JP3054342B2 - 液汁成分を含む食品の使い捨て蒸し器及び液汁成分を含む食品の簡易食品加熱器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食品を好適に蒸すこと
ができる液汁成分を含む食品の使い捨て蒸し器及びこの
使い捨て蒸し器を備え、加熱水蒸気により食品を加熱す
る液汁成分を含む食品の簡易食品加熱器に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、家庭で食品を蒸す際には、蒸籠が
用いられていた。また、食品を加熱する際には、一般に
電気やガス等を動力とする熱源が必要であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蒸籠を
用いて食品を蒸す場合には、底に敷かれた竹の簀の上に
布巾を敷いて蒸すことがよく行われているが、その場合
には、布巾に食品などが付着したり、使用後には布巾を
洗う必要があるなど、面倒であった。また、最近では蒸
籠を備えた家庭が少なく、食品を好適に蒸すことが困難
になっていた。

【０００４】また、停電、ガスの送出が停止されたとき
や、例えば電気やガスが通じていない場所でキャンプを
したとき等に、カセットガスボンベを用いたり火を起こ
すことなく、種々の食品を簡易に加熱することができる
ようにしたものが望まれている。一方、近年、生石灰等
の発熱剤と水との接触によって生起する発熱反応による
発熱で水蒸気を発生させる水蒸気加熱装置が食品を加熱
するために用いられているが、この水蒸気加熱装置によ
って任意の食品を加熱できるように構成されたものはな
かった。

【０００５】本発明は、上記問題を解決するもので、食
品を手軽に、かつ好適に蒸すことができる使い捨て蒸し
器を提供することを目的とする。

【０００６】また、本発明は、上記蒸し器を備え、任意
の食品を好適に加熱する簡易食品加熱器を提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、底壁及び側壁からなり、上面に開口を有
する箱体で、少なくとも上記底壁が透湿性及び遮水性を
兼有するシートで形成され、上記開口を介して上記底壁
上に載せられた液汁成分を含む食品に対して外部からの
水蒸気により蒸し処理可能になされている（請求項
１）。

【０００８】また、上記シートは、撥水剤で撥水加工さ
れた不織布からなる（請求項２）。

【０００９】また、上記撥水剤は、フッ素樹脂を主体と
して構成されている（請求項３）。

【００１０】また、上記撥水剤は、シリコーン樹脂を主
体として構成されている（請求項４）。

【００１１】また、内部を密封可能な蓋付きの箱の底部
に水蒸気加熱装置を収納し、その上に請求項１記載の液
汁成分を含む食品の使い捨て蒸し器が載置されてなり、
上記箱の外部から上記水蒸気加熱装置による発熱を開始
させる発熱開始手段を備え、上記水蒸気加熱装置で発生
する加熱水蒸気を箱内に充満させて上記使い捨て蒸し器
内に入れられた液汁成分を含む食品を加熱するものであ
る（請求項５）。

【００１２】また、上記箱は、上面に開口を有する箱形
状で開口端の周囲に内壁面、底面及び外壁面からなる上
向きに開口する断面コ字状の蓋嵌合溝が形成されたケー
ス本体と、周囲に上記ケース本体の蓋嵌合溝と相対応す
る断面形状を有する係止部が形成された蓋とから構成さ
れ、上記蓋の係止部が上記ケース本体の蓋嵌合溝に内嵌
することにより上記ケース本体が上記蓋によって閉塞さ
れるものである（請求項６）。

【００１３】

【作用】請求項１記載の発明によれば、底壁を透湿性と
遮水性を兼有するシートで構成することにより、箱内に
食品が入れられた状態で、下方から加熱水蒸気が供給さ
れると、加熱水蒸気は底壁を透過して上昇し、これによ
って、加熱水蒸気が箱内の食品に十分に供給され、食品
全体にむらなく行き渡り、好適に蒸され、かつ、箱内の
食品の液汁成分が漏出しないから、水分の多い食品にも
好適な使い捨て蒸し器が得られる。

