JP3050262B2 - セラミック製グロープラグ - Google Patents

セラミック製グロープラグ

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JP3050262B2
JP3050262B2 JP5183205A JP18320593A JP3050262B2 JP 3050262 B2 JP3050262 B2 JP 3050262B2 JP 5183205 A JP5183205 A JP 5183205A JP 18320593 A JP18320593 A JP 18320593A JP 3050262 B2 JP3050262 B2 JP 3050262B2
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英男 河村
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株式会社いすゞセラミックス研究所
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディーゼルエンジン
等に使用されるセラミック製グロープラグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、グロープラグは、窒化ケイ素等の
セラミックスにタングステンW線を埋め込んで構成され
ている。タングステンW線では、図4に示すように、1
2Vの電源に対して、常温では抵抗値が0.1Ωであり
且つその時の電流は120Aである。グロープラグが時
間の経過に伴って常温から温度が上昇して900℃にな
ると、抵抗値は0.4Ωになり、その時の電流は30A
である。そして、グロープラグが加熱して抵抗値が上昇
し、抵抗値が1Ωになって安定するものであり、その時
の電流は12Aである。即ち、ディーゼルエンジンに使
用されている従来のグロープラグでは、コントローラの
指令で12Vのバッテリーから電流を流すと、最初は1
20Aの電流が流れるが、ヒータコイルの温度上昇と共
に、抵抗値が大きくなり、抵抗値が1Ωになったところ
で安定する。そこで、グロープラグを抵抗値が1Ωのと
ころで安定するように、コントローラの指令で電流を制
御してヒータコイルが1Ωに保持されるような制御を行
っていた。
【0003】従来のグロープラグでは、コントローラを
使用することなく、グロープラグが1Ωに調節されるよ
うな自己制御できるものが開発された。タングステンW
とニッケルNiは、図3に示すように、温度℃の上昇に
従って、抵抗値Ωが上昇して大きくなる特性を有してい
る。従って、タングステンW線とニッケルNi線では、
温度の上昇に従って抵抗値Ωが大きくなり、電流が減少
して電流値が制限されることになる。そこで、自己制御
型グロープラグは、タングステンW線をSi34 等の
セラミックスの中に埋設し、そのW線と直列にニッケル
Ni線のコイルを接続して構成されている。即ち、自己
制御型グロープラグは、ヒータコイルの発熱体の部分に
電気抵抗値が小さい導電体を配置し、その導電体の上流
側にNi線のコイルの電気抵抗値の大きい金属線を接続
して作製されていた。このような自己制御型グロープラ
グは、電流を流すことによってNi製コイルが過熱され
て抵抗値が大きくなり、電流が減少してヒータコイルの
発熱体の部分の発熱量が制御されることになる。
【0004】従来、自己電流制御型グロープラグとして
は、特公平4−34052号公報、特公昭60−194
04号公報、特開昭59−157423号公報、特開昭
58−106326号公報等に開示されたものがある。
【0005】例えば、特公平4−34052号公報に開
示された自己制御型グロープラグは、通電昇温時におけ
る発熱体の温度を制御するため、発熱体に電流制御用抵
抗体を直列に接続したものであり、発熱線コイルと抵抗
体コイルとが直列に接続されてセラミック焼結体中に埋
設され、一体化されたセラミックヒータを構成し、発熱
線が温度−抵抗係数が4倍以下となるような正の抵抗温
度係数を持つタングステンWとレニウムRe合金線から
なり、抵抗体は純W又は純モリブデンMoの線材からな
るものである。
【0006】また、特公昭60−19404号公報に開
示されたシーズグロープラグは、耐熱性の有底金属チュ
ーブの内底と中心電極間をいずれも巻線の発熱体と抵抗
