JP4616912B2 - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェース部に開口部を設けたヘッド本体と、ヘッド本体に固定されたフェース部材とを含むゴルフクラブヘッドの製造方法に関する。本発明は、特に、インベストメント法を用いたゴルフクラブヘッドの製造方法に関する。
インベストメント法(インベストメント鋳造法、ロストワックス法)を用いて、フェース部に開口部を有するヘッド本体を製造する方法が、例えば、特開平7−275410号公報(特許文献1)に開示されている。ここに開示されているインベストメント法においては、ワックス型製造用金型内にワックスを注入してヘッド本体用ワックス型を成形する。
また、特許第2842417号公報(特許文献2)には、ソール部に空洞部に連通する開口部を有するチタン合金製中空合金ヘッド本体鋳物と、前記開口部に一致するチタン合金製ソール蓋鋳物とからなるゴルフクラブヘッドの構造が開示されている。
また、特許第2902974号公報(特許文献3)には、精密鋳造法により、ソール部と、ソール部がない中空の本体とからなるゴルフクラブヘッドを製造する方法が開示されている。
図11および図12を参照すると、従来のゴルフクラブヘッドにおいて、例えば、ゴルフクラブヘッド500は、ヘッド本体502と、フェース部材504とを含むように構成されている。ヘッド本体502は、クラウン部502aと、サイド部502bと、ソール部502cと、ホーゼル部502dと、フェース部502fとを含む。フェース部材504は、その外周部がヘッド本体502のフェース部502fに設けられた開口部502gに圧入固定されている。
特開平7−275410号公報 特許第2842417号公報 特許第2902974号公報
しかしながら、従来のインベストメント法におけるヘッド本体用ワックス型を成形する工程では、ワックス型製造用金型内にワックスを溶解して注入した後に、このワックスを冷却して固化させるので、ヘッド本体用ワックス型は収縮する。この収縮により、ヘッド本体用ワックス型は、十分に冷却されずに放置されると、変形が生じることがあった。
このような変形が発生した場合には、ヘッド本体の開口部にフェース部材を固定するのが困難になり、ヘッド本体の開口部若しくはフェース部材を修正加工しなければならなくなるという課題があった。
本発明の目的は、従来のこのような課題を解決するために、ヘッド本体用ワックス型が収縮するおそれが少ない形状のゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明は、フェース部に開口部を設けたヘッド本体と、前記ヘッド本体に固定されたフェース部材とを含むゴルフクラブヘッドの製造方法において、フェース部の開口部にリブを設けるように、ヘッド本体をインベストメント法により成形するためのヘッド本体用ワックス型を成形する。次に、ヘッド本体用ワックス型をコーティング用の耐火性泥状物に浸漬させる。次に、ヘッド本体用ワックス型に耐火性泥状物をコーティングした後に、ヘッド本体用ワックス型を溶かし出す。
次に、ヘッド本体用ワックス型を溶かし出した後に、そのヘッド本体用ワックス型に対応する空間部分に溶解した金属材料を注入する。次に、溶解した金属材料を注入した後に、耐火性泥状物のコーティングを取り除いて、ヘッド本体を形成する。次に、切断によりリブをヘッド本体から取り外し、フェース部材をヘッド本体に固定することによって、ゴルフクラブヘッドを製造する。
更に、本発明のゴルフクラブヘッドの製造方法においては、フェース部材は厚さが1.0〜2.5ミリメートルになるように形成され、このフェース部材は、その中央部分が前記リブと接触しないように、フェース部材の外周部がフェース部の開口部に嵌合して固定されるのが好ましい。
更に、本発明のゴルフクラブヘッドの製造方法においては、ヘッド本体用ワックス型に対応する空間部分に注入する金属材料はチタニウム合金であり、フェース部材の縦弾性率は成形されるヘッド本体の縦弾性率より小さいように構成されるのが好ましい。本発明のゴルフクラブヘッドの製造方法を用いることにより、ヘッド本体用ワックス型が収縮するおそれを少なくすることができる。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドは、フェース開口部にリブを設けることによって、ヘッド本体の変形を抑え、安定した形状のゴルフクラブヘッドを提供することができる。したがって、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドにより、このようなリブを利用して、フェース部材を嵌合することによって、反発性が向上し、飛距離増大の効果が得られる。