【００１４】また、請求項２記載の発明によれば透湿性
及び遮水性を兼有するシートは撥水剤で撥水加工された
不織布からなり、請求項３記載の発明によれば上記撥水
剤はフッ素樹脂を主体として構成され、請求項４記載の
発明によれば上記撥水剤はシリコーン樹脂を主体として
構成され、それぞれ請求項１記載の発明と同様の作用を
有し、特に撥水剤としてフッ素樹脂またはシリコーン樹
脂を主体とするものを用いることにより、食品衛生上安
全な使い捨て蒸し器が得られる。

【００１５】また、請求項５記載の発明によれば、底壁
が透湿性と遮水性を兼有するシートで構成された使い捨
て蒸し器を用いることにより、水蒸気加熱装置で発生す
る加熱水蒸気は、使い捨て蒸し器の底壁を透過して上昇
し、これによって、加熱水蒸気が使い捨て蒸し器内の食
品に十分に供給され、食品全体にむらなく行き渡り、好
適に加熱され、かつ、食品の液汁成分が使い捨て蒸し器
から漏出しないから、おでんや雑炊等の水分の多い食品
の加熱に適した簡易食品加熱器が得られる。

【００１６】また、請求項６記載の発明によれば、ケー
ス本体の開口端の周囲に形成された上向きに開口する断
面コ字状の蓋嵌合溝に、この蓋嵌合溝と相対応する断面
形状を有する蓋の係止部が内嵌してケース本体が蓋によ
って閉塞されるように構成することにより、箱内から箱
外へ抜ける加熱水蒸気の通路は、蓋嵌合溝の内壁面に沿
って一旦下降し、底面で水平に進んだ後、外壁面に沿っ
て上昇するように形成されるので、上昇する性質を有す
る加熱水蒸気の箱内から箱外への漏出が抑制され、加熱
水蒸気は箱内に充満して、食品が効率良く加熱される。
また、箱内に充満した加熱水蒸気の一部が漏出したとし
ても、その加熱水蒸気は蓋嵌合溝の外壁面に沿って上昇
して箱外へ出るので、下向きに吹き出した場合のように
箱が置かれたテーブルの表面が熱で変色する等の損傷が
生じない。

【００１７】

【実施例】図１は本発明に係る使い捨て蒸し器の一実施
例を示す図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）のＢ−
Ｂ断面図である。

【００１８】使い捨て蒸し器１は、底壁及び側壁２から
なり、上面に開口を有する箱状に形成されている。側壁
２は、例えばポリプロピレン、ポリスチレン又は竹製
で、下端に多少肉厚を有する所要幅のリブ３が形成され
ている。

【００１９】上記使い捨て蒸し器１の底壁は、端部が上
記リブ３に溶着または接着されてなる水密性シート４で
形成されている。水密性シート４は、例えばアラミド繊
維を主成分とする耐熱性不織布が撥水剤で撥水加工され
てなるもので、透湿性及び遮水性を兼有し、水蒸気を透
過するとともに液体の通過を抑制するものである。な
お、不織布は、アラミド繊維を主成分とする耐熱性不織
布に限られず、他の繊維による不織布でもよい。

【００２０】不織布への撥水剤による撥水加工は、撥水
剤の液中に１本１本の繊維を浸漬して被覆した後で不織
布を形成したり、不織布を撥水剤の液中に浸漬して被覆
する浸漬被覆法(dip coating)を用いることによって行
われる。また、撥水剤を不織布の表面に塗布したり噴霧
するようにしてもよい。

【００２１】また、水密性シート４は、例えばグラシン
紙等の紙が撥水剤によって被覆などの撥水加工されてな
るものでもよい。

【００２２】また、上記撥水剤は、例えば、フッ素樹
脂、フッ素樹脂を主体としてプロピレングリコール類等
の添加物が添加されてなるフッ素系樹脂、シリコーン樹
脂、シリコーン樹脂を主体として他の添加物等が添加さ
れてなるシリコーン系樹脂や、シリコーン油からなるも
のである。なお、上記撥水剤は、これらに限られず、被
覆等の撥水加工を行うことにより不織布や紙に対して透
湿性及び遮水性を兼有する性質を持たせるものであれば
よい。

