JP3032379U - 内燃機関の点火コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 前端部のプラグ係合部が高圧端子で閉鎖さ
れ、後部に１次端子を取付けたコネクタ部を有する樹脂
製の細長い筒形ケースの内部の中心に開磁路鉄心、その
外に同心状に１次コイルと、２次コイルを設け、この筒
形ケースの中に注型した熱硬化性絶縁樹脂層中に開磁路
鉄心と１次コイル及び２次コイルを固定し、且つ絶縁し
た内燃機関の点火コイルにおける前記筒形ケースのプラ
グ係合部の耐熱性を高め、このプラグ係合部よりも後の
筒体の肉厚を薄くして熱硬化性絶縁樹脂層の断面積を大
きくし、絶縁特性を高め、且つ筒体後部のコネクタ部に
正確に位置決めして１次端子、アース端子を取付けるよ
うにする。 【解決手段】 上記点火コイルの上記筒形ケース５を前
端部が高圧端子８で閉鎖された耐熱性のプラグ係合キャ
ップ筒６と、１次コイル１、２次コイル２、開磁路鉄心
３を収容する本体筒７と、１次端子１３を取付けたコネ
クタ部１２を有する後部筒とで構成し、上記プラグ係合
キャップ筒を本体筒の前端に、後部筒を本体筒の後端に
夫々接続、固定して筒形ケースとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動車用エンジンに代表される内燃機関の点火コイルに関し、特に エンジンブロックにあけられた細くて比較的深いプラグホール内に主たる構造部 分の殆どが納められるプラグホール収容型ないしペンシル型の点火コイルの改良 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

このようなプラグホール収容型点火コイルは、通常は、前端部のプラグ係合部 が高圧端子で閉鎖され、後部に１次端子を取付けたコネクタ部を有する樹脂製の 細長い筒形ケースの内部の中心に開磁路鉄心、その外に同心状に１次コイルと、 ２次コイルを設け、この筒形ケースの中に注型した熱硬化性絶縁樹脂層中に開磁 路鉄心と１次コイル及び２次コイルを固定し、且つ絶縁して構成されている。

【０００３】 このようなプラグホール収容型点火コイルは、エンジンブロックにある細くて 深いプラグホールに挿入して使用するため、プラグホールの内径との関係で筒形 ケースの外径は２２ｍｍ程度から、太くても２５ｍｍが限度である。このため中 央の開磁路鉄心の断面積、１次コイル、及び２次コイルの巻線絶面積、これらを 絶縁して筒形ケース中に固定する熱硬化性絶縁樹脂層の断面積は制約される。又 、筒形ケースの内周、或いは外周に沿って外装鉄心を設ける場合は外装鉄心と２ 次コイルの間に充分な絶縁距離を確保しなければならない。その上、高圧端子で 塞がれた筒形ケースの前端部のプラグ係合部は耐熱性を必要とする。又、コネク タ部は１次端子やアース端子をインサートモールドで正確に位置決めして取付け ねばならないため、寸法精度が必要である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来は筒形ケースを一般にＰＢＴ（ポリブチレンテレフタレー ト）で成形し、ケースの肉厚を１ｍｍ程度に保ち、絶縁樹脂層の断面積の確保と 、プラグ係合部の耐熱性や、コネクタ部の寸法精度を満たすようにしている。し かし、筒形ケースの肉厚を１ｍｍから０．５ｍｍに減らすと、熱硬化性絶縁樹脂 層の厚さは直径で１ｍｍ増加し、これによって絶縁性は１０ＫＶ向上するが、本 体的にＰＢＴで肉厚０．５ｍｍの筒形ケースを成形することは困難であり、仮に 成形できたとしても、前端部のプラグ係合部の耐熱性は低下し、又、コネクタ部 の寸法精度は確保できなくなる。更に、耐熱性の良い樹脂としてＰＰＳ（ポリフ ェニレンサルファイド）を使用する場合は、肉厚０．５ｍｍの筒形ケースを成形 することは不可能である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、筒形ケースを、前端部のプラグ係合部と、そこから後の本体 筒と、本体筒の後に接続固定するコネクタ部を備えた後部筒に３分割して夫々を 最適な樹脂で成形し、接続して固定するようにしたのである。

