JP2705063B2 - 楽音信号発生装置 - Google Patents
楽音信号発生装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
[発明の技術分野]
この発明は楽音信号を発生させる装置に関し、例えば
サンプリング楽器等における楽音発生技術に関する。 [発明の背景] 従来のサンプリング楽器にあっては、音響信号をA/D
変換器等によりサンプリングすることにより、デジタル
の波形データの形式に変換し、これをRAM等で構成され
る波形メモリに記憶する。そして、楽音発生回路(音
源)は、この波形メモリに記憶された波形データを直接
的に使用して楽音を再生している。すなわち、波形デー
タ(PCMデータ)のメモリが音源の要素となっている。 この種のサンプリング楽器の場合、折返しノイズ等の
除去のため、入力サンプリング周波数(録音のためのサ
ンプリング周波数)と出力サンプリング周波数(再生の
ためのサンプリング周波数)との一致が一般に要求され
る。サンプリング周波数を上げることなく、サンプリン
グ周波数の許容する最高周波数成分より高い成分(楽音
の周波数成分)を得る努力(例えば、飛びこし、補間の
技術のように、複雑な回路、制御技術を駆使することに
よる努力)もなされているが、いまだ満足のいくものは
現われていない。いずれも、H−F(忠実性)が非常に
悪化する。特に高音域では不自然さが目立ってくる。ま
た、分周技術上の制約などと関係して、ある音程の音色
がオリジナルピッチの音色(録音した音の音色)に比べ
て歪んでしまう。これも音質を低下させる。 これらの問題を軽減するために、マルチポイントでサ
ンプリングができるようにしたサンプリング楽器も知ら
れている。マルチポイントの1つの極限は、鍵盤のすべ
ての鍵の音高別に音をサンプリング録音することであ
る。この場合、鍵盤の鍵の総数に等しい倍数の記憶容量
(例えば、88鍵なら88倍の記憶容量)が必要となる。マ
ルチポイントの数だけ波形メモリの容量を大きくしなけ
ればならないということである。 さらに、音源の一部が波形データ(PCMデータ)とな
るサンプリング楽器の場合、加工性に問題がある。すな
わち、波形メモリから読み出した波形データを望み通り
に加工することは非常に困難であり、また、不完全な加
工を施す場合であっても、複雑な制御、回路構成を必要
とする。例えば、音色の変更機能、レスポンス機能、ル
ープ機能を付加する場合、この付加のために複雑な構成
を必要とするにもかかわらず満足のいく機能を実現でき
ない。 [発明の目的] したがって、この発明の目的は、少ない記憶容量であ
りながら、上記の音質の問題を改善した楽音信号発生装
置を提供することである。 [発明の要点] 複数の周波数成分からなる波形データの周波数スペク
トルを分析する周波数分析手段と、前記周波数分析手段
により分析された結果により特定の波形データの周波数
を基本周波数として決定する基本周波数決定手段と、前
記基本周波数より高い周波数の波形データの振幅を所定
の絶対的閾値と比較して、当該絶対的閾値より大きい振
幅の波形データを抽出する第1のデータ抽出手段と、全
区間の中から、前記第1のデータ抽出手段で抽出されな
かった波形データを除き、パワー及びピークの大きい波
形データを優先的に所定数に至るまで抽出する第2のデ
ータ抽出手段と、前記第2のデータ抽出手段により抽出
された所定数の波形データの各周波数に対応するエンベ
ロープデータを生成するエンベロープデータ生成手段
と、前記エンベロープデータに基づいて各周波数ごとに
振幅値を時間変化させて前記所定数の信号群を生成し、
当該信号群を合成して楽音信号を生成する楽音発生手段
と、を有することを要点とする。 [実施例] 以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明す
る。 第1図は本実施例に係るサンプリング楽器の全体構成
である。原音(例えば第3図参照)の信号はA/D変換器
1において対応するデジタルデータに変換され、波形メ
モリ2に記憶される。したがって、波形メモリ2には、
原音がデジダルの振幅データの列(波形データ)の形式
で記憶される。 記憶された原音の波形データは、CPU3により、区間ご
とに、FFTユニット4(DSP、すなわちデジタル信号プロ
セッサチップなどで構成される高速フーリエ変換器)に
転送される。FFTユニット4は、FFT演算を実行し、その
演算結果をCPU3へ送り返す。CPU3は転送されてきたデー
タを基に、各高調波成分の周波数比を決定するととも
