JP3025547B2 - シンジオタクチックプロピレン共重合体、その製造方法およびそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents

シンジオタクチックプロピレン共重合体、その製造方法およびそれを含有する樹脂組成物

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JP3025547B2
JP3025547B2 JP8590291A JP8590291A JP3025547B2 JP 3025547 B2 JP3025547 B2 JP 3025547B2 JP 8590291 A JP8590291 A JP 8590291A JP 8590291 A JP8590291 A JP 8590291A JP 3025547 B2 JP3025547 B2 JP 3025547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシンジオタクチック構造
のプロピレンの共重合体、その製造方法およびそれを含
有する樹脂組成物に関する。詳しくは、高シンジオタク
ティシティーを有する、プロピレン単位と側鎖に−OH
基を含有するオレフィン単位とを含有する共重合体、そ
の製造方法およびそれを含有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンは安価で比較的物性に優
れたポリマーであるが、極性基を含有しないため気体の
バリヤー性が不良であるとか、極性基を含有する重合体
との接着性が不良であるなどの問題がある。これに対し
ては極性基を含有する重合体を混合することが考えられ
るが、通常、極性基を含有する重合体はポリオレフィン
と混合し難く、混合物はポリオレフィン本来の物性が失
われるという問題がある。
【0003】シンジオタクチックポリプロピレンについ
ては古くよりその存在は知られていたが、従来のバナジ
ウム化合物とエーテルおよび有機アルミニウムからなる
触媒で低温重合する方法では得られるポリプロピレンは
シンジオタクティシティーが悪く、シンジオタクチック
ポリプロピレンの特徴を示しているとは言い難かった。
また、通常のオレフィン重合触媒では−OH等の極性基
を含有するオレフィンはほとんど重合せず極性基を含有
する立体規則性のポリオレフィンは知られていなかっ
た。
【0004】一方、J.A.Ewenらは非対称な配位子を有す
る遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒によっ
てシンジオタクチックペンタッド分率が0.7を越える
ようなタクティシティーの良好なポリプロピレンを得ら
れることを発見した(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6
256)。また、T.C.Chung はアルケニルボランとプロピレ
ンとのアイソタクチック構造のプロピレン共重合体を酸
化分解することでアイソタクチック構造のプロピレンと
アルケニルアルコールの共重合体が得られることを発表
した(Macromolecules,1988,21,865)。
【0005】実質的にシンジオタクチック構造で、しか
も側鎖に−OH基を含有する共重合体は従来知られてお
らず、その様な重合体は従来に無い物性が期待され、ま
たそのような共重合体を含有する組成物は従来にない物
性が期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は側鎖に
−OH基を含有する実質的にシンジオタクチック構造を
有する新規なプロピレン共重合体を提供することにあ
る。
【0007】本発明のいま一つの目的は上記のプロピレ
ン共重合体の製造方法を提供することにある。
【0008】さらに、本発明の目的は上記のプロピレン
共重合体を含有する、物性が良好なオレフィン樹脂組成
物の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のシンジオタクチ
ックプロピレン共重合体は、式I