体を直接接続して成る自己制御型のシーズグロープラグ
であり、抵抗体の巻線ピッチが中心電極側の電極側の取
付金具に近い部分を密にし、発熱体側に近い部分を粗に
形成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自己電流制御型グロープラグは、遮熱エンジン等の高温
燃焼室での使用では、耐熱性、熱ショックに対する強
度、高温強度等について十分なものとはいえないもので
あった。また、従来開示されている自己制御型グロープ
ラグは、炭化タングステン線を用いて作製した発熱線コ
イルとNi線コイルを用いて作製した抵抗体コイルとを
接続し、両者を抵抗温度係数が異なる材料で作製した
り、或いは巻線の発熱体と抵抗体とを異なった形状に作
製したものであるので、使用中にNi線が過熱によって
断線したり、経時変化によって劣化するという問題があ
り、しかも構造が複雑になり、コスト、強度に関して満
足できるものではなかった。
【0008】セラミック製グロープラグについては、自
己電流制御型グロープラグを構成するには、ヒータコイ
ルの電流通路の上流側領域で抵抗値が極端に上昇すれば
よいものである。ヒータコイルにおける抵抗値と温度と
の関係は、次式で示される。 ρT X =ρT 0 〔1+α(TX −T0 )〕 但し、ρT X はある温度TX でのヒータコイルの抵抗
値、ρT 0 は常温T0 でのヒータコイルの抵抗値、αは
抵抗温度係数である。
【0009】通常、グロープラグは、12Vの電源電圧
では、1Ω位で飽和電流が流れ、温度が約900℃に保
持されるものである。グロープラグを瞬間的に加熱する
ためには、常温で0.1Ω位が必要である。通常、加熱
線即ちヒータコイルとして使用されるW線等は、抵抗温
度係数が4×10- 3 程度であるので、900℃で電流
を飽和させることができない。
【0010】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、タングステン線等の上流側領域の
電流制御用ヒータコイルの遮熱度を該電流制御用ヒータ
コイルに直列に接続した下流側領域のヒータコイルの遮
熱度より大きくし、前記電流制御用ヒータコイルと前記
ヒータコイルとの熱放散量の違いによって、前記電流制
御用ヒータコイルを過熱して前記電流制御用ヒータコイ
ルの抵抗値を大きくし、前記電流制御用ヒータコイル及
び前記ヒータコイルに流れる電流を制御し、セラミック
製シースの発熱体を構成する先端部の発熱量を制御する
自己電流制御型に構成し、高温の燃焼室での熱ショック
に対して高強度を有し、耐酸化性、耐熱性に富み、電気
的接続部に無理が発生せず、安定した強度を確保できる
セラミック製グロープラグを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するため、次のように構成されている。即ち、この
発明は、電極を備えた中空状本体、該本体から発熱部を
突出させた前記本体に固定されたセラミック製シース、
該セラミック製シース内に充填されたセラミックスから
成る低熱伝導部材、前記電極に電源接続部を介して接続
し且つ前記セラミック製シース内で前記低熱伝導部材の
長手方向内部に埋設された線径が小径の電流制御用ヒー
タコイル、及び該電流制御用ヒータコイルに直列に接続
すると共に前記本体に電気接続部を介して接続し且つ前
記セラミック製シースの内壁面に接触状態に前記低熱伝
導部材の長手方向外側に配置された線径が大径のヒータ
コイル、を有することを特徴とするセラミック製グロー
プラグに関する。
【0012】また、このセラミック製グロープラグにお
いて、前記電流制御用ヒータコイルの巻き方は密に巻き
上げられ、前記ヒータコイルの巻き方は粗に巻き上げら
れている。
【0013】また、このセラミック製グロープラグにお
いて、前記セラミック製シースに充填された低熱伝導部
材は、Ti,Si,Al2 3 の粉末混合物をN2 中で
焼結して作製したSi−Ti−Al−O−N系セラミッ
クスから構成されているものである。
【0014】また、このセラミック製グロープラグにお
いて、前記セラミック製シースはSi3 4 で作製され
ているものである。
【0015】また、このセラミック製グロープラグにお
いて、前記電流制御用ヒータコイル及び前記ヒータコイ
ルはタングステン線で作製され、該タングステン線の外
