JP3030472B2 - 新規なフルオラン化合物 - Google Patents

新規なフルオラン化合物

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JP3030472B2
JP3030472B2 JP3104484A JP10448491A JP3030472B2 JP 3030472 B2 JP3030472 B2 JP 3030472B2 JP 3104484 A JP3104484 A JP 3104484A JP 10448491 A JP10448491 A JP 10448491A JP 3030472 B2 JP3030472 B2 JP 3030472B2
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通雄 田中
浩昌 樽本
浩二 川合
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱記録紙や感圧記録
紙等の発色性記録材料に発色性染料として用いられる新
規なフルオラン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開昭62−16175
0号公報に記載されているように、感熱記録紙や感圧記
録紙等の記録材料として、発色性染料である種々のフル
オラン化合物が用いられており、また、種々のフルオラ
ン化合物が提案されている。例えば、上記公報には、3
−N−n−プロピルメチル(又はエチル)アミノ−6−
メチル−7−フェニルアミノフルオランが提案されてい
る。これらフルオラン化合物は、o−(4−N−n−プ
ロピルメチルアミノ(又はエチル)−2−ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸と4−エトキシ−2−メチルジフェ
ニルアミンとの反応によつて得られる。
【0003】しかし、従来、知られているフルオラン化
合物は、このように、殆どが分子中に単一のフルオラン
構造を有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、感熱記録材
料として有用である分子中に二つのフルオラン構造を有
する新規なフルオラン化合物を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による新規なフル
オラン化合物は、一般式(I)
【0006】
【化1】
【0007】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素
数1〜9のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキ
ル基を示し、R3は、水素又はアニリノ基を示し、R4は、
それぞれ独立に水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示
す。)で表わされることを特徴とする。上記一般式
(I)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オク
チル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロア
ルキル基を示すが、特に、メチル基、エチル基、ブチル
基等の低級アルキル基やシクロヘキシル基が好ましい。
R3は、水素又はアニリノ基を示す。また、R4は、それぞ
れ独立に水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、好
ましくは水素又はメチル基を示す。
【0008】本発明によるかかるフルオラン化合物は、
一般式(II)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1及びR2は前記と同じである。)
で表わされる新規な芳香族ジケトジカルボン酸と一般式
(III)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R3及びR4は前記と同じであり、R5
は低級アルキル基を示す。)で表わされる4−アルコキ
シジフェニルアミン誘導体との反応によつて得ることが
できる。この4−アルコキシジフェニルアミン誘導体
は、目的とするフルオラン化合物に応じて、例えば、4
−メトキシジフェニルアミン、4−メトキシ−2−メチ
ルジフェニルアミン、4−メトキシ−4'−アニリノジフ
ェニルアミン、4−メトキシ−2−メチル−4'−アニリ
ノジフェニルアミン等が用いられる。
【0013】前記一般式(II)で表わされる芳香族ジケ
トジカルボン酸は、一般式(IV)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R1及びR2は前記と同じである。)
で表わされるm−アミノフェノール誘導体と無水ピロメ
リット酸(二無水物)を反応させることによつて得るこ
とができる。先ず、前記一般式(II)で表わされる芳香