【００２３】以上の構成により、使い捨て蒸し器１内に
食品を入れ、下方側から加熱水蒸気を供給すると、水蒸
気が上昇して使い捨て蒸し器１内の食品を加熱する。そ
の際に、使い捨て蒸し器１の底壁が透湿性及び遮水性を
兼有する水密性シート４で形成されているので、底壁全
体から水蒸気が上昇し、水蒸気が食品全体にむらなく行
き渡る一方で、食品の液汁成分が使い捨て蒸し器１の底
壁から漏出するのが抑制される。そして、加熱後はその
まま使い捨て蒸し器１から食べられるようになってい
る。

【００２４】このように、使い捨て蒸し器１の底壁を透
湿性及び遮水性を兼有する水密性シート４で形成したの
で、食品を好適に蒸すことができるとともに、食品とし
て、米飯などの液汁成分をあまり含まない食品だけでは
なく、カレー、ハヤシライスやスパゲティミートソース
等のように多少の液汁成分を含む食品や、牛丼やおでん
等の液汁成分を多く含む食品を用いることができる。従
って、種々の食品を簡易に蒸すことができる。

【００２５】なお、図２に示すように、使い捨て蒸し器
１の底壁適所に、３本又は４本の脚５を配設してもよ
い。脚５は、例えばポリプロピレン、ポリスチレン又は
竹製で、食品が入れられた使い捨て蒸し器１を支持可能
な程度の強度を有するものである。これによって、例え
ば水を引いた鍋内に食品が入れられた使い捨て蒸し器１
を直接載置した状態で、この鍋を加熱して水蒸気を発生
させることによって、使い捨て蒸し器１内の食品を好適
に蒸すことができる。

【００２６】図３は本発明に係る簡易食品加熱器の一実
施例を示す図で、（ａ）は内部構成図、（ｂ）は外観図
である。図４は同実施例の箱のケース本体を示す図で、
（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図であ
る。図５は同実施例の箱の蓋を示す図で、（ａ）は平面
図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図である。なお、図１
と同一物には同一符号を付す。

【００２７】この簡易食品加熱器は、箱１０の底部に水
蒸気加熱装置２０が載置され、その上に使い捨て蒸し器
１が載置されてなるものである。

【００２８】箱１０は、それぞれ例えばポリプロピレン
やポリスチレン等の合成樹脂製のケース本体１１と蓋１
２とから構成される。

【００２９】ケース本体１１は、側壁１１１及び底壁１
１２からなり、上面に開口を有する箱状に形成されてい
る。側壁１１１の上端には、外側に向けて水平に折り曲
げられてなる所要幅の平坦部１１３が形成され、この平
坦部１１３の外側には、上向きに開口する断面コ字状の
溝部１１４が形成されている。溝部１１４は、平坦部１
１３から下方に延設されてなる内壁面１１４ａ、所要幅
の底面１１４ｃ及び内壁面１１４ａより多少上方まで延
設されてなる外壁面１１４ｂからなる。

【００３０】溝部１１４の外壁面１１４ｂの４隅の上部
には、多少内方向に突き出た凸部１１５が所要寸法に亘
って形成されている。また、溝部１１４の外壁面１１４
ｂの２隅の上端は、多少広い平面の広縁部１１６が形成
されている。

【００３１】蓋１２は、側壁１２１及び天面１２２から
なり、下面に開口を有する箱状に形成されている。側壁
１２１の下端には、外側に折り曲げられてなる小幅の平
坦部１２３が形成され、この平坦部１２３の外側には、
上記溝部１１４と略同一の断面形状の溝部１２４が形成
されている。溝部１２４は、平坦部１２３から下方に延
設されてなる内壁面１２４ａと、上記溝部１１４の底面
１１４ｃより多少幅狭の底面１２４ｃと、内壁面１２４
ａより多少上方まで延設されてなり、かつ上記溝部１１
４の外壁面１１４ｂより高さ寸法が多少低い外壁面１２
４ｂとからなる。また、外壁面１２４ｂは、多少外方向
に傾斜して形成されている。

