JP3053567B2 - ゴルフクラブシャフトの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブシャフトの製造方法

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JP3053567B2
JP3053567B2 JP8032816A JP3281696A JP3053567B2 JP 3053567 B2 JP3053567 B2 JP 3053567B2 JP 8032816 A JP8032816 A JP 8032816A JP 3281696 A JP3281696 A JP 3281696A JP 3053567 B2 JP3053567 B2 JP 3053567B2
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仁志 尾山
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の繊維強化複
合樹脂層からなるゴルフクラブシャフトの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】複数の繊維強化複合樹脂層からなるゴル
フクラブシャフトを製造する場合、一定の強度を有した
まま軽量化を図るため、一般には、繊維含有率が70%以
上である低樹脂含有率の繊維強化複合樹脂シート体を使
用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、上述の従来の
製造方法では、繊維強化複合樹脂シート体(いわゆるプ
リプレグシート)は樹脂含有率が低いため粘着力が小さ
く、このプリプレグシートを重ね合わせて巻き付ける際
に各シートの接合力が弱く、作業性に劣るものであっ
た。
【0004】なお、従来において、補強繊維の配向角が
異なる層群の間に接着剤層を介して、両層群間に生じる
座屈破壊を防止することを目的としたもの、有機系重合
体からなるフィルム層を一体的に形成して耐衝撃性、曲
げ強度、捻り強度の向上を目的としたもの等があるが、
いずれの場合においても強度の向上のみを目的としたも
のであり、強度の向上が可能であっても新たな工程が必
要であったり、成形性が悪くなる等の作業上の問題があ
った。
【0005】そこで、本発明では、製造時の作業性を向
上させると共に、つぶれ強度、曲げ強度、耐衝撃強度、
捻り強度等のゴルフクラブシャフトに必要な強度を補う
ことが可能となるゴルフクラブシャフトの製造方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係るゴルフクラブシャフトの製造方法
は、幅寸法が基端から先端の長手方向に向って順次小と
なる複数の繊維強化複合樹脂シート体を成形用芯金に巻
回積層した後、加熱して硬化させるゴルフクラブシャフ
トの製造方法であって、繊維が上記長手方向に対して傾
斜状に設定されると共に繊維含有率が70%以上の2枚の
繊維強化複合樹脂シート体間に、該2枚の繊維強化複合
樹脂シート体より薄くかつ繊維含有率が70%未満の繊維
強化複合樹脂シート体を挾んだ状態でもって、成形用芯
金に巻き付けるものである。また、繊維含有率が50〜63
%の繊維強化複合樹脂シート体を挾んでも良い。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳説する。
【0008】図3は本発明に係るゴルフクラブシャフト
の製造方法に使用する繊維強化複合樹脂シート体1…を
示し、この場合、繊維強化複合樹脂シート体1は、その
幅寸法が基端から先端に向って順次小となり、a,b,
c,d,eの5種類が使用される。ここで、繊維強化複
合樹脂シート体1とは、炭素繊維やガラス繊維等の強化
繊維(補強繊維)を夫々の方向に配列して、エポキシ樹
脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたものでる。
【0009】a,bの繊維強化複合樹脂シート体1,1
は繊維含有率が70%以上、具体的には、76%のカーボン
繊維プリプレグ(例えば、M40J:東レ株式会社製)
等が使用され、cの繊維強化複合樹脂シート体1は繊維
含有率が70%未満、具体的には、57%のカーボン繊維プ
リプレグ(例えば、T300:東レ株式会社製)等が使
用され、d,eの繊維強化複合樹脂シート体1は繊維含
有率が70%以上、具体的には、70%のカーボン繊維プリ
プレグ(例えば、T800:東レ株式会社製)等が使用
される。
【0010】また、cの繊維強化複合樹脂シート体1の
厚さ寸法はa,bの繊維強化複合樹脂シート体1,1の
厚さ寸法より小さく設定され、例えば、a,b,d,e
の繊維強化複合樹脂シート体1の厚さ寸法は、例えば、
0.10〜0.15mmとし、cの繊維強化複合樹脂シート体1の
厚さ寸法は、例えば、0.01〜0.08mmとする。さらに、各
繊維強化複合樹脂シート体1…の長さ寸法Lを例えば12
00mm程度とした場合において、a,bの先端幅寸法A
1 ,B1 を50〜60mmとし、a,bの基端幅寸法A2 ,B
2 を110 〜120mm とし、c,d,eの先端幅寸法C1
1 ,E1 を35〜45mmとし、c,d,eの基端幅寸法C
2 ,D2 ,E2 を95〜105mm としている。
【0011】そして、強化繊維の方向Hは、長手方向に
対してa,bでは傾斜状に、c,d,eでは略平行状に
設定されている。具体的には、a,bでは、一辺2を0
°とした場合に、aでは−135 °程度に傾斜し、bで
は、−45°程度に傾斜している。ところで、強化繊維の
方向Hが傾斜するに従ってゴルフクラブシャフトの捻り