族ジケトジカルボン酸の製造について説明する。
【0016】前記一般式(IV)で表わされるm−アミノ
フェノール誘導体と無水ピロメリット酸(二無水物)と
の反応は、通常、無水ピロメリット酸とこれに対してほ
ぼ2倍モル量のm−アミノフエノール誘導体とをトルエ
ン、キシレン、メシチレン、メチルイソブチルケトン、
アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテ
ル、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン等の有機溶剤中で攪拌することによつて行なわれる。
【0017】反応には、必要に応じて、無水塩化亜鉛、
四塩化チタン、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等の
ようなルイス酸や、硫酸、リン酸等の鉱酸を触媒として
用いてもよい。このような触媒は、通常、無水ピロメリ
ット酸1モルに対して1〜10モル、好ましくは2〜8
モルの範囲で用いられる。反応は通常、常圧又は加圧下
に温度30〜160℃、好ましくは40〜120℃で4
〜24時間、好ましくは8〜20時間にわたつて行なわ
れる。反応温度は、特に好ましくは、還流温度である。
【0018】反応終了後、溶剤を減圧下に留去し、得ら
れた固体を濾過し、洗浄すれば、上記芳香族ジケトジカ
ルボン酸を得ることができる。例えば、上記m−アミノ
フェノール誘導体として、既に知られている化合物であ
るm−N,N−ジエチルアミノフェノールを用いて、無水
ピロメリット酸(二無水物)と反応させることによつ
て、2,5−ビス(4'−N,N−ジエチルアミノ)−2'−ヒ
ドロキシベンゾイル)テレフタル酸を得ることができ
る。
【0019】次に、前記一般式(I)で表わされる本発
明によるフルオラン化合物の製造について説明する。前
記一般式(II)で表わされる芳香族ジケトジカルボン酸
と前記一般式(III)で表わされる4−アルコキシジフエ
ニルアミン誘導体との反応は、芳香族ジケトジカルボン
酸とこれに対してほぼ2倍モル量の4−アルコキシジフ
ェニルアミン誘導体とを不活性気体雰囲気下に濃硫酸の
存在下に攪拌することによつて行なわれる。反応は、通
常、30〜100℃、好ましくは40〜100℃の温度
で5〜20時間行なわれる。また、必要に応じて、ジク
ロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニト
ロベンゼン、アセトニトリル等の有機溶剤の存在下に四
塩化チタン、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛等の触媒を用い
て、反応を行なうこともできる。このような触媒は、通
常、前記芳香族ジケトジカルボン酸1モルに対して1〜
20モル、好ましくは2〜10モルの範囲で用いられ
る。
【0020】反応終了後、得られた反応混合物を氷水に
投入し、濾過し、固形物にアルカリを加えて中和し、ト
ルエンで洗浄すれば、本発明によるフルオラン化合物を
得ることができる。本発明によるフルオラン化合物は、
分子内に二つの不斉炭素原子を有するので、四つの立体
異性体からなる。これら立体異性体は、相互に光学対掌
体である第一の一対と第二の一対の二組からなり、第一
の一対のなかの一つの化合物と第二の一対のなかの一つ
の化合物は、相互にジアステレオマーである。よく知ら
れているように、相互に光学異性体でないジアステレオ
マーは、旋光性の絶対値は勿論、融点、溶解度等を含む
すべての物理的性質が異なる。このように、本発明によ
るフルオラン化合物は、ジアステレオマーを含む立体異
性体の混合物として得られるが、単一の立体異性体又は
その混合物を意味するものとする。尚、本発明によるフ
ルオラン化合物を感熱記録材料として用いるには、混合
物であることは何ら支障ではない。
【0021】
【発明の効果】本発明によるフルオラン化合物は、分子
内に対称的に二組のフルオラン構造を有し、新規な感熱
記録材料として有用である。
【0022】
【実施例】以下に実施例及び前記芳香族ジケトジカルボ
ン酸の製造を示す参考例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。 参考例1 m−N,N−ジエチルアミノフェノール18gと無水ピロ
メリット酸(二無水物)12gをトルエン350gに加
え、攪拌下に18時間、加熱還流した。この後、得られ
た反応混合物を冷却し、ロータリー・エバポレータにて
トルエンを留去し、乾固した。
【0023】得られた乾固物をジエチルエーテル100
mlに加えて、スラリーとし、洗浄した後、濾過して、固
体26.2gを得た。この固体を洗浄メタノールが無色に
なるまで、スラリー洗浄を繰返して、2,5−ビス(4'−
N,N−ジエチルアミノ)−2'−ヒドロキシベンゾイル)
テレフタル酸2.3g(収率7.7%)を薄茶色結晶として
