JP2003247006A - 超硬質膜被覆部材及びその製造方法 - Google Patents

超硬質膜被覆部材及びその製造方法

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JP2003247006A JP2002043714A JP2002043714A JP2003247006A JP 2003247006 A JP2003247006 A JP 2003247006A JP 2002043714 A JP2002043714 A JP 2002043714A JP 2002043714 A JP2002043714 A JP 2002043714A JP 2003247006 A JP2003247006 A JP 2003247006A
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Katsuo Kazahaya
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材に対して超硬質膜を強く安定して密着さ
せることができる超硬質膜被覆部材及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 平均粒径5μm以上20μm以下のWC
と結合相としてのCoとからなる超硬合金の基材表面に
ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素よりなる超硬質
膜が被覆され、前記基材表面に存在するWC粒子の表面
には多数の凹凸が形成されてなる超硬質膜被覆部材とす
る。また、その製造方法として、平均粒径5μm以上2
0μm以下のWCと結合相としてのCoとからなる超硬
合金の基材を、壁材料に酸化アルミを主成分とした炉を
用いて950℃以上1150℃以下の温度の真空雰囲気
内で熱処理を行った後、前記熱処理を行った面に気相合
成法によりダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素より
なる超硬質膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、切削工具、耐摩耗
工具、金型、装飾部品等に用いられる超硬合金の基材表
面に形成された人工ダイヤモンドまたは人工ダイヤモン
ド状炭素からなる超硬質膜が基材と優れた密着性を有す
る被覆部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ダイヤモンドは硬さ、熱伝導
性、耐溶着性などの点で優れた性質を有しているので、
これらの優れた特徴を利用すべく、超硬合金やサ−メッ
トなどの基材の表面にダイヤモンドの被覆を行い、切削
工具や耐摩耗工具等に使用されている。これらの基材の
表面にダイヤモンドを形成させる方法としては、気相合
成法があるが、基材とダイヤモンドとの接着が十分でな
いために、使用中にダイヤモンドが剥がれるという問題
が起こる。
【0003】例えば、超硬合金の基材にダイヤモンドを
形成する場合、超硬合金中に結合相としてCoなどの遷
移金属が含まれるため、ダイヤモンドが剥がれやすくな
る。これは、Coなどの遷移金属が超硬合金の界面にお
いてダイヤモンドではなく遊離炭素の生成を触媒作用に
より促進するためである。そのため、Coなどの影響を
低減する前処理を行わなければ、ダイヤモンドを形成さ
せることができたとしても、ダイヤモンドの密着性が満
足できるものは得られない。
【0004】超硬合金にダイヤモンドの密着性を向上さ
せるための前処理技術としては、様々なものが提案され
ている。その一つは、超硬合金の基材を塩酸や硝酸など
でエッチングする方法である。これは、ダイヤモンドの
形成に悪影響を及ぼすCoを除去するという点では優れ
ている。しかし、エッチング量が少なければCoの除去
量が不足し、Coの影響を抑えることができないため密
着力は非常に弱くなってしまう。逆にエッチング量を多
くした場合、ダイヤモンドは基材に強固に密着するが、
基材とダイヤモンドの界面においてCoなどの結合相量
が0に近い相を形成してしまい、基材強度が低下して工
具寿命が非常に短くなるという問題が発生する。
【0005】また、エッチングにより適切にCoを除去
