JP3020524B2 - 酸化物超電導素子 - Google Patents

酸化物超電導素子

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JP3020524B2
JP3020524B2 JP01295022A JP29502289A JP3020524B2 JP 3020524 B2 JP3020524 B2 JP 3020524B2 JP 01295022 A JP01295022 A JP 01295022A JP 29502289 A JP29502289 A JP 29502289A JP 3020524 B2 JP3020524 B2 JP 3020524B2
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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は酸化物超電導体と半導体とを結合させた酸化
物超電導素子に関する。
【従来の技術】
従来,SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)基板上に形
成した酸化物超電導体については,ジャパニーズ ジャ
ーナル オブ アップライド フィズィックス 26(19
87年)第L1248頁から第L1250頁(Jpn.J.Appl.Phys.26
(1987)ppL1248−L1250)において論じられている。 また酸化物超電導体と,これと酸素量のみが異なる半
導体との接合構造を有する酸化物超電導素子について
は,特開昭63−239990号公報に記載されている。 一方NbをドープしたSrTiO3については,フィズィカル
レビュー 148(1966年)第280頁から第286頁(Phys.
Rev.148(1966)pp280−286)において論じられてい
る。 なお、超電導素子に関する技術は特開昭59−78785号
公報に、また酸化物超電導体を用いた超電導素子に関す
る技術は特開昭63−318176号公報及び特開昭64−86574
号公報にも記載されている。
【発明が解決しようとする課題】
酸化物超電導体には基板の選択性があり,特定の絶縁
体基板,たとえば上記SrTiO3またはMgOまたはYSZ(YSZ
はYttrium Stabilized Zirconiaの略である。)またはA
l2O3基板上でしか十分な超電導性が得られていない。 またSrTiO3基板を用いれば接合特性の優れた酸化物超
電導体/SrTiO3接合を得ることができるが,SrTiO3は絶縁
体であり、その内部にキャリアは存在しない。したがっ
てこのSrTiO3は、素子構成上、支持体としての基板とは
なり得るものの、このSrTiO3を素子機能を有する構成要
素として積極的に活用することはできない。 従って、従来,酸化物超電導体と半導体とを結合させ
た酸化物超電導素子を実現するためには,たとえば先に
も述べたように、酸化物超電導体の酸素量を調節したも
のを半導体として用いてきた。酸化物超電導体は、組成
制御により,超電導体相から半導体相へ相転移する。た
とえばY系と称されるY−Ba−Cu−Oは、酸素量を調節
することにより、超電導体相から半導体相へ相転移す
る。したがって、熱処理やプラズマ酸化を用い,酸素量
を適当に制御することにより,上記,酸化物超電導体と
半導体とを結合させた酸化物超電導素子を製造してい
た。 しかし我々の検討によれば、上記従来技術では,酸素
量が経時変化するに伴い超電導体と半導体との接合位置
も経時変化すること,あるいはまた熱処理という制御の
困難な工程を含むため,たとえば同一平面上に超電導体
と半導体の領域を作製する場合、これらの領域の位置の
数μmのオーダーでの制御が困難であることが明らかに
なった。さらに我々の検討によれば、酸化物超電導体の
半導体相のキャリア濃度は約1×1021(1/cm3)と半導
体としては高く,従って酸化物超電導体と接合させた場
合,得られた電流−電圧特性はたとえば温度100K以下の
低温においてトンネル現像が支配的な特性になると予想
される。さらに、一般に,従来,温度100K以下の低温に
おいて,整流特性を示す金属/半導体接合素子は得られ
ていなかった。 また先に述べた従来技術によれば,SrTiO3にNbをドー
プした場合,キャリア濃度n=1.7×1020(1/cm3),温
度4.2Kにおいて移動度μ=600(cm2/V/sec)が得られて
いた。しかし,NbをドープしたSrTiO3単体についてのこ
れらの特性は知られていたものの,このNbをドープした
SrTiO3と酸化物超電導体とを結合させた場合の特性,特
に接合界面特性については全く知られていなかった。 本発明の目的は、酸化物超電導体と半導体とを結合さ
せた酸化物超電導素子を提供することにある。 本発明の他の目的は以下の記述から明らかになるであ
ろう。
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の酸化物超電導素
子は,酸化物超電導体と半導体との接合構造を含み,上
記半導体として,上記酸化物超電導体が接合したときに
超電導性を示し得る絶縁体に不純物をドープしたものを
用いることを特徴とするものである。また本発明の酸化
物超電導素子は,上記酸化物超電導体と半導体との接合
構造において,上記半導体としてキャリアを生ぜしめた
絶縁体を用い,上記半導体にキャリアが流れる如く素子
を構成するものである。酸化物超電導体が接合したとき
に超電導性を示し得る絶縁体としては,ペロブスカイト
型結晶構造またはペロブスカイト型類似結晶構造を有す
る絶縁体,より具体的には,SrTiO3を用い,また上記ド
ープする不純物としてNbを用いるのが好ましい。また素
子の高速動作の観点からは、上記絶縁体として、誘電率
の小さい希土類ガリウム酸化物,より具体的には,LaGaO
3,NdGaO3を用いるのが好ましい。またLaAlO3,AlGaO3,KT
aO3,LiNbO3等も好ましい。また不純物をドープすること
により上述のような半導体特性を示す半導体を用いるこ
ともできる。 本発明のより好ましい形態としては、上記半導体の室
温におけるキャリア濃度を1×1021(1/cm3)以下とす
るものである。 本発明の素子のより好ましい形態としては,上記構成
に加えて、この半導体に流れるキャリアを制御する手段
を設けるものである。 また他のより好ましい形態としては、上記酸化物超電
導体と上記半導体との接合界面に緩衝膜を挿入したもの
である。 さらに本発明のより好ましい形態としては,上記半導
体が少なくともn型領域とp型領域との整合構造を有す
るものである。
【作用】
上述の絶縁体に不純物をドープし,これと酸化物超電
導体とを接合させると,絶縁体は不純物のドープにより
導電性を得る,すなわちキャリアが生じる。このキャリ
アを生ぜしめた絶縁体は、4.2Kにおいて100(cm2/V・se
c)以上、ドープする不純物の濃度によっては1000(cm2
/V・sec)以上の高い移動度を有するものである。この
ため、酸化物超電導体と,キャリアの存在する半導体と
を結合させ,この半導体にキャリアが流れる如く構成す
れば,両者の間に導電性の有するような酸化物超電導素
子が実現できる。さらにこの酸化物超電導体と半導体と
を接合させることにより,接合にはショットキー障壁が
形成される。従って,不純物のドープ量を適当に選ぶこ
とにより,ショットキー障壁のエネルギーバンドの形を
適当に制御し,酸化物超電導素子に適当な接合を得るこ
とができる。 一般に,金属と半導体を接合させると接合界面にはシ
ョットキー障壁が形成される。半導体のキャリア濃度が
十分に高い場合、例えば1×1021(1/cm3)を越えるよ
うな場合にはこの接合障壁は薄く,キャリアは容易にこ
の接合障壁をトンネルすることができる。この時,金属
/半導体接合間の電流−電圧特性はトンネル現象が支配
的であり,電流−電圧特性図は原点に関して対称であり
かつ非線形の特性を示す。すなわち,電圧の正側と負側
で電流値の大きさが異なるという整流特性は示さない。
半導体のキャリア濃度はこれより低くすると接合障壁が
厚くなり,金属/半導体接合間の電流−電圧特性は原点
に関して非対称となり,整流特性が現れる。しかし一般
の半導体ではこのようにキャリア濃度を低くすると温度
低下とともにキャリアはフリーズアウトし素子機能を果
たさなくなる。従って,従来,100K以下程度の低温にお
いて整流特性を示す素子を得ることは困難であった。酸
化物超電導体と半導体の接合において、半導体として高
温超電導酸化物の半導体相を用いた場合には,キャリア
濃度が1×1021(1/cm3)より大きいものしか得られな
いため,接合間の電流−電圧特性は必然的にトンネル現
象が支配的なものしか得られないと予想されるが,本発
明によれば、本発明によれば、温度100K以下の低温にお
いてキャリアがフリーズアウトせず、しかもキャリア濃
度を1×1021(1/cm3)以下とすれば、電圧の正側と負
側で電流値の大きさが異なるという整流特性を得ること
ができる。これにより100K以下程度の低温において、入
出力分離にすぐれた素子を実現することができる。 また電界効果については絶縁体または半導体への不純
物のドープ量を適当に選択し,キャリア濃度を調節する
ことにより所望の電界効果が得られる。一般に,不純物
のドープ量が少ないほど電界効果は大きい。より具体的
