す際に、クレーンフック30を十分に降下させること、及び、その降下に伴ってワイヤ50の片絞り部分が下がってくることを前提としている。しかしながら、クレーンフック30を、作業者の手が届く高さにまで降下させるには、ある程度の時間を要してしまう。また、ワイヤ50の片絞り部分は、絡まってしまうことにより、思惑通りに下がってこないことがある。この点、比較例の方法は、ワイヤ50の取り外しに関して、必ずしも作業性に優れたものではない。
[本実施形態の方法]
次に、図11乃至図13を参照して、本実施形態の方法について説明する。
図11は、本実施形態による柱部材10の吊り上げ方法を説明するための図である。図11に示すように、本実施形態においても、比較例の場合と同様に、柱部材10は、先ず、2本の枕木100,102の上に置かれた状態に準備される。
柱部材10には、基部側の貫通孔16及び先端側の貫通孔16の双方に、I型治具70が装着される。図11には、柱部材10の手前にI型治具70の固定式環状部分74だけが示されているが、柱部材10の裏側には、図示されない着脱式の環状部分78が存在している。
本実施形態では、2本のワイヤ50が使用される。図中手前側に示すワイヤ50は、編み込み式環状部54の側から、柱部材10の先端側に装着されている環状部分74に通される。この編み込み式環状部54は、カラビナ80により、柱部材10の基部側に装着されている環状部分74に連結される。図中奥側に示すワイヤ50も、同様に、先端側の環状部分78に通された後、編み込み式環状部54において、カラビナ80により基部側の環状部分78に連結される。
2本のワイヤ50は、何れも、連結用環状部52において、吊り具40のワイヤ装着環44に連結される。これらの連結は、他端の連結と同様に、カラビナ80により行われる。吊り具40は、フック連結部42において、クレーンフック30に連結される。以上の準備の後にクレーンフック30が引き上げられると、柱部材10は、先ず、先端側の環状部分74,78を力点として吊り上げられ、やがて、ほぼ垂直な姿勢となる。
図12は、柱部材10が、垂直な姿勢に吊り上げられた状態を示す。この状態では、基部側のI型治具70が柱部材10の重量を受け持ち、先端側のI型治具70が、柱部材10の姿勢制御を受け持つ。ここで、本実施形態では、I型治具70と吊り具40とが同等の幅を有しているため、2本のワイヤ50は、その全長においてほぼ平行な直線状となる。
本実施形態の方法によれば、柱部材10は、基部に近い箇所に対称に配置された2つの環状部分74,78から、等しく吊り上げ方向の力を受ける。また、柱部材10は、垂直姿勢を崩すようなモーメントが生じた際には、先端に近い箇所に対称に配置された2つの環状部分74,78から、垂直姿勢を維持する方向の力を受ける。このため、この方法によれば、極めて安定した垂直性で柱部材10を吊り上げることができる。その結果、本実施形態の方法によれば、テーパナット26による位置合わせの精度を向上させるといった効果をも得ることができる。
図13(A)乃至図13(C)は、本実施形態の方法において、ワイヤ50を柱部材10から取り外す際の状態変化を時系列で示した図である。本実施形態の方法では、所望の箇所に柱部材10が立てられると、その後、クレーンフック30を下げることでワイヤ50が緩められる(図13(A))。
ワイヤ50が緩めば、編み込み式環状部54とI型治具70との間の張力が解け、両者の連結を解除することが可能となる。図13(B)は、カラビナ80を外して、その連結を解除した状態を示す。
編み込み式環状部54の連結が解かれた後、本実施形態では、クレーンフック30が一旦上方に引き上げられる。ワイヤ50の編み込み式環状部54は、上述した通り、I型治具70の環状部分74,78の中を通ることができる。特に、本実施形態では、編み込み式環状部54のカバー環62にテーパ加工が施されている。このため、クレーンフック30が上昇し、ワイヤ50が引き上げられると、編み込み式環状部54は、スムーズに環状部分74,78の中に引き込まれる。
クレーンフック30は、編み込み式環状部54が、柱部材10の先端側に位置するI型治具70から抜け出すまで引き上げられる。その結果、図13(C)に示すように、ワイヤ50は、柱部材10から完全に取り外された状態となる。このように、本実施形態の方法によれば、作業者の手が容易に届かない高い位置での作業を何ら要求することなく、垂直状態に設置した柱部材10から、ワイヤ50を容易に取り外すことができる。このため、この方法によれば、極めて高い作業効率を実現することができる。
尚、基部側のI型治具70は、十分に低い位置に装着されている。このため、基部側のI型治具70については、この段階で取り外すこととしてもよい。他方、先端側のI型治具70は、作業が容易でない高い位置に装着されている。このため、先端側のI型治具は、より高い足場が組まれるのを待って取り外すこととしてもよい。
以上説明した通り、本実施形態の方法によれば、長尺の柱部材10を、安定した垂直姿勢に吊り上げることができる。また、この方法によれば、柱部材10の設置後に、極めて高い効率でワイヤ50を柱部材10から取り外すことができる。このため、本実施形態の方法によれば、多数の柱部材10を次々と立てていくことが求められる場合に、特に優れた作業性を提供することができる。
ところで、上述した実施の形態においては、柱部材10の上部でワイヤ50を保持するための治具として、I型治具70を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ワイヤ50を保持するための治具は、編み込み式環状部54が通過できる一対の環状部分を備えていれば、例えば、比較例で用いた連結治具104のような構造であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、柱部材10の下部にワイヤ50を連結するための治具としてもI型治具70を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ワイヤ50を連結するための治具は、例えば、比較例で用いた連結治具104のような構造であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、ワイヤ50が、一端に、かしめによって固定される連結用環状部52を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ワイヤ50は、その両端が編み込み式環状部54であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、ワイヤ50の編み込み式環状部54にカバー環62を装着することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、作業性上の要求が無い場合には、カバー環62は省略してもよい。
