JP3037861B2 - 波形形成装置およびこの出力波形を用いた電子楽器 - Google Patents
波形形成装置およびこの出力波形を用いた電子楽器Info
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Description
装置による処理波形を波形メモリに記憶する電子楽器に
関し、特に、波形メモリから波形を繰り返し読み出す場
合の波形データの修正に関するものである。
波形メモリに記憶し、キーオンなどの演奏情報に基づい
て該波形を読み出し、楽音信号を発生させる方式があっ
た。この中には、キーオン直後のアタック部分やその後
のディケイ、サスティン部などの音色の微妙な変化を出
すために、楽器の原音を発音開始から終了までの期間録
音し、波形メモリに記憶させる方式があり、この場合
に、後半の波形はあまり音色の変化がないので、ある程
度の期間経過後は同じ波形期間を繰り返し読み出すこと
で波形メモリの容量を節約する方式があった。
成分、振幅成分共に時間的な変化をしているが、上記の
ような従来の電子楽器においては、波形メモリからの繰
り返し読み出し期間に入ると、突然スペクトルの時間的
変化が無くなるため、不自然な感じを受けるという問題
点があった。
問題点を改良し、波形読み出しの繰り返し期間に入る前
後で音色が連続的に自然に変化するような波形データを
作成可能な波形形成装置、およびこの装置による処理波
形を用い、より自然な音色変化が得られる電子楽器を提
供することにある。
次入力される原音信号を、それぞれが少なくとも1つの
高調波成分を含む複数の周波数帯域に分割し、帯域信号
を出力する帯域分割手段と、各帯域信号の、振幅および
周波数の2つのパラメータを抽出する抽出手段と、楽音
の前記第1時点から第2時点までの遷移期間において、
2つのパラメータの少なくとも一方のパラメータの変化
が徐々に減少し、第2時点以降においては前記変化が無
くなるように、前記少なくとも一方のパラメータを修正
する修正手段と、各帯域信号の振幅および周波数のうち
の少なくとも1つが修正されたパラメータを用いて各帯
域信号を合成する合成手段と、合成された各帯域信号を
混合し、出力する混合手段とを具備する波形形成装置に
特徴がある。また本発明は、上記波形生成装置の出力波
形の読出しによって楽音信号を発生する楽音信号発生手
段を有し、前記第2の時点以降の波形データを繰り返し
読み出すようにした電子楽器に特徴がある。
調波成分ごとの帯域毎に分けて処理を行うので、パラメ
ータの変化を正確に制御でき、音色の変化の仕方を任意
に制御することが可能となる。従って、繰り返し期間に
入る前後で音色の変化度合いが滑らかに変化するような
波形を作成することが可能となり、音色の変化がより自
然な電子楽器を得ることが可能となる。
説明する。図2は本発明を適用した電子楽器の構成を表
すブロック図である。CPU1はROM2に記憶されて
いるプログラムにより、周知のキーアサイン処理、発音
処理等電子楽器全体の制御を行う。ROM2には制御用
プログラムの他、例えば各種テーブル、自動演奏用楽曲
データ、各種音色データなどを記憶している。RAM3
はCPU1の作業用領域として使用される他、キーアサ
インテーブル、音源制御情報テーブルなどの各種制御デ
ータを記憶しており、バッテリーバックアップされてい
てもよい。キーボード4は例えばそれぞれ2つのスイッ
チを有する複数の鍵からなり、図示しないキーボードイ
ンターフェースがCPU1の制御により各鍵のスイッチ
をスキャンする。
ムパターンなどの選択スイッチ、数値入力用テンキース
イッチ等の各種スイッチ、LEDなどの表示装置、パネ
ルインターフェース回路からなる。音源回路6は、CP
U1の制御により、時分割多重処理によって例えば16
チャネルの独立したデジタル楽音信号を発生することが
できるものである。D/A変換器7は音源回路6から出
力されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。アン
プ8はアナログ楽音信号を増幅し、スピーカ9から発音
される。バス10は電子楽器内の各回路を接続してい
る。この他にMIDIインターフェース等を設けてもよ
い。
ック図である。アドレス発生回路20は、CPU1から
設定された、押下されたキーの音高に対応するアドレス
間隔情報を累算する累算器をチャネル分備えており、例
