JP2005200784A - 室内空気汚染物質除去壁紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多くの種類のVOCを吸着して除去することを可能とする室内空気汚染物質除去壁紙を提供すること。
【解決手段】 建築物の天井、壁のうちの少なくとも一つの少なくとも表面部を構成する室内空気汚染物質除去壁紙に、以下に示すような吸着材を含有させた。
すなわち、吸着材を、ほぼ無極性の第1の多孔質材料と、第1の多孔質材料に対して高い極性を有する第2の多孔質材料とを含むように構成した。ここで、第1の多孔質材料としては、各種活性炭のうち少なくとも1種を含むものが挙げられ、第2の多孔質材料としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物のうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【選択図】なし
【解決手段】 建築物の天井、壁のうちの少なくとも一つの少なくとも表面部を構成する室内空気汚染物質除去壁紙に、以下に示すような吸着材を含有させた。
すなわち、吸着材を、ほぼ無極性の第1の多孔質材料と、第1の多孔質材料に対して高い極性を有する第2の多孔質材料とを含むように構成した。ここで、第1の多孔質材料としては、各種活性炭のうち少なくとも1種を含むものが挙げられ、第2の多孔質材料としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物のうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、屋内の天井や壁に施工される壁紙として使用され、屋内の空気汚染物質を吸着することが可能な室内空気汚染物質除去壁紙に関する。
近年、建材等から発生する揮発性有機化合物により、居住者の健康に悪影響を及ぼす事例が増え、シックハウス症候群と呼ばれて大きな社会問題になっている。そのために、建装材において揮発性有機化合物を使用しないか、極力最小限の使用とする建装材が開発され、使用されるようになっている。しかし、そのような建装材を使ったとしても、近年においては、昔の日本式家屋のように風通しがよくなく、気密性住宅になっているために、少量の揮発性有機化合物が発生しても、屋外に比べて室内濃度は高いものとなってしまう傾向にある。
そのために、それらの揮発性有機化合物を吸着して除去する吸着材を含有させた建材、すなわち、例えば壁紙や襖紙に代表されるような、床材、壁材、天井材等の表層部を構成する部材が開発されている。例えば、揮発性有機化合物のうち、シックハウス症候群に対して影響の大きいとされるホルムアルデヒドを化学的に吸着する窒素化合物が付着してなる壁紙用表面材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、竹を高温高圧処理した多孔質材料、すなわち、活性炭の1種と思われる多孔質材料をホルムアルデヒド等の有害ガスの吸着材として用いた、壁紙、襖紙等として使用可能な有害ガス吸着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、また、室内の壁面等に塗布して、その壁面等から発生する揮発性有機化合物を室内に発散する前に除去してしまうための塗料組成物も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−131853号公報
特開2002−61097号公報
特開平10−140045号公報
そのために、それらの揮発性有機化合物を吸着して除去する吸着材を含有させた建材、すなわち、例えば壁紙や襖紙に代表されるような、床材、壁材、天井材等の表層部を構成する部材が開発されている。例えば、揮発性有機化合物のうち、シックハウス症候群に対して影響の大きいとされるホルムアルデヒドを化学的に吸着する窒素化合物が付着してなる壁紙用表面材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、竹を高温高圧処理した多孔質材料、すなわち、活性炭の1種と思われる多孔質材料をホルムアルデヒド等の有害ガスの吸着材として用いた、壁紙、襖紙等として使用可能な有害ガス吸着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、また、室内の壁面等に塗布して、その壁面等から発生する揮発性有機化合物を室内に発散する前に除去してしまうための塗料組成物も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、揮発性有機化合物は、その沸点により、WHOにおいて、VVOC(超揮発性有機化合物)、VOC(揮発性有機化合物)、SVOC(半揮発性有機化合物)に分類されている。上述のホルムアルデヒドは、沸点が低くVVOCに分類される。なお、以下の説明において、VOCとは、揮発性有機化合物全体を指すのではなく、WHOにおける分類上のVOCを指すものとし、揮発性有機化合物と記載した場合には、一般的な揮発性有機化合物の全体を指すものとする。
そして、マンション等の建築物における室内中には、様々な物理的及び化学的性状を有する、数十種以上の揮発性有機化合物(VVOC,VOC等)が放散されている。
そして、ホルムアルデヒドのようなシックハウス症候群に対して影響の大きいVVOCだけでなく、VOCも人体に与える影響が少なくないことが指摘されつつある。しかしながら、前記公報に記載の壁紙のように、従来のシックハウス症候群対策として有害ガスを除去する能力のある建材は、主にホルムアルデヒドの吸着を目的としており、基本的にVOCの吸着能力が低いものであった。
そして、マンション等の建築物における室内中には、様々な物理的及び化学的性状を有する、数十種以上の揮発性有機化合物(VVOC,VOC等)が放散されている。
そして、ホルムアルデヒドのようなシックハウス症候群に対して影響の大きいVVOCだけでなく、VOCも人体に与える影響が少なくないことが指摘されつつある。しかしながら、前記公報に記載の壁紙のように、従来のシックハウス症候群対策として有害ガスを除去する能力のある建材は、主にホルムアルデヒドの吸着を目的としており、基本的にVOCの吸着能力が低いものであった。