【００３２】そして、ケース本体１１を蓋１２で閉塞す
る際には、平坦部１１３及び上記内壁面１１４ａの境界
で形成されるコーナー部と、平坦部１２３及び上記内壁
面１２４ａの境界で形成されるコーナー部とが対向して
重なるとともに、溝部１１４に溝部１２４が内嵌する。
このとき、溝部１２４の外壁面１２４ｂが外方向に傾斜
して形成されているので、溝部１１４の外壁面１１４ｂ
によって内方向に押圧されたときに生じる外方向への弾
性力によって、外壁面１１４ｂの上端が凸部１１５から
外れることなく係止される。これによって、ケース本体
１１が蓋１２によって閉塞されるようになっている。

【００３３】水蒸気加熱装置２０は、図３（ａ）に示す
ように、例えば、上面に開口を有する合成樹脂製のケー
ス２１と、ケース２１の内部に積層状態で収納された発
熱剤袋２２及び水袋２３と、両袋の周囲に引き回された
ひも２４と、ケース２１の上面開口を覆うシート部材２
５とから構成されている。発熱剤袋２２は、例えばアル
ミ箔に樹脂製フィルムを貼着積層したラミネート構造を
有するシート材料で形成され、内部に生石灰等の水と反
応して発熱する発熱剤２６が封入されている。水袋２３
は、例えばポリ塩化ビニル製で、内部に水２７が封入さ
れている。

【００３４】ひも２４は、一端がケース２１に固定さ
れ、発熱剤袋２２及び水袋２３の周囲を引き回されて他
端がケース２１から箱１０外に引き出されている。シー
ト部材２５は、例えばアラミド繊維等からなる耐熱性不
織布で形成され、ケース２１の周縁部２１１に溶着また
は接着されて、ケース２１内で発生する加熱水蒸気を上
方に透過するものである。また、発熱反応部を覆うこと
によって過剰な熱が上方に伝達されるのを防止する断熱
シートとして作用するものである。

【００３５】以上の構成により、図６に示すように、予
め調理され、加熱するだけで食べられるようになってい
る例えば米飯からなる主食品６や例えばカレーからなる
副食品７等の所望の食品を使い捨て蒸し器１に入れ、ケ
ース本体１１を蓋１２で閉塞した状態で、使用者が箱１
０外からひも２４を引っ張ることによって発熱剤袋２２
及び水袋２３を同時に開裂して発熱反応を開始させる
と、発生する水蒸気がシート部材２５を介して上昇し、
使い捨て蒸し器１内の主食品６及び副食品７を加熱す
る。

【００３６】その際に、使い捨て蒸し器１の底壁が透湿
性及び遮水性を兼有する水密性シート４で形成されてい
るので、使い捨て蒸し器１の底壁全体から水蒸気が上昇
し、水蒸気が主食品６及び副食品７全体にむらなく行き
渡る一方で、副食品７の液汁成分が使い捨て蒸し器１の
底壁から漏出するのが抑制される。そして、加熱後はそ
のまま使い捨て蒸し器１から食べられるようになってい
る。

【００３７】このように、底壁が透湿性及び遮水性を兼
有する水密性シート４で形成された使い捨て蒸し器１に
食品を入れた状態で水蒸気加熱装置２０により加熱する
ようにしたので、所望の主食品６及び副食品７を好適に
加熱することができ、簡便に食品をおいしく賞味するこ
とができる。

【００３８】特に、食品が、米をアルファ化した後で水
分を除去する際に、各々の米粒で含水率にばらつきが生
じて含水率が不足した米粒が存在する米飯の場合でも、
各々の米粒にむらなく加熱水蒸気を行き渡らせることが
できるので、パラパラになることなく粘り気のある状態
に加熱することができる。このように、加熱水蒸気によ
り熱及び水分を加えることによって、老化したデンプン
の若返りを図ることができ、食品を非常においしく賞味
することができる。

