JP3022221B2 - オーディオ機器接続用ケーブル - Google Patents
オーディオ機器接続用ケーブルInfo
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Description
プとスピーカーの間、アンプ相互間またはアンプとCD
プレーヤーの間等を接続するケーブルの、特に導体の改
良に関するものである。
は従来から、導体の結晶粒の大きさに関する改良、純度
に関する改良、撚線構造に関する改良などがなされてい
る(実公昭59−177120号公報、特開昭59−1
67904号公報、特開昭60−203339号公報
等)。
オ機器接続用ケーブルは、低音域に適する導体材質、高
音域に適する導体材質の検討がなされていない。このた
め、まだ音質に改良の余地が残されている。
導体の材質を究明し、さらに音質の優れたオーディオ機
器接続用ケーブルを提供することにある。
体には、充実した低音を出すためソフトな音が得られる
材質が好ましく、高音域用の導体には高解像度の音が得
られる材質が好ましい。そこで、導体の材質による音質
傾向を評価するため、次に示す各種の銅素線を用いてそ
れぞれ図1の構造のスピーカー用ケーブルを試作し、比
較試聴した。
による。
素線80本を同心撚りした撚線導体1に、厚さ0.5mm
の絶縁体2を被覆して絶縁心線3とし、この絶縁心線3
を2本、介在4と共に対撚りして、さらに厚さ約1mmの
ポリ塩化ビニルシース5を被覆したものである。撚線導
体1には〜の銅素線を使用し、絶縁体2には各ケー
ブルともポリプロピレンを使用して、7種類のケーブル
を試作した。
奏でる曲では、各楽器の音がクリアーに明快に分離して
聞こえるかどうか、この解像度を主眼にした。この理由
は高音域の音には解像度が不可欠であり、これが損なわ
れると音質全体がぼけてしまう傾向があるからである。
また低音域の判定は、ほぼ500Hz以下の音の音量の
多少を充実感として評価した。試作した7種類のケーブ
ルの試聴結果は表1のとおりであった。
である。 □:解像度より低音の充実感が優先する音 ○:良好な解像度の音 ◎:きわめて良好な解像度の音
び低音域の充実感との関係をグラフに表すと、図2のよ
うになる。以上の結果によれば、軟銅線と硬銅線の間に
は明確な差があり、軟銅線は低音域用に適しており、硬
銅線は高音域用に適していることが分かる。
高くなると表皮効果の影響が出てくることが知られてい
る。表皮効果の影響が出るかどうかの指標として、表皮
深さδが定義されている。δの定義は、導体表面の電流
密度の1/e(e:自然対数の底)となる箇所の表面か
らの距離である。この表皮深さδと周波数との関係を図
3に示す。
0kHzとされているが、図3によると導体が銅線の場
合は、外径がほぼ1mm以上になると表皮効果の影響を受
けることになり、それより外径が大きくなるに従い、表
皮効果の影響が大きくなる。一方、20kHz以上の信
号を可聴周波数帯域外という理由で、例えばフィルター
等を用いてカットしてしまうと、音楽はメリハリのな
い、解像度の悪い音になってしまうことが知られてい
る。このことは100kHz程度まで高調波成分をきち
んと伝送しないと、忠実な再生音が得られないと解釈さ
れている。このように、高解像度を得るための高周波信
号は、表皮効果の影響で導体の表面近傍を伝わることが
分かる。
器接続用ケーブルの導体を内部導体部とその周囲を覆う
外層導体部とに分け、内部導体部は引張強さ300MP
a以下の銅素線の撚線または単線で構成し、外層導体部
は引張強さ360MPa以上の銅素線と引張強さ300
MPa以下の銅素線とが混在する撚線層で構成すること
としたものである。
により、引張強さ360MPa以上の高温域に適する銅
素線と、引張強さ300MPa以下の低音域に適する銅
素線とが混在する外層導体部を主として流れることにな
り、従来より高解像度の音が得られる。また低音域の信
号電流は、内部導体部の断面積を十分確保することによ
り(内部導体部の導体抵抗を十分小さくすることによ
り)、低音域に適する銅素線を主として流れることにな
り、低音域の充実感が得られる。特に外層導体部に、引
張強さ360MPa以上の銅素線と引張強さ300MP
a以下の銅素線を混在させると、外層導体部に占める引
張強さ360MPa以上の銅素線の比率を自由に選定で
