JP3025369U - 不釣合い修正機能付旋盤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転部品を旋盤加工したとき、そのまま旋盤
上で不釣合い検査と不釣合いの修正加工を連続して行
い、従来の別工程による不釣合い検査と不釣合いの修正
加工を不要とすること。 【解決手段】 旋盤に、不釣合いを検出する振動検出器
と、回転同期検出器を取り付けて、回転部品を加工完了
後に旋盤上で不釣合いを検出し、その不釣合い情報に基
づいて電子装置が演算して不釣合い量と不釣合い位置を
求め、その情報にもとづいてワークの回転とバイトの動
きを電子制御してワークを部分的に削除して不釣合いの
修正を行い、旋盤上で一貫して加工と不釣合いの検査と
修正を行うものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、旋盤上で加工されたワークの不釣合い修正を可能とした不釣合い 修正機能付旋盤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

回転体となる加工部品等は不釣合いがあってはならないため、従来は加工完了 後に別の釣合試験機にかけて不釣り合いの有無を検査し、不釣り合いがあれば釣 合試験機から取り外して不釣り合いを修正する加工を施した後再び釣合試験機に かけて不釣り合いが解消されたことを確認する作業を不釣り合いが無くなるまで 繰り返すのが一般的な方法であった。 これでは大変手数がかかるので回転部品を旋盤加工する際に、加工完了後旋盤 上でワークの不釣り合いを検出する考案が、本出願人の出願に係わる実開昭６２ −１５６４４６号公報に開示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来の不釣合い検出装置付旋盤は、旋盤加工したワークの不釣合いの 位置と不釣合い量の情報を得た上で、不釣合いの修正はワークを旋盤から取り外 して別の加工手段により修正を行っていたものであり、こうして不釣合いを修正 したものはその修正が満足に行われているか否かを再度旋盤にチャッキングして 再チェックする必要があるので大変手数が掛かるといった問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記の問題点を解決するために、本考案は、旋盤上で加工完了後に不釣り合い を検出し、そのままの状態でワークを部分的に適切な量を切除して不釣合いを修 正することとしている。 こうして従来別別の工程で行っていた不釣合いの検査と修正を旋盤上でワーク をチャッキングしたまま連続的に行って、工程を短縮して省力化とコストの低減 を果たすことができる。

【０００５】

【考案の実施の形態】

本考案に係わる不釣合い修正機能付旋盤は、旋盤の主軸軸受上に振動検出器を 設けるとともに、主軸に接近して、この主軸の外周の１箇所に印した検出マーク を検出して回転同期信号を発する回転同期検出器を設け、加工終了後にワークを 回転させながらこのワークの不釣合いを検出し、その不釣り合い情報に基づいて ワークの回転とバイトの移動をＮＣ制御装置により制御して、ワークを局部的に 旋削して旋盤上で不釣合いの修正を行うことができるようにしたものである。

【０００６】

【実施例】

以下この考案を例示図面を参照して詳細説明すると、図１は本発明不釣合い修 正機能付旋盤の正面図、図２は同じく平面図であって、（１）は旋盤本体、（２ ）は主軸で、この主軸には外周の１箇所に回転検出マーク（３）がマーキングし てあり、この回転検出マーク（３）は主軸（２）の地色に対して対称的な色、例 えば白地に対する黒といったように反射率の著しく異なる色とする。

【０００７】 （４）は回転同期検出器で、主軸（２）の外周付近で回転検出マーク（３）に 接近して設けられ、電圧の供給を受けて自ずから発光し回転検出マーク（３）を 照射して、その反射光を内部に組み込まれている受光素子が受け止めて光学的反 射率の変化を電圧変化として出力する。 この回転同期検出器（４）は上記の光の反射を検出するものの他に、磁気を検 出するものを利用することも可能である。

【０００８】 （５）は主軸軸受、（６）は振動検出器、（７）はチャック、（８）はワーク で、振動検出器（６）は主軸軸受（５）に接触して設けられ、一体的に回転する 主軸（２）、チャック（７）、ワーク（８）の不釣り合いによって発生する振動 が主軸軸受（５）の表面に現れる変位量を検出して、電圧変化として出力する。

【０００９】 （９）は刃物台でバイト（１０）が取付けられ、この刃物台（９）は親ねじ（ １１）に螺合していて、この親ねじ（１１）と直結する親ねじ用サーボモータ（ １２）により駆動されて左右移動し、刃物台（９）に取り付けた刃物台用サーボ モータ（１３）によりバイト（１０）が前後移動する。 （１４）は主軸用サーボモータで、チャック（７）に掴まれているワーク（８ ）の回転を制御する。

