JP2004129943A - ゴルフクラブヘッドとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はゴルフクラブヘッド(以下、「ヘッド」という)とその製造方法に関し、ウェイトバランスの向上を図り、併せて打球の飛距離の向上を図ったヘッドとその製造方法を提供し、そして、フェース部材の溶接熱によるシャフト止着部への影響をなくしたヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】請求項1に係る発明は、中空な外殻体からなるヘッド本体のヒール側に、当該ヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けてヘッド本体のトップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を一体成形したヘッドに於て、上記ヘッド本体のヒール側からフェース側に、上記シャフト止着部との間に間隙を空けてフェース部を延設したことを特徴とし、請求項2に係る発明は、請求項1記載のヘッドに於て、フェース部は開口部を有し、当該開口部にフェース片が止着されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】請求項1に係る発明は、中空な外殻体からなるヘッド本体のヒール側に、当該ヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けてヘッド本体のトップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を一体成形したヘッドに於て、上記ヘッド本体のヒール側からフェース側に、上記シャフト止着部との間に間隙を空けてフェース部を延設したことを特徴とし、請求項2に係る発明は、請求項1記載のヘッドに於て、フェース部は開口部を有し、当該開口部にフェース片が止着されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェイトバランスの向上を図りつつ、打球の飛距離の向上を図ったゴルフクラブヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ウッドと称されるゴルフクラブは、ヘッド本体をチタンやチタン合金,ステンレス等の金属材料で中空に成形されたゴルフクラブヘッド(以下、「ヘッド」という)が広く使用されている。
そして、打球の飛距離と方向性の向上を図るため、容量を大型化して打球時の慣性モーメントを大きくしたヘッドが主流となっており、これに伴いヘッド本体が薄肉化する傾向にある。
【0003】
また、昨今、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けて、シャフト止着部回りの軽量化(ヒール側の軽量化)を図り、ウェイトバランスを向上させたヘッドも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開2001−120690号公報(第3頁−第6頁、第3図)
図12乃至図15に示すようにこのヘッド1は、フェース側が開口する中空な外殻体からなるヘッド本体3の鋳造時に、ヘッド本体3のヒール壁5との間に1〜10mmの間隙を開けて、トップ部7側からソール部9側にシャフト止着孔11が貫通する筒状のシャフト止着部13を一体成形して、当該シャフト止着部13とヒール壁5との間に中空部15を設けたもので、フェース全面に開口する開口部17に、例えばチタン合金からなる鍛造またはプレス成形等の塑性加工されたフェースプレート19が溶接されている。
【0004】
そして、このフェースプレート19の取付けに当たり、フェースプレート19の撓みに支障を来さないように、シャフト止着部13と当該フェースプレート19との間にも間隙を開けて中空部21が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、上述したように上記ヘッド1はフェース全面に開口部17が開口した構造上、当該開口部17に沿ってフェースプレート19を溶接した場合、フェース周辺のエッジに溶接部が形成されてしまうため、打球時のフェースプレート19(フェース部)の撓みがヘッド本体3のヒール側に良好に伝わらず、ヘッド1全体の撓みを利用した反発を得るには未だ満足のいくものではなかった。
【0006】
而も、斯様にフェース全面に開口した開口部17に沿ってフェースプレート19を溶接する際に、シャフト止着部13の上部とフェースプレート19の溶接部分とが近接しているため、フェースプレート19の溶接熱でシャフト止着部13の上部が変形したりトップ部7に開口するシャフト止着孔11の形状が変形して、シャフト止着孔11にシャフトをスムーズに取り付けることができなくなる等の虞が指摘されている。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、上述した従来例に改良を加え、ウェイトバランスの向上を図り、併せて打球の飛距離の向上を図ったヘッドとその製造方法を提供することを第1の目的とする。
そして、本発明の第2の目的は、フェース部材の溶接熱によるシャフト止着部への影響を解消したヘッドとその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、中空な外殻体からなるヘッド本体のヒール側に、当該ヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けてヘッド本体のトップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を一体成形したヘッドに於て、上記ヘッド本体のヒール側からフェース側に、上記シャフト止着部との間に間隙を開けてフェース部を延設したことを特徴とし、請求項2に係る発明は、請求項1記載のヘッドに於て、フェース部は開口部を有し、当該開口部にフェース片が止着されていることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項3に係るヘッドの製造方法は、ヒール壁との間に間隙を開けてトップ部からソール部に亘るシャフト止着部と、当該シャフト止着部との間に間隙を開けてヒール側からフェース側に延設されて開口部が開口するフェース部とを有する中空な外殻体からなるヘッド本体を鋳造し、上記開口部にフェース片を溶接するものである。
【0010】
また、請求項4に係るヘッドの製造方法は、トップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を設けた中空なヘッド本体を鋳造するに当たり、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及び当該ヒール壁から延設されたフェース部に該当する部位の間に中空部成形用の型片を介在させて、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及びフェース部との間に中空部を有するヘッド本体を製造することを特徴とする。