【0010】
【化3】 の繰返し単位と、0.01〜40モル%の式II
【0011】
【化4】 (式中、nは0または1以上の整数である。)の繰返し
単位とを含有し、13C−NMRによる吸収スペクトルに
おいてプロピレン単位のメチル基に帰属するピークのう
ち、約20.2ppm に観測されるピークの強度がプロピ
レン単位に帰属する全メチル基のピーク強度の0.3以
上であるものである。
【0012】上記シンジオタクチックプロピレン共重合
体の製造方法は非対称な2つの配位子を有する遷移金属
化合物とアルミノキサンとからなる触媒を用いて、プロ
ピレンと式III H2 C=CH−(CH2)n −SiR1 3 (III ) (式中、3個のR1 は独立して水素、ハロゲン原子また
は炭素数1−20の飽和炭化水素基であり、nは0−2
0の整数である。)で表わされるアルケニルシランとを
共重合し、ついで得られた共重合体をトリアルキルアミ
ンオキサイドとKF・HFの存在下に加熱することから
なる。
【0013】他の方法は、上記の触媒を用いてプロピレ
ンと式IV H2 C=CH−(CH2)n −BR2 2 (IV) (式中、2個のR2 は独立して炭素数1−12の炭化水
素基であり、nは0または1以上の整数である。)で表
わされるアルケニルボラン化合物を共重合し、ついで得
られた共重合体を酸化分解することからなる。
【0014】また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
は上記プロピレン共重合体とその他のポリオレフィンと
からなる。
【0015】本発明によるシンジオタクチック構造を有
するプロピレン共重合体の製造方法を以下に述べる。
【0016】本発明の共重合体の製造に用いる触媒の一
方の成分である非対称な配位子を有する遷移金属化合物
としては、前記J.A.Ewenらの文献に記載された化合物が
例示できるが、異なる構造であってもプロピレンの単独
重合体を製造した時、得られる重合体のシンジオタクチ
ックペンタッド分率(A.Zambelliら,Macromolecules,v
ol.6,687(1973), 同vol.8,925(1970) 約0.7以上の比
較的タクティシティーが高い重合体を与える触媒系であ
れば利用可能である。例えば、式V
【0017】
【化5】 (式中、AおよびBは互いに異なる環状不飽和炭化水素
残基、R3 はAおよびBを連結する炭素数1〜20の炭
化水素残基もしくは珪素を含む基、Xはハロゲン原子も
しくは炭素数1〜20の炭化水素残基であり、Mはチタ
ン、ジルコニウムもしくはハフニウムから選ばれる金属
原子である。)で表わされる化合物が好ましい。
【0018】式VにおいてAおよびBとしては炭素数5
〜30の単環もしくは多環環状不飽和炭化水素残基が例
示でき、具体的にはシクロペンタジエニル基もしくはそ
の一部または全部の水素が炭素数1〜10のアルキル基
で置換したもの(ここでアルキル基はその末端が再度シ
クロペンタジエン環に結合した構造であっても良
い。)、インデニル基、フルオレニル基などの多環環状
不飽和炭化水素残基またはその水素の一部または全部炭
素数1〜10のアルキル基で置換したものなどが例示さ
れる。R3 としてはジアルキルメチレン基、ジアルキル
シリレン基、ジアルキルゲリレン基が好ましく、例えば
4 2C<、R4 2Si<、R4 2Ge<(式中、R4 は水素
または炭素数1〜20のアルキル残基で同じでも異なっ
ても良い。)で表わされる基を挙げることができるが、
さらに−CR4 2−CR4 2−で表わされるエチリデン基も
例示できる(式中、R4 は上記と同じ)。Xとしては弗
素、塩素、臭素、沃素、あるいはメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル等のアルキル基、シクロペンタジエニル基
などの芳香族化合物が例示できるが、特に塩素、メチル
基が好ましい。
【0019】上記非対称な配位子を有する遷移金属化合
物の中でも、前記J.A.Ewenらの文献に記載されたイソプ
ロピル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ハ