しても密着力を向上させるには限界がある。超硬合金へ
ダイヤモンドの高い密着力を実現するためには2つの重
要な要素があり、第1に、前述のようにダイヤモンドの
形成を阻害するCoを何らかの形で適量除去すること、
第2に、超硬合金基材の表面を何らかの形で荒らすこと
である。この第2の要素はエッチングすることでは十分
に得られず、熱処理などを行う必要がある。熱処理を行
うと超硬合金表面に存在する硬質相であるWCを粒成長
させることができ、その結果ダイヤモンドが密着しやす
いよう密着面積の拡大、表面の粗面化という効果が得ら
れる。
【0006】しかしながら、超硬合金の熱処理を行った
場合、結合相であるCo中のCの量が変化し、それによ
って異なった性質を呈する。一般の超硬合金は結合相が
健全領域にあり、これよりCが少ないものは結合相中に
脱炭相(例えばCoC)を生じている。また、C
が多いものは結合相中に遊離炭素を生じている。これら
は、熱処理を行う際の処理雰囲気によりC量が変化し、
健全相領域から脱炭相領域になる(以下、これを脱炭処
理という)、または浸炭相領域になる(以下、これを浸
炭処理という)現象が現れる。熱処理を行い、上記3つ
の相のいずれかが存在していても超硬合金表面の硬質相
が粒成長し粗面化していれば、ダイヤモンドの密着力は
エッチング処理のみの場合に比べて向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】基材とダイヤモンドと
の密着力を向上させるための基材の表面処理に関するも
のとして、特開平11−216602号公報に記載のも
のがある。これは、基材の熱処理を行ってWC粒子を粗
大化させ、基材の脱Co処理を行って、さらに熱処理に
より粗大化WC粒子の脱炭を行う。次に、電解エッチン
グにより粗大化WC粒子の表面部に凹凸面を形成するも
のであり、これらの処理後にダイヤモンド被覆層を形成
する。しかしながら、電解エッチングにより凹凸を形成
したとしても、その凹凸の状態や大きさによっては有効
に作用せず、ダイヤモンドの密着力が不十分となる問題
が発生していた。
【0008】以上のようなことから、本発明は、超硬合
金の基材に対してダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭
素からなる超硬質膜を安定して密着させることができ、
基材との密着力を向上させることができる超硬質膜被覆
部材及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の観点
から超硬質膜被覆層の超硬合金表面に対する密着性向上
を図るべく研究を行ったその結果、基材である超硬合金
のうちWCの平均粒径を5μm以上20μm以下とした
上で、これらを壁材料に酸化アルミを主成分とした炉を
用いて950℃以上1150℃以下の温度の真空雰囲気
で熱処理することによりWC粒子表面が極端に荒れるこ
とを見いだした。これに基づき、超硬質膜が優れた密着
力を有する被覆部材及びその製造方法を得るに至ったも
のである。
【0010】本発明の超硬質膜被覆部材の第1の特徴
は、平均粒径5μm以上20μm以下のWCと結合相と
してのCoとからなる超硬合金の基材表面にダイヤモン
ドまたはダイヤモンド状炭素よりなる超硬質膜が被覆さ
れ、前記基材表面に存在するWC粒子の表面には多数の
凹凸が形成されてなることである。基材表面のWC粒子
表面に多数の凹部が形成されているので凹部にも被覆層
が形成され、基材と被覆層との密着力が向上する。ここ
で基材のWC粒の平均粒径を5μm以上としたのは、こ
れより小さいと基材表面のWC粒子に凹凸を形成しにく
くなるためであり、20μm以下としたのは、これより
大きいと本発明部材に切れ刃などを加工しにくくなるた
めである。
【0011】本発明の被覆部材の第2の特徴は、前記多
数の凹凸は針状または柱状としたことである。WC粒子
の表面から内部にかけて亀裂を形成させて針状または柱
状の凹凸とすることで、超硬質膜との密着性が向上す
る。
【0012】本発明の被覆部材の第3の特徴は、前記多
数の凹凸を形成する層の厚みを1μm以上20μm以下
としたことである。1μm以上としたのは、これより薄
いと被覆層の密着力が向上しにくくなるためであり、2
