JP2005270517A - ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 打球時にボールに対するスピン量を抑制することができ、かつフェース部の耐久性をも向上することが可能となるゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供する。
【解決手段】 ゴルフクラブヘッド1は、フェース面に溝部で構成されるスコアライン7を有するフェース部2と、クラウン部3と、ソール部4と、トウ部5およびヒール部6を含むサイド部とを備える。そして、スコアライン7を構成する溝部の側壁上端部に丸みを付与する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブに関し、特に、フェース面にスコアラインを有するゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブに関する。
従来から、フェース面にスコアラインを有するゴルフクラブヘッドは知られている。スコアラインは、打球した際にゴルフクラブヘッドがボールにスピンを付与する性能に影響を及ぼす。該ボールのスピン量はボールの飛距離に影響することから、スコアライン形状はボールの飛距離に影響を及ぼすゴルフクラブヘッドにとって重要な要素の一つであると言える。
ゴルフクラブヘッドのスコアライン形状に関しては、たとえば実開平6−66729号公報、特開平9−192274号公報、特開2001−161865号公報などに記載されている。
実開平6−66729号公報には、ヘッド本体のフェース面に複数本の断面コ字型の凹溝からなるスコアラインを設け、各々のスコアラインの少なくとも2本以上の凹溝の上側内面を外側上方に向け拡開傾斜状態に面取りしたゴルフ用クラブヘッドが記載されている。
特開平9−192274号公報には、打球面に設けられた複数本のフェースライン溝の横断面形状における打球面と溝勾配面とのなす角部の断面角度を、番手数が大きくなるにつれて順次ないし段階的に減少させたゴルフクラブセットが記載されている。
特開2001−161865号公報には、線状スコアラインの各ラインが連続湾曲のある輪郭を有し、0.28cm以下の厚さを有するゴルフクラブヘッドや、複数の線状スコアラインの各ラインが第1の凸断面と、凹断面と第2の凸断面とを含む輪郭を有するゴルフクラブヘッドや、線状スコアラインの各ラインが第1の凸断面と、凹断面と、第2の凸断面とを有し、複数の線状スコアラインの各ラインがフェースの厚さの20%以上である深さを有するゴルフクラブヘッドが記載されている。
実開平6−66729号公報 特開平9−192274号公報 特開2001−161865号公報
ゴルフクラブによっては、ショートアイアンのようにボールに積極的にバックスピンをかけてボールを所望の位置で止めることで飛距離をあえて抑えることが望まれるものもあるが、ロングアイアンやウッドゴルフクラブのようにボールに与えるスピン量をある程度抑制して飛距離を優先させたいという要望の強いものもある。
しかし、上記の各文献に記載のゴルフクラブヘッドでは、スコアラインを構成する溝部の側壁上端部が尖っているので、ショートアイアンのようにボールに積極的にバックスピンをかけたいゴルフクラブには適しているが、打球時にボールに対するスピン量を抑制することができない。そのため、ロングアイアンやウッドゴルフクラブの場合にはボールの飛距離が低下してしまうという問題がある。
さらに、スコアラインを構成する溝部の側壁上端部が尖っていることで、打球時の応力が該溝部の側壁上端角部に集中し易くなり、フェース部の耐久性が低下し易くなるという問題も生じる。特に、実開平6−66729号公報や特開平9−192274号公報に記載のゴルフクラブヘッドのようにスコアラインを構成する溝部の側壁上端部のみならず溝部の底面周縁部においても角張った部分がある場合には、溝部の底部においても応力集中が発生し易くなりフェース部の耐久性がさらに低下し易くなるものと考えられる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、打球時にボールに対するスピン量を抑制することができ、かつフェース部の耐久性をも向上することが可能となるゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供することを目的とする。
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、フェース面に溝部で構成されるスコアラインを有するフェース部を備え、上記溝部の側壁上端部に丸みを付与したものである。なお、「丸みを付与する」とは、典型的には曲面のような丸みを帯びた面で構成することを意味するが、厳密には曲面で構成されていると言えないものであっても実質的に丸みを帯びた状態であると言えるものは本願明細書における「丸みを付与する」という概念に含まれると解釈されるべきである。