【0011】
そして、請求項5に係る発明は、請求項4記載のヘッドの製造方法に於て、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のバック部方向へ移動させて取り外し、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のフェース部に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のフェース側からヘッド本体のトゥ側へ移動させて取り外すことを特徴としている。
【0012】
(作用)
請求項1及び請求項2に係るヘッドによれば、打球時のフェースの撓みがヘッド本体のヒール側に良好に伝達されるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体の撓みを利用した反発力でボールが打球されることとなる。
そして、請求項3に係る製造方法によれば、ヒール壁との間に間隙を開けてトップ部からソール部に亘って一体成形されたシャフト止着部と、当該シャフト止着部との間に間隙を開けて、ヒール側からフェース側に延設されて開口部が開口するフェース部とを有する中空な外殻体からなるヘッド本体を鋳造した後、上記開口部にフェース片を溶接してヘッドが製造される。
【0013】
また、請求項4に係る製造方法によれば、トップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を設けた中空なヘッド本体を鋳造するに当たり、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及び当該ヒール壁から延設されたフェース部に該当する部位の間に中空部成形用の型片を介在させて、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及びフェース部との間に中空部を有するヘッド本体が製造される。
【0014】
更にまた、請求項5に係る製造方法によれば、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片を、シャフト止着部のバック部方向へ移動させて取り外し、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のフェース部に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片を、シャフト止着部のフェース側からヘッド本体のトゥ側へ移動させて取り外すことで、ヘッド本体のヒール側からフェース側に、シャフト止着部との間に間隙を開けてフェース部が延設されたヘッドが製造されることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1乃至図6は請求項1及び請求項2に係るヘッドの第一実施形態を示し、図1及び図2に於て、31はフェース側中央に開口する正面視略正方形状の開口部33を除き、トップ部35やソール部37,サイド部39、そして、後述するトゥ,ヒール側のフェース部41,43等がTi−6Al−4V等のチタン合金で一体に鋳造された中空な外殻体からなるヘッド本体で、当該ヘッド本体31は、トップ部35,ソール部37,サイド部39,フェース部41,43の境界部を除いて0.3〜2.0mmの肉厚とされている。
【0016】
そして、図2乃至図4に示すようにヘッド本体31のヒール側に、トップ部35からソール部37に亘ってシャフト止着孔45が貫通する円筒状のシャフト止着部47が、ヒール壁49及びヒール側のフェース部43との間に間隙を開けてヘッド本体31と共に鋳造されて、当該ヘッド本体31と一体に設けられており、シャフト止着部47はヘッド本体31の上方へ突設されて、従来と同様なホーゼル部51を形成している。
【0017】
このようにヘッド本体31は、図12のヘッド本体3と同様、ヒール側の軽量化によってウェイトバランスの向上を図るため、図4乃至図6に示すようにシャフト止着部47とヒール壁49との間に1〜10mmの間隙を開けて中空部53が設けられており、図3に示すように当該中空部53はトップ部35とソール部37の中間が最も広く形成され、ヒール壁49は0.3〜2.0mmの肉厚で成形されている。
【0018】
そして、既述したように本実施形態に係るヘッド本体31は、ヒール側からフェース側にフェース部43が延設されると共に、トゥ側からフェース側にフェース部41が延設されており、図5及び図6に示すようにヒール側のフェース部43は、ソール部37とシャフト止着部47との連結部分のトゥ側まで延設されている。
【0019】
尚、ヒール側のフェース部43は、ヘッド57をフェース側(正面側)から見て、少なくともシャフト止着部47のヒール側輪郭よりトゥ側にその一部が達しており、即ち、シャフト止着部47のフェース側(正面側)までフェース部43が延設されていればよい。
そして、両フェース部41,43間に、図2の如く正面視略正方形状の開口部33が、トップエッジTEからリーディングエッジREに亘ってフェース中央に開口している。そして、打球時にフェース43の反発力が十分に得られるように、シャフト止着部47と当該フェース部43との間にも間隙を開けて中空部55が成形されており、ヘッド57の重心を下げて慣性モーメントを高めるため、図4に示すように当該中空部55は、ヘッド本体31のトップ側よりソール側が広く成形されている。
【0020】
尚、シャフト止着部47の肉厚をヒール壁49と同じかこれより小さくすると、この分のウエイトをヘッド本体31の周辺に分散させて打球時の慣性モーメントを高めることができるため、シャフト止着部47の肉厚は1.0mm未満が好ましい。また、シャフト止着部47は、トップ部35からソール部37に亘って同一外径で成形されている。
【0021】
そして、ヘッド本体31の剛性を高めて打球時の破損を防止するため、トップ部35,ソール部37,サイド部39の夫々の境界部にはエッジEが成形されている。ここでいうエッジEは、トップ部35,ソール部37,サイド部39が互いの部位に変位する稜線が成形されている程度でよく、ヘッド本体31の内側には、夫々のエッジEに対応してく字状の屈曲部が成形されている。
【0022】
また、図3に示すようにソール部37をシャフト止着部47よりヒール側に及ぶように成形して、ソール部37とヒール壁49との境界部にもエッジEを成形しており、斯様にエッジEをヒール壁49のソール側に成形することで、エッジEが打球応力に対抗するようにヒール壁49を強化してその破損を防止している。
