JP3399340B2 - 楽音合成装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体 - Google Patents

楽音合成装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体

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JP3399340B2 JP02409098A JP2409098A JP3399340B2 JP 3399340 B2 JP3399340 B2 JP 3399340B2 JP 02409098 A JP02409098 A JP 02409098A JP 2409098 A JP2409098 A JP 2409098A JP 3399340 B2 JP3399340 B2 JP 3399340B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人声音や自然楽器
音(あるいは自然楽器音に準じた楽音)等のようなフォ
ルマント音を合成する楽音合成装置および楽音合成プロ
グラムが記録された記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人声音や自然楽器音を合成する方式の1
つとして、これらの音のフォルマント構造に着目し、特
許第25040172号公報(特開平2−254497
号公報)、特開平7−191699号公報等に記載のフ
ォルマント方式がある。この方式においては、単一のフ
ォルマント波形、あるいは、フォルマント中心周波数,
フォルマント形状,強度が相異なる複数のフォルマント
波形を加算したものを生成して人声音や自然楽器音を合
成する。ここで、フォルマント波形は、フォルマント中
心周波数を有する周期波形を、所定の音高(ピッチ)周
期で繰り返す特定の窓関数波形と乗算(振幅変調)して
生成される。
【0003】より厳密にいうと、人声音の母音部分(ま
たは有声音部分)や、自然楽器音の立ち上がり部分(ア
タック部)を除いた部分等の有声フォルマント成分を上
述したフォルマント方式で生成する。人声音の子音部分
(または無声音部分)や、自然楽器音の立ち上がり部分
においては、特許第2606006号公報(特開平4−
346502号公報)等に記載のように、ノイズフォル
マントの中心周波数を有する周期波形を、特定のローパ
ススペクトルを有するノイズ信号と乗算(振幅変調)し
て生成する。この場合、周期波形の中心周波数の左右
に、側波帯成分としてローパススペクトル特性のノイズ
信号成分が対称に現れるような波形となる。以下、自然
楽器音の立ち上がり部分(アタック部)を除いた部分な
どの有声フォルマント成分を上述のフォルマント方式に
より合成する場合について説明する。
【0004】図6は、フォルマント方式により楽音を合
成する原理を示す波形図である。図6(a)は周期波
形、図6(b)は窓関数波形、図6(c)はフォルマン
ト波形である。図6(a)に示すようにフォルマント中
心周波数を有するサイン波のような周期波形を発生させ
るとともに、図6(b)に示すように滑らかに変化する
窓関数波形を音高周期の間隔で周期的に発生させる。こ
の窓関数波形により上述した周期信号を振幅変調する
と、その波形は、図6(c)に示すように、搬送波信号
がフォルマント中心周波数を有する周期波形とされ、エ
ンベロープが図6(c)の窓関数と同形状となる単位波
形が音高周期で周期的に発生するものとなる。
【0005】図7は、フォルマント方式による楽音発生
部の1例を示すブロック構成図である。図中、31,3
3,36はフェイズアキュムレータ、32は微分器、3
4は正弦波テーブル、35,38はセレクタ、37はサ
イン自乗テーブル、39はビットシフタ、40,42は
加算部、41はエンベロープジェネレータ、43は対数
/真数変換部である。
【0006】フェイズアキュムレータ31は、所定のク
ロックパルスに同期して音高情報値pitchを累算し
ている。このフェイズアキュムレータ31の累算値出力
は、鋸歯状に変化し、その値が2π相当の値に達する毎
にオーバーフローして再び累算するようにされている。
この音高情報値pitchは、発生させようとするフォ
ルマント音の音高に対応する値に設定されている。具体
的には、押された鍵盤によって指定されるキーコード
(KC)に基づいて変換テーブルを参照してこの音高情
報値pitchを得る。そして、この累算は、キーオン
パルス(KONP)の発生に同期して累算が開始するよ
うにされる。フェイズアキュムレータ31は、累算値q
×pitch(q=1,2,3,・・・)が2π相当の
値に達するごとに最上位ビット(MSB)に信号「1」
が出力され、このMSB信号を微分器32により微分す
ることにより、音高周期に等しい周期で微分パルスを発
生させる。
【0007】フェイズアキュムレータ33は、微分パル
スによって初期設定されるとともに、クロックパルスに
同期してフォルマント中心周波数情報値FFを累算し、
その累算値q×FFを正弦波テーブル34の読み出しア
ドレス信号として順次出力する。なお、フォルマント中
心周波数情報値FFも、音高情報値pitchと同様な
方法で得ている。すなわち、フォルマント音の中心周波
数に基づいて変換テーブルを参照してフォルマント中心
周波数情報値FFを得る。
【0008】正弦波テーブル14には、正弦波の1周期
の順次サンプル点振幅値が対数値で各アドレスに記憶さ
れており、フェイズアキュムレータ33から出力される
アドレス信号(累算値q×FF)により指定されたアド
レスに記憶されている正弦波振幅値が順次読み出され
る。これにより、正弦波テーブル34からはフォルマン
ト中心周波数の正弦波の順次サンプル点振幅がクロック
パルスに従って順次出力される。
【0009】セレクタ35からビットシフタ39まで
は、窓関数発生部を構成する。フェイズアキュムレータ
36は、上述した微分パルスによって初期設定され、セ