面が炭化ケイ素又は炭化タングステンで被覆されている
ものである。
【0016】
【作用】この発明によるセラミック製グロープラグは、
上記のように構成されており、次のように作用する。即
ち、このセラミック製グロープラグは、中空状本体から
セラミック製シースの発熱部を突出させ、該セラミック
製シース内にセラミックスから成る低熱伝導部材を充填
し、前記電極に電源接続部を介して接続した小径の電流
制御用ヒータコイルを前記セラミック製シース内で前記
低熱伝導部材の長手方向内部に埋設し、前記セラミック
製シースの内壁面に接触して前記低熱伝導部材の長手方
向外側に配置した大径のヒータコイルを前記電流制御用
ヒータコイルに直列に接続すると共に前記本体に電気接
続部を介して接続したので、前記電流制御用ヒータコイ
ルと前記ヒータコイルに電流を流すと、前記電流制御用
ヒータコイルは前記低熱伝導部材中に埋設されて遮熱度
が大きく、前記電流制御用ヒータコイルが前記ヒータコ
イルに比較して高温になる。そこで、前記電流制御用ヒ
ータコイルが高温になれば、前記電流制御用ヒータコイ
ルの抵抗値が大きくなり、前記電流制御用ヒータコイル
と前記ヒータコイルに流れる電流が小さくなり、前記セ
ラミック製シースの前記発熱部の発熱量が自己制御さ
れ、最適値に制御されることになる。
【0017】このセラミック製グロープラグにおいて、
前記セラミック製シースは、Si34 から一端が閉鎖
状態に形成された薄肉チューブに形成され、その中に二
重に耐熱金属線が配置され、該耐熱金属線の内部側が前
記電流制御用ヒータコイルであり且つ外側が前記ヒータ
コイルである。また、前記セラミック製シース内にはS
i−Ti−Al−O−N系のセラミックスから成る低熱
伝導部材が充填され、該低熱伝導部材内に前記電流制御
用ヒータコイルが埋め込まれているので、前記電流制御
用ヒータコイルは確実に遮熱されると共に、前記電流制
御用ヒータコイルと前記ヒータコイルは前記セラミック
製シース内に強固に固定される。しかも、温度上昇で抵
抗値が上昇する前記電流制御用ヒータコイルは、Si−
Ti−Al−O−N系セラミックスの中に埋設されてい
るので、断線の発生は確実に防止することができ、ま
た、前記セラミック製シースは筒状であり、構造がシン
プルであるので、前記ヒータコイル、前記電流制御用ヒ
ータコイル、前記中空状本体、前記電源接続部の接続部
を強固に構成することができる。
【0018】また、Si−Ti−Al−O−N系セラミ
ックスは、原料としてSi,Ti,Al2 3 を粉砕し
てSi3 4 の前記セラミック製シース内に充填し、N
2 ガス雰囲気中で焼結し、Si3 4 とTiNの複合材
を作製し、次いで、O2 ガス雰囲気中で、約1000℃
でTiNを酸化させ、TiO2 とし、内部の密度を均一
にし、Si3 4 に近い値にする。この場合、タングス
テンW線は、高温でO2 による酸化が厳しいので、外周
の線膨張率のほぼ同じ、SiCによって被覆することに
より対応できる。この時、Si,Ti,Al2 3 の粉
末混合物をSi3 4 とTiNとに反応焼結させる場合
に、TiNが体積膨張するので、グロープラグ内で隙間
無く均一な焼結体が作製できる。即ち、この焼結体は、
Si3 4 から成る前記セラミック製シース内で収縮せ
ず、熱伝導率が小さく、線膨張係数が小さいので、前記
セラミック製シース内での低熱伝導部材として理想的な
特性を有している。
【0019】前記発熱部を構成する前記ヒータコイル
は、径の大きいタングステンW線であり、Si3 4
前記セラミック製シースに近接しているので、熱伝導性
の良好なSi3 4 の前記セラミック製シースを加熱す
る。これに対して、径の小さい前記電流制御用ヒータコ
イルは線径の小さいタングステンW線であり、前記低熱
伝導部材のSi−Ti−Al−O−N系セラミックス内
に埋設されているので、前記電流制御用ヒータコイルの
加熱に伴って前記電流制御用ヒータコイルの周囲は高温
雰囲気になる。即ち、Si−Ti−Al−O−N系セラ
ミックスは線膨張係数が小さい(2×10- 6 /K)の
で、熱応力の発生が少なく、高温に到達するまで、急加
熱しても破壊する心配が少ない。また、前記低熱伝導部
材の内部のタングステン線は、温度上昇と共に、その抵
抗値が増加し、グロープラグに通電される電流を抑制す
る。エンジンの燃焼室内での加熱急冷等の熱応力の変化
に対しては、外側に位置するセラミック製シースのSi