得た。HLC純度は99%以上であつた。 融点 307℃(分解) 質量分析 分子量 549 プロトン核磁気共鳴スペクトルを図1に示す。帰属は以
下のとおりである。
【0024】
【化5】
【0025】赤外線吸収スペクトル(cm-1) 3400: OH 2300-3600: OH (COOH) 1710: C=O (COOH) 1630: C=O 実施例1 2,5−ビス(4'−N,N−ジエチルアミノ)−2'−ヒドロ
キシベンゾイル)テレフタル酸0.58gと4−メトキシ
−2−メチルジフェニルアミン0.45gを97%硫酸2
0ml中に加え、窒素雰囲気下、室温で10時間攪拌し
た。この後、得られた反応混合物を氷水中に加え、析出
物を濾過し、これに水酸化ナトリウム水溶液を加え、室
温で30分間攪拌した。次いで、固形物を濾過し、トル
エンにリスラリーし、濾過、乾燥させて、前記一般式
(I)において、R1及びR2が共にエチル基であり、R3
水素であり、R4がメチル基であるフルオラン化合物を得
た。
【0026】質量分析による分子量は874であつた。
上記フルオラン化合物0.5mgを酢酸4mlに溶解し、UV
スペクトル分析を行なつた。その結果、図2に示すよう
に、461nm及び580nmに吸収を有する。また、
プロトン核磁気共鳴スペクトルを図3に示す。帰属は以
下のとおりである。
【0027】
【化6】
【0028】実施例2 2,5−ビス(4'−N,N−ジエチルアミノ)−2'−ヒドロ
キシベンゾイル)テレフタル酸0.58gと4−メトキシ
ジフェニルアミン0.44gを97%硫酸20ml中に加
え、窒素雰囲気下に室温で10時間、攪拌した。次い
で、得られた反応混合物を氷水中に加え、析出物を濾過
し、これに水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で30
分間攪拌した。この後、固形物を濾過し、トルエンにリ
スラリーし、濾過、乾燥させて、前記一般式(I)にお
いて、R1及びR2が共にエチル基であり、R3が水素であ
り、R4が水素であるフルオラン化合物を得た。
【0029】質量分析による分子量は846であつた。
上記フルオラン化合物0.5mgを酢酸4mlに溶解し、UV
スペクトル分析を行なつた。その結果、図4に示すよう
に、448nm及び603nmに吸収を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明によるフルオラン化合物の製造に際
して原料物質として用いる2,5−ビス(4'−N,N−ジエ
チルアミノ)−2'−ヒドロキシベンゾイル)テレフタル
酸のプロトン核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図2】は、一般式(I)において、R1及びR2が共にエ
チル基であり、R3が水素であり、R4がメチル基であるフ
ルオラン化合物の紫外線吸収スペクトルを示し、
【図3】は、そのプロトン核磁気共鳴スペクトルを示
す。
【図4】は、一般式(I)において、R1及びR2が共にエ
チル基であり、R3及びR4が共に水素であるフルオラン化
合物の紫外線吸収スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 久也 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−225982(JP,A) 特開 昭62−161750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 493/22 B41M 5/145 B41M 5/30 C09B 11/28 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜9のア
    ルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示し、
    R3は、水素又はアニリノ基を示し、R4は、それぞれ独立
    に水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わ
    されることを特徴とするフルオラン化合物。
  2. 【請求項2】R1及びR2が共にエチル基であり、R3が水素
    であり、R4が水素であることを特徴とする請求項1記載
    のフルオラン化合物。
  3. 【請求項3】R1及びR2が共にエチル基であり、R3が水素
    であり、R4がメチル基であることを特徴とする請求項1
    記載のフルオラン化合物。
  4. 【請求項4】R1及びR2が共にエチル基であり、R3がアニ
    リノ基であり、R4が水素であることを特徴とする請求項
    1記載のフルオラン化合物。
  5. 【請求項5】R1及びR2が共にエチル基であり、R3がアニ
    リノ基であり、R4がメチル基であることを特徴とする請
    求項1記載のフルオラン化合物。
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