レクタ35は、累算値出力が0〜πに相当する値では、
前半周期用バンド幅Kaを選択し、フェイズアキュムレ
ータ36の累算値出力がπ〜2πに相当する値では、後
半周期用バンド幅Kbを選択してフェイズアキュムレー
タ36に供給している。また、セレクタ38は、フェイ
ズアキュムレータ36の累算値出力が0〜πに相当する
値では、前半周期用シフト値naを選択し、フェイズア
キュムレータ36の累算値出力がπ〜2πに相当する値
では、後半周期用シフト値nbを選択してビットシフタ
39に供給している。
【0010】このフェイズアキュムレータ36は、セレ
クタ35により選択された前半周期用バンド幅Ka,後
半周期用バンド幅Kbをクロックパルスに同期して累算
し、その累算値q1 ×Ka+q2 ×Kb(q1 =1,
2,3・・・,q2 =1,2,3・・・)をサイン自乗
波テーブル37の読み出しアドレス信号として順次出力
する。このフェイズアキュムレータ36は、累算値が2
πに相当する値になると累算動作を停止して2π相当値
を出力し続けるようにされている。さらに、このフェイ
ズアキュムレータ36は、累算値がπに相当する値以上
では、最上位ビット(MSB)が「1」となるように設
定されており、このMSBの信号をセレクタ35,38
にセレクト信号として供給して、セレクタ35,38が
上述した選択動作をすることを可能にしている。
【0011】サイン自乗波テーブル37には、サイン自
乗波の1周期の順次サンプル点振幅値が対数値で各アド
レスに記憶されている。フェイズアキュムレータ36か
ら出力されるアドレス信号(累算値q1 ×Ka+q2 ×
Kb)により指定されたアドレスに記憶されているサイ
ン自乗波の順次サンプル点振幅値が対数値で読み出され
る。数式で表すと、log{sin2 (q1 ×Ka+q
2 ×Kb)/2)}となる。ビットシフタ39は、サイ
ン自乗波テーブル37から読み出された順次サンプル点
振幅値を、セレクタ38を介して供給された前半周期用
シフト値naあるいは後半周期用シフト値nbに応じた
ビット数だけ左へシフトし、結果として前記順次サンプ
ル点振幅値を対数値としては2na倍あるいは2nb倍す
る。これにより、後段で真数に変換したときには、図6
(b)に示すように、サイン自乗関数の2na乗あるいは
nb乗の波形が得られることになる。
【0012】q1,q2がクロック周期1/fc ごとに
1ずつ歩進する場合に、図6(b)に示した窓関数を数
式で表現すると、窓関数の前半周期においては、{si
2((1/2)Kafc t)}の2na乗として表さ
れ、後半周期においては、{sin2 (π/2+(1/
2)Kbfc (t−π/(Kafc ))}の2nb乗とし
て表される。そして、前半周期の時間は、π/(Kaf
c )、後半周期に時間はπ/(Kbfc )となる。ここ
で、シフト値naとnbとを異なる値にすると、前半周
期と後半周期の波形形状を異ならせることができる。な
お、サイン自乗テーブル37を正弦波の正の半波を出力
するテーブルに代えてもよい。ビットシフタ39におい
て、1回余分にシフトすればサイン自乗テーブル37の
場合と同様となる。また、この場合、ビットシフタ39
の代わりに乗算器を用いてテーブルの出力に所定の数値
を乗算するような構成にすれば、後段で真数に変換した
ときに任意の羃の指数を有する窓関数波形となる。
【0013】このようにしてサイン関数の羃で表される
波形の信号が発生される。このとき羃の指数は、2×2
na=2na+1および2×2nb=2nb+1となる。この信号
は、加算部40の一方の入力端子に入力され、加算部4
0の他方の入力端子には、上述した正弦波テーブル34
から発生されたフォルマント中心周波数の周期信号が入
力されているので、加算部40からは、これら両入力信
号を加算した信号が出力されるようになる。エンベロー
プジェネレータ(EG)42は、キーオン信号(KO
N)がONとなると立上り、キーオン信号(KON)が
OFFとなると立ち下がるようなエンベロープ波形を発
生するものであって、エンベロープパラメータ(EGP
AR)によりエンベロープ形状が指定され、エンベロー
プレベルパラメータ(ELEVEL)によりエンベロー
プの全体レベル(強度)が指定される。
【0014】加算部40の出力は、さらに加算部42の
一方の入力とされて、対数値データとされたエンベロー
プ波形(log ENV)と加算される。そして、加算
部42の出力を対数/真数変換部43に入力すると、加
算された対数データが真数値に変換される。その結果、
フォルマント中心周波数の周期波形に、音高周期で繰り
返すサイン関数の羃で表される窓関数波形とエンベロー
プ波形とを乗算した信号が対数/真数変換部43から出
力される。
【0015】図8は、複数の楽音発生部の結合状態の説
明図である。図中、51〜53は第1〜第3の楽音発生
部、54は加算部である。第1〜第3の楽音発生部51
〜53は、図7を参照して例示したように、それぞれ、
音高情報値pitch,キーオンパルスKONP,キー
オン信号KON,前半周期用バンド幅Kai ,後半周期
用バンド幅Kbi ,前半周期用シフト値nai ,後半周
期用シフト値nbi ,フォルマント中心周波数情報値F
i ,エンベロープレベルパラメータFLEBELi
エンベロープパラメータEGPARi を入力し、フォル
マント波形をディジタル信号形式で出力する。ここで、
パラメータに付された添字iは、第1〜第3の楽音発生
部(TGi )11〜13のそれぞれのパラメータである
ことを表す。
【0016】各出力は、加算部54において加算され、
図示しないD/A変換器に入力されてアナログ波形に変
換され、フォルマント方式で合成された楽音が出力され
る。自然楽器の音には、複数のフォルマント中心周波数
を同時に持つ場合が多いことに呼応して、並列に配列さ
れた複数の楽音発生部(TG1〜TG3)51〜53
は、それぞれ異なるフォルマント中心周波数のフォルマ
ント波形を発生するようになっている。楽音発生部(T
G1〜TG3)51〜53は、装置の規模に応じて適宜