えばサンプリング周期毎に波形メモリの読み出しアドレ
スを発生する。なお、波形データが後述する方法で所定
の長さしか記憶されていない場合には、最後の所定の範
囲の波形データを繰り返し読み出すようにアドレスが制
御される。波形メモリ21は後述する方法で形成された
波形データを記憶するROMあるいはRAMであり、音
色毎およびある音高範囲ごとに異なる波形データを記憶
している。
より音色あるいは音質の制御を行う。なおこの制御をエ
ンベロープ発生器を用いて行うようにしてもよい。エン
ベロープ発生回路23は、CPU1の制御により、音色
およびタッチ情報に対応した楽音のエンベロープ信号を
発生する。乗算器24はデジタルフィルタ22の出力信
号に、エンベロープ発生回路23の出力であるエンベロ
ープ信号を乗算し、楽音信号を出力する。本発明の特徴
は波形メモリ21に記憶される波形データにある。
する波形形成装置について説明する。図4は本発明の波
形形成装置の構成を示すブロック図である。波形形成装
置30は通常の計算機システムにマイクの信号を入力す
るためのA/D変換器42を付加し、波形形成処理のた
めのプログラムを組み込んだものである。CPU31は
プログラムに従って各種演算などを実行する。メモリ3
2にはプログラムやデータが記憶される。コンソールイ
ンターフェース33はCRTディスプレイ34とキーボ
ード35のインターフェース回路である。
テムと、プリンタや通信装置、ROMライタなど各種の
I/O機器37とのインターフェース回路である。ディ
スク38はプログラムやデータのファイルを記憶する。
バス39はシステム内の各回路を接続している。楽器4
0は、電子楽器の波形データの元になる楽音を発生させ
るためのものであり、発生した楽音信号はマイク41に
よって電気信号に変換され、更にA/D変換器42によ
ってデジタル信号に変換され、原音データとなる。
す機能ブロック図である。高調波分離手段50は、図5
(a)に波形を示すような原音データを複数の高調波成
分に分離する。この処理は例えば、まずFFTなどによ
って求めた原音のスペクトルから各高調波成分の周波数
とレベルを求め、レベルがある値以上の高調波につい
て、バンドパスフィルタ処理により各、図5(b)に示
すような高調波成分を独立して抽出することにより実行
される。高調波処理手段51、52は抽出された高調波
の数だけ用意され、抽出された各高調波は複数の高調波
処理手段51、52によって独立に処理される。
号の振幅のピークを検出し、それらを線で結ぶことによ
り、図5(c)に示すような振幅成分データを出力す
る。周波数成分抽出手段54は、例えば高調波信号のゼ
ロクロス点の間隔から周期を求め、その逆数を取ること
により、図5(d)に示すような周波数成分データを出
力する。平均値検出手段55および56は、それぞれ振
幅成分と周波数成分について所定の範囲、例えば図5の
Aの範囲、すなわち楽音の前半期(t:〜v)より後の
期間内(t:v〜)の平均値を求める。
(t:v〜k)で振幅成分データの平均値からのずれを
徐々に減少させ、ある時刻(t=k)以降は平均値とな
るように振幅成分データを修正し、図5(e)に示すよ
うな修正振幅成分データを出力する。なお図5における
範囲C(t>k)は波形が繰り返し読み出される楽音の
後半期を示している。処理を式で示すと、振幅成分デー
タをa(t)、修正振幅成分データをa’(t)平均値
をAとすれば、 a’(t)=a(t). (t:0〜v−1). a’(t)=A+(a(t)−A)*(k−t)/(k−v). (t:v〜k−1). a’(t)=A. (t:k〜). となる。
期間(t:v〜k)で周波数成分データの平均値からの
ずれを徐々に減少させ、ある時刻(t=k)以降は平均
値となるように周波数成分データを修正し、図5(f)
に示すような修正周波数成分データを出力する。処理を
式で示すと、周波数成分データをf(t)、修正周波数
成分データをf’(t)平均値をFとすれば、 f’(t)=f(t). (t:0〜v−1). f’(t)=F+(f(t)−F)*(k−t)/(k−v). (t:v〜k−1). f’(t)=F. (t:k〜). となる。
周波数成分データを基に、図5(g)に示すような高調
波を再合成する。式で示すと、高調波データをC(t)
とすれば、 C(t)=a’(t)*sin(2πf’(t)*t) となる。混合手段60は各高調波処理手段51、52の