但し、ホルムアルデヒドの吸着材として、活性炭を用いた場合に、活性炭は、無極性の多孔質材料であるが、極性の高いホルムアルデヒドを吸着するとともに、VOC(極性の低い化合物を多く含む)を吸着する。従って、吸着材として活性炭を用いることにより、ホルムアルデヒドとVOCの両方の室内濃度を低減することが可能である。
しかし、活性炭には、湿度が高い状態では、活性炭に比較的極性が高い水分子が吸着され、VOCに対する吸着能力が低下する可能性がある。
また、活性炭に極性の高い有機化合物と、極性の低い有機化合物とが共吸着してしまうと、比較的短時間で吸着材が破過してしまう。また、この際には、極性の高いホルムアルデヒドの吸着と極性の低いトルエン等のVOCとの両方に対して、同時に吸着能力がなくなってしまう。
しかし、活性炭には、湿度が高い状態では、活性炭に比較的極性が高い水分子が吸着され、VOCに対する吸着能力が低下する可能性がある。
また、活性炭に極性の高い有機化合物と、極性の低い有機化合物とが共吸着してしまうと、比較的短時間で吸着材が破過してしまう。また、この際には、極性の高いホルムアルデヒドの吸着と極性の低いトルエン等のVOCとの両方に対して、同時に吸着能力がなくなってしまう。
従って、ホルムアルデヒドとVOCが共存する状態では、活性炭により、ホルムアルデヒドとVOCとの両方の室内濃度を長期間に渡って低減させることが困難であった。
また、新築の家屋においては、VOC及びアルデヒドの両方の室内濃度が高い可能性があるが、時間経過に伴いVOCが比較的早く低減するのに対して、ホルムアルデヒドは室内濃度の低下が遅く、長期に渡って室内に存在する可能性が高い。
従って、活性炭がVOCとホルムアルデヒドの両方を吸着してしまい、比較的短期間で破過してしまうと、屋内の揮発性有機化合物の濃度の一時的な低減が可能となっても、長期的にホルムアルデヒドの室内濃度を低減させることが困難になる。
また、新築の家屋においては、VOC及びアルデヒドの両方の室内濃度が高い可能性があるが、時間経過に伴いVOCが比較的早く低減するのに対して、ホルムアルデヒドは室内濃度の低下が遅く、長期に渡って室内に存在する可能性が高い。
従って、活性炭がVOCとホルムアルデヒドの両方を吸着してしまい、比較的短期間で破過してしまうと、屋内の揮発性有機化合物の濃度の一時的な低減が可能となっても、長期的にホルムアルデヒドの室内濃度を低減させることが困難になる。
一方、特許文献3に記載されているように、活性炭だけではなく、活性炭と有害物質除去剤を添着している多孔質体とを併用した塗料組成物を、揮発性有機化合物の発生源となる壁面等に塗工することで、壁面等から発生する揮発性有機化合物を吸着することが提案されている。
これにより、活性炭等を単独で用いるか、活性炭とゼオライト等を併用して用いる塗料組成物が記載されている。しかし、前記塗料組成物は、塗料の塗布面からの揮発性有機化合物の発生を防止することを目的としている。従って、空気中に飛散してしまった揮発性有機化合物の吸着にはあまり適さないと考えられる。なぜなら、塗布面から揮発性有機化合物の発生を防止するためには、塗膜下面の被塗物に接する面または塗膜中に吸着剤が存在するようにする必要がある。従って、この塗料組成物を壁紙に表面に塗布して使用しても、屋内の空気中に飛散してしまった揮発性有機化合物を積極的に吸着できず、その効果はないと思われる。
これにより、活性炭等を単独で用いるか、活性炭とゼオライト等を併用して用いる塗料組成物が記載されている。しかし、前記塗料組成物は、塗料の塗布面からの揮発性有機化合物の発生を防止することを目的としている。従って、空気中に飛散してしまった揮発性有機化合物の吸着にはあまり適さないと考えられる。なぜなら、塗布面から揮発性有機化合物の発生を防止するためには、塗膜下面の被塗物に接する面または塗膜中に吸着剤が存在するようにする必要がある。従って、この塗料組成物を壁紙に表面に塗布して使用しても、屋内の空気中に飛散してしまった揮発性有機化合物を積極的に吸着できず、その効果はないと思われる。
本発明の課題は、ホルムアルデヒド及びVOCの両方の室内濃度を長期に渡って低減可能な室内空気汚染物質除去壁紙を提供することである。
請求項1に記載の発明は、室内空気汚染物質を吸着する吸着材を表層部に有する室内空気汚染物質除去壁紙であって、
前記吸着材は、無極性の分子性状である第1の多孔質材料と、極性を有する分子性状である第2の多孔質材料とを含むことを特徴としている。
前記吸着材は、無極性の分子性状である第1の多孔質材料と、極性を有する分子性状である第2の多孔質材料とを含むことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、アルデヒド、ケトン、エステル等のカルボニル化合物、オレフィン、アルコール化合物等の極性の高い分子性状を有する揮発性有機化合物を、極性を有する第2の多孔質材料によってある程度の選択性を持って吸着することができる。
従って、極性をほとんど持たない第1の多孔質材料は、第2の多孔質材料により吸着されなかった芳香族炭化水素やパラフィン等に代表される極性の低い分子性状を有する揮発性有機化合物を主に吸着することになる。
従って、極性をほとんど持たない第1の多孔質材料は、第2の多孔質材料により吸着されなかった芳香族炭化水素やパラフィン等に代表される極性の低い分子性状を有する揮発性有機化合物を主に吸着することになる。
これにより無極性の第1の多孔質材料が、極性を有する揮発性有機化合物を吸着することにより、極性の低い化合物に対する吸着能力が低下してしまうことがなく、長期に渡って極性の低い化合物を吸着することが可能となる。
また、極性を有する第2の多孔質材料は、基本的に、高い極性を有する化合物を吸着するので、極性の低い化合物まで吸着して直ぐに吸着力が飽和するようなことなく、長期に渡って吸着力を保持する可能性が高い。
また、第1の多孔質材料と第2の多孔質材料とが同時に破過する可能性は低く、一方の多孔質材料が破過しても他方の多孔質材料が機能している可能性が高い。
そして、例えば、ある程度の期間経過した後に、第1の多孔質材料が破過し、第2の多孔質材料が機能している場合には、長期的に残留する可能性が高いホルムアルデヒドを第2の多孔質材料が吸着し続けることになる。また、トルエン等のVOCは、比較的早く残留室内濃度が低減するので、第1の多孔質材料が機能しなくなった際に、VOCの室内濃度が低減している可能性が高く、室内のVOC濃度は、全体として低い状態に保たれることになる。