3 4 が十分に強度を保証しているので、総合的に耐久
性の優れたグロープラグを提供できる。
【0020】また、前記電流制御用ヒータコイル及び前
記ヒータコイルはタングステン線で作製され、がタング
ステン線の外面は炭化ケイ素又は炭化タングステンで被
覆されているので、前記ヒータコイルを構成するタング
ステンの酸化を防止でき、耐腐食性を向上でき、前記ヒ
ータコイルの耐久性を向上できる。しかも、タングステ
ンと炭化ケイ素とは、両者とも線膨張係数が4×10
- 6 /℃であり、同一であるので、熱膨張差によってS
iCの被覆層がW線から剥離することがなく、強固に被
覆される。そして、炭化ケイ素SiCは抵抗温度係数が
負であるので、高温度で自己の発熱性が悪くなり、内側
での発熱が大きくなる。また、前記セラミック製シース
を構成する窒化ケイ素と前記低熱伝導部材を構成するS
i−Ti−Al−O−N材は、ほぼ線膨張係数が同じで
あり、両者の馴染み性が良好であるので、前記セラミッ
ク製シース内に前記低熱伝導部材が隙間が発生すること
なく、良好に接合されて配置される。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明によるセラ
ミック製グロープラグの実施例を説明する。図1はこの
発明によるセラミック製グロープラグの一実施例を示す
概略説明図である。
【0022】このセラミック製グロープラグは、主とし
て、絶縁体(図示せず)を介在して端子即ち電極10を
取り付けた中空状本体1、セラミック製シース2、電流
制御用ヒータコイル3、該電流制御用ヒータコイル3に
直列に接続したヒータコイル5、及びセラミック製シー
ス2内に充填された低熱伝導部材4から構成されてい
る。中空状本体1は、耐熱合金等の金属から作製され、
取り付けのためのねじ11及びナット14を有してい
る。セラミック製シース2は、耐熱性及び高温高強度に
優れた窒化ケイ素Si3 4 から薄肉チューブに形成さ
れており、先端は円弧状に閉鎖されており、他端の一部
が中空状本体1の内壁面17に接触した状態に固定され
ている。セラミック製シース2は、中空状本体1から突
出した発熱部12が構成されている。また、セラミック
製シース2を中空状本体1に固着するには、セラミック
製シース2の外周面をメタリイジングして接合すれば、
両者は極めて強固に電気的に接合できる。また、セラミ
ック製シース2の発熱部12は、中空状本体1の端部1
5から突出状態に配置されている。
【0023】このセラミック製グロープラグにおいて、
電流制御用ヒータコイル3は、電極10に電源接続部8
を介して接続すると共に、セラミック製シース2の先端
に設けられた接続線7に接続されている。更に、電流制
御用ヒータコイル3は、セラミック製シース2内で低熱
伝導部材4の長手方向内部に埋設された線径が小径の耐
熱金属線である。また、ヒータコイル5は、電流制御用
ヒータコイル3に接続線即ち接続部7を介して直列に接
続されると共に、中空状本体1の内壁面17に固定され
た電気接続部6を介して中空状本体1に接続されてい
る。更に、ヒータコイル5は、セラミック製シース2内
で低熱伝導部材4の長手方向外側に配置された線径が大
径の耐熱金属線であり、セラミック製シース2の内壁面
13に接触して配置され、ヒータコイル5からセラミッ
ク製シース2への熱伝導が良好になるように構成されて
いる。電流制御用ヒータコイル3の巻き方は密に巻き上
げられ、また、ヒータコイル5の巻き方は粗に巻き上げ
られている。
【0024】このセラミック製グロープラグにおいて、
電流制御用ヒータコイル3及びヒータコイル5は、炭化
ケイ素SiC又は炭化タングステンWCで被覆されたタ
ングステンW線等の耐熱金属材料で作製されており、セ
ラミック製シース2内の長手方向に延びており、しか
も、電流制御用ヒータコイル3とヒータコイル5とは低
熱伝導部材4によって電気的に遮断されている。電流制
御用ヒータコイル3とヒータコイル5を構成するタング
ステンW線を、SiC又はWC等で被覆することによっ
て、タングステンWの酸化を防止でき、耐久性を向上で
きる。
【0025】また、このセラミック製グロープラグにお
いて、セラミック製シース2内に充填された低熱伝導部
材4は、Si−Ti−Al−O−N系のセラミックスか
ら成る低熱伝導セラミックスである。Si−Ti−Al