の個数が設けられるが、主要なフォルマント波形のみを
生成するのであれば1個で済ますことも可能である。ま
た、時分割多重化によって複数化を図ってもよい。
【0017】なお、音高周期が短く窓関数の時間幅より
も短くなる場合には、従来技術として上述した特許第2
5040172号公報等に説明されているように、1つ
のフォルマント波形を合成するのに複数系統の楽音発生
部を必要とするので、楽音発生部の個数が決まっている
場合には、同時発生できる異なるフォルマント中心周波
数のフォルマント波形の数が少なくなる。
【0018】図9は、フォルマント波形の周波数スペク
トルの模式的説明図である。図6(c)に示したフォル
マント波形の周波数スペクトルであるフォルマントは、
フォルマント中心周波数のフォルマント峰を中心として
左右にスカート部を有するものとなる。図示の周波数ス
ペクトルは簡略記載してスペクトルエンベロープを模式
的に示しているが、実際のフォルマント波形の周波数ス
ペクトルは、従来技術として上述した特許第25040
172号公報の第10図に記載のように、細かなピーク
やディップを有するものとなっている。
【0019】フォルマント音としては、自然楽器のピア
ノの箱鳴り成分のように、鍵盤で指定された音高周期が
変化してもフォルマント周波数があまり変化しない固定
フォルマント波形がある。この場合は特に問題はない
が、ピアノの弦そのものの振動音のように、音高に応じ
てフォルマント周波数が移動する場合がある。このよう
にフォルマント周波数が移動するような自然楽器の特徴
を有する楽音を合成するには、音高周期によりフォルマ
ント中心周波数を移動制御させる必要がある。また、演
奏者が音色設定操作子等で、フォルマント中心周波数を
意識的に自由に移動させたい場合もある。
【0020】ところが、フォルマント中心周波数を高域
に移動制御しようとすると、フォルマント波形の周波数
スペクトルのスカート部の高域側に、図7にハッチング
を付して示したように、ナイキスト周波数(サンプリン
グ周波数fs の半分、fs /2)を超える部分が生じ
る。そのため、ディジタルアナログ変換する際に、この
部分がナイキスト周波数内に折り返ってノイズ化すると
いう問題が生じる。この折り返しノイズの発生は、合成
された楽音の音色の質感を損なう。
【0021】そこで、フォルマント中心周波数を高域に
移動させる範囲を見込み、フォルマント波形の周波数ス
ペクトルの広がりを前もって小さくしておけば、フォル
マント中心周波数が高域に移動しても折り返しが生じな
い。しかし、そうすると、フォルマント中心周波数が低
い場合にもフォルマントの広がりが抑制されてしまう。
【0022】別の方法として、フォルマント中心周波数
が高域に移動したフォルマント波形をディジタル的に合
成した後に、低域通過特性を有するディジタルフィルタ
を用いてナイキスト周波数を超える高域スペクトル成分
をカットし、その後にD/A変換をする方法がある。し
かし、ディジタルフィルタの通過帯域特性が必ずしも理
想的ではないのでフォルマント波形の音色が変化してし
まい、フォルマントの中心周波数の移動が不自然になる
という問題がある。また、ディジタルフィルタを構成す
るための回路規模、あるいはこれをディジタル信号処理
プロセッサ(DSP)等を用いてプログラムで実現する
場合にも、ソフトウエア規模が大きくなるというコスト
上の問題もある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたもので、フォルマント中
心周波数を移動させる場合に、音色を大きく変化させる
ことなく折り返しノイズ成分の発生を抑制する楽音合成
装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体を
提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項に記載の発明に
おいては、合成すべきフォルマント音のフォルマント
心周波数に等しい周波数を有する周期波形と、前記フォ
ルマント音の音高周期ごとに発生される窓関数波形とを
乗算することにより、前記フォルマント音を合成する楽
音合成装置であって、前記窓関数波形の時間幅、前記窓
関数波形の前半周期における形状、前記窓関数波形の後
半周期における形状を決定するパラメータの少なくと
も1つを前記フォルマント音のフォルマント中心周波数
の移動に応じて制御することにより、前記フォルマント
音のスペクトルの高域成分を制限する手段を有するもの
である。したがって、フォルマント音の中心周波数を移
動させる場合に、フォルマント音の合成と同時に簡単な
構成で折り返しノイズ成分を抑制することができ、ま
た、その際に音色変化を少なくすることができる。
【0025】請求項2に記載の発明においては、フォル
マント音の中心周波数に等しい周波数を有する周期波形
と前記フォルマント音の音高周期ごとに発生し所定の関
数の羃で表される窓関数波形とを乗算することにより前
記フォルマント音をディジタル的に合成する楽音合成装
置であって、前記窓関数波形の時間幅を決定するパラメ
ータおよび前記羃の指数を決定するパラメータの少なく
とも1つを前記フォルマント音の中心周波数の移動に応
じて制御することにより、前記フォルマント音のスペク
トルの高域成分を制限する手段を有するものである。し
たがって、容易にフォルマント音の合成ができるととも
に、フォルマント音の中心周波数を移動させる場合に、
フォルマント音の合成と同時に簡単な構成で折り返しノ
イズ成分を抑制することができ、また、その際に音色変
化を少なくすることができる。
【0026】請求項に記載の発明においては、合成す
べきフォルマント音のフォルマント中心周波数に等しい
周波数を有する周期波形と、前記フォルマント音の音高
周期ごとに発生される窓関数波形とを乗算することによ
り、前記フォルマント音を合成する処理をコンピュータ
に実行させるための楽音合成プログラムが記録された記
録媒体であって、前記窓関数波形の時間幅、前記窓関数
