JP3021222U - 夜光性繊維製品 - Google Patents

夜光性繊維製品

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JP3021222U
JP3021222U JP1995008028U JP802895U JP3021222U JP 3021222 U JP3021222 U JP 3021222U JP 1995008028 U JP1995008028 U JP 1995008028U JP 802895 U JP802895 U JP 802895U JP 3021222 U JP3021222 U JP 3021222U
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陽介 北川
隆一 星川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐水性に優れる夜光性繊維製品を提供する。 【解決手段】金属酸化物に希土類元素をドープさせてな
る夜光性顔料を、酸及び酸発生物質の少なくとも一種の
化合物と接触させて改質し、この改質夜光性顔料を用い
て繊維製品本体の少なくとも片面に着色を施したことを
特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、夜光性顔料により着色が施された夜光性繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
夜光性顔料とは、光を照射後暗所に保持した場合にも、一定時間高輝度に発光 現象を持続する能力を有する顔料類を意味するものであり、蓄光顔料と称呼され ることもある。従来、この様な夜光性顔料としては、硫化カルシウム、硫化亜鉛 、硫化カドミウム等の金属硫化物に、銅やビスマス等を付活させたものが種々知 られているが、いずれも暗所における発光現象の持続時間が短かく、用途的に極 めて制約を受けた条件下で使用せざるを得ないものであった。この欠点を改良す ることを目的として、それらの化合物類に放射性物質を種々添加する試みがなさ れているが、放射性物質を用いる以上人体に対する影響を無視することができず 、安全性の面からして、極めて制約を受けるものであった。これに対して、上述 の化合物群とは全く異なった一連の化合物、即ちある種の金属酸化物に希土類元 素をドープさせた化合物が長時間の発光特性を示すとの学会発表(議事録アブス トラクトNo.;CA81(14):83928e)がなされるとともにこの化合 物を夜光性顔料として用いようとする試みが、例えば中国公開特許公報第108 4535A号などにより提案されるにいたり、かかる夜光性顔料は暗所における 発光時間が長いこと、及び安全性についての問題を有しないことから、上述の従 来の夜光性顔料の問題点を一掃するものとして斯界の関心を集めている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案者は、この新しいタイプの夜光性顔料を用いて種々の繊維製品を 着色することを試みたが、該顔料類は水分の介在により極めて容易に分解劣化し てしまい、その発光輝度が大幅に低下するという欠点を有していることが判明し た。この欠点は、とりわけ水分との接触が頻繁に起こるこの種の繊維製品にとっ ては極めて致命的なものと言わざるを得ない。従って現在のところこのタイプの 夜光性顔料で繊維製品を着色するには、塩ビプラスチゾルインキ等の水分を全く 含まないインキを用いる以外に方法はなく、かかるインキは風合い・触感を悪化 させることが知られることから、その適用は非常に限られた小面積部に制限され るのが現状である。しかし仮にこの様な適用をしたとしても、かかる繊維製品は 前述の通り、例えば洗濯操作等による水分との接触を避けることができないもの であるから、該顔料の輝度の低下は避けられず、結局のところ上記の新タイプの 夜光性顔料を繊維製品に適用することは、実質上不可能であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案者は、上述の問題点を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、この種の夜 光性顔料を酸及び酸発生物質の少なくとも一種の化合物で処理することにより、 耐水性が飛躍的に向上し、どのような条件下においても暗所にて長時間の発光効 果が得られ、しかも人体に対する安全性の面からも何等問題を有さない夜光性顔 料となる知見を得、これを用いて繊維製品を着色すれば風合い等を何等損ねるこ となく全面にわたって着色できることを見出し、ここに本考案を完成するに至っ た。