に、各周波数のエンベロープを8ステップのエンベロー
プに近似する。データメモリ5はCPU3の処理プロセスに
おいて使用される。また、時間可変スペクトルデータの
形式で表現される各音色データのセットを記憶するメモ
リとしても利用できる。 要素6、7、8は正弦波合成タイプの音源である。発
生すべき音色を定義するデータはCPU3より正弦波発生器
コントローラ6を介して、正弦波発生用ワークメモリ7
に転送、設定される。 演奏の際、、キーボード12(演奏入力装置の例)より
押鍵データを受けると、CPU3は基本周波数に対応したキ
ーコード(音高指定情報の例)を生成し、正弦波発生器
コントローラ6に送出する。これを受けた正弦波発生器
コントローラ6は、正弦波発生器群に発音を指示し、各
正弦波発生器は割り当てられた周波数比を基に、基本周
波数に対する周波数の正弦波信号を発生するとともに、
割り当てられた近似エンベロープに従って、8ステップ
のエンベロープ信号を順次、発生し、このエンベロープ
信号で正弦波信号をエンベロープ制御する。エンベロー
プが付与された各正弦波信号は内部の累算器(図示せ
ず)において累算され、楽音信号となる。 正弦波発生器群8からの出力である楽音信号はD/A変
換器9において対応するアナログ信号に変換され、アン
プ10で増幅され、スピーカ11で音響信号に変換され、放
音となる。 なお、13はエディットモードで使用される音色変更等
のデータ入力装置であり、14はモニタリングなどのため
に使用されるスペクトルエンベロープ表示装置である。 時間可変スペクトルデータの抽出 次に、時間可変スペクトルデータの抽出について詳細
に説明する。 まず、FFTユニット4についてであるが、FFTユニット
4は本例では、1024ポイントの入力(データ区間の最大
長)をもち、512点のフーリエ級数を求める。さらにエ
リアシング(aliasing)の影響を除くために、高域の11
2点を捨て、400ラインの分解能で振幅データを出力する
(区間ごとに400個の周波数成分の各々の値を出力す
る)。最高10KHzの成分まで得ようとした場合、分解能
は10000Hz/400で25Hzである。したがって録音のための
サンプリング周波数、すなわちA/D変換器1におけるサ
ンプリング周波数は、 25Hz×(400+112)×2=25600Hzであり、ほぼ39μ
sのサンプリング周期になる。 CPU3はFFTユニット4の変換出力である25Hzおきの400
個の振幅データを連続して保持し、適当な選別論理に従
って、所望の成分を選別する。例えば、振幅がある程度
以上あり、最も低い周波数のものを基本周波数として、
周波数比=1とし、それより高い成分のものに比率を付
けていく。また、周波数比1.0以上のものでも、振幅が
ある程度以上を示さない成分は存在しないものとして、
もしくはノイズとみて省く。また、原音の波形データの
全区間について、フーリエ変換が完了した時点で、ある
成分のパワーが他の成分のパワーに比較して圧倒的に低
く、音質に影響を与えるようなピークが存在しなければ
その周波数成分もなかったものとし、最終的には正弦発
生器のセットが対応できる数になるまで周波数成分を削
りおとしていく。 第6図のS5〜S11は上で例示した抽出、選択の処理の
フローを示している。また、第4図はFFTユニット4の
変換例と、CPU3によるその後の選別をテーブルで例示し
たものである。この例では、75Hzの周波数成分は、ピー
クの条件は25(>20)であり満足しているが、最終パワ
ーが7で低いのでこれは存在しないとして除去される。
すべての条件を満足している100Hzが基音となってい
る。なお、第4図、第6図において、「ピーク」とは、
波形データの全区間におけるピークであり、「最終パワ
ー」は全区間についての平均的なパワーであり、「振
幅」は各区間(各ウィンドウ)における振幅である。 なお、上記の選別論理や基音の決定論理は一例にすぎ
ず他の方式が使用できる。 エンベロープ近似 選択された各高調波成分(基本波成分も含む)のエン
ベロープ(時間可変振幅データ)はCPU3により8ステッ
プの折線エンベロープに近似される(第6図、S12)。
近似前と近似後の例を第5図に示す。このエンベロープ
近似処理技術については、例えば、本件出願人に係る特
願昭61−264205号(昭和61年11月6日出願)に記載の技
術が使用できる。基本的には、8ステップであれば、8
つの折線(単調関数の波形)で最も良く元のエンベロー
プを近似するものを決めればよい。なお、CRTなどのモ
ニターに表示し、ユーザーサイドから適当に近そうなエ