出力を混合し、修正された楽音波形データを出力する。
理により、楽音の前半期の末期(t:v)から繰り返し
部分の先頭(t:k)にかけての遷移期間中に、徐々に
パラメータの変化が少なくなり、平均値に収斂するよう
に波形を修正するので、該波形を用いた電子楽器におい
て、音色が滑らかに変化する自然な楽音を得ることがで
きる。
を示す機能ブロック図である。第1の実施例では、各高
調波毎に処理を行うため、処理量が非常に多くなるとい
う問題があったが、この実施例では、原信号を帯域分割
手段によって例えば複数の高調波を含むような広い帯域
に分割し、処理することによって処理量の削減を可能と
するものである。
高調波を含むような広い帯域に分割し、各帯域信号を出
力する。レベルの大きな高調波は1つずつ分離し、レベ
ルの小さなものは隣接するレベルの大きな高調波と同じ
帯域に含ませるようにしてもよい。帯域成分処理手段7
1、72は帯域成分の数だけ用意され、抽出された各帯
域成分は複数の帯域成分処理手段71、72によって独
立に処理される。
信号の振幅のピークを検出し、それらを線で結ぶことに
より、振幅成分データを出力する。周波数成分抽出手段
74は、帯域成分信号から周期を求め、その逆数を取る
ことにより、周波数成分データを出力するが、複数の高
調波が含まれている場合にはゼロクロス点の間隔から周
期を求めることは単純にはできない。そこで、例えば振
幅の最も大きなピーク間の周期を検出するとか、あるい
は帯域信号の自己相関関数を求め、0以外で最も大きな
値を示す点から周期を求めることができる。
れ振幅成分と周波数成分について所定の範囲の平均値を
求める。振幅成分修正手段77は、所定の期間(t:v
〜k)で振幅成分データの平均値からのずれを徐々に減
少させ、ある時刻(t=k)以降は平均値となるように
振幅成分データを修正し、修正振幅成分データを出力す
る。周波数成分修正手段78は、やはり所定の期間
(t:v〜k)で周波数成分データの平均値からのずれ
を徐々に減少させ、ある時刻(t=k)以降は平均値と
なるように周波数成分データを修正し、修正周波数成分
データを出力する。これらの処理は第1の実施例と同じ
である。
段において抽出された振幅成分および周波数成分は、例
えばその帯域に含まれる最もレベルの大きな高調波の情
報しか含んでいない。従って、波形合成手段81によっ
て帯域信号をより忠実に再合成するためには、その帯域
に含まれる最もレベルの大きな高調波についてはパラメ
ータの変化を無くし、かつその他の高調波成分の情報を
も含むような周期成分信号を用意する必要がある。この
ために、リサンプリング手段79は周波数成分抽出手段
74からの出力データ(周期データ)に基づき、帯域信
号をリサンプリングする。即ち各周期内のサンプル数が
全て同一数になるように、補間演算等により新たなサン
プル値を求める。また振幅修正手段80は1周期毎の振
幅の絶対値の最大値を求め、各サンプル値を該最大値で
除算することにより、全ての周期について振幅を揃え
る。
された修正振幅成分および修正周波数成分データを用い
て、振幅修正手段80、リサンプリング手段79と逆の
処理を行うことによって、帯域信号を合成する。即ち、
まず周期成分信号に修正振幅成分データを乗算し、次に
修正周波数成分データに基づき、各周期のサンプル数を
補間演算により増減させる。混合手段81は各帯域成分
処理手段71、72の出力を混合し、修正された楽音波
形データを出力する。
少ない帯域分割数で処理が可能となり、処理時間の短縮
が可能となる。また、ある帯域に含まれる高調波のパラ
メータが同じように変化している場合には、第2の実施
例による処理においても、第1の実施例と同様の修正結
果が得られる。
変形例も考えられる。波形形成装置においては、振幅成
分と周波数成分の検出手段について任意の方法が使用可
能である。例えば振幅については、検波(絶対値を取
る)してローパスフィルタを通すなどの処理を行っても
よい。また周波数(周期)成分の検出については、ゼロ
クロス点あるいはピーク点の周期の検出、自己相関関数
から求めるなどの方法が考えられ、第2の実施例におい
ても、予想される周期の近辺のゼロクロス点を検出する
ようにすればゼロクロス点から周期を検出することがで
きる。
すればよいが、C(あるいはk)は例えば音色の変化の
減少度合いと、波形メモリとして利用できるメモリ容量
などによって決定される。またAは繰り返し部分のパラ
