JP2004337303A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】金属製の中空タイプのウッドヘッドにおいて、ヘッドの慣性モーメントを効率よく増大させることと、係るヘッドを容易に且つ低コストで製造することを課題とする。
【解決手段】ヘッドの打球面を中心として最も離れた部分である外周部分に重量体を装着することにより、適切な大きさのヘッドでありながら最大の慣性モーメントが得られるウッドタイプのゴルフクラブヘッドを、上記の重量体を装着するための凹所を形成する構造を、従来の中子型を使用するワックス金型によらず、アンダーカット部分を避けた割型からなる複数のワックスパーツを接合する、容易で低コストの製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】ヘッドの打球面を中心として最も離れた部分である外周部分に重量体を装着することにより、適切な大きさのヘッドでありながら最大の慣性モーメントが得られるウッドタイプのゴルフクラブヘッドを、上記の重量体を装着するための凹所を形成する構造を、従来の中子型を使用するワックス金型によらず、アンダーカット部分を避けた割型からなる複数のワックスパーツを接合する、容易で低コストの製造方法。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は中空の金属製ウッド型ゴルフクラブヘッドと重量体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、中空の金属製ウッド型ゴルフクラブにおいては、方向性の向上を目的としてヘッドの大型化が進んでいる。ヘッドの体積を大きくすることにより、ヘッドの慣性モーメントが増大し、方向性能が向上するといわれている。ヘッドの大型化のために、例えば高強度で且つ比重の軽いチタン合金を採用するとともに、チタン合金の成型技術の改良により板厚の薄肉化と軽量化が図られたヘッドを装着したゴルフクラブが主流となっている。
【0003】
ヘッドの慣性モーメントを増大させるには、ヘッド体積が大きく、ヘッド重量を重くすると効果的である。然しながらゴルフクラブにはその長さによって適切とされるヘッドの重量範囲があり、また当然打撃時の衝撃に耐える強度も必要であることから、効率よく慣性モーメントを増大させる重量配分が要求される。
【0004】
この目的を実現するため我々は種々の提案を行なってきた(例えば、特許文献1参照)。ウッド型ゴルフクラブヘッドにおいて、体積360ml以上のヘッドのフェース高さとフェース幅の比率と、慣性モーメント値とヘッド重量と重心距離の効率的な相関を明らかにした。
【0005】
然しながら、ヘッドの適切な大きさは時代と共に変化していくという背景はあるものの、大型のヘッドは一部のゴルファー、特に上級者からは違和感があると指摘されて適切な体積のヘッドが好まれる傾向もある。従って適切な体積であり、且つその体積で最大の慣性モーメントが得られる手法が望まれるのは必然であろう。
【0006】
ところで、中空構造の金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法としては、ステンレスやチタン合金の鋳造技術であるロストワックス製法が挙げられるが、従来の単一のワックス型によるロストワックス製法で、ウッド型ゴルフクラブヘッドを製造する場合は、ワックスヘッドを成型する際の金型において、中子型が必要であり、金型の構造が複雑となるので製造コストがかかるという問題が生じる。
また、中子型をワックス型の凹所から取り出す際に、ワックスが壊れないように慎重に作業する必要があるので、量産性が極めて低い。さらに各金型の繋目による境界線がワックス型の表面にでてしまう。
【0007】
【特許文献1】
特願2001−286585
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべく提案されたもので、ヘッドの打点を中心として最も離れた部分である外周部分に重量体を装着することにより、適切な大きさのヘッドでありながら最大の慣性モーメントを実現することを目的としたものである。
【0009】
更に、上記の重量体を装着するための凹所を形成する構造を、従来の中子型を使用する単一のワックス金型によらず、アンダーカット部分を避けた割型からなる複数のワックスパーツを接合してワックスヘッドとする方式を採用し、容易で且つ低コストによる製造を可能とすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、中空の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、該ヘッド本体の外周部にアンダー構造を伴う凹所を設けると共に、該凹所に例えば重量体を装着したことを特徴とするゴルフクラブヘッドを提案する(請求項1)
【0011】
さらに、上記請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、重量体を装着する凹所の所要部分に、重量体を固定するための突起を設けると有利である(請求項2)
【0012】