更に、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドにおいては、ヘッド本体はチタニウム合金で形成され、フェース部材の縦弾性率はヘッド本体の縦弾性率より小さいように構成されるのが好ましい。本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドは、フェース開口部にリブを有するので、ヘッド本体の変形を抑え、安定した形状に形成することができる。したがって、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドにより、このようなリブを利用して、フェース部材を嵌合することによって、反発性が向上し、飛距離増大の効果が得られる。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドは、インベストメント鋳造法を用いることにより、フェース部に開口部を設けたヘッド本体を製造したものであって、金属製の外殻を有するゴルフクラブヘッドである。このようなインベストメント鋳造法に使用される金属は、例えば、アルミニウム合金(ジュラルミンなどを含む)、チタニウム合金、ステンレス合金、マルエージング鋼などである。
「インベストメント鋳造法」とは、別名「ロストワックス鋳造法」ともよばれる製造方法であり、金型内に溶融したワックスを注入して固化させることにより、所望のゴルフクラブヘッド形状に対応したワックス型を作る工程を含む。このようなインベストメント鋳造法には、ヘッド本体の中空にすべき部分に複数個の割り中子を入れて、ヘッド本体の中空部を形成する方法と、水溶性のワックスなどを用いる方法とがある。割り中子を用いる方法は、複数個の割り中子を移動させることによりヘッド本体のワックス型より取り出す工程を含む製造方法である。一方、水溶性ワックスを用いる方法は、溶剤によって、中空部のワックスのみを溶かし出し、ヘッド本体のワックスのみを残す工程を含む製造方法である。上記のインベストメント鋳造法を用いることによって、通常、ゴルフクラブヘッドのソール部に開口部を設けることができるが、ゴルフクラブヘッドのフェース部のみに開口部を設けることも可能である。
(1)第1の実施の形態:
以下に、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3を参照すると、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態において、ゴルフクラブヘッド100は、ヘッド本体102と、フェース部材104とを含むように構成されている。ヘッド本体102は、クラウン部102aと、サイド部102bと、ソール部102cと、ホーゼル部102dと、フェース部102fとを含む。図1〜図3に示す実施形態は、ホーゼル部102dを備えているけれども、本発明は、ホーゼル部がないゴルフクラブヘッド、いわゆる、「スルーボア・タイプ」のゴルフクラブヘッドに適用することもできる。
ヘッド本体102はアルミニウム合金、チタニウム合金、ステンレス合金、マルエージング鋼などで形成される。フェース部材104はアルミニウム合金、チタニウム合金、ステンレス合金、マルエージング鋼などで形成される。本発明のゴルフクラブヘッド100においては、例えば、ヘッド本体102をチタニウム合金で形成する。この場合に、フェース部材104の縦弾性率は、ヘッド本体102を形成した材料の縦弾性率より低いのが好ましい。そして、フェース部材104を形成する材料は、ヘッド本体102を形成した材料と同質材料であるのが好ましい。すなわち、フェース部材104もチタニウム合金で形成するのが好ましい。
或いは、フェース部材104をアルミニウム合金で形成してもよい。この場合にも、フェース部材104を形成する材料の縦弾性率は、ヘッド本体102を形成する材料の縦弾性率より低いのが好ましい。特に、フェース部材104を形成する材料は、鍛造材料や圧延材料であるのが好ましい。
フェース部材104は、その外周部がヘッド本体102のフェース部102fに設けられた開口部102gに固定される。フェース部材104の開口部102gへの固定は、例えば、溶着、かしめ、圧入、ビス止めなどで行われる。所望ならば、図3に仮想線で示すように、錘106がヘッド本体102の内側に固定される。図3に示す例では、錘106はヘッド本体102のソール部102cに固定される。
図4を参照すると、ヘッド本体102のフェース部102fに設けられた開口部102gには、リブ102hが設けられる。このリブ102hは、おおむねフェース部102fの中央付近に配置されるのが好ましい。リブ102hは、1本もしくは、2本、クラウン部102aとソール部102cとを連結するように、縦方向に配置されるのが好ましい。このリブ102hの幅は、2〜50mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのが特に好ましい。このリブ102hの厚さは、0.6〜2mmであるのが好ましい。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態において、ゴルフクラブヘッド100のヘッド本体102は、上述したようなインベストメント鋳造法を用いて製造される。このインベストメント鋳造法では、ヘッド本体用のワックス型を成形する時に、ワックス型フェース部に設けられたワックス型開口部にワックス型リブを同時に成形する。このワックス型リブにより、開口部の変形を抑えることができる。