剛性が大きくなるように作用し、略平行に近づくほど曲
げ剛性が大きくなるように作用し、略垂直に近づくほど
つぶし強度が大きくなるように作用する。従って、この
a,bの繊維強化複合樹脂シート体1,1のような傾斜
角度近傍にて捻り剛性が最大となる。
【0012】しかして、上述の如く構成された5枚の繊
維強化複合樹脂シート体1…を図2に示すような成形用
芯金3(この成形用芯金3は基端から先端に向かって順
次縮径する)に、巻き付ける。この場合、図1に示すよ
うに、a,c,bの順で所定長さだけ────例えば各
々1/4 周程度ずつ────ずらして張り合わせて、つま
り、cの繊維強化複合樹脂シート体1をa,bの繊維強
化複合樹脂シート体1で挾んだ状態でもって巻着する。
【0013】次に、この上からdの繊維強化複合樹脂シ
ート体1を巻着し、さらにその上からeの繊維強化複合
樹脂シート体1を巻着して、a,b,c,d,eの繊維
強化複合樹脂シート体1…からなる筒状体を形成する。
その後は、この筒状体を加熱して熱硬化性樹脂を硬化さ
せた後、芯金3を引き抜いて、その硬化した筒状体の外
周面を研磨加工すれば、ゴルフクラブシャフトを形成す
ることができる。この場合、cの繊維強化複合樹脂シー
ト体1は繊維含有率が70%未満であるので、a,bの
繊維強化複合樹脂シート体1,1の接合性が向上し、安
定して、a,b,cの繊維強化複合樹脂シート体1が接
合する。つまり、製造作業性が向上する。
【0014】また、a,bの繊維強化複合樹脂シート体
1,1間に介装されるcの(繊維含有率が70%未満の)
繊維強化複合樹脂シート体1としては、図4や図5や図
6で示されるものであってもよい。即ち、図4に示すも
のでは、強化繊維の配列方向Hを長手方向に対して略垂
直に設定することにより、製造作業性を向上させると共
に、形成されたシャフトのつぶれ強度の補強を可能とし
ている。図5に示すものでは、ガラス繊維プリプレグ、
例えばTGFUDPP(新日鉄化学株式会社製)を用い
ることにより、衝撃強度の補強を可能とした。図6に示
すものでは、炭素繊維が格子状に編み込まれたいわゆる
クロスプリプレグシートであり、シャフト長手方向に対
して傾斜状になるように設定することにより捻り剛性の
補強をそれぞれ可能としている。
【0015】ところで、cの繊維強化複合樹脂シート体
1としては、繊維含有率を70%未満としているが、特に
50〜63%とするのが好ましい。つまり、繊維含有率が低
ければ低いほど樹脂含有率が高くなって粘着力が大とな
るが、繊維含有率が低いことにより、形成されるシャフ
トの強度が劣ることになる。これに対して、繊維含有率
を50〜63%とすれば、粘着力も大きくかつ強度的にも優
れたシャフトを提供することができる。また、c以外の
繊維強化複合樹脂シート体1としては、繊維含有率を70
%以上としているが、85%以下とするのが好ましい。即
ち、繊維含有率が85%を越えれば、樹脂含有率が少なく
なり、シート体に形成することが困難だからである。
【0016】なお、本発明は上述の実施の形態に限定さ
れず、例えば、巻設される繊維強化複合樹脂シート体1
の数の増減は自由であり、aの繊維強化複合樹脂シート
体1の強化繊維の配列方向Hを−45°程度とし、bの繊
維強化複合樹脂シート体1の強化繊維の配列方向Hを−
135 °程度としてもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。
【0018】 各繊維強化複合樹脂シート体1…の接
合性が向上し、製造作業性の向上を図ることができる。
挾み込む繊維強化複合樹脂シート体1の特性によっ
てゴルフクラブシャフトとして必要な強度を補うことが
できる。つまり、挾み込む繊維強化複合樹脂シート体1
の補強繊維やその配列方向を変化させることにより、つ
ぶれ強度、曲げ強度、耐衝撃強度、捻り強度の補強効果
を持たせることが可能となる。 繊維が長手方向に対
して傾斜状に設定されるため、ゴルフクラブシャフトの
捻り剛性が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフクラブシャフトの製法を示
す簡略断面図である。
【図2】成形用芯金の側面図である。
【図3】繊維強化複合樹脂シート体の平面図である。
【図4】繊維強化複合樹脂シート体の変形例を示す平面
図である。
【図5】繊維強化複合樹脂シート体の他の変形例を示す
平面図である。
【図6】繊維強化複合樹脂シート体の別の変形例を示す
平面図である。
【符号の説明】
1 繊維強化複合樹脂シート体 3 成形用芯金

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幅寸法が基端から先端の長手方向に向っ
    て順次小となる複数の繊維強化複合樹脂シート体1…を
    成形用芯金3に巻回積層した後、加熱して硬化させるゴ
    ルフクラブシャフトの製造方法であって、繊維が上記長
    手方向に対して傾斜状に設定されると共に繊維含有率が
    70%以上の2枚の繊維強化複合樹脂シート体1,1間
    に、該2枚の繊維強化複合樹脂シート体1,1より薄く
    かつ繊維含有率が70%未満の繊維強化複合樹脂シート体
    1を挾んだ状態でもって、成形用芯金3に巻き付けるこ
    とを特徴とするゴルフクラブシャフトの製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維含有率が50〜63%の繊維強化複合樹
    脂シート体1を挾む請求項1記載のゴルフクラブシャフ
    トの製造方法。
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