0μm以下としたのはこれより厚いと基材強度の低下が
著しくなり、被覆層を有効に保持しなくなるためであ
る。
【0013】本発明の被覆部材の第4の特徴は、前記超
硬質膜の膜厚を、1〜20μmとしたことである。
【0014】また、本発明のダイヤモンドまたはダイヤ
モンド状炭素よりなる超硬質膜被覆部材の製造方法の第
1の特徴は、平均粒径5μm以上20μm以下のWCと
結合相としてのCoとからなる超硬合金の基材を、壁材
料に酸化アルミを主成分とした炉を用いて950℃以上
1150℃以下の温度の真空雰囲気内で熱処理を行った
後、前記熱処理を行った面に気相合成法によりダイヤモ
ンドまたはダイヤモンド状炭素よりなる超硬質膜を形成
することである。
【0015】通常、上記の様な雰囲気で熱処理を行う
と、超硬合金は健全相から脱炭反応を呈し粒成長を起こ
す。ところが、本発明の如くWCの粒径、温度条件及び
炉の壁材料を特定することにより、通常とは比べものに
はならないほど超硬合金の表面を荒らすことができる。
すなわち、前述の熱処理を行うことにより基材表面のW
C粒子には多数の亀裂が発生し、この状態で粒成長が起
こって針状または柱状の層が形成される。このメカニズ
ムは明確ではないが、次の様に推察される。
【0016】壁面に酸化アルミを主成分とした材料を用
いた炉で950℃から1150℃の温度の真空雰囲気で
熱処理すると、非常に激しい脱炭が起こる。また、一般
的に超硬合金中のWCの粒径は、Co中に溶けているC
量が多いほど大きいが、WCの粒径が大きい超硬合金を
前述の条件で熱処理すると、基材から急激にCを奪って
いくため大規模で特異な粒成長が起こる。通常の熱処理
による粒成長の場合は、WCはその初期の大きさをある
程度維持した状態で成長するが、本発明の場合、5μm
以上の大きなWC粒子に多数の亀裂が発生して凹凸が形
成され、その凸部がそれぞれ独立して成長し、針状また
は柱状になると考えられる。つまり基材の内部と表面で
は全く違った組織に変えることができる。この傾向は、
超硬中のWCが大きく熱処理温度が高いほど強くなる。
【0017】一般的には、脱炭処理をした基材にダイヤ
モンドを被覆すると脱炭相が分解してCoを生じ、この
Coが影響して被覆する面に多量の煤が発生する。特に
工具など複雑形状のものに対してこの傾向が強く、その
結果、基材とダイヤモンドの界面が不安定になる。よっ
て、上記のように基材を脱炭させることは本来良くない
現象であるが、本発明の製造方法の場合は基材の表面が
針状または柱状結晶となるため非常に大きなアンカー効
果が得られ、これにより超硬質膜は安定した密着力を得
ることができる。なお、950℃以上とするのは急激な
脱炭を起こし基材表面のWC粒子に亀裂を発生させるの
に必要な温度であり、1150℃以下としたのは、これ
より高いとWCの粒成長が著しくなって超硬合金の持つ
基材強度が損なわれ、切削工具、耐摩耗工具、金型や装
飾品等として使用できなくなるためである。使用する炉
は、壁面の材料が純酸化アルミや酸化アルミとSiO
からなる材料のものを使用するのが好ましい。また、炉
内の真空度は1×10−2Torr以下とするのが好ま
しい。これ以上であると、脱炭が激しすぎて基材の強度
が失われるためである。
【0018】本発明の製造方法の第2の特徴は、前記熱
処理の後、前記基材を浸炭性雰囲気内で再浸炭を行い、
前記基材表面に気相合成法により超硬質膜を形成するこ
とである。こうすることにより、最初の熱処理で生じた
脱炭相が無くなり、超硬質膜の密着力がさらに向上す
る。浸炭方法としては基材を水素とメタンの混合ガス雰
囲気のCVD装置にて熱処理をすることにより得られ
る。但し、この場合基材表面にダイヤモンドが生成しや
すい状態にあり、ダイヤモンドを被覆する時に成長して
異常粗大粒の原因になってしまう可能性がある。よっ
て、真空炉に水素とメタンの混合ガスを入れた状態で熱
処理をするのが望ましい。
【0019】本発明の製造方法の第3の特徴は、前記超
硬質膜を形成する前に前記基材を酸処理、イオンボンバ
ード、またはサンドブラストのいずれかを行うことであ
る。
【0020】上述のように壁材料に酸化アルミを主成分
とした炉による熱処理は、CVD装置による熱処理とは
異なり、基材表面のCoの選択的エッチング効果が少な
いため、酸処理、イオンボンバード、サンドブラスト、