波形の前半周期における形状、前記窓関数波形の後半周
期における形状を決定するパラメータの少なくとも1
つを前記フォルマント音のフォルマント中心周波数の移
動に応じて制御することにより、前記フォルマント音の
スペクトルの高域成分を制限する処理を前記コンピュー
タに実行させることを特徴とするものである。したがっ
て、フォルマント音の中心周波数を移動させる場合に、
フォルマント音の合成と同時に簡単な構成で折り返しノ
イズ成分を抑制することができ、また、その際に音色変
化を少なくすることができる楽音合成プログラムを提供
することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の楽音合成装置の
実施の一形態に用いるパラメータ変換部のブロック構成
図である。1はフォルマント周波数特性関連パラメータ
変換部、2は演算部、3はフォルマント特性制御部、4
はバンド幅変換部、5はシフト値変換部である。フォル
マント周波数特性関連パラメータ変換部1は、図8に示
した第1〜第3の楽音発生部51〜53のそれぞれに対
して1つずつ設けられる。本発明の実施の一形態の楽音
合成装置は、フォルマント中心周波数を移動させる場合
に、フォルマント波形の合成と同時に、フォルマント波
形の楽音を合成するパラメータの値を変更制御すること
によって、折り返しノイズ成分を発生させないか、その
発生がわずかになるようにして、実質的に折り返しノイ
ズ成分を少なくしたものである。
【0028】より具体的に構成を説明すると、フォルマ
ント周波数特性関連パラメータ変換部1においては、フ
ォルマント中心周波数の移動に応じ、フォルマントの形
状を決定するフォルマント形状決定パラメータの値を制
御して、周波数スペクトルの広がりを制限することによ
り、ナイキスト周波数を超える成分を制限する。その結
果、後段でディジタルアナログ変換したときに折り返し
成分が発生しない。すなわち、フォルマント中心周波数
が高域に移動するのに応じ、フォルマントのバンド幅お
よびまたはスカート特性を縮狭化するように、パラメー
タの値を制限あるいはスケーリングして、周波数スペク
トルの広がりを制限している。フォルマント音を合成す
る際のパラメータの値を変更制御しているため、フィル
ターで高域の成分を阻止する場合に比べて、変更制御に
伴うフォルマント音の音色の変化を少なくすることがで
きる。
【0029】フォルマント周波数特性関連パラメータ変
換部(FFCPCONV)1は、フォルマント中心周波
数設定情報値FFREQi ,音高情報値pitch,フ
ォルマント波形の共振峰のバンド幅設定値FBWi ,フ
ォルマント波形のスカート特性設定値FSKRTi ,フ
ォルマント波形の制限設定値FLMTi ,パラメータ変
換機能実行フラグONi を入力する。ここで、音高情報
値pitchは、図8に示した第1〜第3の楽音発生部
51〜53に共通であり、鍵盤等の音高指定用演奏操作
子によって指定される。フォルマント特性に関わる他の
設定パラメータおよびフラグは、操作子により設定され
た音色毎に供給され、第1〜第3の楽音発生部51〜5
3に独立して与えられる。これらの設定パラメータを時
間経過や楽曲の進行に応じて変化させる場合もある。ま
た、効果制御用操作子の操作量に応じて設定制御する場
合や、後述する外部インターフェース21を介して外部
の装置からMIDIデータ等によって設定制御する場合
もある。
【0030】フォルマント周波数特性関連パラメータ変
換部(FFCPCONV)1は、フォルマント中心周波
数情報値FFi ,前半周期用バンド幅Kai ,後半周期
用バンド幅Kbi ,前半周期用シフト値nai ,後半周
期用シフト値nbi の各フォルマント形成用パラメータ
を、図8に示した第1〜第3の楽音発生部51〜53、
すなわち、図7に示した楽音発生部に出力する。
【0031】演算部2は、フォルマント中心周波数設定
情報値FFREQi ,音高情報値pitchを入力し、
音高周期に応じて移動制御されるフォルマント中心周波
数情報値FFi を出力する。例えば、音高周期に比例し
てフォルマント中心周波数を移動させる場合には、基準
の音高においてフォルマント中心周波数設定情報値FF
REQi の値がフォルマント中心周波数情報値FFi
値になるようにしておく。音高が変化したときには、基
準の音高における音高情報値pitchに対する入力さ
れた音高情報値pitchの比に応じてフォルマント中
心周波数情報値FFi を決定する。また、フォルマント
中心周波数情報値FFi は、効果制御用操作子などによ
ってフォルマント中心周波数設定情報値FFREQi
変化させことによっても移動制御される。なお、図示の
例では、演算部2の演算式を固定しているが、設定され
た音色によって演算式を変えることにより、音色によっ
てフォルマント中心周波数と音高周期との相関関係を変
えるようにすることもできる。
【0032】フォルマント波形のバンド幅設定値FBW
i ,スカート特性設定値FSKRTi ,制限設定値FL
MTi の各設定パラメータは、フォルマント波形の周波
数スペクトルの基準形状を決定するものである。図9に
示したフォルマント波形の周波数スペクトルにおいて、
バンド幅設定値FBWi は、フォルマント峰の標準バン
ド幅を指定するパラメータであり、100段階程度に幅
を変化させる。一方、スカート特性設定値FSKRTi
は、スカート部の標準特性を指定するパラメータであ
り、8段階程度に変化させる。制限設定値FLMT
i は、フォルマント中心周波数の高域移動に応じて周波
数スペクトルの形状の広がりの制御量を指定するパラメ
ータであり、これも8段階程度に変化させる。
【0033】図示の例では、まず、フォルマント特性制
御部(FCONT)3において、フォルマント中心周波
数情報値FFi および各種の設定パラメータを演算す
る。この演算結果をアドレスとして、バンド幅変換部4
およびシフト値変換部5からなる変換テーブルを参照す
ることによりフォルマント形状を決定する所望のパラメ
ータの値を出力する。パラメータ変換実行フラグONi
