JP3052679U - 野球・ソフトボール用ストッキング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アキレス腱や両踝の傷付きを抑制することが
でき、しかも、そのための縫製作業の簡素化を図り易い
野球・ソフトボール用ストッキングを提供する。 【解決手段】 下腿に被覆可能な筒状に編成されたスト
ッキング本体１の下縁部に、足の土踏まず部に掛止めら
れるバンド２を形成し、ストッキング本体１を、重ね合
わされた複数層の伸縮性生地製の筒状編物体４から構成
するとともに、筒状編物体４の特定の層間で、アキレス
腱当接箇所から内外の両踝接当箇所に至る部位に、複数
層の筒状編物体４に亘って止着される状態で緩衝材３を
縫着してある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、下腿に被覆可能な筒状に編成されたストッキング本体の下縁部に、 足の土踏まず部に掛止められるバンドを形成してある野球・ソフトボール用スト ッキングに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ところで、野球やソフトボールでは、ベースランニングの際に、ベースに向か ってスライディングすることがあるが、この時、走者が守備側の選手と交錯して 、この守備側の選手の足首相当箇所を誤ってスパイクシューズで蹴ってしまうこ とがあり、これにより、守備側の選手のアキレス腱や内外の両踝を傷付けてしま う問題があり、従来では、選手各自が、ストッキングの下に着用する靴下を厚手 のものにしたり、或いは、靴下と素足との間に衝撃緩衝材を入れて、アキレス腱 や両踝を保護するとともに、靴擦れを防止する処置を独自で行っているのが実状 であったが、厚手の靴下を着用するとスパイクシューズのサイズが合わなくなる ことがあり、また、靴下と素足との間に衝撃緩衝材を入れても、この衝撃緩衝材 が使用中（練習中又は競技中）にずれてしまい、十分に保護機能を発揮すること ができないことがあり、有効な対策が望まれていた。

【０００３】 そこで、実公平５−３４６８０号公報に記載されているサッカー用のシンガー ドの技術を利用して、前記ストッキング本体を構成する単一の筒状編物体の内面 側（裏面側）のうち、アキレス腱当接箇所から内外の両踝接当箇所に亘る部位に 衝撃緩衝材を縫着することにより使用中のずれを抑制して、この衝撃緩衝材にて アキレス腱及び両踝を保護することにより、アキレス腱や両踝の傷付きを防止す ることが考えられた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このように構成された野球・ソフトボール用ストッキングでは 、衝撃緩衝材を筒状編物体の内面側に縫着するに当たって、衝撃緩衝材が筒状編 物体の内面から浮き上がって、ストッキングを着用する際に足が引っ掛からない ようにするために、衝撃緩衝材の周縁部分全周に亘って筒状編物体に縫い付ける 必要があり、縫製作業の煩雑化を招来する問題がある。