上記の溝部の側壁と底面との接続部にも丸みを付与することが好ましい。また、上記の溝部の側壁上端部と、溝部の側壁と底面との接続部とをともに曲面で構成した場合、接続部を構成する曲面の曲率半径を、溝部の側壁上端部を構成する曲面の曲率半径よりも大きくすることが好ましい。また、上記溝部は、該溝部の開口側に向かうにつれて開口幅が大きくなるように傾斜する側壁を有することが好ましい。
本発明に係るゴルフクラブは、上記のようなゴルフクラブヘッドを備える。
本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、下記の各工程を備える。金属粉末とバインダーとを混合した混合材料を用いて射出成形を行うことで成形体を作製し、該成形体を焼結することにより、側壁上端部に丸みが付与された溝部で構成されるスコアラインをフェース面に有するフェースパーツを作製する。ヘッド本体を作製する。フェースパーツとヘッド本体とを接合する。
本発明に係るゴルフクラブヘッドでは、スコアラインを構成する溝部の側壁上端部に丸みを付与しているので、打球時にボールに対して与えられるスピン量を抑制することができる。また、溝部の側壁上端部における打球時の応力集中の程度も緩和することができ、フェース部の耐久性をも向上することができる。
本発明に係るゴルフクラブは、上記のようなゴルフクラブヘッドを備えているので、打球時にボールに対して与えられるスピン量を抑制し、かつフェース部の耐久性も向上されたゴルフクラブとなり得る。
本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法では、射出成形で作製した成形体を焼結することによりフェースパーツを作製しているので、彫刻やプレス加工をフェースパーツに施すことなく、側壁上端部に丸みが付与された溝部で構成されるスコアラインをフェース面に有するフェースパーツを作製することができる。該フェースパーツとヘッド本体とを接合することでゴルフクラブヘッドが作製されるので、打球時にボールに対して与えられるスピン量を抑制し、かつフェース部の耐久性も向上されたゴルフクラブヘッドが得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、典型的にはウッドゴルフクラブに適用されるが、本発明の思想をアイアンゴルフクラブにも適用可能である。
本実施の形態におけるゴルフクラブは、後述するゴルフクラブヘッドと、シャフトおよびグリップを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用可能である。
本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドは、典型的には金属製であり、たとえばチタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金の中の少なくとも1つの材質で作製することができる。ウッドゴルフクラブの場合には、ゴルフクラブヘッドは、フェース部と、クラウン部と、ソール部、サイド部と、ネック部(ホーゼル部)とを有する。アイアンゴルフクラブの場合には、ゴルフクラブヘッドは、フェース部と、トップエッジ部と、ソール部、バック部、ネック部(ホーゼル部)とを有する。
本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドは、フェース面に溝部で構成されるスコアラインを有する。スコアラインを構成する溝部の断面形状としては様々な形状が考えられるが、本実施の形態では、上記の溝部の側壁上端部に丸みを付与する。該溝部の側壁上端部における丸み部分は、側壁上端コーナ部の少なくとも先端に設けられればよいが、該先端とその周囲の部分を含む側壁上端部全体を曲面で構成してもよい。また、側壁上端コーナ部の先端部分に切削加工などを施して微細な面取り部を形成することで、溝部の側壁上端コーナ部を、実質的に曲面と同等とみなせるような形状とすることも考えられる。
上記の溝部の側壁上端部に曲面部を形成する場合、該曲面部は、一定の曲率の曲面で構成してもよく、異なる曲率の曲面を組み合わせた複合曲面で構成してもよい。また、凸状の曲面と凹状の曲面のいずれを用いてもよく、凸状の曲面と凹状の曲面とを組み合わせてもよい。
上記溝部の側壁上端コーナ部の先端にのみ曲面部を形成した場合、該曲面部の周囲の形状は任意形状とすることができる。たとえば該曲面部の周囲に平坦部や若干の凹部を設けることも可能である。また、フェース面から溝部の側壁にわたって連続的にほぼ一定の曲率の曲面部を形成してもよい。
上記のように溝部の側壁上端部に丸みを付与することにより、打球時に溝部の側壁上端部における丸められた部分で主としてボールに対しスピンを与えることができるので、溝部の側壁上端部が尖った場合と比較して打球時にボールに対して与えるスピン量を抑制することができる。また、溝部の側壁上端部が尖った場合と比較すると、打球時にボールと接する面積を増大することができるので、溝部の側壁上端部における打球時の応力集中の程度も緩和することができる。それにより、フェース部の耐久性をも向上することができる。