ンベロープを入力するようにしてもよい。 エディット データメモリ5に記憶される各音色等のデータに対し
てはデータ入力装置13によりエディットを行うことがで
きる。ユーザーからのエディットの対象は、ここでは、 (イ)音色の変更 (ロ)レスポンスの有無、または、レスポンス特性の変
更 (ハ)キーフォローの有無、または、キーフォローの特
性変更 である。 装置側が実行する処理は、 (A)正弦波発生器の選択ないし更新 (B)エンベロープデータの変更または更新 (C)レスポンスデータの変更または更新 (D)キーフォローデータの変更または更新 である。 第6図のS13〜S22にその動作のフローを示してある。
それ自体で明らかな記述なので詳細な説明は省略する。 楽音発生 第2図に、第1図の正弦波発生器群8のうちの1つの
正弦波発生器を代表として示してある。「周波数Nω」
のうちNは周波数比であり、ωはキーボード12上の押鍵
に係る基本周波数である。8−1は正弦波発生要素であ
り、そのNωの入力に対し、sin(Nωt)の正弦波信
号を発生する。“E"は周波数比Nのエンベロープデータ
を表わし、“T"はレスポンスデータを表わし、“K"はキ
ーフォローデータを表わしている。エンベロープ変換器
8−2のこれら3つの入力E、T、KからC(t)で示
すエンベロープ波形信号を発生する。C(t)とsin
(Nωt)は乗算器8−3で乗算され、その結果は累算
器(Σ)へ送られる。“E"、“T"、“K"、“N"で示すデ
ータは正弦波発生用ワークメモリ7にある発生すべき楽
音のエキスとなるデータである。 すなわち、押鍵に起因する楽音の発生においては、正
弦波発生器コントローラ6はCPU3より送られてくる情報
(音高データ、タッチデータなど)から、各正弦波発生
器群8に与えるべき情報、すなわち、レスポンスデータ
の値T、キーフォローデータの値K、周波数比N、その
エンベロープEを正弦波発生用ワークメモリ7より取り
出し、関係する正弦波発生器群8に送出する。各正弦波
発生器では与えられた情報に従って、正弦波の波形デー
タ(周波数比で較正された周波数をもつ)、キーフォロ
ー、レスポンス、エンベロープを反映した波形データC
(t)を生成し、両者を乗算する。各正弦波発生器の出
力は累算器において累算され、最終的な楽音信号が形成
される。 このように、各正弦波発生器は所望の楽音の周波数成
分に1対1で対応づけられるようになっているため、音
域によって不自然な音色となる楽音は発生しない。さら
に、内部表現として、圧縮データ構造のエンベロープ、
キーフォロー、レスポンスの各関数を使用しており、こ
れらの関数の変更は容易であり、したがって、楽音の音
質の変更も容易である。すなわち、データの加工性がよ
い。 なお上記実施例では、正弦波発生器群8は複数の正弦
波発生器から成ると説明したが、「複数」の意味は機能
的に複数の場合を含み、ハード的な意味には限定されな
い。 また第6図のフローでは原音の入力終了後に、FFT処
理を行うようにしているが、FFTユニット4が十分高速
である場合には、バッファに入ったデータを適時FFTに
転送すればよく、原音すべての波形データを記憶するた
めの波形メモリ2は不要になる。 [発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明では、複数の
周波数成分からなる波形データの周波数スペクトルを分
析し、分析された結果により特定の波形データの周波数
を基本周波数として決定し、基本周波数より高い周波数
の波形データの振幅を所定の絶対的閾値と比較して、当
該絶対的閾値より大きい振幅の波形データを抽出し、全
区間の中から、当該抽出されなかった波形エータを除
き、パワー及びピークの大きい波形データを優先的に所
定数に至るまで抽出し、当該抽出された所定数の波形デ
ータの各周波数に対応するエンベロープデータを生成
し、当該エンベロープデータに基づいて各周波数ごとに
振幅値を時間変化させて所定数の信号群を生成し、当該
信号群を合成した楽音信号を生成する。 したがって、音域によらず所望の音色の楽音を容易に
得ることができ、音域による音質低下の問題を解決し、
音源データを記憶するメモリの容量を節約できる。
サンプリング楽器等における楽音発生技術に関する。 [発明の背景] 従来のサンプリング楽器にあっては、音響信号をA/D
変換器等によりサンプリングすることにより、デジタル
の波形データの形式に変換し、これをRAM等で構成され
る波形メモリに記憶する。そして、楽音発生回路(音
源)は、この波形メモリに記憶された波形データを直接