−O−N系セラミックスは、Si3 4 +TiO2 +A
2 3 から成る複合材であり、熱伝導率は、ほぼ2W
/h・m2 と極めて低いセラミックスである。
【0026】Si−Ti−Al−O−N系セラミックス
の複合材は、次のようにして作製できる。Si、Ti及
びAl2 3 から成る混合粉末に添加物、バインダ等を
加えてスラリーを作製し、N2 ガス雰囲気で反応焼結さ
せることによって、充填物はSi3 4 とTiNに転化
する。TiNは不安定であるので、そこで、Si3 4
とTiNをO2 ガス中で反応させると、TiNがTiO
2 になり、Si−Ti−Al−O−N系セラミックスが
作製される。ここで、TiO2 自体は酸化に対して極め
て安定しており、製造工程中の中間生成物としてTiN
を含んでいるので反応体積が大となるので、セラミック
製シース2との間、及び電流制御用ヒータコイル3及び
ヒータコイル5の線体との間に隙間等が発生することが
なく、密着した状態にSi−Ti−Al−O−N系セラ
ミックスの低熱伝導部材4がセラミック製シース2内に
配置されることになる。
【0027】セラミック製シース2は、Si3 4 から
一端が閉鎖状態に形成された薄肉チューブに形成されて
いる。セラミック製シース2を作製は、例えば、石膏型
内にヒータコイル5となるタングステン線を配置してお
き、Si3 4 の原料スラリーを排泥法で石膏型壁面に
着肉させて成形体を作製し、該成形体を焼成してSi3
4 から成るセラミック製シース2を作製する。また、
セラミック製シース2の中に耐熱金属線を配置して内部
に電流制御用ヒータコイル3を配置する。次いで、セラ
ミック製シース2内にSi−Ti−Al−O−N系セラ
ミックスを形成するには、原料としてTi,Si
3 4 ,Al2 3 の各粉末を混合し、バインダ、添加
剤等を添加したスラリーをセラミック製シース2に充填
し、N2 ガス中で反応焼結することによって、セラミッ
ク製シース2の内部にSi3 4 とTiNに転化される
が、O2 ガス雰囲気中で、約1000℃でTiNを酸化
させ、TiO2 とし、内部の密度を均一にし、Si3
4 に近い値にする。この場合、タングステンW線は、高
温でO2 による酸化が厳しいので、外周の線膨張率のほ
ぼ同じ、SiCによって被覆することにより対応でき
る。また、Si,Ti,Al2 3 の粉末混合物をSi
3 4 とTiNとに反応焼結させる場合に、TiNが体
積膨張するので、グロープラグ内で隙間無く均一な焼結
体が作製できる。この時、この焼結体は、Si3 4
ら成るセラミック製シース2内で収縮せず、熱伝導率が
小さく、線膨張係数が小さいので、セラミック製シース
2内での低熱伝導部材として理想的な特性を有してい
る。
【0028】発熱体を構成するヒータコイル5は、径の
大きいタングステンW線であり、Si3 4 のセラミッ
ク製シース2に近接しているので、熱伝導性の良好なS
34 のセラミック製シース2を加熱する。これに対
して、径の小さい電流制御用ヒータコイル3は径の小さ
いタングステンW線であり、低熱伝導部材4のSi−T
i−Al−O−N系セラミックス内に埋設されているの
で、電流制御用ヒータコイル3の加熱に伴って該電流制
御用ヒータコイル3の周囲は高温雰囲気になる。即ち、
Si−Ti−Al−O−N系セラミックスは線膨張係数
が小さいので、熱応力の発生が少なく、高温に到達する
まで、急加熱しても破壊する心配が少ない。また、低熱
伝導部材4の内部のタングステン線は、温度上昇と共
に、その抵抗値が増加し、グロープラグに通電される電
流を抑制する。エンジンの燃焼室内での加熱急冷等の熱
応力の変化に対しては、外側に位置するセラミック製シ
ース2のSi3 4 が十分に強度を保証しているので、
総合的に耐久性の優れたグロープラグを提供できる。
【0029】また、電流制御用ヒータコイル3及びヒー
タコイル5は、炭化ケイ素SiC又は炭化タングステン
WCで被覆されているので、電流制御用ヒータコイル3
及びヒータコイル5を構成するタングステンWの酸化を
防止でき、耐腐食性を向上でき、電流制御用ヒータコイ
ル3及びヒータコイル5の耐久性を向上できる。そし
て、炭化ケイ素SiCは、抵抗温度係数が負であるの
で、高温度で自己の発熱性が悪くなり、内側での発熱が
大きくなる。
【0030】このセラミック製グロープラグでは、電極
10は中空状本体1の中空部9に非接触状態に延びて電
