JP3026666B2 - 加硫ゴムシート及びその製造方法 - Google Patents

加硫ゴムシート及びその製造方法

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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加硫ゴムシート及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】加硫ゴムシートは粘着性があり、このた
め、加硫ゴムシートの表面に対して何ら処理を施さず
に、加硫ゴムシートを重ねておくと、隣接する加硫ゴム
シート同士が接着状態となる(これを「ブロッキング」
という)。そこで、このブロッキングを防止するため
に、次のような技術が採用されている。 脱脂処理 加硫ゴムシートの表面を有機溶媒で拭いて、加硫ゴムシ
ートの表面から油脂分を除去する。有機溶媒を使用する
ために、作業に危険が伴うと共に、コスト的にも高くつ
く。
【0003】 改質処理 加硫ゴムシートの表面に対して、硫酸処理やハロゲン処
理を施して、加硫ゴムシートの表面を改質する。硫酸や
ハロゲンを使用するので、安全衛生面、公害面等の問題
があると共に、加硫ゴムシート自体を劣化させ易い問題
がある。 灰化処理 特公平1−57131号公報で示すように、加硫ゴムシ
ートの表面を酸素プラズマで処理して、灰化させる。加
硫ゴムシートの処理容器内に、酸素を導入して、この酸
素を高周波放電系により励起させる必要があり、複雑で
高価な装置が必要であるという問題がある。
【0004】 離型剤の塗布処理 加硫ゴムシートの表面に、タルク粉、シリコーン液、フ
ッ素等の離型剤を塗布する。この処理は、上記〜で
挙げたような問題はない。然しながら、下記のような問
題がある。即ち、加硫ゴムシートはその最終用途に応じ
て各種の表面加工がなされる。例えば、加硫ゴムシート
の表面に、スプレー塗装、グラビア印刷、スクリーン印
刷等の表面加工を行ったり、又は、加硫ゴムシートを打
ち抜いて、種々のゴムパッキングとして用いるときに
は、事前に加硫ゴムシートの表面に両面テープを貼り付
けて、粘着層を設けたりする等の表面加工を行ったりし
ている。このような表面加工を行う場合において、塗料
や、両面テープにより設けられた粘着層の加硫ゴムシー
トからの剥離を防止するために、加硫ゴムシートの表面
から離型剤を除去するという前処理を行う必要があり、
大変面倒であるという問題がある。
【0005】本発明は、上記問題点を全て解決し、安全
衛生面、公害面、加硫ゴムシートの劣化等の点で何ら問
題を招来することなく、加硫ゴムシートのブロッキング
を防止できると共に、加硫ゴムシートの表面加工時に
も、何ら前処理をする必要がなく、しかも、表面処理時
に、複雑で高価な装置の不要な加硫ゴムシート及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る加硫ゴムシートの特徴とするところ
は、加硫成形後に表面にシランカップリング剤のみが微
粒子として化学的に結合されることで、表面が梨地状に
形成された点にある。又、本発明に係わる加硫ゴムシー
トの製造方法の特徴とするところは、加硫ゴムシートの
表面が100〜150℃の温度領域にあるときに、加硫
ゴムシートの表面にシランカップリング剤を塗布して、
加硫ゴムシートの表面を梨地状に形成する点にある。
【0007】以下、本発明を詳述する。本発明における
加硫ゴムシートのゴムとしては、種々のゴム、例えば、
天然ゴム(NR)、IR、SBR、BR、NBR、C
R、IIR、EPM、EPDM等公知のゴムが例示さ
れ、これらの内、一種又は二種以上使用される。これら
のゴムには、加硫剤、加硫促進剤、活性剤、老化防止
剤、補強剤、増量剤、軟化剤、その他、通常使用される
配合剤が使用される。上記配合剤の配合量は、ゴムシー
トの特性に応じて、適宜選択することができる。
【0008】加硫ゴムシートの表面に塗布されるシラン
カップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−1
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ
−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメト
キシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−
クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロ
シラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシ
ラン等が使用される。
【0009】本発明にかかる加硫ゴムシートは次のよう
にして製造される。まず、未加硫ゴムに前記配合剤を適
宜混練りして、未加硫ゴムシートを形成し、これを加熱
加圧して、加硫し、加硫ゴムシートとすると共に、自然
冷却する。尚、加硫ゴムシートは、加硫直後には、16
0℃位の温度である。そして、加硫ゴムシートの表面温
度が適当な温度、例えば、100〜150℃になった際
に、加硫ゴムシートの表面にシランカップリング剤をス
プレーにより塗布して、加硫ゴムシートの表面に、シラ
ンカップリング剤を微粒子として付着させる。
【0010】この場合、加硫ゴムシートの表面温度が1
00〜150℃と高温であるため、微粒子のシランカッ
プリング剤が瞬間的に乾燥して、微粒子の形で、加硫ゴ
ムシートの表面に残留し、これにより、加硫ゴムシート
の表面が梨地状となる。又、上記残留したシランカップ
リング剤は、その分子中に有機材料と親和性(又は反応
性)のある有機官能基を有するため、この有機官能基が
加硫ゴムシートと反応して、シランカップリング剤は加
硫ゴムシートと化学的に結合し、加硫ゴムシートの表面
は梨地状として保持される。
【0011】上記のように、シランカップリング剤が加
硫ゴムシートに化学的に結合して、加硫ゴムシートの表
面が梨地状に保持されるので、加硫ゴムシートの耐ブロ
ッキング性、塗料の付着性、粘着層の接着性(加硫ゴム
シートの表面に、両面テープを接着することにより、粘
着層を形成した場合に、粘着層の加硫ゴムシートに対す
る接着が良好か、否かの性質)、搬送時の円滑性(加硫
ゴムシートの塗装時や切断加工時において、搬送装置に
より加硫ゴムシートを搬送した場合に、べたつきなく、
円滑に搬送されるか、否かの性質)を優秀なものとでき
る。
【0012】尚、加硫ゴムシートに対してシランカップ
リング剤により上記処理を行う場合において、加硫ゴム
シートの表面温度が30℃であれば、シランカップリン
グ剤を加硫ゴムシートにスプレーにより塗布した場合
に、シランカップリング剤が瞬間的に乾燥せず、加硫ゴ
ムシートの表面全体が濡れた状態となり、表面が梨地状
とならない。又、例え、シランカップリング剤を乾燥す
ることができたとしても、シランカップリング剤の有機
官能基が加硫ゴムシートと反応せず、それ故、シランカ
ップリング剤が加硫ゴムシートと化学的に結合せず、上
記耐ブロッキング性等が不良となる。
【0013】又、上記処理時に、加硫ゴムシートの表面
温度が80℃であれば、表面温度が30℃の場合と同様
に、加硫ゴムシートの表面は濡れた状態となり、表面は
梨地状とならないが、シランカップリング剤が上記30
℃の場合よりも早く乾燥すると共に、シランカップリン
グ剤の有機官能基が加硫ゴムシートと反応して、シラン
カップリング剤が加硫ゴムシートと化学的に結合するの
で、加硫ゴムシートの表面は樹脂でコーティングしたよ
うな状態となる。この場合、シランカップリング剤が梨
地ではなく、膜状態で、加硫ゴムシートに結合している
ので、上記耐ブロッキング性及び搬送時の円滑性が不良
となる。
【0014】更に、上記処理時に、加硫ゴムシートの表
面温度が150℃以上である場合には、下記の理由によ
り、加硫ゴムシートの劣化が問題となる。即ち、ゴムの
加硫温度は160℃前後であって、この付近の温度から
ゴムの劣化速度が速くなる。そして、加硫ゴムシートの
表面温度を150℃以上として、シランカップリング剤
により処理すると、加硫ゴムシートが、劣化速度が速く
なる高温下で、シランカップリング剤をスプレーにより
塗布する長時間の間、さらされるので、加硫ゴムシート
が劣化して、使用に耐えなくなる。尚、シランカップリ
ング剤自体は、200℃の温度まで、安定している。
尚、加硫ゴムシートを自然冷却して、その表面温度が1
00℃以下になってから、この加硫ゴムシートを少し加
熱して、その表面温度を100〜150℃とし、この状
態で、加硫ゴムシートに対してシランカップリング剤に
より上記のような処理を行うこともある。
【0015】
【実施例】下記(1)〜(6)の成分から成る未加硫ゴ
ム組成物を調整して、4枚の厚さ1.0mmの未加硫ゴ
ムシートを作成した。 (1) SBR(旭化成(株)製、商品名SBRソルプレン1204) 100重量部 (2) 補強剤としてのカーボンブラック(旭カーボン(株)製、商品名旭3 5(SRF)) 100重量部 (3) 軟化剤としてのプロセス油 30重量部 (4) 加硫助剤としての亜鉛華1号(正月化学(株)製) 5重量部 (5) 加工助剤、分散剤としてのステアリン酸(日本油脂(株)製) 1重量部 (6) 加硫剤としての有機過酸化物(日本油脂(株)製、商品名パーペキサ 3M−40) 5重量部
【0016】上記4枚の未加硫ゴムシートを170℃の
温度、5Kg/cm2 の圧力で加熱加圧して、加硫し、
4枚の加硫ゴムシートを得た。これら各加硫ゴムシート
を自然冷却し、4枚の各加硫ゴムシートが下記の異なる
4つの温度になった時に、夫々、表面に、シランカップ
リング剤として、アミノシランをスプレーで塗布して、
表面に、厚さ10ミクロンのコーティング層を形成し
た。上記4枚の加硫ゴムシートの耐ブロッキング性、塗
料の付着性、粘着層の接着性、搬送時の円滑性を調べ
た。テスト結果は表1に示した通りである。
【0017】
【表1】
【0018】注 表1において、×は不良を、○は良好
を、◎は優秀を示す。表1を見れば、アミノシランの塗
布時の温度が100℃と150℃の場合にのみ、耐ブロ
ッキング性、塗料の付着性、粘着層の接着性、搬送時の
円滑性が全て優秀となる。次に、上記のようにアミノシ
ランにより表面を梨地状に処理した加硫ゴムシートと、
従来例である、脱脂処理した加硫ゴムシートと、離型剤
を塗布処理した加硫ゴムシートとを用いて、粘着層の接
着力を、JISZ0237に準拠して、下記のように測
定した。
【0019】即ち、標準状態において、25mm幅の両
面粘着テープ(ニットー(株)製、商品名501K)に
加硫ゴムシートを重合する。次に、両面粘着テープ上
を、2Kgのゴムローラを300mm/minの速さで
一往復させて、両面粘着テープを加硫ゴムシートに圧着
する。20分後、図1に示すように、両面粘着テープ1
を、その粘着層2と共に、180度の方向に300mm
/minの速さで加硫ゴムシート3から引き剥がした時
の剥離強度を測定する。剥離強度は、アミノシランによ
り表面を梨地状に処理した加硫ゴムシートの場合に、7
00g/inch、脱脂処理した加硫ゴムシートの場合
に、400g/inch、離型剤処理した加硫ゴムシー
トの場合に、200g/inchであって、アミノシラ
ンにより表面を梨地状に処理した加硫ゴムシートの場合
の剥離強度は、従来のものの場合よりも遙かに大であっ
た。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、加硫ゴ
ムシートの表面をシランカップリング剤により処理し
て、表面を梨地状としたので、安全衛生面、公害面、加
硫ゴムシートの劣化等の点で何ら問題を招来することな
く、加硫ゴムシートのブロッキングを防止できると共
に、加硫ゴムシートの表面加工時にも、何ら前処理をす
る必要がなく、しかも、表面処理時に、複雑で高価な装
置が不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】テスト方法を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 B29B 15/02 B32B 25/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加硫成形後に表面にシランカップリング
    剤のみが微粒子として化学的に結合されることで、表面
    が梨地状に形成されたことを特徴とする加硫ゴムシー
    ト。
  2. 【請求項2】 加硫ゴムシートの表面が100〜150
    ℃の温度領域にあるときに、加硫ゴムシートの表面にシ
    ランカップリング剤を塗布して、加硫ゴムシートの表面
    を梨地状に形成することを特徴とする加硫ゴムシートの
    製造方法。
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