フニウムジクロリドまたはイソプロピル(シクロペンタ
ジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
あるいはこれらの水素の一部がアルキル基残基で置換し
た化合物が好ましい。
【0020】上記の遷移金属化合物は精製された高純度
のものを用いることにより、より立体規則性の高い共重
合体が得られる。
【0021】触媒のもう一方の成分であるアルミノキサ
ンは、式VI
【0022】
【化6】 および式VII
【0023】
【化7】 (式中、R5 は炭素数1〜3の炭化水素残基であり、m
は1〜50の整数である。)で示されるものが好まし
く、特に上記式においてR5がメチル基であり、mが5
以上のものが好ましい。
【0024】前記の非対称な配位子を有する遷移金属化
合物に対するアルミノキサンの使用割合は、好ましくは
1〜1000000モル倍、特に10〜5000モル倍
である。
【0025】プロピレンと共重合されるアルケニルシラ
ンは前記式III で表わされるものであり、ビニルシラ
ン、アリルシラン、ブテニルシラン、ペンテニルシラ
ン、ヘキセニルシラン、またはこれらのシランのHの1
〜3個がハロゲン原子または特に炭素数7〜20の飽和
炭化水素基で置換された化合物が例示される。
【0026】また、アルケニルボラン化合物は、前記の
式IVで表わされるものであり、式IVのR2 がメチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのア
ルキル基である化合物、これらのアルキル基の2つが結
合した構造の化合物またはR2 が環状である化合物、例
えばB−7−オクテニル−9−ボラビシクロ[3,3,
1]ノナンが例示される。
【0027】プロピレンと上記のアルケニルシランまた
はアルケニルボラン化合物とを共重合させる方法は、特
に制限はなく、不活性媒体を用いる溶媒重合法、実質的
に溶媒の不存在下に重合する塊状重合法または気相法が
が採用される。
【0028】重合温度は−100°〜200℃、特に−
100°〜100℃が好ましく、重合圧力は常圧〜10
0kg/cm2 (ゲージ圧)、特に常圧〜50kg/cm2 (ゲ
ージ圧)が好ましい。
【0029】上記アルケニルシランまたはアルケニルボ
ラン化合物の量は、前記式IIの繰返し単位が共重合体に
対して0.01〜40モル%、好ましくは0.05〜2
0モル%、特に0.1〜20モル%となるように制御さ
れる。
【0030】得られるプロピレンとアルケニルシランの
共重合体は、次いでトリアルキルアミンオキサイドとK
F・HFの存在下に加熱処理することで−SiR1 3基が
−OH基に転化される。この詳細な条件は、例えばTetr
ahedron Letter, 27, 75(1986)(H.Sakuraiら)に開示さ
れた条件が採用できる。トリアルキルアミンオキサイド
はアルキル基の炭素数1〜6程度のものが利用でき、そ
の使用量は、アルケニルシラン単位に対して0.01〜
1000モル倍、好ましくは0.1〜100モル倍、K
F・HFの使用量はアルケニルシラン単位に対して0.
01〜1000モル倍、好ましくは0.1〜100モル
倍である。この反応に際しては溶剤を使用するのが好ま
しく、炭素数5〜25の炭化水素化合物が好ましく用い
られる。反応温度は通常、常温〜300℃、特に好まし
くは50°〜200℃である。
【0031】得られたプロピレンとアルケニルボラン化
合物との共重合体は、ついで酸化分解される。ここで酸
化分解の条件としては特に制限は無く、アルキル硼素を
分解してアルコールを合成するに際して採用される条件
がそのまま利用できる。アルカリ条件下に過酸化水素な
どの酸化剤で処理することで−BR2 2基を容易に−OH
基にすることができる。
【0032】このようにして得られる共重合体は、13
−NMRの吸収スペクトルにおいてプロピレン単位のメ
チル基に帰属するピークのうち、約20.2ppm に観測
されるピークの強度がプロピレン単位に帰属する全メチ
ル基のピーク強度の0.3以上を示す。この割合が0.