そして、図示するように既述した開口部33に、チタン合金(例えば、TI−15Mo−5Zr−3Al等のβ型チタン合金)等の金属材料からなる圧延や鍛造またはプレス成形等の塑性加工された正面視略正方形状のフェース片59が溶接されて、図1に示す中空なヘッド57が形成されている。
【0023】
尚、溶接はTIG溶接でもよいが、溶接部を軽量化し、フェース片59の撓りがヒール側のフェース部43に良好に伝達されるように、溶接部が厚肉になり難いレーザー溶接を用いるのがよい。
而して、圧延された板材をフェース片59に用いる場合、圧延方向がトップ,ソール方向になるように成形すると、割れが生じ易いトゥ,ヒール方向に対抗してフェース割れを防止することができる。そして、本実施形態では、フェース片59は1.8〜3.2mmの肉厚とされている。
【0024】
本実施形態に係るヘッド57はこのように構成されており、当該ヘッド57は、請求項3乃至請求項5に係る発明方法の一実施形態によって以下の如く製造される。
先ず、上記ヘッド57を製造するに当たり、ヘッド本体31を鋳造するため当該ヘッド本体31の原型のマスターモデルを金属で成形し、そして、当該マスターモデルと同様のワックス型が作成できるように、マスターモデルに忠実に割り型を金属で成形する。
【0025】
図7及び図8に示すように割り型は、ブロック状に成形された上型61と下型63,フェース部型63−1、そして、これらで成形されるキャビティ65内に配置された3個のヘッド本体成形用の中子67,69,71と、上型61に設けたピン挿通孔73を挿通してその挿入側先端部がキャビティ65内に配置されたピン(シャフト止着孔成形用型)75と、ヒール側に配置された3つのフェース側型片77とヒール側型片79及びシャフト止着部側型片81とからなり、当該型片79,81とピン75とによって上記シャフト止着部47が成形されると共に、型片77と型片79とによって、成形後の当該シャフト止着部47とヒール壁49及びフェース部43との間に中空部53,55が成形されるようになっている。
【0026】
このため、図8に示すように型片77は成形後のシャフト止着部47とフェース部43との間に介在するように延設され、型片79は成形後のシャフト止着部47とヒール壁49との間に沿って型片77までその端部が円弧状に延設されている。
そして、図7及び図8に示すように割り型を組み付けた後、上型61と下型63との間に成形された湯口83からキャビティ65内にワックスを注入する。
【0027】
而して、ワックスの固化後に上型61と下型63を開いてフェース部型63−1を取り除き、そして、図9に示すようにヘッド本体31と同一形状に成形されたワックス型85のフェース側開口部87から中子67,69,71と型片81を順次取り出した後、ワックス型85のシャフト止着部89に沿って型片79をシャフト止着部89のバック部方向へ移動すると共に、型片77をシャフト止着部89のフェース側からトゥ側へ移動させて、これらを同じくフェース側開口部87から取り出し、ピン75を取り除くことでワックス型85が成形される。
【0028】
この後、インベストメント工程,ロストワックス工程,鋳込み工程,セラミックス型の外壁破壊の各工程を経てヘッド本体31を成形していくもので、インベストメント工程とは、成形されたワックス型85の回りに天ぷらのころものようにバインダーとセラミックス粉末からなるセラミックス液を付着し、或いはワックス型85をセラミックス液へ何度も浸漬してワックス型85の回りに厚いセラミックスの外壁を作成するものである。
【0029】
そして、セラミックスで包囲された鋳型を乾燥後、加熱して中のワックスを溶出することで、内部にワックス型85の形状に沿ったセラミックス型が作成されることとなる。これがロストワックス工程である。
次いで、セラミックス型を加熱して、ヘッド本体31鋳造用の金属溶湯をセラミックス型内へ注入する(鋳込み工程)。
【0030】
そして、セラミックス型を冷却して溶湯を固化させた後、セラミックス型を破壊すると、図2の如くシャフト止着部47やフェース部41,43が一体成形されたヘッド本体31が取り出されるので、当該ヘッド本体31の開口部33にフェース片59を溶接すれば、図1の如きヘッド57が製造されることとなる。
この後、シャフト止着孔45に図示しないシャフトを挿入して、その挿入側先端をソール部37の底部と面一にすればよい。
【0031】
このように本実施形態に係るヘッド57は、トップ部35からソール部37に亘ってシャフト止着孔45が開口するシャフト止着部47をトップ部35,ソール部37間に一体成形すると共に、ヘッド本体31のヒール側からフェース側に、シャフト止着部47との間に間隙を開けてフェース部43を延設し、更にヘッド本体31のトゥ側からフェース側にフェース部41を延設して、両フェース部41,43で成形された開口部33にフェース片59を溶接したので、図12のヘッド1と同様、ヘッド57のヒール側の軽量化と併せてヘッド57の低重心化が図られるが、既述したように本実施形態は、ヘッド本体31のヒール側からフェース側にフェース部43を延設し、更にヘッド本体31のトゥ側からフェース側にフェース部41を延設して両フェース部41,43間の開口部33にフェース片59を溶接した構造上、図12のヘッド1と異なり、開口部33に沿ってフェース片59を溶接した場合、溶接部が少なくなって溶接材の重量を減らすことができ、また、フェース周辺のエッジに溶接部が成形されることがない。
【0032】
而も、ヒール壁49とヒール側のフェース部43の間は、ヘッド本体31の内側面に於て溶接部がないため、連続した湾曲面で形成される。
また、金型によるパーティングラインが残ることはあるが、溶接部のような大きな段部は有しない。
このため、打球時のフェース(フェース部41,43とフェース片59)の撓みがヘッド本体31のヒール側に良好に伝達されて、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体31の撓みを利用した反発力でボールが打球されることとなる。
【0033】
而も、フェース片59を、ヘッド本体31よりも打球に適した高強度の材料を用いているため良好な反発が得られる。
また、斯様にフェース片59を開口部33に溶接する際に、シャフト止着部47の上部(ホーゼル部51)とフェース片59の溶接部分とが近接しないようにすることができる。
【0034】
従って、本実施形態によれば、図12のヘッド1と同様の作用効果を奏することができることは勿論、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31のヒール側に良好に伝わるため、図12のヘッド1に比し打球感が柔らかくなると共に、ヘッド57全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びる利点を有する。
