JP3045091B2 - ゴルフ用アイアンクラブヘッドの製法 - Google Patents

ゴルフ用アイアンクラブヘッドの製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転切削工具及
びこの回転切削工具を用いたゴルフ用アイアンクラブヘ
ッドの製法に関し、特に、回転切削工具の形態に改良を
施すことにより、ヘッド裏面側に凹み形成されるキャビ
ティ部の切削加工が効率良く行なえるようにするもので
ある。
【０００２】
【従来の技術】従来、ゴルフ用アイアンクラブヘッドに
おいては、ヘッド裏面側にキャビティ部を凹み形成する
ことにより、ヘッド全体の軽量化、低重心化及び周辺重
量配分化等による慣性モーメントや重心深度の増大化を
図るようにしてなる構成を有するものがある。
【０００３】そして、このようなアイアンクラブヘッド
を製造するには、鋳造やロストワックス等による成形の
他に、図７に示すように、例えば鍛造により粗仕上げ成
形されたヘッド成形体１の裏面側凹部２を、ＮＣ加工制
御される回転切削工具１０にて切削することにより、キ
ャビティ部の切削加工が行なわれている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のゴルフ用アイアンクラブヘッドの製法にあって
は、回転切削工具１０の刃部１０ａが円柱形状で、その
刃面角度θが水平面に対して垂直であるために、図８に
示すように、切削加工後の凹部２の内周側面３であるヘ
ッドソール側内周側面３ａ、トウ・ヒール側内周側面３
ｂ及びトップブレード側内周側面３ｃが全周に掛けて連
続する刃面角度θと同一な切削角度αのアップライト面
形状にしか切削することができない。
【０００５】また、ヘッド成形体１の裏面側凹部２の内
周側面３をオーバーハング面形状に切削するために、図
９に示すように、回転切削工具２０として刃部２０ａが
円錐形状からなる水平面に対して鈍角な刃面角度θを有
するものを用いた場合には、図１０に示すように、切削
加工後の凹部２の内周側面３が全周に掛けて刃面角度θ
と同一な切削角度βのオーバーハング面形状にしか切削
することができず、しかも、トウ・ヒール側内周側面３
ｂ及びトップブレード側内周側面３ｃの角端縁部が鋭利
になって手指を切り易いなど、取扱いに危険を伴うばか
りでなく、外部からの衝撃で欠け易い。
【０００６】特に、切削加工後のヘッド成形体凹部２の
トップブレード側内周側面３ｃがオーバーハング面形状
であると、その突出する角端縁部の重量分がヘッド重心
位置の低重心化に悪影響を及ぼす。
【０００７】そこで従来では、二つの円柱形状刃部１０
ａの回転切削工具１０及び円錐形状刃部２０ａの回転切
削工具２０を選択的に用いてヘッド成形体１の切削加工
が行なわれているものであるが、これによって、加工作
業が一工程で連続して行なうことができず、時間と手間
を要して生産効率が悪い。
【０００８】しかも、ヘッド成形体１の切削加工後に、
図１１に示すように、回転切削工具１０と回転切削工具
２０との取換えで、それらの刃の繋ぎ目となる凹部２の
オーバーハング面とアップライト面との境界ａがトウ・
ヒール側内周側面３ｂに段付き形成されて、凹部２の内
周側面３が不連続になって見苦しい。
【０００９】このような凹部２の内周側面３に形成され
るオーバーハング面とアップライト面との境界ａの段付
きは、通常、凹凸模様にてカモフラージュしているもの
であるが、キャビティ部形状によって段付き位置が特定
されるために、凹凸模様の位置やパターンに限界があ
る。
【００１０】この発明の目的は、ヘッド裏面側に凹み形
成されるキャビティ部の切削加工を効率良く行なえるよ
うにするための回転切削工具及びこの回転切削工具を用
いたゴルフ用アイアンクラブヘッドの製法を提供するこ
とにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、この発明は、ヘッド裏面側に凹み形成されるキ
ャビティ部を有し、かつこのキャビティ部のヘッドソー
ル側内周側面をオーバーハング面形状に形成してなると
ともに、このオーバーハング内周側面から連続する他の
トウ・ヒール側及びトップブレード側内周側面に掛けて
アップライト面形状に形成してなるゴルフ用アイアンク
ラブヘッドを回転切削工具を用いて製造するにあたり、
前記回転切削工具は、第１の円錐状刃部と第２の円柱状
刃部とを二段に一体化してなる形態を有し、粗仕上げ成
形されたヘッド成形体の裏面側凹部のヘッドソール側内
周側面を前記第１の円錐状刃部及び第２の円柱状刃部に
てオーバーハング面形状に切削し、このオーバーハング
内周側面から連続する他のトウ・ヒール側及びトップブ
レード側凹部の内周側面を第２の円柱状刃部にてアップ
ライト面形状に切削し、この切削加工後のヘッド成形体
の表面に研磨及びメッキ等の表面処理を施すことを特徴
とするものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
１から図６に示す図面に基づいて詳細に説明すると、図
１に示すように、符号１００はこの発明に係る後述する
回転切削工具を用いて製造されたゴルフ用アイアンクラ
ブのヘッドである。
【００１３】このヘッド１００の裏面側には、キャビテ
ィ部２００が凹み形成され、このキャビティ部２００の
内周側面３００は、図２に示すように、ヘッドソール側
内周側面３００ａをオーバーハング面形状に形成してな
るとともに、このオーバーハング内周側面３００ａに連
続する他のトウ・ヒール側内周側面３００ｂ及びトップ
ブレード側内周側面３００ｃに掛けてアップライト面形
状に形成してなる形態を有する。
【００１４】そして、図３は、上記ヘッド１００をＮＣ
加工にて製造するために用いられる回転切削工具３０を
