JP3050139B2 - 活性炭の改質方法 - Google Patents

活性炭の改質方法

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JP3050139B2 JP8267202A JP26720296A JP3050139B2 JP 3050139 B2 JP3050139 B2 JP 3050139B2 JP 8267202 A JP8267202 A JP 8267202A JP 26720296 A JP26720296 A JP 26720296A JP 3050139 B2 JP3050139 B2 JP 3050139B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸着剤として使わ
れる活性炭の改質方法に関し、より詳しくは活性炭から
の化学物質の放出や発塵が抑制され、吸着能力が高まる
ように活性炭を改質する方法に関する。本発明により改
質された活性炭は、クリーンルームにおける揮発性有機
化合物の制御や、病院で超清浄空間を創出するための吸
着剤としての利用が期待される。
【0002】
【発明の背景】従来の工業用クリーンルームの場合、そ
の制御対象となる汚染物質は、塵埃、および一部の無機
ガス (例えば、アンモニア、ボロン、ハロゲン化水素、
亜硫酸ガスなど) であったが、近年、特に半導体産業に
おいて、揮発性有機化合物のシリコンウエハへの吸着が
大きな関心が持たれ、その問題に対する研究が多く行わ
れている。
【0003】一方、環境空気中の化学物質がきっかけに
なって、めまい、吐き気、頭痛、ショック等のアレルギ
ー症状を起こすいわゆる「化学物質過敏症」に罹る人
が、年々増加している。この病気は、家庭にある殺虫剤
や壁紙、家庭用洗剤、塗料など、身近なものから発生す
る化学物質に暴露されても起こる。この化学物質過敏症
の患者を診断、治療するには、まず何が原因物質かを特
定する必要があるが、そのためには「化学物質」、「微
生物」、「ダスト」、「電磁波」及び「イオン」を可能
な限り除去した空間、即ち「超清浄空間」が必要とな
る。
【0004】しかし、日本にはまだ「超清浄空間」を備
えた施設がなく、化学物質過敏症の診断や治療が十分に
行えない状況にある。さらに、「超清浄空間」がないた
め、化学物質過敏症の詳しい研究、例えば、環境負荷の
影響についての研究を行うことができないでいる。
【0005】このような「超清浄空間」の1つの制御要
素である化学物質の除去法については、一般に物理的吸
着による除去法が考えられ、その中の代表的な吸着剤と
して活性炭がある。
【0006】工業的な利用分野を別として、空気清浄化
用の従来の活性炭の利用は、居住区への取り入れ外気の
浄化 (亜硫酸ガス、窒素酸化物、オキシダント、悪臭
等) や、室内空気汚染の除去 (喫煙臭、体臭、調理臭
等) である。これらはいずれも、環境中に特に高い濃度
で存在する化学物質を、他の化学物質の濃度レベルにま
で除去することで、その目的を達する。このような目的
において、活性炭の有用性が証明されてきた。
【0007】半導体産業のクリーンルームにおいても、
室内の化学物質の除去対策として、活性炭を主材料とす
るケミカルフィルターが使用されている。しかし、現状
のケミカルフィルターは前述した無機ガスの除去が主で
あり、揮発性有機化合物の除去効果は十分ではない。
【0008】活性炭の製造方法にはガス賦活法と薬品賦
活法とがあり、形態としては粉末状、粒状、成形体など
があるが、空気清浄化等の気相吸着用には一般にヤシ
殻、石炭、石油残渣などの炭素質原料をガス賦活法で活
性化した粒状または成形体の形態の活性炭が使用されて
いる。
【0009】現在のクリーンルームより要求される清浄
度レベルが高い「超清浄空間」への活性炭の適用を考え
た場合、活性炭からの化学物質の放出と、活性炭か
らの発塵、とが問題となる。
【0010】即ち、活性炭は低レベルではあるが化学物
