JP3044944B2 - 気相合成ダイヤモンド膜形成用基体の製造法 - Google Patents

気相合成ダイヤモンド膜形成用基体の製造法

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JP3044944B2
JP3044944B2 JP4241214A JP24121492A JP3044944B2 JP 3044944 B2 JP3044944 B2 JP 3044944B2 JP 4241214 A JP4241214 A JP 4241214A JP 24121492 A JP24121492 A JP 24121492A JP 3044944 B2 JP3044944 B2 JP 3044944B2
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正夫 村川
貞雄 竹内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、気相合成ダイヤモン
ド膜形成用基体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、超硬合金、サーメット、ゼミック
スなどの切削工具の表面に気相合成ダイヤモンド膜を形
成し、AlまたはAl合金の切削するための気相合成ダ
イヤモンド膜被覆切削工具として用いられるようになっ
てきた。この気相合成ダイヤモンド膜は、一般に、研磨
され、化学エッチングされた切削工具を基体とし、その
基体表面をダイヤモンド粉末が浮遊分散した溶液中で超
音波研磨処理し、かかる通常の超音波研磨処理された基
体の表面に通常の気合成法によりダイヤモンド膜を析出
生成させることにより作製されることも知られている
(例えば、特開昭60−86096号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記超音波研
磨処理した切削工具などの基体表面に生成される核生成
密度は十分でなく、核生成密度が高いほど気相合成ダイ
ヤモンド膜の付着強度が向上することが知られている
が、前記通常の超音波研磨処理した基体表面に生成され
る核生成密度は1平方センチメートル当り1×1010
が限界であり、かかる程度の核生成密度では十分な気相
合成ダイヤモンド膜の付着強度は得られない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
切削工具などの基体表面に生成される気相合成ダイヤモ
ンド膜の付着強度を一層向上させるべく研究を行った結
果、平均粒径が30〜100オングストローム、好まし
くは平均粒径:40〜60オングストロームの範囲内に
ある爆発法により製造された超微粒ダイヤモンド粉末を
用いて切削工具などの基体表面を摩擦処理した基体の表
面に気相合成ダイヤモンド膜を形成すると、初期核生成
密度が高く、したがって、付着強度の優れた気相合成ダ
イヤモンド膜が形成され、この気相合成ダイヤモンド膜
被覆切削工具を用いて切削すると従来よりも気相合成ダ
イヤモンド膜が長時間剥離することなく切削することが
できる、という知見を得たのである。
【0005】この発明は、かかる知見に基づいてなされ
たものであって、 (1) 表面研磨された基体を平均粒径:30〜100
オングストロームの範囲内にある爆発法により製造され
た超微粒ダイヤモンド粉末を用いて摩擦する気相合成ダ
イヤモンド膜形成用基体の製造法、に特徴を有するもの
である。
【0006】前記平均粒径:30〜100オングストロ
ームの範囲内にある爆発法により製造された超微粒ダイ
ヤモンド粉末を用いて摩擦処理すると、切削工具などの
基体の表面に大きな傷が付くことなくダイヤモンド核生
成に効果的な歪みを加えることができると同時に基体表
面の細かな凹凸に超微粒ダイヤモンド粉末が入り込み被
覆され、ダイヤモンド膜の気相合成に際し、前記入り込
んだ超微粒ダイヤモンド粉末が核発生の起点となり核生
成密度を高めることができると考えられ、かかる処理し
た基体表面に、気相合成法によりダイヤモンド膜の析出
生成させると、付着強度のに優れた気相合成ダイヤモン
ド膜が形成されると考えられる。
【0007】この発明で用いる爆発法により製造された
超微粒ダイヤモンド粉末は、不活性雰囲気内において爆
発させ、炭素をダイヤモンドに合成することによって製
造され、球体、楕円体などの球に近い形状を示し、その
平均粒径は30〜100オングストローム、特に平均粒
径:40〜60オングストロームの範囲内にあるのが好
ましい。前記丸形状超微粒ダイヤモンド粉末の平均粒径
を30〜100オングストロームに限定した理由は、平
均粒径が30オングストローム未満では、微細すぎて効
率的に基体表面を超音波研磨処理または摩擦処理しても