【0035】
而も、本実施形態によれば、フェース片59を溶接する際に、直接シャフト止着部47と接しないようにできるので、フェース片59の溶接熱によるシャフト止着部47の上部やシャフト止着孔45への悪影響がないため、図12のヘッド1に比しシャフト止着孔45にシャフトをスムーズに挿着することが可能となった。
【0036】
そして、本実施形態の製造方法によれば、中子67,69,71に加え、3つの型片77,79,81を用いることで、上述の如き構成及び作用効果を奏するヘッド57を容易に製造することができることは勿論、従来の鋳造製のヘッドと同様、鍛造,プレス成形品のヘッドに比し、ヘッド本体31を成形するに当たり複数の部品を溶接する作業が不要で、製造コストが安価である利点を有する。
【0037】
尚、ヘッド本体31をTi−6Al−4V等のαβ型チタン合金で成形する以外に、β型チタン合金を用いてヘッド本体を成形してもよく、この場合には、更にヘッドの強度を高めることが可能である。
また、上記実施形態では、ピン75を用いてシャフト止着孔45を成形したが、ピン75を用いずにワックス型85またはヘッド本体31を切削加工してシャフト止着孔45を成形してもよい。
【0038】
また、上記実施形態は精密鋳造によってヘッド本体31を成形するものであるが、図4及び図5に示す割り型と同一形状の金型を用いて、湯口83から直接金属材料を注入するダイカスト等でヘッド本体を鋳造してもよく、斯かる製造方法によって製造されたヘッドによっても、上記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。
【0039】
図10及び図11は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドを示し、本実施形態は、既述したヘッド本体31と同一材料を用いてヘッド本体31−1を製造するに当たり、シャフト止着部47との間に間隙を開けてヒール側からフェース側に延設したフェース部43−1を、既述したフェース部43よりも短く形成したもので、図11に示すようにフェース部43−1は、ソール部37とシャフト止着部47との連結部の略中間までの長さとされている、
そして、図10に示すようにトゥ側に設けたフェース部41と上記フェース部43−1との間に、正面視略長方形状の開口部33−1がトップエッジTEからリーディングエッジREに亘ってフェース中央よりややヒール側に開口しており、当該開口部33−1に、既述したフェース片59と同一材料からなる正面視略長方形状のフェース片59−1が溶接されて、本実施形態に係るヘッド57−1が形成されている。
【0040】
尚、その他の構成は上記第一実施形態と同様であるので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
本実施形態はこのように構成されており、本実施形態にあっても、開口部33−1に沿ってフェース片59−1を溶接した場合、フェース周辺のエッジに溶接部が成形されてしまうことがない。
【0041】
このため、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31−1のヒール側に良好に伝達されると共に、斯様にフェース片59−1を溶接する際に、シャフト止着部47の上部(ホーゼル部51)とフェース片59−1の溶接部分とが近接することもない。
従って、本実施形態によっても、既述した第一実施形態と同様、図12のヘッド1と同様の作用効果を奏することができることは勿論、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31−1のヒール側に良好に伝わるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド57−1全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びることとなった。
【0042】
また、フェース片59−1を溶接する際に、フェース片59−1の溶接熱によるシャフト止着部47の上部やシャフト止着孔45への悪影響がないため、シャフト止着孔45にシャフトをスムーズに挿着することが可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1及び請求項2に係る発明によれば、打球時のフェースの撓みがヘッド本体のヒール側に良好に伝わるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びることとなった。
【0044】
そして、請求項3乃至請求項5に係る製造方法によれば、請求項1,2の構成及び作用効果を奏するヘッドを容易に製造することができるが、請求項4及び請求項5に係る製造方法によれば、成形後のシャフト止着部とヒール壁,ヒール側フェース部に該当する部材間に型片を介在させることで、請求項1,2に係るヘッドを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図2】図1に示すヘッドの分解斜視図である。
【図3】図5のIII−III線断面図である。
【図4】図5のIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示すヘッドの横断面分解図である。
【図6】図1に示すヘッドの横断面図である。
【図7】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図8】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図9】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図10】請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドの分解斜視図である。
【図11】図10に示すヘッドの横断面図である。
【図12】従来のヘッドの全体斜視図である。
【図13】図12に示すヘッドの横断面分解図である。
【図14】図12に示すヘッドの縦断面図である。
【図15】図12に示すヘッドの横断面図である。
【符号の説明】
31,31−1 ヘッド本体
33,33−1 開口部
35 トップ部
37 ソール部
41,43,43−1 フェース部
45 シャフト止着孔
47 シャフト止着部
49 ヒール壁
53,55 中空部
57,57−1 ヘッド
59,59−1 フェース片
61 上型
63 下型
67,69,71 中子
75 ピン
77 フェース側型片
79 ヒール側型片
81 シャフト止着部側型片
85 ワックス型