質(製造時から活性炭に存在していたか、或いは吸着さ
れた化学物質)および粉塵を放出しており、「超清浄空
間」を対象とする場合には、吸着剤として用いる活性炭
自身が汚染源となる可能性がある。現在市販されている
活性炭では、活性炭からの化学物質の放出と発塵の抑制
が、超清浄空間の創出に対しては不十分である。
【0011】また、活性炭を空気清浄化用の吸着剤とし
て使用する場合、その吸着量と吸着能力(完全吸着が起
こる各吸着質の最低濃度)の向上が望ましいことは当然
である。特に、超清浄空間にとっては、吸着剤の吸着能
力の向上(前記最低濃度の低下)が重要である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、活性炭を
珪酸ナトリウムの水溶液で含浸処理して活性炭の細孔を
ガラス質薄膜で被覆(コーティング)すると、活性炭か
らの化学物質の放出と発塵とが抑制され、しかも予想外
にもその吸着量と吸着能力も著しく改善されることを見
出し、本発明に到達した。
【0013】ここに、本発明は、活性炭を、乾燥により
ガラス質薄膜を形成する水溶液を用いて含浸処理した
後、乾燥させ、活性炭の細孔表面をガラス質薄膜でコー
ティングすることからなる、活性炭からの化学物質の放
出および発塵の抑制を図る、超清浄空間用の活性炭の改
質方法である。乾燥によりガラス質薄膜を形成する水溶
液としては、珪酸ナトリウム (Na2O・2SiO2・nH2O) の
水溶液が例示される。以下では、珪酸ナトリウム水溶液
を例にとって本発明を説明するが、水溶液がガラス質薄
膜を形成できる水溶性化合物が他にもあれば、それも同
様に使用できる。
【0014】好ましくは、含浸処理を、活性炭と前記水
溶液とを混合した後、混合物を真空下に保持し、次いで
昇圧し、昇圧した圧力下に保持することにより行い、乾
燥を100 ℃以下の加熱により行う。本発明によればま
た、この方法で改質された超清浄空間用の活性炭からな
る吸着剤、およびこの吸着剤を含む超清浄空間用のフィ
ルターも提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の改質方法を適用する活性
炭の種類は特に制限されず、どのような活性炭にも有効
であるが、好ましいのは、従来より気相吸着用、特に空
気清浄化用に使用されている活性炭であり、粉末状よ
り、粒状 (フレーク状を含む) または成形体の形態が好
ましい。
【0016】本発明の活性炭の改質法によれば、活性炭
に珪酸ナトリウムの水溶液を含浸させ、その後、活性炭
を乾燥させると、活性炭の細孔を含む表面がガラス質の
珪酸ナトリウムの薄膜でコーティングされる。含浸は、
活性炭内部にある細孔構造の内部にまで珪酸ナトリウム
水溶液を侵入させ、細孔表面すべてが珪酸ナトリウム水
溶液で覆われるように行う。
【0017】珪酸ナトリウムは水溶性で、水溶液として
使用できるので、含浸により活性炭の細孔内部にまで侵
入することができる。また、珪酸ナトリウム水溶液は乾
燥するとガラス質薄膜を形成するので、含浸後の乾燥工
程で活性炭の細孔表面が珪酸ナトリウムのガラス質薄膜
でコーティングされることになる。同じように乾燥によ
りガラス質薄膜を形成しうる液状物質として、シリカゾ
ル (珪酸ゾル) があるが、これは水溶液ではなくゾルで
あるため、活性炭の細孔内部にまで侵入できないので、
本発明による改質方法には使用できない。
【0018】含浸に使用する珪酸ナトリウムの水溶液
は、可及的に高純度の珪酸ナトリウムと純水とを用いて
調製することが好ましい。水溶液の濃度は、活性炭の細
孔内部まで含浸が可能であれば特に制限されないが、好
ましくは5〜30重量%の範囲である。珪酸ナトリウム水
溶液の濃度が変化すると、活性炭の細孔表面に形成され
る薄膜の厚み、従って細孔径が変化するため、活性炭の
吸着特性が変わってくる。従って、使用環境に応じて、
除去すべき化合物の吸着能力が高い改質活性炭が得られ
るように、実験により珪酸ナトリウム水溶液の濃度を決