的に使用して楽音を再生している。すなわち、波形デー
タ(PCMデータ)のメモリが音源の要素となっている。 この種のサンプリング楽器の場合、折返しノイズ等の
除去のため、入力サンプリング周波数(録音のためのサ
ンプリング周波数)と出力サンプリング周波数(再生の
ためのサンプリング周波数)との一致が一般に要求され
る。サンプリング周波数を上げることなく、サンプリン
グ周波数の許容する最高周波数成分より高い成分(楽音
の周波数成分)を得る努力(例えば、飛びこし、補間の
技術のように、複雑な回路、制御技術を駆使することに
よる努力)もなされているが、いまだ満足のいくものは
現われていない。いずれも、H−F(忠実性)が非常に
悪化する。特に高音域では不自然さが目立ってくる。ま
た、分周技術上の制約などと関係して、ある音程の音色
がオリジナルピッチの音色(録音した音の音色)に比べ
て歪んでしまう。これも音質を低下させる。 これらの問題を軽減するために、マルチポイントでサ
ンプリングができるようにしたサンプリング楽器も知ら
れている。マルチポイントの1つの極限は、鍵盤のすべ
ての鍵の音高別に音をサンプリング録音することであ
る。この場合、鍵盤の鍵の総数に等しい倍数の記憶容量
(例えば、88鍵なら88倍の記憶容量)が必要となる。マ
ルチポイントの数だけ波形メモリの容量を大きくしなけ
ればならないということである。 さらに、音源の一部が波形データ(PCMデータ)とな
るサンプリング楽器の場合、加工性に問題がある。すな
わち、波形メモリから読み出した波形データを望み通り
に加工することは非常に困難であり、また、不完全な加
工を施す場合であっても、複雑な制御、回路構成を必要
とする。例えば、音色の変更機能、レスポンス機能、ル
ープ機能を付加する場合、この付加のために複雑な構成
を必要とするにもかかわらず満足のいく機能を実現でき
ない。 [発明の目的] したがって、この発明の目的は、少ない記憶容量であ
りながら、上記の音質の問題を改善した楽音信号発生装
置を提供することである。 [発明の要点] 複数の周波数成分からなる波形データの周波数スペク
トルを分析する周波数分析手段と、前記周波数分析手段
により分析された結果により特定の波形データの周波数
を基本周波数として決定する基本周波数決定手段と、前
記基本周波数より高い周波数の波形データの振幅を所定
の絶対的閾値と比較して、当該絶対的閾値より大きい振
幅の波形データを抽出する第1のデータ抽出手段と、全
区間の中から、前記第1のデータ抽出手段で抽出されな
かった波形データを除き、パワー及びピークの大きい波
形データを優先的に所定数に至るまで抽出する第2のデ
ータ抽出手段と、前記第2のデータ抽出手段により抽出
された所定数の波形データの各周波数に対応するエンベ
ロープデータを生成するエンベロープデータ生成手段
と、前記エンベロープデータに基づいて各周波数ごとに
振幅値を時間変化させて前記所定数の信号群を生成し、
当該信号群を合成して楽音信号を生成する楽音発生手段
と、を有することを要点とする。 [実施例] 以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明す
る。 第1図は本実施例に係るサンプリング楽器の全体構成
である。原音(例えば第3図参照)の信号はA/D変換器
1において対応するデジタルデータに変換され、波形メ
モリ2に記憶される。したがって、波形メモリ2には、
原音がデジダルの振幅データの列(波形データ)の形式
で記憶される。 記憶された原音の波形データは、CPU3により、区間ご
とに、FFTユニット4(DSP、すなわちデジタル信号プロ
セッサチップなどで構成される高速フーリエ変換器)に
転送される。FFTユニット4は、FFT演算を実行し、その
演算結果をCPU3へ送り返す。CPU3は転送されてきたデー
タを基に、各高調波成分の周波数比を決定するととも
に、各周波数のエンベロープを8ステップのエンベロー
プに近似する。データメモリ5はCPU3の処理プロセスに
おいて使用される。また、時間可変スペクトルデータの
形式で表現される各音色データのセットを記憶するメモ
リとしても利用できる。 要素6、7、8は正弦波合成タイプの音源である。発
生すべき音色を定義するデータはCPU3より正弦波発生器
コントローラ6を介して、正弦波発生用ワークメモリ7
に転送、設定される。 演奏の際、、キーボード12(演奏入力装置の例)より
押鍵データを受けると、CPU3は基本周波数に対応したキ
ーコード(音高指定情報の例)を生成し、正弦波発生器