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェイトバランスの向上を図りつつ、打球の飛距離の向上を図ったゴルフクラブヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ウッドと称されるゴルフクラブは、ヘッド本体をチタンやチタン合金,ステンレス等の金属材料で中空に成形されたゴルフクラブヘッド(以下、「ヘッド」という)が広く使用されている。
そして、打球の飛距離と方向性の向上を図るため、容量を大型化して打球時の慣性モーメントを大きくしたヘッドが主流となっており、これに伴いヘッド本体が薄肉化する傾向にある。
【0003】
また、昨今、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けて、シャフト止着部回りの軽量化(ヒール側の軽量化)を図り、ウェイトバランスを向上させたヘッドも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開2001−120690号公報(第3頁−第6頁、第3図)
図12乃至図15に示すようにこのヘッド1は、フェース側が開口する中空な外殻体からなるヘッド本体3の鋳造時に、ヘッド本体3のヒール壁5との間に1〜10mmの間隙を開けて、トップ部7側からソール部9側にシャフト止着孔11が貫通する筒状のシャフト止着部13を一体成形して、当該シャフト止着部13とヒール壁5との間に中空部15を設けたもので、フェース全面に開口する開口部17に、例えばチタン合金からなる鍛造またはプレス成形等の塑性加工されたフェースプレート19が溶接されている。
【0004】
そして、このフェースプレート19の取付けに当たり、フェースプレート19の撓みに支障を来さないように、シャフト止着部13と当該フェースプレート19との間にも間隙を開けて中空部21が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、上述したように上記ヘッド1はフェース全面に開口部17が開口した構造上、当該開口部17に沿ってフェースプレート19を溶接した場合、フェース周辺のエッジに溶接部が形成されてしまうため、打球時のフェースプレート19(フェース部)の撓みがヘッド本体3のヒール側に良好に伝わらず、ヘッド1全体の撓みを利用した反発を得るには未だ満足のいくものではなかった。
【0006】
而も、斯様にフェース全面に開口した開口部17に沿ってフェースプレート19を溶接する際に、シャフト止着部13の上部とフェースプレート19の溶接部分とが近接しているため、フェースプレート19の溶接熱でシャフト止着部13の上部が変形したりトップ部7に開口するシャフト止着孔11の形状が変形して、シャフト止着孔11にシャフトをスムーズに取り付けることができなくなる等の虞が指摘されている。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、上述した従来例に改良を加え、ウェイトバランスの向上を図り、併せて打球の飛距離の向上を図ったヘッドとその製造方法を提供することを第1の目的とする。
そして、本発明の第2の目的は、フェース部材の溶接熱によるシャフト止着部への影響を解消したヘッドとその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、中空な外殻体からなるヘッド本体のヒール側に、当該ヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けてヘッド本体のトップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を一体成形したヘッドに於て、上記ヘッド本体のヒール側からフェース側に、上記シャフト止着部との間に間隙を開けてフェース部を延設したことを特徴とし、請求項2に係る発明は、請求項1記載のヘッドに於て、フェース部は開口部を有し、当該開口部にフェース片が止着されていることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項3に係るヘッドの製造方法は、ヒール壁との間に間隙を開けてトップ部からソール部に亘るシャフト止着部と、当該シャフト止着部との間に間隙を開けてヒール側からフェース側に延設されて開口部が開口するフェース部とを有する中空な外殻体からなるヘッド本体を鋳造し、上記開口部にフェース片を溶接するものである。
【0010】
また、請求項4に係るヘッドの製造方法は、トップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を設けた中空なヘッド本体を鋳造するに当たり、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及び当該ヒール壁から延設されたフェース部に該当する部位の間に中空部成形用の型片を介在させて、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及びフェース部との間に中空部を有するヘッド本体を製造することを特徴とする。
【0011】
そして、請求項5に係る発明は、請求項4記載のヘッドの製造方法に於て、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のバック部方向へ移動させて取り外し、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のフェース部に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のフェース側からヘッド本体のトゥ側へ移動させて取り外すことを特徴としている。
【0012】
(作用)
請求項1及び請求項2に係るヘッドによれば、打球時のフェースの撓みがヘッド本体のヒール側に良好に伝達されるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体の撓みを利用した反発力でボールが打球されることとなる。
そして、請求項3に係る製造方法によれば、ヒール壁との間に間隙を開けてトップ部からソール部に亘って一体成形されたシャフト止着部と、当該シャフト止着部との間に間隙を開けて、ヒール側からフェース側に延設されて開口部が開口するフェース部とを有する中空な外殻体からなるヘッド本体を鋳造した後、上記開口部にフェース片を溶接してヘッドが製造される。
【0013】
また、請求項4に係る製造方法によれば、トップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を設けた中空なヘッド本体を鋳造するに当たり、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及び当該ヒール壁から延設されたフェース部に該当する部位の間に中空部成形用の型片を介在させて、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及びフェース部との間に中空部を有するヘッド本体が製造される。