【０００５】 本考案は、上述の実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、ア キレス腱や両踝の傷付きを抑制することができ、しかも、そのための縫製作業の 簡素化を図り易い野球・ソフトボール用ストッキングを提供する点にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するための本考案の請求項１記載の野球・ソフトボール用ス トッキングの特徴構成は、下腿に被覆可能な筒状に編成されたストッキング本体 の下縁部に、足の土踏まず部に掛止められるバンドを形成してある野球・ソフト ボール用ストッキングであって、 前記ストッキング本体を、重ね合わされた複数層の伸縮性生地製の筒状編物体 から構成するとともに、前記筒状編物体の特定の層間で、アキレス腱当接箇所か ら内外の両踝接当箇所に至る部位に、前記複数層の筒状編物体に亘って止着され る状態で緩衝材を縫着してある点にある。 つまり、野球・ソフトボール用ストッキングでは、スパイクシューズ内に入り 込む部位が、前記ストッキング本体の下縁部とバンドとであり、ストッキング本 体の厚みがスパイクシューズのサイズに影響を及ぼす虞れが少ない点に着目して 成されたものであり、上記特徴構成によれば、前記ストッキング本体を伸縮性生 地製の複数層の編物体から構成することにより、ストッキング本体を伸縮性の乏 しい単一層の筒状編物体から構成する場合に比して、ストッキング本体を厚手に 構成することができ、かつ、ストッキング本体に下腿に対する締付け力を発揮さ せることができる。 しかも、前記ストッキング本体を、重ね合わされた複数層の筒状編物体から構 成するが故に、この複数層の筒状編物体の特定の層間で、アキレス腱当接箇所か ら内外の両踝接当箇所に至る部位に、アキレス腱や両踝を保護する衝撃緩衝材を 設けることができ、しかも、この衝撃緩衝材の表裏両面は筒状編物体で覆われる こととなり、衝撃緩衝材は外部に露出することがなく、ストッキングを着用する 際に衝撃緩衝材の周縁部分に爪先が引っ掛かる心配が殆どないから、衝撃緩衝材 を、それの周縁全周に亘って筒状編物体に必ずしも縫着する必要がなくなる。 更に、前記衝撃緩衝材を複数層の筒状編物体に亘って縫着することにより、隣 接する筒状編物体同士の相対的なずれ動きを抑制することができる。 それ故に、ボールが下腿に当たったときのストッキング本体による衝撃吸収能 力を、ストッキング本体の厚みを厚くして高めることができるとともに、誤って スパイクシューズで下腿を蹴られたときのアキレス腱や両踝の傷付きを衝撃緩衝 材にて抑制することができる。 また、前記ストッキング本体による下腿の保温性能を、ストッキング本体の厚 みを厚くすることにより向上でき、かつ、ストッキング本体の締付け力とにより 、下腿の筋肉の肉離れやアキレス腱の断裂等に対する保護機能を発揮することが できる。 更に、前記衝撃緩衝材を複数層の筒状編物体に対して部分的に縫着するだけで も、ストッキングを着用する際の不都合を回避した状態で、衝撃緩衝材を複数筒 状編物体に固着することができ、しかも、隣接する筒状編物体同士の相対的なず れ動きを抑制するための複数層の筒状編物体同士の縫着も衝撃緩衝材の縫着にて 行えるから、縫着作業の簡素化を図ることができる。

【０００７】 本考案の請求項２記載の野球・ソフトボール用ストッキングの特徴構成は、前 記衝撃緩衝材が、前記両踝接当箇所を除く複数箇所で前記複数層の筒状編物体に 縫着されている点にある。 上記特徴構成によれば、骨と皮との間に筋肉が殆どなく、小さな衝撃でも痛み を感じ易い両踝に接触する衝撃緩衝材の両踝接当箇所に、縫着糸により締付けら れて硬くなり易い衝撃緩衝材の縫着部分が存在しないから、例えば、衝撃緩衝材 の両踝接当箇所を複数層の筒状編物体に縫着してあるものに比して、ボールが衝 撃緩衝材の踝接当箇所に当たったときに感じる痛みを和らげることができる。

【０００８】 本考案の請求項３記載の野球・ソフトボール用ストッキングの特徴構成は、前 記筒状編物体を構成する伸縮性生地が、ゴム糸を編み込んだ丸編み地からなり、 前記筒状編物体の筒軸芯方向で、複数段の編み糸部分と１段のゴム糸部分とが交 互に位置する状態で編まれている点にある。 一般に伸縮性生地としては、関節や筋肉を保護するサポーターに用いられる生 地が考えられるが、このサポーター用の生地は、編み糸部分とゴム糸部分とが交 互に位置する状態で編まれており、この生地を用いてストッキング本体を構成す ると、下腿が締付けられ過ぎて該下腿の血液の流れを阻害し、下腿に痛みを感じ たり、或いは、ストッキングを脱いだ後に下腿に痺れを感じたりすることが判明 した。 そこで、鋭意研究した結果、ストッキング本体を構成するに当たって、上記特 徴構成を採用することが望ましいことが判明した。 つまり、前記筒状編物体を製造するに当たって丸編みを採用することにより、 筒状編物体を製造する工程でゴム糸を同時に編み込むことができるから製造コス ト面で有利であり、しかも、前記サポーター用の生地を用いる場合に比して、ゴ ム糸の密度を低くすることができるから、下腿を締付け過ぎることがなく、スト ッキングの着用時に下腿に痛みを感じたり、或いは、ストッキングを脱いだ後に 下腿に痺れを感じたりすることを抑制することができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