また、ヘッド本体のフェース部に対応するところにワックス型開口部を設けてワックス型を成形した後、ワックスで形成したワックス型リブの上下の端部をワックス型開口部に固着してもよい。このようにして形成したワックス型リブによっても、ワックス型開口部の変形を抑えることができる。
このヘッド本体用のワックス型に設けられるワックス型リブは、おおむねワックス型フェース部の中央付近に配置されるのが好ましい。ヘッド本体用のワックス型に設けられるワックス型リブは、1本もしくは、2本、縦方向に配置されることが好ましい。このワックス型リブの幅は、2〜50mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのが特に好ましい。このワックス型リブの厚さは、0.6〜2mmであるのが好ましい。
ワックス型リブの幅や厚さが小さすぎると、変形を抑制する効果が薄れ、成形時にワックスで出来たリブが壊れ易くなるおそれがある。これに対して、ワックス型リブの幅や厚さが大きすぎると、中子が取り出しにくくなり、また、重心がフェース寄りになるおそれがある。
次に、ゴルフクラブのヘッド本体のワックス型をコーティング用の耐火製の泥状物に複数回浸漬し、乾燥する工程を複数回繰り返す。次に、コーティングした後にワックスを溶かし出す。次に、ゴルフクラブのヘッド本体となる金属を溶解し注入して、ゴルフクラブヘッドを形成する。このヘッド本体を形成する金属は、アルミニウム合金、チタニウム合金、ステンレス合金、マルエージング鋼などであるのが好ましい。
図5に示すように、フェース部材104をヘッド本体102と別個に鋳造で成形する。フェース部材104を鍛造、もしくは、打ち抜き、プレス成形により成形してもよい。フェース部材104の厚さは、例えば、1.0〜2.5mmである。
図6に示すように、フェース部材104の外周部及び外周部付近がヘッド本体102の開口部102gに嵌合するように、溶着、かしめ、圧入、ビス止めなどにより、ヘッド本体102に固定させる。この場合に、リブ102hは、ヘッド本体102を鋳造により成形後、そのまま、残しておいてよい。或いは、リブ102hを切断などにより取り外しても良い。特に好ましいのは、リブ102hがフェース部材104の中心部と当接しないように構成することである。
一般に、ゴルフクラブヘッドにおいて、フェース部の肉厚を薄くしすぎるとボール打球時に塑性変形を起こしやすくなり、好ましくない。また、フェース部の肉厚を厚くしすぎると、ヘッドの重心がフェース寄りに成り、好ましくない。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッド100においては、フェース部材104とリブ102hとの間に空隙110(図2および図3参照)が設けられている。この構成により、ボール打球時にフェース部材が弾性変形を起こすことができ、それによって、ゴルフクラブヘッドより打ち出されたボールの初速を上げることができる。この空隙110の幅102tは、例えば、0.2〜1.5mmであるのが好ましい。
さらに、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッド100においては、フェース部材104を形成した材料の縦弾性率は、ヘッド本体102を形成した材料の縦弾性率より小さい。この構成により、フェース部104をヘッド本体より撓み易くすることができ、それによって、ボールの打撃時にボール初速を上げることができる。また、この効果を実現するために、フェース部104に設けられたリブ102hとフェース部材104の中心付近とが、接触しないように構成される。ヘッド本体102を形成した材料の縦弾性率に比べ、フェース部104を形成した材料の縦弾性率が1000kgf/mm2以上低いことが好ましい。
例えば、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッド100において用いられる材料を具体的に記載すると、ヘッド本体102を縦弾性率18600kgf/mm2の縦弾性率17200kgf/mm2の18%Niのマルエージング鋼で形成し、フェース部材104を25%Niのマルエージング鋼で形成する。この構成では、フェース部材にNiの含有量が多いマルエージング鋼が用いられる。
或いは、ヘッド本体102にαーβチタンを用い、例えば、縦弾性率11600kgf/mm2のTi−6Al−4Vで形成し、フェース部材104を縦弾性率10000kgf/mm2のTi−15V−3Cr−3Snといったβチタンで形成する。したがって、ヘッド本体102とフェース部材104とを、溶接等により固着することが可能となる。