また、極性を有する第2の多孔質材料は、基本的に、高い極性を有する化合物を吸着するので、極性の低い化合物まで吸着して直ぐに吸着力が飽和するようなことなく、長期に渡って吸着力を保持する可能性が高い。
また、第1の多孔質材料と第2の多孔質材料とが同時に破過する可能性は低く、一方の多孔質材料が破過しても他方の多孔質材料が機能している可能性が高い。
そして、例えば、ある程度の期間経過した後に、第1の多孔質材料が破過し、第2の多孔質材料が機能している場合には、長期的に残留する可能性が高いホルムアルデヒドを第2の多孔質材料が吸着し続けることになる。また、トルエン等のVOCは、比較的早く残留室内濃度が低減するので、第1の多孔質材料が機能しなくなった際に、VOCの室内濃度が低減している可能性が高く、室内のVOC濃度は、全体として低い状態に保たれることになる。
また、湿度の高いような環境においては、第2の多孔質材料が、屋内の極性の高い水分子を吸着して調湿材として機能し、第1の多孔質材料が水分子を吸着することにより、吸着力が低下するのを防止することができる。
以上のことから、本発明の室内空気汚染物質除去壁紙は、長期に渡って、VVOC、VOCの吸着能力を維持し、室内の揮発性有機化合物の濃度低減を図ることができる。
また、室内空気汚染物質除去壁紙は、ホルムアルデヒドだけではなく、ホルムアルデヒドと共にVOCの室内濃度も低減し、より優れた室内環境を実現することができる。
以上のことから、本発明の室内空気汚染物質除去壁紙は、長期に渡って、VVOC、VOCの吸着能力を維持し、室内の揮発性有機化合物の濃度低減を図ることができる。
また、室内空気汚染物質除去壁紙は、ホルムアルデヒドだけではなく、ホルムアルデヒドと共にVOCの室内濃度も低減し、より優れた室内環境を実現することができる。
なお、前記第1の多孔質材料としては、例えば、椰子殻、木、竹等のように各種植物を炭化するとともに賦活化したものがある。これは、所謂活性炭であり、その材料としては、植物以外にも、石炭等をさらに炭化するとともに賦活化した活性炭や、動物性の活性炭もある。そして、活性炭は、金属酸化物等の灰分を除くと、主に単一の炭素原子からなり、極性のない分子性状となる。
また、前記第2の多孔質材料としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物(セピオライト、アタパルジャイト)等を使用することができる。これらのうち、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイ等は、結晶構造にトンネルすなわち細孔を有する多孔質結晶(結晶性多孔体)である。また、上述のものは、基本的にケイ素や金属の酸化物、酸、水酸化物、塩であり、結晶の場合には必ずしも分子として存在しないが、分子性状的には、極性を有するものである。
例えば、ゼオライトにおいては、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライトがあるが、分子構造やイオン交換機能などの品質の安定化が図られている合成ゼオライトや人工ゼオライトを使用することが好ましい。
また、第1の多孔質材料や第2の多孔質材料の表面にヒドラジン誘導体やアミン系化合物を添着させて、ホルムアルデヒド等を化学的に分解する機能を付加させたものを使用したり、ゼオライト等の無機物系のものであれば、超微粒子の酸化チタン等を表面に担持させて光触媒の働きにより、揮発性有機化合物を分解するようにすることで、より本発明の室内空気汚染物質除去壁紙の効果を持続させることが可能となる。
また、前記第2の多孔質材料としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物(セピオライト、アタパルジャイト)等を使用することができる。これらのうち、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイ等は、結晶構造にトンネルすなわち細孔を有する多孔質結晶(結晶性多孔体)である。また、上述のものは、基本的にケイ素や金属の酸化物、酸、水酸化物、塩であり、結晶の場合には必ずしも分子として存在しないが、分子性状的には、極性を有するものである。
例えば、ゼオライトにおいては、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライトがあるが、分子構造やイオン交換機能などの品質の安定化が図られている合成ゼオライトや人工ゼオライトを使用することが好ましい。
また、第1の多孔質材料や第2の多孔質材料の表面にヒドラジン誘導体やアミン系化合物を添着させて、ホルムアルデヒド等を化学的に分解する機能を付加させたものを使用したり、ゼオライト等の無機物系のものであれば、超微粒子の酸化チタン等を表面に担持させて光触媒の働きにより、揮発性有機化合物を分解するようにすることで、より本発明の室内空気汚染物質除去壁紙の効果を持続させることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の室内空気汚染物質除去壁紙において、前記第1の多孔質材料の平均孔径が20〜100Å(オングストローム)であり、前記第2の多孔質材料の平均孔径が3〜10Å(オングストローム)であることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、第1の多孔質材料の平均孔径が20〜100Åであるのに対して第2の多孔質材料の平均孔径が3〜10Åと極めて小さいものとなっている。
ここで、VVOCに含まれる化合物は、揮発性有機化合物の中でも低沸点のものであり、基本的にホルムアルデヒド等の低分子量の小さな分子の化合物である。それに対してVOCに含まれる化合物は、VVOCに含まれる化合物よりも沸点が高く、VVOCに含まれる化合物よりも分子量の大きな、例えば、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の化合物となっている。