定すればよい。
【0019】珪酸ナトリウム水溶液による活性炭の含浸
処理は、珪酸ナトリウム水溶液と活性炭とを単に混合す
るだけでも、場合によっては目的を達成することができ
る。しかし、単なる混合により珪酸ナトリウム水溶液を
活性炭の細孔内部にまで浸透させるには非常に長時間が
かかるので、次のように真空を利用して含浸処理を行う
ことが効率的である。
【0020】まず、活性炭を、その含浸に十分な量の珪
酸ナトリウム水溶液に加え、活性炭の粉化を生じないよ
う10rpm 程度の穏やかな攪拌下で、活性炭を珪酸ナトリ
ウム水溶液と混合する。その後、活性炭の細孔内部への
珪酸ナトリウム水溶液の浸透を加速するため、この混合
物を収容した容器内を真空にする。この時の真空度は20
mmHg 以下にするのが望ましい。混合物をこの真空度に
少なくとも30分、好ましくは1時間以上保持する。この
真空保持によって、細孔内部の空気が排出され、次の昇
圧工程において細孔内部にまで珪酸ナトリウム水溶液を
比較的短時間で十分に含浸させることができる。
【0021】混合物を収容している容器を真空に保持し
た後、容器内にガスを導入して容器内の圧力を急激に上
昇させ、好ましくは大気圧にする。昇圧後の圧力は大気
圧である必要はなく、それより低いか高くてもよいが、
大気圧が簡便である。また、昇圧に用いるガスは空気が
簡便であるが、不活性ガスを用いることもできる。この
昇圧によって、前工程において空気が排出されていた活
性炭の細孔内部に珪酸ナトリウム水溶液が圧入され、比
較的短時間のうちに活性炭が十分に含浸される。この昇
圧状態にもやはり少なくとも30分、好ましくは1時間以
上保持する。
【0022】上記の含浸処理の温度は、常温で十分であ
るが、冷却下または加温下に実施することもできる。真
空保持中および昇圧後の保持時間中は混合物を静置して
おけばよいが、ゆるやかな攪拌を行ってもよい。また、
真空および昇圧後の保持時間は、珪酸ナトリウム水溶液
の濃度や温度によって変化させてもよい。
【0023】この含浸処理の終了後、活性炭を珪酸ナト
リウム水溶液から取り出し、水溶液を十分に切った後、
好ましくは加熱下で乾燥する。乾燥は、珪酸ナトリウム
内の結晶水を壊さないため、100 ℃以下の温度で行うこ
とが好ましい。乾燥は大気中で実施できるが、所望によ
り不活性ガス中で乾燥してもよい。例えば、約60℃に加
熱して水分を大部分除去した後、さらに100 ℃に加熱し
て、珪酸ナトリウムの結晶水を除く水分を完全に除去す
るといった、段階加熱により乾燥を行うことも好まし
い。なお、含浸に使用した物質が珪酸ナトリウム以外の
場合でも、乾燥温度は活性炭の過度の消耗を防ぐため、
200 ℃以下 (不活性ガス中ではより高温にできるが) と
することが好ましい。
【0024】こうして改質処理の済んだ活性炭は、湿気
や蒸気の吸着を防ぐために、密封容器内で保管すること
が望ましい。
【0025】本発明の方法により改質した活性炭は、そ
の表面および細孔表面がガラス質の珪酸ナトリウムの薄
膜でコーティングされているため、活性炭からの化学物
質の放出や発塵が著しく抑制され、吸着剤として用いる
活性炭自身が汚染源となる危険性がなくなる。さらに予
想外なことに、こうして改質した活性炭は、細孔がコー
ティングされているにもかかわらず、吸着量と吸着能力
が、未改質品に比べて著しく向上している。その理由は
次のように推測される。
【0026】活性炭の細孔分布は、細孔径によって次の
3群に大別されることが知られている。 (a) ミクロ孔−半径20Å以下、(b) マクロ孔−半径1000
Å以上 (100,000 Å程度まで) 、(c) 中間領域孔−半径
が(a) と(b) の中間領域 (20〜1000Å) 。
【0027】活性炭の比表面積の大部分を占めるのがミ
クロ孔であり、次いで中間領域孔であって、マクロ孔が
比表面積に占める割合はわずかである。これら細孔群
で、吸着に対し最も効果の大きいのは、細孔容積を満た