CVD装置を用いて700℃以上1050℃以下で再度
熱処理を行う等の処理を行い、基材表面のCoを除去し
た方が超硬質膜の被覆速度は速くなる。
【0021】なお、本発明の基材である超硬合金はWC
−Co合金であり、TiC、VC、TaC、NbC、C
等の炭化物は極力含まれない方が好ましい。そ
の理由はこれらの炭化物は非化学的量論物質であり脱炭
反応時にCo中のC量を調整するため急激な脱炭が起こ
りにくくなり、本発明の意図とする基材表面の粗面化す
なわちWC粒子表面に亀裂が入るのを阻害するためであ
る。
【0022】本発明の超硬質膜を被覆する方法として
は、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCV
D法、RFプラズマCVD法、EA−CVD法、誘磁場
マイクロ波プラズマCVD法、RF熱プラズマCVD
法、DCプラズマCVD法、DCア−クCVD法、DC
プラズマジェットCVD法、燃焼法などがあるが、生産
性の点から熱フィラメントCVD法で行うのが好まし
い。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の超硬質膜被覆部材及びそ
の製造方法を実施例により具体的に説明する。
【0024】
【実施例】(実施例1)基材として平均粒径20μmの
WCに5%Coの超硬合金製TAチップ(SPGN09
0308型)を準備し、壁材料に純酸化アルミを使用し
た炉内にセットした。炉内は1×10−2Torrの真
空雰囲気で、雰囲気温度を950℃で10時間保持し
て、熱処理を行い基材表面のWC粒子を成長させたとこ
ろ、表面のWC粒子には多数の亀裂が発生して凹凸がで
き、針状及び柱状結晶になった。この基材を熱フィラメ
ントCVD装置にセットし、フィラメント温度を208
0℃、基材温度を760℃、雰囲気は1×10−2To
rrの真空雰囲気にして膜厚が20μmになるようダイ
ヤモンドを被覆し、ダイヤモンド被覆TAチップを製作
した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層
の厚みは20μmであった。
【0025】(実施例2)基材として平均粒径5μmの
WCに5%Coの超硬合金製TAチップ(SPGN09
0308型)を準備し、壁材料に純酸化アルミを使用し
た炉内にセットした。炉内は1×10−2Torrの真
空雰囲気で、雰囲気温度を950℃で10時間保持し
て、熱処理を行い基材表面のWC粒子を成長させたとこ
ろ、表面のWC粒子には多数の亀裂が発生して凹凸がで
き、針状及び柱状結晶になった。この基材を熱フィラメ
ントCVD装置にセットし、フィラメント温度を208
0℃、基材温度を760℃、雰囲気は1×10−2To
rrの真空雰囲気にして膜厚が20μmになるようダイ
ヤモンドを被覆し、ダイヤモンド被覆TAチップを製作
した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層
の厚みは5μmであった。
【0026】(実施例3)実施例2の炉内の温度を11
00℃にし、その他の条件は同じにしてダイヤモンド被
覆TAチップを製作した。基材表面のWC粒子全体に亀
裂が入り凹凸が発生した。表面に凹凸を形成している層
の厚みは10μmであった。
【0027】(実施例4)実施例2の炉内の温度を11
50℃にし、その他の条件は同じにしてダイヤモンド被
覆TAチップを製作した。基材表面のWC粒子全体に亀
裂が入り凹凸が発生した。表面に凹凸を形成している層
の厚みは12μmであった。
【0028】(実施例5)実施例2の熱処理を行った
後、基材をカーボン壁の炉内にセットし水素封入の雰囲
気で、雰囲気温度を950℃で1時間保持して浸炭処理
を行った。この基材を熱フィラメントCVD装置にセッ
トし、フィラメント温度を2080℃、基材温度を76
0℃にして膜厚が20μmになるようダイヤモンドを被
覆して、ダイヤモンド被覆TAチップを製作した。基材
表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層の厚みは5
μmであった。
【0029】(実施例6)実施例5の浸炭処理を行った
後、基材を酸に浸漬して表面のCoを減少させ、この基
材を熱フィラメントCVD装置にセットし、フィラメン
