JP2902974B2 - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブヘッドの製造方法

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JP2902974B2 JP7120913A JP12091395A JP2902974B2 JP 2902974 B2 JP2902974 B2 JP 2902974B2 JP 7120913 A JP7120913 A JP 7120913A JP 12091395 A JP12091395 A JP 12091395A JP 2902974 B2 JP2902974 B2 JP 2902974B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密鋳造法により製造
するゴルフクラブヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴルフクラブのウッドヘッドは、
パーシモンと称される柿材を使用したヘッドに代わり、
メタルヘッドと称されるステンレス、チタン合金、コバ
ルト合金、アルミニウム合金、マンガン合金等を使用し
た金属製のヘッドが主流となっている。この金属製のメ
タルヘッドは、金属という重い材料を使用しているた
め、ヘッド外郭は金属で造られているが、中は中空とな
っている。
【0003】このような中空のメタルヘッドを製造する
最も一般的な製造方法は、精密鋳造法(いわゆるロスト
ワックス)である。簡単に精密鋳造法によるメタルヘッ
ドの製造工程を示すと、まず造りたいヘッド形状のマス
ターモデルを銅で作製する。これを元に、電蝕加工ある
いは放電加工等によりヘッド外形の雌型をアルミニウム
で作製する。一方、前記マスターモデルを元に、これよ
りやや小さい形状の中子をアルミニウムで作製する。前
記雌型とこの中子とがワックス製造用金型であり、両者
の隙間がメタルヘッドの肉厚となる。
【0004】前記ワックス製造用金型にワックスを流し
込み、固まったところで金型から取り外すと、メタルヘ
ッドの中空形状をしたワックスができ上がる。ワックス
は、その名の通りワックス(蝋)でできているため、軟
らかく熱に溶けやすい。図3のように、この中空形状を
したワックス10を、一本のワックスの棒11に数個取
り付ける。これをツリーと称している。このワックス1
0は、ヘッドを中空にする際ソール部をワックス製造用
金型の中子の抜き代として使用しているため、ソール部
は開口部12となっている。
【0005】これにセラミックや砂でできた耐火物粒を
つけて固めると、図4のようになる。次に熱を加える
と、耐火物粒が強固に固まると同時に、ワックスが流れ
出て、メタルヘッド形状をした空間が残る。前記空間
に、湯口13からメタルヘッドの素材となる金属を流し
込む。金属が固まったところで、セラミックや砂からで
きた耐火物粒を壊すと、メタルヘッドが数個付いた図3
のような形状のツリーができ上がる。これを一個ずつ切
り離し、穴が開いているソール部分に、別途成型したソ
ール部を嵌合溶接して仕上げるものである。
【0006】別体のソール部の嵌合溶接の際には、別体
のソール部がメタルヘッド本体の中空部内に落ち込まな
いようにするため、図5のように、ソール部14にタブ
15を設けていた。また、メタルヘッド本体16には、
このタブ15の対応する位置に切欠部17を設けてい
た。このようなタブ15は、ソール部14を前記した精
密鋳造法で造る場合には容易に形成することができる。
ところが、精密鋳造法でソール部のような単純な形状の
物品を造ることは、コストがかかり過ぎて効率的ではな
かった。
【0007】そこで、コストの余りかからないプレスで
ソール部を造るという方法が考え出されたが、プレスで
はソール部にタブ15を設けることができない。このた
めに、メタルヘッド本体のソール開口部周縁に、ソール
部を受け止めるための突起を複数個(通常3〜4個)設
けて、ソール部を嵌合固定していた。
【0008】ところで、シャフト長さ(すなわちシャフ
ト重量)の異なるゴルフクラブを同じ重量バランスにし
ようとすると、異なる重量のヘッドを用意する必要があ
った。従来このヘッド重量の調整は、メタルヘッドの中
空本体内に充填される発泡体の量を変えることによって
行われてきた。しかし、発泡体を入れると、ボールを打
球した際の打球音が小さく低くなってしまう。ところ
が、近年はより大きく高い打球音が好まれるようになっ
てきたため、ヘッドの中空本体内に発泡体を充填しない
で、大きく高い打球音が出るようにしたメタルヘッドが
多くなってきた。このようなメタルヘッドでは、充填す
る発泡体の量を変えることでヘッド本体の重量を調節す
るという方法をとれなくなった。
【0009】そこで、このようなメタルヘッドにおいて
重量を調節するため、さらには、ヘッドの性能を変える