また、上記請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、中子型を使用しない金型で成型した複数のワックスパーツを合わせて一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする製造方法を提案する(請求項3)
【0013】
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドにおいて、複数のワックスパーツを合わせて、該ワックスパーツの接合部分の内壁に設けた突条を溶解させ、溶着し一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする製造方法を提案する(請求項4)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0015】
図1は、重量体を装着した状態のウッドタイプヘッド1−1を打球面の背面側から見た図である。ヘッドを上下に分割する稜線に沿って設けられた凹所に、帯状からなる重量体1−2が装着されている状態を示している。同図において、符号1−3はホーゼル部であり、ヘッド成型後このホーゼル部にシャフトを挿入し固定することによりゴルフクラブが構成される。
【0016】
上記の重量体の装着されている位置を、ヘッドの打球面に対し最も離れた部分を中心に配置したのは、ヘッドの重心位置を深くするためのものであり、効率よくヘッドの慣性モーメントを大きくする効果がある。
【0017】
ヘッドの慣性モーメントが増大すると、打撃時のヘッドの安定性が増し、所謂スイートスポットと言われる最適打撃点を外したオフスポットでの打撃においても、打球の方向性が優れることが知られている。
【0018】
図2は、内部が中空に形成されたウッドタイプヘッドのワックスパターンを示す。本実施例は、ヘッドを上下に分割したトップパーツ2−1とソールパーツ2−2の2部品のワックスパターンからなり、該ワックスパターンを接合一体化する前の状態の斜視図である。
【0019】
同図の符号2−3及び2−4は、トップパーツ及びソールパーツの接合部分に設けた重量体を装着するための凹所を示していて、ワックスパーツを接合して一体化したワックスヘッドから、ロストワックス方式により金属を鋳造し金属製のヘッドとした後に、該凹所に重量体を装着し固着させるためのものである。
【0020】
上記のトップパーツ及びソールパーツのワックスパターンは、重量体を装着するための凹所を付随するもののアンダーカットのないシェル形状からなり、中子型を使用することなく単純な金型から成型が可能である。
【0021】
図3は、従来のヘッド形状のワックスを一体で成型しようとした場合の例である。本図によると、ソール面を開放にした中空の球状を成していて、アンダーカット部分が含まれる。アンダーカット部分を成型するには、中子型或いは中子と呼ばれる抜型を用いるが、成型には中子型の組付けと分解を行なう工程が必要で、複雑で且つ成型に時間が掛かるという問題がある。
【0022】
また、ヘッドの外周部分に重量体を装着するための凹所を設ける場合は、凹所部分がアンダーカットとなるため、複雑な中子型を用いることになる。上記の、中子型を使用する方法に対して、本発明が提示するアンダーカットを避けた割型方式は、成型が容易で且つ単純な金型からなるため、廉価で品質の良いワックスヘッドが提供されるものであるが、複数のワックスパターンを接合してワックスヘッドとするための接合における様々な工夫を要した。
【0023】
図4は、ワックスパターンの接合部の断面を拡大したものである。本図は符号4−1のワックスパターンの接合部を突き合わせた状態を示していて、符号4−2は成型後に挿入する重量体を収容する凹所であり、符号4−3は重量体を固定するための突起、更に符号4−4はワックスパターンを固着させる時に溶解させるための突条である。
【0024】
接合の工程としては、例えば上述のワックスパターンの接合部を突き合わせた状態で保持できる冶具にセットし、打撃部分の開口部からワックスを溶解できる温度に加熱した状態のコテを挿入し、ワックスパターンの内部から突条部分を溶解しつつ一体化させて結合させるのである。上述の位置をセットするための冶具は、重量体を装着するために設けた凹所を利用して位置決めの基準とすると好都合である。
【0025】
上述のように成型して一体化したワックスヘッドを精密鋳造製法によって成型してゴルフクラブヘッドを製造し、更にヘッドの外周に設けた凹所に重量体を装着することにより、打撃部から離れた部分に重量配分がされた慣性モーメントの大きなウッドタイプヘッドを製造するのである。
【0026】
また、ワックスパターンの内部から突条を溶解する方法は、溶解によるバリや凹凸をヘッドの外部に露出させることがないため、精密鋳造方法により成型した後の接合部分がスムーズで、研磨除去等の工程が不要であり、容易で廉価な加工工程とすることができる。
【0027】
精密鋳造製法により鋳造する金属としては、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを適宜用いることができるが、特にチタン合金を用いるとより高強度のヘッドが可能で、軽量化が図られ、重量体により多くの重量を配分することにより、より慣性モーメントの大きなウッドヘッドを製造することができる。
【0028】