【００３９】更に、液汁成分が使い捨て蒸し器１の底壁
から漏出するのが抑制されるので、主食品６や副食品７
として、米飯などの液汁成分をあまり含まない食品だけ
ではなく、カレー、ハヤシライスやスパゲティミートソ
ース等のように多少の液汁成分を含む食品や、牛丼やお
でん等の液汁成分を多く含む食品を用いることができ
る。従って、種々の食品を簡便に、しかもおいしく賞味
することができる。

【００４０】また、ケース本体１１を蓋１２で閉塞した
状態では、平坦部１１３及び上記内壁面１１４ａの境界
で形成されるコーナー部と、平坦部１２３及び上記内壁
面１２４ａの境界で形成されるコーナー部とが対向して
重なるとともに、溝部１１４に溝部１２４が内嵌するの
で、箱１０内から箱１０外へ抜ける水蒸気の通路は、嵌
合する溝部１１４，１２４の内壁面１１４ａ，１２４ａ
間の隙間で一旦下降する。従って、箱１０内で発生する
加熱水蒸気は上昇する性質を有するので、箱１０内で充
満し、箱１０外への加熱水蒸気の漏出を抑制することが
できる。

【００４１】また、例えば、ケース本体側を包んで上か
ら蓋を覆い被せるような一般的な蓋の構成、すなわち上
記実施例において上下を逆にしてケース本体１１を蓋
側、蓋１２を本体側として構成したような場合には、加
熱水蒸気が下向きに漏出することとなり、本簡易食品加
熱器が置かれたテーブルなどの表面を熱によって変色さ
せる等の損傷を与える虞れがある。しかしながら、上記
実施例によれば、箱１０内から箱１０外へ抜ける水蒸気
の通路は、嵌合する溝部１１４，１２４の内壁面１１４
ａ，１２４ａ間の隙間で一旦下降し、底面１１４ｃ，１
２４ｃ間で水平に進んだ後、外壁面１１４ｂ，１２４ｂ
間の隙間で上昇して箱１０外へ抜ける。従って、加熱水
蒸気の一部が箱１０から漏出したとしても、その加熱水
蒸気は上向きに漏出することとなり、その熱によってテ
ーブルに損傷を与える等のような事態を確実に防止する
ことができる。

【００４２】なお、水蒸気加熱装置２０のケース２１と
使い捨て蒸し器１とを同程度の大きさに形成し、ケース
２１の周縁部２１１と使い捨て蒸し器１のリブ３とを、
固着するようにしてもよい。使い捨て蒸し器１と水蒸気
加熱装置２０との位置がずれると、水蒸気加熱装置２０
で発生する加熱水蒸気が使い捨て蒸し器１内の食品に十
分供給されない虞れがあるが、固着することによって、
使い捨て蒸し器１と水蒸気加熱装置２０との位置がずれ
るのを防止することができるので、食品の加熱を確実に
行うことができる。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１〜４の発
明によれば、底壁及び側壁からなり、上面に開口を有す
る箱体で、少なくとも上記底壁が透湿性及び遮水性を兼
有するシートで形成され、上記開口を介して上記底壁上
に載せられた液汁成分を含む食品に対して外部からの水
蒸気により蒸し処理可能になされているので、食品を入
れた状態で加熱水蒸気を下方から供給すると、加熱水蒸
気が底壁全体から透過して上昇し、食品全体にむらなく
加熱水蒸気を行き渡らせることができるとともに、食品
の液汁成分が漏出することを防止できる。従って、食品
を手軽に、かつ好適に蒸すことができる。また、加熱後
はそのまま食品を食べることができる。

【００４４】また、請求項５の発明によれば、請求項１
記載の液汁成分を含む食品の使い捨て蒸し器を備えたの
で、水蒸気加熱装置で発生する加熱水蒸気は使い捨て蒸
し器の底壁を透過して上昇し、加熱水蒸気を食品全体に
むらなく行き渡らせることができるとともに、食品の液
汁成分が使い捨て蒸し器から漏出することを防止でき
る。従って、液汁成分をあまり含まない食品だけではな
く、液汁成分を多く含むような種々の食品を簡便に加熱
でき、しかもおいしく賞味することができる。