上記の溝部の側壁と底面との接続部にも丸みを付与することが好ましい。この場合も、少なくとも上記の接続部(溝底面の周縁部または溝側壁下端部)に丸みを付与すればよい。たとえば、溝部側壁から底部にわたって連続的に丸みを付与してもよく、溝部の側壁表面を主に平坦面で構成する一方で上記の接続部表面と溝底面とに丸みを付与してもよく、溝部の側壁表面と上記の接続部表面とに丸みを付与する一方で溝底面を主に平坦面で構成してもよく、溝部の側壁表面と底面とを主に平坦面で構成する一方で上記の接続部表面にのみ丸みを付与してもよい。
該接続部に丸みを付与する場合も、典型的には溝部の側壁と底面との接続部に曲面部を形成することが考えられるが、該曲面部は、一定の曲率の曲面で構成してもよく、異なる曲率の曲面を組み合わせた複合曲面で構成してもよく、凸状の曲面と凹状の曲面のいずれを用いてもよく、凸状の曲面と凹状の曲面とを組み合わせてもよい。
上記の溝部の側壁上端部と、溝部の側壁と底面との接続部とをともに一定の曲率の曲面で構成した場合、接続部表面を構成する曲面の曲率半径と、溝部の側壁上端部の表面を構成する曲面の曲率半径とを異ならせることが考えられる。たとえば、上記の接続部表面を構成する曲面の曲率半径を、溝部の側壁上端部の表面を構成する曲面の曲率半径よりも大きくすることが考えられる。
溝部の側壁上端部に設ける曲面部は、打球時にボールに適切な量のスピンをかける機能を確保するために、曲率半径を小さめに設定する(曲率を大きくする)ことが望まれる。たとえば、溝の幅(ソール部からクラウン部に向かうソール・クラウン方向の幅:上下方向の幅)が0.6mm程度の場合、溝部の側壁上端部に設ける曲面部の曲率半径を0.1mm以上0.2mm以下程度(好ましくは0.15mm程度)とすることで良好な結果が得られることを本願発明者は確認している。この結果より、溝部の側壁上端部に設ける曲面部の曲率半径が溝の幅の20%〜30%程度であれば効果的であるものと推察される。
他方、溝部の側壁と底面との接続部に設ける曲面部は、フェース部の耐久性向上という観点から、曲率半径を大きめに設定する(曲率を小さくする)ことが望まれる。たとえば溝の幅(ソール部からクラウン部に向かうソール・クラウン方向の幅:上下方向の幅)が0.6mm程度の場合、溝部の側壁と底面との接続部に設ける曲面部の曲率半径を0.2mm以上0.3mm以下程度(好ましくは0.25mm程度)とすることで良好な結果が得られることを本願発明者は確認している。この結果より、溝部の側壁と底面との接続部に設ける曲面部の曲率半径が溝の幅の35%〜45%程度であれば効果的であるものと推察される。
なお、上記溝部は、該溝部の開口側に向かうにつれて開口幅が大きくなるように傾斜する側壁を有することが好ましい。溝部がこのような側壁を有することにより、ボールとフェース面間の摩擦係数を低くすることができ、より効果的にスピン量を抑制することができる。
次に、上記のゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。まず、金属粉末とバインダーとを混合した混合材料を用いて射出成形を行うことで成形体を作製する。それにより、側壁上端部に丸みが付与された複数の溝部で構成されるスコアラインをフェース面に有するフェースパーツ成形体を作製することができる。
金属粉末としては、たとえばチタン粉末、チタン合金粉末、アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、ステンレス粉末などを使用可能である。バインダーとしては、樹脂やワックスなどを使用可能である。たとえば金属粉末としてチタン合金粉末を使用する場合、バインダーとして樹脂バインダーを使用可能である。チタン合金粉末としては、Ti−6AL−4Vチタン合金粉末の他、チタンにAl,V,B,Cなどを添加した合金粉末を使用可能である。
次に、上記の成形体を脱脂および焼結する。チタン合金粉末を使用する場合、脱脂は500℃〜700℃程度の温度で行い、焼結は1100℃〜1300℃程度の温度で行うことができる。このように成形体に脱脂および焼結のための熱処理を施すことにより、側壁上端部に丸みが付与された複数の溝部で構成されるスコアラインをフェース面に有するフェースパーツを作製することができる。
他方、ヘッド本体を作製する。ヘッド本体は、フェース部相当部分に、上記のフェースパーツによって閉じられる開口を有しており、鋳造などにより作製することができる。該ヘッド本体を一体の部材で構成してもよいが、複数のパーツを接合してヘッド本体を作製してもよい。
次に、フェースパーツとヘッド本体とを接合する。接合手法としては、典型的には、溶接を挙げることができるが、かしめや圧入などによりフェースパーツとヘッド本体とを接合することも可能である。また、接着剤などを介してフェースパーツとヘッド本体とを接続してもよい。
次に、図1〜図5を用いて本発明の実施例およびその変形例について説明する。