【０００６】

【考案の実施の形態】

従って、本考案は、前端部のプラグ係合部が高圧端子で閉鎖され、後部に１次 端子を取付けたコネクタ部を有する樹脂製の細長い筒形ケースの内部の中心に開 磁路鉄心、その外に同心状に１次コイルと、２次コイルを設け、この筒形ケース の中に注型した熱硬化性絶縁樹脂層中に開磁路鉄心と１次コイル及び２次コイル を固定し、且つ絶縁した内燃機関の点火コイルにおいて、前記筒形ケースを前端 部が高圧端子で閉鎖された耐熱性のプラグ係合キャップ筒と、１次コイル、２次 コイル、開磁路鉄心を収容する本体筒と、１次端子を取付けたコネクタ部を有す る後部筒とで構成し、上記プラグ係合キャップ筒を本体筒の前端に、後部筒を本 体筒の後端に夫々接続、固定して筒形ケースとしたことを特徴とする。

【０００７】

【実施例】

図示の実施例において１は１次コイル、２は２次コイル、３は開磁路鉄心を示 す。開磁路鉄心２は多数枚の短冊形硅素鋼板を断面形状が円形に近くなるように 積層するか、１枚の硅素鋼板を中心から渦巻き状に密着して巻いて構成した周知 のもので、その外周の長さの途中を１次ボビン等の絶縁材で被い、１次コイルは その絶縁材の外周に巻付けてある。２次コイルは１次コイルの外に嵌合する２次 ボビン４の外周に、図では省略したが分割巻きで巻付けてある。

【０００８】 ５は筒形ケースで、前端部が高圧端子８で閉鎖された樹脂製のプラグ係合キャ ップ筒６と、前記開磁路鉄心３、１次コイル１、及び２次コイル２を同心状に収 容する本体筒７と、後部外周から突出したコネクタ部１２に１次端子や、アース 端子３をインサートモールドで貫通状に取付けた後部筒１１とで構成されている 。プラグ係合キャップ筒は、点火プラグの熱の影響を受け易いので、耐熱性のよ い前述のＰＰＳ樹脂などで分厚に射出成形してあり、その後部には前記本体筒７ の前端部の内周が嵌合する小径筒部９が設けてあり、前端には高圧端子８を囲む ブーツ取付筒１０を前向きに突設してある。

【０００９】 又、本体筒７は、外径２０〜２２ｍｍ、長さが１００ｍｍ程度の単なる円筒形 であるため、適宜の樹脂を用い、肉厚０．５ｍｍ程度の円筒を押出し成形し、そ の円筒を所定の長さ（例えば１００ｍｍ程度）に切断して得ることができるし、 又、流動性の高い液晶ポリマー樹脂などを使用し、肉厚０．５ｍｍ、或いはそれ よりも肉厚の薄い円筒を射出成形で成形することもできる。

【００１０】 後部筒１１は、寸法精度を要するためＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート） などで射出成形してあり、その筒形をした前端部の外径は本体筒７の外径よりも 少し大であるが、内径は本体筒の内径より少し小さい。このため後部筒の前端面 には本体筒７の後端部を差し込んで固定するため環状凹部１４が開口している。

【００１１】 点火コイルを組立てるには、２次コイルの高圧端部をプラグ係合キャップ筒の 高圧端子８に電気的に接続し、２次コイルを内部に位置させながら本体筒７の前 端部をプラグ係合キャップ筒の小径筒部９の外周に嵌めて接着などで固定し、本 体筒７の外周に割れ目１５´を有する外装鉄心１５を嵌めて同様に接着などで固 定し、本体筒内の２次コイルの内周に１次コイル、開磁路鉄心３を挿入し、外装 鉄心を後部筒のコネクタ部１２にあるアース端子の内端に、１次コイルの両端部 と、２次コイルの低圧端部を後部筒のコネクタ部にある１次端子の内端に夫々電 気的に接続して本体筒の後端部を後部筒の環状凹部１４に差し込んで接着などで 固定し、開磁路、１次コイル、２次コイルを本体筒内に同心状に維持し、後部筒 の後端内部からエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を真空注型し、プラグ係合キャ ップ筒、本体筒、後部筒の内部を満たして固め、固まった熱硬化製樹脂層１６で 開磁路鉄心３、１次コイル、２次コイルを固定する。