す表面吸着の形で吸着が行われると考えられるミクロ孔
である。特に空気清浄化のような気相吸着においては、
吸着質分子のほとんどの大きさがこのミクロ孔の範囲内
であるので、吸着量のかなりの程度をこのミクロ孔が決
定すると言われている。
【0028】マクロ孔は、吸着にはあまり寄与せず、主
な吸着表面となるミクロ孔への輸送路として機能する。
一方、マクロ孔とミクロ孔をつなぐ中間領域孔は、毛管
凝縮によって蒸気を捕捉する機能と、マクロ孔を通って
きた吸着質のミクロ孔への通過を助ける機能とを果た
す。また、液相吸着においては、中間領域孔が分子の大
きい吸着質の吸着を行う。
【0029】本発明により改質した活性炭は、珪酸ナト
リウム水溶液による含浸処理によってマクロ孔と中間領
域孔に珪酸ナトリウム水溶液が侵入し、これらの細孔の
表面がガラス質薄膜でコーティングされる。こうして形
成される薄膜の厚みは、珪酸ナトリウム水溶液の濃度と
細孔径とに依存し、珪酸ナトリウム水溶液の濃度が上述
した5〜30wt%の好ましい範囲内である場合には、細孔
径×1/2 の約 1.6〜10%の厚みになる。この厚みを考え
ると、半径20Å以下のミクロ孔に珪酸ナトリウム水溶液
が侵入することはほぼ不可能であると考えられる。その
結果、孔径がマクロ孔であった細孔群の一部が中間領域
孔へ、中間領域孔であった細孔群の一部がミクロ孔にそ
れぞれ移行し、全細孔に占める吸着に寄与するミクロ孔
と中間領域孔の割合が改質前に比べて増加し、吸着量と
吸着能力のいずれもが未改質品に比べて著しく向上する
のではないかと考えられる。
【0030】
【実施例】市販のフレーク状ヤシ殻活性炭を、試薬特級
の珪酸ナトリウムと純水とを用いて調製した10wt%珪酸
ナトリウム水溶液で次のように含浸処理した。攪拌機を
取り付けたフラスコ内に珪酸ナトリウム水溶液1L を入
れ、これに活性炭 500gを加えた後、10 rpmで1分間攪
拌した。次いで、攪拌機を取り外し、フラスコに真空吸
引装置を取り付けて、フラスコ内を10 mmHg に減圧し、
この真空度を1時間保持した。その後、空気を導入し
て、フラスコ内の圧力を大気圧に急激に昇圧させ、1時
間保持した。以上の操作は全て室温で実施した。
【0031】含浸処理の終了後、フラスコの内容物を濾
過して、含浸処理した活性炭を取り出した。この活性炭
を大気雰囲気中60℃で6時間、100 ℃で3時間加熱して
乾燥させ、改質活性炭を得た。この改質活性炭を、未改
質のもの (本実施例では標準活性炭という) と同様、デ
シケータに保管した。
【0032】この改質活性炭の吸着性能 (平衡吸着量お
よび各吸着質に対する吸着能力) と発塵量とを次に述べ
るように試験した。試験結果を、標準活性炭の結果と一
緒に示す。
【0033】1)平衡吸着量 図1に示す吸着装置を用いて、改質活性炭と未改質の標
準活性炭の平衡吸着量を同時に調べた。吸着質の分子径
による各活性炭の吸着特性を調べるため、吸着質 (被吸
着物質) として、分子量の小さいベンゼン (分子量78)
と大きいn−ドデカン (分子量170)の2種類を用いて試
験を行った。吸着試験に用いたガスは、各吸着質を室温
(23℃) における飽和濃度で含有する空気 (飽和濃度空
気) であた。
【0034】ベンゼンまたはn−ドデカンを飽和濃度で
含有する空気を、図1に示す装置により、改質活性炭と
標準活性炭にそれぞれ2 L/minの流量で通過させ、1時
間毎に活性炭の重量増加を測定することにより吸着量を
求めた。結果を表1と図2および3にまとめて示す。
【0035】
【表1】
【0036】標準活性炭と改質活性炭との平衡吸着量
(平衡に達した時の吸着量) を比較すると、ベンゼンで
は、標準活性炭の平衡吸着量が1g当たり0.1521gであ
るのに対し、改質活性炭では1g当たり0.4140gと、約
2.7 倍もの大幅な平衡吸着量の増大が認められた。ま
た、吸着質がn−ドデカンとより分子径の大きい物質に
なっても、平衡吸着量が標準活性炭の0.0838gに対して