図1に示すように、本実施例1におけるゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド1と、周知のシャフトおよびグリップとを備える。
本実施例1のゴルフクラブヘッド1は、Ti−6AL−4Vチタン合金製であり、図1に示すように、フェース部2と、クラウン部3と、ソール部4と、トウ部5およびヒール部6を含むサイド部とを有する。フェース部2の打球面側の表面であるフェース面にはスコアライン7が形成される。該スコアライン7は、図2に示すように、フェース面に形成された溝部で構成される。
図3に本実施例1のゴルフクラブヘッド1におけるフェース面およびその近傍の拡大断面図を示す。図3に示すように、本実施例1では、スコアライン7を構成する溝部の幅Wは0.6mmであり、深さDは0.25mmである。上記の溝部の側壁上端部9の表面は曲率半径0.15mmの曲面で構成されている。また、上記の溝部の側壁10の表面および底面8は、曲率半径0.25mmの曲面で構成されている。したがって、溝部の底面8と側壁10との接続部も、曲率半径0.25mmの曲面で構成されることとなる。また、上記の溝部の開口側に向かうにつれて溝部の開口幅が大きくなるように側壁10は傾斜している。
次に、図4(a)〜(d)を用いて、スコアライン7を構成する溝部の断面形状例について説明する。
図4(a)に示すように、スコアライン7を構成する溝部の側壁上端部9から溝部の内表面全体を曲面で構成してもよく、図4(b)に示すように、スコアライン7を構成する溝部の底面8の一部を平坦面で構成し、これ以外の溝部表面および溝部の側壁上端部9を曲面で構成してもよく、図4(c)に示すように、スコアライン7を構成する溝部の側壁10の表面の一部を平坦面で構成し、これ以外の溝部表面および溝部の側壁上端部9を曲面で構成してもよく、図4(d)に示すように、スコアライン7を構成する溝部の側壁10の表面の一部および底面8の一部を平坦面で構成し、これ以外の溝部表面および溝部の側壁上端部9を曲面で構成してもよい。いずれの場合も、溝部の側壁上端部9と、溝部の側壁10と底面8との接続部とをともに曲面で構成しているので、打球時にボールに対して与えられるスピン量を抑制することができ、かつフェース部2の耐久性をも向上することができる。
次に、図5を用いて、本実施例1におけるゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。
まず、65vol.%のTi−6AL−4Vチタン合金粉末と、35vol.%の樹脂バインダーとを混合して混合材料を作製する(ステップS1)。該混合材料を用いて射出成形を行うことで成形体を作製する(ステップS2)。このとき、金型温度を40℃〜60℃程度とし、成型温度を170℃〜190℃程度とする。次に、上記の成形体を脱脂および焼結する(ステップS3)。脱脂は570℃〜630℃程度の温度で行い、焼結は1120℃〜1180℃程度の温度で行うことができる。
上記のように射出成形により成形体を作製し、該成形体に脱脂および焼結のための熱処理を施すことにより、側壁上端部9に丸みが付与された複数の溝部で構成されるスコアライン7をフェース面に有するフェースパーツを高精度に作製することができる。(ステップS4)。
他方、鋳造により、フェース部相当部分に開口を有するTi−6AL−4Vチタン合金製のヘッド本体を作製する(ステップS5〜S6)。その後、上記のフェースパーツとヘッド本体とを溶接により接合する(ステップS7)。それにより。本実施例1のゴルフクラブヘッド1を作製することができる。そして、該ゴルフクラブヘッド1をシャフトおよびグリップを接続することにより、ゴルフクラブを作製することができる。
次に、本願発明者は、上記の手法で作製したTi−6AL−4Vチタン合金製のゴルフクラブヘッド(本発明品)と、鋳造により作製したTi−6AL−4Vチタン合金製のゴルフクラブヘッド(従来品)とで、ヘッドの質量誤差(最大値と最小値との差)と、ヘッドのロール半径の寸法誤差(最大値と最小値との差)と、ヘッドのバルジ半径の寸法誤差(最大値と最小値との差)とを比較したので、その結果について説明する。
まずヘッドの質量誤差は、本発明品では0.4gであったのに対し、従来品では1.5gであった。ヘッドのロール半径の寸法誤差およびヘッドのバルジ半径の寸法誤差は、本発明品では12mmであったのに対し、従来品では38mmであった。また、本願発明者は、Ti−22V−4AL製の鍛造品ヘッドについても、同様の比較試験を行ったが、鋳造品の場合と同様の結果が得られた。
以上より、本実施例の方法でゴルフクラブヘッドを作製することにより、ヘッドの質量誤差や寸法誤差を低減することができ、所望の形状のゴルフクラブヘッドを高精度に作製することができる。
次に、本願発明者は、上述の本実施例1のようなスコアライン形状を有するゴルフクラブヘッド1による効果を確認するために次のような試験を行ったので、その結果について表1および表2を用いて説明する。