示すもので、この回転切削工具３０は、第１の刃部３１
と第２の刃部３２とを互いに刃面角度θ１，θ２が異な
るように上下二段に一体化してなる形態からなるととも
に、前記第１の刃部３１は、水平面に対する刃面角度θ
１が鈍角（例えばθ１＝７０°±１０°）からなる円錐
形状を有する一方、前記第２の刃部３２は、水平面に対
する刃面角度θ２がほぼ垂直（例えばθ２＝９０°±１
０°）からなる円柱形状を有する。
【００１５】すなわち、前記回転切削工具３０を用いて
上記ヘッド１００を製造するには、図４に示すように、
従来と同様にして、低炭素鋼などの金属からなるヘッド
成形体１を鍛造にて粗仕上げ成形すると同時に、その裏
面側に切削加工用の凹部２を形成する。
【００１６】次いで、このヘッド成形体１の裏面側凹部
２の内周側面３全周を回転切削工具３０にて切削してな
るもので、図５に示すように、この回転切削工具３０の
第１の円錐状刃部３１と第２の円柱状刃部３２にて凹部
２のヘッドソール側内周側面３ａを刃面角度θ１，θ２
に応じたオーバーハング面形状に切削し、さらに連続し
て他のトウ・ヒール側内周側面３ｂ及びトップブレード
側内周側面３ｃを第２の円柱状刃部３２にて刃面角度θ
２に応じたアップライト面形状に切削する。
【００１７】これによって、図６に示すように、第１の
円錐状刃部３１の刃面角度θ１に応じた切削角度αのオ
ーバーハング面と、第２の円柱状刃部３２の刃面角度θ
２に応じた切削角度βのアップライト面との境界が段差
なく連続するヘッド成形体１を得るものである。
【００１８】そして、このような切削加工後のヘッド成
形体１の表面を研磨するとともに、メッキ等の表面処理
を施すことにより、図１及び図２に示すようなヘッド完
成品１００を得るものである。
【００１９】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明は、第１の円錐状刃部と第２の円柱状刃部とからなる
互いに刃面角度が異なるように二段に一体化してなる形
態を有する回転切削工具を用いて、粗仕上げ成形された
ヘッド成形体の裏面側凹部のヘッドソール側内周側面を
第１の円錐状刃部及び第２の円柱状刃部にてオーバーハ
ング面形状に切削し、このオーバーハング内周側面から
連続する他のトウ・ヒール側及びトップブレード側内周
側面を第２の円柱状刃部にてアップライト面形状に切削
してなることから、一本の回転切削工具にてヘッドキャ
ビティ部内周側面のオーバーハング面とアップライト面
とが段差なく連続して効率良く切削加工することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明に係るゴルフ用アイアンクラブヘッ
ドの製法にて得られたヘッドの実施の形態を示す斜視
図。
【図２】 同じくヘッドの断面図。
【図３】 この発明に係るゴルフ用アイアンクラブヘッ
ドの製法に用いられる回転切削工具の説明図。
【図４】 同じく粗仕上げ成形されたヘッド成形体の説
明図。
【図５】 同じく回転切削工具によるヘッド成形体の切
削加工状態を示す説明図。
【図６】 同じく回転切削工具による切削加工後のヘッ
ド成形体の説明図。
【図７】 従来の回転切削工具によるヘッド成形体の切
削加工状態を示す説明図。
【図８】 同じく従来の回転切削工具による切削加工後
のヘッド成形体の説明図。
【図９】 従来の他の回転切削工具によるヘッド成形体
の切削加工状態を示す説明図。
【図１０】 同じく従来の他の回転切削工具による切削
加工後のヘッド成形体の説明図。
【図１１】 従来の異なる二つの回転切削工具による切
削加工後のヘッド成形体の説明図。
【符号の説明】
１００・・・ヘッド、 ２００・・・キャビティ部、 ３００・・・内周側面、 ３００ａ・・・ヘッドソール側内周側面、 ３００ｂ・・・トウ・ヒール側内周側面、 ３００Ｃ・・・トップブレード側内周側面、 １・・・ヘッド成形体、 ２・・・凹部、 ３・・・内周側面、 ３ａ・・・ヘッドソール側内周側面、 ３ｂ・・・トウ・ヒール側内周側面、 ３Ｃ・・・トップブレード側内周側面、 ３０・・・回転切削工具、 ３１・・・第１の刃部（円錐形状）、 ３２・・・第２の刃部（円柱形状）、 θ１・・・第１の刃部の刃面角度、 θ２・・・第２の刃部の刃面角度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A63B 53/04 B23C 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ヘッド裏面側に凹み形成されるキャビティ
    部を有し、かつこのキャビティ部のヘッドソール側内周
    側面をオーバーハング面形状に形成してなるとともに、
    このオーバーハング内周側面から連続する他のトウ・ヒ
    ール側及びトップブレード側内周側面に掛けてアップラ
    イト面形状に形成してなるゴルフ用アイアンクラブヘッ
    ドを回転切削工具を用いて製造するにあたり、 前記回転切削工具は、第１の円錐状刃部と第２の円柱状
    刃部とを二段に一体化してなる形態を有し、 粗仕上げ成形されたヘッド成形体の裏面側凹部のヘッド
    ソール側内周側面を前記第１の円錐状刃部及び第２の円
    柱状刃部にてオーバーハング面形状に切削し、 このオーバーハング内周側面から連続する他のトウ・ヒ
    ール側及びトップブレード側凹部の内周側面を第２の円
    柱状刃部にてアップライト面形状に切削し、 この切削加工後のヘッド成形体の表面に研磨及びメッキ
    等の表面処理を施すことを特徴とするゴルフ用アイアン
    クラブヘッドの製法。
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