は、フォルマントの移動制御の実行を指示するフラグで
あり、フォルマント特性制御部(FCONT)3は、こ
のフラグがONのときに、各設定パラメータの値と、フ
ォルマント中心周波数情報値FFi の値に応じて、第
1,第2のアドレスKad,nadを出力する。
【0034】第1のアドレスKadはバンド幅変換部4
のアドレスとなり、第2のアドレスnadはシフト値変
換部5のアドレスとなる。バンド幅変換部4は、第1の
アドレスKadを入力し、前半周期用および後半周期用
のバンド幅Kai ,Kbi を出力する。シフト値変換部
5は、第2のアドレスnadを入力し、前半周期用およ
び後半周期用のシフト値nai ,nbi を出力する。
【0035】一方、パラメータ変換実行フラグONi
OFFのときには、 バンド幅設定値FBWi ,スカー
ト特性設定値FSKRTi の値から直接的に、前半周期
用バンド幅Kai 等の各フォルマント形状決定パラメー
タを出力する。このとき、窓関数波形は、フォルマント
中心周波数情報値FFi や制限設定値FLMTi によっ
て変化することのない標準の形状となる。
【0036】あるいは、パラメータ変換実行フラグON
i がOFFのときにも、ONの時と同様に動作させても
よい。この場合、制限設定値FLMTi の値を所定の値
になるようにし、このとき、バンド幅変換部4,シフト
値変換部5から読み出される各フォルマント形状決定パ
ラメータが、フォルマント中心周波数情報値FFi の値
によって変化しないように、バンド幅変換部4,シフト
値変換部5の変換テーブルを設計しておけばよい。した
がって、パラメータ変換実行フラグONi を設けない
で、制限設定値FLMTi の値を所定の値に設定したと
きに、実質的にパラメータ変換を実行しないように機能
させることもできる。
【0037】なお、パラメータ変換実行フラグONi
設けたものにおいて、パラメータ変換実行フラグONi
がOFFであるときには、各フォルマント形状決定パラ
メータが、フォルマント中心周波数情報値FFi の値に
よっては変化しないが、制限設定値FLMTi の値に応
じて変化するように機能させることもできる。
【0038】図2は、本発明の楽音合成装置の実施の一
形態におけるシステム構成図である。図中、11はバス
ライン、12はCPU、13はRAM、14はROM、
15はディスプレイおよび設定操作子、16は音源部、
17はディジタルアナログ変換部、18はタイマー、1
9は演奏操作子、20はメモリーデバイス、21は外部
インターフェース、22はサウンドシステムである。
【0039】バスライン11には、CPU12等の複数
のブロックが並列接続されている。RAM13には、C
PU12のワーキングエリア等が設けられる。CPU1
2は、ROM14に記憶されたプログラムをRAM13
にロードして、楽音合成プログラムや、操作子情報の入
力,ディスプレイへの画像表示といった入出力処理プロ
グラムを実行する。ディスプレイおよび設定操作子15
は、各種の操作子により設定されたパラメータの値等を
表示するディスプレイと、音色等のパラメータを設定す
る設定操作子などからなる。この設定操作子には、押ボ
タンスイッチタイプやアナログ電圧を発生するボリュー
ムタイプのものがある。後者の場合は、アナログマルチ
プレクサを介して図示しないA/D変換器に接続され、
ディジタルデータに変換されてバスライン11に供給さ
れる。
【0040】音源部16は、バスライン11からパラメ
ータを入力してフォルマント合成方式によりディジタル
的に楽音信号を生成し、ディジタルアナログ変換部(D
AC)17は、この楽音信号をアナログ値に変換する。
ディジタルアナログ変換部(DAC)17もバスライン
11に直接的に接続されて、CPU12によりミキシン
グ処理などが行われる場合もある。また、CPU12が
楽音波形発生処理を兼ねる場合には、音源部16の省略
が可能である。その場合、ディジタルアナログ変換部
(DAC)17は、CPU12からバスライン11経由
で楽音波形を受け取る。
【0041】CPU12にはプログラムを実行する際に
用いるタイマー18を含む場合もある。演奏操作子19
は、鍵盤やピッチベンドホイール、モジュレーションホ
イール等であるが、楽音合成装置としては必ずしも必須
ではない。メモリーデバイス20として、FDD,HD
D,MODやCD−ROM,CD−R,CD−RW,D
VDの記録再生装置などをを設ける場合もある。これら
の記録媒体には、音色データや曲データ等が記憶され、
書き込みおよびまたは読み出しが可能である。音源部1
6で合成された楽音信号をディジタルアナログ変換部1
7を通さずにそのままこれらの記録媒体に記録するよう
にすることもできる。この場合、再生時にディジタルア
ナログ変換部17に出力する。これらの記録媒体に楽音
合成プログラムを蓄積しておき、RAM13にロードし
て実行させることもできる。
【0042】外部インターフェース21としては、例え
ば、MIDIインターフェースがあり、外部のMIDI
機器に接続される。イーサネットインターフェースの場
合には、LANを介しパーソナルコンピュータに接続さ
れ、RS−232Cインターフェースの場合には、パー
ソナルコンピュータあるいはモデムに接続される。モデ
ム接続専用のインターフェースを有する場合もある。こ
のほか、複数個のマルチメディア関連機器を相互に結合
するのに適したIEEE1394のネットワークインタ
フェースを備える場合もある。サウンドシステム22
は、ディジタルアナログ変換部(DAC)17の出力を
入力するオーディオアンプやスピーカ等であり、装置に
対して外付けされる場合もある。
【0043】上述したシステム構成において、フォルマ
ント波形の設定パラメータ等を含む音色データライブラ
リは、ROM14、メモリーデバイス20、あるいは外
部インターフェース21の先に接続された、ネットワー
ク上のホストコンピュータ、サーバ、あるいは、任意の
端末の記録媒体に置くことができる。楽音合成プログラ
ムもまた、ROM14に限らず、メモリーデバイス2