源接続部8に接続されている。タングステンW線は、セ
ラミック製シース2内では径が小さく、セラミック製シ
ース2から外れる領域では径が大きく形成されているの
で、セラミック製シース2内でヒータコイル5を形成す
ることができる。また、セラミック製シース2は、窒化
ケイ素Si3 4 から排泥法等で成形体を形成して焼成
することで作製することができる。ヒータコイル5と中
空状本体1とを電気的に結線するため、中空状本体1の
内壁面17に電気接続部6を固着し、該電気接続部6に
ヒータコイル5を耐熱金属で蒸着によって結線すること
ができる。また、ヒータコイル5と接続部7との電気的
結線及び電気抵抗線3と電源接続部8との電気的結線
は、耐熱金属で蒸着によって堅固に確実に結線されてい
る。
【0031】このセラミック製グロープラグは、上記の
ように構成されているので、次のように作用する。即
ち、このセラミック製グロープラグは、電極10から電
流を電流制御用ヒータコイル3ヒータコイル5に流す
と、セラミック製シース2内には低熱伝導部材4が充填
されているので、電流制御用ヒータコイル3の位置する
セラミック製シース2の中央部はヒータコイル5の位置
する外周部に比較して極端に温度が上昇する。そして、
低熱伝導部材4の内部が高温になれば、電流制御用ヒー
タコイル3の抵抗値が大きくなり、電流制御用ヒータコ
イル3及びヒータコイル5に流れる電流が小さくなり、
セラミック製シース2の発熱部12の発熱量が自己制御
される。また、低熱伝導部材4の内部の温度が下がれ
ば、再び電流制御用ヒータコイル3とヒータコイル5に
電流が流れてヒータコイル3によってセラミック製シー
ス2の発熱部12が加熱されるので、従って、発熱部1
2は常に最適発熱量に維持される。例えば、図2に示す
ように、セラミック製シース2の発熱部12は燃焼室等
の外部に露出しているので、発熱部12から熱放散さ
れ、発熱部12の発熱体の温度は900℃に維持されて
ヒータコイル5の抵抗値は0.4Ωになるが、低熱伝導
部材4の内部の電流制御用ヒータコイル3は低熱伝導部
材4内に埋設して遮熱されているので、低熱伝導部材4
の中央部の温度は1800℃になって電流制御用ヒータ
コイル3の抵抗値は0.6Ωになる。従って、このセラ
ミック製グロープラグでは、電流制御用ヒータコイル3
とヒータコイル5とのトータルの抵抗値の総和は1Ωに
なり、安定状態になる。
【0032】
【発明の効果】この発明によるセラミック製グロープラ
グは、上記のように構成されており、次のような効果を
有する。即ち、このセラミック製グロープラグは、電極
を備えた中空状本体からセラミック製シースの発熱部を
突出させ、該セラミック製シース内にセラミックスから
成る低熱伝導部材を充填し、線径が小径の電流制御用ヒ
ータコイルを前記セラミック製シース内で前記低熱伝導
部材の長手方向内部に埋設して前記電極に電源接続部を
介して接続し、大径のヒータコイルを前記セラミック製
シース内で前記低熱伝導部材の長手方向外側に配置して
前記電流制御用ヒータコイルに直列に接続すると共に前
記本体に電気接続部を介して接続したので、前記電流制
御用ヒータコイルと前記ヒータコイルに電流が流される
ことにより、前記低熱伝導部材の内部に位置する前記電
流制御用ヒータコイルの領域が前記低熱伝導部材の外部
に位置する前記ヒータコイルの領域に比較して遮熱度が
大きくなり、前記低熱伝導部材の内部側が高温になり易
くなる。そこで、前記電流制御用ヒータコイルが高温に
なれば、前記電流制御用ヒータコイルの抵抗値が大きく
なり、前記電流制御用ヒータコイルと前記ヒータコイル
に流れる電流が小さくなり、また、前記電流制御用ヒー
タコイルの温度が下がれば、前記電流制御用ヒータコイ
ルに再び電流が流れて前記発熱部は加熱され、前記発熱
部は常に最適発熱量に自己制御されることになる。
【0033】また、前記電流制御用ヒータコイルは線径
が小径であり且つ前記ヒータコイルは大径に形成され、
前記電流制御用ヒータコイルの巻き方は密に巻き上げら
れ、前記ヒータコイルの巻き方は粗に巻き上げられてい
るので、前記電流制御用ヒータコイルは前記低熱伝導部
材内で温度に応答して確実に且つ良好なレスポンスで電
流を制御することができ、また、前記ヒータコイルは前
記セラミック製シースの発熱量を適正に制御することが
できる。
【0034】また、前記セラミック製シース内にはSi