これに対して、ヘッド本体102をチタン合金で形成し、フェース部材104をジュラルミンで形成する場合には、ヘッド本体102とフェース部材104が異質の合金で形成されるので、ヘッド本体102とフェース部材104とを、ビス固定や、かしめ、圧入など用いて固着するのが好ましい。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドは、上記のように、比較的比重が小さく、強度の大きな材料で構成することができる。したがって、ゴルフクラブヘッドの体積を280〜350cm3 とし、さらに、10〜35gの錘をソール部に固着することによって、重心深さを28〜35mmとすることができる。したがって、本発明に係るゴルフクラブヘッドでは、重心高さを25mm以下とすることができる。このような重心深さおよび重心高さにより、従来のゴルフクラブよりも優れた性能を発揮することができる。
(2)第2の実施の形態:
次に、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の説明は、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第2の実施の形態が、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態と異なる部分を主に説明する。したがって、以下に記載ない内容は、上述した本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態についての説明を参照することにより、よく理解することができる。
図7を参照すると、ゴルフクラブヘッド200は、ヘッド本体202を含む。ヘッド本体202は、クラウン部202aと、サイド部202bと、ソール部202cと、ホーゼル部202dと、フェース部202fとを含むように構成されている。フェース部材(図示せず)を形成する材料はヘッド本体202を形成する材料と同様である。
ヘッド本体202のフェース部202fに設けられた開口部202gには、2本のリブ202h1および202h2が設けられる。これらのリブ202h1および202h2は、おおむねフェース部202fの中央付近に配置されるのが好ましい。それぞれのリブ202h1、202h2は、クラウン部202aとソール部202cとを連結するように、縦方向に配置されるのが好ましい。それぞれのリブ202h1、202h2の幅は、2〜50mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのが特に好ましい。それぞれのリブ202h1、202h2の厚さは、0.6〜2mmであるのが好ましい。リブ202h1とリブ202h2との間の間隔202tは、10〜30mmであるのが好ましい。
図7に示すヘッド本体202に設けられたリブの個数は2本であるが、リブを3本以上設けてもよい。更に、リブ同士を連結するブリッジ部を1個以上設けてもよい。或いは、リブを「X」形、または、「O」形になるように形成してもよい。或いは、リブを格子状になるように形成してもよい。
(3)第3の実施の形態:
次に、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の説明は、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態が、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態と異なる部分を主に説明する。したがって、以下に記載ない内容は、上述した本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態についての説明を参照することにより、よく理解することができる。
図8を参照すると、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態において、フェース部材304は、フェース面304fの外側が凸状になった形状を有する。
図9および図10を参照すると、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態において、ゴルフクラブヘッド300のヘッド本体302は、ヘッド本体302を含む。ヘッド本体302は、クラウン部302aと、サイド部302bと、ソール部302cと、フェース部302fとを含むように構成されている。フェース部材304は、その外周部がヘッド本体302のフェース部302fに設けられた開口部302gに固定される。フェース部材304の開口部302gへの固定は、例えば、溶着、かしめ、圧入、ビス止めなどで行われる。所望ならば、図10に仮想線で示すように、錘306がヘッド本体102の内側に固定される。図10に示す例では、錘306はヘッド本体302のソール部102cに固定される。