0、あるいは外部インターフェース21の先に接続され
た、上述した装置の記録媒体に蓄積しておいて実行させ
てもよい。
【0044】多様なフォルマント音を合成する目的で上
述したフォルマント波形のスペクトル形状を制御しよう
とする場合、従来より、図6(b)に示した窓関数の前
半周期用および後半周期用バンド幅Ka,Kb,前半周
期用および後半周期用シフト値na,nbの値を変更す
ることが行われている。
【0045】前半周期用および後半周期用のバンド幅K
a,Kbの値を小さくすると、図6(b)の窓関数の幅
が長くなり、図9においては、フォルマントのバンド幅
が狭くなるとともに、スカート部の広がりも多少短くな
る。このような傾向は、従来来技術として示した特許第
2504172号公報の、第18図〜第21図に示され
た実験例からも定性的に把握することができる。一方、
前半周期用および後半周期用シフト値na,nbの値を
大きくすると、図6(b)の窓関数の立上り立下りの変
化が急峻になり、図9においては、フォルマントのスカ
ート部が短くなり、バンド幅は多少増減する。このよう
な傾向は、従来来技術として示した特許第250417
2号公報の、第22図〜第25図に示された実験例から
も定性的に把握することができる。
【0046】図3は、本発明の楽音合成装置の実施の一
形態におけるフォルマント形状決定パラメータの変化特
性を説明する第1の線図である。横軸はフォルマント中
心周波数情報値FFであり、縦軸は前半周期用および後
半周期用バンド幅Ka,Kbである。フォルマント中心
周波数情報値FFは、最大fmax まで移動するものとす
る。前半周期用および後半周期用バンド幅Ka,Kb
は、独立して制御が可能であるが、ここでは説明を簡単
にするために、フォルマント中心周波数情報値FFに応
じて同様に変化する場合について説明する。さらに、図
を見やすくするため、各バンド幅の値が等しいものとし
て図示している。
【0047】フォルマント音の周波数スペクトルを広く
しておいても、フォルマント中心周波数(フォルマント
中心周波数情報値FF)が高くなるにつれて、周波数ス
ペクトルの広がりを狭くすることによって、ナイキスト
周波数を超える高域のスペクトル成分を制限することが
できる。その結果、ディジタルアナログ変換する際に発
生する折り返し成分をなくしたり、あるいは、減らすこ
とができる。周波数スペクトルの広がりを狭くするため
に、図示の例では、フォルマント中心周波数情報値FF
が大きくなるにつれて、前半周期用および後半周期用バ
ンド幅Ka,Kbが徐々に小さくなるように制御してい
る。
【0048】前半周期用および後半周期用バンド幅K
a,Kbのパラメータの値は、フォルマント音の音色を
変えるために、共振峰のバンド幅設定値FBWに応じて
決めている。そして、フォルマント中心周波数(フォル
マント中心周波数情報値FF)が高くなるにつれて、前
半周期用および後半周期用バンド幅Ka,Kbを小さく
するが、その制御量を制限設定値FLMTに応じて変え
ている。なお、フォルマント中心周波数(フォルマント
中心周波数情報値FF)に応じてパラメータ値の変更を
行わないOFFの場合も示している。フォルマント中心
周波数情報値FFが最大fmax に近くなるほど急峻に減
少させているが、変化のカーブは任意に設定することが
でき、制限設定値FLMTに応じて決められたfmax
前の変曲点で急速に減少するようにしてもよい。
【0049】図4は、本発明の楽音合成装置の実施の一
形態におけるフォルマント形状決定パラメータの変化特
性を説明する第2の線図である。横軸はフォルマント中
心周波数情報値FFであり、縦軸は前半周期用および後
半周期用シフト値na,nbである。各シフト値は、独
立して制御が可能であるが、ここでも説明を簡単にする
ために両者の値が等しい場合について説明する。
【0050】図示の例では、周波数スペクトルの広がり
を制限するために、フォルマント中心周波数(フォルマ
ント中心周波数情報値FF)が高くなるにつれて、前半
周期用および後半周期用シフト値na,nbが大きくな
るように制御している。前半周期用および後半周期用シ
フト値na,nbは、フォルマント音の音色を変えるた
めに、スカート特性設定値FSKRTに応じてパラメー
タの値を決めている。そして、フォルマント中心周波数
(フォルマント中心周波数情報値FF)が高くなるにつ
れて、前半周期用および後半周期用シフト値na,nb
を大きくするが、その制御量を制限設定値FLMTに応
じて変えている。フォルマント中心周波数情報値FFが
最大fmax になるほど急峻に増加させているが、変化の
カーブは任意に設定でき、制限設定値FLMTに応じた
max 以前の変曲点で急速に増加するようにしてもよ
い。なお、フォルマント中心周波数に応じてパラメータ
値の変更を行わないOFFの場合も図示している。
【0051】図5は、本発明の楽音合成装置の実施の一
形態におけるフォルマント形状決定パラメータの変化特
性を説明する第3の線図である。横軸はフォルマント中
心周波数情報値FFであり、縦軸は前半周期用および後
半周期用バンド幅Ka,Kbである。各バンド幅が等し
い場合について説明する。図3に示したフォルマント形
状決定パラメータの変化特性に比べ、この図では、フォ
ルマント中心周波数(フォルマント中心周波数情報値F
F)が高域に移動する場合に、ブレークポイントbrk
を超えると、任意の減少特性で前半周期用および後半周
期用バンド幅Ka,Kbが小さくなるように制御し、フ
ォルマント音の周波数スペクトルの広がりを制限してい
る。この図でも、フォルマント音の音色を変えるため
に、共振峰のバンド幅設定値FBWに応じてパラメータ
の値を決め、制限設定値FLMTの値に応じて増加特性
が決まるようにしている。
【0052】ブレークポイントbrkを超える減少特性
は、直線的な場合に限らず、図中、一点鎖線で示したよ
うに、上に凸または下に凸となる曲線状の変化カーブを
与えるようにしてもよく、制限設定値FLMTの値に応
