JPH0783146B2 - 酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法 - Google Patents
酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法Info
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- JPH0783146B2 JPH0783146B2 JP1113705A JP11370589A JPH0783146B2 JP H0783146 B2 JPH0783146 B2 JP H0783146B2 JP 1113705 A JP1113705 A JP 1113705A JP 11370589 A JP11370589 A JP 11370589A JP H0783146 B2 JPH0783146 B2 JP H0783146B2
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- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
本発明は高速,低消費電力でスイッチング動作を行なう
超電導スイッチング装置等超電導エレクトロニクスの分
野に係り、とくに液体窒素温度で動作可能な酸化物超電
導トランジスタ装置の製造方法に関するものである。
超電導スイッチング装置等超電導エレクトロニクスの分
野に係り、とくに液体窒素温度で動作可能な酸化物超電
導トランジスタ装置の製造方法に関するものである。
Y−Ba−Cu酸化物をはじめとするLn−Ba−Cu酸化物(L
n;La,Nd,Sm,En,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)
超電導材料は超電導臨界温度(Tc)が90K以上であり、
液体窒素温度(77K)において完全な超電導性を示すも
のである。これらY−Ba−Cu酸化物等の超電導材料をエ
レクトロニクスとくにスイッチングデバイスの分野に応
用するためには基本的な超電導能動素子である超電導ト
ランジスタを得る必要がある。 このためにはY−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2等の超電導薄膜が基板上
でエピタキシャル成長することが重要である。最も一般
的には、Y−Ba−Cu酸化物等の超電導材料と結晶の格子
定数のマッチングの良いチタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)が基板として用いられる。この場合、面内方位(10
0)のSrTiO3基板上では、Y−Ba−Cu酸化物超電導材料
のa軸が基板面に垂直方向にエピタキシャル成長する。
また面内方位(110)のSrTiO3基板上では、Y−Ba−Cu
酸化物超電導材料c軸が基板面に平行にエピタキシャル
成長する。 Y−Ba−Cu酸化物を用いた超電導トランジスタ、あるい
は超電導三端子素子としてはY−Ba−Cu酸化物薄膜から
成る超電導弱結合に対してAl薄膜から成る電流注入電極
を備えた、いわゆる電流注入スイッチング素子が作製さ
れている。この例は第49回応用物理学会学術講演会予稿
集第1分冊151頁(1988年)において記載されている。
n;La,Nd,Sm,En,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)
超電導材料は超電導臨界温度(Tc)が90K以上であり、
液体窒素温度(77K)において完全な超電導性を示すも
のである。これらY−Ba−Cu酸化物等の超電導材料をエ
レクトロニクスとくにスイッチングデバイスの分野に応
用するためには基本的な超電導能動素子である超電導ト
ランジスタを得る必要がある。 このためにはY−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2等の超電導薄膜が基板上
でエピタキシャル成長することが重要である。最も一般
的には、Y−Ba−Cu酸化物等の超電導材料と結晶の格子
定数のマッチングの良いチタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)が基板として用いられる。この場合、面内方位(10
0)のSrTiO3基板上では、Y−Ba−Cu酸化物超電導材料
のa軸が基板面に垂直方向にエピタキシャル成長する。
また面内方位(110)のSrTiO3基板上では、Y−Ba−Cu
酸化物超電導材料c軸が基板面に平行にエピタキシャル
成長する。 Y−Ba−Cu酸化物を用いた超電導トランジスタ、あるい
は超電導三端子素子としてはY−Ba−Cu酸化物薄膜から
成る超電導弱結合に対してAl薄膜から成る電流注入電極
を備えた、いわゆる電流注入スイッチング素子が作製さ
れている。この例は第49回応用物理学会学術講演会予稿
集第1分冊151頁(1988年)において記載されている。
酸化物超電導材料をエレクトロニクスとくにスイッチン
グデバイスの分野に応用するためにはY−Ba−Cu酸化物
等の超電導膜が基板上でエピタキシャル成長することが
重要である。最も一般的には、Y−Ba−Cu酸化物等の超
電導材料と結晶の格子定数のマッチングの良いチタン酸
ストロンチウム(SrTiO3)が基板として用いられ、この
上に酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長させる。結
晶性の良い酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長させ
るには、成膜中の基板温度は600℃〜800℃に加熱して行
なわれる。また成膜後に酸素雰囲気中で熱処理が行なわ
れる。この場合、基板材料の構成元素であるTiが超電導
膜中に拡散して侵入し、超電導特性、特に臨界温度を劣
化させる問題がある。本発明は、このような基板材料の
構成元素が超電導膜中に侵入することを抑制した薄膜の
製造方法を提供することである。 また、上記従来技術は電流注入型スイッチング素子に関
して第3電極を付加することによる超電導電流を制御す
るものである。スイッチング信号は電流である。スイッ
チング信号種を電流とする場合、入力信号電流と出力信
号電流を分離することが必要である。入力信号を分離し
ない場合、素子がスイッチングしない場合でも、入力信
号電流が出力線にそのまま流れるという問題が生じる。
これはスイッチング回路における誤動作の原因となる。 スイッチング信号電流を注入することによってスイッチ
ング動作を行なわせると共に、素子の入力電流分離作用
が働くことが必要である。このような機能をスイッチン
グ素子に付与することは非常に困難であり、またこのよ
うな機能を有せしめたとしても素子の構造が極めて複雑
となる。 したがってスイッチング素子において入出力信号の分離
を容易に達成するためには、入力信号を電流以外に求め
る必要がある。最も素子としての取扱いが簡単な方法は
半導体トランジスタのごとく、電圧信号を用いる方法で
ある。本発明の目的は超電導スイッチング素子、とくに
高臨界温度の酸化物超電導材料を用いた超電導三端子素
子において、電圧信号によってスイッチング動作を生ぜ
しめる三端子素子の構造を有する酸化物超電導トランジ
スタ装置の製造方法を提供することにある。 また、このような超提導スイッチング素子、とくに高臨
界温度の酸化物超電導材料を用いた超電導三端子素子を
作製するには、酸化物超電導薄膜が基板上でエピタキシ
ャル成長しており、また超電導特性を劣化させる不純物