−Ti−Al−O−N系のセラミックスから成る低熱伝
導部材が充填され、該低熱伝導部材の内部に前記電流制
御用ヒータコイルが埋め込まれ、外側に前記ヒータコイ
ルが配置されているので、前記電流制御用ヒータコイル
は確実に遮熱され、且つ前記電流制御用ヒータコイルと
前記ヒータコイルとは前記セラミック製シース内に強固
に位置設定されて固定される。しかも、前記セラミック
製シースを構成する窒化ケイ素と前記低熱伝導部材を構
成するSi−Ti−Al−O−N材は、ほぼ線膨張係数
が同じであり、両者の馴染み性が良好であるので、前記
セラミック製シース内に前記低熱伝導部材が隙間が発生
することなく、良好に接合されて配置される。
【0035】また、前記電流制御用ヒータコイルと前記
ヒータコイルは、タングステン線で作製され、該タング
ステン線の外面が炭化ケイ素又は炭化タングステンで被
覆されているので、タングステン線の酸化を防止でき、
耐腐食性を向上でき、前記ヒータコイルの耐久性を向上
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセラミック製グロープラグの一
実施例を示す説明図である。
【図2】このセラミック製グロープラグにおける電気抵
抗線とヒータコイルとの温度と抵抗値との関係を説明す
るグラフである。
【図3】NiとWとの温度に対する抵抗値の関係を説明
するグラフである。
【図4】従来のセラミック製グロープラグの時間に対す
る電流制御の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 中空状本体 2 セラミック製シース 3 電流制御用ヒータコイル 4 低熱伝導部材 5 ヒータコイル 6 電気接続部 7 接続部 8 電源接続部 9 中空部 10 電極 12 発熱部 13 セラミック製シースの内壁面

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を備えた中空状本体、該本体から発
    熱部を突出させた前記本体に固定されたセラミック製シ
    ース、該セラミック製シース内に充填されたセラミック
    スから成る低熱伝導部材、前記電極に電源接続部を介し
    て接続し且つ前記セラミック製シース内で前記低熱伝導
    部材の長手方向内部に埋設された線径が小径の電流制御
    用ヒータコイル、及び該電流制御用ヒータコイルに直列
    に接続すると共に前記本体に電気接続部を介して接続し
    且つ前記セラミック製シースの内壁面に接触状態に前記
    低熱伝導部材の長手方向外側に配置された線径が大径の
    ヒータコイル、を有することを特徴とするセラミック製
    グロープラグ。
  2. 【請求項2】 前記電流制御用ヒータコイルの巻き方は
    密に巻き上げられ、前記ヒータコイルの巻き方は粗に巻
    き上げられていることを特徴とする請求項1に記載のセ
    ラミック製グロープラグ。
  3. 【請求項3】 前記セラミック製シースに充填された低
    熱伝導部材は、Ti,Si,Al2 3 の粉末混合物を
    2 中で焼結して作製したSi−Ti−Al−O−N系
    セラミックスから構成されていることを特徴とする請求
    項1に記載のセラミック製グロープラグ。
  4. 【請求項4】 前記セラミック製シースはSi3 4
    作製されていることを特徴とする請求項1に記載のセラ
    ミック製グロープラグ。
  5. 【請求項5】 前記電流制御用ヒータコイル及び前記ヒ
    ータコイルはタングステン線で作製され、該タングステ
    ン線の外面が炭化ケイ素又は炭化タングステンで被覆さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載のセラミック
    製グロープラグ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9452080B2 (en) 2007-09-28 2016-09-27 Hollister Incorporated Fecal drainage system with multi-layer odor barrier catheter tube

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