ために重心位置を変えようとすると、ソール部に異なる
重量のものを用いることが最も簡単な重量・重心位置の
変更方法である。ソール部の重量は、ソール部の厚みを
変えることによって調節することができる。
【0010】前記したタブ15を設けたソール部14で
は、ソール部14がどのような厚み(重量)であっても
タブ15の大きさは一定である。従って、1個のワック
ス製造用金型を造っておけば、これから精密鋳造法によ
りできたメタルヘッド本体16に、所望の厚み(重量)
のソール部14を嵌合固定して重量や重心位置を調節し
た上、ソール部14を溶接してメタルヘッドに仕上げる
ことができた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、プレスによ
って造ったソール部にあっては、重量や重心位置を調節
するために厚み(重量)の異なるソール部を、精密鋳造
法によりできたメタルヘッド本体に嵌合固定すると、次
のような問題点を生じた。すなわち、プレスによるソー
ル部では、タブ15に代わりメタルヘッド本体のソール
開口部周縁にソール部を受け止めるための突出部を複数
個設けている。ところが、ソール開口部の周縁接地面か
らソール部を受け止めるための突出部までの深さが一定
であるため、厚み(重量)の異なる別体のソール部を嵌
合固定すると、ソール開口部の周縁とソール部との間に
段差ができるという問題点があった。
【0012】段差をなくすためには、ソール開口部の周
縁接地面からソール部を受け止めるための突出部までの
深さが異なる数種類のメタルヘッド本体を造っておけば
良いが、数種類のメタルヘッド本体を造るために数種類
のワックス製造用金型を造ることは、コストがかかり、
せっかくソール部をプレスで造ることにより節減したコ
ストを越える投資をさせる結果になった。
【0013】そこでこの発明は、プレスで製造するタブ
15のない厚み(重量)の異なるソール部を用いても、
1個のワックス製造用金型で対応することができるよう
にして、重量や重心位置の調節をコストアップすること
なく実現しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明はソール
部とソール部がない中空の本体とからなるメタルウッド
と称されるゴルフクラブヘッドにおいて、前記中空本体
を精密鋳造法により製造するにあたり、前記中空本体の
開口部に嵌合するソール部を受け止めるための前記開口
部周縁に数個設けられる突出部が、前記開口部の周縁接
地面から一定の深さを有する群と、前記深さとは異なる
深さを有する群とから成る前記中空本体形状のワックス
ができ上がるように、ワックス製造用金型を作成し、次
に前記金型内に溶けたワックスを流し込んで前記中空本
体形状のワックスを作り、この中空本体形状のワックス
内に形成された前記突出部の内、必要な深さの群の突出
部だけ残して他の群の突出部を削り取り、かかる中空本
体形状のワックスをもとに精密鋳造法により前記中空本
体を作製し、これにソール部を嵌合溶接してゴルフクラ
ブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法とし
た。
【0015】
【作用】本発明では、重量や重心位置の調節に用いる異
なる厚み(重量)を有するソール部が複数個あっても、
これに対応する深さを有するソール部を受け止めるため
の突出部の群が2あるいはそれ以上あるように、ワック
ス製造用金型を作成している。しかも、その群の内、所
望の深さを有する群の突出部だけ残し、他の群の突出部
をワックスの段階で削り取るようにした。従って、ワッ
クス製造用金型を複数個用意しなくとも、1個のワック
ス製造用金型で、厚み(重量)の異なるソール部に対応
することができ、重量や重心位置の調節も簡単にでき
る。
【0016】しかも、不必要なソール部を受け止めるた
めの突出部の群は、軟らかいワックスの段階で削り取る
ようにしたから、特別な工具を用いなくともナイフのよ
うなもので簡単に削り取ることが可能であり、作業工程
上の効率も良くなるものである。
【0017】
【実施例】図1は、本発明を実施したワックス製造用金
型を用いて製造したゴルフクラブの中空本体形状をした
ワックス1を、ソール側から見た図である。ソールは開
口部2となっており、ワックス1が中空であることがわ
かる。開口部2の周縁3には、突出部4a及び4bが設
けられている。突出部4aの群と、4bの群とでは、開
口部2の周縁接地面5からの深さが異なっている。
【0018】図2は、図1のワックス1をA−A線で切
った断面図を示すものである。この断面図を見れば、突
出部4aの周縁接地面5からの深さh1と、突出部4b
の周縁接地面5からの深さh2とが異なっていることが
わかる。従って、このワックス1からでき上がったメタ
ルヘッド本体に、嵌合したいソール部の厚さ(重量)に
応じた深さの突出部を残し、不要な方の突出部をナイフ