3より小さいと、この共重合体からの成形物の表面がべ
たつくなどの問題が生ずる。
【0033】アルケニルシラン単位またはアルケニルボ
ラン単位の含量が0.01モル%未満では、すべてのア
ルケニルシラン単位、あるいはアルケニルボラン単位が
反応して−OH基になっても重合体に−OH基が存在す
る効果が発現されず、40モル%を越えるとシンジオタ
クチックプロピレンとしての物性が発現しない。
【0034】上記の重合体の13C−NMRによる吸収ス
ペクトルにおいてプロピレン単位のメチル基に帰属する
ピークのうち、約20.2ppmに観測されるピークの強
度の、プロピレン単位に帰属する全メチル基のピーク強
度に対する割合をさらに高くするためには、前記のよう
に精製された高純度(90%以上)の遷移金属化合物を
含有する触媒を用い100℃以下の低温度で重合を行な
うことが有効であり、また炭化水素溶剤などをもって洗
浄することも有効である。
【0035】上記の共重合体の分子量は、135℃のテ
トラリン溶液で測定した極限粘度として0.05以上、
通常0.1〜10程度であるのがその利用のために好ま
しい。
【0036】また、上記共重合体の135℃の1,2,
4−トリクロロベンゼン溶液で測定した重量平均分子量
を数平均分子量との比は特に制限はなく、重合条件によ
って1.5〜20程度のものが製造でき、用途によって
その好ましい範囲が選択され、通常は2〜10程度であ
る。
【0037】炭化水素溶剤としては、炭素数が3〜20
のもの、例えばプロピレンまたはプロパン、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの
飽和炭化水素化合物の他に、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物ある
いはそれらの水素の一部または全部が弗素、塩素、臭
素、沃素で置換したものも利用できる。その他の溶剤と
しては炭素数1〜20のアルコール類、炭素数2〜20
のエーテル、エステル類などの低分子量のアタクチック
成分を溶解又は分散させ得るものが使用可能である。洗
浄方法には特に制限はなく、通常0°〜100℃の温度
で行なわれる。
【0038】本発明の共重合体は、その物性を改良する
ためにポリオレフィンと混合して樹脂組成物として利用
される。
【0039】本発明の樹脂組成物に用いられるポリオレ
フィンとしてはプロピレンの単独重合体あるいはプロピ
レンの共重合体が好ましく利用される。ポリプロピレン
としては市場で入手できるアイソタクチック構造のポリ
プロピレン(プロピレンの単独重合体のみならず、エチ
レンあるいは炭素数4〜12のα−オレフィンとのラン
ダムあるいはブロック共重合体をも含む。)の他に、前
記触媒でプロピレン単独あるいはエチレン、あるいは炭
素数4〜12のα−オレフィンと共重合することで得ら
れるシンジオタクチック構造のポリプロピレンも利用で
きる。
【0040】本発明の共重合体と混合されるポリオレフ
ィンの分子量に特に制限はなく、230℃で測定したメ
ルトフローインデックスが0.1〜100程度のものが
利用できる。本発明の共重合体とポリオレフィンの混合
割合は樹脂組成物中のアルケニルアルコール単位の含量
が0.01〜10重量%程度となるようにするのが一般
的であり、共重合体が全組成物の100〜0.1wt
%、特に50〜1wt%となる様にするのが好ましい。
混合方法については特に制限はなく通常のヘンシェルミ
キサーによって乾式混合し、ついで溶融造粒する方法で
充分である。本発明の樹脂組成物には、公知の種々の安
定剤、核剤などを添加することはもちろん可能である。
【0041】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。 実施例1 常法に従って合成したイソプロピルシクロペンタジエニ
ル−1−フルオレンをリチウム塩に転化し、四塩化ジル
コニウムと反応させ精製して得たイソプロピル(シクロ
ペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジク
ロリド10mgと東曹アクゾ(株)製の重合度16のメチ
ルアルミノキサン1.36g をトルエン100mlに溶解
し、トリメチルアリルシラン20ml、プロピレンを60
g とともに内容積300mlのオートクレーブに装入し、
30℃で2時間重合した。重合終了後、未反応のモノマ
ーをパージし、ついで濾過して得られたパウダーをメタ
ノール1l で4回洗浄した後、80℃で減圧乾燥して2
6g のポリマーを得た。元素分析によれば、トリメチル
アリルシランを8.5wt%含有していた。このポリマ
ーの赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
【0042】このポリマー5g をトルエン40mlに分散
し、水40ml、トリメチルアミンオキサイド2g 、KF