にはキャリアを生じしめた絶縁体または半導体のキャリ
ア濃度にして1×1022(1/cm3)以下,より望ましくは
1×1021(1/cm3)以下がよい。 尚、酸化物超電導体とこの絶縁体との接合界面特性及
び酸化物超電導体の超電導特性は、不純物のドープ量が
上述のような範囲であれば、元の絶縁体を用いた時とほ
ぼ同様である。すなわち、接合界面の反応層の厚さや形
成した酸化物超電導体の超電導臨界温度はほぼ同様とな
る。 さらにまた絶縁体にドープする不純物元素としては、
ドープによって,接合する酸化物超電導体の超電導特性
に有用な元の絶縁体の結晶学的性質が損なわれないよう
にするのが望ましい。すなわち,ドープする不純物元素
のイオン半径,配位数,等の条件がドープにより置換さ
れる絶縁体の元素と一致することもしくはそれに近いこ
とが望ましい。従ってこれの条件を満足する不純物元素
を選択することにより、酸化物超電導体と不純物をドー
プした絶縁体との接合界面特性が優れた酸化物超電導素
子が実現できる。 酸化物超電導体とキャリアを生じしめた絶縁体との間
には酸化物超電導体の成膜またはその後の熱処理によっ
て反応層が生成する。キャリアが容易にトンネルできる
程この反応層が薄い場合には接合界面特性に与える反応
層の影響は無視できる。しかし成膜温度,熱処理温度を
低温化し,反応を抑制したとしてもこれら接合界面には
異種材料を接合したことによりショットキー障壁が生じ
る。ショットキー障壁はオーミックコンタクトを得たい
場合には適当ではないが,MESFETのゲート電極部には積
極的に利用される。つまり,酸化物超電導体とキャリア
を生ぜしめた絶縁体とを接合し,このキャリアを生じし
めた絶縁体にキャリアが流れる如く素子を構成すること
により,上記酸化物超電導体とキャリアを生じしめた絶
縁体との接合に形成されたショットキー障壁を利用した
酸化物超電導素子が実現できる。 酸化物超電導体とキャリアを生じしめた絶縁体との間
に緩衝膜を設けることは,酸化物超電導体とキャリアを
生じしめた絶縁体との反応を抑制する意味と,上記ショ
ットキー障壁の高さを調節する意味をもつ。緩衝膜とし
ては酸化物超電導体や半導体と反応しにくい材料,具体
的にはAu,Ag,Pt,Pdがよく、特にAuが好ましい。さらに
またオーミックコンタクトを得る場合には,緩衝膜と半
導体の接合を形成した後,特に熱処理を行うことによっ
て,緩衝膜と半導体の接合抵抗を低めることが有効であ
る。 上記熱処理の温度は300〜600℃、より好ましくは400
〜550℃とする。また熱処理の時間は1〜2時間程度と
するのが好ましい。 酸化物超電導体とキャリアを生じしめた絶縁体とを接
合すると,この接合界面は上記説明したようにショット
キー障壁,あるいはオーミックコンタクトとなるが,さ
らにこの接合間を流れるキャリアを制御する手段を設け
ることによっても,有用な酸化物超電導素子を実現でき
る。より具体的には,キャリアを生じしめた絶縁体のバ
ンドの形を制御すること,或いはまた酸化物超電導体と
キャリアを生じしめた絶縁体との接合に形成されたエネ
ルギー障壁を制御し,このエネルギー障壁をトンネルす
るキャリアを制御することにより達成される。 また上記半導体として、n型半導体とp型半導体を接
合させたものを用いると、その接合面の近傍は空乏層と
なりキャリアが存在しなくなる。これにより縮退半導体
の金属的な性質が緩和され,キャリアの遮蔽効果が抑制
されるので、n型半導体またはp型半導体を単独で用い
るより,大きな電場の効果を実現できる。 超電導体とキャリアの存在する半導体とを結合させた
超電導素子として,たとえば,アイ・イー・イー・イ
ー,エレクトロンデバイス レター,イーデーエル6
(1985年)第297頁から第299頁(IEEE Electron Device
Lett.EDL6(1985)pp297−299)に論じられている素
子、すなわちPbIn合金超電導薄膜をSi基板上に形成した
超電導素子では,半導体Siに不純物としてBを濃度8×
1019(1/cm3)ドープし,これによりキャリアを生ぜし
め,さらにこの上にPbIn合金超電導薄膜を形成してい
た。これによりSi基板へ超電導波動函数をしみださせ,
近接効果を利用した超電導素子を実現していた。また,
この超電導体から半導体への超電導波動函数のしみだし
という近接効果を利用した超電導素子に限らず,超電導
体と半導体とを接合させた超電導素子,たとえば,SUBSI
T(Superconducting Base Semiconductor Isolated Tra
nsistor)またはSUBHET(Superconducting Base Hot El
ectron Transistor)、あるいはまた,単に超電導体と
半導体とを接合させただけの二端子素子であって,電磁
波検出器,ミキサとして有用なスーパーショットキーダ
イオードにおいてさえもキャリアの存在する材料(半導
体)は必須である。すなわちキャリアを生じしめる不純
物の量や濃度分布を適当に設定することにより,接合近
傍の半導体について適当なエネルギーバンドの形を得る
必要がある。 我々の検討によれば、超電導体が酸化物超電導体の場
合には、半導体としてSiを用いるのは適当ではない。そ
の理由としては、高温超電導酸化物はSi基板上では一般
に超電導性を示さず、仮に超電導性が得られたとして
も,その超電導臨界温度は同様の条件でSrTiO3基板上に
成膜した場合に比べて低い。さらにこの場合,酸化物超
電導体の膜質は、Si基板上では単結晶が得られないのに
対し,SrTiO3基板上では単結晶エピタキシャル膜が得ら
れる。すなわち,膜質は前者のほうが悪く,基板と酸化
物超電導体との接合界面にも前者には何らかの反応生成
物,たとえば酸化シリコンが存在すると考えられる。つ
まりSi基板ではSrTiO3基板より超電導性のみならず接合
界面特性をも劣った酸化物超電導体しか得られないと予
想される。従って,接合特性の優れた,酸化物超電導体
と半導体とを結合させた酸化物超電導素子を実現するた
めにはSi基板を用いることは適当ではないと考えられ
る。 一方、半導体として高温超電導酸化物の半導体相を用
いる場合,超電導体と半導体の構成元素が同一であるた
め,両者の接合界面の反応生成物は確かに少ないと予想
される。しかし,高温超電導酸化物の半導体相は組成制
御を行ってもいずれもキャリア濃度が1×1021(1/c
m3)より大きく,半導体としては大きいため,接合間の
電流−電圧特性はトンネル現象が支配的なものしか得ら
れず,さらに高いキャリア濃度によるキャリアの遮蔽効
果により電界効果も十分得られないことが予想される。
さらに高温超電導酸化物の半導体相は組成制御を行って
もいずれも移動度が1(cm2/V・sec)程度と小さい問題
がある。 本発明は、以上のような我々の検討に基いてなされた
ものであって、酸化物超電導体と半導体とを結合させた
酸化物超電導素子において,特に両者の接合界面の反応
生成物が少ない,接合界面特性の優れた酸化物超電導素
子を提供するものである。
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。 まず第1図ないし第6図及び第43図ないし第46図を用
いて本発明の第1の実施例を説明する。本実施例は絶縁
体であるSrTiO3に不純物としてNbをドープすることによ
りキャリアを生ぜしめ,酸化物超電導体を接合させて,
酸化物超電導素子を形成した例である。 SrTiO3結晶育成前に出発原料中にNb2O5を混入させ,
絶縁体SrTiO3に不純物としてNbをドープした。Nbのドー
プ量は0.05wt%,0.5wt%である。育成後の得られた結晶
は黒色であり,ドープ量の増加とともに,色は濃さを増
し,キャリア濃度が増加していることを示している。第
5図(a),(b)にそれぞれホール測定から得られた
移動度,ホール係数の温度依存性を示す。ホール係数は
負であり,キャリアは電子である。ホール係数が温度に
よらずほぼ一定であることからこのNbをドープしたSrTi
O3は縮退半導体であるといえる。次にこのNbをドープし
たSrTiO3結晶をウエハ状に切り出し,表面を鏡面研磨し
た。さらに,100℃の熱リン酸に7分間浸すことにより,
表面をエッチングし,表面の汚染,及び結晶欠陥,歪,
等を除去し,キャリアを生じしめた絶縁体1とした。次
に基板温度を約700℃に加熱し,高周波スパッタリング
法を用いて,この上にEr−Ba−Cu−Oからなる酸化物超
電導体2′を成膜し,第4図(a)に示すように,酸化
物超電導体とキャリアを生じしめた絶縁体との接合構造
を形成した。またこのようにして得られた酸化物超電導
体2′の超電導臨界温度は抵抗率測定より75Kであり,Nb
をドープしていないSrTiO3基板上に同様の条件で成膜し
た時とほぼ同様の結果が得られた。これよりNbをドープ
したSrTiO3基板上に成膜した酸化物超電導体の超電導性
は,NbをドープしていないSrTiO3基板上に成膜した時と
同様に良好であることが確認できた。さらにこの時,接
合界面の反応生成物もNbをドープしていないSrTiO3基板
上に成膜した時と同様に少ないと予想される。第6図
(a),(b)にEr−Ba−Cu−Oからなる酸化物超電導
体2′とNbをドープしたSrTiO3からなるキャリアを生じ
しめた絶縁体1との接合間の電流−電圧特性の温度依存
性の測定結果を示す。Nbのドープ量は第6図(a)が0.