ト温度を2080℃、基材温度を760℃にして膜厚が
20μmになるようダイヤモンドを被覆して、ダイヤモ
ンド被覆TAチップを製作した。基材表面のWC粒子表
面に凹凸を形成している層の厚みは5μmであった。
【0030】(実施例7)実施例5の浸炭処理を行った
後、基材表面をArイオンボンバードを行って表面のC
oを減少させ、この基材を熱フィラメントCVD装置に
セットし、フィラメント温度を2080℃、基材温度を
760℃にして膜厚が20μmになるようダイヤモンド
を被覆して、ダイヤモンド被覆TAチップを製作した。
基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層の厚み
は5μmであった。
【0031】(実施例8)実施例5の浸炭処理を行った
後、基材表面にサンドブラストを当てて表面のCoを減
少させ、この基材を熱フィラメントCVD装置にセット
し、フィラメント温度を2080℃、基材温度を760
℃にして膜厚が20μmになるようダイヤモンドを被覆
して、ダイヤモンド被覆TAチップを製作した。基材表
面のWC粒子表面に凹凸を形成している層の厚みは3μ
mであった。
【0032】(実施例9)基材として平均粒径5μmの
WCに5%Coの超硬合金製TAチップ(SPGN09
0308型)を準備し、壁材料に純酸化アルミを使用し
た炉内にセットした。炉内は1×10−2Torrの真
空雰囲気で、雰囲気温度を950℃で3時間保持して、
熱処理を行い基材表面のWC粒子を成長させたところ、
表面のWC粒子には多数の亀裂が発生して凹凸ができ、
針状及び柱状結晶になった。この基材を熱フィラメント
CVD装置にセットし、フィラメント温度を2080
℃、基材温度を760℃、雰囲気は1×10−2Tor
rの真空雰囲気にして膜厚が20μmになるようダイヤ
モンドを被覆し、ダイヤモンド被覆TAチップを製作し
た。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層の
厚みは1μmであった。
【0033】(比較例1)基材として平均粒径3μmの
WCに5%Coの超硬合金製TAチップ(SPGN09
0308型)を準備し、壁材料に純酸化アルミを使用し
た炉内にセットした。炉内は1×10−2Torrの真
空雰囲気で、雰囲気温度を950℃で10時間保持し
て、熱処理を行い基材表面のWC粒子を成長させたが、
表面のWC粒子にはほとんど亀裂が発生せず、小さい凹
凸ができただけであった。この基材を熱フィラメントC
VD装置にセットし、フィラメント温度を2080℃、
基材温度を760℃、雰囲気は1×10−2Torrの
真空雰囲気にして膜厚が20μmになるようダイヤモン
ドを被覆し、ダイヤモンド被覆TAチップを製作した。
基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層の厚み
は0.3μmであった。
【0034】(比較例2)基材は比較例1と同じものを
準備し、比較例1の炉内の温度を1100℃にし、その
他の条件は同じにしてダイヤモンド被覆TAチップを製
作した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している
層の厚みは0.4μmであった。
【0035】(比較例3)基材は比較例1と同じものを
準備し、比較例1の炉内の温度を1150℃にし、その
他の条件は同じにしてダイヤモンド被覆TAチップを製
作した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している
層の厚みは0.4μmであった。
【0036】(比較例4)基材は実施例2と同じものを
準備し、実施例2の炉内の温度を900℃にし、その他
の条件は同じにしてダイヤモンド被覆TAチップを製作
した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している層
の厚みは0.4μmであった。
【0037】(比較例5)基材は実施例2と同じものを
準備し、実施例2の炉内の温度を1180℃にし、その
他の条件は同じにしてダイヤモンド被覆TAチップを製
作した。基材表面のWC粒子表面に凹凸を形成している
層の厚みは20μmであった。
【0038】以上のようにして製作したTAチップを使