本実施例では、凹所に装着する重量体は帯状であり、且つヘッドの外周形状に添った形状とするために、例えばタングステン粉末を樹脂に混入して固めて成型したものを用いた。重量体の固定は凹所に設けた突起に引っ掛けて離脱を防止するが、打撃時の衝撃に耐えるように接着剤を併用すると、より高い接合力が得られる。
【0029】
また、重量体は寸法を変えたり、タングステン粉末と(バインダーとして使用する)樹脂の比率を調整することにより重量を変えて、ヘッドの重量調整を兼ねることもできる。
【0030】
図5は、重量体を装着するウッドヘッドの別の実施例であり、ヘッドの外周の稜線に沿ってトウ部分とヒール部分に重量体を振り分けた装着を行なった。
【0031】
図6は、ヘッドの外周に識別のためのチップ状の銘板を装着した別の実施例である。この様に、ヘッドの外周や内部に重量体、或いは重量体を兼ねたもの、或いは音響効果を高めるための重量体以外のものを装着することもできる。
【0032】
次に、図7に示す別の実施例は、ヘッドを前後に分割する方法であり、ホーゼル部7−1を含むヒールパーツ7−2と、トウパーツ7−3の2部品のワックスパターンからなり、接合一体化するものである。本実施例においても、アンダーカットを避けた位置に、重量体等を装着するための凹所を設けることができる。また、前後2部品のワックスパーツを接合部で合わせて、開放された打球部から加熱用のコテによって、ワックスヘッドの内部から突条を溶解して接合一体化する方法が可能である。
【0033】
図8は、上下2部品のワックスパーツを接合して得たワックスヘッドを、精密鋳造方式によって成型した金属製のウッドヘッド本体部8−1に、別工程で製作したフェース部8−2を装着する場合の斜視図である。該フェース部は本体部と同様の材質、製法によってもよいし、板材を鍛造製法によって成型して得たものを使用しても良い。同種材質であれば、各種の溶接方法による接合が可能であり、また塑性変形によるカシメ嵌合や接着等の方法をとることもできる。
【0034】
図9は、上下2部品のワックスパーツのうち、上部のパーツを異なった形状のパーツとして成型したヘッドの例である。逆に、下部のパーツを別の形状とすることも可能で、どちらかを基本形状として、組み合わせることによって、数種の異なったモデルとして生産することにより、金型費用を節約することもできる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、ヘッドの慣性モーメントを高めることができるので、打撃時のヘッドの安定性が増し、打球の方向性を高めることができる。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、ヘッドの外周に設けた凹所の要所に設けた突起が、重量体の離脱を防止することにより、重量体を容易に固定することができる。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、ワックスパーツを中子型を用いない金型によって成型するので、容易に且つ低コストでワックスヘッドを作成することができる。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、ワックスパーツの内壁に設けた突条を溶解して一体化することにより、容易にワックスパーツを接合することができるとともに、溶解によるバリ及び凹凸をヘッドの外部に露出させないため、精密鋳造方法により成型した後の接合部分がスムーズで、研磨除去等の工程を必要としないため、容易であり低コストで製造することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】外周部に重量体が装着されたウッドタイプヘッドの背面図である。
【図2】トップパーツとソールパーツのワックスパターンの接合前の様子を示す斜視図である。
【図3】従来のウッドタイプヘッドのソール部開放型のワックスヘッドの斜視図である。
【図4】ワックスパーツの接合部の拡大断面図である。
【図5】トウ部とヒール部に重量体を配分したウッドタイプヘッドの、重量体装着前の様子を示す背面図である。
【図6】外周部に識別マークが装着されたウッドタイプヘッドの背面図である。
【図7】トウパーツとヒールパーツのワックスパターンの接合前の様子を示す斜視図である。
【図8】フェース部材を装着する前の様子を示すウッドタイプヘッドの斜視図である。
【図9】トップパーツに別のデザインを接合して成型したウッドタイプヘッドの斜視図である。
【符号の説明】
1−1 ゴルフクラブヘッド
1−2 重量体
1−3 ホーゼル部
2−1 ワックスパターンのトップパーツ
2−2 ワックスパターンのソールパーツ
2−3 トップパーツの重量体装着用凹所
2−4 ソールパーツの重量体装着凹所
4−1 ワックスパーツ
4−2 重量体を装着する凹所
4−3 重量体を固定する突起
4−4 ワックスパーツを接合する突条
7−1 ホーゼル部
7−2 ワックスパターンのヒールパーツ
7−3 ワックスパターンのトウパーツ
8−1 金属製のウッドヘッド本体
8−2 フェース部
8−3 重量体装着用凹所
【発明の属する技術分野】