きることから、音質の微妙なチューニングが可能とな
り、従来得られなかった、適度な音の硬さ、解像度、定
位といった言葉で表現される微妙な音質を得ることが可
能となる。
た結果であるが、次に銅素線の結晶粒の大きさと音質の
関係について説明する。銅素線の結晶粒の大きさによる
音質傾向を評価するため、次の(イ)〜(ト)に示す各
種の銅素線を用いてそれぞれ図1の構造のスピーカー用
ケーブルを試作し、比較試聴した。
手方向で測定した結晶粒の大きさの平均値をいう(加工
法により差が出ることがある)。ただしGC−OFC
(H)とPCOCC(H)は結晶粒の長さが長すぎて測
定できないので、線引前の母材の結晶粒の大きさから推
定した理論値である。
る。撚線導体1には(イ)〜(ト)の各銅素線(0.1
8mmφ)を使用し、絶縁体2には各ケーブルともポリプ
ロピレンを使用して、7種類のケーブルを試作した。試
聴の判定基準も前述のとおりである。試作した7種類の
ケーブルの試聴結果は表2のとおりであった。
である。 □:解像度より低音の充実感が優先する音 △:中程度の解像度の音 ◎:きわめて良好な解像度の音
線径に対する倍率と、音質傾向との関係をグラフに表す
と図4のようになる。以上の結果によると、低音域用に
は結晶粒の素線長手方向の平均長が素線径の300倍以
下の銅素線が適しており、高音域用には結晶粒の素線長
手方向の平均長が素線径の350倍以上の銅素線が適し
ていることが分かる。また前述のように、高解像度を得
るための高周波信号は表皮効果の影響で導体の表面近傍
を伝わる。
接続用ケーブルの導体を内部導体部とその周囲を覆う外
層導体部とに分け、内部導体部は結晶粒の素線長手方向
の平均長が素線径の300倍以下の銅素線の撚線または
単線で構成し、外層導体部は結晶粒の素線長手方向の平
均長が素線径の350倍以上の銅素線と結晶粒の素線長
手方向の平均長が素線径の300倍以下の銅素線とが混
在する撚線層で構成することとしたものである。
により、結晶粒の素線長手方向の平均長が素線径の35
0倍以上の高温域に適する銅素線と、結晶粒の素線長手
方向の平均長が素線径の300倍以下の低温域に適する
銅素線とが混在する外層導体部を主として流れることに
なり、従来より高解像度の音が得られる。また低音域の
信号電流は、内部導体部の断面積を十分確保することに
より(内部導体部の導体抵抗を十分小さくすることによ
り)、低音域に適する銅素線を主として流れることにな
り、低音域の充実感が得られる。特に外層導体部に、結
晶粒の素線長手方向の平均長が素線径の350倍以上の
銅素線と、結晶粒の素線長手方向の平均長が素線径の3
00倍以下の銅素線とを混在させると、外層導体部に占
める結晶粒の素線長手方向の平均長が素線径の350倍
以上の銅素線の比率を自由に選定できることから、音質
の微妙なチューニングが可能となり、従来得られなかっ
た、適度な音の硬さ、解像度、定位といった言葉で表現
される微妙な音質を得ることが可能となる。
に説明する。
mmφのOFC(A)の素線6を3層撚り合わせて内部導
体部7を形成し、その外周に0.20mmφのOFC
(H)の素線8と、0.20mmφのOFC(A)の素線
6とを混撚りして1層構成の外層導体部9を形成し、1
本の撚線導体を製造した。
〜300MPa、OFC(H)の素線8の引張強さは3
60〜480MPaである。各層の撚り方向は最外層を
右撚りとし、各層交互撚りとした。OFC(A)の素線
6の合計断面積は1.16mm2 、OFC(H)の素線8
の合計断面積は0.47mm2 であり、OFC(A)の素
線6が全断面積に占める割合は約70%である。
用ケーブルを製造し、音質の評価試験を行った。その結
果、このケーブルは、OFC(A)の素線のみを使用し
たケーブル及びOFC(H)の素線のみを使用したケー
ブルと比較して、高温域の高解像度と低音域の充実感の
バランスがとれた良好な音質を得ることができた。
φの6N−OFC(A)の単線11で内部導体部7を構
成し、その外周に0.18mmφのPCOCC(H)の素
線12と、0.18mmφの6N−OFC(A)の素線1
1′とを混撚りして2層構成の外層導体部9を形成し、
1本の撚線導体を製造した。
は160〜220MPa、PCOCC(H)の素線12
の引張強さは500〜600MPa、6N−OFC