コントローラ6に送出する。これを受けた正弦波発生器
コントローラ6は、正弦波発生器群に発音を指示し、各
正弦波発生器は割り当てられた周波数比を基に、基本周
波数に対する周波数の正弦波信号を発生するとともに、
割り当てられた近似エンベロープに従って、8ステップ
のエンベロープ信号を順次、発生し、このエンベロープ
信号で正弦波信号をエンベロープ制御する。エンベロー
プが付与された各正弦波信号は内部の累算器(図示せ
ず)において累算され、楽音信号となる。 正弦波発生器群8からの出力である楽音信号はD/A変
換器9において対応するアナログ信号に変換され、アン
プ10で増幅され、スピーカ11で音響信号に変換され、放
音となる。 なお、13はエディットモードで使用される音色変更等
のデータ入力装置であり、14はモニタリングなどのため
に使用されるスペクトルエンベロープ表示装置である。 時間可変スペクトルデータの抽出 次に、時間可変スペクトルデータの抽出について詳細
に説明する。 まず、FFTユニット4についてであるが、FFTユニット
4は本例では、1024ポイントの入力(データ区間の最大
長)をもち、512点のフーリエ級数を求める。さらにエ
リアシング(aliasing)の影響を除くために、高域の11
2点を捨て、400ラインの分解能で振幅データを出力する
(区間ごとに400個の周波数成分の各々の値を出力す
る)。最高10KHzの成分まで得ようとした場合、分解能
は10000Hz/400で25Hzである。したがって録音のための
サンプリング周波数、すなわちA/D変換器1におけるサ
ンプリング周波数は、 25Hz×(400+112)×2=25600Hzであり、ほぼ39μ
sのサンプリング周期になる。 CPU3はFFTユニット4の変換出力である25Hzおきの400
個の振幅データを連続して保持し、適当な選別論理に従
って、所望の成分を選別する。例えば、振幅がある程度
以上あり、最も低い周波数のものを基本周波数として、
周波数比=1とし、それより高い成分のものに比率を付
けていく。また、周波数比1.0以上のものでも、振幅が
ある程度以上を示さない成分は存在しないものとして、
もしくはノイズとみて省く。また、原音の波形データの
全区間について、フーリエ変換が完了した時点で、ある
成分のパワーが他の成分のパワーに比較して圧倒的に低
く、音質に影響を与えるようなピークが存在しなければ
その周波数成分もなかったものとし、最終的には正弦発
生器のセットが対応できる数になるまで周波数成分を削
りおとしていく。 第6図のS5〜S11は上で例示した抽出、選択の処理の
フローを示している。また、第4図はFFTユニット4の
変換例と、CPU3によるその後の選別をテーブルで例示し
たものである。この例では、75Hzの周波数成分は、ピー
クの条件は25(>20)であり満足しているが、最終パワ
ーが7で低いのでこれは存在しないとして除去される。
すべての条件を満足している100Hzが基音となってい
る。なお、第4図、第6図において、「ピーク」とは、
波形データの全区間におけるピークであり、「最終パワ
ー」は全区間についての平均的なパワーであり、「振
幅」は各区間(各ウィンドウ)における振幅である。 なお、上記の選別論理や基音の決定論理は一例にすぎ
ず他の方式が使用できる。 エンベロープ近似 選択された各高調波成分(基本波成分も含む)のエン
ベロープ(時間可変振幅データ)はCPU3により8ステッ
プの折線エンベロープに近似される(第6図、S12)。
近似前と近似後の例を第5図に示す。このエンベロープ
近似処理技術については、例えば、本件出願人に係る特
願昭61−264205号(昭和61年11月6日出願)に記載の技
術が使用できる。基本的には、8ステップであれば、8
つの折線(単調関数の波形)で最も良く元のエンベロー
プを近似するものを決めればよい。なお、CRTなどのモ
ニターに表示し、ユーザーサイドから適当に近そうなエ
ンベロープを入力するようにしてもよい。 エディット データメモリ5に記憶される各音色等のデータに対し
てはデータ入力装置13によりエディットを行うことがで
きる。ユーザーからのエディットの対象は、ここでは、 (イ)音色の変更 (ロ)レスポンスの有無、または、レスポンス特性の変
更 (ハ)キーフォローの有無、または、キーフォローの特
性変更 である。 装置側が実行する処理は、 (A)正弦波発生器の選択ないし更新 (B)エンベロープデータの変更または更新 (C)レスポンスデータの変更または更新 (D)キーフォローデータの変更または更新 である。 第6図のS13〜S22にその動作のフローを示してある。