ヘッド本体302のフェース部302fに設けられた開口部302gには、リブ302hが設けられる。このリブ302hは、おおむねフェース部302fの中央付近に配置されるのが好ましい。リブ302hは、1本、もしくは、2本以上、クラウン部302aとソール部302cとを連結するように、縦方向に配置されるのが好ましい。このリブ302hの幅は、2〜50mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのが特に好ましい。このリブ302hの厚さは、0.6〜2mmであるのが好ましい。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態において、ゴルフクラブヘッド300のヘッド本体302は、上述したようなインベストメント鋳造法を用いて製造される。本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッド300においては、フェース部材304とリブ302hとの間に空隙310(図10参照)が設けられている。この構成により、ボール打球時にフェース部材が弾性変形を起こすことができ、それによって、ゴルフクラブヘッドより打ち出されたボールの初速を上げることができる。この空隙310の幅302tは、例えば、0.1〜1.0mmであるのが好ましい。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッド300においては、フェース部材304は、フェース面304fの外側が凸状になった形状を有するので、空隙310を確実に設けることが容易となる。
次に、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの実施例について説明する。本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの実施例においては、ヘッド本体をTi−6Al−4Vのチタン合金を溶解し、インベストメント法により鋳造により作成した。
このヘッド本体は、上述したように、フェース部のみに開口部を設け、フェース開口部の中心部に幅30mm、厚さ1.2mmのリブを設けた。
ヘッド本体の中空部を作るため、中子を水溶性のワックスで作成し、その中子を金型にセットし、中子を包み込む様にヘッド本体部となるワックスを流し込んで、湯口の付いたワックス型のヘッド本体部を形成する。その後、このヘッド本体部を溶剤に漬け、水溶性ワックスを溶かし出し、湯口に付いたヘッド本体部のみのワックス型とし、このワックス型を耐火性の粘着剤とジルコンなどの耐火性粉末を混ぜたスラリーと呼ばれる泥状物に浸漬し、引き上げた後、乾燥させる。
この浸漬と乾燥の工程を5回程度行った後、湯口をした後、およそ、150℃でワックスを流し出し、およそ1000℃にて、スラリーを焼結させ、加熱焼成させ、セラミックモールドを作り、湯口より高周波誘導電気炉で溶解したTi−6Al−4Vのチタン合金を、真空中で遠心力を利用して注ぎ込むことによってヘッド本体を形成させた。
フェース部材には、Ti−15Mo−5Zr−3Al(βチタン)を鍛造でフェース開口部に嵌合するように成形した。このフェース部材は、ロール、バルジと呼ばれる半径10インチ(254mm)のラウンドがそれぞれ設けてある。この時の、フェース部材の厚みは、2.0mmであった。
前記のヘッド本体に設けてあった湯口を取り除いた後、フェース部材をヘッド本体のフェース開口部にあるリブの上に載せて嵌合させ、ヘッド本体のフェース開口部の縁とフェース部材の外周部分を全周に渡って、アルゴンガス雰囲気中にて、溶接を行った。この時、溶接作業時にフェース部材がヘッド本体の開口部から脱落しないよう、フェース開口部の外周部より中心に向かって、微小な突起部を設けておいた。フェース部材は、ラウンドを設けることによって、フェースの中心部はリブと接しないで、フェース部材の外周部分が突起部に接するようにした。
このようなフェース開口部にリブを設けたヘッド本体を30個作って、鍛造で成型したフェース部材と嵌合を行った。この工程では、手直しを必要とする物は1つもなかった。しかしながら、リブを設けないで作ったヘッド本体は、開口部が上下方向に狭くなり、フェース部材を研磨して開口部に嵌合するように、10個ほど修正を行った。この様に、本発明を用いて、リブを設けてヘッド本体を成形することによって、ヘッドの形状、特に開口部の形状を安定させることが出来た。
次に、前述したゴルフクラブヘッドとシャフトとを組み立てて、実際にゴルフボールを打って、試打評価を行った。
本発明の製造方法を適用したゴルフクラブヘッド(実施例)と、一般的なゴルフクラブヘッド(比較例)について、ゴルフクラブヘッドの仕様を表1に示す。
(表1)ゴルフクラブヘッド(実施例と比較例)の仕様
Figure 0004616912