ダイヤモンド核生成に十分な歪みを表面に加えることが
できないと同時に核発生の起点となる核生成密度を十分
に高めることができず、一方、100オングストローム
を越えると、大きな傷が残ると同時にかえって核生成密
度が低下することによるものである。
【0008】
【実施例】実施例1 表面を機械研磨した表面粗さが1S以下のセラミックス
製チップを用意し、このセラミックス製チップを爆発法
によって製造され表1に示される平均粒径の丸形状超微
粒ダイヤモンド粉末によりセラミックス製チップ表面を
摩擦し、本発明基体1〜5および比較基体1〜2を作製
した。これら摩擦して得られた本発明基体1〜5および
比較基体1〜2の表面を電子顕微鏡で観察したところ、
丸形状超微粒ダイヤモンド粉末が本発明基体1〜5およ
び比較基体1〜2の表面に埋め込まれた状態で存在して
いた。
【0009】得られた本発明基体1〜5および比較基体
1〜2を金属Wフィラメントを備えた石英製反応容器に
装入し、 雰囲気圧力:30Torr、 基体温度 :800℃、 反応ガス :メタンガス/水素ガス=1.0%の混合ガ
ス、 の条件で気相合成反応を行い、平均層厚:10μmの気
相合成ダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆セラ
ミックス製チップ1〜7を作製した。
【0010】従来例1 実施例1で用意した表面粗さが1S以下のセラミックス
製チップを、平均粒径:15μmの通常の超高圧合成法
で製造された角形状超微粒ダイヤモンド粉末により摩擦
して従来基体1を作製し、この従来基体1を実施例1と
同じ条件の気相合成法により平均層厚:10μmの気相
合成ダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆セラミ
ックス製チップ8を作製した。
【0011】前記ダイヤモンド被覆セラミックス製チッ
プ1〜8を用い、 被削材 :18%Si−Al合金(A390−T6) 切削速度:330m/min 送り :0.08mm/rev 切り込み:0.6mm 潤滑油 :なし の条件で連続切削試験を行ない、気相合成ダイヤモンド
膜が剥離するまでの時間を測定し、その測定結果を表1
に示した。
【0012】
【表1】
【0013】表1に示される結果から、平均粒径が30
〜100オングストロームの丸形状超微粒ダイヤモンド
粉末を用い、摩擦して得られた本発明基体1〜5を用い
て作製したダイヤモンド被覆超硬合金製チップ1〜5
は、従来基体1用いて作製したダイヤモンド被覆超硬合
金製チップ8に比べて気相合成ダイヤモンド膜が剥離す
ることなく長時間切削を行なうことができることがわか
る。しかし、この発明の範囲外の丸形状超微粒ダイヤモ
ンド粉末を用いて作製された基体によるダイヤモンド被
覆超硬合金製チップ6および7は、気相合成ダイヤモン
ド膜が剥離することなく切削できる時間は少し短くなる
ことが分かる。
【0014】
【発明の効果】実施例1および従来例1に示されるよう
に、同じ条件で切削試験しても、本発明法により作製し
た基体の表面に形成された気相合成ダイヤモンド膜は、
従来法により作製した基体の表面に形成された気相合成
ダイヤモンド膜よりも剥離するまでの時間が長いところ
から、本発明法により作製した基体の表面に形成された
気相合成ダイヤモンド膜の付着強度は、従来法により作
製した基体の表面に形成された気相合成ダイヤモンド膜
の付着強度よりも優れていることが分かる。
【0015】したがって、この発明は従来よりも気相合
成ダイヤモンド膜に対する付着強度の優れた基体を提供
することができ、使用寿命長い切削工具などを提供する
ことができ、産業上優れた効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 貞雄 埼玉県浦和市元町2−1−2 元町シテ ィー803 (56)参考文献 特開 平4−241214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 26/00 C30B 29/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面研磨された基体を平均粒径:30〜
    100オングストロームの範囲内にある爆発法により製
    造された超微粒ダイヤモンド粉末を用いて摩擦すること
    を特徴とする気相合成ダイヤモンド膜形成用基体の製造
    法。
JP4241214A 1992-08-18 1992-08-18 気相合成ダイヤモンド膜形成用基体の製造法 Expired - Lifetime JP3044944B2 (ja)

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