それ自体で明らかな記述なので詳細な説明は省略する。 楽音発生 第2図に、第1図の正弦波発生器群8のうちの1つの
正弦波発生器を代表として示してある。「周波数Nω」
のうちNは周波数比であり、ωはキーボード12上の押鍵
に係る基本周波数である。8−1は正弦波発生要素であ
り、そのNωの入力に対し、sin(Nωt)の正弦波信
号を発生する。“E"は周波数比Nのエンベロープデータ
を表わし、“T"はレスポンスデータを表わし、“K"はキ
ーフォローデータを表わしている。エンベロープ変換器
8−2のこれら3つの入力E、T、KからC(t)で示
すエンベロープ波形信号を発生する。C(t)とsin
(Nωt)は乗算器8−3で乗算され、その結果は累算
器(Σ)へ送られる。“E"、“T"、“K"、“N"で示すデ
ータは正弦波発生用ワークメモリ7にある発生すべき楽
音のエキスとなるデータである。 すなわち、押鍵に起因する楽音の発生においては、正
弦波発生器コントローラ6はCPU3より送られてくる情報
(音高データ、タッチデータなど)から、各正弦波発生
器群8に与えるべき情報、すなわち、レスポンスデータ
の値T、キーフォローデータの値K、周波数比N、その
エンベロープEを正弦波発生用ワークメモリ7より取り
出し、関係する正弦波発生器群8に送出する。各正弦波
発生器では与えられた情報に従って、正弦波の波形デー
タ(周波数比で較正された周波数をもつ)、キーフォロ
ー、レスポンス、エンベロープを反映した波形データC
(t)を生成し、両者を乗算する。各正弦波発生器の出
力は累算器において累算され、最終的な楽音信号が形成
される。 このように、各正弦波発生器は所望の楽音の周波数成
分に1対1で対応づけられるようになっているため、音
域によって不自然な音色となる楽音は発生しない。さら
に、内部表現として、圧縮データ構造のエンベロープ、
キーフォロー、レスポンスの各関数を使用しており、こ
れらの関数の変更は容易であり、したがって、楽音の音
質の変更も容易である。すなわち、データの加工性がよ
い。 なお上記実施例では、正弦波発生器群8は複数の正弦
波発生器から成ると説明したが、「複数」の意味は機能
的に複数の場合を含み、ハード的な意味には限定されな
い。 また第6図のフローでは原音の入力終了後に、FFT処
理を行うようにしているが、FFTユニット4が十分高速
である場合には、バッファに入ったデータを適時FFTに
転送すればよく、原音すべての波形データを記憶するた
めの波形メモリ2は不要になる。 [発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明では、複数の
周波数成分からなる波形データの周波数スペクトルを分
析し、分析された結果により特定の波形データの周波数
を基本周波数として決定し、基本周波数より高い周波数
の波形データの振幅を所定の絶対的閾値と比較して、当
該絶対的閾値より大きい振幅の波形データを抽出し、全
区間の中から、当該抽出されなかった波形エータを除
き、パワー及びピークの大きい波形データを優先的に所
定数に至るまで抽出し、当該抽出された所定数の波形デ
ータの各周波数に対応するエンベロープデータを生成
し、当該エンベロープデータに基づいて各周波数ごとに
振幅値を時間変化させて所定数の信号群を生成し、当該
信号群を合成した楽音信号を生成する。 したがって、音域によらず所望の音色の楽音を容易に
得ることができ、音域による音質低下の問題を解決し、
音源データを記憶するメモリの容量を節約できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るサンプリング楽器の全
体構成図、第2図は第1図の正弦波発生器群8の1つの
正弦波発生器についての機能構成ブロック図、第3図は
原音の一例を示す波形図、第4図は高速フーリエ変換後
の周波数成分の選別の説明のために使用した図、第5図
はエンベロープ近似を説明するのに用いた図、第6図は
本実施例の動作を示すフローチャートである。 1……A/D変換器、3……CPU、4……FFTユニット、6
……正弦波発生器コントローラ、7……正弦波発生用ワ
ークメモリ、8……正弦波発生器群。
体構成図、第2図は第1図の正弦波発生器群8の1つの
正弦波発生器についての機能構成ブロック図、第3図は
原音の一例を示す波形図、第4図は高速フーリエ変換後
の周波数成分の選別の説明のために使用した図、第5図
はエンベロープ近似を説明するのに用いた図、第6図は
本実施例の動作を示すフローチャートである。 1……A/D変換器、3……CPU、4……FFTユニット、6