本発明は中空の金属製ウッド型ゴルフクラブヘッドと重量体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、中空の金属製ウッド型ゴルフクラブにおいては、方向性の向上を目的としてヘッドの大型化が進んでいる。ヘッドの体積を大きくすることにより、ヘッドの慣性モーメントが増大し、方向性能が向上するといわれている。ヘッドの大型化のために、例えば高強度で且つ比重の軽いチタン合金を採用するとともに、チタン合金の成型技術の改良により板厚の薄肉化と軽量化が図られたヘッドを装着したゴルフクラブが主流となっている。
【0003】
ヘッドの慣性モーメントを増大させるには、ヘッド体積が大きく、ヘッド重量を重くすると効果的である。然しながらゴルフクラブにはその長さによって適切とされるヘッドの重量範囲があり、また当然打撃時の衝撃に耐える強度も必要であることから、効率よく慣性モーメントを増大させる重量配分が要求される。
【0004】
この目的を実現するため我々は種々の提案を行なってきた(例えば、特許文献1参照)。ウッド型ゴルフクラブヘッドにおいて、体積360ml以上のヘッドのフェース高さとフェース幅の比率と、慣性モーメント値とヘッド重量と重心距離の効率的な相関を明らかにした。
【0005】
然しながら、ヘッドの適切な大きさは時代と共に変化していくという背景はあるものの、大型のヘッドは一部のゴルファー、特に上級者からは違和感があると指摘されて適切な体積のヘッドが好まれる傾向もある。従って適切な体積であり、且つその体積で最大の慣性モーメントが得られる手法が望まれるのは必然であろう。
【0006】
ところで、中空構造の金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法としては、ステンレスやチタン合金の鋳造技術であるロストワックス製法が挙げられるが、従来の単一のワックス型によるロストワックス製法で、ウッド型ゴルフクラブヘッドを製造する場合は、ワックスヘッドを成型する際の金型において、中子型が必要であり、金型の構造が複雑となるので製造コストがかかるという問題が生じる。
また、中子型をワックス型の凹所から取り出す際に、ワックスが壊れないように慎重に作業する必要があるので、量産性が極めて低い。さらに各金型の繋目による境界線がワックス型の表面にでてしまう。
【0007】
【特許文献1】
特願2001−286585
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべく提案されたもので、ヘッドの打点を中心として最も離れた部分である外周部分に重量体を装着することにより、適切な大きさのヘッドでありながら最大の慣性モーメントを実現することを目的としたものである。
【0009】
更に、上記の重量体を装着するための凹所を形成する構造を、従来の中子型を使用する単一のワックス金型によらず、アンダーカット部分を避けた割型からなる複数のワックスパーツを接合してワックスヘッドとする方式を採用し、容易で且つ低コストによる製造を可能とすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、中空の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、該ヘッド本体の外周部にアンダー構造を伴う凹所を設けると共に、該凹所に例えば重量体を装着したことを特徴とするゴルフクラブヘッドを提案する(請求項1)
【0011】
さらに、上記請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、重量体を装着する凹所の所要部分に、重量体を固定するための突起を設けると有利である(請求項2)
【0012】
また、上記請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、中子型を使用しない金型で成型した複数のワックスパーツを合わせて一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする製造方法を提案する(請求項3)
【0013】
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドにおいて、複数のワックスパーツを合わせて、該ワックスパーツの接合部分の内壁に設けた突条を溶解させ、溶着し一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする製造方法を提案する(請求項4)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0015】
図1は、重量体を装着した状態のウッドタイプヘッド1−1を打球面の背面側から見た図である。ヘッドを上下に分割する稜線に沿って設けられた凹所に、帯状からなる重量体1−2が装着されている状態を示している。同図において、符号1−3はホーゼル部であり、ヘッド成型後このホーゼル部にシャフトを挿入し固定することによりゴルフクラブが構成される。
【0016】
上記の重量体の装着されている位置を、ヘッドの打球面に対し最も離れた部分を中心に配置したのは、ヘッドの重心位置を深くするためのものであり、効率よくヘッドの慣性モーメントを大きくする効果がある。
【0017】
ヘッドの慣性モーメントが増大すると、打撃時のヘッドの安定性が増し、所謂スイートスポットと言われる最適打撃点を外したオフスポットでの打撃においても、打球の方向性が優れることが知られている。
【0018】