05wt%,第6図(b)が0.5wt%である。これより整流
作用が確認できる。今,電流密度の大きさが10-4(A/cm
2)なる時の電圧の大きさをVoと定義する。第6図
(a),(b)から求められる,温度100KにおけるVoの
キャリア濃度依存性を、順方向側,逆方向側それぞれに
ついて第43図に示す。但し,第6図(a)の接合は接合
面積が0.01cm2,第6図(b)は0.04cm2である。キャリ
ア濃度が1021(1/cm3)より大きい場合には順方向側と
逆方向側のVoはほぼ一致し,接合間に流れる電流はトン
ネル現象に基づくことを示している。これに対し,キャ
リア濃度が1021(1/cm3)以下ではVoは逆方向側のほう
が順方向側より大きく、整流特性を示している。つまり
酸化物超電導体とNbをドープしたSrTiO3を接合させ,さ
らにNbをドープしたSrTiO3のキャリア濃度を1021(1/cm
3)以下とすることにより、温度100Kという低温で入出
力分離や整流作用を利用した素子に好適な整流特性が得
られたことになる。 第44図に本実施例で製造した酸化物超電導体/Nbをド
ープしたSrTiO3接合を用いた整流器の回路例を示す。上
記接合を4個使うことにより,交流を整流し出力Vの直
流を得ることができる。 第45図に本実施例で製造した酸化物超電導体/Nbをド
ープしたSrTiO3接合をMESゲートとして用いたMESFETの
例を示す。ノンドープのSrTiO3(110)基板10上にNbを
ドープしたSrTiO3をスパッタリング法を用いて500Å成
膜し,キャリアを生ぜしめた絶縁体1を形成した。ター
ゲットはNbをドープしたSrTiO3焼結体を用いた。次にホ
トリソグラフィを用いてリフトオフ法により部分的にAu
を200Å成膜し緩衝膜6とした。次にこの上に酸化物超
電導体Er−Ba−Cu−Oを基板温度600℃の条件下でスパ
ッタリング法を用いて成膜し,さらにホトリソグラフィ
を用いて加工し,ソース超電導電極2,ドレイン超電導電
極3,ゲート電極5を形成した。第46図にゲート電圧−ド
レイン電流の特性を示す。ゲート電極5とキャリアを生
じしめた絶縁体または半導体1間には整流特性があるの
で第46図に示すようにMESFET動作に必要なドレイン電流
のゲート電圧の正負に関する非対称な特性が得られた。 尚,本実施例ではNbをドープしたSrTiO3を用いたが,
キャリア濃度が1021(1/cm3)以下であれば,これ以外
のキャリアを生ぜしめた絶縁体も適することは言うまで
もない。 また、第6図(a),(b)において逆方向特性のブ
レークダウン電圧は温度低下に伴い減少し,その温度依
存性はNbドープ量の増加に伴い減少する傾向を示す。こ
れよりこのブレークダウンはアバランシブレークダウン
が支配的であり,これにツェナーブレークダウンの寄与
が加わるといえる。ツェナーブレークダウンの寄与はNb
ドープ量の増加に伴い,接合間のショットキー障壁を形
成するエネルギーバンドの傾きが急峻になると増大する
傾向を示している。 次にこのブレークダウン特性を利用した酸化物超電導
素子の製造例を,第1図(a)の素子について説明す
る。第4図(a)のようにNbを0.05wt%ドープしたSrTi
O3基板からなるキャリアを生じ使めた絶縁体1上に厚さ
0.2μmのEr−Ba−Cu−O薄膜からなる酸化物超電導体
2′を形成し,さらに電子線リソグラフィ法及びArイオ
ンエッチング法を用いて加工し,ソース超電導電極2,ド
レイン超電導電極3を間隙0.2μmに形成した(第4図
(b))。次にリフトオフ法を用いてSiOxを100Å蒸着
し,ゲート絶縁膜4を形成した(第4図(c))。次に
CVD法を用いてPSG(Phosphosilicate glass)を膜厚0.2
μm成膜,さらに光リソグラフィ法を用いて,ゲート電
極5を形成し(第4図(d)),酸化物超電導体とキャ
リアを生じしめた絶縁体との接合構造部分のエネルギー
障壁を通過するキャリアを制御する手段とし,第1図
(a)に示した酸化物超電導素子を得た。 次にこの酸化物超電導素子の動作原理を説明する。第
1図(b)に示す様に,ゲート電圧,ドレイン電圧を定
める。A−A′間のエネルギー図を第2図(a),
(b)に示す。第2図(a)のゲート電圧Vg=0では,
接合間のショットキー障壁を形成するエネルギーバンド
の傾きは緩やかであり,Vs−Vd間の電流−電圧特性は第
3図(a)となり,超電導電流は観測されない。第2図
(b)に示したようにゲート電圧Vg≠0の時,特に,Nb
をドープしたSrTiO3のように不純物をドープした絶縁体
1の多数キャリアが電子の場合にはVg<0とするが,こ
の時,接合間のショットキー障壁を形成するエネルギー
バンドの傾きは急峻となり,ショットキー障壁をトンネ
ルする確率は増加する。さらに本実施例のNbをドープし
たSrTiO3のように移動度が大きい半導体では半導体中の
コヒーレンス長は長く,さらにアバランシ現象によるキ
ャリア濃度の増大も,半導体中のコヒーレンス長の増大
を助長する。このような半導体中のコヒーレンス長の増
大と前述のトンネル確率の増大により,酸化物超電導体
のクーパ対はショットキー障壁をトンネル可能となり,
これよりソース超電導電極2,ドレイン超電導電極3間に
超電導電流が流れる。実際,第3図(b)に示した様に
ゲート電圧Vg=−1Vの時,約80μAの最大超電導電流が
観測された。以上より,ゲート電圧によってドレイン電
流を制御することができ,これより三端子型の酸化物超
電導素子が実現できた。尚,基板側の電流のリークを防
ぐため,たとえばSrTiO3基板上にスパッタリング法を用
いてNbをドープしたSrTiO3薄膜を形成し,井戸領域を形
成することは本発明の目的の達成に有効であることは言
うまでもない。 尚,本実施例では絶縁体SrTiO3に不純物としてNbをド
ープした。SrTiO3にドープするこれ以外の不純物は次の
ようにして選択した。絶縁体にドープする不純物元素の
原子価については,一般に,ドープにより置換される元
の絶縁体の元素の原子価と、ドープする不純物元素の原
子価との差異が増加すると、キャリア濃度は増加する。
このとき絶縁体の結晶性は低下し,酸化物超電導体との
整合性は劣化する傾向を示す。従ってキャリア濃度を増
加させることはこの原子価の差異を増加させることによ
り,また,超電導特性,界面接合特性を良好にし,キャ
リア濃度を減少させることはこの原子価の差異を減少さ
せることにより実現できる。さらにまた絶縁体にドープ
する不純物のドープ量については,一般にこれを増加さ
せるとキャリア濃度は増加するが,この絶縁体の結晶性
は低下し,酸化物超電導体との接合性は劣化する傾向を
示す。従ってキャリア濃度を増加させることは不純物の
ドープ量を増加させることにより,また,超電導特性,
界面接合特性を良好にし,キャリア濃度を減少させるこ
とは不純物のドープ量を減少させることにより,実現で
きる。 たとえば以下の如くドープする不純物元素を選択する
ことができる。SrTiO3の構成元素に関して化学便覧基礎
編II改訂3版(日本化学会編,1984年,丸善株式会社)
によると、Tiは原子価4をとり,Ti4+はイオン半径0.75
Å,配位数6をとる。従って,ドープによりSrTiO3のTi
サイトを置換する不純物としては、イオン半径0.76Å,
配位数6に近いものが望ましい。たとえば原子価3のも
のでは,イオン半径0.88Å,配位数6であるSc, イオン半径0.68Å,配位数6であるAl, イオン半径0.76Å,配位数6であるGa, イオン半径0.94Å,配位数6であるIn, イオン半径0.58Å,配位数6であるP,からなる元素群か
ら選ばれた少なくとも一者,原子価5のものでは, イオン半径0.68Å,配位数6であるV, イオン半径0.78Å,配位数6であるTa, イオン半径0.75Å,配位数6であるMo, イオン半径0.76Å,配位数6であるW, イオン半径0.60Å,配位数6であるAs, イオン半径0.74Å,配位数6であるSb, イオン半径0.90Å,配位数6であるBi,からなる元素群
から選ばれた少なくとも一者,或いはまたSrは原子価2
でありイオン半径1.32Åであるので,原子価3でありイ
オン半径1.17ÅであるLa,原子価3でありイオン半径1.1
5ÅであるCe,同様にして,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,
Er,Tm,Yb,Luからなる元素群から選ばれた少なくとも一
者,或いはまた酸素を置換するものとしてF,Cl等のハロ
ゲンから選ばれた少なくとも一者,とすればこれらのイ
オン半径,配位数は置換される原子のそれと差異が小さ
いので望ましく,SrTiO3にドープする不純物として好適
である。 次に第7図及び第8図を用いて本発明の第2の実施例
を説明する。本実施例は電磁波検出器についての実施例
である。本発明の第1の実施例と同様にして,Nbを0.05w
t%ドープしたSrTiO3からなる不純物をドープした絶縁
体1上に,高周波スパッタリング法を用いて,膜厚約50
0ÅのEr−Ba−Cu−Oからなる酸化物超電導体2′を成
膜し,第7図(a)の如く酸化物超電導体とキャリアを
生ぜしめた絶縁体との接合構造を形成した。さらにこの
接合体を酸化物超電導体2′の超電導臨界温度以下に冷
却し,光ファイバ7により酸化物超電導体2′の上部か
らエネルギーhνなる遠赤外光を照射した。酸化物超電
導体2′の膜厚は約500Åと薄く,照射光はこれを透過
し,NbをドープしたSrTiO3と酸化物超電導体との接合界
面に到達できる。或いはまた第7図(b)に示した如
く,エネルギーhνなる遠赤外光を側面から照射し,直
接,接合界面に達する如くした。NbをドープしたSrTiO3
はアース電位とし,酸化物超電導体2′には電圧V(<
0)を印加した。この時のB−B′間のエネルギーバン