【0014】
更にまた、請求項5に係る製造方法によれば、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片を、シャフト止着部のバック部方向へ移動させて取り外し、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のフェース部に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片を、シャフト止着部のフェース側からヘッド本体のトゥ側へ移動させて取り外すことで、ヘッド本体のヒール側からフェース側に、シャフト止着部との間に間隙を開けてフェース部が延設されたヘッドが製造されることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1乃至図6は請求項1及び請求項2に係るヘッドの第一実施形態を示し、図1及び図2に於て、31はフェース側中央に開口する正面視略正方形状の開口部33を除き、トップ部35やソール部37,サイド部39、そして、後述するトゥ,ヒール側のフェース部41,43等がTi−6Al−4V等のチタン合金で一体に鋳造された中空な外殻体からなるヘッド本体で、当該ヘッド本体31は、トップ部35,ソール部37,サイド部39,フェース部41,43の境界部を除いて0.3〜2.0mmの肉厚とされている。
【0016】
そして、図2乃至図4に示すようにヘッド本体31のヒール側に、トップ部35からソール部37に亘ってシャフト止着孔45が貫通する円筒状のシャフト止着部47が、ヒール壁49及びヒール側のフェース部43との間に間隙を開けてヘッド本体31と共に鋳造されて、当該ヘッド本体31と一体に設けられており、シャフト止着部47はヘッド本体31の上方へ突設されて、従来と同様なホーゼル部51を形成している。
【0017】
このようにヘッド本体31は、図12のヘッド本体3と同様、ヒール側の軽量化によってウェイトバランスの向上を図るため、図4乃至図6に示すようにシャフト止着部47とヒール壁49との間に1〜10mmの間隙を開けて中空部53が設けられており、図3に示すように当該中空部53はトップ部35とソール部37の中間が最も広く形成され、ヒール壁49は0.3〜2.0mmの肉厚で成形されている。
【0018】
そして、既述したように本実施形態に係るヘッド本体31は、ヒール側からフェース側にフェース部43が延設されると共に、トゥ側からフェース側にフェース部41が延設されており、図5及び図6に示すようにヒール側のフェース部43は、ソール部37とシャフト止着部47との連結部分のトゥ側まで延設されている。
【0019】
尚、ヒール側のフェース部43は、ヘッド57をフェース側(正面側)から見て、少なくともシャフト止着部47のヒール側輪郭よりトゥ側にその一部が達しており、即ち、シャフト止着部47のフェース側(正面側)までフェース部43が延設されていればよい。
そして、両フェース部41,43間に、図2の如く正面視略正方形状の開口部33が、トップエッジTEからリーディングエッジREに亘ってフェース中央に開口している。そして、打球時にフェース43の反発力が十分に得られるように、シャフト止着部47と当該フェース部43との間にも間隙を開けて中空部55が成形されており、ヘッド57の重心を下げて慣性モーメントを高めるため、図4に示すように当該中空部55は、ヘッド本体31のトップ側よりソール側が広く成形されている。
【0020】
尚、シャフト止着部47の肉厚をヒール壁49と同じかこれより小さくすると、この分のウエイトをヘッド本体31の周辺に分散させて打球時の慣性モーメントを高めることができるため、シャフト止着部47の肉厚は1.0mm未満が好ましい。また、シャフト止着部47は、トップ部35からソール部37に亘って同一外径で成形されている。
【0021】
そして、ヘッド本体31の剛性を高めて打球時の破損を防止するため、トップ部35,ソール部37,サイド部39の夫々の境界部にはエッジEが成形されている。ここでいうエッジEは、トップ部35,ソール部37,サイド部39が互いの部位に変位する稜線が成形されている程度でよく、ヘッド本体31の内側には、夫々のエッジEに対応してく字状の屈曲部が成形されている。
【0022】
また、図3に示すようにソール部37をシャフト止着部47よりヒール側に及ぶように成形して、ソール部37とヒール壁49との境界部にもエッジEを成形しており、斯様にエッジEをヒール壁49のソール側に成形することで、エッジEが打球応力に対抗するようにヒール壁49を強化してその破損を防止している。
そして、図示するように既述した開口部33に、チタン合金(例えば、TI−15Mo−5Zr−3Al等のβ型チタン合金)等の金属材料からなる圧延や鍛造またはプレス成形等の塑性加工された正面視略正方形状のフェース片59が溶接されて、図1に示す中空なヘッド57が形成されている。
【0023】
尚、溶接はTIG溶接でもよいが、溶接部を軽量化し、フェース片59の撓りがヒール側のフェース部43に良好に伝達されるように、溶接部が厚肉になり難いレーザー溶接を用いるのがよい。
而して、圧延された板材をフェース片59に用いる場合、圧延方向がトップ,ソール方向になるように成形すると、割れが生じ易いトゥ,ヒール方向に対抗してフェース割れを防止することができる。そして、本実施形態では、フェース片59は1.8〜3.2mmの肉厚とされている。
【0024】
本実施形態に係るヘッド57はこのように構成されており、当該ヘッド57は、請求項3乃至請求項5に係る発明方法の一実施形態によって以下の如く製造される。
先ず、上記ヘッド57を製造するに当たり、ヘッド本体31を鋳造するため当該ヘッド本体31の原型のマスターモデルを金属で成形し、そして、当該マスターモデルと同様のワックス型が作成できるように、マスターモデルに忠実に割り型を金属で成形する。
【0025】
図7及び図8に示すように割り型は、ブロック状に成形された上型61と下型63,フェース部型63−1、そして、これらで成形されるキャビティ65内に配置された3個のヘッド本体成形用の中子67,69,71と、上型61に設けたピン挿通孔73を挿通してその挿入側先端部がキャビティ65内に配置されたピン(シャフト止着孔成形用型)75と、ヒール側に配置された3つのフェース側型片77とヒール側型片79及びシャフト止着部側型片81とからなり、当該型片79,81とピン75とによって上記シャフト止着部47が成形されると共に、型片77と型片79とによって、成形後の当該シャフト止着部47とヒール壁49及びフェース部43との間に中空部53,55が成形されるようになっている。
【0026】