改質活性炭では0.1930gと、2.3 倍に増大し、吸着質が
大分子径の揮発性有機化合物であっても、その吸着量が
大幅に向上することが確かめられた。
【0037】即ち、本発明に従って活性炭を改質するこ
とにより、分子径にかかわらず、揮発性有機化合物の吸
着能力が高くなる。さらに、図2、3からわかるよう
に、改質活性炭では吸着速度も速くなる。この吸着速度
が速くなることにより、次の試験で示すように、各吸着
質に対する吸着能力 (吸着質を完全吸着する最低濃度)
も向上するのではないかと考えられる。
【0038】2)吸着能力 改質活性炭と標準活性炭の低ガス濃度における揮発性有
機化合物の吸着能力を、吸着質として下記の標準化学物
質を使用して、SV (吸着層内の空間速度) を変化させ
て調べた。
【0039】(1) 標準化学物質:吸着質として使用した
標準化学物質は下記の揮発性有機化合物であった (カッ
コ内は化学式、分子量) 。 オクタン (C8H18, 114) ノナン (C9H20, 128) α−ピネン (C10H16, 136) d−3−カレン (C10H16, 136) 1,2,3-トリメチルベンゼン (C9H10, 120) 2−エチルトルエン (C9H10, 120) d−フェンチョン (C10H16O, 152) 。
【0040】(2) 実験条件 図4に示す、吸着塔の前後にサンプリング口を備えた装
置を用いて、空気中に上記標準化学物質の全部を微量含
有させたガスを、所定のSV値で、活性炭を充填した吸
着塔を通過させ、吸着塔の前後でガスを1時間毎にサン
プリングして各物質の濃度を測定し、これを5回行っ
た。なお、吸着塔仕様は直径50mm×長さ50mm、風量は5
〜30 L/min (設定SV値による) であった。
【0041】サンプリングしたガスは、Tenax GCにより
濃縮捕集し、ガスクロマトグラフ/マススペクトルグラ
フィ(GC/MS) によるEIモードにより各物質の濃度を分
析した。試験結果(5回の平均値)を表2 (改質活性
炭) および表3 (標準活性炭)にまとめて示す。表中、
「前」は吸着塔通過前の、「後」は吸着塔通過後の各物
質のガス中の濃度である。
【0042】なお、SV値は次式で算出される。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表3に示す標準活性炭の吸着能力をみる
と、SV値6000ですでに微量ながら分子の小さいオクタ
ンとα−ピネンとが検出され、SV値12000 ではノナン
を加えた3物質が検出された。これは、ガス中の各物質
の濃度が非常に低いため、標準活性炭では低分子量の物
質を充分に吸着しきれないためである。
【0046】これに対して、改質活性炭では、珪酸ナト
リウムでコーティングしたことによって細孔径が相対的
にミクロ孔に移動したため、吸着量の増大と共にその吸
着能力も増大する。その結果、表2からわかるように、
SV値が12000 でも全ての物質を完全に吸着することが
でき、吸着後にどの物質も検出されなかった。さらに、
SV値を30000 程度まで増大させて、各物質の濃度がい
ずれも10μg/m3未満と低くなっても、全ての物質を充分
に検出限界以下にまで吸着することができた。即ち、非
常に低濃度で存在するガス中の有機化合物も完全に除去
することができることがわかる。
【0047】また、吸着後の空気中の化学物質の濃度が
検出限界以下であるということは、この活性炭から吸着
された化学物質の放出も起こっていないことを意味す
る。
【0048】3)発塵量 改質活性炭と標準活性炭からの発塵量を、図5に示す装
置を用いて計測した。この装置では、活性炭を充填した
吸着塔(寸法は図4に示すものと同じ)の上流側にHE
PA(high efficiency particulated air) フィルター
(ガラス繊維の不織布からなるフィルター) を配置し、
このフィルターでダストを十分に除塵した空気を30 L/m