【0005】 即ち、本考案は金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる夜光性顔料を、酸 及び酸発生物質の少なくとも一種の化合物と接触させて改質し、この改質夜光性 顔料を用いて繊維製品本体の少なくとも片面に着色を施したことを特徴とする夜 光性繊維製品に係る。
【0006】 本考案において着色対象とする繊維製品とは、通常の織物類、ニット類が包含 されることは勿論のこと、不織布類や皮革類、並びに合成樹脂シート類をはじめ それらを各縫製・加工してなる衣類、帽子、カバン、ノレン、カーテン、各種イ ンテリア用品等の各種縫製品、加工成形品をも広く包含するものとして解さなけ ればならない。
【0007】 またそれらを構成する繊維の種類としても特に限定はなく、木綿、麻等の天然 セルロース系繊維; 羊毛、絹等の天然タンパク系繊維; レーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート等の再生又は半合成繊維; ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリオレフィン、塩化ビニリデ ン、スパンデックス、フッ素系等の合成繊維; 各種無機繊維; 等を挙げることができ、これらを各単独で、あるいは2種以上のものを併用して 構成されたものを対象とすることができる。
【0008】 次に本考案において用いる夜光性顔料について説明する。
【0009】 基本的には当該夜光性顔料は、金属酸化物に希土類元素をドープさせた構造の ものである。この様な構造の夜光性顔料は、放射性物質を実質上含有しないにも かかわらず長時間高輝度に発光可能という優れた性質を有するものである。かか る夜光性顔料としては、例えば、長周期型周期表におけるIIa族、IIIa族及び IIIb族に属する元素の酸化物の少なくとも一種を金属酸化物として用い、こ れにSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho ,Er,Tm,Yb及びLuから選ばれた少なくとも一種の希土類元素を混合し 、焼結させた一種のセラミックス構造を有するものを挙げることができる。この 様な夜光性顔料は、希土類元素を広い範囲で含むことが可能であるが、夜光性顔 料の全体量に対して、希土類元素を0.0001〜30重量%程度含有するもの が適当であり、0.1〜10重量%程度含有するものが好ましい。この様な夜光 性顔料は、上記した金属酸化物及び希土類元素の他に、例えばFe,Ni,Co ,Si,Mn,Sn,Bi等の単体又は各種化合物を発光性能に悪影響を及ぼさ ない程度であれば含むことができ、通常、夜光性顔料中に5重量%程度までなら ば含有することができる。
【0010】 上記夜光性顔料において、金属酸化物のうちで、好適なものとしては、酸化マ グネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、アルミナ、 酸化セリウム等を挙げることができ、希土類元素の好適なものとしては、Eu, Tb,Dy等を挙げることができる。
【0011】 本考案で用いる夜光性顔料のうちで、特に好ましいものとしては、金属酸化物 として酸化ストロンチウム及び/又はアルミナを含み、希土類元素としてEu及 び/又はDyを含むものであって、希土類元素の含有量が夜光性顔料の全体量に 対して好ましくは0.1〜10重量%程度、より好ましくは0.5〜5重量%程 度のものを挙げることができる。
【0012】 本考案において、夜光性顔料の平均粒径は特に限定されないが、発光性能や各 種用途への適用の容易さ等を考慮すると、好ましくは0.5〜200μm程度、 より好ましくは1〜50μm程度とすればよい。
【0013】 本考案では、上述の夜光性顔料を、酸及び酸発生物質の少なくとも一種の化合 物(以下、「酸類」ということもある)と接触させ、当該夜光性顔料を改質した 上で用いる。
【0014】 この様な処理を施すことにより、該夜光性顔料の耐水性が飛躍的に向上し、水 の存在する条件下においても暗所にて長時間に亘って高輝度の発光効果が得られ る。この理由は明確ではないが、当該夜光性顔料に含まれる金属酸化物と、処理 に用いる酸類とが反応して、当該顔料の表面部に水に対して不溶性又は難溶性の 反応生成物が形成され、当該顔料の表面が水不溶性又は水難溶性の物質で被覆さ れた構造となることによるものと推測される。
