JP3022071U - スポット溶接用シャンクの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子ビ―ムを用いた係合部材の溶着により、
小規模の設備によって短時間で溶着が可能で、所望の強
度が得られるスポット溶接用シャンクの構造を提供す
る。 【解決手段】 係合部材１がシャンク本体２の先端部に
形成された凹孔３にはめ込まれ、該係合部材と凹孔周壁
との当接部４が電子ビ―ム５により溶着されてなるスポ
ット溶接用シャンクの構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、電極がはめ込まれる係合部材を備えたスポット溶接用シャンクの 構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種スポット溶接用シャンクにおいて、シャンク本体と係合部材とを摩擦溶 接により一体化したものがある（例えば特開昭６４ー７５１８６号公報参照）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記の摩擦溶接による場合には、摩擦溶接に必要とする摩擦冶具が 大型であることから設備が大規模となり、更に、シャンク本体と係合部材とが水 冷孔を備えている場合には両者の孔を合致させて接合することが難しい、という 問題もある。

【０００４】 この考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであ り、その目的とするところは、電子ビ―ムを用いた係合部材の溶着により、小規 模の設備によって短時間で溶着が可能で、所望の強度が得られるスポット溶接用 シャンクの構造を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案におけるスポット溶接用シャンクの構造 は、係合部材がシャンク本体の先端部に形成された凹孔にはめ込まれ、該係合部 材と凹孔周壁との当接部が電子ビ―ムにより溶着されてなるものである。

【０００６】 そして、前記凹孔の深さを略３ミリ以上にしたことを特徴とするものである。

【０００７】 また、前記係合部材をベリリウム銅合金材料とし、シャンク本体をクロム銅合 金材料としたことを特徴とするものである。

【０００８】 更に、前記係合部材およびシャンク本体に設けた冷却水通路を連通させたこと を特徴とするものである。

【０００９】

【考案の実施の形態】

図面を参照してこの考案の実施の形態について説明をする。 図１において、１は電極（仮想線で示した）がはめ込まれる係合部材であり、 ２は溶接機のア―ム（図示せず）に取付けられるシャンク本体である。

【００１０】 そして、シャンク本体２の先端部には前記係合部材１の一端部がはめ込まれる 凹孔３が形成されている。

【００１１】 したがって、係合部材１の一端部をシャンク本体２に形成した凹孔３内にはめ 込んだ状態で、該係合部材１と凹孔３の周壁との当接部４に矢印の如く電子ビ― ム５を照射しながら該当接部４に沿ってビ―ムを１周させることにより係合部材 １はシャンク本体２に溶着され一体化される。そして、該溶着による熱は局部的 であって周囲への熱影響は少なく、係合部材１およびシャンク本体２の材料の軟 化がほとんどなく、短時間の溶着作業により所望の強度を有するスポット溶接用 シャンクが得られる。

【００１２】 そして、前記凹孔３の深さが２ミリ程度であると、せん断試験の結果約８００ Ｋｇ程度の強度が得られて従来の係合部材とシャンク本体とを一体のシャンク材 料により切削加工によって製作ものと比較して強度が若干落ちるので、スポット 溶接用としてはその使用が制限されるが、この凹孔３の深さを略３ミリ以上にし てこれに係合部材１の一端部をはめ込んで溶着した場合には、従来の係合部材と シャンク本体とを一体のシャンク材料により切削加工によって製作ものと比較し てせん断試験の結果，略等しい降伏点である約１０８０Ｋｇ以上を得ることがで きて、スポット溶接に広範囲で十分使用できることが立証された。

【００１３】 また、係合部材１とシャンク本体２とは別体からなるので、これらの材料は導 電性と強度を考慮して自由に選択することができるが、強度のあるベリリウム銅 合金を係合部材１材料とし導電性のよいクロム銅合金をシャンク本体２材料とし た場合には、上記試験の結果，平均で約１１８０Ｋｇが得られて電極による適正 なスポット溶接が遂行できるものであった。

【００１４】 更に、係合部材１およびシャンク本体２にそれぞれ冷却水通路６，７を設けて これらを連通させる場合には、係合部材１の一端部がシャンク本体２の凹孔３内 にはめ込まれて不動の状態で電子ビ―ム５により溶着されることから、その連通 は正確・確実に行えるものである。

【００１５】

【考案の効果】

この考案によると、係合部材の一端部がシャンク本体に形成した凹孔内にはめ 込まれ、該係合部材と凹孔周壁との当接部を電子ビ―ムにより溶着したものであ るので、該係合部材の溶着による熱は局部的であって周囲への熱影響は少なく、 係合部材およびシャンク本体の材料の軟化がほとんどなく、短時間の溶着作業に より所望の強度を有するスポット溶接用シャンクが得られるものである。

【００１６】 そして、前記凹孔の深さを略３ミリ以上にして、これに係合部材の一端部をは め込んで溶着した場合には、従来の係合部材とシャンク本体とを一体のシャンク 材料により切削加工によって製作ものと比較して略等しいか，それ以上の強度を 得ることができて、スポット溶接に広範囲で十分使用可能なものとなる。

【００１７】 また、ベリリウム銅合金を係合部材材料としクロム銅合金をシャンク本体材料 とした場合には、更に強度が増して電極による適正なスポット溶接が遂行できる ものである。

【００１８】 更に、係合部材およびシャンク本体にそれぞれ冷却水通路を設けてこれらを連 通させる場合には、その連通は正確・確実に行えるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの考案に係るスポット溶接用シャンク
一部断面側面図である。

【符号の説明】

１ 係合部材 ２ シャンク本体 ３ 凹孔 ４ 当接部 ５ 電子ビ―ム ６，７ 冷却水通路

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電極がはめ込まれる係合部材を備えたス
   ポット溶接用シャンクにおいて、前記係合部材がシャン
   ク本体の先端部に形成された凹孔にはめ込まれ、該係合
   部材と凹孔周壁との当接部が電子ビ―ムにより溶着され
   てなるスポット溶接用シャンクの構造。
2. 【請求項２】 前記凹孔の深さを略３ミリ以上にしたこ
   とを特徴とする請求項１記載のスポット溶接用シャンク
   の構造。
3. 【請求項３】 前記係合部材をベリリウム銅合金材料と
   し、シャンク本体をクロム銅合金材料としたことを特徴
   とする請求項２記載のスポット溶接用シャンクの構造。
4. 【請求項４】 前記係合部材およびシャンク本体に設け
   た冷却水通路を連通させたことを特徴とする請求項３記
   載のスポット溶接用シャンクの構造。