図2は、内部が中空に形成されたウッドタイプヘッドのワックスパターンを示す。本実施例は、ヘッドを上下に分割したトップパーツ2−1とソールパーツ2−2の2部品のワックスパターンからなり、該ワックスパターンを接合一体化する前の状態の斜視図である。
【0019】
同図の符号2−3及び2−4は、トップパーツ及びソールパーツの接合部分に設けた重量体を装着するための凹所を示していて、ワックスパーツを接合して一体化したワックスヘッドから、ロストワックス方式により金属を鋳造し金属製のヘッドとした後に、該凹所に重量体を装着し固着させるためのものである。
【0020】
上記のトップパーツ及びソールパーツのワックスパターンは、重量体を装着するための凹所を付随するもののアンダーカットのないシェル形状からなり、中子型を使用することなく単純な金型から成型が可能である。
【0021】
図3は、従来のヘッド形状のワックスを一体で成型しようとした場合の例である。本図によると、ソール面を開放にした中空の球状を成していて、アンダーカット部分が含まれる。アンダーカット部分を成型するには、中子型或いは中子と呼ばれる抜型を用いるが、成型には中子型の組付けと分解を行なう工程が必要で、複雑で且つ成型に時間が掛かるという問題がある。
【0022】
また、ヘッドの外周部分に重量体を装着するための凹所を設ける場合は、凹所部分がアンダーカットとなるため、複雑な中子型を用いることになる。上記の、中子型を使用する方法に対して、本発明が提示するアンダーカットを避けた割型方式は、成型が容易で且つ単純な金型からなるため、廉価で品質の良いワックスヘッドが提供されるものであるが、複数のワックスパターンを接合してワックスヘッドとするための接合における様々な工夫を要した。
【0023】
図4は、ワックスパターンの接合部の断面を拡大したものである。本図は符号4−1のワックスパターンの接合部を突き合わせた状態を示していて、符号4−2は成型後に挿入する重量体を収容する凹所であり、符号4−3は重量体を固定するための突起、更に符号4−4はワックスパターンを固着させる時に溶解させるための突条である。
【0024】
接合の工程としては、例えば上述のワックスパターンの接合部を突き合わせた状態で保持できる冶具にセットし、打撃部分の開口部からワックスを溶解できる温度に加熱した状態のコテを挿入し、ワックスパターンの内部から突条部分を溶解しつつ一体化させて結合させるのである。上述の位置をセットするための冶具は、重量体を装着するために設けた凹所を利用して位置決めの基準とすると好都合である。
【0025】
上述のように成型して一体化したワックスヘッドを精密鋳造製法によって成型してゴルフクラブヘッドを製造し、更にヘッドの外周に設けた凹所に重量体を装着することにより、打撃部から離れた部分に重量配分がされた慣性モーメントの大きなウッドタイプヘッドを製造するのである。
【0026】
また、ワックスパターンの内部から突条を溶解する方法は、溶解によるバリや凹凸をヘッドの外部に露出させることがないため、精密鋳造方法により成型した後の接合部分がスムーズで、研磨除去等の工程が不要であり、容易で廉価な加工工程とすることができる。
【0027】
精密鋳造製法により鋳造する金属としては、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを適宜用いることができるが、特にチタン合金を用いるとより高強度のヘッドが可能で、軽量化が図られ、重量体により多くの重量を配分することにより、より慣性モーメントの大きなウッドヘッドを製造することができる。
【0028】
本実施例では、凹所に装着する重量体は帯状であり、且つヘッドの外周形状に添った形状とするために、例えばタングステン粉末を樹脂に混入して固めて成型したものを用いた。重量体の固定は凹所に設けた突起に引っ掛けて離脱を防止するが、打撃時の衝撃に耐えるように接着剤を併用すると、より高い接合力が得られる。
【0029】
また、重量体は寸法を変えたり、タングステン粉末と(バインダーとして使用する)樹脂の比率を調整することにより重量を変えて、ヘッドの重量調整を兼ねることもできる。
【0030】
図5は、重量体を装着するウッドヘッドの別の実施例であり、ヘッドの外周の稜線に沿ってトウ部分とヒール部分に重量体を振り分けた装着を行なった。
【0031】
図6は、ヘッドの外周に識別のためのチップ状の銘板を装着した別の実施例である。この様に、ヘッドの外周や内部に重量体、或いは重量体を兼ねたもの、或いは音響効果を高めるための重量体以外のものを装着することもできる。
【0032】
次に、図7に示す別の実施例は、ヘッドを前後に分割する方法であり、ホーゼル部7−1を含むヒールパーツ7−2と、トウパーツ7−3の2部品のワックスパターンからなり、接合一体化するものである。本実施例においても、アンダーカットを避けた位置に、重量体等を装着するための凹所を設けることができる。また、前後2部品のワックスパーツを接合部で合わせて、開放された打球部から加熱用のコテによって、ワックスヘッドの内部から突条を溶解して接合一体化する方法が可能である。
【0033】