上記実施例及び比較例のゴルフクラブヘッドをクラブ長さ45インチ(1143mm)のゴルフクラブになるように、ゴルフクラブヘッドとシャフトとを組み立てて、試打評価を行った。その試打評価の結果を表2に示す。
(表2)ゴルフクラブ(実施例と比較例)の試打評価の結果
Figure 0004616912
ミート率とは、ボールの初速をヘッド速度で割った値である。この試打評価の結果からわかるように、ヘッド本体のフェース開口部にリブを設け、フェース部材を鍛造にて嵌合し、固着した、本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドは、従来の通常のゴルフクラブヘッドに比べ、反発性が良く、充分な飛距離を得ることが出来ることが確認された。
本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態を示す正面図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態を示す平面図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態において、図2の線3A−3Aにおける断面図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態に使用されるヘッド本体の斜視図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態に使用されるフェース部材の斜視図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第1の実施の形態において、ヘッド本体にフェース部材を固定する段階を示す断面図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第2の実施の形態に使用されるヘッド本体の斜視図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態に使用されるフェース部材の斜視図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態において、ヘッド本体にフェース部材を固定する段階を示す断面図である。 本発明の製造方法を適用するゴルフクラブヘッドの第3の実施の形態において、ヘッド本体にフェース部材を固定した状態を示す断面図である。 従来のゴルフクラブヘッドに使用されるヘッド本体の斜視図である。 従来のゴルフクラブヘッドにおいて、ヘッド本体にフェース部材を固定する段階を示す断面図である。
符号の説明
100 ゴルフクラブヘッド
102 ヘッド本体
102a クラウン部
102b サイド部
102c ソール部
102d ホーゼル部
102f フェース部
102g 開口部
102h リブ
104 フェース部材
110 空隙
200 ゴルフクラブヘッド
202 ヘッド本体
202a クラウン部
202b サイド部
202c ソール部
202d ホーゼル部
202f フェース部
202g 開口部
202h1、202h2 リブ
300 ゴルフクラブヘッド
302 ヘッド本体
302a クラウン部
302b サイド部
302c ソール部
302f フェース部
302g 開口部
302h リブ
304 フェース部材
310 空隙

Claims (1)

  1. フェース部に開口部を設けたヘッド本体と、前記ヘッド本体に固定されたフェース部材とを含むゴルフクラブヘッドの製造方法において、
    フェース部の開口部にリブを設けるように、ヘッド本体をインベストメント法により成形するためのヘッド本体用ワックス型を成形する段階と、
    前記ヘッド本体用ワックス型をコーティング用の耐火性泥状物に浸漬させる段階と、
    前記ヘッド本体用ワックス型に耐火性泥状物をコーティングした後に、前記ヘッド本体用ワックス型を溶かし出す段階と、
    前記ヘッド本体用ワックス型を溶かし出した後に、そのヘッド本体用ワックス型に対応する空間部分に溶解した金属材料を注入する段階と、
    溶解した金属材料を注入した後に、耐火性泥状物のコーティングを取り除いて、ヘッド本体を形成する段階と、
    切断により、金属材料で形成したリブを前記ヘッド本体から取り外す段階と、
    フェース部材を前記ヘッド本体に固定する段階とを含み、
    上記のそれぞれの段階は、上記した順序で行われ、
    前記ヘッド本体用ワックス型に対応する空間部分に注入する金属材料はチタニウム合金であり、
    前記フェース部材の縦弾性率は、成形される前記ヘッド本体の縦弾性率より小さいように構成される、
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
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