……正弦波発生器コントローラ、7……正弦波発生用ワ
ークメモリ、8……正弦波発生器群。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.複数の周波数成分からなる波形データの周波数スペ
クトルを分析する周波数分析手段と、 前記周波数分析手段により分析された結果により特定の
波形データの周波数を基本周波数として決定する基本周
波数決定手段と、 前記基本周波数より高い周波数の波形データの振幅を所
定の絶対的閾値と比較して、当該絶対的閾値より大きい
振幅の波形データを抽出する第1のデータ抽出手段と、 全区間の中から、前記第1のデータ抽出手段で抽出され
なかった波形データを除き、パワー及びピークの大きい
波形データを優先的に所定数に至るまで抽出する第2の
データ抽出手段と、 前記第2のデータ抽出手段により抽出された所定数の波
形データの各周波数に対応するエンベロープデータを生
成するエンベロープデータ生成手段と、 前記エンベロープデータに基づいて各周波数ごとに振幅
値を時間変化させて前記所定数の信号群を生成し、当該
信号群を合成して楽音信号を生成する楽音発生手段と、 を有することを特徴とする楽音信号発生装置。 2.前記基本周波数決定手段は、振幅が所定値以上の波
形データの周波数の中で最も低い周波数を前記基本周波
数として決定することを特徴とする特許請求の範囲第1
項記載の楽音信号発生装置。 3.前記楽音発生手段は、前記第2のデータ抽出手段に
より抽出された波形データの各周波数に対応する前記所
定数の正弦波信号を発生する信号発生手段と、当該発生
された各周波数の正弦波信号と前記各周波数に対応する
エンベロープデータとを乗算して前記所定数の信号群を
生成する乗算手段とを有することを特徴とする特許請求
の範囲1又は2記載の楽音信号発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62095444A JP2705063B2 (ja) | 1987-04-20 | 1987-04-20 | 楽音信号発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62095444A JP2705063B2 (ja) | 1987-04-20 | 1987-04-20 | 楽音信号発生装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63261398A JPS63261398A (ja) | 1988-10-28 |
JP2705063B2 true JP2705063B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=14137862
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62095444A Expired - Fee Related JP2705063B2 (ja) | 1987-04-20 | 1987-04-20 | 楽音信号発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2705063B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2751262B2 (ja) * | 1988-11-19 | 1998-05-18 | ソニー株式会社 | 信号記録方法及び装置 |
JP2768090B2 (ja) * | 1991-11-01 | 1998-06-25 | ヤマハ株式会社 | 音源装置 |
JP2023060744A (ja) * | 2021-10-18 | 2023-04-28 | ヤマハ株式会社 | 音響処理方法、音響処理システムおよびプログラム |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH079591B2 (ja) * | 1983-11-01 | 1995-02-01 | 株式会社河合楽器製作所 | 楽器音響解析装置 |
-
1987
- 1987-04-20 JP JP62095444A patent/JP2705063B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63261398A (ja) | 1988-10-28 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |