JP3028672U - 複合多芯ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な音質が得られかつ安価なケーブル 【解決手段】 円形断面を有する外部被覆（１）と中心
部保持材（２）の間に、内部被覆（３）を有する、素線
直径が異なり低音域、中音域、高音域、それぞれに対応
した導体（４、５、６、８、９、１０）を近接配置し、
相互に発生する誘導電流、誘導磁力を消滅、減少させ
る、又、接地導体（７）を配置することで同効果を一段
と高める、導体はそれぞれ対角線上の導体と一対で使用
されるため、ケーブル本体が変形しても位置関係が一定
であり、インピーダンスの変化が起きにくい、以上の考
案によって全帯域にわたって優れた音質が得られる、
又、１本のケーブルで２から５ウェイスピーカーシステ
ムのバイワイアリング接続に対応し更にクロスオーバー
周波数の変化にも対応できるので経済的にも安価であ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する枝術分野】

本考案は音響機器に使用されるケーブルの音質を改善するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来音響用ケーブルにあっては単芯型（図２）平行２芯型（図３）が知られてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術では、導体に電流が流れた際に発生する誘導電流、誘導磁束が導体相 互に干渉しあい、音質に悪影響をあたえていた。

【０００４】 従来の枝術では、同一直径の導体素線を全周波数帯域に使用している為、太い導 体素線直径を必要とする低域の再生に問題があった。

【０００５】 又、表皮効果により、より広い表面積、従って細い導体素線直径を必要とする高 域の再生も同様である。

【０００６】 従来の技術では、アンプとスピーカーシステムをバイワイアリング接続（図４） する場合１スピーカーシステムに対して最低２本以上のケーブルが必要であった 。

【０００７】 又、３ウェイ以上のシステムにおいて同様の接続方法を採用すると、１スピーカ ーシステムに対して最低３本以上のケーブルが必要とされていた。

【０００８】 更にバイワイアリング接続の場合、低音用スピーカーと高音用スピーカーのクロ スオーバー周波数は、スピーカーシステムの種類によって５００Ｈｚから８、０ ００Ｈｚ程度の幅が有るため、最適の音質を得るためには数種類のケーブルが必 要になり、経済的な問題があった。

【０００９】 従来の枝術では、導体相互の位置関係が明確でなく、ケーブル本体の曲がり等の 変形に伴い導体の相互位置が変化しインピータンスの増減、特に高域でのインピ ータンス増加に伴う、音の濁り、周波数特性の悪化に問題があった。

【００１０】 本考案は従来の枝術が有する問題を解決する為になされたものであり、その目的 は、高音質かつ、安価なケーブルを提供しようとするものである。

【００１１】

【問題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案によるケーブルは、円形断面を有する外部被 覆と中心に配置された中心部保持材との間に、同心円上に近接配置された内部被 覆中に、異なる素線直径の導体を有するケーブルである、導体は、低音域、中音 域、高音域、それぞれのプラス側接続用とマイナス側接続用が対角線上に配置さ れ、更に、接地用導体がプラス側接続用導体とマイナス側接続用導体との間に各 々２本、計４本配置されるものである。

【００１２】 接地用導体は磁性体を用いるのがより効果的である。

【００１３】 導体の断面積は、使用機器及び使用箇所に応じて低音域、中音域、高音域それぞ れを同一断面積又は増減する。

【００１３】

【考案の実施の形態】

図１において外部被覆（１）は高絶縁性で、柔軟性に富み、温度変化に良好な特 性を示す素材、例えば軟質塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂等で作る。

【００１４】 内部被覆（３）も外部被覆と同様である。

【００１５】 中心部保持材（２）は外部被覆材、と同様の特性を有し、同等の柔軟性か、若干 柔軟性が低い素材、例えば硬化剤を多めに添加した軟質塩化ビニール樹脂、ポリ プロピレン樹脂、綿糸捻り合わせ、等で作る。

【００１６】 低音用導体（４、１０）の場合、中音用導体素線、高音用導体素線と比較して、 より直径の太い素線を作り、単線あるいは捻り合わせてケーブルを作る。

【００１７】 中音用導体（５、９）の場合、低音用導体素線、高音用導体素線の中間程度の直 径を有する素線を作り、単線あるいは捻り合わせてケーブルを作る。

【００１８】 高音用導体（６、８）の場合、低音用導体素線、中音用導体素線と比較して、よ り直径の細い素線を作り、捻り合わせてケーブルを作る。

【００１９】 接地用導体（７）の場合、中音用に準じた素線を作り、単線あるいは捻り合わせ てケーブルを作る。

【００２０】 低音導体（４、１０）中音導体（５、９）高音導体（６、８）は前述の様に、接 地用導体以外は、同一直径素線を組み合わせてはならない、すなわち低音用導体 素線直径は中音用導体素線直径よりも太く、高音用導体素線直径は中音用導体素 線直径よりも細く作る。

【００２１】 それぞれの導体は外部被覆と中心部保持材の間に内部被覆を介して同心円上に配 置されるが、その位置は次の通りである、プラス極低音用導体の対角にマイナス 極低音用導体、プラス極中音用導体の対角にマイナス極中音用導体、プラス極高 音用導体の対角にマイナス極高音用導体、接地用導体も各々対角上に配置する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は上述の通り構成されているので、次に記載する効果を奏する。

【００２３】 請求項１、のケーブルにおいては、導体を流れる電流により発生する誘導電流及 び誘導磁束を当考案により消滅もしくは著しく減ずることができる、すなわち、 導体を近接配置することで同一回転方向に発生する誘導電流と誘導磁束を相殺し 、更に逆回転方向に誘導電流と誘導磁束が発生するプラス極とマイナス極をグル ープに分割し、位置を離すことで相互の干渉を防止することができる、これによ り周波数特性が良好で、過渡特性が良く、クリアーな音質が得られる。

【００２４】 請求項１、のケーブルにおいては、導体は各々円周上の対角線上に有る導体と一 対で使用されるため、プラス極とマイナス極相互の位置関係は、ケーブル本体の 曲がり等の変形によっても変化することがなく、インピーダンスの変化も極めて 少ない、従ってインピーダンス変化に特に影響を受ける高域に透明感の高い再生 音を実現する。

【００２５】 請求項１、のケーブルにおいては、低音用、中音用、高音用の導体が１本の外部 被覆内に納められているため、１本のケーブルで２ウェイスピーカーシステムの バイワイアリング接続に対応できるため、経済的である。

【００２６】 請求項１、のケーブルにおいては、３から５ウェイスピーカーシステムのバイワ イアリング接続についても、４から５ウェイシステムの場合、接地導体を中音用 導体として使用することで対応できる、従来最低３から５本のケーブルが必要で あったのと比較すると極めて経済的である。

【００２７】 請求項１、のケーブルにおいては、２ウェイスピーカーシステムのクロスオーバ ー周波数が低域型の場合、低音用導体を低音用スピーカーに接続し、中音用導体 と高音用導体を高音用スピーカーに接続することでより良い音質を得られる、低 域型クロスオーバー周波数は概ね５００Ｈ_ｚから３，０００Ｈ_ｚ程度である。

【００２８】 請求項１、のケーブルにおいては、２ウェイスピーカーシステムのクロスオーバ ー周波数が高域型の場合、低音用導体と中音用導体を低音用スピーカーに接続し 、高音用導体を高音用スピーカーに接続することでより良い音質を得られる、高 域型クロスオーバー周波数は概ね３，０００Ｈ_ｚＨ_ｚから８，０００Ｈ_ｚ程度で ある。

【００２９】 請求項２のケーブルにおいては、可聴周波数帯域にあって低音域帯の電流は素線 の中心付近を、また高音域になる程、電流は表面近くを流れる、そのため本考案 では、低音域用には直径の太い導体素線を使用することでエネルギー感に溢れた 低音を得、中音域には直径の中程度の導体素線を使用して充実感のある中音を再 生しうる、又、高音域には表面積の大きな細線を、捻り合わせて使用することで 透明感に溢れる高音が再生可能である。

【００３０】 請求項３のケーブルにおいては、前述の誘導電流、誘導磁束の減少効果を更に顕 著にするものである、本考案のケーブルはプラス極とマイナス極の導体をグルー プ分割し、更にグループ内の導体を近接に配置することで誘導電流、誘導磁束を 消滅、減少させるのが特徴の一つであるが、低音用導体と高音用導体の中音用導 体に接している反対面は、同方向回転電流及び磁束を発生する導体に接していな い、そのため相殺効果が半減してしまう、ここで接地導体（７）を低音用導体と 高音用導体の各々に近接配置することにより、残存する誘導電流を接地導体を通 じて接地させ消滅もしくは著しく減少させる、また、導体に磁性体、例えば鋼線 を使用すれば誘導磁束は接地導体に吸収される、これにより、より良い再生音が 得られることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案ケーブルの断面図

【図２】従来型単芯型ケーブル断面図

【図３】従来型平行２芯型ケーブル断面図

【図４】バイワイアリング接続の概要図

【符号の説明】

１ 外部被覆 ２ 中心部保持材 ３ 内部被覆 ４ プラス極低音用導体 ５ プラス極中音用導体 ６ プラス極高音用導体 ７ 接地用導体 ８ マイナス極高音用導体 ９ マイナス極中音用導体 １０ マイナス極低音用導体

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円形断面を有する外部被覆（１）及び中心
   部保持材（２）の間に同心円上に近接配置された内部被
   覆（３）を有する導体（４、５、６、７、８、９、１
   ０）により構成され、各々が対角線上の導体２本一対で
   使用されるケーブル。
2. 【請求項２】請求項１において異なる直径を有する導体
   素線（４、５、６、７、８、９、１０）により構成され
   るケーブル。
3. 【請求項３】請求項１、請求項２において、接地を目的
   とした複数の導体（７）を有するケーブル。