・HF2.5g を加えて100℃で10時間反応した。
反応終了後、トルエン層を分離して冷却し、濾過してポ
リマーを得た。
【0043】こうして得られたポリマーは珪素の分析に
よって未反応のアリルトリメチルシラン単位が4.5w
t%残っているが図1の赤外吸収スペクトルによれば3
400cm-1、1040cm-1に−OH基(約2.1wt
%)の吸収が観測でき、13C−NMRによって分析した
ところ約20.2ppm に観測されるピーク強度は、プロ
ピレンの全メチル基に帰属されるピーク強度の0.69
であった。135℃テトラリン溶液で測定した極限粘度
(以下、ηと記す)は0.47であり、135℃の1,
2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した重量平均分
子量と数平均分子量の比(以下、MW/MNと記す)は
2.3であった。 実施例2 アリルトリメチルシランに変えトリメチルビニルシラン
を用いた他は実施例1と同様に操作して共重合体24g
を得た。トリメチルビニルシランを6.5wt%含有し
ていたこの共重合体を実施例1と同様に処理してトリメ
チルビニルシラン単位4.1wt%を含有し、−OH基
(約1.1wt%)を含有する共重合体をえた。この共
重合体において、ηは0.64、MW/MNは2.1で
あり、13C−NMRによれば20.2ppm に観測される
ピーク強度は、プロピレンの全メチル基に帰属されるピ
ーク強度の0.72であった。 実施例3 内容積1l のオートクレーブ中に、実施例1で得たイソ
プロピレン(シクロペンタジエニル−1−フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド15mgとメチルアルミノキ
サン2g をトルエン500mlに溶解して7−オクテニル
−9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン10g 、プロ
ピレンを10g とともに装入し、30℃で4時間重合し
た。重合終了後、イソプロピルアルコール200mlを加
え、12g のポリマーを析出させた。元素分析によれば
このポリマーはB−7−オクテニル−9−ボラビシクロ
[3,3,1]ノナンを25wt%含有していた。
【0044】このポリマー5g をテトラヒドロフラン2
00mlに分散し、6Nの水酸化ナトリウム溶液5mlを加
え5℃に冷却した後、31%の過酸化水素水を5.4ml
添加し昇温して50℃で4時間攪拌した。反応終了後、
石油エーテルを加え2.5g のポリマーを析出させた。
【0045】得られたポリマーはB−7−オクテニル−
9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンを含有し、−O
H基(約5.7モル%)を含有していた。このポリマー
の赤外吸収スペクトルを図3に、また13C−NMRによ
るスペクトルを図4に示す。
【0046】13C−NMRによれば、約20.2ppm の
観測されるピーク強度は、プロピレンの全メチル基に帰
属されるピーク強度の0.68であった。135℃テト
ラリン溶液で測定したηは0.45であり、135℃の
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定したMW/
MNは2.5であった。 実施例4 実施例1で得たイソプロピレン(シクロペンタジエニル
−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.2g
とメチルアルミノキサン30g をトルエン80l に溶解
し、内容積200l のオートクレーブに装入し、プロピ
レンを重合圧力3kg/cm2-G、20℃で2時間重合し
た。得られた重合混合物にメタノールとアセト酢酸メチ
ルを添加し、30℃で処理し、塩酸水溶液で洗浄し、つ
いで濾過して5.6kgのシンジオタクチックポリプロピ
レンを得た。このポリプロピレンは13C−NMRによれ
ばシンジオタクチックペンタッド分率は0.935であ
り、ηは1.45、MW/MNは2.2であった。
【0047】このポリプロピレン100重量部に実施例
3で得た共重合体5重量部とフェノール系安定剤0.1
重量部を添加し、押出機で造粒し、ついで200℃で溶
融プレスして1mmのシートにした。このシートについて
以下の物性を測定した。 曲げ剛性度: kg/cm2 ASTM D-747(23℃) 引張降伏強さ:kg/cm2 ASTM D-638(23℃) 破断時伸び: % ASTM D-638(23℃) アイゾット(ノッチ付)衝撃強度:kg・cm/cm ASTMD-
638(23℃、−10℃) ヘイズ: % ASTM D1003 結果は曲げ剛性度5100kg/cm2 、引張降伏強さ22
0kg/cm2 、破断時伸び540%、アイゾット衝撃強度
13.8、3.5(それぞれ23℃、−10℃)であり、ヘ
イズは29%であった。
【0048】このシートに対しアクリル系の塗料 ユニ