図8は、上下2部品のワックスパーツを接合して得たワックスヘッドを、精密鋳造方式によって成型した金属製のウッドヘッド本体部8−1に、別工程で製作したフェース部8−2を装着する場合の斜視図である。該フェース部は本体部と同様の材質、製法によってもよいし、板材を鍛造製法によって成型して得たものを使用しても良い。同種材質であれば、各種の溶接方法による接合が可能であり、また塑性変形によるカシメ嵌合や接着等の方法をとることもできる。
【0034】
図9は、上下2部品のワックスパーツのうち、上部のパーツを異なった形状のパーツとして成型したヘッドの例である。逆に、下部のパーツを別の形状とすることも可能で、どちらかを基本形状として、組み合わせることによって、数種の異なったモデルとして生産することにより、金型費用を節約することもできる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、ヘッドの慣性モーメントを高めることができるので、打撃時のヘッドの安定性が増し、打球の方向性を高めることができる。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、ヘッドの外周に設けた凹所の要所に設けた突起が、重量体の離脱を防止することにより、重量体を容易に固定することができる。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、ワックスパーツを中子型を用いない金型によって成型するので、容易に且つ低コストでワックスヘッドを作成することができる。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、ワックスパーツの内壁に設けた突条を溶解して一体化することにより、容易にワックスパーツを接合することができるとともに、溶解によるバリ及び凹凸をヘッドの外部に露出させないため、精密鋳造方法により成型した後の接合部分がスムーズで、研磨除去等の工程を必要としないため、容易であり低コストで製造することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】外周部に重量体が装着されたウッドタイプヘッドの背面図である。
【図2】トップパーツとソールパーツのワックスパターンの接合前の様子を示す斜視図である。
【図3】従来のウッドタイプヘッドのソール部開放型のワックスヘッドの斜視図である。
【図4】ワックスパーツの接合部の拡大断面図である。
【図5】トウ部とヒール部に重量体を配分したウッドタイプヘッドの、重量体装着前の様子を示す背面図である。
【図6】外周部に識別マークが装着されたウッドタイプヘッドの背面図である。
【図7】トウパーツとヒールパーツのワックスパターンの接合前の様子を示す斜視図である。
【図8】フェース部材を装着する前の様子を示すウッドタイプヘッドの斜視図である。
【図9】トップパーツに別のデザインを接合して成型したウッドタイプヘッドの斜視図である。
【符号の説明】
1−1 ゴルフクラブヘッド
1−2 重量体
1−3 ホーゼル部
2−1 ワックスパターンのトップパーツ
2−2 ワックスパターンのソールパーツ
2−3 トップパーツの重量体装着用凹所
2−4 ソールパーツの重量体装着凹所
4−1 ワックスパーツ
4−2 重量体を装着する凹所
4−3 重量体を固定する突起
4−4 ワックスパーツを接合する突条
7−1 ホーゼル部
7−2 ワックスパターンのヒールパーツ
7−3 ワックスパターンのトウパーツ
8−1 金属製のウッドヘッド本体
8−2 フェース部
8−3 重量体装着用凹所
Claims (4)
- 中空の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、該ヘッド本体の外周部にアンダー構造を伴う凹所を設けると共に、該凹所に例えば重量体を装着したことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
- 前記の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、重量体を装着する凹所の所要部分に、重量体を固定するための突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、中子型を使用しない金型で成型した複数のワックスパーツを合わせて一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする請求項1乃至2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 前記の金属製ウッドタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、複数のワックスパーツを合わせて、該ワックスパーツの接合部分の内壁に設けた突条を溶解させ、溶着し一体化したワックスヘッドを、ロストワックス製法により金属を鋳造し成型することを特徴とする請求項1乃至3に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
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- 2003-05-14 JP JP2003136186A patent/JP2004337303A/ja active Pending
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