このため、図8に示すように型片77は成形後のシャフト止着部47とフェース部43との間に介在するように延設され、型片79は成形後のシャフト止着部47とヒール壁49との間に沿って型片77までその端部が円弧状に延設されている。
そして、図7及び図8に示すように割り型を組み付けた後、上型61と下型63との間に成形された湯口83からキャビティ65内にワックスを注入する。
【0027】
而して、ワックスの固化後に上型61と下型63を開いてフェース部型63−1を取り除き、そして、図9に示すようにヘッド本体31と同一形状に成形されたワックス型85のフェース側開口部87から中子67,69,71と型片81を順次取り出した後、ワックス型85のシャフト止着部89に沿って型片79をシャフト止着部89のバック部方向へ移動すると共に、型片77をシャフト止着部89のフェース側からトゥ側へ移動させて、これらを同じくフェース側開口部87から取り出し、ピン75を取り除くことでワックス型85が成形される。
【0028】
この後、インベストメント工程,ロストワックス工程,鋳込み工程,セラミックス型の外壁破壊の各工程を経てヘッド本体31を成形していくもので、インベストメント工程とは、成形されたワックス型85の回りに天ぷらのころものようにバインダーとセラミックス粉末からなるセラミックス液を付着し、或いはワックス型85をセラミックス液へ何度も浸漬してワックス型85の回りに厚いセラミックスの外壁を作成するものである。
【0029】
そして、セラミックスで包囲された鋳型を乾燥後、加熱して中のワックスを溶出することで、内部にワックス型85の形状に沿ったセラミックス型が作成されることとなる。これがロストワックス工程である。
次いで、セラミックス型を加熱して、ヘッド本体31鋳造用の金属溶湯をセラミックス型内へ注入する(鋳込み工程)。
【0030】
そして、セラミックス型を冷却して溶湯を固化させた後、セラミックス型を破壊すると、図2の如くシャフト止着部47やフェース部41,43が一体成形されたヘッド本体31が取り出されるので、当該ヘッド本体31の開口部33にフェース片59を溶接すれば、図1の如きヘッド57が製造されることとなる。
この後、シャフト止着孔45に図示しないシャフトを挿入して、その挿入側先端をソール部37の底部と面一にすればよい。
【0031】
このように本実施形態に係るヘッド57は、トップ部35からソール部37に亘ってシャフト止着孔45が開口するシャフト止着部47をトップ部35,ソール部37間に一体成形すると共に、ヘッド本体31のヒール側からフェース側に、シャフト止着部47との間に間隙を開けてフェース部43を延設し、更にヘッド本体31のトゥ側からフェース側にフェース部41を延設して、両フェース部41,43で成形された開口部33にフェース片59を溶接したので、図12のヘッド1と同様、ヘッド57のヒール側の軽量化と併せてヘッド57の低重心化が図られるが、既述したように本実施形態は、ヘッド本体31のヒール側からフェース側にフェース部43を延設し、更にヘッド本体31のトゥ側からフェース側にフェース部41を延設して両フェース部41,43間の開口部33にフェース片59を溶接した構造上、図12のヘッド1と異なり、開口部33に沿ってフェース片59を溶接した場合、溶接部が少なくなって溶接材の重量を減らすことができ、また、フェース周辺のエッジに溶接部が成形されることがない。
【0032】
而も、ヒール壁49とヒール側のフェース部43の間は、ヘッド本体31の内側面に於て溶接部がないため、連続した湾曲面で形成される。
また、金型によるパーティングラインが残ることはあるが、溶接部のような大きな段部は有しない。
このため、打球時のフェース(フェース部41,43とフェース片59)の撓みがヘッド本体31のヒール側に良好に伝達されて、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体31の撓みを利用した反発力でボールが打球されることとなる。
【0033】
而も、フェース片59を、ヘッド本体31よりも打球に適した高強度の材料を用いているため良好な反発が得られる。
また、斯様にフェース片59を開口部33に溶接する際に、シャフト止着部47の上部(ホーゼル部51)とフェース片59の溶接部分とが近接しないようにすることができる。
【0034】
従って、本実施形態によれば、図12のヘッド1と同様の作用効果を奏することができることは勿論、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31のヒール側に良好に伝わるため、図12のヘッド1に比し打球感が柔らかくなると共に、ヘッド57全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びる利点を有する。
【0035】
而も、本実施形態によれば、フェース片59を溶接する際に、直接シャフト止着部47と接しないようにできるので、フェース片59の溶接熱によるシャフト止着部47の上部やシャフト止着孔45への悪影響がないため、図12のヘッド1に比しシャフト止着孔45にシャフトをスムーズに挿着することが可能となった。
【0036】
そして、本実施形態の製造方法によれば、中子67,69,71に加え、3つの型片77,79,81を用いることで、上述の如き構成及び作用効果を奏するヘッド57を容易に製造することができることは勿論、従来の鋳造製のヘッドと同様、鍛造,プレス成形品のヘッドに比し、ヘッド本体31を成形するに当たり複数の部品を溶接する作業が不要で、製造コストが安価である利点を有する。
【0037】
尚、ヘッド本体31をTi−6Al−4V等のαβ型チタン合金で成形する以外に、β型チタン合金を用いてヘッド本体を成形してもよく、この場合には、更にヘッドの強度を高めることが可能である。
また、上記実施形態では、ピン75を用いてシャフト止着孔45を成形したが、ピン75を用いずにワックス型85またはヘッド本体31を切削加工してシャフト止着孔45を成形してもよい。
【0038】
また、上記実施形態は精密鋳造によってヘッド本体31を成形するものであるが、図4及び図5に示す割り型と同一形状の金型を用いて、湯口83から直接金属材料を注入するダイカスト等でヘッド本体を鋳造してもよく、斯かる製造方法によって製造されたヘッドによっても、上記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。
【0039】
図10及び図11は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドを示し、本実施形態は、既述したヘッド本体31と同一材料を用いてヘッド本体31−1を製造するに当たり、シャフト止着部47との間に間隙を開けてヒール側からフェース側に延設したフェース部43−1を、既述したフェース部43よりも短く形成したもので、図11に示すようにフェース部43−1は、ソール部37とシャフト止着部47との連結部の略中間までの長さとされている、