ロック(ロックペイント(株)製、商品名)を刷毛で塗
布し、60℃で30分間エアーオープンに入れて焼付乾
燥した。この試験片についてJIS K−5400の方
法(碁盤目セロハンテープ試験法)で塗膜の密着強度を
測定したところ碁盤目塗膜残数は90個と良好であっ
た。これに対し共重合体を含まないポリプロピレン単独
では0であった。 実施例5 実施例3において得られた共重合体から厚みが0.5mm
のプレスシートを製造し、酸素ガスの透過性を測定した
ところ100ml/m2・atm ・24h であった。
【0049】一方、比較のために実施例4において得ら
れたシンジオタクチックポリプロピレンについても同様
にして酸素ガスの透過率を測定したところ800ml/m2
・atm ・24h であった。
【0050】上記の結果から明らかなように本発明の共
重合体からの成形物はガスバリヤー性が良好である。
【0051】
【発明の効果】本発明の共重合体はシンジオタクチック
ポリプロピレンが有する特性である透明性および耐衝撃
性をもちながら、−OH基を有するオレフィン単位の導
入による接着性、塗装性およびガスバリヤー性などの特
性を有する。したがって、透明性に優れ、剛性と耐衝撃
に優れ、しかも種々の機能を有する極めて有用な共重合
体である。
【0052】また、この共重合体とポリオレフィンとか
らなる樹脂組成物は良好な、バランスの良い物性を備え
た成形物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた−OH基を有するシン
ジオタクチックポリプロピレンの赤外線吸収スペクトル
である。
【図2】実施例1において得られたプロピレンとアリル
トリメチルシランとの共重合体の赤外線吸収スペクトル
である。
【図3】実施例3により得られた−OH基を有するシン
ジオタクチックポリプロピレンの赤外線吸収スペクトル
である。
【図4】実施例3により得られた−OH基を有するシン
ジオタクチックポリプロピレンの13C−NMRによる吸
収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 230:08) (C08F 210/06 230:06) (C08F 210/06 216:04) (C08L 23/26 23:00) (56)参考文献 特開 平1−311104(JP,A) 特開 平1−287139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 210/06 C08F 8/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I 【化1】 の繰返し単位と、0.01〜40モル%の式II 【化2】 (式中、nは0または1以上の整数である。)の繰返し
    単位とを含有し、13C−NMRによる吸収スペクトルに
    おいてプロピレン単位のメチル基に帰属するピークのう
    ち、約20.2ppm に観測されるピークの強度がプロピ
    レン単位に帰属する全メチル基のピーク強度の0.3以
    上である実質的にシンジオタクチック構造を有するプロ
    ピレン共重合体。
  2. 【請求項2】 非対称な2つの配位子を有する遷移金属
    化合物とアルミノキサンとからなる触媒を用いて、プロ
    ピレンと式III H2 C=CH−(CH2)n −SiR1 3 (III ) (式中、3個のR1 は独立して水素、ハロゲン原子また
    は炭素数1−20の飽和炭化水素基であり、nは0−2
    0の整数である。)で表わされるアルケニルシランとを
    共重合し、ついで得られた共重合体をトリアルキルアミ
    ンオキサイドとKF・HFの存在下に加熱して−SiR
    1 3を−OH基に転化することからなる請求項1に記載さ
    れたプロピレン共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 非対称な2つの配位子を有する遷移金属
    化合物とアルミノキサンとからなる触媒を用いて、プロ
    ピレンと式IV H2 C=CH−(CH2)n −BR2 2 (IV) (式中、2個のR2 は独立して炭素数1−12の炭化水
    素基であり、nは0または1以上の整数である。)で表
    わされるアルケニルボラン化合物を共重合し、ついで得
    られた共重合体の−BR2 2を−OH基に酸化分解するこ
    とからなる請求項1に記載されたプロピレン共重合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されたプロピレン共重合
    体とポリオレフィンとからなり、このプロピレン共重合
    体の含量が0.1−100重量%である樹脂組成物。
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