ド図を第8図に示す。酸化物超電導体2′は超電導状態
にあるのでフェルミエネルギーEFを中心に超電導ギャッ
プ2Δが開いている。照射した遠赤外光のエネルギーh
νをこの超電導ギャップ2Δ程度あるいはそれ以上とす
ればフェルミエネルギーに凝縮していたクーパ対は励起
され準粒子となる。酸化物超電導体2′は電圧V(<
0)が印加されているので,接合間のショットキー障壁
を形成するエネルギーバンドの傾きは急峻であり,生成
した準粒子はNbをドープしたSrTiO3側へ注入される。さ
らにアバランシ現象により,注入された準粒子は倍増さ
れ,大きな出力電流となる。これにより電磁波,特に酸
化物超電導体のエネルギーギャップ2Δ程度のエネルギ
ーを有する電磁波の検出に有効な電磁波検出器が実現で
きる。 次に第9図ないし第12図を用いて本発明の第3の実施
例を説明する。本実施例はキャリアを生ぜしめた絶縁体
と酸化物超電導体との間に緩衝膜を設け,両者間の導電
性を向上させた例である。本発明の第1の実施例と同様
にして,Nbを0.5wt%ドープしたSrTiO3からなる不純物を
ドープした絶縁体1を形成した。次に,この上にメタル
マスクを用いてAuを約0.3μm成膜,緩衝膜6とし,接
合面積約0.1cm2のAu/NbをドープしたSrTiO3接合を形成
した(第9図)。第10図(a)にAu成膜直後のこの接合
間の電流−電圧特性を示す。特性は非線形であり,接合
間にエネルギー障壁が存在することを示している。次に
この接合体を450℃で2時間,窒素雰囲気中で熱処理し
た。その後のこの接合間の電流−電圧特性を第10図
(b)に示す。測定温度は室温及び4.2Kである。特性は
線形でありオーミックコンタクトが得られたことを示し
ている。抵抗も4.2Kにおいて約0.02Ωと極めて小さく,
熱処理によって良好な接合が得られたことがわかる。 次に,Auの膜厚を500Åとする以外は上記と同様にして
Nbを0.5wt%ドープしたSrTiO3基板上にAuを成膜,熱処
理を施し,その後,この上に本発明の第1の実施例と同
様にして,高周波スパッタリング法を用いてEr−Ba−Cu
−Oを成膜,光リソグラフィを用いて加工し,酸化物超
電導体2′を形成した(第11図)。酸化物超電導体2′
とAuからなる緩衝膜6との接合面積は約0.001cm2であ
る。この接合間の電流−電圧特性を第12図に示す。測定
温度は77Kである。これより酸化物超電導体2′とNbを
ドープしたSrTiO3からなる不純物をドープした絶縁体1
との間の導電性は、Auからなる緩衝膜6を挿入し,熱処
理を施したことにより向上したことがわかる。尚,本実
施例では緩衝膜6としてAuを用いたが,高温下において
も安定で,反応しにくく,さらに超電導体と接合させた
場合,近接効果によるクーパ対のしみだし量が大きいA
g,Pt,Pdを用いることもできる。 次に,第13図ないし第18図を用いて本発明の第4の実
施例を説明する。本実施例は絶縁体にキャリアを生ぜし
め,これに酸化物超電導体を成膜した例である。絶縁体
SrTiO3に不純物としてNbをドープするため,SrTiO3結晶
育成時にNb2O5を混入させた。Nbのドープ量が0.05wt%
となるように混入させた。育成後の得られた結晶は黒色
であり明らかにキャリアが存在していた。van der Pauw
法によるHall測定の結果,キャリアは電子,すなわちn
型で液体窒素温度においてキャリア濃度n=2.7×1019
(1/cm3),移動度μ=195(cm2/V/sec),抵抗率ρ=
2.7×10-3(Ω・cm)が得られた。次に,四端子法によ
り抵抗率の温度依存性を測定した。その結果を第14図に
示す。これより抵抗率は温度低下とともに減少し,すな
わち金属的な傾向を示し,このNbをドープしたSrTiO3
縮退半導体であることがわかる。次にこのNbをドープし
たSrTiO3結晶をウエハ状に切り出し,表面を鏡面研磨し
た。さらに,100℃の熱リン酸に7分間浸すことにより,
表面をエッチングし,表面の汚染,及び結晶欠陥,歪,
等を除去し,キャリアを生じしめた絶縁体1を形成し
た。次に高周波スパッタリング法を用いて,この上にEr
−Ba−Cu−Oからなる酸化物超電導体8を成膜し,第13
図に示すように,酸化物超電導体とキャリアを生じしめ
た絶縁体との接合構造を形成した。またこのようにして
得られた酸化物超電導体の超電導臨界温度は抵抗率測定
より75Kであり,NbをドープしていないSrTiO3基板上に同
様の条件で成膜した時とほぼ同様の結果が得られた。こ
れよりNbをドープしたSrTiO3基板上に成膜した酸化物超
電導体の超電導性は,NbをドープしていないSrTiO3基板
上に成膜した時と同様に良好であることが確認できた。
次に第15図に示す様に,酸化物超電導体8については銀
ペーストにより,不純物をドープした絶縁体1について
は超音波In半田により,電極をとり,電流−電圧特性を
測定した。室温における結果を第16図に示す。特性は直
線,すなわちオーミックではなく,ダイオード特性に特
有な非線形性が確認できる。この場合,酸化物超電導体
8とキャリアを生じしめた絶縁体または半導体1との間
の導電性,すなわち抵抗は,約500mVにおいて約5kΩで
あった。第17図にこのダイオード特性から予想される第
15図のA−A′間のエネルギーバンド図を示す。酸化物
超電導体,すなわちA側は金属的でありフェルミレベル
EFまで電子に占有されている。不純物をドープした絶縁
体,すなわちA′側はバンドギャップが存在し,その中
に不純物であるNb固有の不純物レベルが存在する。特に
温度T=OKではフェルミレベルEFは伝導帯の下端とNb不
純物レベルの中間に位置すると考えられる。酸化物超電
導体と不純物をドープした絶縁体との界面付近では,不
純物をドープした絶縁体のバンドは曲がる。このバンド
の曲がりにより電流−電圧特性にダイオード特性に特有
な非線形性が生じると考えられる。さらにこのバンドの
曲がりは不純物のドープ量や,不純物の種類に固有な不
純物レベルの位置に依存し変化する。従って,製造する
素子の所望の機能に応じて適当な不純物のドープ量や不
純物の種類を設定することになる。たとえば本実施例の
Nbの0.05wt%ドープに対し,さらにドープ量を増せばバ
ンドの曲がりはさらに急峻となり,トンネリングによる
フィールドエミッション現象が支配的になる。これに対
しドープ量を減らせばバンドの曲がりは緩くなり,サー
モイオニックエミッション現象が支配的になる。次に第
18図に酸化物超電導体の超電導臨界温度以下の温度にお
ける,予想される第15図のA−A′間のエネルギーバン
ド図を示す。酸化物超電導体,すなわちA側はフェルミ
レベルEFにおいて2Δ(但しΔは酸化物超電導体のエネ
ルギーギャップである。)のギャップが開く。これより
電流−電圧特性にはΔに基づいたスーパー−ショットキ
特性が現れ,これを利用することによりたとえば電磁波
検出器,ミキサが実現可能となることは言うまでもな
い。 尚,本実施例では高周波スパッタリングは,雰囲気A
r:O2=1:1,圧力30mTorr,基板−ターゲット間距離3cm,基
板加熱温度730℃,の条件で3時間20分行った。得られ
た酸化物超電導体の膜厚は約0.7μmであった。 また,本実施例では酸化物超電導体と接合させる,キ
ャリアを生じしめた絶縁体としてSrTiO3(格子定数は3.
905Å)を用いた。酸化物超電導のa軸またはb軸の格
子定数はLa−M−Cu−O(M=Ca,Sr,Ba)系がおよそ3.
8Å,Ln−Ba−Cu−O(Ln=Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,
Tm,Yb,Lu)系がおよそ3.9Å,Bi−Sr−(Ca,Y)−Cu−O
系がおよそ5.4Å,Tl−Ba−Ca−Cu−O系がおよそ5.4Å
である。従って、上記SrTiO3以外の酸化物超電導体と接
合させる,キャリアを生ぜしめた絶縁体としては,格子
定数の上記酸化物超電導体の格子定数との差異が小さい
方が,接合の際の格子不整合性が小さく望ましい。両者
の格子定数の差異は50%以下,より望ましくは3%以下
がよい。さらにまた膨張率についても同様であり,両者
の膨張率の差異はたとえば10倍以下,より好ましくは2
倍以下がよい。 また,本実施例ではウエハ状に切り出したSrTiO3結晶
はその表面を熱リン酸によりエッチングした後,スパッ
タリング法を用いて酸化物超電導体Er−Ba−Cu−Oを成
膜した。一方,不純物をドープしていないSrTiO3は還元
処理により酸素が欠損しても導電性を示すことが知られ
ている。従ってウエハ状に切り出したSrTiO3をその表面
を熱リン酸によりエッチング後,高周波スパッタリング
をたとえばAr雰囲気中で行い,表面の汚染を除去すると
共に,酸素欠損を生じさせ,表面にこれによる導電性を
与え,その後,酸化物超電導体を成膜しても本実施例と
同様に,キャリアを生ぜしめた絶縁体と酸化物超電導体
とを結合できることになる。 また、本実施例では絶縁体SrTiO3に不純物としてNbを
0.05wt%ドープした。本来,ドープした不純物は置換に
より元の結晶のいずれのサイトに入るか,或いは置換で
はなく格子間に入るか,明確に断定することは困難であ
る。しかし,今,Nbが全てTiサイトに入ると仮定しSr(T
i1−xNbx)O3と書けば、0.05wt%のドープはx〜0.001
のドープと等価となる。一般に不純物のドープ量を増加
させる,すなわちxを増加させると,キャリア濃度は増
加し,不純物のドープ量を減少させる。すなわちxを減
少させると,キャリア濃度は減少する。従って製造する
素子の所望の機能に応じて適当なドープ量を選ぶことが
できる。すなわち、上述した不純物のドープ量の変化に
よりバンドの曲がりが変化するのと同様である。また,
本実施例では液体窒素温度においてキャリア濃度n=2.
7×1019(1/cm3),移動度μ=195(cm2/V/sec),抵抗
率ρ=2.7×10-3(Ωcm)であった。これらの値も製造
する素子の所望の機能に応じて適当に選ぶことができ
る。さらにまたこれらは液体窒素温度における物性値で
あるが,室温,液体ヘリウム温度などいずれの温度につ
いても同様の物性値を選ぶことができる。さらにまた本
実施例はSrTiO3におけるNbとTiとの置換に関するもので
あるが,Nb以外の元素とTiとの置換,またはSrTiO3にお
けるSrまたはOとの置換,または絶縁体のSrTiO3のみな
らずMgO,YSZまたはAl2O3またはこれ以外の,酸化物超電
導体が超電導性を示す絶縁体を構成する元素との置換,
についても同様の物性値を選べ得ることは言うまでもな
い。 次に第19図を用いて本発明の第5の実施例を説明す
る。本実施例は酸化物超電導体とキャリアを生じしめた
絶縁体または半導体との接合界面についての実施例であ
り,特に,キャリアを生ぜしめた絶縁体の表面の導電性
が低い場合に有用なものである。第4の実施例ではキャ
リアを生じしめた絶縁体に,高周波スパッタリングをた
とえばAr雰囲気中で行い,表面の汚染を除去すると共
に,酸素欠損を生じさせ,表面に導電性を与え,その
後,酸化物超電導体を成膜してもよいことを説明した。
SrTiO3は酸素欠損により導電性を生じるが,酸素欠損に
より導電性を生じないようなキャリアを生じしめた絶縁
体についても,特に,その表面を導電性が低い場合に
は,高周波スパッタリングにより表面層を除去する処理
は有用である。以下本実施例を説明する。 不純物としてNbを0.1wt%ドープしたSrTiO3基板に対
し,Ar雰囲気中で,圧力5mTorr,出力50Wの条件で,高周
波スパッタリングを10分間行い、表面層を除去し,キャ
リアを生じしめた絶縁体1を形成する。次にこの基板を
大気にさらすことなく,真空蒸着法によりAuを約20Å成
膜し,緩衝膜6を形成する。これにより基板表面は十分
な導電性を有したと考えられる。次にマイクロ波プラズ
マ反応性蒸着法を用いてY−Ba−Cu−Oを成膜し,酸化
物超電導体8を形成する。緩衝膜6は約20Åと薄いた
め、酸化物超電導体8は下地のキャリアを生じしめた絶
縁体1の影響を受け,緩衝膜6がない場合とほぼ同様の
超電導特性を示す。つまり,緩衝膜6により酸化物超電
導体8の超電導特性を損なうことなく,導電性を有し接
合に好適なキャリアを生じしめた絶縁体1を得ることが
できる。また,緩衝膜6は、酸化物超電導体8とキャリ
アを生じしめた絶縁体1との反応を抑制する働きを有す
ることは言うまでもない。尚,緩衝膜6を構成する材料
はAuに限らず,たとえばIn,Nb,Ag,Cu等であってもよ
い。また,緩衝膜6の膜厚は下地のキャリアを生じしめ
た絶縁体または半導体1の影響を残すため薄いことが好
ましく,たとえば100Å以下,より好ましくは20Å以下
がよい。 次に第20図ないし第22図を用いて本発明の第6の実施
例を説明する。本実施例は超電導トランジスタについて
の実施例である。Nbを0.05wt%ドープしたSrTiO3を面方
位(100)を基板として用い,キャリアを生じしめた絶
縁体または半導体1とする。表面を熱リン酸により十分
エッチングした後,基板加熱温度約730℃で高周波マグ
ネトロンスパッタリング法により酸化物超電導体Er−Ba
−Cu−Oを成膜する。レジスト塗布後,電子ビームリソ
グラフィ法,Arイオンエッチング法を用いて加工し,幅
約5μm,間隙約0.2μmでソース超電導電極2,ドレイン
超電導電極3を形成する。次に化学的気相成長法により
SiOxを約50Å形成し,ゲート絶縁膜4とした。次に化学
的気相成長法によりPSG(Phosphosilicate glass)を約
1000Å形成し,ゲート電極5とする。このようにして得
られる超電導トランジスタのドレイン電流ID−ドレイン
電圧VD特性のゲート電圧VG依存性を第21図に示す。VG
0ではソース超電導電極2,ドレイン超電導電極3間には
超電導電流は流れず,スーパー−ショットキー特性を示
している。VG≠0ではソース超電導電極2,ドレイン超電
導電極3間には最大超電導電流Imの超電導電流が流れる
ことを示している。さらにこのようにして得られた超電
導トランジスタを用い、たとえば第22図のように負荷抵
抗を接続することにより,否定論理を実現することがで
きる。 尚,本実施例では面方位(100)を基板として用い
た。この時,酸化物超電導体はc軸配向する。さらに,
酸化物超電導体のコヒーレンス長はc軸方向が短く,a
軸,b軸方向が長い。また超電導トランジスタは超電導体
から半導体にしみだした超電導波動函数のしみだし量を
制御することにより動作させる。従って,面方位(11
0)を基板として用い,a軸,b軸配向させれば半導体にし
みだした超電導波動函数のしみだし量が増加し,増幅率
の大きい超電導トランジスタが実現できる。 また,本実施例ではソース超電導電極2,ドレイン超電
導電極3の間隙を約0.2μmとした。素子特性,たとえ
ば増幅率を最適化する間隙は、不純物のドープ量,種類
などに依存する。製造を容易にするためにはこの間隔は
広い方が好ましいが、超電導波動函数のしみだし量を増
加させるためには,狭い方が好ましい。 また,本実施例ではソース超電導電極2,ドレイン超電
導電極3の幅を約5μmとした。最大超電導電流Imを増
加させるためにはこの幅をより広く,減少させるために
はこの幅をより狭くすればよいことは言うまでもない。 次に第23図を用いて本発明の第7の実施例を説明す
る。本実施例は所望の位置にn型領域,またはp型領域
を作製する製造方法に関するものである。結晶育成時に
Nbを0.01wt%ドープしたSrTiO3を面方位(100)に切り
出し,第23図(a)に示すように,n型の,キャリアを生
じしめた絶縁体または半導体1を形成する。次に化学的
気相成長法(CVD法)によりSiOxを形成し,さらに,光
リソグラフィ,CF4を用いたドライエッチングにより所望
の位置に窓を開け,第23図(b)に示すように,SiOx46
を形成する。次にイオンインプランテーション法により
加速電圧10kVにてGaを打ち込み,その後,SiOxをエッチ
ングする。これより第23図(c)に示すように所望の位
置にp型領域を作製できる。尚,イオンインプランテー
ションの加速電圧を変化させることにより,p型領域の深
さを制御できることは言うまでもない。また,本実施例
では、SrTiO3にp型を与えるものとしてGaを打ち込んだ
が,これ以外にもたえとえばAlまたはInを用いることが
でき,またはn型を与えるものとしてSbを打ち込んでも
よい。これらのイオン半径はTiのそれに近いので,本実
施例と同様の効果が得られる。 次に第24図ないし第28図を用いて本発明の第8の実施
例を説明する。本実施例は酸化物超電導体と半導体との
接合構造において,さらにこの半導体にn型領域とp型
領域との接合構造を含むものである。Nbを0.005wt%ド
ープしたSrTiO3基板,すなわちキャリアを生ぜしめた絶
縁体1に、本発明の第7の実施例と同様にしてイオンイ
ンプランテーション法を用いてGaを打ち込み,p+領域を
形成する。次にこのp+領域内に同様にしてSbを打ち込
み,n+領域を形成する。次にAr雰囲気中で高周波スパッ
タリングを行い,表面を洗浄した後,大気にさらすこと
なく,このままスパッタリング法を用いて酸化物超電導
体Y−Ba−Cu−Oを約0.7μm成膜する。次にレジスト
塗布後,光リソグラフィ法を用い,約0.3%硝酸により
酸化物超電導体Y−Ba−Cu−Oをエッチング加工し,超
電導電極9を形成して,第24図の素子を得る。第25図
に、第24図のB−B′間の予想されるエネルギーバンド
図を示す。また比較のため,第26図に、酸化物超電導体
と半導体との接合構造において,この半導体がn型領域
とp型領域との接合構造を含まず,n型領域のみである場
合の素子(断面図)を示す。第27図は、第26図のC−
C′間の予想されるエネルギーバンド図である。第25図
と第27図とを比較すると、前者の方がバンドの曲がりが
多く,すなわち空乏層の領域が多く,キャリアの遮蔽効
果が弱く,従って電場の効果が大きくなることがわか
る。 次に第28図に,半導体中に設けたn型領域とp型領域
との接合領域に電場をかける超電導トランジスタの実施
例を示す。第24図と同様にしてn型領域とp型領域との
接合構造を形成する。次にソース超電導電極2,ドレイン
超電導電極3を,それぞれがn型領域,p型領域に位置す
るように形成する。次にゲート絶縁膜4,ゲート電極5を
形成し,第28図の素子を得る。これよりゲート電圧によ
る電場の効果が十分得られるので,増幅率の大きい超電
導トランジスタが実現できる。 次に第29図ないし第33図を用いて本発明の第9の実施
例を説明する。本実施例は絶縁体にキャリアを生ぜし
め,これに酸化物超電導体を成膜した例である。絶縁体
KTaO3に不純物としてCaをドープするため,KTaO3結晶育
成時にCaCO3を混入させた。Caのドープ量が1mol%とな
るように混入させた。van der Pauw法によるHall測定の
結果,液体窒素温度においてキャリア濃度n=1×1019
(1/cm3),移動度μ=500(cm2/V/sec)が得られた。
次に,このCaをドープしたKTaO3結晶をウエハ状に切り
出し,表面を鏡面研磨した。さらに,100℃の熱リン酸に
7分間浸すことにより,表面をエッチングし,表面の汚
染,及び結晶欠陥,歪,等を除去し,キャリアを生じし
めた絶縁体1を形成した。次に高周波スパッタリング法
を用いて,この上にEr−Ba−Cu−Oからなる酸化物超電
導体8を成膜し,第29図に示すように,酸化物超電導体
とキャリアを生じしめた絶縁体との接合構造を形成し
た。またこのようにして得られた酸化物超電導体の超電
導臨界温度は抵抗率測定より75Kであり,Caをドープして
いないKTaO3基板上に同様の条件で成膜した時とほぼ同
様の結果が得られた。これよりCaをドープしたKTaO3
板上に成膜した酸化物超電導体の超電導性は,Caをドー
していないKTaO3基板上に成膜した時と同様に良好であ
ることが確認できた。次に第30図に示す様に,酸化物超
電導体8については銀ペーストにより,不純物をドープ
した絶縁体または半導体1については超音波In半田によ
り,電極をとり,電流−電圧特性を測定した。室温にお
ける結果を第31図に示す。特性は直線,すなわちオーミ
ックではなく,ダイオード特性に特有な非線形性が確認
できる。この場合,酸化物超電導体8とキャリアを生じ
しめた絶縁体1との間の導電性,すなわち抵抗は,約50
0mVにおいて約5kΩであった。第32図にこのダイオード
特性から予想される第30図のA−A′間のエネルギーバ
ンド図を示す。酸化物超電導体,すなわちA側は金属的
であり、フェルミレベルEFまで電子に占有されている。
不純物をドープした絶縁体,すなわちA′側はバンドギ
ャップが存在し,その中に不純物であるCa固有の不純物
レベルが存在する。特に温度T=OKではフェルミレベル
EFは伝導帯の下端とCa不純物レベルの中間に位置すると
考えられる。酸化物超電導体と不純物をドープした絶縁
体との界面付近では,不純物をドープした絶縁体のバン
ドは曲がる。このバンドの曲がりにより電流−電圧特性
にダイオード特性に特有な非線形性が生じると考えられ
る。さらにこのバンドの曲がりは不純物のドープ量や,
不純物の種類に固有な不純物レベルの位置に依存し変化
する。従って,製造する素子の所望の機能に応じて適当
な不純物のドープ量や不純物の種類を設定することにな
る。たとえば本実施例のCaの1mol%ドープに対し,さら
にドープ量を増せばバンド曲がりはさらに急峻となり,
トンネリングによるフィールドエミッション現象が支配
的になる。これに対しドープ量を減らせばバンドの曲が
りは緩くなり,サーモイオニックエミッション現象が支
配的になる。次に第33図に酸化物超電導の超電導臨界温
度以下の温度における,予想される第30図のA−A′間
のエネルギーバンド図を示す。酸化物超電導体,すなわ
ちA側はフェルミレベルEFにおいて2Δ(但しΔは酸化
物超電導体のエネルギーギャップである。)のギャップ
が開く。これより電流−電圧特性にはΔに基づいたスー
パー−ショットキー特性が現れ,これを利用することに
よりたとえば電磁波検出器,ミキサが実現可能となるこ
とは言うまでもない。 尚,本実施例では高周波スパッタリングは,雰囲気A
r:O2=1:1,圧力30mTorr,基板−ターゲット間距離3cm,基
板温度730℃,の条件で3時間20分行った。得られた酸
化物超電導体の膜厚は約0.7μmであった。 また,本実施例では酸化物超電導体と接合させる,キ
ャリアを生ぜしめた絶縁体してKTaO3(格子定数は3.988
5Å)を用いた。酸化物超電導体のa軸またはb軸の格
子定数はLa−M−Cu−O(M=Ca,Sr,Ba)系がおよそ3.
8Å,Ln−Ba−Cu−O(Ln=Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,
Tm,Yb,Lu)系がおよそ3.9Å,Bi−Sr−(Ca,Y)−Cu−O
系がおよそ5.4Å,Tl−Ba−Ca−Cu−O系がおよそ5.4Å
である。従って上記KTaO3以外の酸化物超電導体と接合
させる,キャリアを生じしめた絶縁体としては,格子定
数の上記酸化物超電導体の格子定数との差異が小さい方
が,接合の際の格子不整合性が小さく望ましい。両者の
格子定数の差異はたとえば50%以下,より望ましくは3
%以下とするのが好ましい。さらにまた膨張率について
も同様であり,両者の膨張率の差異はたとえば10倍以
下,より好ましくは2倍以下がよい。 また,本実施例ではウエハ状に切り出したKTaO3結晶
はその表面を熱リン酸によりエッチングした後,スパッ
タリング法を用いて酸化物超電導体Er−Ba−Cu−Oを成
膜した。一方,不純物をドープしていないKTaO3は還元
処理により酸素が欠損しても導電性を示すので,ウエハ
状に切り出したKTaO3をその表面を熱リン酸によりエッ
チング後,高周波スパッタリングをたとえばAr雰囲気中
で行い,表面の汚染を除去すると共に,酸素欠損を生じ
させ,表面にこれによる導電性を与え,その後,酸化物
超電導体を成膜しても本実施例と同様に,キャリアを生
じ使めた絶縁体と酸化物超電導体とを結合できることに
なる。 また,本実施例では絶縁体KTaO3に不純物としてCaを1
mol%ドープした。本来,ドープした不純物は置換によ
り元の結晶のいずれのサイトに入るか,或いは置換では
なく格子間に入るか,明確に断定することは困難であ
る。しかし,今,Caが全てKサイトに入ると仮定し(K1
−xCax)TaO3と書けば,不純物のドープ量を増加させ
る,すなわちxを増加させると,キャリア濃度は増加
し,不純物のドープ量を減少させる,すなわちxを減少
させるとキャリア濃度は減少する。従って製造する素子
の所望の,機能に応じて適当なドープ量を選べることに
なる。すなわちこれは上記,不純物のドープ量の変化に
よりバンドの曲がりが変化するのと等価である。また,
本実施例では液体窒素温度においてキャリア濃度n=1
×1019(1/cm3),移動度μ=100(cm2/V/sec)であっ
た。これらの値も製造する素子の所望の機能に応じて適
当に選ぶ必要ことができる。さらにまたこれらは液体窒
素温度における物性値であるが,室温,液体ヘリウム温
度などいずれの温度についても同様の物性値を選ぶこと
ができる。さらにまた本実施例はKTaO3におけるCaとK
との置換に関するものであるが、K以外の元素とCaとの
置換,またはKTaO3におけるKまたはOとの置換につい
ても同様の物性値を選べ得ることは言うまでもない。 さらにまたKTaO3に限らず,酸化物超電導体が超電導
性を示す絶縁体基板LaGaO3,NdGaO3,LaAlO3,AlGaO3,LiNb
O3についても,これらにドープする不純物としては本発
明の第1の実施例におけるSrTiO3と同様に次のように選
択することができる。LaGaO3,NdGaO3,LaAlO3,AlGaO3,KT
aO3,LiNbO3の構成元素に関して化学便覧基礎編II改訂3
版(日本化学会編,1984年,丸善株式会社)によるとGa
は原子価3をとり,Ga3+はイオン半径0.76Å,配位数6
をとる。同様にAlは原子価3をとり,Al3+はイオン半径
0.68Å,配位数6をとる。またTaは原子価5をとり,Ta
5+はイオン半径0.78Å,配位数6をとる。またNbは原子
価5をとり,Nb5+はイオン半径0.78Å,配位数6をと
る。従って,ドープによりLaGaO3,NbGaO3のGaサイトを
置換する不純物としてはイオン半径0.76Å,配位数6に
近いものが望ましい。たとえば原子価2のものでは, イオン半径0.79Å,配位数6であるCo, イオン半径0.87Å,配位数6であるCu, イオン半径0.81Å,配位数6であるMn, イオン半径0.83Å,配位数6であるNi, からなる元素群から選ばれた少なくとも一者,原子価4
のものでは, イオン半径0.77Å,配位数6であるIr, イオン半径0.67Å,配位数6であるGe, イオン半径0.82Å,配位数6であるNb, イオン半径0.76Å,配位数6であるRu, イオン半径0.75Å,配位数6であるTi, イオン半径0.92Å,配位数6であるPb, からなる元素群から選ばれた少なくとも一者,原子価5
のものではイオン半径0.90Å,配位数6であるBi,或い
はまたLaは原子価3でありイオン半径1.17Å,Kは原子価
1でありイオン半径1.52Å,であるので, 原子価2でありイオン半径0.86ÅであるMg, 原子価2でありイオン半径1.14ÅであるCa, 原子価2でありイオン半径1.32ÅであるSr, 原子価2でありイオン半径1.49ÅであるBa, からなる元素群から選ばれた少なくとも一者,或いはま
た酸素を置換するものとしてF,Cl等のハロゲンから選ば
れた少なくとも一者,とすればこれらのイオン半径,配
位数は置換される原子のそれと差異が小さいので望まし
く,LaGaO3,NdGaO3,LaAlO3,AlGaO3,KTaO3,LiNbO3にドー
プする不純物として好適である。 次に第34図を用いて本発明の第10の実施例を説明す
る。本実施例は酸化物超電導体とキャリアを生じしめた
絶縁体との接合界面についての実施例であり,特に,キ
ャリアを生じしめた絶縁体の表面の導電性が低い場合に
有用なものである。第9の実施例ではキャリアを生ぜし
めた絶縁体1に,高周波スパッタリングをたとえばAr雰
囲気中で行い,表面の汚染を除去すると共に,酸素欠損
を生じさせ,表面に導電性を与え,その後,酸化物超電
導体を成膜してもよいことを説明した。LaGaO3は酸素欠
損により導電性を生じるが,酸素欠損により導電性を生
じないキャリアを生じしめた絶縁体についても,特に,
その表面の導電性が低い場合には,高周波スパッタリン
グにより表面層を除去する処理は有用である。以下本実
施例を説明する。 不純物としてGeを2mol%ドープしたLaGaO3基板に対
し,Ar雰囲気中で,圧力5mTorr,出力50Wの条件で,高周
波スパッタリングを10分間行い表面層を除去し,キャリ
アを生じしめた絶縁体1を形成する。次にこの基板を大
気にさらすことなく,真空蒸着法によりAuを約20Å成膜
し,緩衝膜6を形成する。これにより基板表面は十分な
導電性を有したと考えられる。次にマイクロ波プラズマ
反応性蒸着法を用いY−Ba−Cu−Oを成膜し,酸化物超
電導体8を形成する。緩衝膜6は約20Åと薄いため酸化
物超電導体8は下地のキャリアを生じしめた絶縁体1の
影響を受け,緩衝膜6がない場合とほぼ同様の超電導特
性を示す。つまり,緩衝膜6により酸化物超電導体8の
超電導特性を損なうことなく,導電性を有し接合に好適
なキャリアを生ぜしめた絶縁体1を得ることができる。
また,緩衝膜6は酸化物超電導体8とキャリアを生じし
めた絶縁体1との反応を抑制する働きを有することは言
うまでもない。さらにまた金属−半導体接合に形成され
るショットキー障壁の高さはこれら金属,半導体それぞ
れに固有の仕事関数の差に依存する。緩衝膜6と酸化物
超電導体8はいずれも金属であり、オーミックコンタク
トが得られるとすればショットキー障壁の高さは緩衝膜
6とキャリアを生じしめた絶縁体1によって決まる。従
って,緩衝膜6として適当な仕事関数を有する金属を選
択することにより所望のショットキー障壁の高さを実現
できることになる。尚,緩衝膜6を構成する材料はAuに
限らず,たとえばAg,Pt,In,Nb,Cu等であってもよい。ま
た,緩衝6の膜厚は下地のキャリアを生じしめた絶縁体
1の影響を残すため薄いことが好ましく,たとえば100
Å以下,好ましくは20Å以下がよい。 次に第35図を用いて本発明の第11の実施例を説明す
る。本実施例は所望の位置にキャリアの存在する領域を
作製する製造方法に関するものである。結晶育成時にCa
を0.1mol%ドープしたKTaO3を面方位(100)に切り出
し,第35図(a)に示すようにn型のキャリアを生じし
めた絶縁体1を形成する。次に化学的気相成長法により
SiOxを形成し,さらに,光リソグラフィ,CF4を用いたド
ライエッチングにより所望の位置に窓を開け,第35図
(b)に示すように,SiOx46を形成する。次にイオンイ
ンプランテーション法により加速電圧10kVにてGaを打ち
込み,その後,SiOxをエッチングする。これより第35図
(c)に示すように所望の位置にp型領域を作製でき
る。尚,イオンインプランテーションの加速電圧を適当
に選ぶことにより,p型領域の深さを制御できることは言
うまでもない。また,本実施例ではKTaO3に,p型を与え
るものとしてGaを打ち込んだが,これ以外にも、たとえ
ばAlまたはIn,またはn型を与えるものとしてSbを打ち
込んでもよい。これらのイオン半径はTaのそれに近いの
で,本実施例と同様の効果が得られる。 次に,第36図及び第37図を用いて本発明の第12の実施
例を説明する。第36図において,(100)面方位のSrTiO
3単結晶基板を還元処理として逆スパッタリングを行
い,キャリアを生じしめた絶縁体1とした。逆スパッタ
リングは、ターゲット板の直径が15cmの高周波スパッタ
リング装置を用いてAr圧40mTorr,出力300Wの条件で3時
間行った。これによりSrTiO3基板は酸素欠損が生じたと
考えられる。この時の基板の色は黒色であり,抵抗は2
端子測定で数Ωのオーダーであり,明らかにSrTiO3基板
にはキャリアが生じていた。本実施例では高周波スパッ
タリングはArガス中で行ったが,SrTiO3基板にキャリア
が生じれば酸素を混合させるなどこれ以外の適当なガス
を用いてもよいことは言うまでもない。またガス圧,出
力,時間等のスパッタリング条件を適当に選択すること
によりSrTiO3基板中に生じるキャリア数を適当に変えら
れることも言うまでもない。このようにして還元処理し
たSrTiO3基板は比較的安定で,高周波スパッタリングに
より生じた格子欠陥を回復させるため,空気中で熱処理
した。400℃の熱処理では基板の色は黒色のままで変化
はなく,欠損した酸素量にも変化がないと考えられる。
1100℃の熱処理では基板は白色と元の色に戻ったことか
ら少なくとも1100℃以上の熱処理では酸素が取り込ま
れ,欠損量が減少,酸素量は元に戻ると考えられる。し
かし,熱処理を真空中で行えば,1100℃以上の熱処理で
も酸素は取り込まれず,熱処理温度をより高温にするこ
とができる。このように熱処理に対して比較的安定であ
る。高周波スパッタリング還元処理を施したSrTiO3基板
上に、反応性蒸着法を用いて基板温度500℃で酸化物超
電導薄膜Y−Ba−Cu−Oを成膜した。成膜したY−Ba−
Cu−O薄膜は熱処理することなしに抵抗率の温度依存性
測定より超電導臨界温度81Kを示した。次にAZ系レジス
トを用いパターニングを行った後、1%硝酸によりエッ
チングを行い,一対の超電導電極9を約0.5μmの間隙
で形成した。次に液体窒素中で超電導電極9間に電流を
流し,4端子法で電流−電圧特性を測定した。その結果を
第37図に示す。これより,超電導電極9間には最大超電
導電流Imの超電導電流が流れることがわかる。すなわち
超電導波動函数が超電導電極9から,キャリアを生ぜし
めた絶縁体1へしみだすという近接効果が確認できる。
尚,適当なゲート電極,ゲート絶縁膜を設けることによ
り超電導波動函数のSrTiO3基板へのしみだし量を制御で
きること,すなわち三端子型の酸化物超電導素子が実現
できることは言うまでもない。また本実施例ではSrTiO3
基板は(100)面方位を用いた。従って酸化物超電導薄
膜Y−Ba−Cu−Oはc軸配向をしていた。Y−Ba−Cu−
O酸化物超電導体のコヒーレンス長はab面内方向がξab
≒30Å,c軸方向がξc≒5Åとc軸方向の方が短い。従
って,SrTiO3基板とこの上に成膜したY−Ba−Cu−O酸
化物超電導薄膜の界面に不純物が存在すると,SrTiO3
板への超電導波動函数のしみだしは,c軸配向する(10
0)SrTiO3基板よりも,c軸が基板面内に向く(110)SrTi
O3基板の方が起こりやすい。つまり(110)SrTiO3基板
は超電導波動函数のしみだしに有利と言える。 また本実施例では高周波スパッタリング法により還元
処理を施したが,酸素欠損が生じればSrTiO3にはキャリ
アが生じると考えられるので,水素雰囲気,もしくは窒
素雰囲気,もしくは真空中でアニールし還元処理を施し
ても本発明の目的を達成できることは言うまでもない。 次に本発明の第13の実施例を説明する。本実施例はSr
TiO3基板に不純物としてNbをドープし,SrTiO3基板にキ
ャリアを生じさせるものである。SrTiO3基板に約1×10
-10Torrの高真空中で電子ビーム蒸着によりNbを約20Å
蒸着し,その後,高真空を保ったまま基板温度約1100℃
で128時間アニールし,表面のNbをSrTiO3基板内部に拡
散させた。このようにしてNbをドープさせたSrTiO3基板
にはキャリアが存在するので,この基板上に酸化物超電
導薄膜を成膜すれば,本発明の第12の実施例と同様に近
接効果を利用した酸化物超電導素子が実現できる。尚,
本実施例では上記の条件でNbをドープしたが,Nbの成膜
膜厚や基板温度,加熱時間を適当に変えることによりNb
のSrTiO3内の濃度分布,生じるキャリア濃度を適当に変
えられることは言うまでもない。また,本実施例ではSr
TiO3基板にはNbをドープしたが,SrTiO3基板にキャリア
が生じれば,これ以外の不純物たとえばTaをドープして
も本発明の目的を達成できることは言うまでもない。ま
た,本発明のドープ方法では拡散によるため不純物は深
さ方向に不均一に分布する。不純物を均一に分布させる
ためには,たとえばSrTiO3単結晶育成時に不純物を出発
原料中にあらかじめ混入させるなどの方法をとればよい
ことは言うまでもない。混入させる不純物としてはその
イオン半径がTiのイオン半径0.69Åに近いNb,Taなどが
適している。 次に第38図を用いて本発明の第14の実施例を説明す
る。基板10として(100)SrTiO3基板を用い,この上にN
bとSrTiO3をターゲットとしたスパッタリングによりNb
をドープしたSrTiO3薄膜を100Å形成し,キャリアを生
じしめた絶縁体1とした。次にスパッタリングにより基
板温度600℃の下で酸化物超電導薄膜Y−Ba−Cu−Oを
約2000Å成膜した。電子ビーム描画法によりパターニン
グし,ドライエッチングを用いて超電導電極9を形成し
た。次にCVD法によりSiO2を200Å成膜しゲート絶縁膜4
を形成し,さらにCVD法により多結晶シリコンを形成
し,ゲート電極5とした。これによりNbをドープしたSr
TiO31を通して超電導電極9間に超電導電流が流れる
が,その大きさをゲート電極5に印加するゲート電圧に
より制御できる。尚,本実施例ではNbをドープしたSrTi
O31とSrTiO3基板10を接合し、100Åという極めて薄いSr
TiO3層をチャネルとした。これによりチャネルを通る電
子は2次元電子ガスとして振舞い,散乱の少ない高移動
度が達成できる。 次に第39図を用いて本発明の第15の実施例を説明す
る。基板10として(110)SrTiO3基板を用い,この上に