上述した実施の形態では、ワイヤ50の連結にカラビナ80を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、その連結には、カラビナ80に代えて、図8(B)に示すシャックルを用いることとしてもよい。更に、カラビナ80やシャックル90の構造は、図8(A)及び図8(B)に示すものに限定されるものではなく、一般的に知られている何れの構造であってもよい。
10 柱部材
16 貫通孔
30 クレーンフック
40 吊り具
42 フック連結部
44 ワイヤ装着環
50 吊り上げ用ワイヤ
52 連結用環状部
54 編み込み式環状部
62 カバー環
64 テーパ部
70 I型治具
74 固定式の環状部分
78 着脱式の環状部分

Claims (8)

  1. クレーンフックに連結されるフック連結部と当該フック連結部の両側に設けられた一対のワイヤ装着環とを備える吊り具と、
    ワイヤ先端部を折り返してワイヤ本体に結合させることにより形成された連結用環状部を両端に備え、少なくとも一方の連結用環状部が、ワイヤ先端部をワイヤ本体に編み込む方式で形成された編み込み式環状部である構造を、それぞれが有している2本の吊り上げ用ワイヤと、
    吊り上げる対象である柱部材の両側に当該柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となるように装着される一対の環状部分を備え、当該環状部分は、前記編み込み式環状部がその内部を通過することができる大きさを有するワイヤ保持治具と、
    前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ備える前記編み込み式環状部を、吊り上げる対象である柱部材に、当該柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となる部位においてそれぞれ連結する連結治具と、
    を備えることを特徴とする柱部材の吊り上げ治具。
  2. 前記ワイヤ保持治具は、直線状に形成された本体部分を備え、前記一対の環状部分は、当該本体部分の両側に設けられたており、かつ、少なくとも一方の環状部分が、前記本体部分に対して着脱可能であるように形成されたI型治具であることを特徴とする請求項1に記載の吊り上げ治具。
  3. 前記連結治具が、前記I型治具と同じ構造物であることを特徴とする請求項2に記載の吊り上げ治具。
  4. 前記吊り上げ用ワイヤは、前記ワイヤ先端部が前記ワイヤ本体に編みこまれた部分を環状に取り巻くカバー環を備え、
    前記カバー環は、ワイヤ本体側に、テーパ加工が施されたテーパ部を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の吊り上げ治具。
  5. 請求項1に記載する吊り上げ治具を用いる柱部材の吊り上げ方法であって、
    前記一対の環状部分が前記柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となるように、前記柱部材の上部に前記ワイヤ保持治具を装着する工程と、
    前記柱部材の下部に前記連結治具を装着する工程と、
    前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ一方の側に備えている前記編み込み式環状部を、前記ワイヤ保持治具が備える前記一対の環状部分のそれぞれに、前記柱部材の上側から挿通させる工程と、
    前記一対の環状部分を通過した前記編み込み式環状部のそれぞれを、前記柱部材の中心線に対して線対称の位置関係となる部位において前記連結治具に連結する工程と、
    前記2本の吊り上げ用ワイヤがそれぞれ他方の側に備えている前記連結用環状部を、前記吊り具が備える前記一対のワイヤ装着環のそれぞれに連結させる工程と、
    前記吊り具が備える前記フック連結部をクレーンフックに連結する工程と、
    上記の全工程の終了後に、前記クレーンフックを上昇させて前記柱部材を吊り上げる工程と、
    を含むことを特徴とする柱部材の吊り上げ方法。
  6. 前記柱部材は、前記ワイヤ保持治具の装着箇所に、当該柱部材の中心線を通る上部貫通孔を有し、かつ、前記連結治具の装着箇所に、当該柱部材の中心線を通る下部貫通孔を有し、
    前記ワイヤ保持治具及び前記連結治具は、何れも、直線状に形成された本体部分と、当該本体部分の両側に設けられた一対の環状部分とを備え、前記環状部分は、前記編み込み式環状部がその内部を通過することができる大きさを有し、かつ、少なくとも一方の環状部分が、前記本体部分に対して着脱可能であるように形成されているI型治具であり、
    前記ワイヤ保持治具を装着する工程では、前記I型治具をワイヤ保持治具として前記柱部材に装着し、
    前記連結治具を装着する工程では、前記I型治具を連結治具として前記柱部材に装着することを特徴とする請求項5に記載の吊り上げ方法。
  7. 前記吊り上げ用ワイヤは、前記ワイヤ先端部が前記ワイヤ本体に編みこまれた部分を環状に取り巻くカバー環を備え、
    前記カバー環は、ワイヤ本体側に、テーパ加工が施されたテーパ部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の吊り上げ方法。
  8. 前記柱部材を吊り上げた後に、前記クレーンフックを下降させて前記柱部材を垂直姿勢で接地させる工程と、
    前記柱部材が接地した後に、前記クレーンフックを更に下降させて前記吊り上げ用ワイヤを緩め、その状態で、前記一対の編み込み式環状部と前記連結治具との結合を解除する結合解除工程と、
    前記結合解除工程の後に、前記クレーンフックを上昇させて、前記一対の編み込み式環状部を、前記ワイヤ保持治具が備える前記一対の環状部分から抜き出す工程と、
    を含むことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の吊り上げ方法。
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