【００１２】 本体筒の外周に設けた外装鉄心１５は、本体筒の中心の開磁路鉄心と共に略閉 磁路を構成し、点火コイルが外部から磁気的な影響を受けないように点火コイル を保護する。又、外装鉄心の割れ目は、点火コイルの動作時に、外装鉄心の表面 に生じ易い不要な渦電流を減少させると共に、割れ目を拡げて本体筒の外周に被 せることができるので、本体筒の外周に嵌め易い。そして、外装鉄心１５の外径 は、図示の如くプラグ係合キャップ筒６や、後部筒１１の前端部の外径と等しく なるようにするのが好ましい。

【００１３】 使用するにはプラグ係合キャップ筒の前端から突出するブーツ取付筒１０に電 気絶縁性で、弾力を有する、例えば合成ゴム製の筒形ブーツ１６を嵌めて延長状 に保持し、この筒形ブーツを先頭にしてエンジンのプラグホール１７に挿入し、 プラグホールの底から突出する点火プラグ１８の絶縁体の外に筒形ブーツを弾力 的に嵌めることにより高圧端子８をコイルバネ２０を介して点火プラグのヘッド 端子１９に圧接して電気的に接続し、高電圧を点火プラグに印加する。

【００１４】

【考案の効果】

本考案による点火コイルは、従来一体であった筒形ケースを、前端部が高圧端 子８で閉鎖された耐熱性のプラグ係合キャップ筒６と、１次コイル１、２次コイ ル２、開磁路鉄心３を収容する肉厚の薄い本体筒７と、コネクタ部に１次端子を 取付けた後部筒１１に３分割し、夫々を最適な樹脂で成形して構成し、上記プラ グ係合キャップ筒を本体筒の前端に接続、固定してあるので、プラグ係合キャッ プ筒６により耐熱性は高まり、又、薄肉の本体筒内に充填して固まる絶縁樹脂層 の断面積は大きくなり、絶縁特性が著しく高まる。更に、本体筒の後に接続固定 した後部筒のコネクタ部に取付けられた１次端子、アース端子は正確に位置決め され、電源等への接続プラグと確実に接続できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る内燃機関の一実施例の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ １次コイル ２ ２次コイル ３ 開磁路鉄心 ４ ２次ボビン ５ 筒形ケース ６ 筒形ケース ７ 筒形ケース ８ 高圧端子 ９ プラグ係合キャップ筒の後向きの小径筒 １０ プラグ係合キャップ筒の前向きのブーツ取付筒 １１ 後部筒 １２ 後部筒のコネクタ部 １３ １次端子、アース端子 １４ 後部筒の前端面に開口した環状凹部 １５ 外装鉄心 １５´ 外装鉄心の割れ目 １６ ブーツ １７ エンジンのプラグホール １８ 点火プラグ １９ 点火プラグのヘッド端子 ２０ コイルバネ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前端部のプラグ係合部が高圧端子で閉鎖
   され、後部に１次端子を取付けたコネクタ部を有する樹
   脂製の細長い筒形ケースの内部の中心に開磁路鉄心、そ
   の外に同心状に１次コイルと、２次コイルを設け、この
   筒形ケースの中に注型した熱硬化性絶縁樹脂層中に開磁
   路鉄心と１次コイル及び２次コイルを固定し、且つ絶縁
   した内燃機関の点火コイルにおいて、前記筒形ケースを
   前端部が高圧端子で閉鎖された耐熱性のプラグ係合キャ
   ップ筒と、１次コイル、２次コイル、開磁路鉄心を収容
   する本体筒と、１次端子を取付けたコネクタ部を有する
   後部筒とで構成し、上記プラグ係合キャップ筒を本体筒
   の前端に、後部筒を本体筒の後端に夫々接続、固定して
   筒形ケースとしたことを特徴とする内燃機関の点火コイ
   ル。