スパッタリング法により基板温度600℃の下で超電導電
極9として酸化物超電導薄膜Y−Ba−Cu−Oを2000Å,
及び本発明の第14の実施例と同様にしてNbをドープした
SrTiO31を1000Å形成した。次にスパッタリング法によ
り基板温度600℃の下で酸化物超電導薄膜Y−Ba−Cu−
Oを約2000Å成膜し超電導電極9とした。次にAZ系レジ
ストを用いてパターニングしドライエッチング法により
加工した。次にCVD法によりSiO2を200Å成膜しゲート絶
縁膜4を形成し,さらにCVD法により多結晶シリコンを
形成し,ゲート電極5とした。超電導近接効果により超
電導電極9間に超電導電流を流すためには、介在する半
導体の距離は1μm以下にする。さらに半導体中のコヒ
ーレンス長ξnは温度の1/2乗に反比例する。従ってた
とえば酸化物超電導体を用いて液体窒素温度において素
子を動作させるためには、液体ヘリウム温度における動
作よりも,介在する半導体の距離を約1/4と短くしなけ
ればならない。従って,超電導電極9及びNbをドープし
たSrTiO31を積層した本実施例はNbをドープしたSrTiO31
の膜厚を簡単に薄くできるので本発明の第14の実施例よ
りも超電導電極間の半導体の距離を短くしやすく製造容
易というな特徴を有する。 次に第40図ないし第42図を用いて本発明の第16の実施
例を説明する。本実施例はスーパー−ショットキーダイ
オードに関するものである。不純物としてNbを0.04wt%
混入させた出発原料からSrTiO3単結晶を育成し,(11
0)面方位に切り出し,NbをドープしたSrTiO3をキャリア
を生じしめた絶縁体1とした。このNbをドープしたSrTi
O3の室温におけるキャリア濃度は約5×10181/cm3,移動
度は約5cm2/V・secであった。キャリア濃度はショット
トキーダイオードを作製する場合,サーモイオニックエ
ミッション現象を利用する場合は低濃度で十分である
が、トンネル現象を利用する場合は高濃度にしなければ
ならない。従って,目的に応じて出発原料中に混入する
不純物量を変えなければならないが,ほぼ0.0001wt%か
ら5wt%の範囲で十分である。特に本実施例では,トン
ネル現象を利用するものなので、不純物量は多くドープ
する必要がある。次にこのキャリアを生じしめた絶縁体
1上に反応性蒸着法により,基板温度500℃で酸化物超
電導薄膜Y−Ba−Cu−Oを1μm成膜し,酸化物超電導
体8を形成した。次にオーミックコンタクトをとるため
にメタルマスクを用いて金蒸着を行い,酸化物超電導体
8から電流端子I+,電圧端子V+をとった。第40図に
おけるAA′間のエネルギーバンド図を第41図に示す。超
電導臨界温度以下の温度では酸化物超電導体8は超電導
状態に転移し,超電導エネルギーギャップ2Δが開く。
キャリアを生じしめた絶縁体1は、SrTiO3にNbがドープ
されているものであるため、フェルミレベルEfは伝導帯
の下端とNb不純物レベルの間に位置しする。従って,SrT
iO3のエネルギーバンドは曲がる。この曲がり方は不純
物量に依存し,曲がり方は不純物が多いほど,急峻とな
る。この曲がり方を利用して様々な酸化物超電導素子が
設計できることになる。本実施例では多量の不純物のNb
がドープされているので、このバンドの曲がり方は急
峻,すなわちショットキー障壁の幅は薄くなる。従っ
て,酸化物超電導体8とキャリアを生じしめた絶縁体1
との間をキャリアはトンネルできることになる。第42図
に本実施例の液体窒素温度における電流−電圧特性を示
す。およそ電圧±Δよりコンダクタンスが変化してお
り,これよりスーパー−ショットキーダイオードの動作
を確認できる。
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,酸化物超電導
体が超電導性を示し得る絶縁体にキャリアが生じるの
で,酸化物超電導体と半導体とを結合させた酸化物超電
導素子が実現できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の第1の実施例の素子の断面図,第2図
は本発明の第1の実施例の素子のエネルギーバンド図,
第3図は本発明の第1の実施例の素子の電流−電圧特性
図,第4図は本発明の第1の実施例の素子の製造工程を
示す断面図,第5図(a)は本発明の第1の実施例の素
子の移動度の温度依存性を示す図,第5図(b)は本発
明の第1の実施例の素子のホール係数の温度依存性を示
す図,第6図は本発明の第1の実施例の素子の電流−電
圧特性図,第7図は本発明の第2の実施例の素子の断面
図,第8図は本発明の第2の実施例の素子のエネルギー
バンド図,第9図および第11図は本発明の第3の実施例
の素子の断面図,第10図および第12図は本発明の第3の
実施例の素子の電流−電圧特性図,第13図および第15図
は本発明の第4の実施例の素子の断面図,第14図は本発
明の第4の実施例の素子の抵抗率の温度依存性を示す
図,第16図は本発明の第4の実施例の素子の電流−電圧
特性図,第17図および第18図は本発明の第4の実施例の
素子のエネルギーバンド図,第19図は本発明の第5の実
施例の素子の断面図,第20図は本発明の第6の実施例の
素子の断面図,第21図は本発明の第6の実施例の素子の
電流−電圧特性図,第22図は本発明の第6の実施例の素
子を用いた否定論理の回路例を示す図,第23図は本発明
の第7の実施例の素子の製造工程を示す断面図,第24
図,第26図および第28図は本発明の第8の実施例の素子
の断面図,第25図および第27図は本発明の第8の実施例
の素子のエネルギーバンド図,第29図および第30図は本
発明の第9の実施例の素子の断面図,第31図は本発明の
第9の実施例の素子の電流−電圧特性図,第32図および
第33図は本発明の第9の実施例の素子のエネルギーバン
ド図,第34図は本発明の第10の実施例の素子の断面図,
第35図は本発明の第11の実施例の素子の製造工程を示し
た断面図,第36図は本発明の第12図の実施例の素子の断
面図,第37図は本発明の第12の実施例の素子の電流−電
圧特性図,第38図は本発明の第14の実施例の素子の断面
図,第39図は本発明の第15の実施例の素子の断面図,第
40図は本発明の第16の実施例の素子の断面図,第41図は
本発明の第16の実施例の素子のエネルギーバンド図,第
42図は本発明の第16の実施例の素子の電流−電圧特性
図,第43図は本発明の第1の実施例の素子の接合の整流
性を示す図,第44図は本発明の第1の実施例の素子を用
いた回路例を示す図,第45図は本発明の第1の実施例の
素子断面図,第46図は本発明の第1の実施例の素子特性
図である。 符号の説明 1……キャリアを生じしめた絶縁体,2……ソース超電導
電極,2′……酸化物超電導体,3……ドレイン超電導電
極,4……ゲート絶縁膜,5……ゲート電極,6……緩衝膜,7
……光ファイバ,8……酸化物超電導体,9……超電導電
極,10……基板,46……SiOx。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平1−246284 (32)優先日 平成1年9月25日(1989.9.25) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 中根 英章 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 会田 敏之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 深沢 徳海 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−68808(JP,A) 特開 昭64−27280(JP,A) 特開 平2−91981(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/00 H01L 39/22 H01L 39/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物超電導体と、絶縁体で形成され且つ
    不純物のドープによりその内部にキャリアを生じしめた
    固体材料との接合構造を少なくとも含んで構成され、 上記絶縁体の結晶構造がペロブスカイト型結晶構造及び
    ペロブスカイト型類似結晶構造のいずれかであり、 上記固体材料中のキャリア濃度が温度300Kにおいて1×
    1021cm-3以下である酸化物超電導素子において、 上記絶縁体のペロブスカイト型結晶構造及びペロブスカ
    イト型類似結晶構造のいずれかのBサイトを構成するイ
    オンがGa,Ta,Nb,Alからなる元素群から選ばれた少なく
    とも一者の元素イオンであること、 または、上記絶縁体はSrTiO3からなり、且つ上記不純物
    はV,Ta,Mo,W,As,Sb,Biからなる元素群及び希土類元素群
    から選ばれた少なくとも一者であることを特徴とする酸
    化物超電導素子。
  2. 【請求項2】酸化物超電導体と不純物のドープによりキ
    ャリアを生じしめた絶縁体との接合構造と、該酸化物超
    電導体に電磁波を照射する手段と、該接合に電圧を印加
    する手段とを含めて構成されることを特徴とする酸化物
    超電導素子。
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