従って、平均孔径が3〜10Åの第2の多孔質材料には、VVOCに含まれる分子よりも大きなVOCに含まれる分子を、吸着することが困難であり、VOCとVVOCが共存する場合に、選択的にVVOCを吸着する。すなわち、上述のトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の分子径は6Å以上の大きさを有し、3〜10Åの平均孔径を有する第2の多孔質材料に吸着されることは物理的に困難である。すなわち、第2の多孔質材料は、分子ふるいとして機能し、VVOC及びVOCの共存下で、選択的に主にVVOCを吸着することとなる。
ここで、VVOCに含まれる化合物は、揮発性有機化合物の中でも低沸点のものであり、基本的にホルムアルデヒド等の低分子量の小さな分子の化合物である。それに対してVOCに含まれる化合物は、VVOCに含まれる化合物よりも沸点が高く、VVOCに含まれる化合物よりも分子量の大きな、例えば、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の化合物となっている。
従って、平均孔径が3〜10Åの第2の多孔質材料には、VVOCに含まれる分子よりも大きなVOCに含まれる分子を、吸着することが困難であり、VOCとVVOCが共存する場合に、選択的にVVOCを吸着する。すなわち、上述のトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の分子径は6Å以上の大きさを有し、3〜10Åの平均孔径を有する第2の多孔質材料に吸着されることは物理的に困難である。すなわち、第2の多孔質材料は、分子ふるいとして機能し、VVOC及びVOCの共存下で、選択的に主にVVOCを吸着することとなる。
従って、第2の多孔質材料が、VVOCであるホルムアルデヒドを選択的に吸着し、第1の多孔質材料が、第2の多孔質材料に吸着されなかった分子径がVVOCより大きく比較的極性の低いVOCであるトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等を主に吸着することになる。
すなわち、請求項1記載の発明に基づいて、第2の多孔質材料が極性の高いホルムアルデヒドを選択的に吸着するとともに、さらに、分子ふるい機能により、第2の多孔質材料がホルムアルデヒドを選択的に吸着することになり、第2の多孔質材料がより選択的にホルムアルデヒドを吸着する。これにより、請求項1に記載の発明と同様の作用効果をより確実に得ることができる。すなわち、ホルムアルデヒド等のVVOCと、トルエン等のVOCとの両方の室内濃度を低減できるとともに、第2の多孔質材料に極性の高いホルムアルデヒドが吸着されることにより、第1の多孔質材料のVOCの吸着能力が低減するのを防止し、長期間に渡って、VVOC及びVOCの室内濃度の低減を図ることができる。
すなわち、請求項1記載の発明に基づいて、第2の多孔質材料が極性の高いホルムアルデヒドを選択的に吸着するとともに、さらに、分子ふるい機能により、第2の多孔質材料がホルムアルデヒドを選択的に吸着することになり、第2の多孔質材料がより選択的にホルムアルデヒドを吸着する。これにより、請求項1に記載の発明と同様の作用効果をより確実に得ることができる。すなわち、ホルムアルデヒド等のVVOCと、トルエン等のVOCとの両方の室内濃度を低減できるとともに、第2の多孔質材料に極性の高いホルムアルデヒドが吸着されることにより、第1の多孔質材料のVOCの吸着能力が低減するのを防止し、長期間に渡って、VVOC及びVOCの室内濃度の低減を図ることができる。
なお、第1の多孔質材料としては、平均孔径が20〜100Åの範囲内である上述の活性炭を使用することができ、第2の多孔質材料としては、結晶性多孔体であることにより、孔径が極めて小さく、平均孔径3〜10Åの範囲内である上述のゼオライト、セピオライト系の吸着材を用いることができる。
請求項1又は2に記載の室内空気汚染物質除去壁紙において、前記第1の多孔質材料及び第2の多孔質材料の平均粒径が50μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
壁紙の表面にバインダや接着材等として機能する樹脂とともに吸着材を塗布したり、壁紙の製造時において表面樹脂がゲル状態の時にその表面に多孔質材料を散布して接着させたり、壁紙の表面層を形成する樹脂に混練したのちに、壁紙基材に樹脂を塗布する等の方法により、壁紙の表層部に多孔質材料を有するように製造される。この場合に、樹脂層から多孔質材料の露出した部分で揮発性有機化合物の吸着性能が発揮されるが、第1及び第2の多孔質材料の平均粒径が50μmより小さいと、樹脂から多孔質材料が十分に露出せずに、吸着能力が大幅に低下する。また、製造時に多孔質材料の粒径が50μmより小さいと、上述の様な作業時において、空気中に飛散しやすいものとなり、取り扱いが難しくなるとともに作業環境面からも好ましくない。
また、多孔質材料(吸着材)の平均粒径を100μmより大きくすると、上述のように多孔質材料を壁紙の表面に接着した状態とした場合に、多孔質材料が壁紙表面から欠落しやすくなり、吸着能力の低下とともに壁紙としての外観的問題も生じる。また、樹脂に多孔質材料を混入した場合に平均粒径が100μmだと、樹脂に分散しにくくなり、多孔質材料が分離しやすく、多孔質材料を樹脂層等に均一に分散することが困難となる。
前記第1の多孔質材料及び第2の多孔質材料の配合量の比が、10:90〜60:40であることが好ましい。第1の多孔質材料と第2の多孔質材料との配合比が10:90より、第1の多孔質材料が少なくなると、VOCの吸着能力が不足して好ましくなく、60:40より第1の多孔質材料の配合比が多くなると、吸着能力の持続性の面で問題となり、ひいてはVVOCの持続的な吸着ができなくなるので好ましくない。
本発明の室内空気汚染物質除去壁紙表層部への第1及び第2多孔質材料の添加量または塗布量は、壁紙の製造方法によって異なっており、適宜設定されるが、例えば壁紙表面部の全表面部の10〜80%に多孔質材料が存在する用になっていればよい。
また、壁紙としての装飾性を考慮すると、多孔質材料と共に顔料または染料を添加してもよいし、その他の添加剤を添加してもよい。また、壁紙の表層部に、吸着材を使用して模様等を形成し、壁紙としての装飾性を考慮してもよい。
また、壁紙としての装飾性を考慮すると、多孔質材料と共に顔料または染料を添加してもよいし、その他の添加剤を添加してもよい。また、壁紙の表層部に、吸着材を使用して模様等を形成し、壁紙としての装飾性を考慮してもよい。
本発明によれば、室内空気において大半を占め、芳香族炭化水素やパラフィン等に代表される分子性状がほぼ無極性であるVOCを、無極性の第1の多孔質材料によって吸着することができる。また、アルデヒド、ケトン、エステル等のカルボニル化合物、オレフィン、アルコール化合物等の分子性状が極性を有するVVOCを、極性を有する第2の多孔質材料によって吸着することができる。すなわち、無極性の第1の多孔質材料からなる吸着材と、極性を有する第2の多孔質材料からなる吸着材とを合わせて用いることによって、それぞれの吸着材が本来有する吸着能力を最大限に発揮させながら、多くの種類の揮発性有機化合物を吸着して除去することができる。
また、第2の多孔質材料が、その極性や孔径に基づいて極性を有するVVOC、特にホルムアルデヒドを選択的に吸着することにより、第1の多孔質材料への極性を有するVVOCの吸着を抑制し、第1の多孔質材料の極性の低いVOCに対する吸着能力が低下するのを防止することができ、長期に渡って揮発性有機化合物の室内濃度を低下させることが可能となる。
以下、本発明に係る室内汚染物質除去壁紙の実施形態について詳細に説明する。
本実施の形態の室内汚染物質除去壁紙としては、壁や天井等に施工されるものであり、場合によっては襖紙として使用してもよい。樹脂、紙、布地、不織布等のシート基材の表面部に樹脂、紙、布、不織布等の層が設けられた一般的な壁紙であり、少なくとも表層部(表面を含む)には、第1の多孔質材料として、無極性の多孔質材料、すなわち吸着材である各種活性炭(第1の多孔質材料)のうちの少なくとも1種を含有する。また、少なくとも前記建材の表層部(表面を含む)には、第2の多孔質材料として、極性を有する多孔質材料、すなわち吸着材であるゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物としてのセピオライトやアタパルジャイトや、その他の粘土鉱物のうちの少なくとも1種とを含有するものである。
本実施の形態の室内汚染物質除去壁紙としては、壁や天井等に施工されるものであり、場合によっては襖紙として使用してもよい。樹脂、紙、布地、不織布等のシート基材の表面部に樹脂、紙、布、不織布等の層が設けられた一般的な壁紙であり、少なくとも表層部(表面を含む)には、第1の多孔質材料として、無極性の多孔質材料、すなわち吸着材である各種活性炭(第1の多孔質材料)のうちの少なくとも1種を含有する。また、少なくとも前記建材の表層部(表面を含む)には、第2の多孔質材料として、極性を有する多孔質材料、すなわち吸着材であるゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物としてのセピオライトやアタパルジャイトや、その他の粘土鉱物のうちの少なくとも1種とを含有するものである。
活性炭は、大きな比表面積を有して多孔質の炭素系物質であり、組成は炭素を主成分とするが、他に、少量の水素、酸素、無機成分を含む。化学構造は、分子性状的に無極性のグラファイトを基本構造とするが、無定形で、表面に水酸基、キノン基等の官能基を有する。種類としては、椰子殻、木、竹等のような各種植物を炭化するとともに賦活化した活性炭や、石炭等をさらに炭化するとともに賦活化した活性炭、植物以外の動物性由来の活性炭等がある。
ここで、活性炭の平均孔径の目安としては、目的とする吸着分子(VOCに含まれる分子)の径の10倍程度の孔径、すなわち、20〜100Å程度ものが好ましい。すなわち、活性炭は、平均孔径が20〜100Åの範囲であることが好ましい。従って、活性炭の賦活方法としては、孔径が広範囲に分布する水蒸気賦活法が適当である。逆に、孔径が大きくなる薬品賦活法は、この場合には好ましくない。ここで、活性炭やゼオライト等の多孔質材料の細孔は、半径1nm以下、すなわち、直径20Å以下のマイクロ孔と、半径1nm〜25nm、すなわち、直径20Å〜500Åのメソ孔と、半径25nm以上のマイクロ孔に分類される。従って、この例で用いられる活性炭は、その細孔の多くがメソ孔に分布するとともに、メソ孔の中でも孔径の狭い方に分布するものとなる。なお、活性炭の細孔の平均孔径が20Å以より小さいと、VOCに属し、新築の建物において、室内濃度が高くなる可能性のあるトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等のVOCの吸着能力が低下し好ましくなく、一方、活性炭の細孔の平均孔径が100Åより大きい場合には、全体的な吸着表面積が低下するためにトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の吸着能力が低下してしまい好ましくない。
活性炭は、その分子性状が無極性であることから、室内空気において大半を占め、芳香族炭化水素やパラフィン等に代表される分子性状的に極性が低い有機化合物に対して比較的高い吸着性を示すが、極性が比較的高い有機化合物であるホルムアルデヒド等に対しても吸着性を有する。また、活性炭は、極性の高い有機化合物を吸着すると、極性が低い有機化合物に対する吸着能力が低減する。また、この例で用いられる活性炭は、上述のように平均孔径が20〜100Åであることから、ホルムアルデヒド等の分子径の小さいVVOCから芳香族炭化水素であるトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の比較的極性の低く、VVOCより分子径が大きいVOCを吸着する。
ゼオライトは、沸石ともいい、アルミノケイ酸塩(AlSiO4)四面体が頂点を共有してつくる三次元網目構造中の空孔にアルカリ、アルカリ土類金属、水分子の入った構造であり、所謂分子ふるい作用を有する。なお、現在、ゼオライトとして各種の合成品が開発されており、必ずしもアルミノケイ酸塩を主成分とするものではない。
シリカゲルは、モノケイ酸が三次元的に乱雑に結合してできた無定形のキセロゲルであり、乾燥材や吸着材として一般に使用される。
アルミナは、水酸化アルミニウムのヒドロゲルが400度程度に焼成されて製造され、製造法により、様々な物理的、化学的性状を有する。
粘土鉱物は、産状が主として粘土であるケイ酸塩鉱物であり、非晶質と結晶質とに大別される。
また、粘土鉱物としては、セピオライト、アタパルジャイトを本発明に有効に利用することができる。セピオライト、アタパルジャイトは、結晶質であるとともに、ゼオライトと同様に結晶構造にトンネル(細孔)があり、有機化合物に対して吸着性を有する。また、セピオライトもしくはその加工品には、ゼオライトと同様な分子ふるい効果を有する。また、セピオライトの主成分はイノケイ酸マグネシウムである。また、アタパルジャイトの主成分は、加水マグネシウム・アルミニウムケイ酸塩である。
また、粘土鉱物としては、セピオライト、アタパルジャイトを本発明に有効に利用することができる。セピオライト、アタパルジャイトは、結晶質であるとともに、ゼオライトと同様に結晶構造にトンネル(細孔)があり、有機化合物に対して吸着性を有する。また、セピオライトもしくはその加工品には、ゼオライトと同様な分子ふるい効果を有する。また、セピオライトの主成分はイノケイ酸マグネシウムである。また、アタパルジャイトの主成分は、加水マグネシウム・アルミニウムケイ酸塩である。
ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等は、それらの分子性状が極性を有することから、アルデヒド、ケトン、エステル等のカルボニル化合物、オレフィン、アルコール化合物等の分子性状が極性を有する化合物を優先的に吸着する。なお、本発明では、特にゼオライト系やセピオライト系の吸着材を好適に用いることができる。
そして、第2の多孔質材料としてゼオライト、セピオライトを用いる場合には、それらの平均孔径が3〜10Åであることが好ましい。平均孔径が3Åより小さい場合には、ホルムアルデヒドの吸着能力が低下し、10Å以上とすると、ホルムアルデヒドを選択的に吸着するような分子ふるい効果が低下し、ホルムアルデヒドよりも大きな分子を吸着する可能性が高くなる。
そして、第2の多孔質材料としてゼオライト、セピオライトを用いる場合には、それらの平均孔径が3〜10Åであることが好ましい。平均孔径が3Åより小さい場合には、ホルムアルデヒドの吸着能力が低下し、10Å以上とすると、ホルムアルデヒドを選択的に吸着するような分子ふるい効果が低下し、ホルムアルデヒドよりも大きな分子を吸着する可能性が高くなる。
そして、ゼオライト及びセピオライト系吸着材には分子ふるい作用があるので、平均孔径が特定のものを用いることにより、分子ふるい作用により、特定の大きさの範囲の化合物を吸着することができる。従って、例えば、上述のように平均孔径が3〜10Åのゼオライト系吸着材やセピオライト系吸着材を用いることにより、分子径が6Å以上の化学物質(トルエン、キシレン等)を吸着させずに、分子径が4〜5Åの化合物(ホルムアルデヒド等のVVOC)を優先的に吸着させるようなことも可能である。なお、ゼオライト系吸着材やセピオライト系吸着材としては、天然物よりも、平均孔径を調整可能な合成品や人工品を好適に用いることができる。
なお、本発明においては、平均孔径が3〜10Åの第2の多孔質材料と、平均孔径が20〜100Åの第1の多孔質材料とを組み合わせることにより後述するように優れた効果を得られるようになっており、第2の多孔質材料がホルムアルデヒドを選択的に吸着することが可能な平均孔径を有し、かつ、第1の多孔質材料がホルムアルデヒドより分子径が大きなVOCに含まれる化合物を好適に吸着可能な平均孔径を有する必要がある。
また、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物(セピオライトを除く)等は、ゼオライトでは吸着が困難な、比較的分子量が大きい極性分子を吸着させるために用いることが好ましく、ゼオライトやセピオライトと組み合わせて用いることが好ましい。また、第2の多孔質材料として使われる物質は、ほとんど調湿作用を有するものであり、これらを組み合わせることにより、調湿機能を高められる可能性がある。そして、第1の多孔質材料である活性炭は、高湿下での吸着能力が低下する可能性があるが、第2の多孔質材料により湿度を低減することで、活性炭の吸着能力を高めることができる。
また、ゼオライトは、比較的低分子量の極性分子、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等は、比較的高分子量の極性分子の吸着に適当である。従って、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等と、ゼオライトとを適宜併用することで、VVOCの吸着能力をより向上させることができる。
なお、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物でも上述のようにホルムアルデヒドを吸着することが可能であり、ゼオライト、セピオライトと組み合わせずに、単独で、本発明の第2の多孔質材料としてそれぞれ第1の多孔質材料と組み合わせて使用することが可能である。
また、ゼオライトは、比較的低分子量の極性分子、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等は、比較的高分子量の極性分子の吸着に適当である。従って、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等と、ゼオライトとを適宜併用することで、VVOCの吸着能力をより向上させることができる。
なお、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物でも上述のようにホルムアルデヒドを吸着することが可能であり、ゼオライト、セピオライトと組み合わせずに、単独で、本発明の第2の多孔質材料としてそれぞれ第1の多孔質材料と組み合わせて使用することが可能である。
また、第1の多孔質材料及び第2の多孔質材料は、それぞれ、平均粒径が50μm〜100μmの範囲になっていることが好ましい。後述するように、室内空気汚染物質除去壁紙を製造するにあたり、多孔質材料の平均粒径が50μmより小さいと多孔質材料の壁紙表面への露出量が少なく、多孔質材料の実質的な表面積が低下し、吸着能力が低下する。また、製造時に多孔質材料が飛散しやすく、扱いが困難となったり、作業環境の悪化となる可能性がある。
また、多孔質材料の平均粒径が100μmより大きいと、壁紙表面に多孔質材料を付着させた場合に剥離、脱落しやすくなる。
なお、第1及び第2の多孔質材料の形状は、粒状(粉状)に限定されるものではなく、針状等に加工した物であっても良い。さらに、繊維等に付着させ、その繊維を粉砕して使用しても良い。
また、多孔質材料の平均粒径が100μmより大きいと、壁紙表面に多孔質材料を付着させた場合に剥離、脱落しやすくなる。
なお、第1及び第2の多孔質材料の形状は、粒状(粉状)に限定されるものではなく、針状等に加工した物であっても良い。さらに、繊維等に付着させ、その繊維を粉砕して使用しても良い。
以上のような、各種活性炭等からなる第1の多孔質材料のうちの少なくとも1種と、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等からなる第2の多孔質材料のうちの少なくとも1種とを合わせて用いることにより、多くの種類の有機化合物を吸着して除去することができる。また、第2の多孔質材料として極性を有する分子性状の吸着材を用い、第2の多孔質材料が室内に存在する極性の高い揮発性有機化合物としてホルムアルデヒドを主に吸着すること、さらに、第2の多孔質材料として平均孔径3〜10Åのゼオライトやセピオライト系吸着材を用い、第2の多孔質材料がその分子ふるい効果により、室内に存在する揮発性有機化合物のうちの分子径の小さいホルムアルデヒドを選択的に吸着することによって、第1の多孔質材料は、主に、室内に存在する極性の低い揮発性有機化合物、特にホルムアルデヒドより分子径が大きなトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等を吸着することになる。これによって、第1の多孔質材料が極性の高い有機化合物を吸着することを抑制されることになり、第1の多孔質材料が極性の高い有機化合物を吸着してしまうことにより、第1の多孔質材料の極性の低い化合物対する吸着能力が低下するのを防止できる。
上述の壁紙表面に吸着材を含ませる方法としては、例えば、第1の多孔質材料である各種活性炭と第2の多孔質材料であるゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等の吸着材を所定の配合量で混合しておき、この混合した吸着材を、以下に示す方法で壁紙表面に含ませればよい。
すなわち、壁紙の表面層が織布、編布、不織布、紙等からなる繊維状のシートである場合、繊維の表面に接着材等で付着させたり、繊維製造時に繊維中に練り込んだりする方法がある。また、繊維シートを布地、紙、不織布等としてシート状にする際に、繊維間に吸着材を担持させたり、シートの表面に吸着材を接着させたりする方法もある。この場合に於いて、壁紙基材と表面層を貼り合わせる前に行っても、貼り合わせた後に行ってもよい。
すなわち、壁紙の表面層が織布、編布、不織布、紙等からなる繊維状のシートである場合、繊維の表面に接着材等で付着させたり、繊維製造時に繊維中に練り込んだりする方法がある。また、繊維シートを布地、紙、不織布等としてシート状にする際に、繊維間に吸着材を担持させたり、シートの表面に吸着材を接着させたりする方法もある。この場合に於いて、壁紙基材と表面層を貼り合わせる前に行っても、貼り合わせた後に行ってもよい。
また、壁紙の表面層が熱可塑性樹脂等からなる場合おいては、表面層を形成する樹脂に吸着材を分散させ、その樹脂を壁紙基材層にコーティングして表面層を形成してもよい。また、完成された壁紙の表面に吸着材を接着する方法で行っても良く、壁紙表面に接着材、ペースト、エマルジョン等を塗布した後に、粉粒状もしくは繊維状の吸着材を散布し、壁紙表面に吸着材を固定するものとしても良し、接着剤等に吸着材を分散させたものを、スプレー等を使用して塗布しても良い。
または、壁紙の製造工程中で吸着材を散布して行う方法をとってもよい、例えば、基材層に表面層を形成する樹脂を塗布して、加熱乾燥させて樹脂をキュアさせて表面層を形成するが、この樹脂が完全にキュアする前の工程において吸着材を散布し、その後完全にキュアすることによって、特別な接着剤等を使用することなく壁紙の鏡面に吸着材を固定することができる。
または、壁紙の製造工程中で吸着材を散布して行う方法をとってもよい、例えば、基材層に表面層を形成する樹脂を塗布して、加熱乾燥させて樹脂をキュアさせて表面層を形成するが、この樹脂が完全にキュアする前の工程において吸着材を散布し、その後完全にキュアすることによって、特別な接着剤等を使用することなく壁紙の鏡面に吸着材を固定することができる。
本実施の形態によれば、室内空気において大半を占め、芳香族炭化水素やパラフィン等に代表される分子性状がほぼ無極性である有機化合物(特にVOC)を、第1の多孔質材料である無極性の各種活性炭のうちの少なくとも1種によって吸着することができる。また、アルデヒド、ケトン、エステル等のカルボニル化合物、オレフィン、アルコール化合物等の分子性状が極性を有する有機化合物(特にVVOC)を、第2の多孔質材料である極性を有するゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物のうちの少なくとも1種によって吸着することができる。
すなわち、第1の多孔質材料である無極性の各種活性炭のうちの少なくとも1種と、第2の多孔質材料である極性を有する、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、粘土鉱物等のうちの少なくとも1種とを合わせて用いることによって、それぞれの吸着材が本来有する吸着能力を最大限に発揮させながら、多くの種類の揮発性有機化合物を吸着して除去することができる。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記室内汚染物質除去壁紙の吸着能力をさらに向上させるために、無機系吸着材に比して、機械的、熱的に脆い性質を有する高分子ポリマー等の吸着材を補助的に加えてもよい。
また、吸着材に揮発性有機化合物を化学反応によって分化することが可能な、ヒドラジン等のアミン化合物を添着させた物を使用してもよいし、吸着材が無機系化合物であれば、光分解作用を有する酸化チタン等を添着したものを使用しても良い、それにより本発明の壁紙の効果をよりいっそう高めることが可能となる。
また、吸着材に揮発性有機化合物を化学反応によって分化することが可能な、ヒドラジン等のアミン化合物を添着させた物を使用してもよいし、吸着材が無機系化合物であれば、光分解作用を有する酸化チタン等を添着したものを使用しても良い、それにより本発明の壁紙の効果をよりいっそう高めることが可能となる。
実施例1
試験体としての壁紙は、基材としての壁紙用裏打ち紙(100g/m2)に、塩化ビニルペーストを200g/m2の塗布量で塗布した後、第1の多孔質材料としての活性炭(白鷺C:武田薬品工業(株)製)と、第2の多孔質材料としてのゼオライト・セピオライト系吸着材(アルデナイト:武田薬品工業(株)製)とを重量比で30:70となるよう混合したものを20g/m2の割合で散布し、140℃で1分加熱、ゲル化させた後、210℃で40秒加熱、発泡させて塩化ビニル樹脂層13を形成した。これにメカニカルエンボス加工を行い、凹凸のある壁紙を得た。
その他の実施例
実施例1と同様にして壁紙を作成したが、吸着剤の混合比を10:90、20:80、40:60としてそれぞれ、実施2,3,4とした。
試験体としての壁紙は、基材としての壁紙用裏打ち紙(100g/m2)に、塩化ビニルペーストを200g/m2の塗布量で塗布した後、第1の多孔質材料としての活性炭(白鷺C:武田薬品工業(株)製)と、第2の多孔質材料としてのゼオライト・セピオライト系吸着材(アルデナイト:武田薬品工業(株)製)とを重量比で30:70となるよう混合したものを20g/m2の割合で散布し、140℃で1分加熱、ゲル化させた後、210℃で40秒加熱、発泡させて塩化ビニル樹脂層13を形成した。これにメカニカルエンボス加工を行い、凹凸のある壁紙を得た。
その他の実施例
実施例1と同様にして壁紙を作成したが、吸着剤の混合比を10:90、20:80、40:60としてそれぞれ、実施2,3,4とした。
比較例
実施例1と同様に壁紙を作製したが、吸着材として第1の多孔質材料のみを使用したものを比較例1、吸着材として第2の多孔質材料のみを使用したものを比較例2、吸着材として第1の多孔質材料と第2の多孔質材料を重量比で5:95、90:10で混合したものをそれぞれ比較例3、比較例4とした。
実施例1と同様に壁紙を作製したが、吸着材として第1の多孔質材料のみを使用したものを比較例1、吸着材として第2の多孔質材料のみを使用したものを比較例2、吸着材として第1の多孔質材料と第2の多孔質材料を重量比で5:95、90:10で混合したものをそれぞれ比較例3、比較例4とした。
[評価方法]
各壁紙の吸着性能を吸着平衡試験によって評価した。
吸着平衡試験方法は、試験体を入れたテドラーバック(気体補集用のサンプリングバック)内に濃度既知のホルムアルデヒド(VVOCのモデル物質として選択)及びトルエン(VOCのモデル物質として選択)の混合ガスを入れ、10〜60分後のテドラーバック内濃度を測定することにより吸着平衡量(残留ガス濃度)を算定する。
テドラーバックとしては、容量20Lのものを用い、テドラーバックに試験体を入れ、予め調整した混合ガスをテドラーバックに封入した。
なお、試験体は一辺が14.7cmの正方形状とし、これをテドラーバックに二枚入れた。これは、実測値として、容積に対する壁紙の面積が2.2m2/m3(デンマークの建材ラベリング標準室試験条件と同じ条件)となるようにしたものである。
各壁紙の吸着性能を吸着平衡試験によって評価した。
吸着平衡試験方法は、試験体を入れたテドラーバック(気体補集用のサンプリングバック)内に濃度既知のホルムアルデヒド(VVOCのモデル物質として選択)及びトルエン(VOCのモデル物質として選択)の混合ガスを入れ、10〜60分後のテドラーバック内濃度を測定することにより吸着平衡量(残留ガス濃度)を算定する。
テドラーバックとしては、容量20Lのものを用い、テドラーバックに試験体を入れ、予め調整した混合ガスをテドラーバックに封入した。
なお、試験体は一辺が14.7cmの正方形状とし、これをテドラーバックに二枚入れた。これは、実測値として、容積に対する壁紙の面積が2.2m2/m3(デンマークの建材ラベリング標準室試験条件と同じ条件)となるようにしたものである。
実施例、比較例にて得られた壁紙の評価結果を表1、及び表2に示す。
なお、評価は、吸着材を使用しない以外は実施例1と同じ方法にて作製されたコントロールとなる壁紙との比較にて行なった。すなわち、コントロールとなる壁紙についても、実施例及び比較例と同様に上述の吸着平衡試験を行い、コントロールとなる壁紙のホルムアルデヒド、トルエンの除去率との比較で以下のような評価を行った。
なお、評価は、吸着材を使用しない以外は実施例1と同じ方法にて作製されたコントロールとなる壁紙との比較にて行なった。すなわち、コントロールとなる壁紙についても、実施例及び比較例と同様に上述の吸着平衡試験を行い、コントロールとなる壁紙のホルムアルデヒド、トルエンの除去率との比較で以下のような評価を行った。
◎ :コントロールよりも除去率は高く、かつ、ほぼ完全に除去された。
○ :コントロールよりも除去率は高いが、完全には除去されない。
△ :コントロールよりも除去率がやや高い。
× :コントロールとほぼ同等の除去率。
○ :コントロールよりも除去率は高いが、完全には除去されない。
△ :コントロールよりも除去率がやや高い。
× :コントロールとほぼ同等の除去率。
Claims (3)
- 室内空気汚染物質を吸着する吸着材を表層部に有する室内空気汚染物質除去壁紙であって、
前記吸着材は、無極性の分子性状である第1の多孔質材料と、極性を有する分子性状である第2の多孔質材料とを含むことを特徴とする室内空気汚染物質除去壁紙。 - 前記第1の多孔質材料の平均孔径が20〜100Åであり、前記第2の多孔質材料の平均孔径が3〜10Åであることを特徴とする請求項1に記載の室内空気汚染物質除去壁紙。
- 前記第1の多孔質材料及び第2の多孔質材料の配合量の比が、10:90〜60:40であることを特徴とする請求項1又は2に記載の室内空気汚染物質除去壁紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004006995A JP2005200784A (ja) | 2004-01-14 | 2004-01-14 | 室内空気汚染物質除去壁紙 |
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---|---|---|---|---|
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2004
- 2004-01-14 JP JP2004006995A patent/JP2005200784A/ja active Pending
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