(A)の素線11′の引張強さは180〜240MPa
である。6N−OFC(A)の単線11と素線11′の
合計断面積は2.14mm2 、PCOCC(H)の素線1
2の合計断面積は1.09mm2 であり、6N−OFC
(A)の単線11と素線11′が全断面積に占める割合
は約66%である。この導体を用いて図1のようなスピ
ーカー用ケーブルを製造し、音質の評価試験を行った結
果、実施例1と同等のバランスのよい音質を得ることが
できた。
れ以外にも、内部導体部に引張強さ300MPa以下の
軟銅素線を使用し、外層導体部に引張強さ360MPa
以上の硬銅素線と引張強さ300MPa以下の軟銅素線
を混合使用した、他の素線の組み合わせでも、また他の
撚線構造ても、同様の結果が得られた。
導体部に6N−OFC(A)を、外層導体部にPCOC
C(H)と6N−OFC(A)を使用した場合に、最も
良好な低音域の充実と、聴感上好ましい高音域の解像度
が得られた。ただし銅素線の選択は必ずしも表1記載の
ものに限定されることはなく、ケーブル全体の音質設計
を考慮して、内部導体部は引張強さ300MPa以下の
銅素線の中から、外層導体部は引張強さ360MPa以
上の銅素線と引張強さ300MPa以下の銅素線の中か
ら、任意の素線を選択して構成することができる。
(A)の素線21を3層撚り合わせて内部導体部7を形
成し、その外周に0.20mmφのGC−OFC(H)の
素線22と、0.20mmφのOFC(A)の素線21と
を混撚りして1層構成の外層導体部9を形成し、1本の
撚線導体を製造した。
手方向平均長は素線径の0.6倍以下、GC−OFC
(H)の素線22の結晶粒の素線長手方向平均長は素線
径の350〜8000倍である。各層の撚り方向は最外
層を右撚りとし、各層交互撚りとした。OFC(A)の
素線21の合計断面積は1.29mm2 、GC−OFC
(H)の素線22の合計断面積は0.35mm2 であり、
OFC(A)の素線21が全断面積に占める割合は約8
0%である。
用ケーブルを製造し、音質の評価試験を行った。その結
果、このケーブルは、OFC(A)の素線のみを使用し
たケーブル及びGC−OFC(H)の素線のみを使用し
たケーブルと比較して、高温域の高解像度と低音域の充
実感のバランスがとれた良好な音質を得ることができ
た。
φの6N−OFC(A)の単線23で内部導体部7を構
成し、その外周に0.18mmφのPCOCC(H)の素
線24と、0.18mmφのOFC(H)の素線25とを
混撚りして2層構成の外層導体部9を形成し、1本の撚
線導体を製造した。
C(H)の素線25の結晶粒の素線長手方向平均長はそ
れぞれ素線径の1.0倍以下、10〜280倍である。
PCOCC(H)の素線24の結晶粒の素線長手方向平
均長は素線径の1万倍以上である。6N−OFC(A)
の単線23およびOFC(H)の素線25の合計断面積
は2.26mm2 、PCOCC(H)の素線24の合計断
面積は0.96mm2 であり、6N−OFC(A)の単線
23およびOFC(H)の素線25が全断面積に占める
割合は約70%である。この導体を用いて図1のような
スピーカー用ケーブルを製造し、音質の評価試験を行っ
た結果、実施例3より明瞭な音質を得ることができた。
これ以外にも、内部導体部に結晶粒の素線長手方向平均
長が素線径の300倍以下の銅素線を使用し、外層導体
部に結晶粒の素線長手方向平均長が素線径の350倍以
上の銅素線と結晶粒の素線長手方向平均長が素線径の3
00倍以下の銅素線を混合使用した、他の素線の組み合
わせでも、また他の撚線構造でも、同様の結果が得られ
た。
導体部に6N−OFC(A)を、外層導体部にPCOC
C(H)と6N−OFC(A)を使用した場合に、最も
良好な低音域の充実と、聴感上好ましい高音域の解像度
が得られた。ただし銅素線の選択は必ずしも表2記載の
ものに限定されることはなく、ケーブル全体の音質設計
を考慮して、内部導体部は結晶粒の素線長手方向平均長
が素線径の300倍以下の銅素線の中から、外層導体部
は結晶粒の素線長手方向平均長が素線径の350倍以上
の銅素線と結晶粒の素線長手方向平均長が素線径の30
0倍以下の銅素線中から任意に選択して構成することが
できる。
ーディオ機器接続用ケーブルの導体を内部導体部と外層
導体部に分け、内部導体部には低音域に適した材質を使