などが結晶中に侵入しないことが必要である。
グデバイスの分野に応用するためにはY−Ba−Cu酸化物
等の超電導膜が基板上でエピタキシャル成長することが
重要である。最も一般的には、Y−Ba−Cu酸化物等の超
電導材料と結晶の格子定数のマッチングの良いチタン酸
ストロンチウム(SrTiO3)が基板として用いられ、この
上に酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長させる。結
晶性の良い酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長させ
るには、成膜中の基板温度は600℃〜800℃に加熱して行
なわれる。また成膜後に酸素雰囲気中で熱処理が行なわ
れる。この場合、基板材料の構成元素であるTiが超電導
膜中に拡散して侵入し、超電導特性、特に臨界温度を劣
化させる問題がある。本発明は、このような基板材料の
構成元素が超電導膜中に侵入することを抑制した薄膜の
製造方法を提供することである。 また、上記従来技術は電流注入型スイッチング素子に関
して第3電極を付加することによる超電導電流を制御す
るものである。スイッチング信号は電流である。スイッ
チング信号種を電流とする場合、入力信号電流と出力信
号電流を分離することが必要である。入力信号を分離し
ない場合、素子がスイッチングしない場合でも、入力信
号電流が出力線にそのまま流れるという問題が生じる。
これはスイッチング回路における誤動作の原因となる。 スイッチング信号電流を注入することによってスイッチ
ング動作を行なわせると共に、素子の入力電流分離作用
が働くことが必要である。このような機能をスイッチン
グ素子に付与することは非常に困難であり、またこのよ
うな機能を有せしめたとしても素子の構造が極めて複雑
となる。 したがってスイッチング素子において入出力信号の分離
を容易に達成するためには、入力信号を電流以外に求め
る必要がある。最も素子としての取扱いが簡単な方法は
半導体トランジスタのごとく、電圧信号を用いる方法で
ある。本発明の目的は超電導スイッチング素子、とくに
高臨界温度の酸化物超電導材料を用いた超電導三端子素
子において、電圧信号によってスイッチング動作を生ぜ
しめる三端子素子の構造を有する酸化物超電導トランジ
スタ装置の製造方法を提供することにある。 また、このような超提導スイッチング素子、とくに高臨
界温度の酸化物超電導材料を用いた超電導三端子素子を
作製するには、酸化物超電導薄膜が基板上でエピタキシ
ャル成長しており、また超電導特性を劣化させる不純物
などが結晶中に侵入しないことが必要である。
上記目的を達成するために、本発明においては以下に示
す技術的手段を採用した。すなわちチタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3)基板の格子定数(3.90Å)、Y−Ba−Cu
酸化物をはじめとするLn−Ba−Cu酸化物(Ln;La,Nd,Sm,
Eu,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素):Ln1Ba2Cu3O
7−δ;δ=0〜0.2の超電導材料の格子定数(a軸;3.
83Å,b軸;3.8Å,c軸;11.7Å)との格子のマッチングの
良い La2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.
8)からなる酸化物薄膜(格子定数:a軸;3.86Å,c軸;19.
89Å)やLa2-xAxCuO4(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4)からな
る酸化物薄膜(格子定数:a軸;3.81Å,c軸;13.15Å)を
中間層として基板上に形成し、この上に上記Ln−Ba−Cu
酸化物薄膜を形成した。例えば、面内方位(100)のSrT
iO3を基板として用いた場合、La2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,
Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)からなる酸化物薄膜の
c軸が基板上に垂直方向にエピタキシャル成長する。さ
らにこの上にY−Ba−Cu酸化物:Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=
0〜0.2をはじめとする超電導薄膜のc軸が膜面に垂直
方向にエピタキシャル成長する。ここで中間層として用
いたLa2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba)からなる酸化物薄
膜が基板の構成材料であるTiが上部に形成した酸化物超
電導薄膜に侵入するのを防止する。また、La2-xA1+xCu2
O6-y酸化物材料の構成元素であるLa,Sr,Ca,Baが、この
上に形成した酸化物超電導材料に侵入しても超電導特性
を劣化させることはない。また中間層として用いるLa
2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)
からなる酸化物薄膜やこの上に形成するY−Ba−Cu酸化
物をはじめとする超電導薄膜の形成温度などを変化する
ことにより、上記超電導薄膜のa軸が膜面に垂直に成長
したエピタキシャル膜を形成できる。 また、上記超電導スイッチング素子を形成するために以
下の技術的手段を用いた。すなわちY−Ba−Cu酸化物を
はじめとする酸化物超電導材料をソースおよびドレイン
電極とする電界効果型超電導トランジスタを構成する。
具体的には、まず、前記の方法により基板上に上記酸化
物薄膜中間層と酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長
させる。エピタキシャル成長させる薄膜形成法として
は、スパッタ法,反応性蒸着法,積層蒸着法,イオンビ
ーム蒸着法,レーザービーム蒸着法などの物理法な方法
あるいはCVD(Chemical Vaper Deposition)などの化学
的な方法等が適用可能である。つぎに上記酸化物超電導
薄膜の一部にH,He,Ne,ArイオンあるいはCa,Sr,Ba,Kなど
のアルカリ土類金属イオンあるいはPt,Rh,Ruなどの白金
属イオンあるいはY,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希
土類金属イオンあるいはFe,Ni,Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr,Ga
などの金属イオンを酸化物超電導薄膜の裏面まで注入
し、この部分に絶縁層を形成する。この工程において酸
化物超電導薄膜の超電導的性質を有する領域と上記イオ
ン注入により絶縁性を有しめた細線部を介して2つの領
域に分かつ。これら2つの領域に分かれた酸化物超電導
薄膜部をそれぞれソース電極およびドレイン電極とす
る。さらに上記イオン注入により絶縁性的性質を有せし
めた部分の上部にゲート絶縁膜を形成し、この上にゲー
ト電極を形成する。
す技術的手段を採用した。すなわちチタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3)基板の格子定数(3.90Å)、Y−Ba−Cu
酸化物をはじめとするLn−Ba−Cu酸化物(Ln;La,Nd,Sm,
Eu,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素):Ln1Ba2Cu3O
7−δ;δ=0〜0.2の超電導材料の格子定数(a軸;3.