【００１０】 （１５）はＮＣ制御装置で、親ねじ用サーボモータ（１２）と、刃物台用サー ボモータ（１３）と、主軸用サーボモータ（１４）を制御してワーク（８）の加 工を自動制御するとともに、加工完了後回転同期検出器（４）と振動検出器（６ ）によりワーク（８）の不釣り合いの位置と不釣り合いの量を検出して、その情 報をＮＣ制御装置（１５）に送り、このＮＣ制御装置（１５）に組み込まれてい る電子回路が演算して主軸用サーボモータ（１４）と親ねじ用サーボモータ（１ ２）と刃物台用サーボモータ（１３）とを制御して例えば図３に示す如くワーク （８）の一部分（Ｂ）を削り取って不釣合いを修正するものである。

【００１１】 次に図４に示すブロックダイヤグラムにより演算処理フローを説明する。 振動検出器（６）が検出した振動情報信号はＮＣ制御装置（１５）におくられ て、先ずチャージアンプで増幅され、続いて高周波フィルター回路でノイズを減 衰させ、さらに帯域フィルター回路で不釣合い成分のみの振動波を取り出し、積 分回路で主軸軸受（５）の振動を振動変位に比例した電圧に転換する。 続いてアナログ・デジタル変換回路が、中央演算処理回路からの指令でサンプ ルホールド回路を経てデジタル信号を再び中央演算処理回路に送る。

【００１２】 一方、回転同期検出器（４）からＮＣ制御装置（１５）に送られた回転同期信 号は、割込コントローラを経て中央演算処理回路に割り込ませることにより、こ の中央演算処理回路が演算処理プロセスを不揮発性記憶素子回路のプログラムを 読み取り、アナログ・デジタル変換回路から発生したデジタル信号を記憶素子回 路に記憶させる。

【００１３】 こうした測定を数回繰り返して複数のデータを得た上で、中央演算処理回路が 不揮発性記憶素子回路のプログラムを読み取って不釣り合い修正演算を行い、そ の結果である不釣合い量と不釣合い位置によりワーク（８）の回転とバイト（１ ０）の動きを制御する指令を親ねじ用サーボモータ（１２）と刃物台サーボモー タ（１３）と主軸用サーボモータ（１４）に送って図３に示す（Ｂ）部を適量だ け削り取って不釣り合いを修正する。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果 を奏する。

【００１５】 旋盤上で加工を完了した回転体となるワークを、そのままの状態で不釣合いの 有無を検出することができるので、従来のように別工程による不釣合い検査を省 略することができる。

【００１６】 そして、ワークに不釣合いがあれば、そのままチャッキングされた状態でワー クを局部的に削除して不釣合いを修正することができるので、従来のように別工 程による不釣合いの修正が不要となる。

【００１７】 このように、回転部品の加工と、不釣合いの検査と、不釣合いの修正が、旋盤 上でワークをチャッキングしたまま連続的に一貫して行えることにより、工程の 省略による省力化と、コストの低減を果たすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の不釣合い修正機能付旋盤の一実施例を
示す正面図である。

【図２】同じく平面図である。

【図３】不釣合いの修正された状態を示すワークの一例
を示す正面図である。

【図４】不釣合いの演算処理フローを示すブロックダイ
ヤグラムである。

【符号の説明】

１ 旋盤本体 ２ 主軸 ３ 回転検出マーク ４ 回転同期検出器 ５ 主軸軸受 ６ 振動検出器 ７ チャック ８ ワーク ９ 刃物台 １０ バイト １１ 親ねじ １２ 親ねじ用サーボモータ １３ 刃物台用サーボモータ １４ 主軸用サーボモータ １５ ＮＣ制御装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 旋盤の主軸軸受（５）上に振動検出器
   （６）を設けるとともに、主軸（２）に接近して回転同
   期検出器（４）を設けて、加工終了後にワーク（８）を
   回転させながら該ワークの不釣合いを検出し、この不釣
   合い情報にもとづいてワーク（８）の回転と旋削工具
   （１０）の移動をＮＣ制御装置（１５）により制御し、
   ワーク（８）を局部的に旋削して、旋盤上で不釣合いの
   修正を行うことを特徴とする不釣合い修正機能付旋盤。