JP3053245B2 - 熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びその製造方法 - Google Patents
熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びその製造方法Info
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用ポリエステルシートに関する。さらに詳しくは、熱成
形性を妨げない範囲の低倍率の一軸延伸を施して剛性を
向上させ、従来のポリエステルシート成形物より剛性が
大きく、使用シート厚みを節減できるなど、経済性に優
れた熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びそ
の製造方法に関する。
ト(以降A−PETと記載する)シートの熱成形諸製品
の市場は最近拡大しつつある。A−PETシートは、比
重・軟化状態・風合いが無可塑塩化ビニール(硬質PV
C)シートに似ており、加えて透明性・耐寒性・耐衝撃
性・耐薬品性・熱成形性等に優れているので、従来のP
VC分野に進出しつつある。更にPET樹脂価格の低
下、成膜加工技術の向上とPVCの廃棄焼却処理問題
(塩素ガス発生)から世界的にもA−PET化が急速に
進展するものと考えられる。
が下がったといえどもPVCより樹脂価格が高く、また
PVCに次ぐ需要分野と予想される延伸ポリスチレン
(OPS)には比重差がありコスト高である。更に、両
者より剛性が劣るため使用シート厚みを増加する必要が
あり問題となっている。
性などから二軸延伸が当然考えられるが、二軸延伸はマ
シンディレクション(M.D)及びそれと直交する方向
(T.D)の二軸延伸を行う必要があり、簡易な工程・
設備の工程コストを上昇しない剛性向上方法が望まれれ
ている。
成形加工が困難であり、二次成形加工が可能な剛性向上
方法が望まれている。
題に留意し研究実験した結果、本発明を完成した。即ち
本発明は延伸方向の熱収縮率が20%以上であり、延伸
方向と直角方向の熱収縮率が−10%以上5%未満であ
り、そして厚み斑が±15%以下であることを特徴とす
る熱成形用一軸延伸ポリエステルシートである。
なポリエステルシートを延伸の送り出しローラと引き取
りローラにニップローラを使用し、更に引き取りローラ
直後のローラにもニップローラを用いて1.5〜2.5倍
に一軸延伸することを特徴とする上記ポリエステルシー
トの製造方法である。
後のキャストロール温度をガラス転移温度以下の出来る
だけ高温域で成形した結晶化度2〜10%のポリエステ
ルシートを延伸の送り出しローラと引き取りローラにニ
ップローラを使用し、更に引き取りローラ直後のローラ
にもニップローラを用いて1.5〜2.5倍に一軸延伸す
ることを特徴とする上記ポリエステルシートの製造方法
である。
発明の上記ポリエステルシートを熱成形して得られるこ
とを特徴とする剛性に優れたポリエステル熱成形物であ
る。
おいてポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート等のホモポリマ
ーは勿論のこと、ジカルボン酸成分の80モル%以上、
好ましくは90モル%以上がテレフタル酸またはナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸であり、グリコール成分の
80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレン
グリコールである結晶性の熱可塑性ポリエステル樹脂が
有利に用いられる。
る酸成分とする場合はナフタレン−2,6−ジカルボン
酸も、一方ナフタレン−2,6−ジカルボン酸を主たる
酸成分とする場合はテレフタル酸も含め、イソフタル
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ヘキサヒドロジカルボン酸、
ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル
酸、アジピン酸、セバチン酸、p−β−ヒドロキシエト
キシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の芳香族、脂環
族及び脂肪族の二官能カルボン酸等を挙げることができ
る。
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、デカンメチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4’−β−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4’−
β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等が挙げ
られる。
実質的に線状である範囲において少量の3官能以上の多
官能性化合物を共重合成分として用いることができる。
は1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=4
0/60混合溶媒で20℃で測定した極限粘度(IV)
が0.5ないし1.0以下、より好ましくは0.6以上0.