83Å,b軸;3.8Å,c軸;11.7Å)との格子のマッチングの
良い La2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.
8)からなる酸化物薄膜(格子定数:a軸;3.86Å,c軸;19.
89Å)やLa2-xAxCuO4(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4)からな
る酸化物薄膜(格子定数:a軸;3.81Å,c軸;13.15Å)を
中間層として基板上に形成し、この上に上記Ln−Ba−Cu
酸化物薄膜を形成した。例えば、面内方位(100)のSrT
iO3を基板として用いた場合、La2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,
Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)からなる酸化物薄膜の
c軸が基板上に垂直方向にエピタキシャル成長する。さ
らにこの上にY−Ba−Cu酸化物:Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=
0〜0.2をはじめとする超電導薄膜のc軸が膜面に垂直
方向にエピタキシャル成長する。ここで中間層として用
いたLa2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba)からなる酸化物薄
膜が基板の構成材料であるTiが上部に形成した酸化物超
電導薄膜に侵入するのを防止する。また、La2-xA1+xCu2
O6-y酸化物材料の構成元素であるLa,Sr,Ca,Baが、この
上に形成した酸化物超電導材料に侵入しても超電導特性
を劣化させることはない。また中間層として用いるLa
2-xA1+xCu2O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)
からなる酸化物薄膜やこの上に形成するY−Ba−Cu酸化
物をはじめとする超電導薄膜の形成温度などを変化する
ことにより、上記超電導薄膜のa軸が膜面に垂直に成長
したエピタキシャル膜を形成できる。 また、上記超電導スイッチング素子を形成するために以
下の技術的手段を用いた。すなわちY−Ba−Cu酸化物を
はじめとする酸化物超電導材料をソースおよびドレイン
電極とする電界効果型超電導トランジスタを構成する。
具体的には、まず、前記の方法により基板上に上記酸化
物薄膜中間層と酸化物超電導薄膜をエピタキシャル成長
させる。エピタキシャル成長させる薄膜形成法として
は、スパッタ法,反応性蒸着法,積層蒸着法,イオンビ
ーム蒸着法,レーザービーム蒸着法などの物理法な方法
あるいはCVD(Chemical Vaper Deposition)などの化学
的な方法等が適用可能である。つぎに上記酸化物超電導
薄膜の一部にH,He,Ne,ArイオンあるいはCa,Sr,Ba,Kなど
のアルカリ土類金属イオンあるいはPt,Rh,Ruなどの白金
属イオンあるいはY,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希
土類金属イオンあるいはFe,Ni,Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr,Ga
などの金属イオンを酸化物超電導薄膜の裏面まで注入
し、この部分に絶縁層を形成する。この工程において酸
化物超電導薄膜の超電導的性質を有する領域と上記イオ
ン注入により絶縁性を有しめた細線部を介して2つの領
域に分かつ。これら2つの領域に分かれた酸化物超電導
薄膜部をそれぞれソース電極およびドレイン電極とす
る。さらに上記イオン注入により絶縁性的性質を有せし
めた部分の上部にゲート絶縁膜を形成し、この上にゲー
ト電極を形成する。
以上述べた手段は以下の理由により上記目的、すなわち
酸化物基板上に酸化物系超電導薄膜をエピタキシャル成
長させ、これら酸化物超電導材料の薄膜を用いた電界効
果による超電導トランジスタの動作を可能にするもので
ある。 酸化物超電導材料を用いて電界効果型トランジスタを製
作する場合、酸化物超電導薄膜は、基板上でエピタキシ
ャル成長させる必要がある。最も一般的には酸化物超電
導材料との格子のマッチングの良いSrTiO3などの酸化物
が基板として用いられる。この場合、基板材料の構成元
素であるTiが超電導膜中に拡散して侵入し、超電導特
性、特に臨界温度を劣化させる。従って本発明では、Sr
TiO3基板と酸化物超電導材料の両者との格子のマッチン
グの良いLa2-xA1+xCu2O6-y酸化物(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜
0.4,y=0〜0.8)の材料やLa2-xAxCuO4酸化物(A;Sr,C
a,Ba;x=0〜0.4)の材料を中間層として用いた。この
場合、酸化物超電導薄膜は前記中間層の上にエピタキシ
ャル成長する。また超電導特性を劣化させる基板からの
不純物の拡散は、前記中間層により抑制できる。 酸化物超電導材料を用いて電界効果トランジスタを製作
する場合、酸化物超電導材料のコヒーレンス長さが短い
こと、および界面における超電導電子の反射係数が大き
いことなどの理由により異種材料を用いた寸法の長い、
つまり超電導電極間距離の長い超電導弱結合素子を得る
のは困難である。しかるに従来のSi等半導体材料によっ
て構成される電界効果型MOSトランジスタの構造はソー
スおよびドレイン電極、それぞれの半導体におけるオー
ミック伝導層,ゲート部,ゲート絶縁膜およびゲート電
極から成る複雑な構造を有している。酸化物超電導材料
を用いた電界効果型トランジスタにおいてこのようなMO
Sトランジスタ型の構造を用いた場合、超電導ソース電
極とドレイン電極間の距離は制約され、0.1μm以下の
長さにすることはパターン形成技術および加工技術上極
めて困難である。しかるに本発明においてはその構造お
よび製法が非常に簡単であり、イオン注入の幅を狭くす
ることに対応して、超電導ソースとドレイン電極間の距
離を短くすることができる。すなわちパターン形成技術