まず、上述の本実施例1のようなスコアライン形状を有するゴルフクラブヘッド1を備えたゴルフクラブと、従来のスコアライン形状を有するゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブとを準備し、これらをそれぞれスイングロボットに取り付け、ヘッドスピード43m/sで打球し、ボール初速、飛出し角度、バックスピン量、キャリーおよびトータルの飛距離を測定した。
ゴルフクラブにロフト10度のミズノプロ300SII330(ミズノ株式会社製)、ボールにダンロップ株式会社製のエブリオを使用し、スイングロボットにミヤマエ製ロボショット2を使用した。なお、飛び出し角度とボール初速およびバックスピン量は、ボールの表面の任意の5点を予めマーキングしておき、打球後3500μ秒と5500μ秒のボールを、飛球方向の側面に配置した2台のCCDカメラにより撮影し、ボール表面上の5点の移動量を測定し、DLT法で求めた。また、従来品としては、Ti−6AL−4Vチタン合金製のゴルフクラブヘッドであってスコアラインを構成する溝部の側壁上端部が丸められておらず、かつ溝部の底部の周縁から側壁にかけても角張っており、溝部の幅が0.6mmであり、溝部の深さが0.25mmであるものを採用した。本発明においても、スコアラインを構成する溝部の幅は0.6mmであり、溝部の深さは0.25mmである。
Figure 2005270517
表1に、上記のロボット試験の試験結果を示す。表1に示すように、本発明品の方がバックスピン量が少なくなり、かつバックスピン量の標準偏差も低くなっていることがわかる。また、これに伴い、キャリーおよびトータル飛距離も従来品より向上し、キャリーおよびトータル飛距離の標準偏差も低くなっている。このことから、本実施例1のゴルフクラブヘッドを採用することで、ボールの飛距離を向上するとともに飛距離を安定化することもできる。
次に、本願発明者は、フェース部の耐久性についても試験を行った。フェース部の耐久試験は、上記の各ゴルフクラブをスイングロボットに取り付けて打球し、何回の打球でフェース部が損傷するかを試験した。
Figure 2005270517
表2に示すように、本発明品の方が従来品よりも打球回数が多くなっており、フェース部の耐久性が優れているのがわかる。
以上より、本実施例1のようなスコアライン形状を採用することで、打球後のボールのバックスピン量を低減してボールの飛距離を増大することができるばかりでなく、フェース部の耐久性をも向上できることがわかる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに有効に利用され得る。
本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの正面図である。 図1に示すゴルフクラブヘッドにおけるフェース部の部分断面斜視図である。 図2に示すゴルフクラブヘッドの拡大断面図である。 (a)〜(d)は、スコアライン形状の変形例を示す断面図である。 本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの製造プロセスを示すフロー図である。
符号の説明
1 ゴルフクラブヘッド、2 フェース部、3 クラウン部、4 ソール部、5 トウ部、6 ヒール部、7 スコアライン、8 底面、9 側壁上端部、10 側壁。

Claims (6)

  1. 溝部で構成されるスコアライン(7)をフェース面に有するフェース部(2)を備え、
    前記溝部の側壁上端部(9)に丸みを付与した、ゴルフクラブヘッド。
  2. 前記溝部の側壁(10)と底面(8)との接続部に丸みを付与した、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記溝部の側壁上端部(9)と、前記溝部の側壁(10)と底面(8)との接続部とをともに曲面で構成し、
    前記接続部を構成する曲面の曲率半径を、前記溝部の側壁上端部(9)を構成する曲面の曲率半径よりも大きくした、請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記溝部は、該溝部の開口側に向かうにつれて開口幅が大きくなるように傾斜する側壁(10)を有する、請求項1から請求項3のいすれかに記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブ。
  6. 金属粉末とバインダーとを混合した混合材料を用いて射出成形を行うことで成形体を作製し、該成形体を焼結することにより、側壁上端部に丸みが付与された溝部で構成されるスコアライン(7)をフェース面に有するフェースパーツを作製する工程と、
    ヘッド本体を作製する工程と、
    前記フェースパーツと前記ヘッド本体とを接合する工程と、
    を備えた、ゴルフクラブヘッドの製造方法。
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