9以下の範囲である。
て公知の染顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電
防止剤等を含有していてもよい。
り、結晶化度は通常2%以下である。また、シートの厚
さは特に限定しないが、有効部(両端耳部各5〜10cm
を除いた部分)で50〜1000μmであり好ましくは
100〜500μmである。延伸後のシート幅は特に限
定しない。延伸後両端耳部を各50〜100mmを除去し
た部分を実用として用いるのが好ましい。
ール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式等の公知の
方式でよい。押出機は単軸押出機、二軸押出機、タンデ
ム押出機等公知の方式でよく、ベントの有無は問わな
い。ベントの無い場合またはベントの真空度が30torr
より悪い場合は、予め原料を公知の乾燥方法例えば真空
加熱乾燥機やホッパードライヤーで乾燥し水分率を10
0ppm以下、望ましくは50ppm以下にする必要がある。
水分率が高いとシートのIV低下が激しかったり、フィ
ッシュアイが発生する。IVの値は通常0.5以上、好
ましくは0.6以上であり、あまり低下すると機械的物
性が極端に低下する。一方ベントの真空度が30Torr以
下(好ましくは10Torr以下)の場合は、原料樹脂は通
常の環境での飽和水分率3,000〜7,000ppmであ
れば特に問題ない。また、樹脂の形状はペレット(チッ
プ)、フラフ、粉体状でも特に問題なく、成形品のリサ
イクルを使用してもよい。
ル巻を一軸延伸装置にかけてもよく、成膜直後に一軸延
伸(インライン)してもよい。熱エネルギー的にはイン
ライン方式が望ましいが、成膜一軸延伸されたポリエス
テルシートの熱収縮率が延伸方向に20%以上且つ延伸
と直角方向の熱収縮率が5%未満であり、シートの有効
部の厚み斑が±15%以下(好ましくは10%以下)で
あればよい。
る方法としては、押出成膜時に冷却ロール(キャストロ
ール)温度をガラス転移温度以下のできるだけ高温にし
実質的に透明で結晶化度2〜10%、好ましくは3〜6
%のシートに成膜する方法が挙げられる。
しローラと引き取りローラにニップローラを使用し、更
に引き取りローラ直後のローラにニップローラを用い
る。より安定に均一延伸するためには、延伸の送り出し
ローラと引き取りローラの間隔を300mm以下(好まし
くは100mm以下)のできるだけ短くする方法、延伸の
送り出しローラと引き取りローラにニップローラを使用
した2段以上の一軸多段延伸を採用する方法、および延
伸部を赤外線ヒーターで補助加熱する方法等が採用され
る。これらの方法を適宜組合せることがより好ましい。
向上が小さく、一方2.5倍を超えるとシートの延伸方
向と直交方向の熱収縮率も大きくなり熱成形時に十分賦
型出来ない。また延伸温度はガラス転移温度(Tg)以
上であればよい。適切な延伸温度は厚みにより異なるの
で特に上限を限定しにくいが、あまり高すぎると延伸に
よる剛性向上効果が少ない。更に高いと膠着や白化の恐
れがある。延伸倍率が1.5倍未満に一軸延伸されたシ
ートのように、延伸方向の熱収縮率が20%未満である
と剛性向上効果も少ない。この熱収縮率は延伸倍率を増
しても55%を超えず逆に低下傾向を示す。また、延伸
と直角方向の熱収縮率は5%を超えると熱成型時に賦型
が困難となる。
0%以下であり、通常は±5%以下を必要とする。しか
し、本発明のポリエステルシートの場合、延伸前のシー
トの断面形状が両端より中央部で2〜10%厚いもの、
または両端部が中央部より少なくとも1.3倍以上を有
する必要がある場合がある。本発明の一軸延伸されたシ
ートでは、厚み斑が±15%以下、好ましくは±10%
以下である。ポリエステルの場合、未延伸部に比べ延伸
部の応力が高くなるため、未延伸部分から延伸され均一
延伸化される。また一軸延伸時の延伸方向は条件が合わ
ないと極端に斑となるが、実用上厚み斑は±15%以下
であれば使用可能である。
性を向上せしめるために、延伸後にヒートセットローラ
を数本設けローラが100〜200℃の温度で3分以下
でシートを通してヒートセットを行ってもよい。ヒート
セット方法としては、延伸後にヒートセットボックスの
中を通過させる方法、プレートヒータの表面を走行させ
る方法、ヒートセットローラを数本設け ローラ表面を
走行させる方法、赤外線ヒータ等、及びこれらを併用す
る方法がある。