って切削試験を行った。被削材はハイシリコンアルミ
(Al−18%Si)を使用し、切削条件は、V=80
0m/min、F=0.1mm/rev、切込量はd=
0.5mmとし、切削液(水性エマルジョン)を使用し
て行った。なお、切削長さは3000mとし、この時の
逃げ面摩耗の状況とダイヤモンド膜の剥離状況の有無を
確認した。
【0039】以上の切削試験を行った結果、実施例1〜
9のいずれのものも3000mの切削ができ、ダイヤモ
ンド膜の剥離は見られなかった。また、摩耗量も少な
く、基材が露出することもなかった。これに対し、比較
例1は1800mでダイヤモンド膜が剥離、比較例2は
2200mで剥離、比較例3は2300mで剥離、比較
例4は1500mで剥離した。比較例5は3000mで
剥離はなかったが、ダイヤモンド膜の摩耗量が多かっ
た。
【0040】以上の結果から分かるように、本発明の製
造方法により基材の前処理を行い、ダイヤモンド被覆を
行ったものは、基材表面のWC粒子表面に柱状や針状の
凹凸が多数形成され、アンカー効果によりダイヤモンド
膜の密着力が高く、剥がれにくいことが分かった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超硬質膜
被覆部材は基材表面に存在するWC粒子の表面に多数の
凹凸が形成されているので、超硬質膜の密着力が高く剥
がれにくい。また、本発明の超硬質膜被覆部材の製造方
法によれば、基材表面に存在するWC粒子の表面に多数
の亀裂を発生させて成長させるので、多数の凹凸を容易
に形成することができ、超硬質膜の密着力が高く剥がれ
にくい被覆部材を容易に製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23B 27/14 B23B 27/14 A B23C 5/16 B23C 5/16 B23P 15/28 B23P 15/28 A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径5μm以上20μm以下のWC
    と結合相としてのCoとからなる超硬合金の基材表面に
    ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素よりなる超硬質
    膜が被覆され、前記基材表面に存在するWC粒子の表面
    には多数の凹凸が形成されてなることを特徴とする超硬
    質膜被覆部材。
  2. 【請求項2】 前記多数の凹凸は針状または柱状である
    ことを特徴とする請求項1記載の超硬質膜被覆部材。
  3. 【請求項3】 前記多数の凹凸を形成する層の厚みは1
    μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1
    または2記載の超硬質膜被覆部材。
  4. 【請求項4】 前記超硬質膜の膜厚は、1〜20μmで
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    超硬質膜被覆部材。
  5. 【請求項5】 平均粒径5μm以上20μm以下のWC
    と結合相としてのCoとからなる超硬合金の基材を、壁
    材料に酸化アルミを主成分とした炉を用いて950℃以
    上1150℃以下の温度の真空雰囲気内で熱処理を行っ
    た後、前記熱処理を行った面に気相合成法によりダイヤ
    モンドまたはダイヤモンド状炭素よりなる超硬質膜を形
    成することを特徴とする超硬質膜被覆部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱処理の後、前記基材を浸炭性雰囲
    気内で再浸炭を行い、前記基材表面に気相合成法により
    超硬質膜を形成することを特徴とする請求項5記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記超硬質膜を形成する前に前記基材を
    酸処理、イオンボンバード、またはサンドブラストのい
    ずれかを行うことを特徴とする請求項5または6記載の
    製造方法。
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