inの流量で吸着塔に流し、吸着塔を通過した空気中のダ
ストをダストカウンター(ダン科学製、82-7200 型) を
用いて1分間の自動繰り返し (インターバル0の連続計
測) により60分間計測し、その平均値を求めた。吸着塔
に通した空気は予め除塵されているので、こうして計測
されたダスト量は、活性炭からの発塵量であると見なす
ことができる。結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】当然ながら、本発明に従って珪酸ナトリウ
ムでコーティングして改質した改質活性炭は、標準活性
炭に比して、発塵量が減少し、クラス500 程度の清浄度
が確保された。この清浄度が確保されれば、化学物質の
放出が予想されうるHEPAフィルターを吸着塔の前に
設置することで、HEPAフィルターから化学物質が放
出されても吸着塔で除去することができ、しかも吸着塔
からの発塵量がクラス500 程度に抑えられるので、発塵
量を抑えて化学物質に対する高い清浄度を実現すること
ができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法により改質された活性炭
は、化学物質の放出や発塵が抑えられ、しかも分子量に
よらずガス中の化学物質の吸着量と吸着能力が高まり、
空気中に非常に低濃度で存在する化学物質も検出限界以
下まで吸着することができる。従って、この改質活性炭
は、クリーンルームにおける揮発性有機化合物の制御
や、病院等で超清浄空間を創るための吸着剤としての利
用が期待される。
【0052】もちろん、用途はこれらに限定されるもの
ではなく、例えば、一般用のエアーフィルターに使用さ
れる活性炭に本発明の改質方法を適用しても、吸着性能
の向上と発塵量や化学物質放出量の抑制によって、従来
品より優れた室内空気の清浄化効果を達成することがで
きる。即ち、本発明は一般に気相吸着用の全ての活性炭
の性能向上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気中の化学物質の吸着量の測定に用いた吸着
装置を示す説明図である。
【図2】空気中のベンゼン吸着量の経時変化を示すグラ
フである。
【図3】空気中のn−ドデカン吸着量の経時変化を示す
グラフである。
【図4】活性炭の吸着能力の測定に用いた実験装置の説
明図である。
【図5】活性炭の発塵量の測定に用いた実験装置の説明
図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/08 - 31/14 B01J 20/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭を、乾燥によりガラス質薄膜を形
    成する水溶液を用いて含浸処理した後、乾燥させ、活性
    炭の細孔表面をガラス質薄膜でコーティングすることか
    らなる、活性炭からの化学物質の放出および発塵の抑制
    を図る、超清浄空間用の活性炭の改質方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶液が珪酸ナトリウム水溶液であ
    る、請求項1記載の活性炭の改質方法。
  3. 【請求項3】 含浸処理を、活性炭と前記水溶液とを混
    合した後、混合物を真空下に保持し、次いで昇圧し、昇
    圧した圧力下に保持することにより行い、乾燥を100 ℃
    以下の加熱により行う請求項2記載の活性炭の改質方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の方法により改質された超清浄空間用の活性炭からなる
    吸着剤。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の吸着剤を含む超清浄空間
    用のフィルター。
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