としては従来公知の方法でよく、例えば熱板成形、真空
成形、圧空成形、真空圧空成形等が挙げられる。
なわず1.5〜2.5倍の低延伸倍率の範囲で均一に一軸
延伸して剛性を向上した熱成型用ポリエステルシートと
その熱成形物及び製造方法を提供するものである。
は引張弾性率で行い、熱成形品では曲げ強度と腰強度で
評価した。
トが熱成形用途に用いられているが、PVCやOPSに
比べてコスト高である。これに対し本発明は、比較的簡
易な一軸延伸を行い剛性を向上させ且つ均一な厚さの熱
成形用ポリエステルシートおよびその製造方法を提供す
るもので、産業上極めて有用である。
/60の混合溶媒に試料を溶かし、ウベロード粘度計を
用い20℃で測定した。
℃×30分放置する。次いで、冷却した後、寸法を中央
部の10cm×10cmで測定する。l0:熱収縮前寸法、
l:熱収縮後寸法とすると、熱収縮率は下式で与えられ
る。
する。
エチレンテレフタレートでは1.335g/ml)、dc:
結晶状態の密度(例えばポリエチレンテレフタレートで
は1.455g/ml)。
JISの引張試験に準拠し測定する。但し、引張速度は
50mm/minとした。
3参照)を用いる。 島津製作所製:オートグラフAGS−500Sを使用す
る。但し、ヘッドスピードは50mm/minとした。
た。
=0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂(以下P
ET樹脂)のペレットを未乾燥のままベント付2軸押出
機にて成膜し、幅960mm、平均厚み500μmのシー
トを得た。(比較例1、キャストロール温度55℃)
し1.5倍,2.0倍、2.5倍(実施例1〜3)、3.0
倍(比較例2)に一軸延伸した(予熱ローラ温度80
℃、延伸ローラ間隔280mmで赤外線ヒーターをシート
上部から照射)。その結果、厚み斑は12%以内で延伸
斑は認められなかった。各々のシートをキーフェル社製
の熱成形機にて、タテ160mm、ヨコ130mm、深さ3
5mmの熱成形容器にした。これらの容器の曲げ強度、腰
強度を測定し結果を表1に示す。延伸倍率2.5倍を超
えると、熱成形時に充分賦型出来なかった。
合したIV=0.85のPET樹脂を130℃×18時
間で真空乾燥し、水分率45ppmにした。これを75φ
単軸押出機にてシート成膜し、同様に延伸した。この原
反シートを成形機(関西自動成形機社製)でタテ190
mm、ヨコ100mm、深さ20mmの熱成形容器にした。延
伸倍率2.5倍を超えると、熱成形時に充分賦型出来な
かった。これらの容器の曲げ強度、腰強度を測定した結
果を表1に示す。
φの加熱ローラを3本設けて一軸延伸した後110℃と
150℃でヒートセットを施こす以外、実施例2と同様
にして延伸シートを製造し、次いで熱成形して容器を得
た。表2から判るように耐熱性の向上した延伸シートで
あり、容器も剛性と耐熱性の向上したものであった。
とし、延伸引き取りローラ直後にニップローラを使用し
なかった。この場合、延伸されたシートは、偏光板で観
察すると、厚み斑が±30%以下で縞模様の延伸斑が著
しく実用に供し難いものであった。
状は、平均厚み500μmのフラットである。実施例9
では平均厚み500μmで中央部520μm、両端部4
90μm(約6%中央部がなだらかに凸)の断面形状を
もったものを原反シートに用いた(実施例9)。実施例
10では中央部平均厚みが500μmで両端耳部が70
0μm(両端耳部が中央部の1.40倍)の断面形状を
もった原反シートを用い、各々実施例2と同様2倍に一
軸延伸した。これ等の一軸延伸シートの厚み斑は、何れ
も実施例2に比較し一層改善された。この結果を表3に
示す。
外、直接インラインで実施例2と同様に一軸延伸した。
次いで、これ等を熱成形し評価した。その結果を表4に
示す。実施例11、12では実施例2に比較し剛性の向
上効果が見られた。なお、実施例2のペット樹脂のガラ
ス転移温度は74〜76℃である。
置の概略説明図である。
測定する方法を示した概略図である。
定する方法を示す概略図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 延伸方向の熱収縮率が20%以上であ
り、延伸方向と直角方向の熱収縮率が−10%以上5%
未満であり、そして厚み斑が±15%以下であることを
特徴とする熱成形用一軸延伸ポリエステルシート。 - 【請求項2】 ヒートセットされた請求項1記載の熱成