の限界が0.1μmであれば、0.1μmの電極間隔を得るこ
とができる。 さらにソースおよびドレイン電極をなす超電導薄膜と半
導体薄膜は同種類の材料で形成されるので、超電導電極
と半導体の界面でショットキー障壁が形成され、超電導
電子の透過率が大幅に低下するという問題を低減でき
る。 以上のごとき本発明にかかるトランジスタ装置の構造は
酸化物超電導材料に特有の問題点を克服して、ゲート電
極によって信号電圧を印加し、スイッチング動作を行わ
せるという電界効果型超電導トランジスタの機能を可能
ならしめるものである。
酸化物基板上に酸化物系超電導薄膜をエピタキシャル成
長させ、これら酸化物超電導材料の薄膜を用いた電界効
果による超電導トランジスタの動作を可能にするもので
ある。 酸化物超電導材料を用いて電界効果型トランジスタを製
作する場合、酸化物超電導薄膜は、基板上でエピタキシ
ャル成長させる必要がある。最も一般的には酸化物超電
導材料との格子のマッチングの良いSrTiO3などの酸化物
が基板として用いられる。この場合、基板材料の構成元
素であるTiが超電導膜中に拡散して侵入し、超電導特
性、特に臨界温度を劣化させる。従って本発明では、Sr
TiO3基板と酸化物超電導材料の両者との格子のマッチン
グの良いLa2-xA1+xCu2O6-y酸化物(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜
0.4,y=0〜0.8)の材料やLa2-xAxCuO4酸化物(A;Sr,C
a,Ba;x=0〜0.4)の材料を中間層として用いた。この
場合、酸化物超電導薄膜は前記中間層の上にエピタキシ
ャル成長する。また超電導特性を劣化させる基板からの
不純物の拡散は、前記中間層により抑制できる。 酸化物超電導材料を用いて電界効果トランジスタを製作
する場合、酸化物超電導材料のコヒーレンス長さが短い
こと、および界面における超電導電子の反射係数が大き
いことなどの理由により異種材料を用いた寸法の長い、
つまり超電導電極間距離の長い超電導弱結合素子を得る
のは困難である。しかるに従来のSi等半導体材料によっ
て構成される電界効果型MOSトランジスタの構造はソー
スおよびドレイン電極、それぞれの半導体におけるオー
ミック伝導層,ゲート部,ゲート絶縁膜およびゲート電
極から成る複雑な構造を有している。酸化物超電導材料
を用いた電界効果型トランジスタにおいてこのようなMO
Sトランジスタ型の構造を用いた場合、超電導ソース電
極とドレイン電極間の距離は制約され、0.1μm以下の
長さにすることはパターン形成技術および加工技術上極
めて困難である。しかるに本発明においてはその構造お
よび製法が非常に簡単であり、イオン注入の幅を狭くす
ることに対応して、超電導ソースとドレイン電極間の距
離を短くすることができる。すなわちパターン形成技術
の限界が0.1μmであれば、0.1μmの電極間隔を得るこ
とができる。 さらにソースおよびドレイン電極をなす超電導薄膜と半
導体薄膜は同種類の材料で形成されるので、超電導電極
と半導体の界面でショットキー障壁が形成され、超電導
電子の透過率が大幅に低下するという問題を低減でき
る。 以上のごとき本発明にかかるトランジスタ装置の構造は
酸化物超電導材料に特有の問題点を克服して、ゲート電
極によって信号電圧を印加し、スイッチング動作を行わ
せるという電界効果型超電導トランジスタの機能を可能
ならしめるものである。
以下、実施例でもって本発明を説明する。 実施例1. 第1図に示したごとく、面内方位(100)のチタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3)単結晶基板1上に高周波マグネ
トロンスパッタ法により中間層としてLa−Sr−Cu酸化
物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8の薄膜2を形成した。こ
のためのターゲットは、La:Sr:Cuの組成比が2:1:2のLa
−Sr−Cu酸化物の円板状の焼結体を用いた。La−Sr−Cu
酸化物薄膜2は、放電ガスとしてはO2濃度50%のAr+O2
混合ガスを用い、ガス圧力は5mTorrとし、高周波電力10
0W、基板温度は700℃として形成した。以上の方法によ
りLa2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8の組成のLa−Sr−Cu酸
化物薄膜2を得た。このLa−Sr−Cu酸化物薄膜2は、ペ
ロブスカイト型結晶のc軸が基板面に垂直にエピタキシ
ャル成長した膜である。膜厚は、0.5μmとした。続い
て、上記La−Sr−Cu酸化物薄膜2の上に同様に高周波マ
グネトロンスパッタ法によりY−Ba−Cu酸化物:Y1Ba2Cu
3O7−δ;δ=0〜0.2の薄膜3を形成し層状酸化物薄
膜4を作製した。このためのターゲットは、組成比が1:
2:4のY−Ba−Cu酸化物の円板状の焼結体を用い、他の
スパッタ条件はLa−Sr−Cu酸化物薄膜2の形成条件と同
じとした。この方法により形成した層状酸化物薄膜4に
おける超電導膜は、化学量論組成のY−Ba−Cu酸化物超
電導薄膜3である。このY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3
は中間層として形成したLa−Sr−Cu酸化物薄膜2上にエ
ピタキシャル成長しており、ペロブスカイト型結晶のc
軸が膜面に垂直に成長した膜である。この膜の膜厚は、
0.1μmとした。このY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3の
超電導臨界温度は80〜84Kであった。スパッタ法によ
り、La−Sr−Cu酸化物薄膜2やY−Ba−Cu酸化物超電導
薄膜3を形成した後、薄膜の結晶性を向上するために酸
化雰囲気中で500℃〜900℃の温度で熱処理を行なっても
良い。 比較用として同様のスパッタ条件で、面内方位(100)
のチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)単結晶基板1上に
直接膜厚0.1μmのY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3を形
成し、単層の酸化物薄膜5を作製した。この場合、Y−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3はペロブスカイト型結晶のc
軸が膜面に平行にエピタキシャル成長した膜となった。
この膜の超電導臨界温度は74〜80Kであった。 以上の方法により形成した二種類の薄膜の組成をオージ
ェ電子分光法により、深さ方向に分析した。その結果、
単層の酸化物薄膜5では基板の構成元素であるTiがY−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3中に拡散侵入していることが
わかった。これに対してLa−Sr−Cu酸化物薄膜2中間層
を設けた層状酸化物薄膜4では、La−Sr−Cu酸化物薄膜
が基板の構成元素であるTiの拡散を抑制し、その結果最
上層のY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3への不純物の侵入
を防止できた。 ここで中間層として用いる酸化物薄膜は、La2-xA1+xCu2
O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)を用いても
同様なエピタキシャル成長した薄膜を形成でき、さらに
この上に形成するLnBa2Cu3O7−δ(Ln=Y,La,Nd,Sm,E
u,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)薄膜をエピタ
キシャル成長できる。 実施例2. 実施例1により作製した層状酸化物薄膜4を用いて、第
3図に示す構成の酸化物超電導トランジスタ装置を作製
した。すなわち、Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3に対し
て、加速電圧20kVのGa収束イオン源を用いて、Gaイオン
を注入した。ドープ量は5×1015/cm2〜5×1017/cm2と
し、線幅は0.1μm、長さは2mmとした。これによりGaイ
オン注入した細線部分において絶縁層6を得る。この
後、酸素雰囲気中で500℃〜900℃の温度で熱処理を行な
っても良い。さらにこの細線部分の上部にゲート絶縁膜
7、およびゲート電極8を形成した。 以上のごとき工程により酸化物超電導トランジスタ装置
を得た。この酸化物超電導トランジスタ装置は電圧信号
によってスイッチング動作するいわゆる電界効果型トラ
ンジスタとして用いることができる。すなわち本酸化物
超電導トランジスタ装置は第4図に示されるごとく、ゲ
ートに電圧を印加しない状態9においては零電圧状態と
なり超電導電流が流れないが、ゲートに負電圧を印加し
た場合10において超電導電流が流れ、スイッチング動作
が行われる。これはゲートに負電圧を印加することによ
り、ゲート近傍の半導体層のバンドが上方に曲げられ、
ホール濃度が高くなる。ソースおよびドレイン電極から
半導体層にしみ出す超電導電子の広がる距離はホール濃
度すなわち超電導電子の濃度に依存して長くなり、各電
極からしみ出した超電導電子波が互いに重なりあうから
である。 Gaイオンに替わって、Ga,Sr,Ba,Kなどのアルカリ土類金
属イオンあるいはPt,Rh,Ruなどの白金属イオンあるいは
Y,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希土類金属イオンあ
るいはFe,Ni,Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr金属イオンを注入し
ても、同様の結果が得られた。 この場合、Y,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希土類金
属イオンは、Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜のYサイトを
置換し、Ca,Sr,Ba,Kなどのアルカリ土類金属イオンはBa
サイトを、Pt,Rh,Ruなどの白金属イオンあるいはFe,Ni,
Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr,Ga金属イオンはCuサイトを置換す
る効果がある。 実施例3. 第5図のごとく、面内方位(100)のチタン酸ストロン
チウム(SrTiO3)単結晶基板1上に高周波マグネトロン
スパッタ法によりまず中間層としてLa−Cu−O:La2CuO4
酸化物薄膜11を形成した。このためのターゲットは、L
a:Cuの組成比が2:1のLa−Cu−O酸化物の円板状の焼結
体を用いた。La−Cu−O酸化物薄膜11は、放電ガスとし
てはO2濃度50%のAr+O2混合ガスを用い、ガス圧力は5m
Torrとし、高周波電力100W、基板温度は700℃として形
成した。以上の方法によりLa2CuO4の組成のLa−Cu−O
酸化物薄膜11を得た。このLa−Cu−O酸化物薄膜11は、
K2NiF4型構造の結晶のc軸が基板面に垂直にエピタキシ
ャル成長した膜である。膜厚は、0.5μmとした。続い
て、上記La−Cu−O酸化物薄膜11の上に同様に高周波マ
グネトロンスパッタ法によりY−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の薄膜3を形成し、層状
酸化物薄膜12を作製した。Y−Ba−Cu酸化物薄膜3の形
成条件は実施例1と同様に行なった。この方法により形
成した層状酸化物薄膜12における超電導膜は、化学量論
組成のY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3である。このY−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3は中間層として形成したLa−
Cu−O酸化物薄膜11上にエピタキシャル成長しており、
ペロブスカイト型結晶のc軸が膜面に垂直に成長した膜
である。またY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3の超電導臨
界温度は、80〜83Kであった。 実施例4. 実施例1と同様の方法により第1図に示した構成の層状
の酸化物薄膜4を作成した。この薄膜においてLa−Sr−
Cu酸化物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8は半導体的な電気特性を
示した。この薄膜を用いて、第6図に示す構成の酸化物
超電導トランジスタを作製した。すなわち、層状の酸化
物薄膜4の上部にマスク21を設け、反応性イオンビーム
エッチング法により、Y−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の超電導薄膜3の一部を
エッチングした。このときのパターン幅は0.1μmとし
た。つづいて同様のマスクを用いてゲート絶縁膜22を形
成し、さらにこの上にゲート電極23を形成した。この方
法により形成した酸化物超電導トランジスタ装置は第4
図のごとく電圧信号によってスイッチング動作するいわ
ゆる電界効果型トランジスタとして用いることができ
る。
トロンチウム(SrTiO3)単結晶基板1上に高周波マグネ
トロンスパッタ法により中間層としてLa−Sr−Cu酸化
物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8の薄膜2を形成した。こ
のためのターゲットは、La:Sr:Cuの組成比が2:1:2のLa
−Sr−Cu酸化物の円板状の焼結体を用いた。La−Sr−Cu
酸化物薄膜2は、放電ガスとしてはO2濃度50%のAr+O2
混合ガスを用い、ガス圧力は5mTorrとし、高周波電力10
0W、基板温度は700℃として形成した。以上の方法によ
りLa2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8の組成のLa−Sr−Cu酸
化物薄膜2を得た。このLa−Sr−Cu酸化物薄膜2は、ペ
ロブスカイト型結晶のc軸が基板面に垂直にエピタキシ
ャル成長した膜である。膜厚は、0.5μmとした。続い
て、上記La−Sr−Cu酸化物薄膜2の上に同様に高周波マ
グネトロンスパッタ法によりY−Ba−Cu酸化物:Y1Ba2Cu
3O7−δ;δ=0〜0.2の薄膜3を形成し層状酸化物薄
膜4を作製した。このためのターゲットは、組成比が1:
2:4のY−Ba−Cu酸化物の円板状の焼結体を用い、他の
スパッタ条件はLa−Sr−Cu酸化物薄膜2の形成条件と同
じとした。この方法により形成した層状酸化物薄膜4に
おける超電導膜は、化学量論組成のY−Ba−Cu酸化物超
電導薄膜3である。このY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3
は中間層として形成したLa−Sr−Cu酸化物薄膜2上にエ
ピタキシャル成長しており、ペロブスカイト型結晶のc
軸が膜面に垂直に成長した膜である。この膜の膜厚は、
0.1μmとした。このY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3の
超電導臨界温度は80〜84Kであった。スパッタ法によ
り、La−Sr−Cu酸化物薄膜2やY−Ba−Cu酸化物超電導
薄膜3を形成した後、薄膜の結晶性を向上するために酸
化雰囲気中で500℃〜900℃の温度で熱処理を行なっても
良い。 比較用として同様のスパッタ条件で、面内方位(100)
のチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)単結晶基板1上に
直接膜厚0.1μmのY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3を形
成し、単層の酸化物薄膜5を作製した。この場合、Y−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3はペロブスカイト型結晶のc
軸が膜面に平行にエピタキシャル成長した膜となった。
この膜の超電導臨界温度は74〜80Kであった。 以上の方法により形成した二種類の薄膜の組成をオージ
ェ電子分光法により、深さ方向に分析した。その結果、
単層の酸化物薄膜5では基板の構成元素であるTiがY−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3中に拡散侵入していることが
わかった。これに対してLa−Sr−Cu酸化物薄膜2中間層
を設けた層状酸化物薄膜4では、La−Sr−Cu酸化物薄膜
が基板の構成元素であるTiの拡散を抑制し、その結果最
上層のY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3への不純物の侵入
を防止できた。 ここで中間層として用いる酸化物薄膜は、La2-xA1+xCu2
O6-y(A;Sr,Ca,Ba;x=0〜0.4,y=0〜0.8)を用いても
同様なエピタキシャル成長した薄膜を形成でき、さらに
この上に形成するLnBa2Cu3O7−δ(Ln=Y,La,Nd,Sm,E
u,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)薄膜をエピタ
キシャル成長できる。 実施例2. 実施例1により作製した層状酸化物薄膜4を用いて、第
3図に示す構成の酸化物超電導トランジスタ装置を作製
した。すなわち、Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3に対し
て、加速電圧20kVのGa収束イオン源を用いて、Gaイオン
を注入した。ドープ量は5×1015/cm2〜5×1017/cm2と
し、線幅は0.1μm、長さは2mmとした。これによりGaイ
オン注入した細線部分において絶縁層6を得る。この
後、酸素雰囲気中で500℃〜900℃の温度で熱処理を行な
っても良い。さらにこの細線部分の上部にゲート絶縁膜
7、およびゲート電極8を形成した。 以上のごとき工程により酸化物超電導トランジスタ装置
を得た。この酸化物超電導トランジスタ装置は電圧信号
によってスイッチング動作するいわゆる電界効果型トラ
ンジスタとして用いることができる。すなわち本酸化物
超電導トランジスタ装置は第4図に示されるごとく、ゲ
ートに電圧を印加しない状態9においては零電圧状態と
なり超電導電流が流れないが、ゲートに負電圧を印加し
た場合10において超電導電流が流れ、スイッチング動作
が行われる。これはゲートに負電圧を印加することによ
り、ゲート近傍の半導体層のバンドが上方に曲げられ、
ホール濃度が高くなる。ソースおよびドレイン電極から
半導体層にしみ出す超電導電子の広がる距離はホール濃
度すなわち超電導電子の濃度に依存して長くなり、各電
極からしみ出した超電導電子波が互いに重なりあうから
である。 Gaイオンに替わって、Ga,Sr,Ba,Kなどのアルカリ土類金
属イオンあるいはPt,Rh,Ruなどの白金属イオンあるいは
Y,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希土類金属イオンあ
るいはFe,Ni,Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr金属イオンを注入し
ても、同様の結果が得られた。 この場合、Y,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Ho,Er,Tbなどの希土類金
属イオンは、Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜のYサイトを
置換し、Ca,Sr,Ba,Kなどのアルカリ土類金属イオンはBa
サイトを、Pt,Rh,Ruなどの白金属イオンあるいはFe,Ni,
Co,Zn,Ti,Nb,Zr,V,Cr,Ga金属イオンはCuサイトを置換す
る効果がある。 実施例3. 第5図のごとく、面内方位(100)のチタン酸ストロン
チウム(SrTiO3)単結晶基板1上に高周波マグネトロン
スパッタ法によりまず中間層としてLa−Cu−O:La2CuO4
酸化物薄膜11を形成した。このためのターゲットは、L
a:Cuの組成比が2:1のLa−Cu−O酸化物の円板状の焼結
体を用いた。La−Cu−O酸化物薄膜11は、放電ガスとし
てはO2濃度50%のAr+O2混合ガスを用い、ガス圧力は5m
Torrとし、高周波電力100W、基板温度は700℃として形
成した。以上の方法によりLa2CuO4の組成のLa−Cu−O
酸化物薄膜11を得た。このLa−Cu−O酸化物薄膜11は、
K2NiF4型構造の結晶のc軸が基板面に垂直にエピタキシ
ャル成長した膜である。膜厚は、0.5μmとした。続い
て、上記La−Cu−O酸化物薄膜11の上に同様に高周波マ
グネトロンスパッタ法によりY−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の薄膜3を形成し、層状
酸化物薄膜12を作製した。Y−Ba−Cu酸化物薄膜3の形
成条件は実施例1と同様に行なった。この方法により形
成した層状酸化物薄膜12における超電導膜は、化学量論
組成のY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3である。このY−
Ba−Cu酸化物超電導薄膜3は中間層として形成したLa−
Cu−O酸化物薄膜11上にエピタキシャル成長しており、
ペロブスカイト型結晶のc軸が膜面に垂直に成長した膜
である。またY−Ba−Cu酸化物超電導薄膜3の超電導臨
界温度は、80〜83Kであった。 実施例4. 実施例1と同様の方法により第1図に示した構成の層状
の酸化物薄膜4を作成した。この薄膜においてLa−Sr−
Cu酸化物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8は半導体的な電気特性を
示した。この薄膜を用いて、第6図に示す構成の酸化物
超電導トランジスタを作製した。すなわち、層状の酸化
物薄膜4の上部にマスク21を設け、反応性イオンビーム
エッチング法により、Y−Ba−Cu酸化物: Y1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の超電導薄膜3の一部を
エッチングした。このときのパターン幅は0.1μmとし
た。つづいて同様のマスクを用いてゲート絶縁膜22を形
成し、さらにこの上にゲート電極23を形成した。この方
法により形成した酸化物超電導トランジスタ装置は第4
図のごとく電圧信号によってスイッチング動作するいわ
ゆる電界効果型トランジスタとして用いることができ
る。
以上述べたごとく、本発明にかかる酸化物超電導トラン
ジスタ装置の製造方法は以下の効果を有する。 (1)Ln−Ba−Cu酸化物: Ln1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の超電導膜(Ln;Y,La,H
d,Sm,Eu,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)の下層
にLa−A−Cu酸化物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8(A;Sr,Ca,Ba)中間層を
設けることにより、基板からの不純物が超電導膜へ侵入
するのを防止でき、エピタキシャル成長した超電導薄膜
を形成できる。 (2)La−A−Cu酸化物:La2-xAxCuO4;x=0〜0.4(A;S
r,Ca,Ba)中間層を半導体層とした酸化物超電導トラン
ジスタ装置を形成できる。
ジスタ装置の製造方法は以下の効果を有する。 (1)Ln−Ba−Cu酸化物: Ln1Ba2Cu3O7−δ;δ=0〜0.2の超電導膜(Ln;Y,La,H
d,Sm,Eu,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)の下層
にLa−A−Cu酸化物: La2-xA1+xCu2O6-y;y=0〜0.8(A;Sr,Ca,Ba)中間層を
設けることにより、基板からの不純物が超電導膜へ侵入
するのを防止でき、エピタキシャル成長した超電導薄膜
を形成できる。 (2)La−A−Cu酸化物:La2-xAxCuO4;x=0〜0.4(A;S
r,Ca,Ba)中間層を半導体層とした酸化物超電導トラン
ジスタ装置を形成できる。
第1図は本発明の実施例1における層状酸化物薄膜の断
面図。第2図は実施例1における比較用の酸化物薄膜の
断面図。第3図は実施例2における酸化物超電導トラン
ジスタ装置の説明図。第4図は酸化物超電導トランジス
タの電圧−電流特性を示す図。第5図は実施例3におけ
る層状酸化物薄膜の断面図。第6図は実施例4における
酸化物超電導トランジスタ装置の説明図である。 符号の説明 1……SrTiO3基板、2……La−Sr−Cu酸化物薄膜、3…
…Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜、4……層状酸化物薄
膜、5……単層の酸化物薄膜、6……絶縁層、7……ゲ
ート絶縁膜、8……ゲート電極、9……ゲート信号電圧
零の時の電圧−電流特性、10……ゲート信号電圧印加時
の電圧−電流特性、11……La−Cu酸化物薄膜、12……層
状酸化物薄膜、21……マスク、22……ゲート絶縁膜、23
……ゲート電極。
面図。第2図は実施例1における比較用の酸化物薄膜の
断面図。第3図は実施例2における酸化物超電導トラン
ジスタ装置の説明図。第4図は酸化物超電導トランジス
タの電圧−電流特性を示す図。第5図は実施例3におけ
る層状酸化物薄膜の断面図。第6図は実施例4における
酸化物超電導トランジスタ装置の説明図である。 符号の説明 1……SrTiO3基板、2……La−Sr−Cu酸化物薄膜、3…
…Y−Ba−Cu酸化物超電導薄膜、4……層状酸化物薄
膜、5……単層の酸化物薄膜、6……絶縁層、7……ゲ
ート絶縁膜、8……ゲート電極、9……ゲート信号電圧
零の時の電圧−電流特性、10……ゲート信号電圧印加時
の電圧−電流特性、11……La−Cu酸化物薄膜、12……層
状酸化物薄膜、21……マスク、22……ゲート絶縁膜、23
……ゲート電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 克己 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−86574(JP,A) 特開 昭64−64379(JP,A) 特開 昭58−73172(JP,A) 特開 昭63−270317(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法
において、 (1)基板上にチャネル層となるLa−A−Cu−O(A;S
r,Ca,Ba)からなる酸化物薄膜を形成する工程、 (2)上記酸化物薄膜上にLn−Ba−Cu酸化物(Ln;Y,La,
Nd,Sm,Eu,Gd,Yb,Ho,Erから選ばれる希土類元素)超電導
薄膜を形成する工程、 (3)上記酸化物超電導薄膜に対して、イオンを上記酸
化物超電導膜の裏面まで注入することにより絶縁層を形
成し、上記絶縁層により上記酸化物超電導薄膜を2つの
領域に分かつ工程、 (4)上記絶縁層および上記酸化物超電導薄膜にゲート
絶縁膜を形成する工程、 (5)上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工
程、を有することを特徴とする酸化物超電導トランジス
タ装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1113705A JPH0783146B2 (ja) | 1989-05-08 | 1989-05-08 | 酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1113705A JPH0783146B2 (ja) | 1989-05-08 | 1989-05-08 | 酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02292876A JPH02292876A (ja) | 1990-12-04 |
JPH0783146B2 true JPH0783146B2 (ja) | 1995-09-06 |
Family
ID=14619080
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1113705A Expired - Fee Related JPH0783146B2 (ja) | 1989-05-08 | 1989-05-08 | 酸化物超電導トランジスタ装置の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0783146B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100555549B1 (ko) | 2004-01-28 | 2006-03-03 | 삼성전자주식회사 | 하드 디스크 드라이브의 디스크 클램핑 장치 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5873172A (ja) * | 1981-10-27 | 1983-05-02 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 超伝導集積回路装置 |
KR910002311B1 (ko) * | 1987-02-27 | 1991-04-11 | 가부시기가이샤 히다찌세이사꾸쇼 | 초전도 디바이스 |
JPS63270317A (ja) * | 1987-04-28 | 1988-11-08 | Toshiba Corp | 酸化物超電導体 |
JPS6464379A (en) * | 1987-09-04 | 1989-03-10 | Tdk Corp | Superconducting transistor and its manufacture |
-
1989
- 1989-05-08 JP JP1113705A patent/JPH0783146B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02292876A (ja) | 1990-12-04 |
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