そして、図10に示すようにトゥ側に設けたフェース部41と上記フェース部43−1との間に、正面視略長方形状の開口部33−1がトップエッジTEからリーディングエッジREに亘ってフェース中央よりややヒール側に開口しており、当該開口部33−1に、既述したフェース片59と同一材料からなる正面視略長方形状のフェース片59−1が溶接されて、本実施形態に係るヘッド57−1が形成されている。
【0040】
尚、その他の構成は上記第一実施形態と同様であるので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
本実施形態はこのように構成されており、本実施形態にあっても、開口部33−1に沿ってフェース片59−1を溶接した場合、フェース周辺のエッジに溶接部が成形されてしまうことがない。
【0041】
このため、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31−1のヒール側に良好に伝達されると共に、斯様にフェース片59−1を溶接する際に、シャフト止着部47の上部(ホーゼル部51)とフェース片59−1の溶接部分とが近接することもない。
従って、本実施形態によっても、既述した第一実施形態と同様、図12のヘッド1と同様の作用効果を奏することができることは勿論、打球時のフェースの撓みがヘッド本体31−1のヒール側に良好に伝わるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド57−1全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びることとなった。
【0042】
また、フェース片59−1を溶接する際に、フェース片59−1の溶接熱によるシャフト止着部47の上部やシャフト止着孔45への悪影響がないため、シャフト止着孔45にシャフトをスムーズに挿着することが可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1及び請求項2に係る発明によれば、打球時のフェースの撓みがヘッド本体のヒール側に良好に伝わるため、打球感が柔らかくなると共に、ヘッド全体の撓みを利用した反発力によってボールの飛距離が伸びることとなった。
【0044】
そして、請求項3乃至請求項5に係る製造方法によれば、請求項1,2の構成及び作用効果を奏するヘッドを容易に製造することができるが、請求項4及び請求項5に係る製造方法によれば、成形後のシャフト止着部とヒール壁,ヒール側フェース部に該当する部材間に型片を介在させることで、請求項1,2に係るヘッドを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るヘッドの全体斜視図である。
【図2】図1に示すヘッドの分解斜視図である。
【図3】図5のIII−III線断面図である。
【図4】図5のIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示すヘッドの横断面分解図である。
【図6】図1に示すヘッドの横断面図である。
【図7】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図8】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図9】請求項3乃至請求項5の一実施形態に係るヘッドの製造方法の説明図である。
【図10】請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るヘッドの分解斜視図である。
【図11】図10に示すヘッドの横断面図である。
【図12】従来のヘッドの全体斜視図である。
【図13】図12に示すヘッドの横断面分解図である。
【図14】図12に示すヘッドの縦断面図である。
【図15】図12に示すヘッドの横断面図である。
【符号の説明】
31,31−1 ヘッド本体
33,33−1 開口部
35 トップ部
37 ソール部
41,43,43−1 フェース部
45 シャフト止着孔
47 シャフト止着部
49 ヒール壁
53,55 中空部
57,57−1 ヘッド
59,59−1 フェース片
61 上型
63 下型
67,69,71 中子
75 ピン
77 フェース側型片
79 ヒール側型片
81 シャフト止着部側型片
85 ワックス型
Claims (5)
- 中空な外殻体からなるヘッド本体のヒール側に、当該ヘッド本体のヒール壁との間に中空部を設けてヘッド本体のトップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を一体成形したゴルフクラブヘッドに於て、
上記ヘッド本体のヒール側からフェース側に、上記シャフト止着部との間に間隙を開けてフェース部を延設したことを特徴とするゴルフクラブヘッド。 - フェース部は開口部を有し、当該開口部にフェース片が止着されていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
- ヒール壁との間に間隙を開けてトップ部からソール部に亘るシャフト止着部と、当該シャフト止着部との間に間隙を開けてヒール側からフェース側に延設されて開口部が開口するフェース部とを有する中空な外殻体からなるヘッド本体を鋳造し、上記開口部にフェース片を溶接することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
- トップ部からソール部に亘ってシャフト止着部を設けた中空なヘッド本体を鋳造するに当たり、成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及び当該ヒール壁から延設されたフェース部に該当する部位の間に中空部成形用の型片を介在させて、シャフト止着部とヘッド本体のヒール壁及びフェース部との間に中空部を有するヘッド本体を製造することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 成形後のシャフト止着部とヘッド本体のヒール壁に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のバック部方向へ移動させて取り外し、
成形後のシャフト止着部とヘッド本体のフェース部に該当する部位の間に介在させた中空部成形用の型片は、シャフト止着部のフェース側からヘッド本体のトゥ側へ移動させて取り外すことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
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