メータ値となるので、k点における連続性を考慮して、
k点を中心とする所定の範囲としてもよい。Bについて
は原音を必要以上に修正することなく、かつ音色が滑ら
かに変化するように、実験的に決定すればよい。
パラメータについて修正を行う例を示したが、いずれか
一方のパラメータのみを修正するようにしてもよい。サ
ンプリング機能付きの電子楽器に本発明の機能を付加す
れば、収集した楽音のデータ量を圧縮して蓄積、利用す
ることが可能となり、メモリ容量が削減できる。
帯域毎に分けて処理を行うので、パラメータの変化を正
確に制御でき、音色の変化の仕方を任意に制御すること
が可能となるという効果がある。また、この発明の装置
によって処理された波形データを記憶した波形メモリを
使用した電子楽器は音色の変化をより自然にすることが
可能となるという効果がある。
ある。
ある。
図である。
波形図である。
ク図である。
ド、5…パネル、6…音源回路、7…D/A変換器、8
…アンプ、9…スピーカ、10…バス
Claims (6)
- 【請求項1】楽音波形を波形メモリに記憶し、楽音の発
音開始から第1時点までの前半期においては演奏情報に
基づいて該波形を読出し、第1時点より後の、楽音の後
半期である第2時点以降においては同一波形を繰返し読
出して楽音信号を発生させるための波形形成装置であっ
て、 時間的に順次入力され る原音信号を、それぞれが少なく
とも1つの高調波成分を含む複数の周波数帯域に分割
し、帯域信号を出力する帯域分割手段と、 各帯域信号の、振幅および周波数の2つのパラメータを
抽出する抽出手段と、楽音の前記 第1時点から第2時点までの遷移期間におい
て、2つのパラメータの少なくとも一方のパラメータの
変化が徐々に減少し、第2時点以降においては前記変化
が無くなるように、前記少なくとも一方のパラメータを
修正する修正手段と、 各帯域信号の振幅および周波数のうちの少なくとも1つ
が修正されたパラメータを用いて各帯域信号を合成する
合成手段と、 合成された各帯域信号を混合し、出力する混合手段とを
具備することを特徴とする波形形成装置。 - 【請求項2】前記抽出手段は、振幅成分抽出手段と周波
数成分抽出手段とからなり、 前記修正手段は、 振幅成分の所定の範囲の平均値を検出する振幅成分平均
値検出手段と、 該振幅成分平均値検出手段の出力データを基に、前記第
1時点から、振幅成分の前記平均値からの偏移が徐々に
減少し、前記第2時点以降は前記平均値となるように、
各帯域信号の振幅成分を修正する振幅成分修正手段と、 周波数成分の所定の範囲の平均値を検出する周波数成分
平均値検出手段と、 該周波数成分平均値検出手段の出力データを基に、前記
第1時点から、前記周波数成分の平均値からの偏移が徐
々に減少し、前記第2時点以降は前記平均値となるよう
に、各帯域信号の周波数成分を修正する周波数成分修正
手段とからなることを特徴とする請求項1に記載の波形
形成装置。 - 【請求項3】更に、抽出手段によって抽出されたパラメ
ータによって、該パラメータの変化が無くなるように帯
域信号を修正する帯域信号修正手段を備え、 合成手段は前記帯域信号修正手段の出力と、各帯域信号
の振幅および周波数のうちの少なくとも1つが前記修正
手段によって修正されたパラメータを用いて各帯域信号
を合成することを特徴とする請求項1に記載の波形形成
装置。 - 【請求項4】原音信号の各次数高調波のうち、レベルの
大きい高調波成分は単独で1つの周波数帯域に分離し、
レベルの小さい高調波成分はレベルの大きい隣接の高調
波成分と同じ周波数帯域に含めることを特徴とする請求
項1ないし3のいずれかに記載の波形形成装置。 - 【請求項5】平均値の検出は、第2時点を含む予定の期
間内における原音信号のデ−タを対象として行なわれる
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の
波形形成装置。 - 【請求項6】楽音波形デ−タを記憶する波形記憶手段
と、該波形データを読み出すことによって楽音信号を発
生する楽音信号発生手段とを有する電子楽器において、
該波形記憶手段には請求項1ないし5のいずれかに記載
の波形形成装置の出力波形を記憶しており、楽音発生手
段は、前記第2の時点以降の波形データを繰り返し読み
出すことを特徴とする電子楽器。
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