用し、外層導体部には高音域に適した材質と低音域に適
した材質とを混在させたことにより、高音域における音
の高解像度と低音域の充実感のバランスをとることが可
能となり、従来よりすぐれた音質、音場感を得ることが
できる。
の構造を示す断面図。
各種銅素線の、引張強さと音質傾向との関係を示すグラ
フ。
各種銅素線の、結晶粒の平均長と音質傾向との関係を示
すグラフ。
導体の断面図。
の導体の断面図。
導体の断面図。
の導体の断面図。
a) 7:内部導体部 8:OFC(H)の素線(引張強さ360〜480MP
a) 9:外層導体部 11:6N−OFC(A)の単線(引張強さ160〜2
20MPa) 11′:6N−OFC(A)の素線(引張強さ180〜
240MPa) 12:PCOCC(H)の素線(引張強さ500〜60
0MPa) 21:OFC(A)の素線(結晶粒の平均長が素線径の
0.6倍以下) 22:GC−OFC(H)の素線(結晶粒の平均長が素
線径の350〜8000倍) 23:6N−OFC(A)の単線(結晶粒の平均長が素
線径の1.0倍以下) 24:PCOCC(H)の素線(結晶粒の平均長が素線
径の1万倍以上) 25:OFC(H)の素線(結晶粒の平均長が素線径の
10〜280倍)
Claims (2)
- 【請求項1】導体が内部導体部とその外周を覆う外層導
体部とからなり、内部導体部は引張強さ300MPa以
下の銅素線の撚線または単線で構成され、外層導体部は
引張強さ360MPa以上の銅素線と引張強さ300M
Pa以下の銅素線とが混在する撚線層で構成されている
ことを特徴とするオーディオ機器接続用ケーブル。 - 【請求項2】導体が内部導体部とその外周を覆う外層導
体部とからなり、内部導体部は結晶粒の素線長手方向の
平均長が素線径の300倍以下の銅素線の撚線または単
線で構成され、外層導体部は結晶粒の素線長手方向の平
均長が素線径の350倍以上の銅素線と結晶粒の素線長
手方向の平均長が素線径の300倍以下の銅素線とが混
在する撚線層で構成されていることを特徴とするオーデ
ィオ機器接続用ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6308456A JP3022221B2 (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | オーディオ機器接続用ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6308456A JP3022221B2 (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | オーディオ機器接続用ケーブル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08148041A JPH08148041A (ja) | 1996-06-07 |
JP3022221B2 true JP3022221B2 (ja) | 2000-03-15 |
Family
ID=17981249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6308456A Expired - Fee Related JP3022221B2 (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | オーディオ機器接続用ケーブル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3022221B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5896869B2 (ja) * | 2012-09-18 | 2016-03-30 | 三洲電線株式会社 | 撚線導体 |
-
1994
- 1994-11-18 JP JP6308456A patent/JP3022221B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08148041A (ja) | 1996-06-07 |
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