図１〜図４は、本考案の野球・ソフトボール用ストッキングの好ましい実施形 態を示し、足の下腿に被覆可能な筒状に編成されたストッキング本体１の下縁部 に、足の土踏まず部に掛止められるバンド２を形成してあるとともに、ストッキ ング本体１のアキレス腱当接箇所から内外の両踝接当箇所に至る部位には、スパ イクシューズで蹴られたときの衝撃を吸収することができる衝撃緩衝材３を縫着 してある。 詳しくは、前記ストッキング本体１は、重ね合わされた２層の伸縮性生地製の 筒状編物体４から構成してあり、２層の筒状編物体４の特定の層間としての該両 筒状編物体４の相対向面間で、アキレス腱当接箇所から内外の両踝接当箇所に至 る部位に衝撃緩衝材３を設け、２層の筒状編物体４に亘って止着される状態でこ の衝撃緩衝材３を縫着してある。

【００１０】 前記衝撃緩衝材３は硬質ウレタンホームから形成してあり、この衝撃緩衝材３ は、両踝接当箇所を除く複数箇所、具体的には、各踝接当箇所の上方部位ａと下 方部位ｂとの４箇所を２層の筒状編物体４に亘って縫着してある。

【００１１】 前記２層の筒状編物体４を構成する伸縮性生地は、図５に示すように、丸編み 機にてゴム糸５と編み糸６とを、筒状編物体４の筒軸芯Ｘ方向で、複数段の編み 糸部分６ａと１段のゴム糸部分５ａとが交互に位置する状態で編み込んだ丸編み 地からなり、この丸編み地を折り返して重ね合わせることにより、２層からなる 筒状編物体４を構成してある。 前記丸編み地を構成する編み糸６は、１００デニールのナイロン糸の周囲に、 ポリエステルとレーヨンの混紡糸（ポリエステル６５パーセント、レーヨン３５ パーセント）を巻き付けた人造糸から構成してあり、前記ゴム糸５は、糸状のゴ ムの周囲に、綿糸を巻き付けて構成してある。 尚、当該実施形態では、筒状編物体４の筒軸芯Ｘ方向で、３段の編み糸部分６ ａと１段のゴム糸部分５ａとが交互に位置する状態で編まれたものを例示してい るが、この構成に限定されるものではなく、編み糸６の種類、及び、ゴム糸５の 種類、又は、使用対象とする選手の体格や年令に応じて、ストッキング本体１の 下腿に対する締付け力が最適となるように、筒状編物体４の筒軸芯Ｘ方向での編 み糸部分６ａの段数を変更してもよい。 例えば、前記筒状編物体４の筒軸芯Ｘ方向で連続する編み糸部分６ａの段数は 、２段、４段、５段、或いは、それ以上の段数に構成することができる。

【００１２】 前記２層の筒状編物体４を構成する伸縮性生地の折り返し部分は、ストッキン グの履き口７に構成してあるとともに、この折り返された伸縮性生地の両遊端部 分は、足の内外の両踝を覆い、かつ、足の甲と踵の上部とに沿う形状にカットし てあり、このカット部分をストッキング本体１の下縁部に構成してある。 前記衝撃緩衝材３は、ストッキング本体１の下縁部のカット部分を通して両筒 状編物体４の相対向面間で、アキレス腱当接箇所から内外の両踝接当箇所に亘る 部位に挿入してあり、この衝撃緩衝材３を両筒状編物体４に亘って縫着したのち 、前記両カット部分を縫着して両筒状編物体４のカット部分間の開口を止着して ある。