【００４５】また、請求項６の発明によれば、ケース本
体の開口端の周囲に形成された上向きに開口する断面コ
字状の蓋嵌合溝に、この蓋嵌合溝と相対応する断面形状
を有する蓋の係止部が内嵌してケース本体が蓋によって
閉塞されるように構成することにより、箱内から箱外へ
抜ける加熱水蒸気の通路は、蓋嵌合溝の内壁面に沿って
一旦下降し、底面で水平に進んだ後、外壁面に沿って上
昇するように形成されるので、上昇する性質を有する加
熱水蒸気の箱内から箱外への漏出を抑制することがで
き、食品を効率良く加熱することができる。また、箱内
に充満した加熱水蒸気の一部が漏出したとしても、その
加熱水蒸気は蓋嵌合溝の外壁面に沿って上昇して箱外へ
出るので、下向きに吹き出した場合のように箱が置かれ
たテーブル表面に熱による変色等の損傷が生じるのを確
実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る使い捨て蒸し器の一実施例を示す
図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図
である。

【図２】本発明に係る使い捨て蒸し器の他の例を示す図
で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図で
ある。

【図３】本発明に係る簡易食品加熱器の一実施例を示す
図で、（ａ）は内部構成図、（ｂ）は外観図である。

【図４】同実施例の箱のケース本体を示す図で、（ａ）
は平面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】同実施例の箱の蓋を示す図で、（ａ）は平面
図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ断面図である。

【図６】同実施例における食品加熱時の状態を示す内部
構成図である。

【符号の説明】

１ 使い捨て蒸し器 ４ 水密性シート １０ 箱 １１ ケース本体 １１４ 溝部（蓋嵌合溝） １１４ａ 内壁面 １１４ｂ 外壁面 １１４ｃ 底面 １２ 蓋 １２４ 溝部（係止部） １２４ａ 内壁面 １２４ｂ 外壁面 １２４ｃ 底面 ２０ 水蒸気加熱装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47J 27/00 - 27/64 A47J 36/28

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底壁及び側壁からなり、上面に開口を有
   する箱体で、少なくとも上記底壁が透湿性及び遮水性を
   兼有するシートで形成され、上記開口を介して上記底壁
   上に載せられた液汁成分を含む食品に対して外部からの
   水蒸気により蒸し処理可能になされている液汁成分を含
   む食品の使い捨て蒸し器を備え、 内部を密封可能な蓋付きの箱の底部に水蒸気加熱装置を
   収納し、その上に上記使い捨て蒸し器が載置されてな
   り、上記箱の外部から上記水蒸気加熱装置による発熱を
   開始させる発熱開始手段を備え、上記水蒸気加熱装置で
   発生する加熱水蒸気を箱内に充満させて上記使い捨て蒸
   し器内に入れられた液汁成分を含む食品を加熱するもの
   で、 上記箱は、上面に開口を有する箱形状で開口端の周囲に
   内壁面、底面及び外壁面からなる上向きに開口する断面
   コ字状の蓋嵌合溝が形成されたケース本体と、周囲に上
   記ケース本体の蓋嵌合溝と相対応する断面形状を有する
   係止部が形成された蓋とから構成され、上記蓋の係止部
   が上記ケース本体の蓋嵌合溝に内嵌することにより上記
   ケース本体が上記蓋によって閉塞されるものであること
   を特徴とする液汁成分を含む食品の簡易食品加熱器 。
2. 【請求項２】 上記シートは、撥水剤で撥水加工された
   不織布からなることを特徴とする請求項１記載の液汁成
   分を含む食品の簡易食品加熱器。
3. 【請求項３】 上記撥水剤は、フッ素樹脂を主体として
   構成されていることを特徴とする請求項２記載の液汁成
   分を含む食品の簡易食品加熱器。
4. 【請求項４】 上記撥水剤は、シリコーン樹脂を主体と
   して構成されていることを特徴とする請求項２記載の液
   汁成分を含む食品の簡易食品加熱器。