じて変化カーブを決めることができる。前半周期用およ
び後半周期用シフト値na,nbについても同様の特性
を与えることができるが説明は省略する。
【0053】再び、図1に戻って説明する。図示のフォ
ルマント周波数特性関連パラメータ変換部1において
は、設定パラメータから実際の窓関数の形状を特徴づけ
るパラーメータへの変換を任意に行うことができるが、
その具体例を説明する。フォルマント波形の周波数スペ
クトルがどこまで延びるかは共振峰のバンド幅とスカー
ト特性の双方で決まることから、第1の具体例において
は、図3および図4に示した特性を合わせ持つような変
換を行う。もちろん、図3または図4に示した特性のい
ずれか一方の特性の変換を行ってもよいし、図3に代え
て、図5に示した特性になるようにしてもよい。いずれ
にしても、フォルマント中心周波数の移動に応じ、スペ
クトルの広がりを制限することができればよい。
【0054】フォルマント特性制御部(FCONT)3
において、例えば、共振峰のバンド幅設定値FBWとフ
ォルマント中心周波数情報値FFとを演算し、この演算
結果の値に制限設定値FLMTの値の所定数倍を加算す
ることにより、演算結果の値が制限設定値FLMTの値
ごとに全く異なるアドレスに変換されるようにする。こ
のようにして、第1のアドレスKadを求め、バンド幅
変換部4の変換テーブルにより前半周期用および後半周
期用バンド幅Ka,Kbを出力する。言い換えれば、制
限設定値FLMTの値ごとに、前半周期用および後半周
期用バンド幅Ka,Kbを読み出す変換テーブルを備え
るのと同じである。
【0055】また、同様に、スカート特性設定値FSK
RTとフォルマント中心周波数情報値FFとを演算し、
この演算結果の値が制限設定値FLMTの値ごとに全く
異なるアドレスに変換されるようにして第2のアドレス
nadを求める。そして、シフト値変換部5により前半
周期用および後半周期用シフト値na,nbを出力す
る。なお、制限設定値FLMTのビット数(制御量の段
階)を、第1のアドレスKadを演算する場合と、第2
のアドレスnadを演算する場合とで異ならせてもよ
い。
【0056】第1のアドレスKadをフォルマント中心
周波数情報値FFに応じて図3に示した前半周期用およ
び後半周期用バンド幅Ka,Kbと同様な変化をさせた
場合、バンド幅変換部4の変換テーブルに記憶する前半
周期用および後半周期用バンド幅Ka,Kbは、アドレ
スの減少に比例して値が減少するものとなる。同様に、
第2のアドレスnadを図4に示した前半周期用および
後半周期用シフト値na,nbと同様な変化をさせた場
合、シフト値変換部5の変換テーブルに記憶された前半
周期用および後半周期用シフト値na,nbは、アドレ
スの増加に比例して値が増加するものとなる。
【0057】なお、上述した説明では、フォルマント中
心周波数(フォルマント中心周波数情報値FF)が高域
に移動するにつれて、前半周期用および後半周期用バン
ド幅Ka,Kbを減少させ、前半周期用および後半周期
用シフト値na,nbを増加させた。しかし、総合的に
フォルマント波形の周波数スペクトルの広がりを制限す
ることができれば、フォルマント中心周波数が高域に移
動するにつれて、一方が逆の増減傾向を、常にあるいは
一時的に有していてもよい。
【0058】上述した第1の具体例では、共振峰のバン
ド幅設定値FBWを前半周期用および後半周期用バンド
幅Ka,Kbに関連づけ、スカート特性設定値FSKR
Tを前半周期用および後半周期用シフト値na,nbに
関連づけた。しかし、前半周期用および後半周期用バン
ド幅Ka,Kbはスカート特性に影響を与えるととも
に、前半周期用および後半周期用シフト値na,nbも
共振峰のバンド幅に影響を与える。したがって、第2の
具体例としては、第1のアドレスKadの決定に際して
も、スカート特性設定値FSKRTを演算に導入し、第
2のアドレスnadの決定に際しても共振峰のバンド幅
設定値FBWを演算に導入する。このようにして、フォ
ルマント中心周波数に応じて、きめ細かに周波数スペク
トルの広がりを狭くすることができる。
【0059】上述した説明では、窓関数の前半周期と後
半周期のフォルマント形状決定パラメータの値を同時か
つ比例的に変更したが、図1に示した構成では、両者の
パラメータを独立して変更することも可能である。
【0060】上述した説明では、フォルマント特性制御
部3において演算を行った後、バンド幅変換部4,シフ
ト値変換部5において変換テーブルを参照することによ
って、フォルマント中心周波数に応じたフォルマント形
状決定パラメータの値を出力するようにした。その代わ
りに、変換テーブルと演算部の処理順序を入れ替えても
よい。例えば、フォルマント中心周波数情報値FFi
バンド幅設定値FBWi 、スカート特性設定値FSKR
i の値に基づいてアドレスを決定し、このアドレスに
より変換テーブルを参照して前半周期用および後半周期
用バンド幅Kai ,Kbi 、前半周期用および後半周期
用シフト値nai ,nbi の標準的な値を出力し、この
出力と制限設定値FLMTi の値を演算して最終的に前
半周期用および後半周期用バンド幅Kai ,Kbi 、前
半周期用および後半周期用シフト値nai ,nbi の値
を出力する。また、変換テーブルを省略し演算のみによ
りフォルマント形状を決定する各パラメータを出力した
り、逆に、演算を省略し変換テーブルのみによりフォル
マント形状を決定する各パラメータを出力することも可
能である。
【0061】上述した説明では、フォルマント波形の楽
音発生部として、図7に示したような、音高周期ごとに
発生されるサイン関数の羃で表される窓関数波形と音高
周期ごとに所定の初期位相から発生されるフォルマント
中心周波数対応の周期波形を乗ずる方式のものを示し
た。しかし、フォルマント波形を発生する楽音発生部で
あって、パラメータを用いて周波数スペクトルの広がり
を制限することができるものであれば、具体的な窓関数
や具体的な楽音発生部の構造に限定されるものではな
い。