【００１３】 また、前記ストッキング本体１の外面側のうち、履き口７と衝撃緩衝材３の取 付け相当箇所との中間部位には、２層の筒状編物体４に亘って刺繍８が施されて いて、この刺繍８と、前記衝撃緩衝材３の縫着部分とにより、２層の筒状編物体 ４の相対的なずれ動きを防止してある。

【００１４】 前記バンド２は布帯製であり、ストッキング本体１の下縁部のうち、両踝接当 箇所の下方部位の外面に渡って設けてあり、バンド２の両端の各々を、２層の筒 状編物体４と衝撃緩衝部材３とに亘って縫着して止着してある。

【００１５】 〔その他の実施形態〕 前記実施形態では、ゴム糸５を編み込んだ丸編み地からなる伸縮性生地を 折り返して重ね合わせることにより、２層からなる筒状編物体４を構成したが、 この構成に限定されるものではなく、ゴム糸５を編み込んだ丸編み地からなる伸 縮性生地を内外に重ね合わせ、その上下両端を縫製して２層からなる筒状編物体 ４を構成してもよい。 前記実施形態では、重ね合わされた２層の伸縮性生地製の筒状編物体４か らストッキング本体１を構成したが、これに限定されるものではなく、重ね合わ された３層以上の筒状編物体４からストッキング本体１を構成してもよい。 この場合は、重ね合わされた３層以上の伸縮性生地製の筒状編物体４の特定の 層間、例えば、最も外側に位置する筒状編物体４と、該筒状編物体４の内方に隣 接する筒状編物体４との相対向面間で、アキレス腱当接箇所から内外の両踝接当 箇所に至る部位に、複数層の筒状編物体４に亘って止着される状態で衝撃緩衝材 ３を止着する。 前記実施形態では、筒状編物体４を構成する伸縮製生地を、ゴム糸５を編 み込んだ丸編み地から構成したが、ゴム糸５を編み込むことができ、かつ、筒状 に編成することができるならば、その伸縮製生地を編成するための編み方として は丸編みに限定されるものではない。 前記実施形態では、筒状編物体４を構成する編み糸６として人造糸を採用 したが、人造糸に限定されるものではなく、例えば、編み糸６として羊毛や綿糸 を採用してもよい。 前記実施形態では、足の土踏まず部に掛止められるバンド２をストッキン グ本体１とは別体に形成したが、ストッキング本体１を構成する筒状編物体４を 編む工程で、バンド２を一体的に編成してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の野球・ソフトボール用ストッキングの
側面図

【図２】本考案の野球・ソフトボール用ストッキングの
背面図

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図

【図４】衝撃緩衝材の展開図

【図５】編み組織の部分拡大図

【符号の説明】

１ ストッキング本体 ２ バンド ３ 衝撃緩衝材 ４ 筒状編物体 ５ ゴム糸 ５ａ ゴム糸部分 ６ａ 編み糸部分 Ｘ 筒軸芯

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下腿に被覆可能な筒状に編成されたスト
   ッキング本体の下縁部に、足の土踏まず部に掛止められ
   るバンドを形成してある野球・ソフトボール用ストッキ
   ングであって、 前記ストッキング本体を、重ね合わされた複数層の伸縮
   性生地製の筒状編物体から構成するとともに、前記筒状
   編物体の特定の層間で、アキレス腱当接箇所から内外の
   両踝接当箇所に至る部位に、前記複数層の筒状編物体に
   亘って止着される状態で緩衝材を縫着してある野球・ソ
   フトボール用ストッキング。
2. 【請求項２】 前記衝撃緩衝材が、前記両踝接当箇所を
   除く複数箇所で前記複数層の筒状編物体に縫着されてい
   る請求項１記載の野球・ソフトボール用ストッキング。
3. 【請求項３】 前記筒状編物体を構成する伸縮性生地
   が、ゴム糸を編み込んだ丸編み地からなり、前記筒状編
   物体の筒軸芯方向で、複数段の編み糸部分と１段のゴム
   糸部分とが交互に位置する状態で編まれている請求項１
   又は２記載の野球・ソフトボール用ストッキング。