【0015】 本考案では、酸類としては、該夜光性顔料中の金属酸化物成分と反応して、水 に対して不溶性又は難溶性の反応生成物を形成する能力を有するものであればい ずれも用いることができ、夜光性顔料の構成に応じて適宜選択するのが良い。
【0016】 本考案で使用し得る酸の具体例としては、硫酸、亜硫酸、硝酸、塩酸、炭酸、 ケイ酸、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、第1リン酸ソー ダ、第2リン酸ソーダ、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、ラウリン酸、 ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、ク エン酸、酒石酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、フタル酸 、サリチル酸、没食子酸、フェノール、ナフトエ酸、ベンゼンスルホン酸、トル エンスルホン酸、メタニル酸、タウリン、アスコルビン酸、乳酸、シラノール酸 、ホスホン酸、クロトン酸、マレイン酸、カルボキシメチルセルロース、アラビ アゴム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリマ レイン酸並びにこれらのポリマーの各誘導体(遊離のカルボキシル基やスルホン 酸基を有する共重合体を含む)等を挙げることができる。また、酸発生物質とし ては、上記した酸の塩類、酸無水物等を用いることができる。塩類としては、例 えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等を用いることができ、酸 無水物としては、上記した酸から形成し得る酸無水物をいずれも用いることがで きる。これらの酸発生物質についても、上記した酸と同様に、夜光性顔料に含ま れる金属酸化物と反応して水に対して不溶性又は難溶性の反応生成物を形成でき る。
【0017】 本考案では、酸類のうちで、特に優れた効果を有するものとして、リン酸、亜 リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、第1リン酸ソーダ、第2リン酸ソーダ等のリ ン酸類及びこれらの塩類からなるリン酸系化合物、並びに硫酸を挙げることがで き、特にリン酸系化合物が好ましい。
【0018】 尚、本考案においては、上記した酸及び酸発生物質を各々単独で、或いは2種 以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0019】 本考案の夜光性顔料の改質は、上記夜光性顔料を酸類と接触させることのでき る方法であれば、特に限定はなく各種の方法を採用できる。この様な方法の例と しては、酸類を含有する水溶液又は有機溶剤溶液に夜光性顔料を浸漬する方法、 酸類を含有する水溶液又は有機溶剤溶液を夜光性顔料に噴霧する方法、高湿度の 雰囲気中で夜光性顔料の表面に酸類を接触させる方法等の各種の方法を挙げるこ とができる。また実施用時の後述のインキ組成物中に夜光性顔料と酸類を共存さ せ、該インキ組成物中において処理するようにしてもよい。これらの方法のうち で、水の存在下に行う方法が好ましく、とりわけ酸類を含有する水溶液中に夜光 性顔料を浸漬する方法は、操作が簡単で効率よく反応を行うことができる点にお いて好適な方法である。
【0020】 以下に、酸類を含む水溶液中に夜光性顔料を浸漬することによる処理方法の一 実施態様を例示するが、処理方法はこれのみに限定されるものではない。
【0021】 まず、夜光性顔料に対して、1〜1000重量倍程度、好ましくは2〜100 重量倍程度、より好ましくは3〜10重量倍程度の水を準備し、上述の酸類を0 .01〜30重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%程度の濃度となるように 溶解させる。この際、酸類の溶解能を調整することを目的として、上記反応媒体 たる水の一部を、メタノール、エタノール、アセトン、ジオキサン、ジメチルホ ルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の水溶性の有機溶 剤に置き換えることも可能である。有機溶剤の使用量は、特に限定されず、夜光 性顔料中の金属酸化物と、酸類との反応を阻害しない範囲であればよいが、通常 は、使用する水の容量よりも少ない量とするのが適当である。また、この水溶液 中には、夜光性顔料の分散性を向上させるために、界面活性剤を添加することも できる。界面活性剤の種類、使用量などは、使用する夜光性顔料の種類及び量に 応じて適宜調整すればよい。
【0022】 次に、酸類を含む水溶液に夜光性顔料を添加し、攪拌により均一に分散させて 、酸類と夜光性顔料中の金属酸化物とを反応させる。この際の反応温度は、特に 限定はされないが、通常、液温を20℃程度以上、好ましくは50℃〜沸点未満 の温度範囲とし、反応時間を、0.5〜120分間程度、好ましくは10〜60 分間程度とすればよい。 その後、ろ過と水洗を複数回繰り返した後、十分乾燥することによって、目的 とする改質された夜光性顔料が得られる。乾燥条件は特に限定されないが、通常 、20℃程度以上の温度で2時間程度以上乾燥すればよい。
【0023】 この様な方法により処理された夜光性顔料を、必要に応じて、ふるいにかける ことにより、改質された夜光性顔料がパウダー状で得られる。
【0024】 この様にして得られる改質された夜光性顔料は、40℃の水100gに対する 溶解度が1g未満であり、非常に良好な耐水性を有するものである。
【0025】 本考案は、この様に改質された夜光性顔料により繊維製品を着色することを特 徴とするものである。
【0026】 その着色の態様は、繊維製品の少なくとも一方の面に対してその全面を着色す るか或いはその全面にわたって着色模様を形成するものである。
【0027】 前者の態様は、上述の夜光性顔料を含むインキ組成物を用いて、ナイフコーテ ィング法、エアーナイフコーティング法、グラビアコーティング法、リバースコ ーティング法、ワイヤーコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティ ング法、フラットスクリーン法、ロータリースクリーン法、ローラースクリーン 法、パディング法等により実行することができる。
【0028】 一方後者の態様は、上記と同様のインキ組成物を用いてインクジェット法、フ ラットスクリーン法、ロータリースクリーン法、ローラースクリーン法等により 実行することができる。また、本考案の副次的な着色態様として、上記と同様の インキ組成物を用いて、繊維製品の一部分に対して、ワンポイント的に着色模様 を形成するものであっても差し支えなく、本考案の要旨を逸脱するものではない 。上記で各用いられるインキ組成物の構成は、水、有機溶剤又はそれらの混合物 に、上述の改質夜光性顔料及び天然又は合成高分子類(接着成分として)を混合 分散させたものを基本とする。
【0029】 この場合、改質夜光性顔料の配合量は、おおむねインキ組成物全量に対して1 〜40重量%程度であり、一方天然又は合成高分子類は同1〜40重量%程度で あるが、これに限定されるものではない。
【0030】 上述の天然又は合成高分子類としては、例えばデンプン、アラビアゴム、クリ スタルゴム、タマリンド、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、エ チルセルロース、ブリティッシュガム、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリ ル酸エステル、(メタ)アクリル酸誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩 化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポ リアミド、ポリウレタン等を例示することができるがこれらに限定されるもので はない。尚、前述の通り、これらの高分子類のうち、遊離のカルボキシル基やス ルホン酸基、並びにこれらの塩類等を含む所謂酸性基を有するものは接着成分と しての機能を有する他、酸類としての夜光性顔料の改質機能を有する。
【0031】 この様な天然又は合成高分子類は、各単独であるいは2種以上(共重合体とな っている場合を含む)を組み合わせて用いることができる。
【0032】 尚、上述のインキ組成物中には、上記の基本構成分の他にも、各種の粘度付与 剤やターペン等の石油系溶剤等が、適当な粘度付与を目的として添加されていて も差し支えなく、また、下記に例示されるような、この種のインキ組成物に通常 添加されるいかなる着色剤及び薬剤を含んでいても、本考案の要旨を逸脱するも のではない。
【0033】 着色剤としては、例えば、一般染顔料、蛍光顔料、メタリック顔料、パール顔 料、ガラスビーズ、金属粉、サーモクロミック材料、フォトクロミック材料、紫 外線発光型色素等を挙げることができる。
【0034】 その他の薬剤の例としては、分散剤、浸透剤、乾燥調節剤、可塑剤、油脂、ワ ックス、熱硬化性樹脂、架橋剤、触媒、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤 、酸化防止剤、体質顔料、蛍光増白剤、吸着剤、防染剤、抜染剤、リップル加工 剤、オパール加工剤、還元防止剤、金属イオン封鎖剤、増量剤、pH調節剤、吸 湿剤、電解質、防腐剤、消泡剤、香料、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、忌避剤等を挙 げることができる。
【0035】
【考案の実施の形態】
以下に本考案の実施形態を添付図面にもとづき説明すると次の通りである。尚 、本考案は図示の実施形態に何等制限されるものでなく、考案の要旨を逸脱しな い範囲において、種々の変更が可能である。
【0036】 図1は、本考案の1実施形態を示し、図示された本考案夜光性繊維製品は繊維 製品本体1と、該繊維製品本体1の片面に形成された塗膜2とから構成され、該 塗膜2は改質された夜光性顔料を着色剤として含有し、この夜光性顔料には改質 により耐水性が付与されている。
【0037】
【実施例】
以下に本考案の実施例を上げ、さらに詳しく説明する。以下の記載において、 「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0038】
【実施例1】 アルミン酸ストロンチウム(スピネル型金属酸化物)に希土類元素としてユー ロピウムとジスプロシウムを全量に対し各々0.5%の割合でドープしてなる夜 光性顔料〔SrAl24:Eu,Dy〕を、4%リン酸水溶液中で処理すること により改質し、その後水洗、ろ過したものを乾燥した。その後分級することによ り、平均粒径20μmの改質夜光性顔料を得た。
【0039】 次に該夜光性顔料20部、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチルの1:1の共 重合樹脂バインダー(分子量:約15万)20部、ターペン40部、非イオン界 面活性剤(商品名:エマコールR620、(株)松井色素化学工業所社製)2部 、プロピレングリコール5部、シリコーン系消泡剤(商品名:シリコーンKM7 1、信越シリコーン社製)2部及び水50部からなる捺染ペースト(インキ組成 物)を、60メッシュの全面ロータリースクリーン版を用いて、30番/単糸で 織られた綿天竺織物上に200g/m2の塗布量にて全面プリントを施した。
【0040】 その後、該織物を160℃で1分間乾燥させた後、140℃で3分間のベーキ ング処理を施すことにより、本考案の夜光性繊維製品を得た。
【0041】 斯くして得られた夜光性繊維製品を用いてTシャツに縫製加工したところ、こ のTシャツの5分間の蛍光灯下での励起後の暗闇での輝度は、30秒後250m cd/m2、1分後140mcd/m2、5分後50mcd/m2という優れた初 期輝度を示し、また2時間後においても明るい緑色が目視できるという極めて長 い残光時間を有するものであった。
【0042】 加えて、このTシャツは、耐洗濯性にも優れており、繰り返して30回の洗濯 を行った後も、ほとんど輝度の低下は認められなかった。更にこのTシャツは耐 光性にも優れており、100時間のフェードメーター試験においても一切変色あ るいは輝度低下は認められなかった。
【0043】
【実施例2】 実施例1で用いた捺染ペーストにおいて、共重合樹脂バインダー20部に換え て、ウレタン系樹脂バインダー(商品名:インプラニールDLH バイエル社製 )20部を用いるとともに、更に青色一般顔料(商品名:Neo Blue M G、(株)松井色素化学工業所社製)0.1部を加える点を除いて、他は全て実 施例1と同様にして捺染ペーストを調製した。この捺染ペーストを、全面に直径 2mmの水玉が設けられているロータリースクリーン版を用いて、実施例1と同 じ織物上に全面にわたって模様プリントを施すことにより、本考案の夜光性繊維 製品を得た。
【0044】 斯くして得られた夜光性繊維製品を用いてTシャツに縫製加工したところ、こ のTシャツは明るい場所では青色の水玉模様を有する一見通常のシャツであった が、暗闇では明るい緑色の水玉模様を有する美麗かつ幻想的なシャツとなった。
【0045】 尚、このシャツの発光性能、耐洗濯性、耐光性等の諸性能は、実施例1のもの と同様、極めて優れたものであった。
【0046】
【実施例3】 実施例1で用いた捺染ペーストを、ナイフコーターによりポリエステルニット 布上へ150g/m2の塗布厚で全面コートした後、160℃で90秒間のテン ター乾燥を行った。次いで、このニット布をアミノシリコーン系柔軟剤(商品名 :ソフナーAQ、(株)松井色素化学工業所社製)の1%水溶液中にパディング し、絞り率100%でマングル絞りを行なった後、再び160℃で90秒間のテ ンター乾燥を行なうことにより本考案の夜光性繊維製品を得た。
【0047】 かかる夜光性繊維製品の発光性能、耐洗濯性、耐光性等の諸性能は、実施例1 のものと同様、極めて優れたものであった。
【0048】
【実施例4】 アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸エチルの1:1:1の共重 合樹脂バインダー(分子量:約30万)20部、ターペン50部、非イオン界面 活性剤(商品名:エマコール R620、(株)松井色素化学工業所社製)2部 、プロピレングリコール5部、シリコーン系消泡剤(商品名:シリコーンKM7 1、信越シリコーン社製)2部、及び水50部からなる捺染ペースト(インキ組 成物)中に、アルミン酸ストロンチウム(金属酸化物)に希土類元素として、ユ ーロピウム、ジスプロシウム、セリウムを各々全量に対し0.5%、1%、0. 5%の割合でドープしてなる夜光性顔料20部と第1リン酸ソーダの30%水溶 液15部を加え、上記捺染ペースト中で夜光性顔料の改質を行うと同時に、かか る捺染ペーストを60メッシュのアルファベット柄スクリーン版を用いて、白色 綿Tシャツ上にワンポイントのアルファベット柄を印捺した。
【0049】 その後、該Tシャツを160℃で1分間乾燥させた後、140℃で3分間のベ ーキング処理を施すことにより、本考案の夜光性繊維製品を得た。
【0050】 尚、この繊維製品は、発光性能、耐洗濯性、耐光性等の諸性能に極めて優れた ものであった。
【0051】
【実施例5】 アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸の1:2:1共重合樹脂バ インダー(分子量:約15万)30部、ターペン40部、非イオン界面活性剤( 商品名:エマコール R620、(株)松井色素化学工業所社製)1部、プロピ レングリコール4部、シリコーン系消泡剤(商品名:シリコーンKM71、信越 シリコーン社製)2部、及び水50部からなる捺染ペースト(インキ組成物)中 に、アルミン酸ストロンチウム(金属酸化物)に希土類元素として、ユーロピウ ム、ジスプロシウムを各々全量に対し0.5%、2%の割合でドープしてなる夜 光性顔料20部を加え、この捺染ペースト中の前記共重合樹脂バインダーの遊離 カルボキシル基により実質上の改質処理を行うと同時に捺染ペーストを調製した 。
【0052】 そして、かかる捺染ペーストを用いる以外は、全て実施例4と同様にして本考 案の夜光性繊維製品を得た。
【0053】 この繊維製品は、発光性能、耐洗濯性、耐光性等の諸性能に極めて優れたもの であった。
【0054】
【実施例6】 実施例5で用いた夜光性顔料20部を、当該夜光性顔料を4%硫酸水溶液中で 処理した改質夜光性顔料20部に換えることを除き、他は全て実施例5と同様に して捺染ペーストを調製するとともに、同じく同様にして本考案の夜光性繊維製 品を得た。この繊維製品は、用いた夜光性顔料が硫酸とバインダー中の遊離カル ボキシ基の両者によって相乗的に改質されたこととなる為、実施例5のものに比 し更に優れた耐水性を有するものであり、以て発光性能、耐洗濯性、耐光性等の 諸性能において卓越した性能を有していた。
【0055】
【比較例1】 実施例1の捺染ペーストにおいて、改質夜光性顔料20部の代わりに、従来の 夜光性顔料(硫化亜鉛に銅をドープさせたもの)20部を用いることを除き、他 は全て同様にして捺染ペーストを調製した。
【0056】 そして、この捺染ペーストを用いる以外は全て実施例1と同様にしてTシャツ を得た。
【0057】 かかるTシャツの5分間の蛍光灯下での励起後の暗闇中における初期輝度は、 実施例1のものの3分の1程度であり、残光が確認できる時間も約10分間と極 めて短いものであった。
【0058】
【比較例2】 実施例1の捺染ペーストにおいて、改質夜光性顔料20部の代わりに、改質し ていない夜光性顔料(即ち、リン酸処理を施していないSrAl24:Eu,D y)20部を用いることを除き、他は全て同様にして捺染ペーストを調製した。
【0059】 そして、この捺染ペーストを用いる以外は全て実施例1と同様にして、夜光性 繊維製品を得、それを縫製加工してTシャツを得た。
【0060】 しかし、改質していない夜光性顔料は、捺染ペースト中において、共存する水 の影響で極めて容易に分解劣化してしまい、従って上記にて得られたTシャツを 蛍光灯で励起させた後、暗闇に移しても、全く発光しなかった。
【0061】
【考案の効果】
本考案の夜光性繊維製品は、極めて優れた耐水性を有し、どの様な条件下にお いても暗闇で長時間の発光が可能である。しかも風合い等を何等損ねることなく 、繊維製品の全面にわたって着色(発光)性能を持たせることも可能となったた め、これを縫製・加工して得られる各種の繊維製品においては、その大面積部の 発光性能によってもたらされる、従来に類例を見ない危険防止効果並びに幻想的 意匠効果を備えたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施形態を示す部分拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 繊維製品本体 2 夜光性顔料により着色された塗膜

Claims (10)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物に希土類元素をドープさせてな
    る夜光性顔料を酸及び酸発生物質の少なくとも一種の化
    合物と接触させて改質し、この改質夜光性顔料を用いて
    繊維製品本体の少なくとも片面に着色を施したことを特
    徴とする夜光性繊維製品。
  2. 【請求項2】金属酸化物に希土類元素をドープさせてな
    る夜光性顔料と、酸及び酸発生物質の少なくとも一種の
    化合物との接触が水の存在下で行われることを特徴とす
    る請求項1記載の夜光性繊維製品。
  3. 【請求項3】着色を、模様を構成するように施すことを
    特徴とする請求項1記載の夜光性繊維製品。
  4. 【請求項4】着色を、その全面に施すことを特徴とする
    請求項1記載の夜光性繊維製品。
  5. 【請求項5】夜光性顔料を構成する金属酸化物が、長周
    期型周期表のIIa族、IIIa族及びIIIb族に属する元素
    の酸化物の少なくとも一種である請求項1記載の夜光性
    繊維製品。
  6. 【請求項6】夜光性顔料を構成する金属酸化物が、酸化
    カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、
    酸化バリウム、アルミナ及び酸化セリウムから選ばれた
    少なくとも一種である請求項1に記載の夜光性繊維製
    品。
  7. 【請求項7】夜光性顔料を構成する金属酸化物が、酸化
    ストロンチウム及びアルミナの少なくとも一種である請
    求項1に記載の夜光性繊維製品。
  8. 【請求項8】夜光性顔料が0.0001〜30重量%の
    希土類元素を含むものである請求項1乃至7のいずれか
    に記載の夜光性繊維製品。
  9. 【請求項9】希土類元素がEu、Dy及びTbから選ば
    れた少なくとも一種である請求項1又は8に記載の夜光
    性繊維製品。
  10. 【請求項10】酸及び酸発生物質の少なくとも一種の化
    合物が、夜光性顔料中の金属酸化物成分と反応して、水
    に対して不溶性又は難溶性の反応生成物を形成する能力
    を有するものである請求項1乃至9のいずれかに記載の
    夜光性繊維製品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3373731B2 (ja) 1996-06-07 2003-02-04 美濃窯業株式会社 発光性骨材及び該発光性骨材の製造方法
JP2020186502A (ja) * 2019-05-16 2020-11-19 青▲島▼永利良品国▲際▼▲貿▼易有限公司 夜光織物、その製造方法及び応用
KR102456308B1 (ko) * 2022-05-18 2022-10-26 이정현 야광 및 고휘도의 특성을 가지는 지퍼

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