【0062】また、自然楽器音の立ち上がり部分(アタ
ック部)を除いた部分のフォルマント音を合成する場合
に限らず、従来技術の説明において引用した特許第26
06006号公報に記載の技術のように、自然楽器音の
立ち上がり部分のフォルマント音を合成する場合におい
ても、同様に折り返しノイズの発生が問題となるときに
は、この問題を解決するために本発明を適用可能であ
る。すなわち、ノイズフォルマントの中心周波数を高域
へ移動させる場合に、ローパススペクトル特性を有する
ノイズ信号のスペクトルの広がりを制限するようにす
る。上述した説明では、楽音のフォルマントを対象に説
明したが、人声音の母音部分(または有声音部分)や、
子音部分(又は無声音部分)の合成においても、フォル
マントが移動する場合に、本発明の楽音合成装置を用い
て合成することにより同様の作用を奏することができ
る。
【0063】本発明の楽音合成装置は、専用のハードウ
エア構成上で実現することができる。また、ディジタル
アナログ変換部(DAC)が搭載され、コーデック(C
ODEC)ドライバがインストールされた汎用のパーソ
ナルコンピュータにおいて、オペレーティングシステム
(OS)の下で楽音合成プログラムが動作するようにし
て実現することもできる。
【0064】本発明の楽音合成装置を適用して好適な装
置としては、電子楽器,ゲーム機,カラオケ装置などの
アミューズメント機器、テレビジョンなどの各種家電機
器、パーソナルコンピュータに代表されるコンピュータ
装置およびコンピュータシステムがあり、これらの機器
の楽音発生部に用いることができる。
【0065】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、本発
明によれば、フォルマント中心周波数を移動させる場合
に、簡単な構成で折り返しノイズの発生を抑えることが
できるという効果がある。その結果、聴感上高品質を保
ちながらフォルマント中心周波数を移動させて自然楽器
に近い音色の楽音を発生させたり、自然楽器を超えた自
由な音色変化制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態に用い
るパラメータ変換部のブロック構成図である。
【図2】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態におけ
るシステム構成図である。
【図3】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態におけ
るフォルマント形状決定パラメータの変化特性を説明す
る第1の線図である。
【図4】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態におけ
るフォルマント形状決定パラメータの変化特性を説明す
る第2の線図である。
【図5】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態におけ
るフォルマント形状決定パラメータの変化特性を説明す
る第3の線図である。
【図6】 フォルマント方式により音を生成する原理を
示す波形図である。
【図7】 フォルマント方式による楽音発生部の1例を
示すブロック構成図である。
【図8】 複数の楽音発生部の結合状態の説明図であ
る。
【図9】 フォルマント波形の周波数スペクトルの模式
的説明図である。
【符号の説明】
1 フォルマント周波数特性関連パラメータ変換部、2
演算部、3 フォルマント特性制御部、4 バンド幅
変換部、5 シフト値変換部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成すべきフォルマント音のフォルマン
    中心周波数に等しい周波数を有する周期波形と、前記
    フォルマント音の音高周期ごとに発生される窓関数波形
    とを乗算することにより、前記フォルマント音を合成す
    る楽音合成装置であって、 前記窓関数波形の時間幅、前記窓関数波形の前半周期に
    おける形状、前記窓関数波形の後半周期における形状
    決定するパラメータの少なくとも1つを前記フォルマ
    ント音のフォルマント中心周波数の移動に応じて制御す
    ることにより、前記フォルマント音のスペクトルの高域
    成分を制限する手段を有することを特徴とする楽音合成
    装置。
  2. 【請求項2】 フォルマント音の中心周波数に等しい周
    波数を有する周期波形と前記フォルマント音の音高周期
    ごとに発生し所定の関数の羃で表される窓関数波形とを
    乗算することにより前記フォルマント音をディジタル的
    に合成する楽音合成装置であって、 前記窓関数波形の時間幅を決定するパラメータおよび前
    記羃の指数を決定するパラメータの少なくとも1つを前
    記フォルマント音の中心周波数の移動に応じて制御する
    ことにより、前記フォルマント音のスペクトルの高域成
    分を制限する手段を有することを特徴とする楽音合成装
    置。
  3. 【請求項3】 合成すべきフォルマント音のフォルマン
    中心周波数に等しい周波数を有する周期波形と、前記
    フォルマント音の音高周期ごとに発生される窓関数波形
    とを乗算することにより、前記フォルマント音を合成す
    処理をコンピュータに実行させるための楽音合成プロ
    グラムが記録された記録媒体であって、 前記窓関数波形の時間幅、前記窓関数波形の前半周期に
    おける形状、前記窓関数波形の後半周期における形状
    決定するパラメータの少なくとも1つを前記フォルマ
    ント音のフォルマント中心周波数の移動に応じて制御す
    ることにより、前記フォルマント音のスペクトルの高域
    成分を制限する処理を前記コンピュータに実行させる
    とを特徴とする楽音合成プログラムが記録された記録媒
    体。
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