等で削り取れば、所望のソール部を簡単に取り付けるこ
とができる。
【0019】必要な突出部を残したワックス1を、図3
のようなワックスの棒11に取り付けツリーにする。こ
れにセラミックや砂でできた耐火物粒をつけて固める
と、図4のようになる。次に熱を加え、耐火物粒を固め
ると同時にワックスを流し出す。ワックスが流れ出た空
間に、湯口13から金属を流し込む。金属が固まったと
ころで、耐火物粒を壊し、メタルヘッドを取り出すもの
である。このようにすれば、所望の突出部を備えたメタ
ルヘッド本体が容易にでき上がる。
【0020】突出部4a、4bを、ワックス1の段階で
なくメタルヘッドになった段階で削り取ることも不可能
ではないが、この段階で削り取るにはそれなりの装置が
必要な上、ソールの開口部という狭いところから作業を
する必要があるので、作業性も悪く得策ではない。
【0021】図1では、深さの異なる突出部4aの群と
4bの群とをそれぞれ3個ずつ設けているが、これは3
個に限定されるものではない。ただ、1個ずつあるいは
2個ずつではソール部を嵌合させた時に不安定になるの
で、3個以上が好ましい。また、深さの異なる突出部の
群4aと4bの位置を、図1では比較的近接して設けて
いるが、これもこのような実施例に限定されるものでは
なく、離して設けても何ら差し支えない。さらに、図1
では深さの異なる突出部の群を4aと4bの2つの群に
しているが、これを深さの異なる3つ以上の群の突出部
にしてもよい。このようにすれば、厚み(重量)の異な
る3つ以上のソール部に対応することができる。
【0022】突出部の深さの異なる群は、群ごとに突出
部の形状を変えるとか、同じ群の突出部上に同じ「×」
や「O」等の記号、数字、アルファベットが入るよう
に、ワックス製造用金型に記号、数字、アルファベット
等を入れておけば、誤って異なる深さの群の突出部を削
り取ることがなくなる。また、でき上がったメタルヘッ
ドにどの深さの突出部を残したかが一目瞭然でわかるこ
とにもなる。さらに、ワックス製造用金型で中空本体形
状のワックス1を作る際、ソール部から挿入する中子が
抜きやすいように、突出部4a、4bの形状を決めてお
くと良い。
【0023】
【発明の効果】本発明では、プレスで製造した厚み(重
量)の異なる複数個のソール部に、1個のワックス製造
用金型で対応できる。しかも、軟らかいワックスの段階
で、所望の深さを有する群の突出部だけ残し、他の群の
突出部を削り取るようにしたので、特別な工具を用いな
くとも簡単に削り取ることができ、作業工程上の効率も
良くなる。従って、重量や重心位置の調節変更が簡単に
でき、しかもコストダウンも図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のワックスをソール側から見た
底面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、ワックスをツリーの状態にした説明図
である。
【図4】図4は、図3のツリーに耐火物粒をつけて固め
た状態を示す説明図である。
【図5】図5は、従来のタブを有するソール部を用いた
メタルヘッドの底面図である。
【符号の説明】
1 ワックス 2 開口部 3 周縁 4a 突出部 4b 突出部 5 周縁接地面 10 ワックス 11 ワックスの棒 12 開口部 13 湯口 14 ソール部 15 タブ 16 メタルヘッド本体 17 切欠部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソール部とソール部がない中空の本体と
    からなるメタルウッドと称されるゴルフクラブヘッドに
    おいて、前記中空本体を精密鋳造法により製造するにあ
    たり、前記中空本体の開口部に嵌合するソール部を受け
    止めるための前記開口部周縁に数個設けられる突出部
    が、前記開口部の周縁接地面から一定の深さを有する群
    と、前記深さとは異なる深さを有する群とから成る前記
    中空本体形状のワックスができ上がるように、ワックス
    製造用金型を作成し、次に前記金型内に溶けたワックス
    を流し込んで前記中空本体形状のワックスを作り、この
    中空本体形状のワックス内に形成された前記突出部の
    内、必要な深さの群の突出部だけ残して他の群の突出部
    を削り取り、かかる中空本体形状のワックスをもとに精
    密鋳造法により前記中空本体を作製し、これにソール部
    を嵌合溶接してゴルフクラブヘッドを製造するゴルフク
    ラブヘッドの製造方法。
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JPH08289945A JPH08289945A (ja) 1996-11-05
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