形用一軸延伸ポリエステルシート。 - 【請求項3】 実質的に非晶なポリエステルシートを延
伸の送り出しローラと引き取りローラにニップローラを
使用し、更に引き取りローラ直後のローラにもニップロ
ーラを用いて1.5〜2.5倍に一軸延伸することを特徴
とする請求項1記載の熱成形用一軸延伸ポリエステルシ
ートの製造方法。 - 【請求項4】 延伸の送り出しローラと引き取りローラ
の間隔が300mm以下である請求項3記載のポリエステ
ルシートの製造方法。 - 【請求項5】 シートとして両端部の厚みより中央部の
厚みが2〜10%厚い断面形状の原反シートを用いる請
求項3記載のポリエステルシートの製造方法。 - 【請求項6】 両端部の厚みが中央部の厚みより少なく
とも1.3倍以上である断面形状を有する原反シートを
用いる請求項3記載のポリエステルシートの製造方法。 - 【請求項7】 シート押出直後のキャストロール温度を
ガラス転移温度以下の出来るだけ高温域で成形した結晶
化度2〜10%のポリエステルシートを延伸の送り出し
ローラと引き取りローラにニップローラを使用し、更に
引き取りローラ直後のローラにもニップローラを用いて
1.5〜2.5倍に一軸延伸することを特徴とする請求項
1記載の熱成形用一軸延伸ポリエステルシートの製造方
法。 - 【請求項8】 請求項1記載の熱成形用一軸延伸ポリエ
ステルシートを熱成形して得られる剛性に優れたポリエ
ステル熱成形物。
Priority Applications (1)
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JP9984491A JP3053245B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP9984491A JP3053245B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04308728A JPH04308728A (ja) | 1992-10-30 |
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Family
ID=14258114
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9984491A Expired - Lifetime JP3053245B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 熱成形用ポリエステルシート、その熱成形物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3053245B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9261030B2 (en) | 2013-05-20 | 2016-02-16 | Kohler Co. | Automatic fuel shutoff |
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JP4762028B2 (ja) * | 2005-10-03 | 2011-08-31 | 積水化学工業株式会社 | 積層成形体 |
JP4762000B2 (ja) * | 2006-02-24 | 2011-08-31 | 積水化学工業株式会社 | 積層シート |
CN107850802A (zh) * | 2015-07-23 | 2018-03-27 | 富士胶片株式会社 | 液晶单元、三维结构液晶单元前体以及三维结构液晶单元的制造方法 |
WO2017038823A1 (ja) * | 2015-08-31 | 2017-03-09 | 富士フイルム株式会社 | 液晶セルおよび3次元構造液晶セル |
-
1991
- 1991-04-05 JP JP9984491A patent/JP3053245B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9261030B2 (en) | 2013-05-20 | 2016-02-16 | Kohler Co. | Automatic fuel shutoff |
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